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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】遊技機用押しボタン、照光装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
A63F5/04 602A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019047219
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2020146279
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】鷲見 昌昭
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 浩之
(72)【発明者】
【氏名】岸本 潤
【審査官】西岡 貴央
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-243322(JP,A)
【文献】特開2018-042767(JP,A)
【文献】特開2018-084720(JP,A)
【文献】特開2007-334225(JP,A)
【文献】特開2011-134455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に搭載される遊技機用押しボタンであって、
押下を受け付ける操作キーと、
前記操作キーの外周部に沿って配設された複数の光源と、
前記操作キーの外周部を囲うように設けられた照光面を有し、前記複数の光源から照射された光を導光して前記照光面より出射する導光部と、を備え、
前記複数の光源は、各光源の光出射面を前記照光面に向く方向とは異なる前記操作キーの押下方向に向けて配設されている遊技機用押しボタン。
【請求項2】
遊技機に搭載される遊技機用押しボタンであって、
押下を受け付ける操作キーと、
前記操作キーの外周部に沿って配設された複数の光源と、
前記操作キーの外周部を囲うように設けられた照光面を有し、前記複数の光源から照射された光を導光して前記照光面より出射する導光部と、を備え、
前記複数の光源は、各光源の光出射面を前記照光面に向く方向とは異なる方向に向けて配置され
前記導光部は、前記各光源の光が入射する箇所に、前記各光源から照射された光の一部を各々の隣に配置された別の光源の位置する方向へ反射する反射構造部を有している遊技機用押しボタン。
【請求項3】
前記導光部の前記各光源の光が入射する面とは反対の裏面側に、前記導光部より出射される光を前記導光部内に戻す反射部材を備える請求項1又は2に記載の遊技機用押しボタン。
【請求項4】
前記反射部材は、前記導光部より出射される光を拡散させて前記導光部内に戻す拡散機能を有している請求項3に記載の遊技機用押しボタン。
【請求項5】
前記反射構造部は、前記導光部における前記各光源の光が入射する箇所の裏面に設けられたV字溝である請求項に記載の遊技機用押しボタン。
【請求項6】
複数の光源と、
照光面を有し、前記複数の光源から照射された光を導光して前記照光面より出射する導光部と、を備え、
前記導光部は、前記複数の光源を囲い込むように断面コの字状に形成された部分を有し、該部分におけるコの字状に対向する一方の壁部が前記照光面となっており、
前記複数の光源は、各光源の光出射面を前記照光面に向く方向とは異なる、前記部分におけるコの字状の内側からコの字状に対向する他方の壁部に向けて配設されている照光装置。
【請求項7】
複数の光源と、
照光面を有し、前記複数の光源から照射された光を導光して前記照光面より出射する導光部と、を備え、
前記複数の光源は、各光源の光出射面を前記照光面に向く方向とは異なる方向に向けて配置され
前記導光部は、前記各光源の光が入射する箇所に、前記各光源から照射された光の一部を各々の隣に配置された別の光源の位置する方向へ反射する反射構造部を有している照光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機用押しボタンおよび照光装置に関し、より詳細には照光面の点光り解消の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カジノ等の遊技施設には、様々な遊技機メーカが作製したスロットマシン等の遊技機が複数設置され、遊技者は好みの遊技機を選択して遊技を行う。そのため、遊技機には、遊技者を引き付けて遊技を行いたいと思わせるアピール性が必要となる。
【0003】
遊技機において、操作部は遊技者が対峙する前面(正面)の外観上目立つ位置に設けられると共に、遊技者が直接操作する部分である。そのため、操作部は遊技者に対して遊技機をアピールする重要な部分で、操作部に配置される押しボタン(遊技機用押しボタン)もまた遊技機をアピールする重要な部品である。
【0004】
例えば、特許文献1に開示されているように、遊技者にスロットマシンをアピールするために、スロットマシンに搭載された押しボタンを発光させることが行われている。特許文献1に開示された技術では、光源(発光素子)から出射された光が拡散シートを介して操作面に照射され、当該操作面(照光面)を発光させる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-317380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている技術では、光源から距離を隔てて拡散シートを配置し、光源から出射された光を自然拡散させた後、拡散シートにてさらに拡散させている。このような構成では、光源と拡散シートとの間の距離を十分に確保することで点光りを防止できる。点光りとは、光源が存在する部分が他の部分よりも明るく見える現象である。
【0007】
しかしながら、この場合、光源から照光面までの距離が自ずと長くなり、照光面を操作面とした場合、押しボタンの厚みが大きくなり薄型化が図れない。また、操作面を全体的に光らせる構成においては適しているが、例えば押しボタンの側面や周囲だけを照光面とする構成の場合、光源から出射された光のうち、遊技者に視認される光の割合が少なく、光源の光を有効に利用できないといった問題もある。
【0008】
本発明の一態様は、薄型で、かつ、光源の光を有効に利用でき、しかも照光面を点光りのない状態で発光させることができる遊技機用押しボタンおよび照光装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る遊技機用押しボタンにおいては、遊技機に搭載される遊技機用押しボタンであって、押下を受け付ける操作キーと、前記操作キーの外周部に沿って配設された複数の光源と、前記操作キーの外周部を囲うように設けられた照光面を有し、前記複数の光源から照射された光を導光して前記照光面より出射する導光部と、を備え、前記複数の光源は、各光源の光出射面を前記照光面に向く方向とは異なる方向に向けて配置されている。
【0010】
上記構成によれば、複数の光源が、各光源の光出射面を照光面に向く方向とは異なる方向に向けて配置されているので、照光面を介して光出射面が視認されることはなく、光源が存在する部分が明るく見える点光りを確実に防止することができる。そして、導光部を用いて光源の光を照光面に導いて出射させるので、光源の光を有効に利用することができ、また、自然拡散や自然拡散に拡散シートを組み合わせて用いる構成に比べて、拡散のための経路を長く確保する必要もなく、薄型化が図れる。
【0011】
本開示の一態様に係る遊技機用押しボタンにおいては、さらに、前記複数の光源は、各光源の光出射面を前記操作キーの押下方向に向けて配設されている構成とすることもできる。上記構成によれば、複数の光源が、各光源の光出射面を前記照光面に向く方向とは異なる方向に向けて配置された構成を容易に実現できる。遊技者は操作キーの押下方向を視線の方向として当該押しボタンを視認するので、このような向きで複数の光源を配置することで、点光りを確実に防止することができる。
【0012】
本開示の一態様に係る遊技機用押しボタンにおいては、さらに、前記導光部の前記各光源の光が入射する面とは反対の裏面側に、前記導光部より出射される光を前記導光部内に戻す反射部材を備える構成とすることもできる。上記構成によれば、導光部の裏側に漏れる光が反射部材にて内部に戻されるので、光漏れによる損失を低減して、より一層光を有効に利用することができる。
【0013】
本開示の一態様に係る遊技機用押しボタンにおいては、さらに、前記反射部材は、前記導光部より出射される光を拡散させて前記導光部内に戻す拡散機能を有している構成とすることもできる。上記構成によれば、導光部の裏側に漏れる光が反射部材にて拡散された上で内部に戻されるので、導光部内を伝播する光に様々な角度が付与され、光源から離れた部分へも光を効果的に伝播することができる。その結果、照光面において光源の光が届き難いために他の部分よりも暗く見えるダークスポットの発生を抑制することができる。
【0014】
本開示の一態様に係る遊技機用押しボタンにおいては、さらに、前記導光部は、前記各光源の光が入射する箇所に、前記各光源から照射された光の一部を各々の隣に配置された別の光源の位置する方向へ反射する反射構造部を有している構成とすることもできる。上記構成によれば、反射構造部にて、各光源から照射された光の一部は隣に配置された別の光源の位置する方向へ反射されるので、照光面において光源の光が届き難いために他の部分よりも暗く見えるダークスポットの発生を抑制して、より均一な照光面を実現できる。
【0015】
本開示の一態様に係る遊技機用押しボタンにおいては、さらに、前記反射構造部は、前記導光部における前記各光源の光が入射する箇所の裏面に設けられたV字溝である構成とすることもできる。上記構成によれば、反射構造部を容易に実現できる。
【0016】
本開示の一態様に係る照光装置は、複数の光源と、照光面を有し、前記複数の光源から照射された光を導光して前記照光面より出射する導光部と、を備え、前記複数の光源は、各光源の光出射面を前記照光面に向く方向とは異なる方向に向けて配置されている。
【0017】
上記構成によれば、複数の光源が、各光源の光出射面を前記照光面に向く方向とは異なる方向に向けて配置されているので、照光面を介して光出射面が視認されることはなく、光源が存在する部分が明るく見える点光りを確実に防止することができる。そして、導光部を用いて光源の光を照光面に導いて出射させるので、光源の光を有効に利用することができ、また、自然拡散や自然拡散に拡散シートを組み合わせて用いる構成に比べて、拡散のための経路を長く確保する必要もなく、薄型化が図れる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、薄型で、かつ、光源の光を有効に利用でき、しかも照光面を点光りのない状態で発光させることができる遊技機用押しボタンおよび照光装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は、本発明の実施形態1に係る押しボタンが搭載されているスロットマシンの斜視図であり、(b)はスロットマシンの上面図である。
図2】(a)は上記押しボタンの平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図3】上記押しボタンの分解斜視図である。
図4図2の(a)のA-A線矢視断面図である。
図5】上記押しボタンにおける導光経路を説明する図である。
図6】上記押しボタンの分解斜視図であり、ベゼルからLED基板までが組み付けられた途中部品と、ベースと、反射シートとを分けて示している。
図7図2の(a)のB-B線矢視断面図であり、反射構造部が設けられた部分における光の経路を示す。
図8】本発明の実施形態2に係る照光装置の基本構成を示す一部断面斜視図である。
図9】(a)(b)は、照光装置50を利用して構成可能な変形例の照光装置の概略構成を示す斜視図である。
図10】光拡散の理論値を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。本実施形態では、本開示の遊技機用押しボタンの一態様として、スロットマシンなどの遊技機に搭載された遊技機用押しボタンを例示する。
【0021】
§1 適用例
まず、図1図2の(a)~(c)、図5図6を用いて、遊技機用押しボタン10(以下、押しボタン10)が適用される場面の一例について説明する。図1の(a)は、押しボタン10が搭載されているスロットマシン1の斜視図であり、(b)はスロットマシン1の上面図である。
【0022】
図1の(a)(b)に示すように、遊技機としてのスロットマシン1は、筐体4の上部の遊技者の目線に当たる位置に表示モニター2が設けられ、表示モニター2の下方の筐体4の下部前側(遊技者側)に操作部3が設けられている。
【0023】
操作部3は、筐体4の下部の前方に迫り出した突出部分の上面に設けられ、図示しないLCD等の表示装置が配置されている。押しボタン10は、表示装置の表示画面に重なるように設置されており、操作キー12越しに表示装置の表示画面の内容を視認可能となっている。
【0024】
図2の(a)~(c)に示すように、押しボタン10は、ベース30、ベゼル11、およびこれらの間に押下可能に支持された操作キー12を有する。ベース30は導光体より構成された導光体部(導光部)31を有し、導光体部31の外周面(外側面)31aが光を発する照光面40となっている。
【0025】
図6に示すように、導光体部31に光を供給する光源としてのLED25は、操作キー12の外周部に沿うように複数配設されている。そして、複数のLED25は、各LED25の光出射面25aを照光面40に向く方向とは異なる方向に向けて配置されている。図5の例では、複数のLED25は、光出射面25aを操作キー12の押下方向に向けて配設されている。
【0026】
このような構成とすることで、照光面40を介して光出射面25aが視認されることはなく、点光りを確実に防止できる。また、自然拡散を利用する場合のように、拡散のために光路を長く確保する必要がないので、薄型にできる。しかも、導光体部31にて光を伝播して照光面40から取り出すようにしているので、各LED25から出射された光を有効に利用することができる。これにより、薄型で、かつ、光源の光を有効に利用でき、しかも照光面を点光りのない状態で発光させることができる。特に、遊技者は操作キーの押下方向を視線の方向として当該押しボタンを視認するので、光出射面25aを操作キー12の押下方向に向けて配置することで、点光りを確実に防止することができる。
【0027】
§2 構成例
(押しボタン10の構成)
本開示の一態様の押しボタン10の概略構成について説明する。図2の(a)は押しボタン10の平面図、図2の(b)は正面図、図2の(c)は側面図である。図2の(a)~(c)に示すように、押しボタン10は、平面視において略三角形をなす薄型の押しボタンである。
【0028】
押しボタン10は、ベゼル11とベース30と、これらの間に押下操作可能に支持された操作キー12を有する。押しボタン10は、例えば14mm程度の厚さ(押下方向の寸法)に設計されている。なお、本発明の押しボタンにおいて、平面視した場合の形状は、略三角形に限るものではない。また、本実施形態では、押しボタン10が水平面に配置されたと仮定して、押下方向を下方、復帰方向を上方として説明する。
【0029】
図3は押しボタン10の分解斜視図である。図4は、図2の(a)のA-A線矢視断面図である。図3図4に示すように、押しボタン10は、上述したベゼル11、ベース30、および操作キー12の他に、機構部品13、プレート16、感圧センサ基板17、スペーサ18、LED基板19および反射シート20等を備えている。
【0030】
ベゼル11は、押しボタン10の上面の一部および側面をカバー(保護)するためのカバー部材である。ベゼル11は、操作キー12の外周部に設けられ、操作キー12の中央部が押下方向に移動する開口11aを有する。
【0031】
操作キー12は、押下操作を受け付ける操作部であり、透明材料より形成され、中央部が肉厚に形成されている。操作キー12の裏側には、ベース30の後述するガイド壁32aが入り込む溝部12aが形成されており、ガイド壁32aに沿って上下動する。操作キー12の上方への移動は、ベゼル11にて規制されている。
【0032】
操作キー12の外周部には防水パッキン14が一体に設けられている。ベゼル11とベース30とを、それらの間に防水パッキン14を挟持した状態で、ネジ(図示しない)等で固定することで、押しボタン10内部への液体の侵入が防止される。
【0033】
機構部品13は、バネおよびゴムを含み、バネにて押下された操作キー12を復帰させ、ゴムにて操作キー12の押下時にクリック感を与えるものである。感圧センサ基板17は、操作キー12の押下を検出する押圧センサ(図示せず)を備え、プレート16を介して操作キー12の裏側に配設される。
【0034】
LED基板19は、光源としてのLED25を複数備えている。複数のLED25は、各LED25の光出射面25aを照光面40に向く方向とは異なる方向に向けて配置されている。本実施形態では、複数のLED25は、LED基板19の裏面であるベース30と対向する面に搭載されており、光を照射する光出射面25aを操作キー12の押下方向である下方に向けて配設されている。
【0035】
ベース30は、操作キー12およびベゼル11を支持するものである。ベース30は外周部に収容室30aを有し、収容室30aに上述した機構部品13、プレート16、感圧センサ基板17、スペーサ18およびLED基板19が収容される。
【0036】
ベース30は、外周部の導光体部31、その内側の遮光体部32、および中央の透明体部33の3つの部分から構成されている。導光体部31は、導光体より形成され、複数のLED25から出射された光が導入され、導入された光を、内部を伝播させて外周面31aへ導くものである。本実施形態では、導光体部31の外周面31aが押しボタン10における照光面40となっている。照光面40には、導光体部31内部の光を外部に取り出すための光拡散処理(例えば、微細な凹凸を形成する処理)が施されている。
【0037】
また、導光体部31には、各LED25の光が入射する箇所に、後述する反射構造部35が設けられている。本実施形態では、反射構造部35は、導光体部31における各LED25の光が入射する箇所の裏面に設けられたV字溝より構成されている。
【0038】
遮光体部32は、遮光体より形成され、導光体部31より内周側に向かって漏れる光を遮蔽するものである。上述した収容室30aは、導光体部31と遮光体部32との境界線を含むように設けられている。遮光体部32に、操作キー12の押下時および復帰時に操作キー12の上下動をガイドするガイド壁32aが形成されている。透明体部33は、透明体より形成され、押しボタン10の下方に設置される表示装置の画面の視認を可能にするものである。
【0039】
反射シート(反射部材)20は、導光体部31より外部に漏れ出た光を導光体部31内部に戻すものである。反射シート20としては、導光体部31より漏れ出たす光を拡散させて戻す拡散機能を有する、例えば乳白色のシート等が好ましい。
【0040】
(導光経路および点光り防止構造)
図5を用いて、導光経路および点光り防止構造について説明する。図5は、押しボタン10における導光経路を説明する図である。図5に示すように、LED25はLED基板19の裏面に搭載されており、光出射面25aを操作キー12の押下方向である下方に向けて配設されている。光出射面25aは、導光体部31に近接して配されており、LED25より出射された光は、導光体部31における光出射面25aと対向して配置された部分から内部に導入される。
【0041】
導入された光のうち、導光体部31の裏面に傾きを持つ光は、導光体部31内部を入射面(LED25側の面)と裏面との間を全反射しながら内部を伝播し、外周面31aである照光面40に到達すると外部に出射される。また、直接あるいは反射して遮光体部32に到達した光は、遮光体部32に吸収される。これにより、押しボタン10の内側に光が漏れることを阻止することができる。
【0042】
また、導入された光のうち、導光体部31の裏面に傾きを持つことなく垂直に入射した光は、反射シート20にて拡散された上で導光体部31内部に戻される。導光体部31より出射した光を内部に戻すことで、光の有効利用が可能となる。また、拡散されることで裏面に対して角度が付与されることとなり、入射面と裏面との間を全反射しながら伝播し、照光面40に到達して出射される。つまり、拡散されることで、導光体部31内を伝播する光に様々な角度が付与され、LED25から離れた部分へも光を効果的に伝播することができる。これにより、照光面40においてLED25の光が届き難いために他の部分よりも暗く見える後述するダークスポットの発生を抑制することができる。なお、図5では、LED25より傾きを持って入射した光の導光経路のみを記載しており、反射シート20にて拡散されることで傾きを持った光および遮光体部32に向かう光の導光経路については記載を省略している。
【0043】
このように、本実施形態では、複数のLED25から出射された光は、導光体部31の入射面から高効率に内部に取り込まれ、導光体部31内部を伝播して照光面40へと導かれる。これにより、光源から出射された光を有効に利用することができる。
【0044】
そして、本実施形態では、複数のLED25を、各LED25の光出射面25aを照光面40に向く方向とは異なる方向に向けて配置されているので、照光面40を介してLED25が視認されることがなく、点光りを確実に防止することができる。
【0045】
(ダークスポットの発生抑制構造)
次に、図6図7を用いて、ダークスポットの発生抑制構造について説明する。ダークスポットとは、照光面40においてLED25の光が届き難いために他の部分よりも暗く見える部分のことである。図6は、押しボタン10の分解斜視図であり、ベゼル11からLED基板19までが組み付けられた途中部品と、ベース30と、反射シート20とを分けて示している。図7は、図2の(a)のB-B線矢視断面図であり、反射構造部35が設けられた部分における光の経路を示す。
【0046】
図6図7に示すように、ベース30における導光体部31には、LED基板19に搭載された各LED25の光が入射する箇所に、反射構造部35が設けられている。反射構造部35は、各LED25から照射された光の一部を各々の隣に配置された別のLED25のある方向へ反射するものである。本実施形態では、反射構造部35は、導光体部31における各LED25の光が入射する箇所の裏面に設けられたV字溝より構成されている。
【0047】
図7に示すように、反射構造部35が設けられることで、LED25から下方に照射され、本来であれば真っ直ぐに裏面を抜けるような傾きを持たない光であっても、反射構造部35に角度を持って当たることとなり、裏面に抜けにくくなる。これにより、原理的には、反射シート20がなくても、光が裏面より抜け出るのを抑制して、LED25の光を有効利用できる。
【0048】
しかも、このような反射構造部35は、各LED25から照射された光の一部を各々の隣に配置された別のLED25の位置する方向へ反射するので、LED25とLED25との間の光が届き難い部分にまで光を送ることができる。これにより、LED25の光が届き難いために暗く見えるダークスポットの発生を効果的に低減して、照光面を均一に照光することができる。
【0049】
(効果)
以上のように、上記構成では、複数のLED25を、光出射面25aを照光面40に向く方向とは異なる方向に向けて配置することで点光りを確実に防止することができる。また、導光体部31を用いて照光面40まで光を導くことで、光を有効に利用することができる。さらに、反射シート20で導光体部31からの光漏れを抑制すると共に、反射構造部35にてダークスポットの発生を低減させている。ダークスポットは、導光体部31の裏面側全体に配置され、拡散機能を有する反射シート20と、反射構造部35との作用にて効果的に低減される。
【0050】
これにより、薄型で、かつ、LED25の光を有効に利用でき、しかも照光面40を点光りもダークスポットもない均一な状態で発光させることができる。
【0051】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0052】
実施形態1では、薄型で、かつ、光源の光を有効に利用でき、しかも照光面を点光りのない状態で発光させることが可能な構成を遊技機用押しボタン10に適用したが、照光装置に適用することもできる。
【0053】
図8は、本実施形態に係る照光装置50の基本構成を示す一部断面斜視図である。図8に示すように、照光装置50は、複数のLED25を搭載したLED基板51、導光体部52、遮光体部53、反射シート20等を備えている。LED基板51は長尺状を成し、複数のLED25が少なくとも1列、長手方向に並んで配置されている。導光体部52は、LED基板51を囲い込むように断面コの字状に形成され、コの字状に対向する一方の壁部52aが照光面40となっている。
【0054】
複数のLED25は、各LED25の光出射面25aを照光面40に向く方向とは異なる方向に向けて配置されており、具体的には、コの字状に対向する他方の壁部52bに光出射面25aを向けて配設されている。他方の壁部52bにおける各LED25の光が入射する箇所には反射構造部35が設けられている。また、他方の壁部52bの端部には遮光体部54が配設され、他方の壁部52bの裏面には反射シート20が配設されている。
【0055】
このような構成とすることで、複数のLED25から出射された光は、導光体部52の他方の壁部52bから高効率に内部に取り込まれ、内部を伝播しながら照光面40へと導かれ出射される。ここでも、複数のLED25は、光出射面25aを照光面40に向く方向とは異なる方向に向けて配置されているので、照光面40を介してLED25が視認されることがなく点光りを確実に防止することができる。
【0056】
また、反射シート20にて光漏れを防ぐと共に光を拡散させ、かつ、反射構造部35にてLED25間のLED25が存在しない部分へ光を送ることで、ダークスポットの発生を効果的に低減することができる。
【0057】
これにより、薄型で、かつ、LED25の光を有効に利用でき、しかも照光面40を点光りもダークスポットもない均一な状態で発光させることができる照光装置50を実現することができる。
【0058】
図9の(a)(b)は、照光装置50を利用して構成可能な変形例の照光装置の概略構成を示す斜視図である。図9の(a)に示すように、照光装置50を複数並べて配置することで、ライン状に限らない、矩形や正方向等の所望の形状の照光装置を得ることができる。また、図9の(b)に示すように、照光装置50を複数枠状に配置することで、枠型の照光装置を得ることができる。
【0059】
ここで、図10を用いて、照光装置の厚さ(厚み方向の寸法)について説明する。図10は、光拡散の理論値を説明する図である。図10に示すように、隣り合う2つのLED25の離間距離をL、隣り合う2つのLED25からの各光が交差する距離をH、2つのLED25の拡散角を共にθとする。このような関係においては、tan(θ/2)=(L/2)/Hが成り立ち、H=0.5L/tan(θ/2)となる。距離Hは、理論上、ダークスポットがなくなる距離である。つまり、距離Hに拡散シートを配置することで、ダークスポットの無い照光面が得られる。
【0060】
しかしながら、LED25は、光出射面25aの法線方向の光が最も強く、法線方向から傾きを持った外側に光は弱いため、実際には距離Hよりも離して拡散シートを配置する必要がある。しかも、拡散シートを配置したとしても、LED25が存在する部分が明るく視認されないようにするには、さらに離して拡散シートを配置する必要がある。
【0061】
例えば、LED25の拡散角θを100°、離間距離Lを15~20mmとすると、距離Hは6.29~8.39mmとなる。つまり、拡散シートは、LED25から最低6.29~8.39mm離して設置する必要があり、点光りを防止するためにはさらに離して設置する必要がある。そのため、自然拡散および拡散シートを用いる構成では、照光装置の厚みが増加する。
【0062】
これに対し、LED25を視認不可能な位置に配置し、導光体部52にて照光面40にまで光を導くことで点光りを防止する構成では、距離Hを確保する必要がないため、照光装置50ように厚みを薄くできる。コの字状の導光体部52の厚み(高さ)を、機械的強度と導光性を考慮した上で可能な限り小さくすることで、LED25の拡散角θおよび離間距離Lの条件を同じとした場合、自然拡散と拡散シートを用いる構成の6.29~8.39mmよりも十分に薄くすることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 スロットマシン(遊技機)
2 表示モニター
3 操作部
4 筐体
10 遊技機用押しボタン
11 ベゼル
11a 開口
12 操作キー
12a 溝部
13 機構部品
14 防水パッキン
16 プレート
17 感圧センサ基板
19、51 LED基板
20 反射シート
25 LED(光源)
25a 光出射面
30 ベース
31、52 導光体部(導光部)
31a 外周面
32、54 遮光体部
33 透明体部
35 反射構造部
40 照光面
50 照光装置
52a、52b 壁部
図1
図2
図3
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図8
図9
図10