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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
B60C13/00 D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018118072
(22)【出願日】2018-06-21
(65)【公開番号】P2019217968
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】岩田 康孝
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-086756(JP,A)
【文献】特開2010-013075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部のタイヤ軸方向の両端からタイヤ半径方向内側にのびる一対のバットレス部とを含む空気入りタイヤであって、
前記一対のバットレス部の少なくとも一方は、前記バットレス部の外面からタイヤ軸方向外側に突出しかつタイヤ周方向に並ぶ複数個のサイドプロテクタを具え、
前記サイドプロテクタ内には、タイヤ周方向に対して傾斜してのびる傾斜溝が配され、
前記傾斜溝は、溝底に複数本の第1リブが並列するリブ付き傾斜溝を含み、
前記リブ付き傾斜溝は、タイヤ周方向に対する角度θ1が20~40°である、
空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記リブ付き傾斜溝は、前記第1リブの前記溝底からの突出高さが0.5~3.0mm 、前記第1リブの長さ方向と直交する向きのリブ幅が0.5~2.5mm 、かつ前記第1リブ間の間隔が1.5~5.5mm である請求項記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記第1リブは、前記リブ付き傾斜溝の両側の溝壁面間をのびる請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記リブ付き傾斜溝の長さ方向と直角な断面において、
前記リブ付き傾斜溝の両側の溝壁面は、前記サイドプロテクタの外面に立てた法線に対する角度βが20~60°である請求項1~3の何れかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記傾斜溝は、タイヤ周方向に対する傾斜の向きが相違する第1、第2の傾斜溝を有し、少なくとも第1の傾斜溝がリブ付き傾斜溝をなす請求項1~4の何れかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記第2の傾斜溝は、溝底にリブを具えない請求項記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記第1の傾斜溝のタイヤ半径方向外端は、前記第2の傾斜溝の長さ方向中間部とT字状に交差する請求項又は記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
前記バットレス部の外面に、タイヤ周方向で隣り合う前記サイドプロテクタ間をのびる複数本の第2リブが並設され、前記第2リブは前記第1リブとタイヤ周方向に対して同方向に傾斜する請求項1~の何れかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
トレッド部のタイヤ軸方向の両端からタイヤ半径方向内側にのびる一対のバットレス部とを含む空気入りタイヤであって、
前記一対のバットレス部の少なくとも一方は、前記バットレス部の外面からタイヤ軸方向外側に突出しかつタイヤ周方向に並ぶ複数個のサイドプロテクタを具え、
前記サイドプロテクタ内には、タイヤ周方向に対して傾斜してのびる傾斜溝が配され、
前記傾斜溝は、溝底に複数本の第1リブが並列するリブ付き傾斜溝を含み、
前記リブ付き傾斜溝の長さ方向と直角な断面において、
前記リブ付き傾斜溝の両側の溝壁面は、前記サイドプロテクタの外面に立てた法線に対する角度βが20~60°である、
空気入りタイヤ。
【請求項10】
トレッド部のタイヤ軸方向の両端からタイヤ半径方向内側にのびる一対のバットレス部とを含む空気入りタイヤであって、
前記一対のバットレス部の少なくとも一方は、前記バットレス部の外面からタイヤ軸方向外側に突出しかつタイヤ周方向に並ぶ複数個のサイドプロテクタを具え、
前記サイドプロテクタ内には、タイヤ周方向に対して傾斜してのびる傾斜溝が配され、
前記傾斜溝は、溝底に複数本の第1リブが並列するリブ付き傾斜溝を含み、
前記傾斜溝は、タイヤ周方向に対する傾斜の向きが相違する第1、第2の傾斜溝を有し、少なくとも前記第1の傾斜溝が前記リブ付き傾斜溝である、
空気入りタイヤ。
【請求項11】
トレッド部のタイヤ軸方向の両端からタイヤ半径方向内側にのびる一対のバットレス部とを含む空気入りタイヤであって、
前記一対のバットレス部の少なくとも一方は、前記バットレス部の外面からタイヤ軸方向外側に突出しかつタイヤ周方向に並ぶ複数個のサイドプロテクタを具え、
前記サイドプロテクタ内には、タイヤ周方向に対して傾斜してのびる傾斜溝が配され、
前記傾斜溝は、溝底に複数本の第1リブが並列するリブ付き傾斜溝を含み、
前記バットレス部の外面に、タイヤ周方向で隣り合う前記サイドプロテクタ間をのびる複数本の第2リブが並設され、前記第2リブは前記第1リブとタイヤ周方向に対して同方向に傾斜する、
空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バットレス部の表面にタイヤ周方向に並ぶ複数個のサイドプロテクタを具えた空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
オフロード走行を想定した空気入りタイヤでは、一般に、バットレス部の表面に、タイヤ周方向に並ぶ複数個のサイドプロテクタが形成されている(例えば特許文献1参照)。このサイドプロテクタは、オフロード走行時、鋭利な石などがタイヤ側面に衝突してカットが生じるのを防止しうる。又泥濘地を走行する際には、隣り合うサイドプロテクタ間の間隙部(凹部)により泥をせん断し、泥濘地でのトラクション性能を高めうる。
【0003】
しかしその反面、サイドプロテクタは、バットレス部におけるゴムゲージを厚くする。そのため、タイヤのサイド剛性(特に縦剛性)が増し、乗り心地性を低下させるという問題がある。
【0004】
そこで本発明者は、サイドプロテクタ内にタイヤ周方向に対して傾斜してのびる傾斜溝を形成することを提案した。この傾斜溝は、上下方向の荷重に対して溝幅が減じる向きに変形するため、乗り心地性を高めうる。この効果は、傾斜溝のタイヤ周方向に対する角度が小さいほど高くなる。しかし、前記角度が小さくなるにつれ、走行時に石が傾斜溝の溝底と接触して傷つけやすくなるなど、新たなカットの起点となることが判明した。
【0005】
従って、耐カット性を確保しながら乗り心地性を高めるためには、傾斜溝の溝底においてカットの発生を抑えることが重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-55820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、バットレス部の表面にタイヤ周方向に並ぶ複数個のサイドプロテクタを設けたタイヤにおいて、耐カット性を確保しながら乗り心地性を高めうる空気入りタイヤを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トレッド部のタイヤ軸方向の両端からタイヤ半径方向内側にのびる一対のバットレス部とを含む空気入りタイヤであって、
前記一対のバットレス部の少なくとも一方は、前記バットレス部の外面からタイヤ軸方向外側に突出しかつタイヤ周方向に並ぶ複数個のサイドプロテクタを具え、
前記サイドプロテクタ内には、タイヤ周方向に対して傾斜してのびる傾斜溝が配され、
前記傾斜溝は、溝底に複数本の第1リブが並列するリブ付き傾斜溝を含む。
【0009】
本発明に係る空気入りタイヤでは、前記リブ付き傾斜溝は、タイヤ周方向に対する角度θ1が20~40°であるのが好ましい。
【0010】
本発明に係る空気入りタイヤでは、前記リブ付き傾斜溝は、前記第1リブの前記溝底からの突出高さが0.5~3.0mm 、前記第1リブの長さ方向と直交する向きのリブ幅が0.5~2.5mm 、かつ前記第1リブ間の間隔が1.5~5.5mm であるのが好ましい。
【0011】
本発明に係る空気入りタイヤでは、前記第1リブは、前記リブ付き傾斜溝の両側の溝壁面間をのびるのが好ましい。
【0012】
本発明に係る空気入りタイヤでは、前記リブ付き傾斜溝の長さ方向と直角な断面において、
前記リブ付き傾斜溝の両側の溝壁面は、前記サイドプロテクタの外面に立てた法線に対する角度βが20~60°であるのが好ましい。
【0013】
本発明に係る空気入りタイヤでは、前記傾斜溝は、タイヤ周方向に対する傾斜の向きが相違する第1、第2の傾斜溝を有し、少なくとも第1の傾斜溝がリブ付き傾斜溝をなすのが好ましい。
【0014】
本発明に係る空気入りタイヤでは、前記第2の傾斜溝は、溝底にリブを具えないのが好ましい。
【0015】
本発明に係る空気入りタイヤでは、前記第1の傾斜溝のタイヤ半径方向外端は、前記第2の傾斜溝の長さ方向中間部とT字状に交差するのが好ましい。
【0016】
本発明に係る空気入りタイヤでは、前記バットレス部の外面に、タイヤ周方向で隣り合う前記サイドプロテクタ間をのびる複数本の第2リブが並設され、前記第2リブは前記第1リブとタイヤ周方向に対して同方向に傾斜するのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は叙上の如く、バットレス部の外面に形成されたサイドプロテクタに、タイヤ周方向に対して傾斜してのびる傾斜溝を具える。傾斜溝は、上下方向の荷重に対して溝幅が減じる向きに変形しうる。そのため、サイドプロテクタの縦剛性を減じ、乗り心地性を高めうる。
【0018】
又傾斜溝は、少なくともリブ付き傾斜溝を含む。このリブ付き傾斜溝は、並列する複数本の第1リブにより溝底が保護される。そのため、傾斜溝の傾斜角度が小さい場合にも、溝底でのカットの発生を抑えることができる。即ち、サイドプロテクタは、耐カット性を確保しながら乗り心地性を高めるという効果を奏しうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の空気入りタイヤの一実施形態を示す断面図である。
図2】バットレス部を概念的に示す側面図である。
図3】サイドプロテクタを拡大して示す側面図である。
図4】隣り合うサイドプロテクタ間の間隙部を示す側面図である。
図5】リブ付き傾斜溝の長さ方向と直交する向きのリブ付き傾斜溝の断面図である。
図6】第1リブの長さ方向と直交する向きの第1リブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ1(以下、「タイヤ1」という)の正規状態におけるタイヤ軸心(図示省略)を含む右側半分のタイヤ子午線断面図である。本実施形態では、好ましい態様として、四輪駆動車用のオールシーズン用タイヤが示される。但し、本発明は、ライトトラック用、重荷重用を含め、他のカテゴリーのタイヤ1にも適用しうるのは、言うまでもない。
【0022】
前記「正規状態」は、タイヤ1が正規リム(図示省略)にリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の状態である。本明細書では、特に言及されない場合、タイヤ1の各部の寸法等はこの正規状態で測定された値である。
【0023】
「正規リム」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMA であれば "標準リム" 、TRA であれば"DesignRim" 、ETRTO であれば "Measuring Rim" である。「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMA であれば "最高空気圧" 、TRA であれば表"TIRELOAD LIMITSAT VARIOUSCOLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTO であれば"INFLATION PRESSURE" である。
【0024】
本実施形態のタイヤ1の内部には、路面と接地するトレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア4Cに至るトロイド状のカーカス6が配される。カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば70~90°の角度で配列した少なくとも1枚、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aから形成される。カーカスプライ6Aは、ビードコア4C、4C間を跨る本体部6aと、本体部6aに連なりかつビードコア4Cの周りで折り返される一対の折返し部6bとを有する。
【0025】
本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2のタイヤ軸方向の両端2tからタイヤ半径方向内側にのびる一対のバットレス部5をさらに具える。バットレス部5は、サイドウォール部3のうちのタイヤ半径方向外側の領域であって、好ましくは、タイヤ最大巾位置Pmよりもタイヤ半径方向外側の領域を意味する。またトレッド部2の両端2tは、正規状態のタイヤ1に正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方外側の接地位置として定められる。以下、本明細書では、トレッド部2の両端2tを、トレッド端2tという場合がある。
【0026】
前記「正規荷重」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMA であれば最大負荷能力、TRA であれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES"に記載の最大値、ETRTO であれば "LOAD CAPACITY"である。
【0027】
図1、2に示すように、一対のバットレス部5のうちの少なくとも一方のバットレス部5に、バットレス部5の外面5Sからタイヤ軸方向外側に突出する複数個のサイドプロテクタ7が、タイヤ周方向に並んで配される。
【0028】
サイドプロテクタ7は、オフロード走行時、鋭利な石などがタイヤ側面に衝突してカットが生じるのを防止する。又泥濘地を走行する際には、隣り合うサイドプロテクタ7、7間の間隙部9により泥をせん断し、泥濘地でのトラクション性能を高めうる。このようなサイドプロテクタ7は、両方のバットレス部5に設けられるのが望ましい。
【0029】
図3に示すように、サイドプロテクタ7内には、タイヤ周方向に対して角度θで傾斜してのびる傾斜溝10が配される。
【0030】
サイドプロテクタ7の外面7Sからの傾斜溝10の溝深さD(図5に示す)は、バットレス部5の外面5Sからのサイドプロテクタ7の突出高さH0(図1に示す)以下である。
【0031】
本例では、傾斜溝10は、サイドプロテクタ7の半径方向内縁Eiから、半径方向外側に向かってタイヤ周方向一方側(図3では左側)に傾斜してのびる第1の傾斜溝10Aと、タイヤ周方向他方側(図3では右側)に傾斜してのびる第2の傾斜溝10Bとを含む。傾斜溝10は、一定の角度θで傾斜しても良く、また角度θを漸減或いは漸増させながら傾斜しても良い。
【0032】
このような傾斜溝10は、上下方向の荷重に対して溝幅が減じる向きに変形しうる。そのため、サイドプロテクタ7の縦剛性を減じて、乗り心地性を高める。この効果は、傾斜溝10の傾斜の角度θが小さいほど高くなる。しかしその反面、傾斜の角度θが小さくなるにつれ、走行時に石が溝底Sbに接触してカットが生じやすくなるという不利を招く。
【0033】
そこで本発明では、傾斜溝10は、溝底Sbに複数本の第1リブ11が並列するリブ付き傾斜溝12を含んで構成される。本例では、第1の傾斜溝10Aがリブ付き傾斜溝12として形成されている。
【0034】
リブ付き傾斜溝12は、優れた乗り心地性を発揮しながら、第1リブ11により溝底Sbを保護することができる。そのため、傾斜溝10の傾斜の角度θが小さい場合にも、溝底Sbでのカットの発生を抑えることが可能になる。
【0035】
即ち、リブ付き傾斜溝12では、サイドプロテクタ7を設けたタイヤ1において、耐カット性の低下を抑えながら乗り心地性を向上させることができる。このような能力を有効に発揮させるために、リブ付き傾斜溝12のタイヤ周方向に対する角度θ1は20~40°の範囲が好ましい。角度θ1が40°を越えると、乗り心地性を向上させる能力を充分に引き出すことができなくなる。また角度θ1が20°を下回ると、カットの抑制効果が低下傾向となる。なお角度θ1が変化する場合、角度θ1の平均値(最大値と最小置の平均)が20~40°の範囲であるのが好まし。特には、角度θ1の最大値と最小置とが、それぞれ20~40°の範囲であるのがより好ましい。
【0036】
図5に示すように、第1リブ11は、リブ付き傾斜溝12の両側の溝壁面Sw、Sw間をのびる。カットの抑制効果の観点から、リブ付き傾斜溝12の長さ方向に対する第1リブ11の角度α(図3に示す)は、60~90°の範囲が好ましい。
【0037】
また図6に示すように、リブ付き傾斜溝12では、第1リブ11の溝底Sbからの突出高さH1は、0.5~3.0mm が好ましい。また第1リブ11の長さ方向と直交する向きの第1リブ11のリブ幅W1は0.5~2.5mm 、かつ第1リブ11間の間隔P1は1.5~5.5mm が好ましい。なお第1リブ11の断面形状は、耐カット性の観点から台形状、或いは矩形状が好ましい。またリブ幅W1及び間隔P1は、第1リブ11の上端において測定される値とする。
【0038】
突出高さH1が0.5mm を下回るとカットの抑制効果が不足し、逆に3.0mm を越えると剛性が高くなって、乗り心地性に不利を招く。またリブ幅W1が0.5mm を下回るとカットの抑制効果が不足し、逆に2.5mm を越えると剛性が高くなって、乗り心地性に不利を招く。また間隔P1が5.5mm を越えるとカットの抑制効果が不足し、1.5mm を下回ると剛性が高くなって、乗り心地性に不利を招く。
【0039】
なお図5に示すように、第1リブ11の前記突出高さH1は、傾斜溝10の溝深さDの50%以下であるのが好ましい。また傾斜溝10の溝深さDは、サイドプロテクタ7のバットレス部5の外面5Sからの突出高さH0(図1に示す)の0.6~1.0倍の範囲である。
【0040】
リブ付き傾斜溝12の長さ方向と直角な断面において、リブ付き傾斜溝12の両側の溝壁面Sw、Swは、サイドプロテクタ7の外面7Sに立てた法線に対する角度βが20~60°であるのが好ましい。
【0041】
前記角度βが20°を下回ると、リブ付き傾斜溝12の溝ボリュームが大きくなって石が溝底Sbに接触する機会が増えるためカットの抑制に不利となる。逆に角度βが60°を越えると、溝ボリュームが小さくなり、剛性が高くなって、乗り心地性に不利を招く。このような観点から角度βの下限は30°以上がより好ましく、上限は50°以下がより好ましい。
【0042】
図3に示すように、本例では、傾斜溝10は、溝底Sbにリブを具えないリブ無しの傾斜溝13を含む。本例では、前記第2の傾斜溝10Bがリブ無しの傾斜溝13として形成される。
【0043】
リブ無しの傾斜溝13のタイヤ周方向に対する傾斜の角度θ2は、リブ付き傾斜溝12の角度θ1よりも大である。θ2>θ1であることにより、石が溝底Sbと接触して傷つける機会が減じられ、耐カット性能が確保される。なお角度θ2が変化する場合、角度θ2の平均値(最大値と最小置の平均)が角度θ1より大である。
【0044】
第1の傾斜溝10Aと第2の傾斜溝10Bとは、タイヤ周方向に対する傾斜の向きが互いに相違する。そして本例では、第1の傾斜溝10Aのタイヤ半径方向外端Aeoが、第2の傾斜溝10Bの長さ方向の中間部BmとT字状に交差している。中間部Bmとは、第2の傾斜溝10Bのタイヤ半径方向内端Bei、外端Beoから、それぞれ第2の傾斜溝10Bの全長の15%以上、好ましくは20%以上の長さを隔てる範囲を意味する。
【0045】
第1の傾斜溝10Aの外端Aeoが第2の傾斜溝10BとT字状に交差して途切れることで、もし第1の傾斜溝10Aにカットが生じた場合の成長を防止しうる。
【0046】
図4に示すように、本例では、バットレス部5の外面5Sに、タイヤ周方向で隣り合う前記サイドプロテクタ7、7間をのびる複数本の第2リブ14が並設される。特に、本例の第2リブ14は、タイヤ周方向で向かい合うサイドプロテクタ7の壁面7w、7w間をのびる。なお図2、3では、明瞭化のために、第2リブ14を省略して描かれている。
【0047】
第2リブ14は、第1リブ11とタイヤ周方向に対して同方向に傾斜している。この第2リブ14は、間隙部9において外面5Sが石と接触してカットを生じるのを抑制しうる。なお第1リブ11と同じ理由により、外面5Sからの第2リブ14の突出高さH2(図示省略)は0.5~3.0mm 、第2リブ14の長さ方向と直交する向きの第2リブ14のリブ幅W2(図示省略)は0.5~2.5mm 、かつ第2リブ14間の間隔P2(図示省略)は1.5~5.5mm が好ましい。
【0048】
特に、第2リブ14と第1リブ11とが互いに平行、かつ同間隔(P1=P2)で形成されるのが好ましい。
【0049】
図4に示すように、リブ付き傾斜溝12のタイヤ半径方向外端Aeoからサイドプロテクタ7のタイヤ半径方向外縁Eoまでのタイヤ半径方向距離Lは、サイドプロテクタ7のタイヤ半径方向幅W7の40%以上、さらには50%以上であることが好ましい。このようにリブ付き傾斜溝12を、接地面側となる外縁Eoから遠ざけることで、石と接触する機会が減じられ耐カットに有利となる。
【0050】
図3に示すように、本例のサイドプロテクタ7には、第2の傾斜溝10Bからサイドプロテクタ7のタイヤ半径方向外縁Eoまでタイヤ半径方向にのびる補助溝16が配される。この補助溝16は、タイヤ半径方向のエッジ成分を増加させ、泥濘地でのトラクション性能を高めるのに役立つ。しかし、補助溝16は、タイヤ半径方向にのびるため、乗り心地性及び耐カット性へは、ほとんど影響しない。補助溝16は、排除することができる。なお「タイヤ半径方向にのびる」とは、タイヤ半径方向線に対して±10°以下で傾斜する場合を含む。
【0051】
タイヤ1では、第2の傾斜溝10Bにも第1リブ11を設け、第2の傾斜溝10Bをリブ付き傾斜溝12として形成することもできる。また傾斜溝10として第1の傾斜溝10A(リブ付き傾斜溝12)のみで構成することもできる。
【0052】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例
【0053】
図1に示す基本構造をなし、かつ図2、3に示すサイドプロテクタを有するタイヤ(タイヤサイズ:35×12.5R20LT)が、表1の仕様に基づいて試作された。そして各試作タイヤの耐カット性、乗り心地性がそれぞれ評価された。
【0054】
比較例及び実施例では、サイドプロテクタ内に、第1の傾斜溝及び第2の傾斜溝のみ形成されるとともに、表1に示される第1の傾斜溝の仕様のみ相違している。比較例及び実施例では、第2の傾斜溝は、リブ無しの傾斜溝として同一仕様で形成されている。また従来例では、サイドプロテクタ内に、第1、第2の傾斜溝は形成されていない。
【0055】
<耐カット性>
タイヤを、リム(20×10J)、内圧(450kPa)の条件にて車両(排気量3500cc の四輪駆動車)の全輪に装着した。そして前記車両にて、岩や瓦礫等を含む岩場路面を1500km 走行した後、バットレス部の外面に生じたカット傷の数、深さ、及び長さに基づいて総合的に評価した。評価は、従来例1を100とする指数で示し、数値が大なほど耐カット性に優れている。
【0056】
<乗り心地性>
上記と同条件の車両を用い、ドライアスファルト路面のテストコースを走行し、ドライバーの官能により、従来例を100とする指数で評価した。数値が大なほど乗り心地性に優れている。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示すように、実施例のタイヤは、従来例に近い耐カット性を確保しながら、比較例1に近い優れた乗り心地性を発揮しうるのが確認された。
【符号の説明】
【0059】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
2t 両端
5 バットレス部
5S 外面
7 サイドプロテクタ
10 傾斜溝
10A 第1の傾斜溝
10B 第2の傾斜溝
11 第1リブ
12 リブ付き傾斜溝
14 第2リブ
Bm 中間部
H1 突出高さ
P1 間隔
Sb 溝底
Sw 溝壁面
W1 リブ幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6