(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-03
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】測定システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/107 20060101AFI20220804BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20220804BHJP
A61B 6/12 20060101ALI20220804BHJP
【FI】
A61B5/107 200
A61B6/00 330A
A61B6/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020105602
(22)【出願日】2020-06-18
(62)【分割の表示】P 2017524116の分割
【原出願日】2015-07-23
【審査請求日】2020-07-15
(32)【優先日】2014-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507280675
【氏名又は名称】アルファテック スパイン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-シャルル、ル、ユエック
(72)【発明者】
【氏名】エステル、デュボー
(72)【発明者】
【氏名】シルバン、ベッソン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、オジュラット
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0152970(US,A1)
【文献】国際公開第2013/044157(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/169674(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/107
A61B 6/00
A61B 90/00
A61B 34/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊柱の変位
の測定システムであって、前記脊柱が少なくとも1つの椎骨を備えるセグメントを有し、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨が上部椎骨端板及び下部椎骨端板により区切られる本体を有し、
-ロケーションシステムと、
-
関連付けられている前記セグメントのそれぞれの
前記椎骨に
取り付け可能であり、それぞれが前記ロケーションシステムの広域参照座標系における向きを提供することが可能である、位置マーカー
と、
を備え、
前記ロケーションシステム
は、前記広域参照座標系における前記セグメント内のそれぞれの椎骨
について、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨に関連する前記位置マーカーの初期の向き、及び、現在の向きを検出し、前記広域参照座標系において、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の少なくとも一方
の端板に平行である、
椎骨平面の初期の向きを測定するとともに、
-前記セグメント内の前記椎骨に対する幾何学変換であって、
前記セグメントのそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きと、前記関連する位置マーカーの前記初期の向きと、を相関させる幾何学変換を計算し、前記広域参照座標系において、前記
セグメント内の少なくとも1つの椎骨
について、前記セグメント内の前記少なくとも1つの前記椎骨平面の現在の向きを、前記関連する位置マーカーの現在
の向き、
及び、前記少なくとも1つの椎骨
に関連する前記幾何学変換から、計算する、
計算手段と、
-前記セグメント内の前記椎骨の中から基準椎骨を選択し、前記広域参照座標系において、少なくとも1つの基準面の初期の向きを測定し、前記少なくとも1つの基準面に関連する幾何学変換を、前記少なくとも1つの基準面の前記初期の向きと、前記基準椎骨に関連する前記位置マーカーの前記初期の向きと、を相関させることにより計算し、前記広域参照座標系において、前記少なくとも1つの基準面の現在の向きを、前記基準椎骨に関連する前記位置マーカーの前記現在の向き、及び、前記少なくとも1つの基準面に関連する前記幾何学変換から計算し、前記少なくとも1つの基準面内へ、椎骨平面の現在の向きのそれぞれを投影する、識別手段と、
を備え、
前記ロケーションシステムが、前記投影された現在の向き間の角度を計算する、処理ユニットを備え、
-計算された角度を表示する、表示部、
をさらに備える、
測定システム。
【請求項2】
脊柱の変位
の測定システムであって、前記脊柱が少なくとも1つの椎骨を備えるセグメントを有し、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨が上部椎骨端板及び下部椎骨端板により区切られる本体を有し、
-ロケーションシステムと、
-
関連付けられている前記セグメントのそれぞれの
前記椎骨に
取り付け可能であり、それぞれが前記ロケーションシステムの広域参照座標系における向きを提供することが可能である、位置マーカー
と、
を備え、
前記ロケーションシステム
は、前記広域参照座標系における前記セグメント内のそれぞれの椎骨
について、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨に関連する前記位置マーカーの初期の向き、及び、現在の向きを検出し、前記広域参照座標系において、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の少なくとも一方
の端板に平行である、
椎骨平面の初期の向きを測定するとともに、
-前記セグメント内の前記椎骨に対する幾何学変換であって、
前記セグメントのそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きと、前記関連する位置マーカーの前記初期の向きと、を相関させる幾何学変換を計算し、前記広域参照座標系において、前記
セグメント内の少なくとも1つの椎骨
について、前記セグメント内の前記少なくとも1つの前記椎骨平面の現在の向きを、前記関連する位置マーカーの現在
の向き、
及び、前記少なくとも1つの椎骨
に関連する前記幾何学変換から、計算する、
計算手段と、
前記
位置マーカーを有する器具であって、前記ロケーションシステムに当該器具の部分の方向ベクトルを提供する、器具を備えており、
前記ロケーションシステムは、前記セグメントのそれぞれの椎骨について、
前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面内に含まれる第1方向ベクトルであって、前記椎骨平面内の前記器具の前記部分の第1の位置決めにより提供される、第1方向ベクトルと、
前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面内に含まれる第2方向ベクトルであって、前記椎骨平面内の前記器具の前記部分の第2の位置決めにより提供される、第2方向ベクトルと、
前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きであって、提供された第1ベクトル及び提供された第2ベクトルにより測定される、前記初期の向きと、
を受信する、ローカライザ、
を備える
、測定システム。
【請求項3】
前記器具の前記部分は、X線に対して不透明なロッドを備え、
前記方向ベクトルは、前記ロッドの長手方向に
対応し、
前記測定システムは、
前記セグメント内の前記椎骨及び前記ロッドのX線画像を生成するX線エミッタ及びディテクタ
と、
前記セグメント内の前記椎骨及び前記ロッドの画像を表示する表示部と、
を備え、
前記X線エミッタ及び前記ディテクタは、前記セグメントと垂直に配置
されて前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨の少なくとも1つの端板が前記X線画像において線として
表され、
前記器具の前記部分の
それぞれの位置決めのために、前記不透明なロッドは、前記X線画像において少なくとも1つの前記端板を表す前記線に平行な線として表されるように
位置付けされる、
請求項
2に記載の
測定システム。
【請求項4】
脊柱の変位
の測定システムであって、前記脊柱が少なくとも1つの椎骨を備えるセグメントを有し、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨が上部椎骨端板及び下部椎骨端板により区切られる本体を有し、
-ロケーションシステムと、
-
関連付けられている前記セグメントのそれぞれの
前記椎骨に
取り付け可能であり、それぞれが前記ロケーションシステムの広域参照座標系における向きを提供することが可能である、位置マーカー
と、
を備え、
前記ロケーションシステム
は、前記広域参照座標系における前記セグメント内のそれぞれの椎骨
について、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨に関連する前記位置マーカーの初期の向き、及び、現在の向きを検出し、前記広域参照座標系において、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の少なくとも一方
の端板に平行である、
椎骨平面の初期の向きを測定するとともに、
-前記セグメント内の前記椎骨に対する幾何学変換であって、
前記セグメントのそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きと、前記関連する位置マーカーの前記初期の向きと、を相関させる幾何学変換を計算し、前記広域参照座標系において、前記
セグメント内の少なくとも1つの椎骨
について、前記セグメント内の前記少なくとも1つの前記椎骨平面の現在の向きを、前記関連する位置マーカーの現在
の向き、
及び、前記少なくとも1つの椎骨
に関連する前記幾何学変換から、計算する、
計算手段と、
器具であって、当該器具の部分の方向ベクトルを前記ロケーションシステムへ提供する位置マーカーを備えた器具を備え、
前記ロケーションシステムは、前記セグメントのそれぞれの椎骨について、
前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面内に含まれる第1方向ベクトルであって、前記椎骨平面内の前記器具の前記部分の第1の位置決めにより提供される、第1方向ベクトルと、
前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面に垂直な平面に含まれる第2方向ベクトルであって、前記垂直な平面内の前記器具の前記部分の第2の位置決めにより提供される、第2方向ベクトルと、
前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きであって、前記垂直な平面及び提供された前記第1方向ベクトルから測定される、前記初期の向きと、
を受信する、ローカライザ、
を備える
、測定システム。
【請求項5】
脊柱の変位
の測定システムであって、前記脊柱が少なくとも1つの椎骨を備えるセグメントを有し、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨が上部椎骨端板及び下部椎骨端板により区切られる本体を有し、
-ロケーションシステムと、
-
関連付けられている前記セグメントのそれぞれの
前記椎骨に
取り付け可能であり、それぞれが前記ロケーションシステムの広域参照座標系における向きを提供することが可能である、位置マーカー
と、
を備え、
前記ロケーションシステム
は、前記広域参照座標系における前記セグメント内のそれぞれの椎骨
について、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨に関連する前記位置マーカーの初期の向き、及び、現在の向きを検出し、前記広域参照座標系において、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の少なくとも一方
の端板に平行である、
椎骨平面の初期の向きを測定するとともに、
-前記セグメント内の前記椎骨に対する幾何学変換であって、
前記セグメントのそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きと、前記関連する位置マーカーの前記初期の向きと、を相関させる幾何学変換を計算し、前記広域参照座標系において、前記
セグメント内の少なくとも1つの椎骨
について、前記セグメント内の前記少なくとも1つの前記椎骨平面の現在の向きを、前記関連する位置マーカーの現在
の向き、
及び、前記少なくとも1つの椎骨
に関連する前記幾何学変換から、計算する、
計算手段と、
位置マーカーを備えた器具であって、前記ロケーションシステムに当該器具の部分に垂直な方向ベクトルを提供する、器具を備え、
前記ロケーションシステムは、前記セグメント内の各椎骨について、
前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面に垂直な方向ベクトルであって、前記椎骨平面内の前記器具の前記部分の位置決により提供される、方向ベクトルと、
前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きであって、前記提供された方向ベクトルから測定される、前記初期の向きと、
を受信する、ローカライザ、
を備える
、測定システム。
【請求項6】
前記器具の前記部分は、プレートである、請求項
5に記載の
測定システム。
【請求項7】
前記プレートは、X線に対して不透明であり
、
前記セグメント内の前記椎骨及び前記プレートのX線画像を生成するX線エミッタ
及びディテクタ
と、前記セグメント内の前記椎骨及び前記プレートのX線画像を表示する表示部と、を備え、
前記X線エミッタ及び前記ディテクタは、前記セグメント内のそれぞれの椎骨の少なくとも1つの端板が前記X線画像において線として表されるように、前記セグメントに対して垂直に位置付けされ、
前記プレートは、前記X線画像内に少なくとも1つの端板を表す前記線と平行な線
として表されるように、配置される、
請求項6に記載
の
測定システム
。
【請求項8】
前記器具は、少なくとも1つのセンサを備えており、各センサは、組織を検出することが可能であり、骨組織と椎間板組織とを区別することが可能であり、
前記椎骨平面内の前記器具の前記部分の少なくとも1つの位置決めが、前記少なくとも1つのセンサが椎間板組織を検出するように実行される
請求項
2に記載の
測定システム。
【請求項9】
前記器具は、少なくとも1つのセンサを備え、
それぞれのセンサは、組織を検出し、骨組織と椎間板組織とを区別し、
前記椎骨平面内の前記器具の前記部分の位置決めが、前記少なくとも1つのセンサが椎間板組織を検出するように実行される
請求項
5に記載の
測定システム。
【請求項10】
脊柱の変位
の測定システムであって、前記脊柱が少なくとも1つの椎骨を備えるセグメントを有し、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨が上部椎骨端板及び下部椎骨端板により区切られる本体を有し、
-ロケーションシステムと、
-
関連付けられている前記セグメントのそれぞれの
前記椎骨に
取り付け可能であり、それぞれが前記ロケーションシステムの広域参照座標系における向きを提供することが可能である、位置マーカー
と、
を備え、
前記ロケーションシステムは
、前記広域参照座標系における前記セグメント内のそれぞれの椎骨
について、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨に関連する前記位置マーカーの初期の向き、及び、現在の向きを検出し、前記広域参照座標系において、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の少なくとも一方
の端板に平行である、
椎骨平面の初期の向きを測定するとともに、
-前記セグメント内の前記椎骨に対する幾何学変換であって、
前記セグメントのそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きと、前記関連する位置マーカーの前記初期の向きと、を相関させる幾何学変換を計算し、前記広域参照座標系において、前記
セグメント内の少なくとも1つの椎骨
について、前記セグメント内の前記少なくとも1つの前記椎骨平面の現在の向きを、前記関連する位置マーカーの現在
の向き、
及び、前記少なくとも1つの椎骨
に関連する前記幾何学変換から、計算する、
計算手段と、
少なくとも1組の少なくとも2つのセンサを備える器具を備え、各センサが
所定の深さまでの組織の種類を検出し、骨組織と椎間板組織とを区別
するように構成されており、
前記器具は、前記少なくとも2つのセンサによって形成された検出平面に垂直な方向ベクトルを前記ロケーションシステムに提供する位置マーカーが設けられており、
前記器具は、少なくとも2つの前記センサが椎間板組織を検出するように配置され、
前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きは、提供された前記方向ベクトルから測定される、
測定システム。
【請求項11】
前記器具は、少なくとも2つのセンサの第1セットと、少なくとも2つのセンサの第2セットと、を備え、
提供された
前記方向ベクトルは
、前記第1セット及び前記第2セットによりそれぞれ形成される
前記検出平面に垂直であり、前記器具
の前記セットは、2つの異なる組織を
前記セットがそれぞれ検出するように
位置決めされる、
請求項10に記載の
測定システム。
【請求項12】
前記表示部は、前記X線画像において、互いに平行であり、かつ、前記器具の不透明な前記ロッドを表す
前記線と平行である基準線のグリッドを表示
する、
請求項
3に記載の
測定システム。
【請求項13】
前記器具の前記部分の少なくとも1つの位置決めが、前記ロッドが前記ディテクタに接触するように為される、
請求項
3又は請求項
12に記載の
測定システム。
【請求項14】
脊柱の変位
の測定システムであって、前記脊柱が少なくとも1つの椎骨を備えるセグメントを有し、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨が上部椎骨端板及び下部椎骨端板により区切られる本体を有し、
-ロケーションシステムと、
-
関連付けられている前記セグメントのそれぞれの
前記椎骨に
取り付け可能であり、それぞれが前記ロケーションシステムの広域参照座標系における向きを提供することが可能である、位置マーカー
と、
を備え、
前記ロケーションシステム
は、前記広域参照座標系における前記セグメント内のそれぞれの椎骨
について、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨に関連する前記位置マーカーの初期の向き、及び、現在の向きを検出し、前記広域参照座標系において、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の少なくとも一方
の端板に平行である、
椎骨平面の初期の向きを測定するとともに、
-前記セグメント内の前記椎骨に対する幾何学変換であって、
前記セグメントのそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期
の向きと、前記関連する位置マーカーの前記初期の向きと、を相関させる幾何学変換を計算し、前記広域参照座標系において、前記
セグメント内の少なくとも1つの椎骨
について、前記セグメント内の前記少なくとも1つの前記椎骨平面の現在の向きを、前記関連する位置マーカーの現在
の向き、
及び、前記少なくとも1つの椎骨
に関連する前記幾何学変換から、計算する、
計算手段と、
X線に不透明な部分を有する器具と、前記セグメント内の前記椎骨と前記不透明な部分のX線画像を作成するX線エミッタ及びディテクタを
備えており、
前記不透明な部分
は、前記ディテクタ
上に可動的に
設置され、前記器具はさらに、前記不透明な部分の方向ベクトル及び前記ディテクタの平面
の方向ベクトルを
前記ロケーションシステムに提供する位置マーカーを備え、
前記X線エミッタ及び前記ディテクタ
は、前記セグメント内のそれぞれの椎骨の少なく とも1つの前記端板
が前記X線画像において線により表され
るように前記セグメントに垂直に位置決めされ、前記器具の前記不透明な部分
は、前記X線画像において
前記少なくとも1つの端板
を表す前記線に平行
な線として表されるように位置決めされ、前記椎骨平面内の前記初期の向きは、前記ディテクタ
の前記平面の前記初期の向き及び前記不透明な部分の方向ベクトル
から測定される、
測定システム。
【請求項15】
前記ロケーションシステムは、
前記セグメント内のそれぞれの椎骨
について前記少なくとも1つの端板を示す前記線の
向きと、前記ロッドを表す前記線の
向きを計算する処理ユニットを備え、
前記測定システムはさらに、
複数の前記線の前記
向きの間の角
度を計算する
手段を備える、
請求項
3に記載の
測定システム。
【請求項16】
前記表示部は、
複数の前記線の前記
向きの間の前記角度を表示する
、
請求項
15に記載の
測定システム。
【請求項17】
前記ロケーションシステムは、
前記セグメント内の
それぞれの椎骨
について前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面
の前記初期
の向きを、
複数の前記線の前記
向き間の前記角度
から直接的に測定する、処理ユニットを備える、
請求項
15に記載の
測定システム。
【請求項18】
前記器具の前記部分は、X線に対して不透明であり、前記セグメント
内の前記椎骨及び前記不透明な部分のX線画像を生成する、X線エミッタ及びディテクタ
と、前記セグメントの前記椎骨及び前記不透明な部分のX線画像を表示する、表示部と、を備え、
前記X線エミッタ及び前記ディテクタは、前記X線画像において前記セグメント内のそれぞれの椎骨の少なくとも1つの端板が線により表されるように前記セグメントと垂直に位置決めされ、前記器具の前記部分の少なくとも1つの位置決めは、前記X線画像において前記不透明な部分が線として表されるように、前記不透明な部分の位置決めをすることを含み、
前記ロケーションシステムは、前記セグメントのそれぞれの椎骨について、前記少なくとも1つの端板を表す前記線の向きを計算する処理ユニットを備え、前記線の向きは、前記不透明な部分を表し、
前記測定システムはさらに、複数の前記線の為す角度を計算する手段を備え、前記処理ユニットは、前記セグメント内のそれぞれの椎骨について複数の前記線の前記向きの為す角度から直接的に前記セグメント前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きを測定する、
請求項2に記載の測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脊柱の変位の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、患者の脊柱の曲率を評価するために放射線X線画像が使用されている。外科的手術の間、脊柱の湾曲は、自然変形、又は、外傷に起因するものを削減するように修正することが可能である。一般に、外科医は、外科手術の前に、前部、及び、側部の2つのX線写真を撮影し、歪みを測定し、外科手術後の2つのX線写真を用いて変形が減少していることを確認する。しかしながら、外科手術中において、外科医は視覚的に湾曲の矯正の評価を行うが、脊柱における椎骨の変位をリアルタイムで確認する手段を有していない。
【0003】
米国特許出願第2005/0096535号明細書には、膝の手術中に得られるデジタルマーカーの二次元画像を記録する方法であって、患者の2次元X線画像を、対象の位置、及び、向きを測定することができる手術ナビゲーションシステムのメモリに取り込むステップと、マーカーをデジタル化するステップと、デジタル化されたマーカーの助けを借りて脚の軸の位置を測定するステップと、軸の2次元画像を記録し、記録された画像を表示するステップと、インプラントを受け入れるための骨を整形するために、マーカーの助けを借りてナビゲーションシステムを使用することにより、切断テンプレートの位置を膝関節の内側に誘導するステップと、を含む方法が開示されている。
【0004】
さらに、このナビゲーションシステムは、脛骨の関心軸を測定するために、脛骨の中心、足首の内果部、及び、足首の外果部を通る平面を計算することができる。インポートされた患者の画像、及び、記録された軸の画像は、表示パネルの左側の隅に表示される。しかしながら、このナビゲーションシステムは、大腿骨表面へのアクセスを必要とするものであり、脊柱の表面へのアクセスが不可能な追完中手術の場合と必ずしも一致せず、脊柱内の椎骨の変位を測定するには適していない。
【0005】
米国特許出願第2013/0268007号明細書には、脊椎インプラント、特に、椎骨を連結するためのロッドの角度を測定する方法であって、測定面(矢状面)における角度を測定するように構成されたプローブを使用する方法が開示されている。プローブには、加速度計、及び、角度を測定するための磁気センサーを含むことが可能である。プローブは、インプラント状に配置され、インプラントの形状に適合するように構成された端部を有する。しかし、このシステムは、インプラントの角度を測定するものであり、椎体の変位を測定することはできない。故にリアルタイムに確認することができない。
【0006】
国際公開WO2003/073946号は、脊柱のバランスを制御する方法であって、脊椎の相対的な3次元位置を、X線写真上のデジタルな解剖学的観点から測定し、脊柱のセグメントの位置を測定し、椎骨が不均衡であるか否かを表示する方法が開示されている。各椎骨について、椎体を再現するために少なくとも4つの点が識別され、三角形を形成するために少なくとも3つの点が仙骨に対して識別される。次に、デジタル化された点がX線写真に組み込まれる。例えば、位置マーカーを備えてタッチプローブを使用し、椎骨の後弓の表面の害輪郭の仮想空間を再構築する。しかし、それは、脊柱手術のために十分に正確ではない2次元情報のみを提供する。さらに、リアルタイムでの椎体の変位を測定することは可能ではない。
【0007】
米国特許出願第2003/0130576号明細書は、器具の位置の指示と患者の画像とを含む画像を表示するための手術用撮像システムであって、手術中にナビゲーションのために両方の画像を表示するためのプロセッサを備えるシステムを開示している。このシステムは、蛍光透視鏡等のX戦争値と、プローブ等の手術器具に固定されたマーカーとを使用する。しかし、この文献は、X線写真上で器具をガイドするプロセスに関連し、他のものに対する骨の相対位置、又は、患者の椎体の変位を測定するものではない。
【0008】
国際公開WO2005/084131号は、傾斜計など物体の傾斜を測定するための装置を開示している。脊椎中の傾きは、各椎骨の棘突起を検出する電磁界プローブにより検出される。ハンドリングの原理は、一方の手で測定装置を保持し、それを患者の背中に対して垂直に維持することにある。まず、装置の半円形のアーチは、第7頸椎の脊椎プロセスの情報に配置される。次に、装置は、脊柱に沿って第1仙椎に移動する。プローブは、椎骨ごとに複数の画像を取得する。プローブに結合されたトラッカーを使用することも可能であり、プローブは、脊柱に沿って移動するトラッカーの位置、及び、傾きを測定する。さらに、本装置は、椎骨の傾斜角を識別して計算するために、3次元光学ナビゲーションシステムと協働するマーカーを備えていてもよい。しかしながら、測定装置は、脊柱の傾斜の測定を行うために、装置を脊柱に沿って移動しなくてはならず、脊柱の変形をリアルタイムで測定することができない。
【0009】
米国特許出願第2008/0208055号明細書は、骨折した骨の断片を整列させる方法を開示している。この方法は、位置マーカー、及び、各断片上に配置された位置マーカーを備えた超音波装置を使用する。この超音波装置は、骨片の円周上の特徴的な参照点を検出することを可能とする。この方法では、各マーカーの空間位置、及び/又は、向きが測定され、特定の基準に関して測定された位置から位置合わせが測定される。しかし、超音波イメージングのプロセスはあまり正確ではなく、解剖学的構造の特定のプロファイルを定義することができない。
【0010】
米国特許第6190320号明細書は、画像処理方法であって、超音波のために不透明である構造のデジタル超音波画像の、超音波診断装置に結合された超音波トランスデューサーの助けを借りた取得をし、構造のアウトラインを抽出する方法が開示されている。しかしながら、システムは、椎骨の輪郭を抽出するために、複雑な画像処理アルゴリズムを必要とする。さらに、高精度な術前画像の使用を必要とする超音波エコー検査画像により作られるため、その測定はあまり正確ではない。
【0011】
米国特許第6519319号明細書は、画像ディテクタ用のレチクルであって、平坦な透光部と、レチクルの中心を示す1対のマークであって、平坦部の表面に配置された第1マークと、平坦部の表面に配置された第2マークと、を備えたレチクルが開示されている。このレチクルは、ディテクタを患者の脊柱の椎間平面と位置合わせをすることを可能とする。さらに、レチクルは、外科器具のガイドをすることを可能とする。しかし、検出器上の特定のレチクルを使用し、手術道具を単一の平面内でガイドする必要があり、椎骨の全方向の変位を測定することは不可能である。
【0012】
米国特許出願第2011/0157230号明細書は、平坦なX線写真から互いに対して椎骨の相対的な位置、及び、寸法の尺度を測定するための手段を開示している。この方法は、椎体の代表的な角を測定することを可能とする。しかし、2次元、かつ、リアルタイムではない情報でああって、脊柱手術のために十分に正確ではない情報しか提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、上述の欠点を克服することであり、特に、脊柱の椎骨の変位を測定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1態様では、脊柱の変位を測定する方法が提案されており、この脊柱は、少なくとも1つの椎骨を含むセグメントを有し、セグメント内のそれぞれの椎骨は、上部椎骨端板及び下部椎骨端板に区切られた本体を有し、セグメント内のそれぞれの椎骨は、それぞれに関連した位置マーカーを有し、位置マーカーは、椎骨に取り付けられ、ロケーションシステムの広域参照座標系における位置マーカーの向きを提供する。
【0015】
この方法は、
-前記セグメントのそれぞれの椎骨について、
前記広域参照座標系における、前記セグメントの前記椎骨に関連する前記位置マーカーの初期の向きを検出するステップと、
前記広域参照座標系における、前記セグメントの前記椎骨の少なくとも1つの端板と平行な椎骨平面の初期の向きを測定するステップと、
前記セグメント内の前記椎骨に関連する幾何学的変換であって、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きと、関連する前記位置マーカーの前記初期の向きとを相関させる幾何学変換を計算するステップと、を備える初期ステップと、
-前記セグメント内の少なくとも1つの椎骨の変位の測定ステップであって、
前記広域参照座標系における、前記セグメント内の前記少なくとも1つの椎骨と関連する前記位置マーカーの現在の向きを検出するステップと、
前記広域参照座標系における、前記セグメント内の前記少なくとも1つの椎骨の前記椎骨平面の前記現在の向きを、関連する前記位置マーカーの前記現在の向きと、前記少なくとも1つの椎骨に関連する前記幾何学的変換と、から計算するステップと、を備える測定ステップと、
を備える。
【0016】
このように、我々は、検出された位置マーカーの変位及び測定された椎骨平面の方向から、脊柱の椎骨の変位をトラックすることができる。このようなトラッキング処理は、手術中の例のように、実時間で実行することが可能である。
【0017】
この方法は、前記初期ステップの後に、
-前記セグメント内の前記椎骨間の基準椎骨の選択ステップと、
-広域参照座標系において、少なくとも1つの基準面の初期の方向を検出するステップと、
-前記少なくとも1つの基準面の前記初期の方向と、前記基準椎骨に関連する前記位置マーカーの前記初期の方向とを相関させる前記少なくとも1つの基準面に関連した幾何学的変換を計算するステップと、
を備える識別ステップと、
さらに、前記測定ステップの後に、
-前記広域参照座標系において、前記基準椎骨に関連する前記位置マーカーの前記現在の向きと、前記少なくとも1つの基準面に関連する前記幾何学的変換と、から前記少なくとも1つの基準面の前記現在の向きを計算するステップと、
-前記セグメント内のそれぞれの椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面と、前記少なくとも1つの基準面と、の間の角度を計算するステップと、
-計算された前記角度を表示するステップと、
を備えていてもよい。
【0018】
前記方法は、前記測定ステップの後に、
-椎骨平面のそれぞれの現在の向きについて、前記椎骨平面の前記現在の向きと、もう1つの椎骨平面の前記現在の向きと、の間の角度を計算するステップと、
-計算された前記角度を表示するステップと、
を備えていてもよい。
【0019】
前記方法は、測定ステップの後にさらに、
-前記少なくとも1つの基準面内に、椎骨平面のそれぞれの現在の向きを投影するステップと、
-前記投影間の角度を計算するステップと、
-計算された前記角度を表示するステップと、
を備えていてもよい。
【0020】
さらに、前記端板の向きに関連する解剖学的情報を構成する前記椎骨平面間の角度を表示してもよい。この解剖学的情報は、その後、脊柱のバランスを補正するために使用することもできる。有利なことに、これらの値は実時間で、例えば、脊柱の外科処理中に表示することもできる。
【0021】
1実施形態によれば、前記方法は、前記ロケーションシステムに前記器具の部分の方向ベクトルを提供する位置マーカーを有する器具を備え、
-前記椎骨平面内に含まれる第1方向ベクトルを提供するために前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面内へ前記器具の前記部分を配置する、第1の位置決めステップと、
-前記椎骨平面内に含まれる第2方向ベクトルを提供するために前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面内へ前記器具の前記部分を配置する、第2の位置決めステップと、
-前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きを提供された前記第1ベクトル及び提供された前記第2ベクトルから測定するステップと、
を備える測定ステップを備える。
【0022】
前記器具の前記部分は、X線に対して不透明なロッドを備えていてもよく、前記方向ベクトルは、前記ロッドの長手方向の向きを測定し、前記方法は、前記セグメント内の前記椎骨及び前記ロッドのX線画像を生成するX線エミッタとディテクタを備え、
-前記セグメント内の前記椎骨及び前記ロッドのX線画像を表示するステップと、
-前記セグメント内の前記椎骨の少なくとも1つの端板が前記X線画像において線で表されるように、前記X線エミッタ及びディテクタを前記セグメントに垂直に位置決めするステップと、
-前記器具の前記部分のそれぞれの位置決めについて、前記不透明なロッドが前記X線画像において前記少なくとも1つの端板を表す前記線と平行な線として表されるように前記不透明なロッドを位置決めするステップと、
を備える測定ステップを備える。
【0023】
前記測定ステップは、
-前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面内に含まれる第1方向ベクトルを提供するために前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面へと前記器具の前記部分を位置決めする、第1の位置決めステップと、
-前記椎骨平面に垂直な平面に含まれる第2方向ベクトルを提供する前記垂直な平面へと前記器具の前記部分を位置決めする、第2の位置決めステップと、
-前記垂直な平面及び提供された前記第1方向ベクトルから前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きを測定するステップと、
を備えていてもよい。
【0024】
もう1つの実施形態においては、前記方法は、前記ロケーションシステムに方向ベクトルを提供する位置マーカーを備えた器具であって、前記器具の部分に垂直である器具を備えていてもよく、前記測定ステップは、
-前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面と垂直な方向ベクトルを提供するために、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面へと前記器具の前記部分を位置付けするステップと、
-提供された前記方向ベクトルから前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きを測定するステップと、
を備える。
【0025】
前記器具の前記部分はプレートであってもよい。
【0026】
前記プレートは、X線に対して不透明であってもよく、前記方法は、前記セグメント内の前記椎骨及び前記プレートのX線画像を生成するX線エミッタ及びディテクタを備え、測定ステップは、
-前記セグメント内の前記椎骨及び前記プレートのX線画像を表示するステップと、
-前記セグメント内の前記椎骨の少なくとも1つのプレートが前記X線画像において線で表されるように、前記X線エミッタ及び前記ディテクタが前記セグメントと垂直になるように位置決めするステップと、
-前記プレートがX線画像において前記少なくとも1つの端板を示す前記線と平行になるような線として表されるように前記プレートを位置決めするステップと、
備える。
【0027】
前記器具は、センサーであって、その各々が組織を検出し、骨組織と椎間板組織とを区別することが可能である少なくとも1つのセンサーを備えていてもよく、前記椎骨平面内の前記器具の前記部分の少なくとも1つの位置決めが、少なくとも1つの前記センサーが椎間板組織を検出するように実行される。
【0028】
前記器具はまた、少なくとも1組の少なくとも2つのセンサーであって、各センサーが組織を検出し、骨組織と椎間板組織とを区別することが可能であるセンサーの組を備え、前記器具は、前記ロケーションシステムに前記少なくとも2つのセンサーにより形成された検出平面に垂直な方向ベクトルを提供する位置マーカーを備え、前記測定ステップは、-前記少なくとも2つのセンサーが椎間板組織を検出するために前記器具の位置決めをするステップと、
-提供された前記方向ベクトルから前記セグメントの前記椎骨平面の前記書金お向きを測定するステップと、
を備える。
【0029】
さらに、前記器具は、少なくとも2つのセンサーの第1セットと、少なくとも2つのセンサーの第2セットと、を備えていてもよく、提供された前記方向ベクトルは、前記第1セット及び前記第2セットによりそれぞれ形成される前記検出平面に垂直であり、前記器具の前記セットは、異なる2つの組織を前記セットがそれぞれ検出するように位置決めされる。
【0030】
さらに、測定ステップは、X線画像における基準線のグリッドの表示を備えていてもよく、前記基準線は、相互に平行であり、かつ、前記器具の前記不透明なロッドにも平行である。特に、そのようなグリッドは、前記不透明なロッドの前記椎骨平面への位置決めを容易にすることを可能とする。
【0031】
前記器具の前記部分の少なくとも1つの位置決めは、前記ディテクタに対する前記ロッドの位置決めを備えていてもよい。
【0032】
さらにもう1つの実施形態によれば、前記方法は、X線に対して不透明な部分と、前記セグメント内の前記椎骨及び前記不透明な部分のX線画像を生成するX線エミッタ及びディテクタと、を備えていてもよく、前記不透明な部分は、ディテクタ上を可動に設置され、前記器具はさらに、ロケーションシステムに前記不透明な部分の方向ベクトルと、前記ディテクタの平面の方向とを提供する位置マーカーを備え、前記測定ステップは、
-前記X線画像における線として前記セグメント内の前記椎骨の少なくとも1つの端板が表されるように前記セグメントに対して、前記X線エミッタ及び前記ディテクタが垂直になるように位置決めするステップと、
-前記X線画像において前記不透明な部分が前記少なくとも1つの端板を表す前記線と平行な少なくとも1つの線として表されるように前記器具の前記不透明な部分の位置決めをするステップと、を備え、
-前記ディテクタの前記平面の前記向きと前記不透明な部分の前記方向ベクトルとから、前記椎骨平面の前記初期の向きが測定される
測定ステップである。
【0033】
さらに、測定ステップは、前記少なくとも1つのプレートを表す前記線の向きと、前記ロッドを表す前記線の向きと、前記線の前記向き間の為す角度と、を計算する画像処理操作ステップを備えていてもよい。
【0034】
前記方法はさらに、複数の前記線の前記向きの為す角度を表示するステップを備えていてもよい。
【0035】
前記セグメントの前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きは、複数の前記線の前記向き間の為す角度から修正されるものであってもよい。
【0036】
もう1つの実施形態においては、前記器具の前記部分は、X線に対して不透明であり、前記方法は、前記セグメントの前記椎骨及び前記不透明な部分のX線画像を生成するX線エミッタ及びディテクタを備え、前記測定ステップは、
-前記セグメント内の前記椎骨及び前記不透明な部分のX線画像を表示するステップと、-前記X線画像において前記セグメント内の前記椎骨の少なくとも1つの端板が線として表されるように、前記ディテクタの前記X線エミッタを前記セグメントと垂直になるように位置決めするステップと、
-前記器具の前記部分の少なくとも1つの位置決めステップであって、前記不透明な部分が前記X線画像において線として表されるように前記不透明な部分の位置決めを備える位置決めステップと、
-前記少なくとも1つの端板を示す前記線の向きと、前記不透明な部分を表す前記線の向きと、複数の前記線の前記向き間が為す角度を計算する画像処理操作ステップと、
-計算された前記角度から前記椎骨平面の前記初期の向きを修正するステップと、
を備える。
【0037】
もう1つの本発明の形態は、脊柱の変位の測定システムであり、前記脊柱が少なくとも1つの椎骨を備えるセグメントを有し、前記セグメント内のそれぞれの椎骨が上部椎骨端板と下部椎骨端板とにより区別される本体を有する、測定するシステムであって、
-ロケーションシステムと、
-位置マーカーであって、それらが関連づけられている前記セグメント内の前記椎骨上にそれぞれ取り付けられ、それぞれが前記ロケーションシステムの広域参照座標系における当該位置マーカーの向きを提供する位置マーカーと、を備え、
-前記ロケーションシステムは、前記広域参照座標系において、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨に関連する前記位置マーカーの初期の向き、及び、現在の向きを検出し、前記広域参照座標系内において、前記セグメント内のそれぞれの前記椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の少なくとも1つの端板と平行である椎骨平面の初期の向きを測定するとともに、
-前記セグメント内の前記椎骨に関連する幾何学的変換であり、前記セグメントの各椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きと、前記関連する位置マーカーの前記初期の向きと、を相関させる幾何学的変換を計算し、前記広域参照座標系内において、前記セグメント内の少なくとも1つの椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨に関連する位置マーカーの前記現在の向き、及び、前記少なくとも1つの椎骨に関連する前記幾何学変換から前記セグメント内の前記少なくとも1つの椎骨の前記椎骨平面の現在の向きを計算する、計算手段をさらに備える測定システムを提案する。
【0038】
前記測定システムは、
-前記セグメント内の前記椎骨の中から基準椎骨を選択し、
-前記広域参照座標系内において、少なくとも1つの基準面の初期の向きを測定し、
-前記少なくとも1つの基準面に関連した幾何学的変換であって、前記少なくとも1つの基準面の前記初期の向きと、前記基準椎骨に関連する前記位置マーカーの前記初期の向きの相関させる、幾何学的変換を計算し、
-前記広域参照座標系において、前記少なくとも1つの基準面の現在の向きを、前記基準椎骨と関連する前記位置マーカーの前記現在の向き、及び、前記少なくとも1つの基準面に関連する幾何学的変換から計算する、識別手段を備えていてもよく、
-前記ロケーションシステムは、前記セグメントなのそれぞれの椎骨について、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面と、前記少なくとも1つの基準面との間の角度を計算する、処理ユニットを備え、
-前記計算された角度を表示する表示部
を備える。
【0039】
前記ロケーションシステムは、椎骨平面のそれぞれの現在の向きについて、前記椎骨平面の前記現在の向きと、別の椎骨平面の前記現在の向きと、の間の角度を計算する処理ユニットを備えていてもよく、前記測定システムは、前記計算された角度を表示する表示部を備える。
【0040】
前記測定システムは、
-前記セグメント内の前記椎骨の中から基準椎骨を選択し、
-前記広域参照座標系において、少なくとも1つの基準面の初期の向きを測定し、
-前記少なくとも1つの基準面の現在の向きを、前記基準椎骨に関連する前記位置マーカーの前記現在の向き、及び、前記少なくとも1つの基準面に関連する前記幾何学変換から計算し、
-前記広域参照座標形において、前記少なくとも1つの基準面の現在の向きを、前記基準椎骨に関連する前記位置マーカーの前記現在の向き、及び、前記少なくとも1つの基準面に関連する前記幾何学変換から計算し、
-前記少なくとも1つの基準面内へ、椎骨平面の現在の向きをそれぞれ投影する、識別手段を備え、
-前記ロケーションシステムは、前記投影された現在の向き間の為す角度を計算する、処理ユニットを備え、
-計算された角度を表示する、表示部を備える、
識別手段を備えていてもよい。
【0041】
前記測定システムは、位置マーカーを有する器具であって、前記ロケーションシステムに当該器具の部分の方向ベクトルを提供する、器具を備えていてもよく、前記ロケーションシステムは、ローカライザであって、前記セグメントのそれぞれの椎骨について、
-前記椎骨平面内の前記器具の前記部分の第1の位置決めにより提供される前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面内に含まれる第1方向ベクトルと、
-前記椎骨平面内の前記器具の前記部分の第2の位置決めにより提供される前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面内に含まれる第2方向ベクトルと、
-提供された前記第1ベクトル及び提供された前記第2ベクトルにより測定される、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きと、
を受信するローカライザを備える。
【0042】
前記器具の前記部分は、X線に対して不透明なロッドを備えていてもよく、前記方向ベクトルは、前記ロッドの長手方向に対応し、前記測定システムは、前記セグメント内の前記椎骨及び前記ロッドのX線画像を生成するためのX線エミッタ及びディテクタと、前記セグメント内の前記椎骨及び前記ロッドの画像を表示するための表示部と、を備え、前記X線エミッタと前記ディテクタは、前記セグメントと垂直に配置されて前記セグメント内の各椎骨の少なくとも1つの端板がX線画像において線として表され、前記器具の前記部分のそれぞれの位置決めのために、前記不透明なロッドは、前記X線画像において少なくとも1つの前記端板を表す前記線に平行な線として表されるように位置付けされる。
【0043】
測定システムは、器具であって、当該器具の部分の方向ベクトルを前記ロケーションシステムへ提供する位置マーカーを備えた器具を備えていてもよく、前記ロケーションシステムは、前記セグメント内のそれぞれの椎骨について、
-前記椎骨平面内の前記器具の前記器具の前記部分の第1の位置決めにより提供される、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面内に含まれる、第1方向ベクトルと、
-前記垂直な平面内の前記器具の前記部分の第2の位置決めにより提供される、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面内に含まれる、第2方向ベクトルと、
-前記垂直な平面及び提供された前記第1の方向ベクトルから測定される、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きと、
を受信するローカライザを備える。
【0044】
前記測定システムは、前記ロケーションシステムに、器具であって、当該器具の部分に垂直な方向ベクトルを提供する位置マーカーを備えた器具を備えてもよく、前記ロケーションシステムは、前記セグメント内の各椎骨について、
-前記椎骨平面内の前記器具の前記部分の位置決めにより提供される、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面に垂直な方向ベクトルと、
-前記提供された方向ベクトルから測定される前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きと、
を受信するローカライザを備える。
【0045】
前記器具の前記部分は、X線に対して不透明なプレートであってもよく、前記測定システムは、前記セグメント内の前記椎骨及び前記プレートのX線画像を生成するX線エミッタ及びディテクタと、前記セグメント内の前記椎骨及び前記プレートのX線画像を表示する表示部と、を備え、前記セグメント内のそれぞれの椎骨の少なくとも1つの端板が前記X線画像において線で表されるように前記X線エミッタ及び前記ディテクタが前記セグメントに垂直に配置され、前記X線画像において前記少なくとも1つの端板を表す前記線と平行な線として前記プレートが表されるように前記プレートが配置される。
【0046】
前記器具は、少なくとも1つのセンサーを備えていてもよく、各センサーは、組織を検出し、骨組織と椎間板組織とを区別することが可能であり、前記椎骨平面内の前記器具の前記部分の少なくとも1つの位置決めが、少なくとも1つの前記センサーが椎間板組織を検出するように実行される。
【0047】
前記器具は、少なくとも1つのセンサーを備えていてもよく、各センサーは、組織を検出し、骨組織と椎間板組織とを区別することが可能であり、前記椎骨平面内の前記器具の前記部分の位置決めが、少なくとも1つの前記センサーが椎間板組織を検出するように実行される。
【0048】
前記測定システムは、少なくとも1組の少なくとも2つのセンサーを備える器具を備えていてもよく、各センサーが所定の深さまでの組織の種類を検出し、骨組織と椎間板組織とを区別するように構成されており、前記器具は、少なくとも2つの前記センサーによって形成された検出平面に垂直な方向ベクトルを前記ロケーションシステムに提供する位置マーカーが設けられ、前記器具は、少なくとも2つの前記センサーが椎間板組織を検出するように配置され、前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きは、提供された前記方向ベクトルから測定される。
【0049】
前記器具は、少なくとも2つのセンサーの第1セットと、少なくとも2つのセンサーの第2セットと、を備えていてもよく、提供された前記方向ベクトルは、前記第1セット及び前記第2セットによりそれぞれ形成された前記検出平面に垂直であり、前記器具の前記セットは、異なる2つの組織を前記セットがそれぞれ検出するように位置決めされる。
【0050】
前記表示部が、前記X線画像において、互いに平行であり、かつ、前記器具の不透明な前記ロッドを表す前記線と平行である基準線のグリッドを表示してもよい。
【0051】
前記器具の前記部分の少なくとも1つの位置決めが、前記ロッドが前記ディテクタに接触するように為されてもよい。
【0052】
前記測定システムは、X線に不透明な部分を有する器具と、前記セグメントにおける前記椎骨と前記不透明な部分のX線画像を生成するX線エミッタ及びディテクタを備えていてもよく、前記不透明な部分は、前記ディテクタ上に可動的に設置され、前記器具は、さらに前記不透明な部分の方向ベクトル及び前記ディテクタの平面の方向ベクトルを前記特定のシステムに提供する位置マーカーを備え、前記X線エミッタ及び前記ディテクタは、前記セグメント内のそれぞれの椎骨の少なくとも1つの端板が前記X線画像において線により表されるように前記セグメントに垂直に位置決めされ、前記器具の前記不透明な部分は、前記X線画像において前記少なくとも1つの端板を表す前記線に平行な線として表されるように位置決めされ、前記椎骨平面内の前記初期の向きは、前記ディテクタの前記平面の前記初期の向き及び前記不透明な部分の前記方向ベクトルから測定される。
【0053】
前記ロケーションシステムは、前記セグメント内のそれぞれの椎骨について前記少なくとも1つの端板を表す前記線の向きと、前記ロッドを表す前記線の向きを計算する処理ユニットを備えていてもよく、前記測定システムはさらに、複数の前記線の前記向きの間の角度を計算する手段を備える。
【0054】
前記表示部は、複数の前記線の前記向きの間の前記角度を表示してもよい。
【0055】
前記ロケーションシステムは、前記セグメント内のそれぞれの椎骨について前記セグメント内の前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きを、複数の前記線の前記向き間の前記角度から直接的に測定する処理ユニットを備えていてもよい。
【0056】
前記器具の前記部分は、X線に対して不透明であってもよく、前記セグメント内の前記椎骨及び前記不透明な部分のX線画像を生成する、X線エミッタ及びディテクタと、前記セグメントの前記椎骨及び前記不透明な部分のX線画像を表示する、表示部と、を備え、前記X線エミッタ及び前記ディテクタは、前記X線画像において前記セグメント内のそれぞれの椎骨の少なくとも1つの端板が線により表されるように前記セグメントと垂直に位置決めされ、前記器具の前記部分の少なくとも1つの位置決めは、前記X線画像において前記不透明な部分が線として表されるように、前記不透明な部分の位置決めをすることを含み、前記ロケーションシステムは、前記セグメントのそれぞれの椎骨について、前記少なくとも1つの端板を表す前記線の向きを計算する処理ユニットを備え、前記線の向きは、前記不透明な部分を表し、前記測定システムはさらに、複数の前記線の為す角度を計算する手段を備え、前記処理ユニットは、前記セグメント内のそれぞれの椎骨について複数の前記線の前記向きの為す角度から直接的に前記セグメントの前記椎骨の前記椎骨平面の前記初期の向きを測定する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
その他の有利な点や特徴は、以下に記載する個々の実施形態により、さらに明確にされ、本発明の実施形態は、拘束されない一例として与えられるものであり、以下の添付された図面により表される。
【
図1】本発明による脊柱の変位を測定するための方法の主なステップを模式的に示す図。
【
図2】本発明による脊柱の変位を測定するための方法の主なステップを模式的に示す図。
【
図3】第1実施形態に係る測定方法を模式的に示す図。
【
図4】第1実施形態の変形例に係る測定方法を模式的に示す図。
【
図5】一実施形態に係る器具の位置決めのガイド手段を模式的に示す図。
【
図6】第2実施形態に係る測定方法を模式的に示す図。
【
図7】第2実施形態の変形例に係る測定方法を模式的に示す図。
【
図8】第2実施形態の変形例に係る測定方法を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1及び
図2は、脊柱1の変位を測定するための方法の主なステップを示す。脊柱1は、いくつかの椎骨V1~V5を備える。特に、この方法は、少なくとも1つの脊椎端板を含む椎骨の変位をトラックすることからなる。次に、少なくとも1つの椎骨V2~V4を含む脊柱1のセグメント2が選択され、このセグメントの各椎骨は上部端板PSと下部端板PIによって区切られた本体A1~A5を備える。セグメント内の椎骨の変位をトラックするために、椎骨平面P2~P4が、セグメント内の各椎骨、すなわち、セグメント内の椎骨に関連する平面に対して特定される。セグメント2内の椎骨の椎骨平面は、セグメント2内の当該椎骨の少なくとも1つの端板、例えば、上部端板PSと平行な平面である。セグメント2内の椎骨の椎骨端板PS、PIは、当該椎骨の本体A2~A4の側面に対応する。セグメント内の椎骨に関連する椎骨平面は、セグメント内の椎骨の変位を測定するために使用される仮想平面に対応する。
図1は、5つの連続する椎骨V1~V5を含む脊柱1の区間を模式的に示している。セグメント2は、特に、手術中に変位がトラックされるべき椎骨に対応する3つの連続する椎骨V2~V4を含む。椎骨のセグメント2は、単一の椎骨V2、又は、複数の椎骨V2~V4を連続的に備えていてもよいし、仙骨のように連続していなくてもよい。例えば、セグメント2は、脊柱の下部に位置する単一の腰椎を備えていてもよい。あるいは、セグメント2は、脊柱の上部に位置する頚椎と、脊柱の中間部に位置する胸椎とを備える。もう1つの例では、セグメント2は、5つの連続する胸椎を備えるようにしてもよい。
【0059】
さらに、セグメント2の各椎骨V2~V4は、椎骨V2~V4に取り付けられた関連位置マーカーM2~M4を備える。換言すると、各マーカーM2~M4は、それに関連する椎骨V2~V4に機械的に接続されている。セグメント2内の椎骨が変位すると、関連する位置マーカーも変位する。マーカーM2~M4は、セグメント2内の椎骨、例えば、椎体A2~A4上に直接接続してもよい。好ましくは、ねじ3~5がセグメント2の椎骨に取り付けられ、連結部材6、7がねじ3~5を互いに連結するようにしてもよい。ねじ3~5、及び、連結部材6、7は、脊柱1の湾曲、ひいては、セグメント2の椎骨V2~V4の位置、及び、向きを修正するために使用される。マーカーM2~M4は、
図1に示すように、ねじ3~5にも取り付けてもよい。これらは、ねじ3~5にしっかりと取り付けられていると、連結部材6、7にも取り付けることができる。椎骨平面P2~P4を測定することが望まれるセグメント内の各椎骨には、関連づけられた位置マーカーM2~M4が実装されており、これらの椎骨は、器具付椎骨とも呼ばれる。
【0060】
一般に、この方法は、セグメント内の各椎骨について、関連づけられた位置マーカーに対する椎骨の椎骨平面の初期の向きを測定する、初期ステップS1と、それに続いて、位置マーカーの変位をトラックすることにより、セグメント内の椎骨の変位、特に、セグメント内の少なくとも1つの椎骨の変位を測定する、ステップS2と、を備える。「平面の向き」は、平面に垂直なベクトルを意味する。同様に、「位置マーカーの向き」は、マーカーに関連する回転変換を意味する。脊柱の変位を測定するために、対象物の空間的位置、及び、向きを測定するロケーションシステム8が使用される。さらに、少なくとも1つの位置マーカー10を備える器具9が、器具11の一部の向きをロケーションシステム8に供給するために使用される。より詳しくは、位置マーカーM2~M4、及び、10の各々は、少なくとも3つの位置センサーを備える。ロケーションシステム8は、セグメント内の椎骨に関連する各位置マーカーM2~M4、及び、器具9の位置マーカー10により供給される位置、及び、方向を検出することができる。ロケーションシステム8は、例えば、光、又は、磁気ローカライザであり、位置マーカーM2、M4、及び、器具9の位置マーカー10により提供される情報を有線又は無線による接続13を介して受信するローカライザ12を備える。ローカライザ12は、椎骨に関連する各位置マーカーM2~M4の位置、及び、向き、並びに、器具9の位置マーカー10の位置、及び、向きを実時間でトラッキングすることができる。換言すると、セグメント2内の椎骨に関連する各位置マーカーM1~M3、及び、器具9の位置マーカーは、ロケーションシステム8の広域参照座標系における少なくとも1つの位置マーカーの向きを提供する。すなわち、ロケーションシステム8は、位置マーカーM2~M3、10の向きの全ての測定をするために、広域参照座標系として使用される。例えば、ロケーションシステム8は、光学カメラであってもよく、位置マーカーM2~M4、10は、カメラによって特定されるように適合された特定の色、又は、形状を有する反射物、又は、マークである。位置マーカーM2~M4、及び、10はまた、カメラによりローカライズ可能なLED(Light Emitting Diode)を備えていてもよい。
【0061】
一般に、初期ステップS1は、セグメント2の各椎骨V2~V4に対して、
-広域参照座標系内におけるセグメント2内の椎骨に関連する位置マーカーM2~M4の初期の向きを検出するステップS11と、
-広域参照座標系内におけるセグメント2内の椎骨の少なくとも1つの端板と平行な椎骨平面P2~P4の初期の向きを測定するステップS12と、
-セグメント内の椎骨に関連する幾何学的変換であって、セグメント内の椎骨の椎骨平面の初期の向きと、それに関連する位置マーカーの初期の向きとを相関させる幾何学変換の演算ステップS13と、を備える。
【0062】
椎骨に関する幾何学的変換は、椎骨の椎骨平面の向きを、関連づけられた位置マーカーの椎骨の向きとリンクさせるために使用される。幾何学的変換には、回転、及び、並進変換を備える。換言すると、幾何学的変換は、関連する位置マーカーの向きに対する椎骨平面の相対的な向きを計算するために使用される。椎骨が回転、及び/又は、平行移動によって変位された時、関連する位置マーカーは、同じ変位を実行する。続いて、関連する椎骨の変位に起因する位置マーカーM2~M4の新しい向きが検出され(ステップS21)、椎骨の椎骨平面の新しい向きO2~O4が、演算された幾何学的変換、及び、位置マーカーの新たな向きから計算される(ステップS22)。位置マーカーM2~M4、及び、椎骨平面P2~P4の新しい向きは、現在の向きとも呼ばれる。測定ステップの計算ステップS22は、経時的に器具付の椎骨の椎骨平面の向きO2~O4をトラッキングするために使用される。
【0063】
さらに、この方法は、初期ステップS1の後に、1又は複数の基準面が識別される識別ステップS3を備えていてもよく、椎骨平面の現在の向きと、少なくとも1つの識別された基準面の現在の向きとの間のそれぞれの角度が計算される。椎骨平面の現在の向きは、各基準面内に投影してもよい。次に、各基準面において、得られた投影間の角度が求められる。特に、椎骨平面の角度は、別の椎骨平面に対して測定することができ、又は、各椎骨平面と椎骨基準面、例えば、仙骨に関連する椎骨平面との為す角度を測定することができる。「2つの平面の間の角度」は、それぞれの平面に垂直な2つのベクトルの間の角度を意味する。椎骨平面間の角度はまた、セグメント内の椎骨の椎骨端板間の角度に対応する。椎骨平面間の角度の計算は、特に、椎骨の端板間の角度を与える。さらに、解剖学的関心を有する各基準面において得られた投影の現在の向き同士の間の角度は、実時間で表示することが可能である。
【0064】
識別ステップS3は、
-セグメント内の椎骨間の基準椎骨を選択するステップと、
-広域参照座標系内における、少なくとも1つの基準面の初期の向きを測定するステップと、
-前記少なくとも1つの基準面に関連する幾何学的変換を計算するステップであって、前記少なくとも1つの基準面の初期の向きと、基準椎骨に関連する位置マーカーの初期の向きとを相関させるステップとを備え、この方法は、さらに、測定ステップの後に、
-広域参照座標系において、前記少なくとも1つの基準面の現在の向きを、基準椎骨に関連する位置マーカーの現在の向き、及び、前記少なくとも1つの基準面に関連する幾何学的変換から計算するステップと、
-セグメントの各椎骨に対して、セグメント内の椎骨の椎骨平面と、前記少なくとも1つの基準面との間の角度を計算するステップと、
-計算された角度を表示するステップと、を備える。
【0065】
特に、ロケーションシステム8は、処理ユニット14を備えていてもよく、この処理ユニット14は、例えば、椎骨平面と各基準面との間の角度、及び、椎骨平面間の角度、又は、椎骨平面の現在の向きの投影間の角度を計算する。ロケーションシステム8は、椎骨平面P2~P4の向きO2~O4を表示するための表示パネル15に接続されていてもよい。
【0066】
椎骨平面の初期の向きを測定するために、いくつかの実施形態を実施することができる。第1実施形態においては、
図3及び
図4に示すように、器具9が使用され、器具9は、器具の部分11の方向ベクトルをロケーションシステム8に提供する位置マーカー10を備えている。例えば、器具9は、ナビゲーションポインタであり、器具の部分はロッドである。ナビゲーションポインタ9は、脊柱の特定の解剖学的ポイントの位置を特定することを可能にし、特に、ロッド11についての方向ベクトルをロケーションシステム8に提供するために、ロッドの向きは、器具の製造中に定められるか、又は、位置マーカー10の位置センサーの位置、及び、向きに関連するキャリブレーションによって定められる。
セグメント内の椎骨の椎骨平面の向きを測定するために、ロッド11は、セグメント内の椎骨平面P4内の第1位置20に配置される。次に、例えば、器具9からトリガーされたロッド11の方向ベクトルが取得され、ロケーションシステム8に椎骨平面P4に含まれる第1向きが与えられる。次に、ロッド11はまた、椎骨平面P4内の第2位置21に移動され、第2の取得が、椎骨平面P4に第2方向ベクトルを提供するようにトリガーされる。次に、ロケーションシステム8、特に、処理ユニット14は、ナビゲーションポインタ9によって提供される両方の方向ベクトルから椎骨平面の初期の向きを測定する。
図3は、第1実施形態の一例を示す。この例では、ロッド11は、器具付椎骨V4の本体に当接して配置されるので、ロッド11は椎骨平面内に配置される。ロッド11を椎骨V4の端板PI、PSのうち1つと平行に配置することにより、第1位置20の位置決めを視覚的に行うことを可能とする。ロッド11の位置決めは、後述するガイド手段を用いて改善することも可能である。次に、ロッド11は、例えば、椎骨V4に当接するロッドの端部の接触を維持しながら、椎骨平面P4内の第2位置21に旋回され、第2の取得は、椎骨平面P4に第2の方向ベクトルをロケーションシステム8に提供するようにトリガーされる。ローカライザ12が2つの方向ベクトルを受信すると、それらは、処理ユニット14に送信され、処理ユニット14は、提供された2つの方向ベクトルから器具付椎骨V4の椎骨平面の初期の向きを測定する。特に、処理ユニット14は、椎骨平面P4の初期の向きに対応して、提供される2つのベクトルに垂直なベクトルを測定する。例えば、オペレータによりロッド11が脊柱1に接近し、ロッド11の端部が器具付椎骨に接触すると、ナビゲーションポインタ9の位置マーカー10は、ロッド11の向きに関する情報データをローカライザ12へと送信する。さらに、ロッド11の端部は、椎骨の骨、ねじ3~5、連結部材6、7、又は、器具付椎骨V4に関連する位置マーカーと直接接続することが可能である。この接触はまた、椎骨が位置する点で皮膚と間接的に経皮接触することも可能である。ナビゲーションポインタ9のロッド11の向きの取得は、ロッド11が少なくとも1つの椎骨端板と平行となるようにすることで、接触することなく行うこともできる。
【0067】
さらに、ナビゲーションポインタ9を使用し、識別ステップS3中に、矢状面、正面、及び、軸方向の基準面の向きを測定することができる。
【0068】
あるいは、椎骨平面の向きの測定は、椎骨平面の測定をすることを備えることもでき、次に、椎骨平面に垂直なベクトルの測定をすることを備えることもできる。この法線ベクトルは、椎骨平面の向きに対応する。椎骨平面の測定は、椎骨平面内の点の位置の取得及び椎骨平面内のベクトルの向きの取得、椎骨平面内の3点の位置の取得、又は、上述したように、椎骨平面内における2ベクトルの方向の取得を備えることができる。
【0069】
椎骨平面内におけるロッド11の位置決めを改善するために、X線イメージャを使用することができ、このX線イメージャは、X線(RX指定)エミッタ17と、放出されたX線のためのディテクタ18とを備える。この場合、ナビゲーションポインタ9のロッド11は、X線に関して不透明である。さらに、位置マーカー10により提供される方向ベクトルは、ロッド11の長手方向に対応する。エミッタ17及びレシーバ18は、セグメント内の椎骨、及び、不透明なロッド11のX線画像を生成するために使用される。セグメント2内の各椎骨を測定するステップは、
-セグメント内の椎骨V2~V4、及び、不透明なロッド11を表示パネル15へと表示するステップと、
-X線エミッタ17及びディテクタ18が、セグメント内の椎骨の少なくとも1つの端板PI、PSがX線画像内の線19によって表されるように、セグメント2と垂直となるように位置決めをするステップと、
-器具の部分の各位置決めのステップのために、X線画像内において、不透明なロッド11が少なくとも1つの端板を表す線19と平行に表されるように配置するステップと、を備える。
【0070】
線19は、少なくとも1つの端板を表すとともにガイド線としても指定され、椎骨平面内において器具のロッドの位置決めを容易にするためのガイド手段として使用される。
【0071】
エミッタ17とディテクタ18が垂直位置、いわゆる、脊柱のセグメント2に対して垂直な位置に配置されると、線19が画像内に現れる。この垂直位置において、画像内の椎骨の少なくとも1つの端板は、線19として表される。この線19は、仮想である。具体的には、器具付椎体の2次元画像が表示され、器具付椎骨V2~V4の少なくとも1つの端板PS、PIが、ガイド線19に対応するほぼ直線状の曲線として表示される。実際に、エミッタ及びディテクタがセグメントに対して垂直に向けられていない場合、器具付椎骨の端板は、面として画像に現れ、一般に直線的な曲線としては現れず、画像内に脊椎の端板を線の形で配置することはできない。
【0072】
器具の部分を位置決めするステップの間、ナビゲーションポインタ9のロッド11は、第1位置20の器具付椎骨V4上に配置され、ロッド11の位置は、表示パネル15上に表示される。オペレータは、表示パネル15上において、ナビゲーションポインタ9のロッドがガイド線19と平行な線22として現れるように、ロッド11の位置を調整する。
第1位置20においては、ロッド11の第1の向きが検出される。次に、オペレータは、表示パネル15上において、ナビゲーションポインタのロッドがガイド線19と平行な線、図において点線として表されている線23として現れるように、第2位置21へとナビゲーションポインタ9のロッド11を移動させる。この結果、画像内のガイド線19を配置することを可能とするイメージャ16は、ロッドが器具付椎骨V4の椎骨平面P4内に位置するように、ナビゲーションポインタ9のロッド11が異なる位置へガイドされることを可能とする。特に、脊柱のセグメント2の画像の表示は、椎骨平面の初期の向きの測定ステップS12の間に実行される。エミッタ17及びディテクタ18を備えるイメージャ16は、端板に対する器具9の位置を制御することを可能とする。この結果、オペレータは、ガイド線19に対して器具の位置を修正することができる。
【0073】
図4は、第1実施形態の2つの変形例を示す図である。第1変形例では、ナビゲーションポインタ9の不透明ロッド11の第1の位置決めは、不透明ロッドの検出器16に対する位置決めを備える。この結果、ロッド11の向きを取得する際に、ロッド11を椎骨平面に保持しておくことが容易になる。実際、ナビゲーションポインタを操作するオペレータは、ディテクタ18をサポートとして使用することができる。次に、オペレータは、ディテクタをサポートとして使用する、すなわち、ロッド11の端部とディテクタ18との接触を保持することにより、ロッド11を回転させ、ロケーションシステム8に第2の向きを提供するために、ロッド11を第2の位置、すなわち、椎骨平面P4へと移動させる。この第1変形例においては、ナビゲーションポインタを器具付椎体上に配置する必要が無い。
【0074】
第2変形例では、測定ステップは、
-前記椎骨平面内に第1の方向ベクトルを提供するために、セグメント内の椎骨の椎骨平面内における器具9の部分11の第1の位置決めをするステップと、
-垂直平面内の第2の方向ベクトルを提供するために、前記椎骨平面に垂直な平面内における器具9の部分11の第2の位置決めをするステップと、
-セグメント内の椎骨の椎骨平面の初期の向きが、提供される垂直平面及び第1の方向ベクトルから測定されるステップと、を備える。
【0075】
この第2変形例によれば、第2の位置決めの間、ロッド11は、第1位置とは異なる第2位置24、特に、ロッド11の第1の向きと整列していない位置にディテクタ18に対して配置される。この場合、提供される2つの向きは、ディテクタが最初に、椎骨平面に垂直な平面内に配置されるため、椎骨平面に垂直な平面内にある。特に、提供された2つのベクトルにより形成される平面に対して垂直な平面であり、かつ、提供された第1の方向ベクトルを含む平面に対して垂直なベクトルに、椎骨平面の初期の向きは、対応する。
【0076】
図5は、ナビゲーションポインタ9の不透明ロッド11の位置決めをガイドする別の手段を示している。この手段は、互いに平行な基準線のグリッド25を備える。グリッド25は、処理ユニット14により計算され、基準線が不透明ロッド11と平行になるようにX線画像に表示される。オペレータが不透明ロッド11の方向を変更すると、処理ユニット14は、表示パネル15上の基準線の方向もまた変更する。
【0077】
器具9の位置決めをガイドするために別の手段を使用してもよい。この別の手段は、あるタイプの組織に対する少なくとも1つの検出センサーである。各検出センサーは、器具9に含まれ、骨組織と椎骨組織とを検出し、区別するように較正されている。特に、骨組織は、椎体の骨組織に対応し、椎間組織は、脊柱の2つの連続した椎骨の間の特定の組織に対応する。測定ステップS12においては、器具9の部分11は、器具9のセンサーが椎間組織、より具体的には器具付椎骨の端板に対する椎間組織を検出するように椎骨平面内に配置される。検出センサーは、器具9の位置決めの精度を向上させるために操作をガイドすることを可能とする。実際、検出センサーが椎間組織を検出する限り、器具9、特に、部分11は、一般に、椎骨平面内に配置される。あるいは、器具の位置決めは、器具に少なくとも2つの検出センサーを実装することによって特定することもできる。この変形例においては、第1センサーが椎間組織を検出し、第2センサーが骨組織を検出する場合、器具の部分11は、より高い精度で椎骨平面内に配置される。実際、器具の部分が椎骨平面の外側にあると、すなわち、椎骨端板に対して傾斜していると、双方の検出センサーは、骨組織を検出する。
【0078】
図6及び
図7は、この方法の第2実施形態の2つの例を示す。この第2実施形態においては、器具9の位置マーカー10は、ロケーションシステム8に、器具の一部に垂直な方向ベクトルを提供する。さらに、測定ステップS12は、
-セグメント内の椎骨の椎骨平面に垂直な方向ベクトルを提供するために、セグメント内の椎骨の椎骨平面内へ、器具9の部分11を位置決めするステップと、
-セグメント内の椎骨の椎骨平面の初期の向きを、提供された方向ベクトルから測定するステップと、を備える。
【0079】
したがって、椎骨平面の初期の向きは、器具9の位置マーカー10によって提供される方向ベクトルに対応することから、直接的に得られる。次に、この方法を単純化する椎骨平面の向きを得るために、器具の単体の位置決めが実行され得る。
【0080】
図6は、器具9がプレート31を備える第2実施形態の第1例を示す。器具9の位置マーカー10は、プレート31の平面に垂直な方向ベクトルを提供する。測定ステップS12は、セグメント内の椎骨の椎骨平面内へプレート31を位置決めするステップを備える。さらに、器具付椎骨の椎骨平面内へプレート31を視覚的に位置決めするために、オペレータをガイドすることができる。
図6は、単純化のために、シート平面内、すなわち、セグメント内の椎骨の椎骨平面に垂直な平面内のプレート31を示す。プレート31を位置決めする際に、オペレータは、プレート31をセグメント2の椎骨V2~V4の少なくとも1つの端板と平行な平面内に、すなわち、椎骨V2~V4の椎骨平面内に移動させるために、器具9を回転させる。例えば、プレート31は、X線に対して不透明であり、イメージャ16は、椎骨平面内にプレートを位置決めするようにガイドするために使用されうる。特に、器具の部分の位置決めは、前記少なくとも1つの端板を表す線19に平行なX線画像内の線によって表されるように、プレート31を位置決めすることを備える。この結果、上述のガイド手段を使用し、プレート31の椎骨平面内への位置決めを改善することが可能となる。
【0081】
図7は、少なくとも2つの検出センサー34の第1セット32を器具が含む第2実施形態の第2例を示す。各センサーは、組織を検出し、骨組織と椎間板組織とを区別することができる。特に、各検出センサーは、センサーの特性により特有の測定された深さまで組織のタイプを検出する。好ましくは、測定された深さは、脊柱の最大厚さに対応する。器具9は、超音波プローブ、電気インピーダンスプローブ、又は、テラヘルツセンサーであってもよい。器具の部分11の位置決めは、少なくとも2つのセンサーの第1セット32が椎間板組織を検出するように、第1セット32の位置決めを備えている。器具9は、器具9が前記隣接する椎骨間の椎間板組織を検出するように、セグメント2の椎骨V4と、隣接する椎骨V5との間に位置決めされる。
図7は、センサー34によるこの検出を白丸で表している。さらに、器具9は、少なくとも2つのセンサーによって形成された検出平面に垂直な方向ベクトルをロケーションシステム8に提供する位置マーカー10を備える。検出平面は、組織の種類を検出するためにセンサーの検出信号が伝播する平面に対応する。センサー34のセット32が椎間板組織を検出すると、検出平面は、器具付椎骨の少なくとも1つの端板と平行になる。
図7において、検出平面は、シートの平面と垂直であり、点線Xにより表されている。器具9の位置決めのさらなる正確性の改善をするために、この器具は、少なくとも2つのセンサー35の第2セットを備えていてもよく、この場合、位置マーカー10は、第1セット及び第2セットのそれぞれにより形成された検出平面に垂直な方向ベクトルを提供する。特に、センサーのセットの検出平面は、相互に平行である。この結果、器具付椎骨の椎骨平面に垂直な方向ベクトルを提供するための器具9の位置決めは、セット32、33が、2つの異なる組織をそれぞれ検出するように実行される。
図7において、センサー34の第1セット32は椎間板組織を検出し、椎間板組織の検出は、白丸で表されるセンサー34により示され、センサー36の第2セット33は、骨組織を検出し、骨組織の検出は、中心に点を有する円で表されるセンサー36により示される。少なくともセンサーの第1セット32が椎間板組織を検出し、少なくともセンサーの第2セット33が骨組織を検出すると、プローブは正確に、すなわち、センサー34、35により形成される検出平面が椎骨V5の端板のうち少なくとも1つと平行になるように配置される。そうすると、器具によって提供される方向ベクトルは、椎骨平面の初期の向きに対応する。さらに、いずれのセンサーのセットが椎間板組織を検出しない限り、器具は、正確に位置決めされず、センサーのセットを分離している平面は、セグメント2内の椎骨V5の少なくとも1つの端板と平行ではない。
【0082】
図8は、椎骨平面P2~P4の初期の向きのための測定ステップS12についてのさらにもう1つの実施形態を示す。この変形例においては、器具9は、X線に対して不透明な部分11を備えて提供され、X線イメージャ16は、セグメント内の椎骨、及び、不透明な部分のX線画像を生成するために使用される。さらに、不透明な部分11は、ディテクタ18上に可動的に取り付けられる。器具9は、ロケーションシステム8に不透明部分の方向ベクトルとディテクタの平面の向きを提供する、位置マーカーも備えられている。一般に、器具は、不透明部分の方向ベクトル、及び、ディテクタの平面の方向をロケーションシステム8に提供するように較正された任意のシステムとすることが可能である。例えば、不透明な部分11は、ディテクタ18のポイント41に取り付けられたロッドであり、このポイント41の周りを回旋することができる。あるいは、不透明な部分11は、
図8においてハッチングを施して示されているプレートであり、この部分は、ディテクタ18上を平行に移動できるように取り付けられたスライドレール内をスライド可能である。
測定ステップS12は、
-セグメント内の椎骨の少なくとも1つの端板がX線画像内の線によって表されるように、X線エミッタ、及び、ディテクタをセグメントに垂直になるように位置決めするステップと、
-前記少なくとも1つの端板を表す線に平行な、少なくとも1つの線によってX線画像内に表されるように、器具9の不透明な部分11の位置決めをするステップと、
-椎骨平面の初期の向きを、ディテクタの平面の向き、及び、不透明な部分の方向ベクトルから測定するステップと、を備える。
【0083】
不透明な部分11は、可動であるので、オペレータは、前記少なくとも1つの端板を示す線19に関連してその位置を調整することができる。不透明な部分を示す線が前記少なくとも1つの端板を示す線19と平行であれば、検出平面は、椎骨平面と垂直であり、不透明な部分の方向ベクトルは、器具付椎骨の椎骨平面内に位置付けられる。椎骨平面の初期の向きは、不透明な部分の方向ベクトルと、ディテクタの平面の向きとに垂直なベクトルに対応する。
【0084】
さらに、測定ステップS12は、画像処理ステップを備えてもよく、このステップは、セグメント内の椎骨のX線画像から、セグメント2内の椎骨V2~V4の前記少なくとも1つの端板を示す線の方向を計算するために処理ユニット14により実行される。画像処理ステップは、器具9の不透明な部分11を示す線の方向を計算するためにも実行される。次に、セグメント内の各椎骨のために、前記線間の為す角度αが計算される。この角度αは、器具の不透明な部分の位置と、セグメント内の椎骨の端板を示す線19との間の平行性の欠陥に対応する。角度αが0であれば、不透明な部分はガイド線19と平行である。そして、その角度の値が、その平行性の欠陥を示し、かつ、オペレータが器具を正しく位置付けできるようにガイドするために、表示パネル15に表示されてもよい。角度αの値は、セグメント内の椎骨の椎骨平面の初期の向きを修正するためにも使用されてもよい。この場合、処理ユニットは、計算された角度から椎骨平面の初期の向きを直接的に測定する。
【0085】
上述した方法は、脊柱のバランスを修正するために脊柱の変位を評価するようにしてもよい。さらに、このような評価は、リアルタイムに実行されうる。
【0086】
上記で説明され、添付の図面に示された本発明の実施形態に対して種々の変更が為されうることに留意されたい。それ故、上記の説明は、限定として考慮されるべきではなく、単に種々の実施形態の説明として考慮されるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲、及び、その精神の中で他の変更を考慮することが可能である。さらに、上記の各特許は、その全体を参照することにより組み込まれる。