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特許7119080超音波手技の間にリアルタイムで標的運動を追跡するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】超音波手技の間にリアルタイムで標的運動を追跡するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20220808BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20220808BHJP
   A61N 7/02 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
A61B8/14
A61B5/055 390
A61N7/02
【請求項の数】 71
(21)【出願番号】P 2020519037
(86)(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 IB2018001246
(87)【国際公開番号】W WO2019069135
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-04-02
(31)【優先権主張番号】62/568,439
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508154863
【氏名又は名称】インサイテック・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ザディカリオ, エーヤル
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ, ヨアフ
(72)【発明者】
【氏名】ボートマン, コビ
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0046172(US,A1)
【文献】特表2015-511139(JP,A)
【文献】国際公開第2017/060865(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
A61B 5/055
A61B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的標的を処置するためのシステムであって、前記システムは、
(a)処置装置と、
(b)処置の間に前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得するための第1の撮像モダリティと、
(c)処置の間に第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するための第2の撮像モダリティであって、前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的に対する相対的場所を有し、前記第2の撮像モダリティは、前記第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、第2の撮像モダリティと、
(d)コントローラであって、前記コントローラは、(i)前記解剖学的標的の1つ以上の画像を処理することにより、前記解剖学的標的に関連付けられている情報を決定することと、(ii)前記第1の撮像可能物体の一連の画像を処理することと、(iii)前記一連の画像および前記解剖学的標的に対する前記第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡することと、(iv)処置の間の前記追跡された移動および前記解剖学的標的に関連付けられている前記情報に少なくとも部分的に基づいて、前記解剖学的標的を処置するための前記処置装置に関連付けられている処置計画を生成することとを行うように構成されている、コントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記追跡された移動に基づいて、前記解剖学的標的に関連付けられている前記情報を更新するようにさらに構成されており、
前記解剖学的標的の1つ以上の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含み、前記コントローラは、前記1つ以上のベースライン位相画像から前記追跡された移動に関連付けられている位相偏移を減算することにより、前記解剖学的標的の熱マップを生成するようにさらに構成されている、システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記処置計画に少なくとも部分的に基づいて、前記処置装置をアクティブ化するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記解剖学的標的の予測された移動に少なくとも部分的に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的と異なり、前記コントローラは、ステップ(c)において取得される前記一連の画像のそれぞれにおいて前記第1の撮像可能物体の場所を決定し、前記第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、前記解剖学的標的の場所を推測するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の撮像可能物体は、解剖学的特徴である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の撮像可能物体は、MRトラッカである、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記解剖学的標的に関連付けられている前記情報は、場所、熱マップ、微小気泡用量マップ、または、間的キャビテーション活動マップのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の撮像モダリティは、前記第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリをさらに取得する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、(i)前記第2の撮像モダリティを使用して取得された前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つと前記参照ライブラリ内の前記参照画像とを比較し、前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つに合致する参照画像を識別することと、(ii)前記識別された参照画像に少なくとも部分的に基づいて、前記位相偏移を決定することとを行うようにさらに構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の撮像モダリティおよび前記第2の撮像モダリティは、MRI装置を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、カメラを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、超音波装置を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記処置装置は、前記超音波装置を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記処置装置は、前記第2の撮像モダリティとは異なる第2の超音波装置を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記超音波装置は、複数のトランスデューサ要素を備え、前記処置計画は、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つに関連付けられている振幅、周波数、位相、方向、または、アクティブ化時間のうちの少なくとも1つを規定する、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
解剖学的標的を処置するための処置計画を生成するためのシステムを動作させる方法であって、前記システムは、第1の撮像モダリティと第2の撮像モダリティとコントローラとを備え、前記方法は、
(a)前記第1の撮像モダリティが、処置の間前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得し、それに基づいて、前記解剖学的標的に関連付けられている情報を決定することと、
(b)前記第2の撮像モダリティが、処置の間第1の撮像可能物体の一連の画像を取得することであって、前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的に対する相対的場所を有し、前記第2の撮像モダリティは、前記第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、ことと、
(c)前記コントローラが、処置の間にリアルタイムで、前記1つ以上の画像と、前記第1の撮像可能物体の一連の画像と、前記解剖学的標的に対する前記第1の撮像可能物体の相対的場所とに基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡することと、
(d)前記コントローラが、処置の間の前記追跡された移動および前記解剖学的標的に関連付けられている前記情報に少なくとも部分的に基づいて、前記解剖学的標的を処置するための処置計画を生成することと、
(e)前記コントローラが、前記追跡された移動に基づいて、前記解剖学的標的に関連付けられている前記情報を更新することと
を含み、
前記解剖学的標的の1つ以上の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含み、前記方法は、前記コントローラが、前記1つ以上のベースライン位相画像から前記追跡された移動に関連付けられている位相偏移を減算することにより、前記解剖学的標的の熱マップを生成することをさらに含む、方法。
【請求項18】
前記システムは、処置装置をさらに備え、前記方法は、前記コントローラが、前記処置計画に少なくとも部分的に基づいて、前記処置装置をアクティブ化することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記処置装置は、超音波装置を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、超音波装置を備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記処置装置は、前記第2の撮像モダリティとは異なる第2の超音波装置を備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記超音波装置は、複数のトランスデューサ要素を備え、前記処置計画は、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つに関連付けられている振幅、周波数、位相、方向、または、アクティブ化時間のうちの少なくとも1つを規定する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、カメラを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、前記コントローラが、前記解剖学的標的の予測された移動に少なくとも部分的に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的と異なり、前記方法は、前記コントローラが、ステップ(c)において取得される前記一連の画像のそれぞれにおいて前記第1の撮像可能物体の場所を決定することと、前記コントローラが、前記第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、前記解剖学的標的の場所を推測することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の撮像可能物体は、解剖学的特徴である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の撮像可能物体は、MRトラッカである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記解剖学的標的に関連付けられている前記情報は、場所、熱マップ、微小気泡用量マップ、または、間的キャビテーション活動マップのうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
前記方法は、前記第1の撮像モダリティが、前記第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリを取得することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項31】
前記方法は、
前記コントローラが、前記第2の撮像モダリティを使用して取得された前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つと前記参照ライブラリ内の前記参照画像とを比較し、前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つに合致する参照画像を識別することと、
前記コントローラが、前記識別された参照画像に少なくとも部分的に基づいて、前記位相偏移を決定することと
をさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の撮像モダリティおよび前記第2の撮像モダリティは、MRI装置を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項33】
解剖学的標的を処置するためのシステムであって、前記システムは、
(a)処置装置と、
(b)処置の間に前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得するための第1の撮像モダリティと、
(c)処置の間に第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するための第2の撮像モダリティであって、前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的に対する相対的場所を有し、前記第2の撮像モダリティは、前記第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、第2の撮像モダリティと、
(d)コントローラであって、前記コントローラは、(i)前記解剖学的標的の1つ以上の画像を処理することにより、それに関連付けられている情報を決定することと、(ii)前記第1の撮像可能物体の一連の画像を処理することと、(iii)前記一連の画像および前記解剖学的標的に対する前記第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡することと、(iv)処置の間に取得された前記解剖学的標的の追跡された移動および前記情報に少なくとも部分的に基づいて、治療を前記解剖学的標的に送達することを前記処置装置に行わせることとを行うように構成されている、コントローラと
を備え、
前記コントローラは、前記追跡された移動に基づいて、前記解剖学的標的に関連付けられている前記情報を更新するようにさらに構成されており、
前記解剖学的標的の1つ以上の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含み、前記コントローラは、前記1つ以上のベースライン位相画像から前記追跡された移動に関連付けられている位相偏移を減算することにより、前記解剖学的標的の熱マップを生成するようにさらに構成されている、システム。
【請求項34】
前記コントローラは、前記解剖学的標的の予測された移動に少なくとも部分的に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するようにさらに構成されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的を含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的と異なり、前記コントローラは、前記一連の画像のそれぞれにおいて前記第1の撮像可能物体の場所を決定し、前記第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、前記解剖学的標的の場所を推測するようにさらに構成されている、請求項33に記載のシステム。
【請求項37】
前記第1の撮像可能物体は、解剖学的特徴である、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記第1の撮像可能物体は、MRトラッカである、請求項36に記載のシステム。
【請求項39】
前記解剖学的標的に関連付けられている前記情報は、場所、熱マップ、微小気泡用量マップ、または、間的キャビテーション活動マップのうちの少なくとも1つを含む、請求項33に記載のシステム。
【請求項40】
前記第1の撮像モダリティは、前記第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリをさらに取得する、請求項33に記載のシステム。
【請求項41】
前記コントローラは、(i)前記第2の撮像モダリティを使用して取得された前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つと前記参照ライブラリ内の前記参照画像とを比較し、前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つに合致する参照画像を識別することと、(ii)前記識別された参照画像に少なくとも部分的に基づいて、前記位相偏移を決定することとを行うようにさらに構成されている、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記第1の撮像モダリティおよび前記第2の撮像モダリティは、MRI装置を備える、請求項33に記載のシステム。
【請求項43】
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、カメラを備える、請求項33に記載のシステム。
【請求項44】
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、超音波装置を備える、請求項33に記載のシステム。
【請求項45】
前記処置装置は、前記超音波装置を備える、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記処置装置は、前記第2の撮像モダリティとは異なる第2の超音波装置を備える、請求項44に記載のシステム。
【請求項47】
前記超音波装置は、複数のトランスデューサ要素を備え、前記コントローラは、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つに関連付けられている振幅、周波数、位相、方向、または、アクティブ化時間のうちの少なくとも1つを規定することにより、治療を前記解剖学的標的に送達するようにさらに構成されている、請求項44に記載のシステム。
【請求項48】
処置の間に解剖学的標的の熱マップを提供するためのシステムであって、前記システムは、
(a)処置の間に前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得するための第1の撮像モダリティと、
(b)処置の間に第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するための第2の撮像モダリティであって、前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的に対する相対的場所を有し、前記第2の撮像モダリティは、前記第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、第2の撮像モダリティと、
(c)コントローラであって、前記コントローラは、(i)前記解剖学的標的の1つ以上の画像を処理することにより、前記熱マップを生成することと、(ii)前記第1の撮像可能物体の一連の画像を処理することと、(iii)前記一連の画像および前記解剖学的標的に対する前記第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡することと、(iv)処置の間の前記解剖学的標的の追跡された移動および情報に少なくとも部分的に基づいて、前記解剖学的標的の前記熱マップを更新することとを行うように構成されている、コントローラと
を備え、
前記解剖学的標的の1つ以上の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含み、前記コントローラは、前記1つ以上のベースライン位相画像から前記追跡された移動に関連付けられている位相偏移を減算することにより、前記解剖学的標的の前記熱マップを生成するようにさらに構成されている、システム。
【請求項49】
前記コントローラは、前記解剖学的標的の予測された移動に少なくとも部分的に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するようにさらに構成されている、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的を含む、請求項48に記載のシステム。
【請求項51】
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的と異なり、前記コントローラは、前記一連の画像のそれぞれにおいて前記第1の撮像可能物体の場所を決定し、前記第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、前記解剖学的標的の場所を推測するようにさらに構成されている、請求項48に記載のシステム。
【請求項52】
前記第1の撮像可能物体は、解剖学的特徴である、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記第1の撮像可能物体は、MRトラッカである、請求項51に記載のシステム。
【請求項54】
前記第1の撮像モダリティは、前記第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリをさらに取得する、請求項48に記載のシステム。
【請求項55】
前記コントローラは、(i)前記第2の撮像モダリティを使用して取得された前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つと前記参照ライブラリ内の前記参照画像とを比較し、前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つに合致する参照画像を識別することと、(ii)前記識別された参照画像に少なくとも部分的に基づいて、前記位相偏移を決定することとを行うようにさらに構成されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記第1の撮像モダリティおよび前記第2の撮像モダリティは、MRI装置を備える、請求項48に記載のシステム。
【請求項57】
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、カメラを備える、請求項48に記載のシステム。
【請求項58】
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、超音波装置を備える、請求項48に記載のシステム。
【請求項59】
解剖学的標的に関連付けられている場所および熱マップを描写する撮像を提供するためのシステムであって、前記システムは、
(a)前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得するための第1の撮像モダリティと、
(b)第1の撮像可能物体の1つ以上の画像を取得するための第2の撮像モダリティであって、前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的に対する相対的場所を有し、前記第2の撮像モダリティは、前記第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、第2の撮像モダリティと、
(c)コントローラであって、前記コントローラは、(i)前記解剖学的標的の1つ以上の画像を処理することにより、前記熱マップを生成することと、(ii)前記第1の撮像可能物体の一連の画像を処理することと、(iii)前記一連の画像および前記解剖学的標的に対する前記第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡することとを行うように構成されている、コントローラと、
(d)前記解剖学的標的の生成された熱マップおよび追跡された移動を同時に表示するためのディスプレイと
を備え、
前記コントローラは、前記追跡された移動に基づいて、前記熱マップを更新するようにさらに構成されており、
前記解剖学的標的の1つ以上の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含み、前記コントローラは、前記1つ以上のベースライン位相画像から前記追跡された移動に関連付けられる位相偏移を減算することにより、前記解剖学的標的の前記熱マップを生成するようにさらに構成されている、システム。
【請求項60】
前記コントローラは、前記解剖学的標的の表示された熱マップおよび移動に少なくとも部分的に基づいて、処置装置をアクティブ化するようにさらに構成されている、請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
前記処置装置は、超音波装置を備える、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、処置のための前記超音波装置とは異なる第2の超音波装置を備える、請求項61に記載のシステム。
【請求項63】
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、カメラを備える、請求項59に記載のシステム。
【請求項64】
前記コントローラは、前記解剖学的標的の予測された移動に少なくとも部分的に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するようにさらに構成されている、請求項59に記載のシステム。
【請求項65】
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的を含む、請求項59に記載のシステム。
【請求項66】
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的と異なり、前記コントローラは、前記一連の画像のそれぞれにおいて前記第1の撮像可能物体の場所を決定し、前記第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、前記解剖学的標的の場所を推測するようにさらに構成されている、請求項59に記載のシステム。
【請求項67】
前記第1の撮像可能物体は、解剖学的特徴である、請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記第1の撮像可能物体は、MRトラッカである、請求項66に記載のシステム。
【請求項69】
前記第1の撮像モダリティは、前記第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリをさらに取得する、請求項59に記載のシステム。
【請求項70】
前記コントローラは、(i)前記第2の撮像モダリティを使用して取得された前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つと前記参照ライブラリ内の前記参照画像とを比較し、前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つに合致する参照画像を識別することと、(ii)前記識別された参照画像に少なくとも部分的に基づいて、前記位相偏移を決定することとを行うようにさらに構成されている、請求項69に記載のシステム。
【請求項71】
前記第1の撮像モダリティおよび前記第2の撮像モダリティは、MRI装置を備える、請求項59に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、その全開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる、2017年10月5日に出願された、米国仮特許出願第62/568,439号の利益および優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、移動する組織または器官を追跡することに関し、特に、超音波処置計画および/または手技の間にその運動を追跡することに関する。
【背景技術】
【0003】
患者の頭蓋骨または他の身体領域内の良性または悪性腫瘍または凝血塊等の組織は、組織を外科手術的に除去することによって侵襲的に、または、例えば、熱アブレーションを使用することによって非侵襲的に処置され得る。両方のアプローチは、身体内のある局所的病状を効果的に処置し得るが、そうでなければ 健常な組織の破壊または損傷を回避するために、繊細な手技を伴う。健常組織が温存されることができない、またはその破壊が生理的機能に悪影響を及ぼす可能性が低くない限り、外科手術は、罹患組織が健常組織内に統合される病状のために適切ではない場合がある。
【0004】
集束超音波を使用して遂行され得るような超音波治療は、超音波エネルギーの効果が明確に定義された標的領域に限定されることができるため、健常組織または器官によって囲繞される、またはその近傍の罹患組織を処置するために特に魅力的である。超音波エネルギーは、比較的に短い波長(例えば、1メガヘルツ(1MHz)において断面において1.5ミリメートル(mm)と同程度に小さい)に起因して、数ミリメートルのみの断面を有する区域に集束され得る。さらに、音響エネルギーは、概して、軟質組織を通して良好に貫通するため、介在する解剖学的構造は、多くの場合、所望の集束帯を定義することに障害をもたらさない。したがって、超音波エネルギーは、周辺健常組織を有意に損傷させることなく罹患組織をアブレーションするために、小さい標的に集束され得る。
【0005】
加えて、超音波は、神経疾患の処置において血液脳関門(BBB)を開放するために利用され得る。中枢神経系(CNS)において細胞の層によって形成されるBBBは、大分子が脳実質に進入することを防止し、したがって、多くの脳疾患を処置することに対する最大の障害のうちの1つを提示する。具体的には、BBBは、薬物および遺伝子治療ベクタ等の多くの治療剤が患者の脳組織に到達することを妨害する。例えば、CNS感染症、神経変性疾患、先天性酵素欠損、および脳癌のための処置は全て、特に、抗生物質、抗レトロウイルス薬、酵素補充療法、遺伝子製剤、および抗悪性腫瘍薬の通過を遮断するBBBの能力によって妨げられる。したがって、超音波エネルギーを使用し、一時的かつ局所的にBBBを「開放」し、これらの作用物質の治療量が罹患した脳組織にアクセスすることを可能にすることが、望ましい。
【0006】
超音波集束システムは、概して、超音波ビームを生成するために、音響トランスデューサ表面またはトランスデューサ表面のアレイを利用する。トランスデューサは、患者内の標的組織腫瘤に対応する「集束帯」に超音波エネルギーを集束させるように幾何学的に成形され、位置付けられ得る。組織を通した波伝搬の間、超音波エネルギーの一部は、吸収され、温度の増加につながり、最終的に、好ましくは、集束帯における標的組織腫瘤において細胞壊死につながる。トランスデューサアレイの個々の表面または「要素」は、典型的には、個別に制御可能であり、すなわち、それらの位相および/または振幅は、(例えば、要素に関する連続波および増幅器回路の場合に好適な遅延または位相偏移を伴う「ビーム形成器」を使用して)相互に独立して設定されることができ、ビームが所望の方向に操向され、所望の距離に集束され、集束帯性質が必要に応じて成形されることを可能にする。したがって、集束帯は、トランスデューサ要素への電気信号入力の振幅および/または位相を独立して調節することによって、急速に変位および/または再成形されることができる。
【0007】
しかしながら、人体は、柔軟であり、患者が静止するように位置付けられるときでも(例えば、呼吸またはわずかな不随意運動に起因して)移動し得、これは、治療有効性および安全性に相当な課題をもたらし得る。1つの従来のアプローチは、頭部を固定化し、これを超音波トランスデューサに対して機械的に固定するために、定位フレームを実装する。本アプローチは、不利なこととして、頭蓋骨との隙間のない界面を提供するために、局所麻酔および皮膚および軟質組織を貫通するピンを要求する。加えて、単一の処置セッションのために好適であるが、本アプローチは、複数の処置セッションを伴う繰り返し治療のために実現困難である。別のアプローチは、患者の頭部を固定化するためにこれを台に固着させ得る、患者の顔を被覆する熱可塑性マスクを利用する。熱可塑性マスクは、局所麻酔および貫通ピンの必要性を省略するが、これは、十分に厳密な固体化を提供しない。その結果、有意な処置非効率性および健常組織への損傷が、起こり得る。さらに、マスクを用いて患者の顔を被覆することは、様々なレベルのストレスおよび不安を引き起こし得る。
【0008】
故に、定常物体に対して患者の頭部を固定化する必要性なく、処置の間にリアルタイムで超音波標的の追跡およびその運動の補償を促進するアプローチの必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の種々の実施形態は、超音波処置計画および/または手技の間にリアルタイムで標的または他の着目物体の運動を追跡し、それに基づいて、標的の測定情報(例えば、温度および/または場所)を補正する、および/または標的パラメータ値を調節し、標的運動を補償するためのシステムおよび方法を提供する。一般に、本技法は、測定値補正および/または処置調節/最適化を可能にするように、標的についての情報(例えば、場所および/または温度)をオペレータまたは自動制御システムに提供する、閉ループフィードバックシステムを利用する。種々の実施形態では、閉ループフィードバックシステムは、画像コンテンツに基づいて追跡するステップを伴い、2つの撮像モダリティ、すなわち、より正確である(例えば、より高い分解能)が、より遅い速度のモダリティ(磁気共鳴撮像(MRI)等)およびあまり正確ではない(例えば、より低い分解能)が、より速い速度のモダリティ(カメラまたは超音波撮像等)を利用する。例えば、処置に先立って、および/またはその間に、1つ以上のMR画像が、標的の場所を正確に識別する、および/または所与の時間に標的の熱マップを生成するために取得されてもよい。しかしながら、画像捕捉および処理の複雑性に起因して、MRIは、概して、比較的に低い周波数および長い待ち時間(例えば、1秒あたり10画像フレーム)を有し、患者は、画像取得および/または画像処理間隔の間に移動し得るため、標的を識別および位置特定することを補助するために、より高い周波数およびより短い待ち時間を有する第2の撮像システムを採用することが、望ましくあり得る。例えば、超音波撮像(画像を捕捉するために10ミリ秒毎にアクティブ化され得る)は、標的への低エネルギー超音波パルス(すなわち、損傷を殆どまたは全く及ぼさないパルス化超音波)の印加およびそれからの反射の分析によって画像を取得するステップを伴ってもよい。超音波システムによって提供される画像情報は、次いで、標的移動を決定し、考慮するように、MR画像情報と組み合わせられてもよく、これは、標的場所が処置計画を作成するために正確に識別されることを可能にし、およびその実行の間に処置計画のリアルタイム調節を可能にし、それによって、処置効率および安全性を改良する。
【0010】
従来の画像ではなく、標的および/またはその周辺組織の熱マップを生成するために、MR温度測定(またはMR熱撮像)が、採用されてもよい。MR熱撮像は、標的および/またはその周辺組織が処置の間に連続的に監視されることを可能にし、それによって、待ち時間を回避し、処置効率を向上し、標的領域を囲繞する組織への損傷を回避するように、熱伝導およびエネルギー吸収における局所差異の補正を促進する。典型的には、MR温度測定の文脈では、ベースラインプロトン共鳴周波数(PRF)位相画像が、(典型的には、処置が開始される前に)取得され、第2の位相画像が、処置の間に、すなわち、温度が変化した後に取得され、処置の間に取得された画像とベースライン画像との間の位相差が、温度の変化を決定するために使用されることができる。一実施形態では、より速い速度のモダリティ(例えば、カメラまたは超音波画像)を使用して取得される画像は、温度変化ではなく、標的移動からもたらされるアーチファクトを排除する(または少なくとも低減させる)ように、ベースライン位相画像および/または処置の間に取得された画像を調節するために利用され、これは、MRIシステムが、リアルタイムで標的および/または非標的領域において温度を正確に測定することを可能にする。
【0011】
したがって、種々の実施形態では、本発明は、正確な処置計画を作成し、効率的かつ安全な処置を促進するために、標的組織の移動を検出するために採用されてもよい。加えて、高速モダリティは、リアルタイムで更新される単一のディスプレイにおいて画像および温度情報を同時に示すために、熱マップと組み合わせられる画像情報を提供してもよい。さらに、検出された移動は、そうでなければ温度を歪ませるであろうスプリアス位相差を排除するために利用されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、MRIおよび/または超音波撮像モダリティは、標的に対して具体的(例えば、固定された)相対的位置を有する1つ以上の非標的物体の画像を取得する。非標的物体の場所を識別することによって、標的場所は、それから推測されることができる。非標的物体は、標的場所を推測するために利用されるため、その画像は、画像取得および処理を促進するためにより低い分解能でより速い速度において取得され、標的場所がリアルタイムで追跡されることを可能にしてもよい。一実施形態では、非標的物体の画像は、カメラ、超音波撮像、または(例えば、いくつかの走査線をスキップすることによって)フレーム毎により速い走査速度を伴うMRIを使用して取得される。再び、標的運動が識別される場合、運動を特性評価する情報が、温度測定値を補正する、および/または処置パラメータを調節し、補償するために利用されてもよい。加えて、非標的物体が標的に十分に近接している場合、非標的物体のMR撮像データは、MR温度測定を使用して標的温度を推定するために利用されてもよい。非標的物体は、例えば、解剖学的特徴(例えば、患者の鼻先、耳、眼の縁、または上顎の歯)を含む、MRI基準および/または頭蓋骨に外部から取り付けられる、または、好ましくは、処置の持続時間全体の間に皮下に埋込され、定位置に残されるMRトラッカであってもよい。一実施形態では、埋込されるマーカは、薄い生体適合性プラスチックエンベロープ内にカプセル化される生体適合性磁性ナノ粒子から作製される小さい平坦なペレットである。
【0013】
いくつかの実施形態では、超音波処置は、例えば、BBB開放を促進する、処置効果を強化する、または自動焦点を実施するために、微小気泡を伴う。音響信号検出器が、処置の間に標的および/または非標的領域における微小気泡から音響信号を測定するために実装され、それに基づいて、微小気泡用量マップ(種々の場所における微小気泡の量を示す)または時間的キャビテーション活動マップ(経時的な種々の場所における微小気泡キャビテーションと関連付けられるタイプ、用量、および/または場所を示す)が、生成されてもよい。いくつかの実施形態では、微小気泡用量マップまたは時間的キャビテーション活動マップは、標的/非標的領域と微小気泡またはキャビテーション活動との間の空間的関係を描写する画像を生成するために、MR撮像データと組み合わせられてもよい。組み合わせられた画像に基づいて、超音波パラメータ値(例えば、周波数、振幅、および/または位相)および/または微小気泡特性(例えば、作用物質タイプ、サイズ、濃度、微小気泡を生成するための超音波エネルギーレベル、微小気泡注入部位の場所、および/または投与量またはタイミング等の投与プロファイル)が、処置目標を達成するために調節されてもよい。
【0014】
故に、一側面では、本発明は、解剖学的標的を処置するためのシステムに関する。種々の実施形態では、本システムは、処置装置と、時間間隔の間に解剖学的標的の1つ以上の画像を取得するための第1の撮像モダリティと、その時間間隔の間に第1の撮像可能物体(例えば、解剖学的特徴および/またはMRトラッカ)の一連の画像を取得するための第2の撮像モダリティであって、第1の撮像可能物体は、解剖学的標的に対する相対的場所を有し、第2の撮像モダリティは、第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、第2の撮像モダリティと、(i)標的と関連付けられる情報(例えば、場所、熱マップ、微小気泡用量マップ、および/または時間的キャビテーション活動マップ)を決定するように、解剖学的標的の画像を処理し、(ii)第1の撮像可能物体の一連の画像を処理し、(iii)一連の画像および解剖学的標的に対する第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡し、(iv)少なくとも部分的に、その時間間隔の間の追跡された移動および解剖学的標的と関連付けられる情報に基づいて、解剖学的標的を処置するための処置装置と関連付けられる処置計画を生成するように構成される、コントローラとを含む。一実装では、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、処置計画に基づいて、処置装置をアクティブ化するように構成される。
【0015】
第1または第2の撮像モダリティはさらに、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するように構成されてもよく、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するように構成されてもよい。代替として、本システムはさらに、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するための第3の撮像モダリティを含んでもよく、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、解剖学的標的および/または第2の撮像可能物体の予測された移動に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するように構成される。
【0016】
第1の撮像可能物体は、解剖学的標的を含んでもよい。代替として、第1の撮像可能物体は、解剖学的標的と異なり、コントローラはさらに、ステップ(c)において取得される一連の画像のそれぞれにおいて第1の撮像可能物体の場所を決定し、第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、解剖学的標的の場所を推測するように構成される。
【0017】
加えて、コントローラはさらに、その追跡された移動に基づいて、解剖学的標的と関連付けられる情報を更新するように構成されてもよい。例えば、解剖学的標的の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含んでもよく、コントローラはさらに、解剖学的標的の熱マップを生成するように、ベースライン位相画像から追跡された移動と関連付けられる位相偏移を減算するように構成される。一実施形態では、第1の撮像モダリティはさらに、第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリを取得する。コントローラはさらに、(i)第2の撮像モダリティを使用して取得された第1の撮像可能物体の画像のうちの1つを参照ライブラリ内の参照画像と比較し、最良に合致する参照画像を識別し、(ii)少なくとも部分的に、識別された最良に合致する参照画像に基づいて、位相偏移を決定するように構成される。
【0018】
第1および第2の撮像モダリティは、MRI装置を含んでもよく、MRI装置は、比較的に速い走査速度で解剖学的標的の画像を取得し、比較的に遅い走査速度で第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するように構成される。代替として、第1の撮像モダリティは、MRI装置を含んでもよく、第2の撮像モダリティは、カメラを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の撮像モダリティは、MRI装置を含み、第2の撮像モダリティは、超音波装置を含む。加えて、処置装置は、第2の撮像モダリティと同一である、または異なる超音波装置を含んでもよい。一実施形態では、超音波装置は、複数のトランスデューサ要素を含み、処置計画は、トランスデューサ要素のうちの1つ以上のものと関連付けられる振幅、周波数、位相、方向、および/またはアクティブ化時間を規定する。
【0019】
別の側面では、本発明は、解剖学的標的を処置するための処置計画を生成する方法に関する。種々の実施形態では、本方法は、(a)時間間隔の間に、第1の撮像モダリティを使用して、解剖学的標的の1つ以上の画像を取得し、それに基づいて、解剖学的標的と関連付けられる情報(例えば、場所、熱マップ、微小気泡用量マップ、および/または時間的キャビテーション活動マップ)を決定するステップと、(b)また、その時間間隔の間に、第2の撮像モダリティを使用して、第1の撮像可能物体(例えば、解剖学的特徴および/またはMRトラッカ)の一連の画像を取得するステップであって、第1の撮像可能物体は、解剖学的標的に対する相対的場所を有し、第2の撮像モダリティは、第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、ステップと、(c)その時間間隔の間にリアルタイムで、その画像、第1の撮像可能物体の一連の画像、および解剖学的標的に対する第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するステップと、(d)少なくとも部分的に、その時間間隔の間の追跡された移動および解剖学的標的と関連付けられる情報に基づいて、解剖学的標的を処置するための処置計画を生成するステップとを含む。一実装では、本方法はさらに、少なくとも部分的に、処置計画に基づいて、処置装置をアクティブ化するステップを含む。
【0020】
本方法は、第1、第2、または第3の撮像モダリティを使用し、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するステップと、少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するステップとを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、少なくとも部分的に、解剖学的標的および/または第2の撮像可能物体の予測された移動に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するステップを含む。第1の撮像可能物体は、解剖学的標的を含んでもよい。代替として、第1の撮像可能物体は、解剖学的標的と異なってもよく、本方法はさらに、ステップ(c)において取得される一連の画像のそれぞれにおいて第1の撮像可能物体の場所を決定し、第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、解剖学的標的の場所を推測するステップを含む。
【0021】
加えて、本方法はさらに、その追跡された移動に基づいて、解剖学的標的と関連付けられる情報を更新するステップを含んでもよい。例えば、解剖学的標的の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含んでもよく、本方法はさらに、解剖学的標的の熱マップを生成するように、ベースライン位相画像から追跡された移動と関連付けられる位相偏移を減算するステップを含んでもよい。一実施形態では、本方法はさらに、第1の撮像モダリティを使用し、第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリを取得するステップを含む。本方法はまた、第2の撮像モダリティを使用して取得された第1の撮像可能物体の画像のうちの1つを参照ライブラリ内の参照画像と比較し、最良に合致する参照画像を識別するステップと、少なくとも部分的に、識別された最良に合致する参照画像に基づいて、位相偏移を決定するステップとを含む。
【0022】
第1および第2の撮像モダリティは、MRI装置を含んでもよく、本方法はさらに、MRI装置をアクティブ化し、比較的に速い走査速度で解剖学的標的の画像を取得し、比較的に遅い走査速度で第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するステップを含む。代替として、第1の撮像モダリティは、MRI装置を含んでもよく、第2の撮像モダリティは、カメラを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の撮像モダリティは、MRI装置を含み、第2の撮像モダリティは、超音波装置を含む。加えて、処置装置は、第2の撮像モダリティと同一である、または異なる超音波装置を含んでもよい。一実施形態では、超音波装置は、複数のトランスデューサ要素を含み、処置計画は、トランスデューサ要素のうちの1つ以上のものと関連付けられる振幅、周波数、位相、方向、および/またはアクティブ化時間を規定する。
【0023】
本発明の別の側面は、解剖学的標的を処置するためのシステムに関する。種々の実施形態では、本システムは、処置装置と、処置の間に解剖学的標的の1つ以上の画像を取得するための第1の撮像モダリティと、処置の間に第1の撮像可能物体(例えば、解剖学的特徴および/またはMRトラッカ)の一連の画像を取得するための第2の撮像モダリティであって、第1の撮像可能物体は、解剖学的標的に対する相対的場所を有し、第2の撮像モダリティは、第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、第2の撮像モダリティと、コントローラであって、(i)標的と関連付けられる情報(例えば、場所、熱マップ、微小気泡用量マップ、および/または時間的キャビテーション活動マップ)を決定するように、解剖学的標的の画像を処理し、(ii)第1の撮像可能物体の一連の画像を処理し、(iii)一連の画像および解剖学的標的に対する第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡し、(iv)少なくとも部分的に、処置の間に取得された解剖学的標的の追跡された移動および情報に基づいて、処置装置に、治療を解剖学的標的に送達させるように構成される、コントローラとを含む。
【0024】
第1または第2の撮像モダリティはさらに、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するように構成されてもよく、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するように構成されてもよい。代替として、本システムはさらに、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するための第3の撮像モダリティを含んでもよく、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、解剖学的標的および/または第2の撮像可能物体の予測された移動に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するように構成される。
【0025】
第1の撮像可能物体は、解剖学的標的を含んでもよい。代替として、第1の撮像可能物体は、解剖学的標的と異なってもよく、コントローラはさらに、一連の画像のそれぞれにおいて第1の撮像可能物体の場所を決定し、第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、解剖学的標的の場所を推測するように構成される。加えて、コントローラはさらに、その追跡された移動に基づいて、解剖学的標的と関連付けられる情報を更新するように構成されてもよい。例えば、解剖学的標的の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含んでもよく、コントローラはさらに、解剖学的標的の熱マップを生成するように、ベースライン位相画像から追跡された移動と関連付けられる位相偏移を減算するように構成される。一実施形態では、第1の撮像モダリティはさらに、第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリを取得する。コントローラはさらに、(i)第2の撮像モダリティを使用して取得された第1の撮像可能物体の画像のうちの1つを参照ライブラリ内の参照画像と比較し、最良に合致する参照画像を識別し、(ii)少なくとも部分的に、識別された最良に合致する参照画像に基づいて、位相偏移を決定するように構成される。
【0026】
第1および第2の撮像モダリティは、MRI装置を含んでもよく、MRI装置は、比較的に速い走査速度で解剖学的標的の画像を取得し、比較的に遅い走査速度で第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するように構成される。代替として、第1の撮像モダリティは、MRI装置を含んでもよく、第2の撮像モダリティは、カメラを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の撮像モダリティは、MRI装置を含み、第2の撮像モダリティは、超音波装置を含む。加えて、処置装置は、第2の撮像モダリティと同一である、または異なる超音波装置を含んでもよい。一実施形態では、超音波装置は、複数のトランスデューサ要素を含み、処置計画は、トランスデューサ要素のうちの1つ以上のものと関連付けられる振幅、周波数、位相、方向、および/またはアクティブ化時間を規定する。
【0027】
さらに別の側面では、本発明は、時間間隔の間に解剖学的標的の熱マップを提供するためのシステムに関する。種々の実施形態では、本システムは、その時間間隔の間に解剖学的標的の1つ以上の画像を取得するための第1の撮像モダリティと、その時間間隔の間に第1の撮像可能物体(例えば、解剖学的特徴および/またはMRトラッカ)の一連の画像を取得するための第2の撮像モダリティであって、第1の撮像可能物体は、解剖学的標的に対する相対的場所を有し、第2の撮像モダリティは、第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、第2の撮像モダリティと、コントローラであって、(i)その熱マップを生成するように、解剖学的標的の画像を処理し、(ii)第1の撮像可能物体の一連の画像を処理し、(iii)一連の画像および解剖学的標的に対する第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡し、(iv)少なくとも部分的に、その時間間隔の間の解剖学的標的の追跡された移動および情報に基づいて、解剖学的標的の熱マップを更新するように構成される、コントローラとを含む。
【0028】
第1または第2の撮像モダリティはさらに、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するように構成されてもよく、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するように構成されてもよい。代替として、本システムはさらに、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するための第3の撮像モダリティを含んでもよく、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、解剖学的標的および/または第2の撮像可能物体の予測された移動に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するように構成される。
【0029】
第1の撮像可能物体は、解剖学的標的を含んでもよい。代替として、第1の撮像可能物体は、解剖学的標的と異なってもよく、コントローラはさらに、一連の画像のそれぞれにおいて第1の撮像可能物体の場所を決定し、第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、解剖学的標的の場所を推測するように構成される。加えて、解剖学的標的の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含んでもよく、コントローラはさらに、解剖学的標的の熱マップを生成するように、ベースライン位相画像から追跡された移動と関連付けられる位相偏移を減算するように構成される。一実施形態では、第1の撮像モダリティはさらに、第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリを取得する。コントローラはさらに、(i)第2の撮像モダリティを使用して取得された第1の撮像可能物体の画像のうちの1つを参照ライブラリ内の参照画像と比較し、最良に合致する参照画像を識別し、(ii)少なくとも部分的に、識別された最良に合致する参照画像に基づいて、位相偏移を決定するように構成される。
【0030】
第1および第2の撮像モダリティは、MRI装置を含んでもよく、MRI装置は、比較的に速い走査速度で解剖学的標的の画像を取得し、比較的に遅い走査速度で第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するように構成される。代替として、第1の撮像モダリティは、MRI装置を含んでもよく、第2の撮像モダリティは、カメラを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の撮像モダリティは、MRI装置を含み、第2の撮像モダリティは、超音波装置を含む。
【0031】
本発明のなおも別の側面は、解剖学的標的と関連付けられる場所および熱マップを描写する撮像を提供するためのシステムに関する。種々の実施形態では、本システムは、解剖学的標的の1つ以上の画像を取得するための第1の撮像モダリティと、第1の撮像可能物体(例えば、解剖学的特徴および/またはMRトラッカ)の一連の画像を取得するための第2の撮像モダリティであって、第1の撮像可能物体は、解剖学的標的に対する相対的場所を有し、第2の撮像モダリティは、第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、第2の撮像モダリティと、コントローラであって、(i)熱マップを生成するように、解剖学的標的の画像を処理し、(ii)第1の撮像可能物体の一連の画像を処理し、(iii)一連の画像および解剖学的標的に対する第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、コントローラと、(d)解剖学的標的の生成された熱マップおよび追跡された移動を同時に表示するためのディスプレイとを含む。
【0032】
一実装では、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、解剖学的標的の表示された熱マップおよび移動に基づいて、処置装置(例えば、超音波装置)をアクティブ化するように構成される。加えて、第1の撮像モダリティは、MRI装置を含んでもよく、第2の撮像モダリティは、処置のための超音波装置と異なる第2の超音波装置を含んでもよい。代替として、第1の撮像モダリティは、MRI装置を含んでもよく、第2の撮像モダリティは、カメラを含んでもよい。一実施形態では、第1および第2の撮像モダリティは、MRI装置を含み、MRI装置は、比較的に速い走査速度で解剖学的標的の画像を取得し、比較的に遅い走査速度で第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するように構成される。
【0033】
第1または第2の撮像モダリティはさらに、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するように構成されてもよく、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するように構成されてもよい。代替として、本システムはさらに、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するための第3の撮像モダリティを含んでもよく、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラはさらに、少なくとも部分的に、解剖学的標的および/または第2の撮像可能物体の予測された移動に基づいて、解剖学的標的の移動を追跡するように構成される。
【0034】
第1の撮像可能物体は、解剖学的標的を含んでもよい。代替として、第1の撮像可能物体は、解剖学的標的と異なってもよく、コントローラはさらに、一連の画像のそれぞれにおいて第1の撮像可能物体の場所を決定し、第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、解剖学的標的の場所を推測するように構成される。加えて、コントローラはさらに、追跡された移動に基づいて、熱マップを更新するように構成されてもよい。例えば、解剖学的標的の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含んでもよく、コントローラはさらに、解剖学的標的の熱マップを生成するように、1つ以上のベースライン位相画像から追跡された移動と関連付けられる位相偏移を減算するように構成される。一実施形態では、第1の撮像モダリティはさらに、第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリを取得する。コントローラはさらに、(i)第2の撮像モダリティを使用して取得された第1の撮像可能物体の画像のうちの1つを参照ライブラリ内の参照画像と比較し、最良に合致する参照画像を識別し、(ii)少なくとも部分的に、識別された最良に合致する参照画像に基づいて、位相偏移を決定するように構成される。
【0035】
本明細書で使用されるように、用語「実質的に」は、ピーク強度の±10%を意味し、いくつかの実施形態では、その±5%を意味する。本明細書全体を通して、「一実施例」、「ある実施例」、「一実施形態」、または「ある実施形態」の言及は、実施例と関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本技術の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通した種々の箇所における語句「一実施例では」、「ある実施例では」、「一実施形態」、または「ある実施形態」の出現は、必ずしも全てが同一の実施例を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、ルーチン、ステップ、または特性は、本教示の1つ以上の実施例において任意の好適な様式で組み合わせられてもよい。本明細書に提供される見出しは、便宜上のためだけのものであり、請求される技術の範囲または意味を限定または解釈することを意図していない。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
解剖学的標的を処置するためのシステムであって、前記システムは、
(a)処置装置と、
(b)時間間隔の間に前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得するための第1の撮像モダリティと、
(c)前記時間間隔の間に第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するための第2の撮像モダリティであって、前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的に対する相対的場所を有し、前記第2の撮像モダリティは、前記第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、第2の撮像モダリティと、
(d)コントローラであって、前記コントローラは、(i)前記標的と関連付けられる情報を決定するように、前記解剖学的標的の1つ以上の画像を処理することと、(ii)前記第1の撮像可能物体の一連の画像を処理することと、(iii)前記一連の画像および前記解剖学的標的に対する前記第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡することと、(iv)少なくとも部分的に、前記時間間隔の間の前記追跡された移動および前記解剖学的標的と関連付けられる情報に基づいて、前記解剖学的標的を処置するための前記処置装置と関連付けられる処置計画を生成することとを行うように構成される、コントローラと
を備える、システム。
(項目2)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記処置計画に基づいて、前記処置装置をアクティブ化するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記第1または第2の撮像モダリティはさらに、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するように構成され、前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目4)
第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するための第3の撮像モダリティをさらに備え、前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記解剖学的標的の予測された移動に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の予測された移動に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目7)
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的を含む、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的と異なり、前記コントローラはさらに、ステップ(c)において取得される前記一連の画像のそれぞれにおいて前記第1の撮像可能物体の場所を決定し、前記第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、前記解剖学的標的の場所を推測するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目9)
前記第1の撮像可能物体は、解剖学的特徴である、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記第1の撮像可能物体は、MRトラッカである、項目8に記載のシステム。
(項目11)
前記解剖学的標的と関連付けられる情報は、場所、熱マップ、微小気泡用量マップ、またはその時間的キャビテーション活動マップのうちの少なくとも1つを含む、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記コントローラはさらに、その前記追跡された移動に基づいて、前記解剖学的標的と関連付けられる情報を更新するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目13)
前記解剖学的標的の1つ以上の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含み、前記コントローラはさらに、前記解剖学的標的の熱マップを生成するように、前記1つ以上のベースライン位相画像から前記追跡された移動と関連付けられる位相偏移を減算するように構成される、項目12に記載のシステム。
(項目14)
前記第1の撮像モダリティはさらに、前記第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリを取得する、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記コントローラはさらに、(i)前記第2の撮像モダリティを使用して取得された前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つを前記参照ライブラリ内の前記参照画像と比較し、最良に合致する参照画像を識別することと、(ii)少なくとも部分的に、前記識別された最良に合致する参照画像に基づいて、前記位相偏移を決定することとを行うように構成される、項目14に記載のシステム。
(項目16)
前記第1および前記第2の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記MRI装置は、比較的に速い走査速度で前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得し、比較的に遅い走査速度で前記第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目17)
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、カメラを備える、項目1に記載のシステム。
(項目18)
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、超音波装置を備える、項目1に記載のシステム。
(項目19)
前記処置装置は、前記超音波装置を備える、項目18に記載のシステム。
(項目20)
前記処置装置は、前記第2の撮像モダリティと異なる第2の超音波装置を備える、項目18に記載のシステム。
(項目21)
前記超音波装置は、複数のトランスデューサ要素を備え、前記処置計画は、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つと関連付けられる振幅、周波数、位相、方向、またはアクティブ化時間のうちの少なくとも1つを規定する、項目18に記載のシステム。
(項目22)
解剖学的標的を処置するための処置計画を生成する方法であって、前記方法は、
(a)時間間隔の間に、第1の撮像モダリティを使用して、前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得し、それに基づいて、前記解剖学的標的と関連付けられる情報を決定するステップと、
(b)また、前記時間間隔の間に、第2の撮像モダリティを使用して、第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するステップであって、前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的に対する相対的場所を有し、前記第2の撮像モダリティは、前記第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、ステップと、
(c)前記時間間隔の間にリアルタイムで、その前記1つ以上の画像、前記第1の撮像可能物体の一連の画像、および前記解剖学的標的に対する前記第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するステップと、
(d)少なくとも部分的に、前記時間間隔の間の前記追跡された移動および前記解剖学的標的と関連付けられる情報に基づいて、前記解剖学的標的を処置するための処置計画を生成するステップと
を含む、方法。
(項目23)
少なくとも部分的に、前記処置計画に基づいて、処置装置をアクティブ化するステップをさらに含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記処置装置は、超音波装置を備える、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、超音波装置を備える、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記処置装置は、前記第2の撮像モダリティと異なる第2の超音波装置を備える、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記超音波装置は、複数のトランスデューサ要素を備え、前記処置計画は、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つと関連付けられる振幅、周波数、位相、方向、またはアクティブ化時間のうちの少なくとも1つを規定する、項目24に記載の方法。
(項目28)
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、カメラを備える、項目22に記載の方法。
(項目29)
前記第1または第2の撮像モダリティを使用し、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するステップと、
少なくとも部分的に、前記第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するステップと
をさらに含む、項目22に記載の方法。
(項目30)
第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するための第3の撮像モダリティを使用するステップと、
少なくとも部分的に、前記第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するステップと
をさらに含む、項目22に記載の方法。
(項目31)
少なくとも部分的に、前記解剖学的標的の予測された移動に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するステップをさらに含む、項目22に記載の方法。
(項目32)
少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の予測された移動に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するステップをさらに含む、項目22に記載の方法。
(項目33)
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的を含む、項目22に記載の方法。
(項目34)
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的と異なり、前記方法はさらに、ステップ(c)において取得される前記一連の画像のそれぞれにおいて前記第1の撮像可能物体の場所を決定し、前記第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、前記解剖学的標的の場所を推測するステップを含む、項目22に記載の方法。
(項目35)
前記第1の撮像可能物体は、解剖学的特徴である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記第1の撮像可能物体は、MRトラッカである、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記解剖学的標的と関連付けられる情報は、場所、熱マップ、微小気泡用量マップ、またはその時間的キャビテーション活動マップのうちの少なくとも1つを含む、項目22に記載の方法。
(項目38)
その前記追跡された移動に基づいて、前記解剖学的標的と関連付けられる情報を更新するステップをさらに含む、項目22に記載の方法。
(項目39)
前記解剖学的標的の1つ以上の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含み、前記方法はさらに、前記解剖学的標的の熱マップを生成するように、前記1つ以上のベースライン位相画像から前記追跡された移動と関連付けられる位相偏移を減算するステップを含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記第1の撮像モダリティを使用し、前記第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリを取得するステップをさらに含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記第2の撮像モダリティを使用して取得された前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つを前記参照ライブラリ内の前記参照画像と比較し、最良に合致する参照画像を識別するステップと、
少なくとも部分的に、前記識別された最良に合致する参照画像に基づいて、前記位相偏移を決定するステップと
をさらに含む、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記第1および前記第2の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記方法はさらに、前記MRI装置をアクティブ化し、比較的に速い走査速度で前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得し、比較的に遅い走査速度で前記第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するステップを含む、項目22に記載の方法。
(項目43)
解剖学的標的を処置するためのシステムであって、前記システムは、
(a)処置装置と、
(b)処置の間に前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得するための第1の撮像モダリティと、
(c)処置の間に第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するための第2の撮像モダリティであって、前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的に対する相対的場所を有し、前記第2の撮像モダリティは、前記第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、第2の撮像モダリティと、
(d)コントローラであって、前記コントローラは、(i)それと関連付けられる情報を決定するように、前記解剖学的標的の1つ以上の画像を処理することと、(ii)前記第1の撮像可能物体の一連の画像を処理することと、(iii)前記一連の画像および前記解剖学的標的に対する前記第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡することと、(iv)少なくとも部分的に、処置の間に取得された前記解剖学的標的の追跡された移動および情報に基づいて、前記処置装置に、治療を前記解剖学的標的に送達させることとを行うように構成される、コントローラと
を備える、システム。
(項目44)
前記第1または第2の撮像モダリティはさらに、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するように構成され、前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目43に記載のシステム。
(項目45)
第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するための第3の撮像モダリティをさらに備え、前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目43に記載のシステム。
(項目46)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記解剖学的標的の予測された移動に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目43に記載のシステム。
(項目47)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の予測された移動に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目43に記載のシステム。
(項目48)
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的を含む、項目43に記載のシステム。
(項目49)
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的と異なり、前記コントローラはさらに、前記一連の画像のそれぞれにおいて前記第1の撮像可能物体の場所を決定し、前記第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、前記解剖学的標的の場所を推測するように構成される、項目43に記載のシステム。
(項目50)
前記第1の撮像可能物体は、解剖学的特徴である、項目49に記載のシステム。
(項目51)
前記第1の撮像可能物体は、MRトラッカである、項目49に記載のシステム。
(項目52)
前記解剖学的標的と関連付けられる情報は、場所、熱マップ、微小気泡用量マップ、またはその時間的キャビテーション活動マップのうちの少なくとも1つを含む、項目43に記載のシステム。
(項目53)
前記コントローラはさらに、その前記追跡された移動に基づいて、前記解剖学的標的と関連付けられる情報を更新するように構成される、項目43に記載のシステム。
(項目54)
前記解剖学的標的の1つ以上の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含み、前記コントローラはさらに、前記解剖学的標的の熱マップを生成するように、前記1つ以上のベースライン位相画像から前記追跡された移動と関連付けられる位相偏移を減算するように構成される、項目53に記載のシステム。
(項目55)
前記第1の撮像モダリティはさらに、前記第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリを取得する、項目54に記載のシステム。
(項目56)
前記コントローラはさらに、(i)前記第2の撮像モダリティを使用して取得された前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つを前記参照ライブラリ内の前記参照画像と比較し、最良に合致する参照画像を識別することと、(ii)少なくとも部分的に、前記識別された最良に合致する参照画像に基づいて、前記位相偏移を決定することとを行うように構成される、項目55に記載のシステム。
(項目57)
前記第1および前記第2の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記MRI装置は、比較的に速い走査速度で前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得し、比較的に遅い走査速度で前記第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するように構成される、項目43に記載のシステム。
(項目58)
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、カメラを備える、項目43に記載のシステム。
(項目59)
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、超音波装置を備える、項目43に記載のシステム。
(項目60)
前記処置装置は、前記超音波装置を備える、項目59に記載のシステム。
(項目61)
前記処置装置は、前記第2の撮像モダリティと異なる第2の超音波装置を備える、項目59に記載のシステム。
(項目62)
前記超音波装置は、複数のトランスデューサ要素を備え、前記コントローラはさらに、治療を前記解剖学的標的に送達するように、前記トランスデューサ要素のうちの少なくとも1つと関連付けられる振幅、周波数、位相、方向、またはアクティブ化時間のうちの少なくとも1つを規定するように構成される、項目59に記載のシステム。
(項目63)
時間間隔の間に解剖学的標的の熱マップを提供するためのシステムであって、前記システムは、
(a)前記時間間隔の間に前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得するための第1の撮像モダリティと、
(b)前記時間間隔の間に第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するための第2の撮像モダリティであって、前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的に対する相対的場所を有し、前記第2の撮像モダリティは、前記第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、第2の撮像モダリティと、
(c)コントローラであって、前記コントローラは、(i)その前記熱マップを生成するように、前記解剖学的標的の1つ以上の画像を処理することと、(ii)前記第1の撮像可能物体の一連の画像を処理することと、(iii)前記一連の画像および前記解剖学的標的に対する前記第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡することと、(iv)少なくとも部分的に、前記時間間隔の間の前記解剖学的標的の追跡された移動および情報に基づいて、前記解剖学的標的の熱マップを更新することとを行うように構成される、コントローラと
を備える、システム。
(項目64)
前記第1または第2の撮像モダリティはさらに、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するように構成され、前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目63に記載のシステム。
(項目65)
第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するための第3の撮像モダリティをさらに備え、前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目63に記載のシステム。
(項目66)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記解剖学的標的の予測された移動に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目63に記載のシステム。
(項目67)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の予測された移動に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目63に記載のシステム。
(項目68)
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的を含む、項目63に記載のシステム。
(項目69)
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的と異なり、前記コントローラはさらに、前記一連の画像のそれぞれにおいて前記第1の撮像可能物体の場所を決定し、前記第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、前記解剖学的標的の場所を推測するように構成される、項目63に記載のシステム。
(項目70)
前記第1の撮像可能物体は、解剖学的特徴である、項目69に記載のシステム。
(項目71)
前記第1の撮像可能物体は、MRトラッカである、項目69に記載のシステム。
(項目72)
前記解剖学的標的の1つ以上の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含み、前記コントローラはさらに、前記解剖学的標的の熱マップを生成するように、前記1つ以上のベースライン位相画像から前記追跡された移動と関連付けられる位相偏移を減算するように構成される、項目63に記載のシステム。
(項目73)
前記第1の撮像モダリティはさらに、前記第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリを取得する、項目72に記載のシステム。
(項目74)
前記コントローラはさらに、(i)前記第2の撮像モダリティを使用して取得された前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つを前記参照ライブラリ内の前記参照画像と比較し、最良に合致する参照画像を識別することと、(ii)少なくとも部分的に、前記識別された最良に合致する参照画像に基づいて、前記位相偏移を決定することとを行うように構成される、項目73に記載のシステム。
(項目75)
前記第1および前記第2の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記MRI装置は、比較的に速い走査速度で前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得し、比較的に遅い走査速度で前記第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するように構成される、項目63に記載のシステム。
(項目76)
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、カメラを備える、項目63に記載のシステム。
(項目77)
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、超音波装置を備える、項目63に記載のシステム。
(項目78)
解剖学的標的と関連付けられる場所および熱マップを描写する撮像を提供するためのシステムであって、前記システムは、
(a)前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得するための第1の撮像モダリティと、
(b)第1の撮像可能物体の1つ以上の画像を取得するための第2の撮像モダリティであって、前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的に対する相対的場所を有し、前記第2の撮像モダリティは、前記第1の撮像モダリティよりも高い画像捕捉速度を有する、第2の撮像モダリティと、
(c)コントローラであって、前記コントローラは、(i)前記熱マップを生成するように、前記解剖学的標的の1つ以上の画像を処理することと、(ii)前記第1の撮像可能物体の一連の画像を処理することと、(iii)前記一連の画像および前記解剖学的標的に対する前記第1の撮像可能物体の相対的場所に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡することとを行うように構成される、コントローラと、
(d)前記解剖学的標的の生成された熱マップおよび追跡された移動を同時に表示するためのディスプレイと
を備える、システム。
(項目79)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記解剖学的標的の表示された熱マップおよび移動に基づいて、処置装置をアクティブ化するように構成される、項目78に記載のシステム。
(項目80)
前記処置装置は、超音波装置を備える、項目79に記載のシステム。
(項目81)
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、処置のための前記超音波装置と異なる第2の超音波装置を備える、項目80に記載のシステム。
(項目82)
前記第1の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記第2の撮像モダリティは、カメラを備える、項目78に記載のシステム。
(項目83)
前記第1または第2の撮像モダリティはさらに、第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するように構成され、前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目78に記載のシステム。
(項目84)
第2の撮像可能物体の第2の一連の画像を取得するための第3の撮像モダリティをさらに備え、前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記第2の撮像可能物体の第2の一連の画像に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目78に記載のシステム。
(項目85)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記解剖学的標的の予測された移動に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目78に記載のシステム。
(項目86)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、第2の撮像可能物体の予測された移動に基づいて、前記解剖学的標的の移動を追跡するように構成される、項目78に記載のシステム。
(項目87)
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的を含む、項目78に記載のシステム。
(項目88)
前記第1の撮像可能物体は、前記解剖学的標的と異なり、前記コントローラはさらに、前記一連の画像のそれぞれにおいて前記第1の撮像可能物体の場所を決定し、前記第1の撮像可能物体の決定された場所に基づいて、前記解剖学的標的の場所を推測するように構成される、項目78に記載のシステム。
(項目89)
前記第1の撮像可能物体は、解剖学的特徴である、項目88に記載のシステム。
(項目90)
前記第1の撮像可能物体は、MRトラッカである、項目88に記載のシステム。
(項目91)
前記コントローラはさらに、前記追跡された移動に基づいて、前記熱マップを更新するように構成される、項目78に記載のシステム。
(項目92)
前記解剖学的標的の1つ以上の画像は、1つ以上のベースライン位相画像を含み、前記コントローラはさらに、前記解剖学的標的の熱マップを生成するように、前記1つ以上のベースライン位相画像から前記追跡された移動と関連付けられる位相偏移を減算するように構成される、項目91に記載のシステム。
(項目93)
前記第1の撮像モダリティはさらに、前記第1の撮像可能物体の一連の参照画像を含む参照ライブラリを取得する、項目92に記載のシステム。
(項目94)
前記コントローラはさらに、(i)前記第2の撮像モダリティを使用して取得された前記第1の撮像可能物体の画像のうちの1つを前記参照ライブラリ内の前記参照画像と比較し、最良に合致する参照画像を識別することと、(ii)少なくとも部分的に、前記識別された最良に合致する参照画像に基づいて、前記位相偏移を決定することとを行うように構成される、項目93に記載のシステム。
(項目95)
前記第1および前記第2の撮像モダリティは、MRI装置を備え、前記MRI装置は、比較的に速い走査速度で前記解剖学的標的の1つ以上の画像を取得し、比較的に遅い走査速度で前記第1の撮像可能物体の一連の画像を取得するように構成される、項目78に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図面では、同様の参照文字は、概して、異なる図全体を通して同一の部分を指す。また、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、本発明の原理を図示することに重点が置かれている。以下の説明では、本発明の種々の実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
【0037】
図1図1は、種々の実施形態による、集束超音波システムを図示する。
【0038】
図2図2は、本発明の種々の実施形態による、例示的MRI装置を図示する。
【0039】
図3A図3Aおよび3Bは、本発明の種々の実施形態による、標的場所を追跡し、それに基づいて処置計画を作成するためのアプローチを図示する、フローチャートである。
図3B図3Aおよび3Bは、本発明の種々の実施形態による、標的場所を追跡し、それに基づいて処置計画を作成するためのアプローチを図示する、フローチャートである。
【0040】
図3C図3Cは、本発明の種々の実施形態による、標的場所を追跡し、それに基づいて処置計画を調節するためのアプローチを図示する、フローチャートである。
【0041】
図4A図4Aおよび4Bは、本発明の種々の実施形態による、標的が有意な移動を受けているかどうかを決定するためのアプローチを描写する。
図4B図4Aおよび4Bは、本発明の種々の実施形態による、標的が有意な移動を受けているかどうかを決定するためのアプローチを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、頭蓋骨を通して患者の脳内に超音波を集束させるための例示的超音波治療システム100を図示する。しかしながら、当業者は、本明細書に説明される超音波システム100が人体の任意の部分に印加され得ることを理解するであろう。種々の実施形態では、システム100は、トランスデューサ要素104の位相アレイ102と、位相アレイ102を駆動するビーム形成器106と、ビーム形成器106と通信するコントローラ108と、入力電子信号をビーム形成器106に提供する周波数発生器110とを含む。種々の実施形態では、本システムはさらに、患者116の脳および/または頭蓋骨114の情報(例えば、幾何学形状、物質特性、解剖学的特性等)を取得するために、MRIデバイス、コンピュータトモグラフィ(CT)デバイス、陽電子放出トモグラフィ(PET)デバイス、単一光子放出コンピュータトモグラフィ(SPECT)デバイス、または超音波検査デバイス等のイメージャ112を含む。
【0043】
アレイ102は、頭蓋骨114の表面または頭蓋骨以外の身体部分上での留置のために好適な湾曲(例えば、球形または放物線)形状を有してもよい、または1つ以上の平面または別様に成形された区分を含んでもよい。その寸法は、用途に応じて、数ミリメートル~数十センチメートルで変動し得る。アレイ102のトランスデューサ要素104は、圧電セラミック要素またはシリコンベースの要素であってもよく、要素104の間の機械的結合を減衰させるために好適な任意の他の材料において搭載されてもよい。圧電複合材料、または概して、電気エネルギーを音響エネルギーに変換することが可能な任意の材料(例えば、シリコンデバイス)もまた、使用されてもよい。トランスデューサ要素104への最大電力伝達および最小反射を確実にするために、要素104は、具体的(すなわち、合致する)電気共鳴(例えば、50Ω)のために構成されてもよい。
【0044】
トランスデューサアレイ102は、ビーム形成器106に結合され、これは、それらが集束超音波ビームまたは場を集合的に生産するように個々のトランスデューサ要素104を駆動する。n個のトランスデューサ要素に関して、ビーム形成器106は、n個の駆動回路を含有してもよく、該n個の駆動回路のそれぞれは、増幅器118と、位相遅延回路120とを含む、またはそれらから成り、駆動回路は、トランスデューサ要素104のうちの1つを駆動する。ビーム形成器106は、典型的には、0.1MHz~10MHzの範囲内の無線周波数(RF)入力信号を、例えば、Stanford Research Systemsから入手可能なModel DS345発生器であり得る周波数発生器110から受信する。入力信号は、ビーム形成器106のn個の増幅器118および遅延回路120のためにn個のチャネルに分割されてもよい。いくつかの実施形態では、周波数発生器110は、ビーム形成器106と統合される。無線周波数発生器110およびビーム形成器106は、トランスデューサアレイ102の個々のトランスデューサ要素104を、同一の周波数であるが、異なる位相および/または異なる振幅において駆動するように構成される。
【0045】
ビーム形成器106によって課される増幅または減衰定数α-αおよび位相偏移a-aは、患者の頭蓋骨114を通して患者の脳の選択された領域(例えば、標的領域117)上に超音波エネルギーを伝送および集束させ、頭蓋骨114および軟質脳組織において誘発される波歪みを考慮する役割を果たす。増幅定数および位相偏移は、コントローラ108を使用して算出され、これは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ハード配線、またはそれらの任意の組み合わせを通してコンピュータ機能を提供してもよい。例えば、コントローラ108は、所望の集束または任意の他の所望の空間場パターンを取得するために必要な位相偏移および増幅定数を決定するために、従来の様式で、過度の実験を伴わず、ソフトウェアを用いてプログラムされる汎用または専用デジタルデータプロセッサを利用してもよい。ある実施形態では、算出は、頭蓋骨114の特性(例えば、構造、厚さ、密度等)および音響エネルギーの伝搬に対するそれらの影響についての詳細な情報に基づく。そのような情報は、下記にさらに説明されるように、イメージャ112から取得されてもよい。画像取得は、3次元であってもよい、または代替として、イメージャ112は、それから厚さおよび密度が推測され得る頭蓋骨114の3次元画像を再構成するために好適な2次元画像のセットを提供してもよい。画像操作機能性が、イメージャ112において、コントローラ108において、または別個のデバイスにおいて実装されてもよい。
【0046】
種々の実施形態では、イメージャ112は、MRI装置である。図2を参照すると、MRI装置200は、円筒形電磁石204を含んでもよく、これは、電磁石204のボア206内に必須の静的磁場を生成する。医療手技の間、患者は、移動可能支持クレードル208上でボア206の内側に設置される。着目領域210(例えば、患者の頭部)が、電磁石204が実質的に均質な場を生成する撮像領域212内に位置付けられてもよい。円筒形磁場勾配コイル213のセットもまた、ボア206内に提供され、患者を囲繞してもよい。勾配コイル213は、所定の時間に、3つの相互に直交する方向において、所定の大きさの磁場勾配を生成する。磁場勾配を伴うと、異なる空間的場所が、異なる歳差運動周波数と関連付けられ、それによって、MR画像にその空間分解能を与えることができる。撮像領域212を囲繞するRF送信機コイル214が、RFパルスを撮像領域212の中に放出し、着目領域210から放出されるMR応答信号を受信する(代替として、別個のMR送信機および受信機コイルが、使用されてもよい)。
【0047】
MRI装置200は、概して、パルスシーケンス、すなわち、磁場勾配の相対的タイミングおよび強度およびRF励起パルスおよび応答検出周期を制御するMRIコントローラ216を含む。MRIコントローラ216は、トランスデューサコントローラ108とともに統合システム制御設備に組み合わせられてもよい。
【0048】
MR応答信号は、従来の画像処理システムを使用して、増幅され、調整され、未加工データにデジタル化され、当業者に公知の従来の方法によって画像データのアレイにさらに変換される。画像処理システムは、MRIコントローラ216の一部であってもよい、またはMRIコントローラ216および/またはトランスデューサコントローラ108と通信する別個のデバイス(例えば、画像処理ソフトウェアを含有する汎用コンピュータ)であってもよい。応答信号は、組織および温度依存性であるため、これは、画像内の処置標的領域(例えば、熱によって破壊される腫瘍)117を識別するために、および画像から温度マップを算出するために処理されることができる。さらに、超音波印加からもたらされる音響場は、例えば、熱MRIまたはMRベースの音響放射力撮像を使用してリアルタイムで監視されてもよい。したがって、MRIデータを使用して、超音波トランスデューサ102は、標的および周辺組織の温度および/または音響場強度が監視されている間に処置領域117に(またはその近傍に)超音波を集束させるように駆動されてもよい。
【0049】
上記に説明されるように、MR撮像は、生体内温度を定量的に監視する非侵襲的手段を提供することができる。これは、特に、標的領域117の温度が、処置の進行を評価し、熱伝導およびエネルギー吸収における局所差異を補正し、標的を囲繞する組織への損傷を回避するために連続的に監視されるべきである、MR誘導温熱治療(例えば、MR誘導集束超音波(MRgFUS)処置)において有用である。温度の監視(例えば、測定および/またはマッピング)は、概して、好適な画像処理ソフトウェアと併せたMR撮像(MR温度測定またはMR熱撮像と称される)に基づく。
【0050】
MR温度測定のために利用可能な種々の方法の中で、PRF偏移方法は、多くの場合、温度変化に対するその線形性、組織タイプからのほぼ独立性、およびそれを用いて取得される温度マップの高い空間的および時間的分解能に起因して、一般的に好まれる方法である。PRF偏移方法は、水分子中の陽子のMR共鳴周波数が、温度とともに(有利なこととして、組織タイプの中で比較的に一定である比例定数とともに)線形に変化する現象に基づく。温度による周波数変化は小さく、バルク水に関してわずか-0.01ppm/℃であり、組織において約-0.0096~-0.013ppm/℃であるため、PRF偏移は、典型的には、位相感受性撮像方法を用いて検出され、撮像は、2度、すなわち、最初に、温度変化に先立ってベースラインPRF位相画像を取得するために実施され、次いで、温度変化の後の第2の位相画像、すなわち、処置画像を取得するために実施され、それによって、温度の変化に比例する小さい位相変化を捕捉する。温度変化のマップが、次いで、ピクセル毎ベースで、ベースライン画像と処置画像との間の位相差を決定し、静的磁場の強度および(例えば、勾配再呼出しエコーの)エコー時間(TE)等の撮像パラメータを考慮しながら、PRF温度依存性に基づいて位相差を温度差に変換することによって、(再構成された、すなわち、実空間)画像から算出されてもよい。
【0051】
種々の実施形態では、超音波処置手技に先立って、MRI装置200は、標的および/または非標的領域の1つ以上の画像を取得する。取得されたMR画像は、処置計画の目的のための正確な場所情報、および処置の間の標的および/または非標的領域における温度を決定するためのベースライン位相マップを提供する。いくつかの実施形態では、超音波処置は、微小気泡を伴う。例えば、微小気泡は、BBB開放、処置効果の強化、および/または自動焦点のために、音響エネルギーによって生成される、および/または全身注入によって導入されてもよい。音響信号検出器(例えば、トランスデューサアレイ102および/または音響信号センサ122)が、標的/非標的領域における微小気泡についての情報を取得するために実装されてもよく、取得された微小気泡情報は、次いで、微小気泡用量マップまたは時間的キャビテーション活動マップを作成するために分析されてもよい。例えば、処置の間、微小気泡から発生する音響応答は、音響信号検出器を使用して検出されてもよい。検出された信号を分析することによって、コントローラ108は、微小気泡の量および/または微小気泡キャビテーションと関連付けられるタイプ、用量、および/または場所を決定してもよい。それに基づいて、経時的な微小気泡用量マップおよび/またはキャビテーション活動マップが、作成されてもよい。微小気泡から音響応答を測定し、微小気泡量およびキャビテーションタイプ、用量、および/または場所を決定することに対するアプローチが、例えば、国際出願第PCT/IB2018/000774号(2018年5月22日出願)および米国特許出願第15/415,351号(2017年1月25日出願)(その全開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0052】
いくつかの実施形態では、微小気泡から測定された音響信号は、標的/非標的領域の場所と微小気泡またはキャビテーション活動の場所との間の空間的関係を図示する組み合わせられた画像を生成するように、標的/非標的領域のMR画像と組み合わせられる。組み合わせられた画像に基づいて、超音波パラメータ値(例えば、周波数、振幅、および/または位相)および/または微小気泡特性(例えば、作用物質タイプ、サイズ、濃度、微小気泡を生成するための超音波エネルギーレベル、微小気泡注入部位の場所、および/または投与量またはタイミング等の投与プロファイル)が、BBB開放、超音波処置の強化、および/または自動焦点の目的のために調節されてもよい。MR撮像データの微小気泡用量マップまたはキャビテーション活動マップとの組み合わせは、異なる撮像モダリティ(例えば、超音波撮像およびMR撮像)を伴い得るため、それらの個別の座標系を位置合わせすることが、必要であり得、例示的位置合わせアプローチが、例えば、米国特許第9,934,570号(その全開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0053】
しかしながら、MR撮像データの取得は、数分から数十分かかり得、さらに、本周期の間の患者の運動(例えば、呼吸または回転運動)は、位相背景および/または標的/非標的場所を有意に変化させ得るため、MR撮像データに基づく測定は、不正確であり得る。故に、標的組織の処置効率を改良し、非標的組織への損傷を回避するように、標的場所を追跡し、リアルタイムでその運動を補償することが、必要であり得る。図3Aおよび3Bは、種々の実施形態による、標的/非標的領域の運動を追跡し、それに基づいて、測定情報を補正する、および/または処置計画を作成するための種々の手技を図示する。容易な参照のために、以下の説明は、標的追跡のみを指すが、しかしながら、同一のアプローチが、概して、治療ビームからの損傷を受けやすい器官、標的を囲繞する組織、解剖学的MRI基準(例えば、標的に対して固定された位置を有する患者の鼻先、耳、眼の縁、または上顎の歯)、または他の着目物体(例えば、頭蓋骨114に外部から取り付けられる、および/または頭蓋骨114の内側に皮下に埋込されるMRトラッカ)等の非標的領域の追跡にも同様に適用されることを理解されたい。故に、本明細書で使用されるように、「非標的」物体は、標的領域の外側の任意の解剖学的領域および/または任意の非解剖学的物体を広く含んでもよい。種々の実施形態では、準備ステップ302-316が、処置に先立って処置計画を作成するために実施される。第1の準備ステップ302では、標的組織の1つ以上のMR画像が、上記に説明されるように取得される。第2の準備ステップ304では、取得された画像は、標的組織の場所および標的/非標的組織の解剖学的性質を決定する、および/またはMR熱測定のためのベースラインPRF位相画像を生成するために、従来の画像分析ソフトウェアを実装するMRIコントローラ216によって分析される。種々の実施形態では、MR画像の取得の間、比較的に速い周波数および短い待ち時間(MRIシステムと比較して)を有する第2の撮像システムが、標的の情報(例えば、画像)を周期的に取得し、リアルタイムでその移動を追跡するようにアクティブ化される(ステップ306において)。例えば、超音波トランスデューサ102は、十分に低出力の100Hzにおける超音波を(ステップ304において推定された)標的場所に伝送し、それから反射された波を受信してもよい。好ましくは、十分に低出力の波は、標的に対していかなる有意な臨床効果も引き起こさない。本明細書で使用されるように、「有意な臨床効果」は、臨床医によって有意と見なされる、組織に対する望ましくない効果(および時として、所望の効果の欠如)、例えば、一時的または恒久的にかかわらず、それへの損傷の開始または他の臨床的悪影響を有することを意味する。種々の実施形態では、トランスデューサ102は、伝送能力および受信能力の両方を保有してもよい。例えば、各トランスデューサ要素104は、超音波の伝送と受信との間を交互に行ってもよい。代替として、いくつかのトランスデューサ要素104は、超音波を伝送してもよい一方、他のトランスデューサ要素104は、同時に反射された波を受信してもよい。トランスデューサアレイの伝送および受信領域は、異なる好適なパターンおよび形状において構成されてもよい。音響信号を標的/非標的領域に伝送し、それから反射された音響信号を測定するためにトランスデューサアレイ102を構成することに対するアプローチが、例えば、2018年6月6日に出願された、米国特許出願第62/681,282号(その内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されている。加えて、または代替として、標的/非標的領域からの音響信号は、音響信号センサ122を使用して測定されてもよく、これは、次いで、測定された信号を分析のためにコントローラ108に伝送する。
【0054】
測定された波反射信号に基づいて、コントローラ108は、標的および/または非標的領域の画像を作成してもよく、それに基づいて、標的場所は、オペレータによって手動で、またはコントローラ108によって従来の技法を使用して自動的に識別されることができる(ステップ308において)。例えば、超音波画像は、標的と関連付けられる座標を決定するために、当業者に公知のいくつかの特徴検出または追跡方法のうちのいずれかによって処理されてもよい。標的場所は、画像フレーム内の絶対座標において(例えば、行番号および列番号の観点から)、または、概して、例えば、エッジ検出またはブロッブ検出を使用する超音波座標系において決定されてもよい。超音波撮像手技は、MR画像の取得が完了するまで、周期的に(例えば、100ミリ秒毎に)実施されてもよい。種々の実施形態では、2つの連続的超音波画像における標的場所が、標的移動を決定するために、ピクセル毎ベースで比較される(ステップ310において)。その間の標的ピクセルの偏移が、所定の閾値を(集合的に、または個別に)下回る場合、いかなる標的移動も、起こっておらず、いかなる補正も、MR撮像データのために要求されないと仮定されることができる。例えば、個々の標的ピクセル偏移に関する閾値は、2ピクセルであり、集約された標的ピクセル偏移に関する閾値は、10ピクセルである。図4Aを参照すると、標的領域は、最初に、時間tにおいて取得された第1の超音波画像内の標的ピクセルT-Tにおいて識別されてもよく、時間tにおいて取得された次の超音波画像では、標的場所は、標的ピクセルT’-T5’に偏移される。標的ピクセルT-Tはそれぞれ、2つの画像の間で1ピクセルだけ偏移し(所定の2ピクセル偏移閾値よりも小さい)、標的ピクセルの集約された偏移は、5ピクセルであり(所定の10ピクセル偏移閾値よりも小さい)、標的移動は、有意ではないと見なされる。対照的に、標的ピクセルの個々の偏移および/または集約された偏移が所定の閾値を超えるとき、標的は、移動したと決定され得、MR撮像データの補正が、必要である。例えば、図4Bを参照すると、時間tにおいて取得された超音波画像内の標的が、標的ピクセルT''-T''において識別される場合、各標的ピクセルは、3ピクセルだけ偏移され(所定の2ピクセル偏移閾値よりも大きい)、標的領域の集約された偏移は、15ピクセルである(所定の10ピクセル偏移閾値よりも大きい)。その結果、標的移動は、十分に有意と見なされ、MR撮像データは、それに基づいて補正されてもよい。
【0055】
閾値は、標的/非標的組織のタイプ、物質性質、および/または場所に基づいて決定されてもよい。例えば、標的領域に隣り合う非標的組織が、繊細および/または重要な器官である場合、非標的器官を損傷させるリスクは、高く、処置正確度の必要性が、高められる。その結果、本状況では、(MR撮像データを補正する必要性を伴わない)2つの連続的超音波画像内の標的ピクセルの間の最大許容ピクセル偏移に対応する所定の閾値は、非繊細および/または臨床的に重量ではない非標的組織が標的領域を囲繞する状況よりも小さくあり得る。したがって、一実装では、閾値は、コントローラ108によって、例えば、ステップ304において取得された標的/非標的組織の解剖学的性質および/または標的および/または非標的組織の物質性質を特徴付ける組織モデルに基づいて決定される。組織モデルを作成することに対するアプローチが、例えば、2017年12月13日に出願された、国際出願第PCT/IB2017/001689号(その全開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されている。
【0056】
種々の実施形態では、いったん標的移動が超音波撮像によって検出されると、本情報は、MR撮像データを補正するために採用される(ステップ312において)。例えば、MR撮像データにおいて識別される標的場所および/またはMR撮像データによって提供されるベースラインPRF位相マップは、標的移動を反映するために調節されてもよい。再び、超音波撮像データは、検出された標的移動を超音波座標からMR座標に変換するように、上記に説明されるアプローチを使用してMR撮像データと位置合わせされてもよい。例えば、画像位置合わせは、超音波およびMRシステムの間の1対1ピクセルマッピングと同程度に単純であり得、したがって、標的場所が(図4Bに示されるように)超音波座標において3ピクセルだけ偏移したと決定することに応じて、コントローラは、それにおける標的場所を同一の方向に3ピクセルだけ(すなわち、1ピクセル下に、かつ2ピクセル左に)偏移させることによって、ステップ302において取得されたMR撮像データにおける標的場所を補正してもよい。
【0057】
加えて、標的運動をPRF位相画像における位相偏移に変換またはマッピングするモデルまたはルックアップテーブルが、検出された標的移動に対応する位相偏移を決定するために利用されてもよく、本位相偏移は、次いで、ステップ304において作成されたPRFベースライン画像から減算される。いくつかの実施形態では、予測された範囲の標的運動を変換し、標的領域の温度に対応するベースラインPRF位相画像を提供する、位相画像の参照ライブラリが、処置に先立って取得される。検出された標的移動(MRシステムの座標に変換された)は、次いで、最良合致を識別するために、参照ライブラリ内のベースライン位相画像と比較される。識別された最良に合致する参照ベースライン画像は、次いで、補正されたMR撮像データとしての役割を果たす。参照ライブラリを取得し、最良に合致する参照画像を識別することに対する例示的アプローチが、米国特許公開第2015/0016682号(その全開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されている。調節/補正されたMR撮像データに基づいて、コントローラ108は、標的を効果的に処置するための処置計画を作成してもよい(ステップ314において)。例えば、コントローラ108は、最初に、識別された標的および/または周辺組織の物質性質(それらの熱感受性および/または許容可能な熱エネルギー等)を取得するために、組織モデルを適用してもよい。処置計画は、次いで、標的領域におけるアブレーション温度および/または非標的領域における最大許容可能温度を含む処置目標を規定してもよい。例えば、不均質な介在組織を横断するビーム、トランスデューサ幾何学形状、および/または音響場設計(例えば、再集束目的のため)からもたらされる超音波場収差をシミュレートする算出物理モデルが、標的領域の場所およびアブレーション温度および/または非標的領域における最大許容可能温度に基づいて、トランスデューサ要素と関連付けられる要求されるパラメータ値(例えば、トランスデューサ要素と関連付けられる振幅、周波数、位相、方向、および/またはアクティブ化時間、または連続的な一連の超音波処理の間の時間間隔)を逆に算出するために使用されることができる。これらの超音波パラメータ値は、処置計画内に同様に含まれてもよい。処置計画は、処置の間の読出のために、超音波コントローラ108および/またはMRIコントローラ216にアクセス可能なメモリ内に記憶されてもよい。組織モデルおよび物理モデルを作成し、超音波収差および処置効果をシミュレートし、処理計画を作成するための例示的アプローチが、米国特許公開第2015/0359603号および国際出願第PCT/IB2017/001689号(2017年12月13日出願)および第PCT/IB2018/000834号(2018年6月29日出願)(その全開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されている。
【0058】
超音波反射は、高速で画像を生産するため、標的は、リアルタイムで(または実質的にリアルタイムで)監視され得る。したがって、標的は、2つの別個の測定モダリティ、すなわち、より正確であるが、より遅い速度のモダリティ(MR撮像等)およびあまり正確ではないが、より速い速度のモダリティ(超音波撮像等)を使用して追跡される。各モダリティは、標的情報(例えば、場所または温度)を決定するために、明確に異なるフィードバックループ(その情報は、別個に利用される、または組み合わせられ得る)を提供する。本明細書における実施例は、MRIおよび超音波システムを使用する実装を説明するが、任意の2つの好適な測定システムが、それらが異なる速度で動作する限り、上記に説明されるアプローチにおいて使用され得ることに留意されたい。例えば、カメラが、より正確ではないが、より速い速度の画像を取得するために採用されてもよい。
【0059】
代替として、図3Bを参照すると、高速ループおよび低速ループ追跡が、同一の撮像モダリティを使用して遂行されてもよい。例えば、MRIシステム200は、標的領域に対する具体的(例えば、固定された)相対的場所を有し、MR撮像によって追跡され得る、場所トラッカ(例えば、MR基準)と関連付けられるデータを取得してもよく(ステップ316において)、それに基づいて、標的場所は、推測されてもよい(ステップ318において)。MR基準は、患者の身体の解剖学的特徴(例えば、鼻先、耳、眼の縁、または上顎の歯)を含む、またはそれから成ってもよい。加えて、または代替として、MR基準は、頭蓋骨に外部から取り付けられる、および/または患者の頭部において皮下に埋込されるMRトラッカであってもよい。一実施形態では、埋込されるマーカは、薄い生体適合性プラスチックエンベロープ内にカプセル化される生体適合性磁性ナノ粒子から作製される小さい平坦なペレットである。MR基準は、単に、標的場所を示す役割を果たし、それらのいかなる詳細な画像も、必要ではないため、MR基準の画像は、画像取得/処理時間を短縮するために、より低い分解能でより高い走査速度で取得されてもよい。故に、標的画像の取得の間、MRIシステム200は、MR基準の画像を周期的に(例えば、5標的画像フレーム毎に)取得してもよい。再び、MR基準の場所または2つの連続的MR基準画像の間の推測される標的場所が、所定の閾値を上回って異なる場合、遅い速度で取得される標的のMR撮像データは、上記に説明されるように補正されてもよい。
【0060】
一実装では、MR基準画像およびそれらの関連付けられる位相画像の参照ライブラリが、処置に先立って確立される。処置の間、各取得されたMR基準画像は、その最良に合致する画像を識別するために、参照ライブラリ内のMR基準画像と比較されてもよく、続けて、最良に合致するMR基準画像と関連付けられる位相画像が、識別されることができる。したがって、2つの連続的フレームにおいて識別された最良に合致するMR基準画像と関連付けられる位相画像を比較することによって、MR基準移動からもたらされる位相偏移が、算出されることができ、標的領域のMR撮像データは、補正されることができる。いくつかの実施形態では、MR基準は、標的に十分に近接し(例えば、数ミリメートル以内にあり)、MR基準場所における温度は、標的場所における温度とほぼ同一であり得る。したがって、MR基準の位相画像は、上記に説明されるようなMR温度測定を使用して、標的温度を推定するために利用されてもよい。
【0061】
加えて、運動予測モデルが、処置に先立って、および/またはその間に標的運動を予測するために採用されてもよい。例えば、患者の身体の自然な移動(呼吸サイクルの間の腹部領域の規則的な上下動等)は、予測可能である。患者の身体の他の潜在的移動(例えば、頭部のわずかな回転および/または傾きまたは手または腕の摺動)も、予測され得る。故に、運動予測モデルは、標的領域に関する移動の範囲内の予測された軌道を含んでもよい。標的領域は、患者の呼吸サイクルと実質的に同期して、予測された軌道を辿り、繰り返し得る。患者が自身の頭部、手、または腕を移動させ得ることが予測される場合、そのような移動の程度または範囲もまた、運動予測モデルによって推定されてもよい。高速撮像モダリティおよび/または場所トラッカを使用して予測された標的運動および測定された標的移動は、次いで、遅い速度において要求される標的の撮像データを補正するために採用されてもよい。
【0062】
種々の実施形態では、処置計画は、所望の性質(例えば、場所、サイズ、形状、および/または音響強度)を有する集束帯が、所望の治療効果を生産するために標的において生成されるように、種々の超音波パラメータ値(例えば、トランスデューサ要素と関連付けられる振幅、周波数、位相、方向、および/またはアクティブ化時間、または連続的な一連の超音波処理の間の時間間隔)を規定する。加えて、処置計画は、効果的な処置を確実にするための標的領域において達成される最小温度および/または非標的組織への損傷を回避するための非標的領域における最大許容可能温度を含んでもよい。いくつかの実施形態では、処置計画はさらに、そのタイプおよび/または場所に基づいて、非標的領域と関連付けられるリスクレベルを規定する。例えば、標的領域に隣り合う非標的器官が、繊細および/または重要な器官である場合、処置計画は、処置の中断をもたらすであろう標的領域のより小さい最大移動を規定してもよい。処置が微小気泡キャビテーションを伴う場合、処置計画は、標的において微小気泡を生成する、および/または微小気泡キャビテーションを引き起こすための超音波パラメータ値、作用物質タイプ、サイズ、濃度、微小気泡注入部位の場所、および/または微小気泡と関連付けられる投与プロファイル(例えば、投与量またはタイミング)を規定してもよい。再度、これらのパラメータは、コントローラ108によって自動的に決定されてもよい。
【0063】
図3Cを参照すると、処置手技の間、コントローラ108は、メモリにアクセスし、記憶された処置計画を読み出し、それに従ってトランスデューサ102および/または他の処置関連デバイス(例えば、微小気泡投与デバイス)を動作させてもよい(ステップ332において)。例えば、トランスデューサ要素104は、処置(例えば、熱アブレーション)のために標的において集束される高エネルギー超音波パルスを伝送するために、処置計画において規定されたパラメータ値に従ってアクティブ化されてもよい。加えて、MRIシステム200は、処置の間に標的の画像を同時に取得し(ステップ334において)、画像データをフィードバックとしてコントローラ108に提供してもよく、コントローラ108は、次いで、処置効率および安全性を確実にするように、それに基づいて、処置計画(例えば、超音波パラメータ値および/または微小気泡特性)を調節してもよい(ステップ336において)。例えば、MR熱撮像が、標的における温度が所望のアブレーション温度を下回っていることを示す場合、コントローラは、超音波の振幅を増加させてもよい。逆に、MR熱撮像が、非標的領域における温度がその最大許容可能温度を超えていることを示す場合、コントローラは、超音波出力を低減させてもよい。加えて、MR撮像データが標的が移動したことを示す場合では、コントローラは、新しい標的場所において超音波を集束させるように、物理モデルを使用して、更新された超音波パラメータ値を決定してもよい。
【0064】
処置進行を監視するために、同一のディスプレイ上で標的場所および標的領域の温度マップの両方を描写する画像を提供することが、望ましくあり得る。MR撮像データは、これらの2つのタイプの情報を提供し得るが、各タイプは、別個の処理を要求し得る標的の詳細な高分解能走査を要求し、例えば、温度差のマップを作成することは、標的場所を識別するように実空間処置画像を再構成し、処置画像からベースライン位相画像を減算することを要求してもよい。したがって、概して、標的のみのMR撮像データを利用して、標的の場所および温度情報を同時に表示することは、実現困難である。本問題を解決するために、種々の実施形態では、トランスデューサ要素104のうちの少なくともいくつかの動作は、処置モードから撮像モードに切り替えられ、すなわち、高出力超音波を伝送する代わりに、トランスデューサ要素104は、低出力波(すなわち、標的に対していかなる有意な臨床効果も引き起こさない波)を放出し、続けて、標的から超音波反射を受信する(ステップ338において)。再び、トランスデューサ要素はそれぞれ、超音波の伝送と受信との間を交互してもよい。代替として、トランスデューサ要素のうちのいくつかは、低出力超音波を伝送してもよい一方、他のトランスデューサ要素は、同時に反射された波を受信してもよい。反射に基づいて、リアルタイムで標的場所を示す画像が、従来の技法に従って構築されることができる。超音波画像は、次いで、リアルタイムで標的場所および標的温度の両方を含む画像を提供するように、MR熱マップと位置合わせされ、それによって、標的移動および処置プロセスが処置の間に同時に監視されることを可能にしてもよい。
【0065】
種々の実施形態では、反射信号がトランスデューサ要素104によって受信され、画像処理のためにコントローラ108に提供された後、要素104は、標的を処置するために高出力超音波を伝送するために、再び処置モードにおいてアクティブ化されてもよい。超音波撮像手技は、わずかな時間(例えば、10ミリ秒)しか要求しないため、撮像の中断は、標的の処置に対していかなる臨床的に有意な効果も生産しない。一実装では、トランスデューサ要素104は、処置の間に標的場所のリアルタイム測定を提供するように、周期的に(例えば、100ミリ秒毎に)処置モードから撮像モードに切り替えられる。加えて、準備ステップ310と同様に、処置の間、2つの連続的超音波画像内の標的場所は、標的移動が起こったかどうかを決定するために、ピクセル毎ベースで比較されてもよい。該当する場合(すなわち、2つの連続的画像の間の標的ピクセルの偏移が所定の閾値を超えるとき)、ステップ334において取得されたMR画像において識別される位相マップおよび/または標的場所は、標的移動からもたらされるアーチファクトを排除する(または少なくとも低減させる)ために補正される。補正されたMR画像は、次いで、監視目的のために標的のより正確かつより良好な撮像分解能を提供し得る。再び、画像補正は、上記に説明されるような撮像位置合わせ、モデル、またはルックアップテーブルを利用して促進されてもよい。
【0066】
加えて、または代替として、標的場所は、1つ以上の場所トラッカ(例えば、MR基準)を使用して監視されてもよい(ステップ338)。例えば、MRI装置200が高分解能標的画像を取得した後、実空間画像を再構成するために要求されるデータの処理の間、MRI装置200は、MR基準の高速低分解能走査を行ってもよい。再び、MR基準データは、標的場所を確立する役割のみを果たすため、その詳細な画像再構成は、不必要である。低分解能の未加工MR基準データにおけるMR基準の空間的場所を単に識別し、それから標的場所を推測するための処理時間は、比較的に短くあり得る。故に、標的場所は、高分解能標的画像を使用して、MR熱マップの生成に先立って、またはそれと実質的に同時に取得されることができる。これは、標的の場所および温度情報の両方が、同一のディスプレイ上に提供され、リアルタイムで更新されることを可能にする(ステップ340において)。再び、MR基準は、処置の間にリアルタイムで標的場所を監視するために周期的に(例えば、5標的-画像フレーム毎に)走査されてもよい。
【0067】
一実施形態では、標的場所は、MR基準以外の付加的物体を使用して監視される。例えば、運動センサ(例えば、呼吸ベルト)124が、患者の移動についての付加的情報を提供するために、患者の周囲に結び付けられてもよい。本情報は、標的場所の追跡の正確度を向上させるために、高速モダリティおよび/またはMR基準によって提供される情報に相補的であってもよい。標的場所の追跡正確度を強化するために相補的情報を利用することに対する例示的アプローチが、米国特許公開第2017/0358095号(その全開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されている。加えて、または代替として、高速モダリティ、低速モダリティ、および/または第3の撮像モダリティ(例えば、カメラまたはコンピュータトモグラフィデバイス)は、患者の移動についての画像関連情報を提供するために、付加的物体(例えば、第3の撮像モダリティにおいて識別され得る解剖学的目印)の画像を取得してもよい。
【0068】
1つのみの撮像モダリティ(例えば、超音波撮像、MR撮像、または他の好適な撮像モダリティ)を使用する標的領域の画像取得は、リアルタイムで標的移動を追跡するために十分であり得ることに留意されたい。しかし、超音波画像は、MR画像よりも低い分解能を有し得、MR撮像は、超音波撮像よりも長い待ち時間を有し得るため、それらを組み合わせ、高分解能かつ短待ち時間の画像を提供することが、好ましくあり得る。故に、種々の実施形態は、標的/非標的の情報を取得する異なる速度を有する2つの撮像モダリティ(または2つの異なる速度を有する1つの撮像モダリティ)を採用する。より遅い速度で取得された情報は、標的/非標的のより正確な場所および/または熱マップを提供し得る一方、より速い速度で取得された情報は、リアルタイムで標的/非標的のより速い運動追跡を可能にするために、情報正確度/分解能を低減させ得る。2つの速度で取得された情報を組み合わせることによって、実行されると、非標的組織への損傷を回避しながら、標的を効率的かつ安全に処置し得る処置計画を作成することが、可能である。処置の間、2つの異なる速度を使用して取得された情報は、2つの明確に異なる閉ループフィードバック制御信号、すなわち、高速ループおよび低速ループデータをコントローラ108に提供し得る。それに基づいて、コントローラ108は、標的運動を補償し、処置目標を達成するために、処置計画(例えば、超音波パラメータ値)を継続または調節してもよい。加えて、2つの撮像モダリティは、標的移動の追跡以外の目的(例えば、標的および/または非標的領域の熱マップの作成および/または熱マップおよび標的移動の同時表示)が所望されるときに要求されてもよい。
【0069】
再び図3Cを参照すると、超音波処置は、(自動焦点、BBB開放、および/または処置効果の強化の目的のために)微小気泡を伴ってもよい。したがって、種々の実施形態では、音響信号検出器122は、微小気泡から音響信号を測定するために採用されてもよい(ステップ342において)。測定された微小気泡信号(および随意に、(補正された、または補正されていない)MR撮像データ)に基づいて、標的および/または非標的領域における微小気泡用量マップまたは時間的キャビテーション活動マップが、生成されてもよい(ステップ344において)。コントローラ108は、次いで、それに基づいて、処置計画(例えば、超音波パラメータ値、作用物質タイプ、微小気泡のサイズおよび/または濃度、微小気泡注入部位の場所、および/または微小気泡と関連付けられる投与プロファイル(例えば、投与量またはタイミング))を調節してもよい。加えて、生成された微小気泡用量マップまたは時間的キャビテーション活動マップは、同一のディスプレイ上で標的/非標的のMR熱マップおよび/または場所マップを同時に提供されてもよい。
【0070】
本明細書における実施例は、超音波エネルギーの送達を伴うが、これらの同一のシステムおよび方法は、放射線治療、画像誘導外科手術、およびその他等の他の治療モダリティに適用され得ることを理解されたい。
【0071】
一般に、イメージャ112(例えば、MRI装置200)のコントローラおよび/または超音波システム100内に統合される、または別個の外部コントローラまたは他のコンピュータエンティティまたは複数のエンティティによって提供されるかどうかにかかわらず、上記に説明されるように、例えば、1つ以上の撮像モダリティ(例えば、超音波撮像、MR撮像、またはカメラ)を使用して取得される標的および/または非標的領域の撮像データを取得するステップ、標的場所を決定するステップ、撮像データに基づいて、ベースライン位相画像を生成するステップ、標的組織、非標的組織、および/または他の非標的物体(例えば、場所トラッカ)の移動を追跡するステップ、撮像データに基づいて、標的/非標的領域の物質特性を特徴付ける組織モデルを作成するステップ、標的/非標的の移動をコンピュータ的に予測するステップ、追跡/予測された標的移動に基づいて、標的場所および/または位相画像を補正するステップ、処置関連デバイス(例えば、超音波トランスデューサ)と関連付けられるパラメータ値を決定するステップ、決定された値に基づいて、処置関連デバイスをアクティブ化するステップ、標的/非標的領域に位置する微小気泡から音響信号を取得するステップ、取得された微小気泡信号に基づいて、微小気泡用量マップまたは時間的キャビテーション活動マップを生成するステップ、追跡/予測された標的移動および/または取得された微小気泡信号に基づいて、処置計画を調節するステップ、および/または標的/非標的の場所および温度情報、微小気泡用量マップ、および/または時間的キャビテーション活動マップを同一のディスプレイ上に同時に提供し、表示された情報をリアルタイムで更新するステップを含む、処置計画を作成し、処置計画を実行するための機能性が、ハードウェア、ソフトウェア、または両方の組み合わせにおいて実装される1つ以上のモジュールにおいて構築されてもよい。超音波コントローラ108および/またはMRコントローラ216は、ハードウェア、ソフトウェア、または両方の組み合わせにおいて実装される1つ以上のモジュールを含んでもよい。機能が1つ以上のソフトウェアプログラムとして提供される実施形態に関して、プログラムは、PYTHON、FORTRAN、PASCAL、JAVA(登録商標)、C、C++、C#、BASIC、種々のスクリプト言語、および/またはHTML等のいくつかの高レベル言語のうちのいずれかにおいて書き込まれてもよい。加えて、ソフトウェアは、標的コンピュータ上に常駐するマイクロプロセッサを対象とするアセンブリ言語において実装されることができ、例えば、ソフトウェアは、これがIBM PCまたはPCクローン上で起動するように構成される場合、Intel 80×86アセンブリ言語において実装されてもよい。ソフトウェアは、限定ではないが、フロッピー(登録商標)ディスク、ジャンプディスク、ハードディスク、光学ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、EEPROM、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはCD-ROMを含む製造品上で具現化されてもよい。ハードウェア回路を使用する実施形態は、例えば、1つ以上のFPGA、CPLD、またはASICプロセッサを使用して実装されてもよい。
【0072】
加えて、本明細書で使用される用語「コントローラ」または「自動制御システム」は、上記に説明されるような任意の機能性を実施するために利用される全ての必要なハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアモジュールを広く含み、コントローラは、複数のハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアモジュールを含んでもよく、機能性は、異なるコンポーネントおよび/またはモジュールの間で拡散されることができる。
【0073】
本明細書で採用される用語および表現は、限定ではなく、説明の用語および表現として使用され、そのような用語および表現の使用において、示され、説明される特徴の任意の均等物またはその一部を除外する意図は全く存在しない。加えて、本発明のある実施形態を説明しているが、本明細書に開示される概念を組み込む他の実施形態も、本発明の精神および範囲から逸脱することなく使用され得ることが、当業者に明白となるであろう。故に、説明される実施形態は、あらゆる点で例証的にすぎず、制限的ではないと見なされるものである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B