(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】チョコレート複合食品用チョコレート
(51)【国際特許分類】
A23G 1/36 20060101AFI20220808BHJP
A23G 1/54 20060101ALI20220808BHJP
A21D 13/32 20170101ALN20220808BHJP
【FI】
A23G1/36
A23G1/54
A21D13/32
(21)【出願番号】P 2018181556
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397059157
【氏名又は名称】大東カカオ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】明星 奈穂子
(72)【発明者】
【氏名】中川 翔
(72)【発明者】
【氏名】三浦 樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 勉
【審査官】楠 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/208637(WO,A1)
【文献】特開2017-175929(JP,A)
【文献】特開2018-171001(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110648(WO,A1)
【文献】特開平10-108624(JP,A)
【文献】国際公開第2008/010543(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 1/36
A23G 1/54
A21D 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョコレートに含まれる油脂の固体脂含量が、10℃で60%以上、20℃で45%以上、25℃で35%以上、35℃で25%以下であるチョコレートと、食パンとを組み合わせることによる、
チョコレートと食パンとからなるチョコレート複合食品の経時的な食感の劣化を抑制する方法。
【請求項2】
前記チョコレートのチョコレートに含まれる油脂の固体脂含量が、10℃で75%以上、20℃で65%以上、25℃で55%以上、35℃で20%以下である請求項1に記載の
チョコレートと食パンとからなる複合食品の経時的な食感の劣化を抑制する方法。
【請求項3】
前記チョコレート複合食品が、チョコレートを挟んだサンドイッチである請求項1又は請求項2に記載のチョコレートと食パンとからなるチョコレート複合食品の経時的な食感の劣化を抑制する方法。
【請求項4】
前記チョコレートのチョコレートに含まれる油脂が、パーム系油脂を0~25質量%、ラウリン系油脂を70~98質量%、極度硬化油を0~17質量%、ココアバターを0~10質量%、乳脂を0~10質量%含有する請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のチョコレートと食パンとからなるチョコレート複合食品の経時的な食感の劣化を抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョコレート複合食品用チョコレートに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
チョコレートは、チョコレートのみからなる製品以外に、チョコレートとベーカリー製品又は菓子とを組み合わせた製品(以下、チョコレートとベーカリー製品又は菓子とを組み合わせた製品は、チョコレート複合食品とする。)にも利用されている。チョコレート複合食品は、非常に人気のある製品であり、需要が高く、広く市場に流通している。チョコレート複合食品に使用されるチョコレートとしては、例えば、特許文献1~6のチョコレートが提案されている。
【0003】
一方、ピーナッツクリームやたまご等の具材を食パンで挟み、具材が挟まれた食パンの四辺を圧着したサンドイッチが販売されている。前記サンドイッチのうち、具材にチョコレートが使用されたサンドイッチも販売されている。前記具材にチョコレートが使用されたサンドイッチは、チョコレート複合食品のうちでも、非常に人気のある製品である。
【0004】
サンドイッチは、食パン部分の食感が軟らかいことを特徴としている。しかしながら、前記具材にチョコレートが使用されたサンドイッチは、経時的に食パン部分の食感が硬くなり、食パン部分の食感が劣化するという問題があった。
【0005】
以上のようなことから、経時的な食感の劣化が少ないチョコレート複合食品の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-110268号公報
【文献】特開2010-227001号公報
【文献】特開2007-319043号公報
【文献】特開2007-252364公報
【文献】特開2001-269121号公報
【文献】特開2001-269121公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、経時的な食感の劣化が少ないチョコレート複合食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、チョコレート複合食品に使用されるチョコレートに含まれる油脂の固体脂含量を特定範囲とすることにより、本課題が解決できることが見いだされた。これにより、本発明が完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明は、チョコレートに含まれる油脂の固体脂含量が、10℃で60%以上、20℃で45%以上、25℃で35%以上、35℃で25%以下であるチョコレートと、食パンとを組み合わせることによる、チョコレートと食パンとからなるチョコレート複合食品の経時的な食感の劣化を抑制する方法である。
本発明の第2の発明は、前記チョコレートのチョコレートに含まれる油脂の固体脂含量が、10℃で75%以上、20℃で65%以上、25℃で55%以上、35℃で20%以下である第1の発明に記載のチョコレートと食パンとからなる複合食品の経時的な食感の劣化を抑制する方法である。
本発明の第3の発明は、前記チョコレート複合食品が、チョコレートを挟んだサンドイッチである第1の発明又は第2の発明に記載のチョコレートと食パンとからなるチョコレート複合食品の経時的な食感の劣化を抑制する方法である。
本発明の第4の発明は、前記チョコレートのチョコレートに含まれる油脂が、パーム系油脂を0~25質量%、ラウリン系油脂を70~98質量%、極度硬化油を0~17質量%、ココアバターを0~10質量%、乳脂を0~10質量%含有する第1の発明~第3の発明のいずれか1つの発明に記載のチョコレートと食パンとからなるチョコレート複合食品の経時的な食感の劣化を抑制する方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、経時的な食感の劣化が少ないチョコレート複合食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートは、チョコレートに含まれる油脂の固体脂含量が、10℃で60%以上、20℃で45%以上、25℃で35%以上、35℃で25%以下である。
【0012】
本発明でチョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上で規定されたチョコレートに限定されない。本発明でチョコレートとは、食用油脂、糖類、カカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、乳化剤等を原料とし、チョコレートの製造工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、成形工程、冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造され、油脂が連続相をなし、実質的に水を含有しない食品である。また、本発明でチョコレートは、ダークチョコレート、ミルクチョコレートの他に、ホワイトチョコレート、カラーチョコレートも含む。また、本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートは、好ましくは水分含有量が3質量%以下である。
【0013】
本発明でチョコレート複合食品とは、チョコレートとベーカリー製品又は菓子とを組み合わせた製品のことである。従って、本発明でチョコレート複合食品用チョコレートとは、ベーカリー製品又は菓子とを組み合わせて使用されるチョコレートのことである。
【0014】
本発明で油脂(チョコレートに含まれる油脂)とは、チョコレートに含まれる油脂の全てを合わせた全油脂分である。例えば、チョコレートがカカオマス、全脂粉乳、油脂aを含む場合、油脂は、カカオマスに含まれるココアバターと、全脂粉乳に含まれる乳脂と、油脂aとの混合油である。すなわち、本発明で油脂は、配合される油脂の他に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)に含まれる油脂(ココアバター、乳脂等)を含む。
【0015】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートは、チョコレートに含まれる油脂の固体脂含量(以下、固体脂含量は、SFCともいう。)が10℃で60%以上、20℃で45%以上、25℃で35%以上、35℃で25%以下であり、好ましくは10℃で75%以上、20℃で65%以上、25℃で55%以上、35℃で20%以下であり、より好ましくは10℃で75~100%、20℃で65~95%、25℃で55~90%、35℃で0~20%である。チョコレートに含まれる油脂の10℃、20℃、25℃、35℃でのSFCが前記範囲であると、経時的な食感の劣化が少ないチョコレート複合食品が得られる。また、油脂のSFCは、社団法人日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の「2.2.9-2003 固体脂含量(NMR法)」に準じて測定することができる。
【0016】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートは、油脂含有量が好ましくは20~60質量%であり、より好ましくは23~55質量%であり、さらに好ましくは25~50質量%である。
【0017】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートの製造に使用される油脂は、チョコレートに含まれる油脂の10℃、20℃、25℃、35℃でのSFCが前記条件を満たせば、特に制限されることない。本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートの製造には、通常のチョコレートの製造に使用される食用油脂(大豆油、菜種油、高エルシン酸菜種油、コーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ココアバター、乳脂や、これらの油脂の混合油、これらの油脂又は混合油の加工油脂(エステル交換油、分別油、水素添加油等)等)を使用することができる。
【0018】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートの製造に使用される油脂は、好ましくはパーム系油脂、ラウリン系油脂、極度硬化油、ココアバター、乳脂である。すなわち、本発明の実施の形態のチョコレートに含まれる油脂の10℃、20℃、25℃、35℃でのSFCは、好ましくはパーム系油脂、ラウリン系油脂、極度硬化油、ココアバター、乳脂を配合することで、前記範囲に調整することができる。
なお、本発明でパーム系油脂とは、パーム油やパーム油を原料とした加工油脂(分別油、エステル交換油、水素添加油等)のことである。本発明でのパーム系油脂には、パーム油を原料とした油脂を複数回加工処理した油脂も含む。パーム系油脂の具体例は、パーム油、パームオレイン、パームスーパーオレイン、パームステアリン、パーム中融点、パーム硬化油等である。これらのパーム系油脂は2種以上が組み合わされて使用される場合もある。
また、本発明でラウリン系油脂とは、油脂を構成する脂肪酸のうちラウリン酸の含有量が30質量%以上の油脂である。ラウリン系油脂の具体例は、ヤシ油、パーム核油や、これらの分別油、エステル交換油、水素添加油等である。これらのラウリン系油脂は2種以上が組み合わされて使用される場合もある。
また、本発明で極度硬化油とは、油脂を構成する脂肪酸のうち炭素数18~22の飽和脂肪酸の含有量が95質量%以上の油脂である。極度硬化油の具体例は、大豆油の極度硬化油、菜種油の極度硬化油、高エルシン酸菜種油の極度硬化油等である。これらの極度硬化油は2種以上が組み合わされて使用される場合もある。
【0019】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートに含まれる油脂は、好ましくはパーム系油脂を0~98質量%、ラウリン系油脂を0~98質量%、極度硬化油を0~20質量%、ココアバターを0~15質量%、乳脂を0~15質量%含有し、より好ましくはパーム系油脂を0~25質量%、ラウリン系油脂を70~98質量%、極度硬化油を0~17質量%、ココアバターを0~10質量%、乳脂を0~10質量%含有する。
【0020】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートは、好ましくは糖類を含有する。本発明の実施の形態のチョコレートは、糖類を好ましくは30~70質量%含有し、より好ましくは35~65質量%含有し、更に好ましくは40~60質量%含有する。
なお、本発明で糖類とは、単糖類、二糖類のことである。糖類の具体例は、砂糖(ショ糖)、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖等である。
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートの製造に使用される糖類は、好ましくは砂糖である。
【0021】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートは、油脂、糖類以外に、チョコレートに一般的に配合される原料を使用することができる。具体的には、例えば、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール等の糖アルコール、ラフィノース等のオリゴ糖、アスパルテーム、ステビア、サッカリン等の甘味料、全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳製品、カカオマス、ココアパウダー等のカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、コーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等の乳化剤、酸化防止剤、着色料、香料等を使用することができる。
【0022】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートは、従来公知のチョコレートの製造方法で製造することができる。本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートは、例えば、食用油脂、糖類、カカオ成分、乳製品、香料、乳化剤等を原料とし、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、冷却工程等を経て製造される。本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートは、好ましくは微粒化工程を経て製造される。
【0023】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートは、好ましくはノンテンパリング型チョコレートである。
【0024】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートは、チョコレート複合食品のベーカリー製品又は菓子部分の経時的な食感の劣化を抑制することができる。特に、本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートは、チョコレート複合食品のベーカリー製品又は菓子部分が経時的に硬くなることを抑制することができる。
【0025】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品は、本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートと、ベーカリー製品又は菓子とからなる。
【0026】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品の製造に使用されるベーカリー製品又は菓子は、例えば、ドーナツ、食パン、コッペパン、フルーツブレッド、バターロール、フランスパン、ロールパン、菓子パン、スイートドウ、乾パン、マフィン、ベーグル、クロワッサン、デニッシュペーストリー等のベーカリー製品、カステラ、ワッフル、ボーロ、八つ橋、せんべい、かりんとう、スポンジケーキ、ロールケーキ、パウンドケーキ、バウムクーヘン、フルーツケーキ、マドレーヌ、シュー、エクレア、ミルフィーユ、パイ、タルト、マカロン、ビスケット、クッキー、クラッカー、蒸しパン、プレッツェル、ウエハース、スナック菓子、クレープ、スフレ、パフ、冷菓(アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、氷菓等)等の菓子である。
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品の製造に使用されるベーカリー製品又は菓子は、好ましくはベーカリー製品であり、より好ましくは食パンである。
【0027】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品は、ベーカリー製品又は菓子部分の経時的な食感の劣化が少ない。特に、本発明の実施の形態のチョコレート複合食品は、ベーカリー製品又は菓子部分の食感が経時的に硬くなり難い。チョコレート複合食品のベーカリー製品又は菓子部分の食感が経時的に硬くなり難いという効果は、水分含有量の高いベーカリー製品又は菓子が使用されたチョコレート複合食品でより期待できる。本発明の実施の形態のチョコレート複合食品の製造に使用されるベーカリー製品又は菓子は、水分含有量が好ましくは20~60質量%であり、より好ましくは25~55質量%であり、好ましくは30~50質量%である。
水分含有量の高いベーカリー製品又は菓子が使用されたチョコレート複合食品としては、チョコレートを挟んだサンドイッチ、チョコレートを包餡したパン、チョコレートを被覆したパン、チョコレートを挟んだケーキ、チョコレートを包餡したケーキ、チョコレートを被覆したケーキ等が挙げられる。本発明の実施の形態のチョコレート複合食品は、好ましくはチョコレートを挟んだサンドイッチである。
【0028】
本発明の実施の形態のチョコレート複合食品は、従来公知の製造方法で、ベーカリー製品又は菓子に、本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートを組み合わせることで製造される。ベーカリー製品又は菓子に、本発明の実施の形態のチョコレート複合食品用チョコレートを組み合わせる手段は、挟む、被覆、注入、包餡、載せる等である。
【実施例】
【0029】
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。しかし、本発明はこれらに何ら制限されない。
【0030】
油脂のSFCは、社団法人日本油化学会編、「基準油脂分析試験法」の「2.2.9-2003 固体脂含量(NMR法)」に準じて測定した。
【0031】
〔チョコレートを挟んだサンドイッチの製造〕
表1~2に示された配合のチョコレートを、通常のチョコレートの製造方法(混合、微粒化、精練、冷却)で製造した。25~30℃で一晩保存した各チョコレートを、ビーターで全体が均一になるまで撹拌した。各チョコレート30gを、電子レンジで500W15秒間加熱した8枚切りの食パン(水分含有量42.1質量%)で挟むことで、チョコレートを挟んだサンドイッチを製造した。なお、全てのチョコレートは、油脂の含有量が33.7質量%、糖類の含有量が52.9質量%、水分の含有量が3質量%以下だった。
【0032】
〔チョコレートを挟んだサンドイッチの評価〕
20℃で粗熱を取った後、ビニール袋に入れて密閉した各チョコレートを挟んだサンドイッチを、20℃で3日間保存した。1日保存後、2日保存後、3日保存後のサンドイッチの食パン部分の硬さ、水分含有量を以下の方法で評価した。
【0033】
〔サンドイッチの食パン部分の硬さの評価1:レオメーターによる評価〕
チョコレートを挟んだサンドイッチの食パン部分の硬さを、レオメーターで硬度を測定することで評価した。サンドイッチからチョコレートをはがした食パンを測定試料とした。測定箇所は食パン部分のチョコレートが接触していた面とした。測定は9か所を測定し、結果は9か所を測定した値の平均値を示した。なお、レオメーターは、山電社製のRHEONERIIを使用した。また、レオメーターでの測定は、20mm円柱のプランジャーを使用し、深度3.0mm、速度1.0mm/sの条件で行った。結果を表1、2に示した。測定結果は数値が低いほど、食パン部分が軟らかいことを示しており、2.5N未満である場合を良好な食感であると判断した。
【0034】
〔サンドイッチの食パン部分の硬さの評価2:官能評価〕
チョコレートを挟んだサンドイッチを10名の専門パネルが食し、サンドイッチの食パン部分の硬さを下記評価基準に従って点数を付けた。10名の専門パネルの平均点を算出し、下記評価基準に従って評価した。結果を表1、2に示した。評価結果は、平均点の評価が◎又は○の場合、良好な食感であると判断した。なお、サンドイッチの食パン部分の硬さを評価した専門パネルは、食品の食感等の官能評価の訓練を定期的に受けており、食品の食感等の官能評価結果に個人差が少ない。
2点:パンがふっくらとしており軟らかい
1点:パンが少し萎んで、少し硬くなっている
0点:パンが萎んでかなり硬い
<平均点>
◎:1.5点以上
○:1.0点以上1.5点未満
×:1.0点未満
【0035】
〔サンドイッチの水分含有量の評価〕
赤外線水分計でチョコレートを挟んだサンドイッチの食パン部分の水分含有量を測定した。サンドイッチからチョコレートをはがし、食パン部分のチョコレートが接触していた面を細かく裁断したものを測定試料とした。なお、赤外線水分計は、株式会社ケツト科学研究所のFD-610を使用した。また、赤外線水分計での測定は、測定試料10gを125℃で20分間乾燥させることで行った。結果を表1、2に示した。食パンは通常水分含有量が高いほど軟らかいので、測定結果は水分含有量が高いほど、食パン部分が軟らかいことを示している。食パン部分の水分含有量が32質量%以上である場合を良好な食感であると判断した。
【0036】
【0037】
【0038】
表1、2から分かるように、実施例のチョコレートを挟んだサンドイッチは、食パン部分の食感が経時的に劣化しにくかった。
一方、表1から分かるように、比較例のチョコレートを挟んだサンドイッチは、食パン部分の食感が経時的に劣化した。