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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】制御装置および実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20220809BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
H05K13/04 B
H01L21/52 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019077943
(22)【出願日】2019-04-16
(65)【公開番号】P2020177981
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 充夫
(74)【代理人】
【識別番号】100172236
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 宣憲
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 美樹子
(72)【発明者】
【氏名】石川 洋治
(72)【発明者】
【氏名】浪江 正樹
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-533632(JP,A)
【文献】特開2016-040821(JP,A)
【文献】特開2004-200379(JP,A)
【文献】特開2009-194015(JP,A)
【文献】国際公開第2014/076809(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
H01L 21/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に向かう第1方向および前記対象物から離れる第2方向に移動可能な移動部材と、前記移動部材に前記第1方向の力を加えて前記移動部材を前記第1方向に移動させると共に、前記移動部材に前記第2方向の力を加えて前記移動部材を前記第2方向に移動させるリニアコイルモータとを有する移動装置と、
前記移動部材によって前記対象物に加えられる荷重の大きさを検出する荷重検出センサと
を有する実装装置の前記移動装置を前記荷重検出センサにより検出された荷重の大きさに基づいて制御して、前記移動部材を目標荷重で前記対象物に押し当てる制御装置において、
前記移動部材が前記対象物に接触した後、前記荷重検出センサにより検出された荷重が閾値以上になった場合に、前記移動部材が前記対象物に接触したときに前記移動部材によって前記対象物に加えられる力を打ち消す反力である前記第2方向の第1の力に基づいて前記移動部材の前記対象物に対する第1押し当て力を決定し、前記移動装置を制御して決定された前記第1押し当て力を前記対象物に加える第1力制御を行う第1力制御部と、
前記第1力制御が終了した後、前記目標荷重から予め設定される前記第1方向の第2の力と、前記荷重検出センサにより検出された荷重の大きさをフィードバックすることにより算出される前記第1方向の第3の力とに基づいて前記移動部材の前記対象物に対する第2押し当て力を決定し、前記移動装置を制御して決定された前記第2押し当て力を前記対象物に加えて、前記荷重検出センサにより検出される荷重の大きさが前記目標荷重を超えないように前記移動部材により前記対象物に加えられる荷重を前記目標荷重に近づける第2力制御を行う第2力制御部と
を備える、制御装置。
【請求項2】
前記移動装置が、前記移動部材を前記第2方向に付勢するばね部材をさらに有し、
前記第1力制御部が、前記第1の力と、前記ばね部材の付勢力を打ち消す前記第1方向の第4の力とに基づいて前記第1押し当て力を決定し、
前記第2力制御部が、前記第2の力、前記第3の力および前記第4の力に基づいて前記第2押し当て力を決定する、請求項1の制御装置。
【請求項3】
前記第2力制御部は、前記第2の力、前記第3の力および前記第4の力に加えて、前記移動部材が前記対象物に接触した後に発生する振動であって前記実装装置のばね特性により決定される前記振動を抑制する第5の力に基づいて、前記第2押し当て力を決定する、請求項2の制御装置。
【請求項4】
前記第2の力が、前記第2力制御の開始から、前記目標荷重に向かって段階的に大きくなるように設定されている、請求項2または3の制御装置。
【請求項5】
前記第2力制御が終了した後、前記第4の力と、前記第3の力と、前記第2力制御が終了したときの前記第2の力とに基づいて前記移動部材の前記対象物に対する第3押し当て力を決定し、前記移動装置を制御して決定された前記第3押し当て力を前記対象物に加えて、前記移動部材により前記対象物に加えられる荷重を前記目標荷重に安定化させる第3力制御を行う第3力制御部を備える、請求項4の制御装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つの制御装置を備えた実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置およびこの制御装置を備えた実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体部品を基板に搭載する半導体部品実装装置が開示されている。この半導体部品実装装置では、半導体部品をボイスコイルモータにより下方向に動かすことで、基板に加圧して搭載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-258127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、半導体部品の小型化および薄型化に伴い、半導体部品が基板に接触したときに発生する衝撃を抑えながら高速かつ高精度に半導体部品を基板に実装する技術が要望されている。
【0005】
前記半導体部品実装装置において、半導体部品が基板に接触したときに発生する衝撃を抑えながら高速かつ高精度に半導体部品を基板に実装する場合、半導体部品が基板に接触する前に半導体部品の下降速度を低下させることが考えられる。しかし、この場合、半導体部品を基板に搭載する工程作業時間を縮めることが困難になるおそれがある。
【0006】
本開示は、移動部材が対象物に接触したときに発生する衝撃を抑えながら、移動部材が対象物に接触する直前の移動速度を高めることが可能な制御装置、および、この制御装置を備えた実装装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例の制御装置は、
対象物に向かう第1方向および前記対象物から離れる第2方向に移動可能な移動部材と、前記移動部材に前記第1方向の力を加えて前記移動部材を前記第1方向に移動させると共に、前記移動部材に前記第2方向の力を加えて前記移動部材を前記第2方向に移動させるリニアコイルモータとを有する移動装置と、
前記移動部材によって前記対象物に加えられる荷重の大きさを検出する荷重検出センサと
を有する実装装置の前記移動装置を前記荷重検出センサにより検出された荷重の大きさに基づいて制御して、前記移動部材を目標荷重で前記対象物に押し当てる制御装置において、
前記移動部材が前記対象物に接触した後、前記荷重検出センサにより検出された荷重が閾値以上になった場合に、前記移動部材が前記対象物に接触したときに前記移動部材によって前記対象物に加えられる力を打ち消す前記第2方向の第1の力に基づいて前記移動部材の前記対象物に対する第1押し当て力を決定し、前記移動装置を制御して決定された前記第1押し当て力を前記対象物に加える第1力制御を行う第1力制御部と、
前記第1力制御が終了した後、前記目標荷重から予め設定される第2の力と、前記荷重検出センサにより検出された荷重の大きさをフィードバックすることにより決定される第1方向の第3の力とに基づいて前記移動部材の前記対象物に対する第2押し当て力を決定し、前記移動装置を制御して決定された前記第2押し当て力を前記対象物に加えて、前記荷重検出センサにより検出される荷重の大きさが前記目標荷重を超えないように前記移動部材により前記対象物に加えられる荷重を前記目標荷重に近づける第2力制御を行う第2力制御部とを備える。
【0008】
本開示の一例の実装機器は、前記制御装置を備える。
【発明の効果】
【0009】
前記制御装置によれば、移動部材が前記対象物に接触した後、荷重検出センサにより検出された荷重が閾値以上になった場合に、移動部材が対象物に接触したときに移動部材によって対象物に加えられる力を打ち消す第1の力に基づいて決定される第1押し当て力を対象物に加える第1力制御を行う。また、第1力制御の終了後、目標荷重から予め設定される第2の力と、荷重検出センサにより検出された荷重の大きさをフィードバックすることにより算出される第3の力とに基づいて決定される第2押し当て力を対象物に加えて、荷重検出センサにより検出される荷重の大きさが目標荷重を超えないように移動部材により対象物に加えられる荷重を目標荷重に近づける第2力制御を行う。このような構成により、移動部材が対象物に接触したときに発生する衝撃を抑えながら、移動部材が対象物に接触する直前の移動速度(すなわち、サーチ速度)を高めることができる制御装置を実現できる。
【0010】
前記実装装置によれば、前記制御装置によって、例えば、移動部材が対象物に接触したときに発生する衝撃を抑えながら、サーチ速度を高めることができるので、移動部材を目標荷重で対象物に押し当てる工程作業時間を短縮可能な実装装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態の実装装置を示すブロック図。
図2図1の実装装置の押し当て動作における各力制御の期間を示すグラフ。
図3図1の実装装置の押し当て動作を説明するためのフローチャート。
図4図1の実装装置の第1力制御を説明するためのフローチャート。
図5図1の実装装置の第2力制御を説明するためのフローチャート。
図6図1の実装装置の第3力制御を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一例を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向あるいは位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した本開示の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致していない。
【0013】
本開示の一実施形態の制御装置10は、例えば、図1に示すように、ダイボンダ装置などの実装装置1の一部を構成する。実装装置1は、一例として、移動装置2と、荷重検出センサ3(例えば、ロードセル)とを備えている。
【0014】
移動装置2は、移動部材4と、移動部材4に力を加えて移動させるリニアコイルモータの一例のボイスコイルモータ5と、移動部材4を図1の矢印B方向に付勢するばね部材6と、移動部材4の位置を検出するエンコーダ7を有している。
【0015】
移動部材4は、例えば半導体部品110を保持した状態で、ボイスコイルモータ5によって、対象物100(例えば、プリント基板)に向かう第1方向(図1の矢印A方向)および対象物100から離れる第2方向(図1の矢印B方向)に移動する。すなわち、ボイスコイルモータ5は、移動部材4に第1方向Aの力を加えて移動部材4を第1方向Aに移動させると共に、移動部材4に第2方向Bの力を加えて移動部材4を第2方向Bに移動させる。ばね部材6は、例えば、コイルばね、あるいは、板ばねであり、移動部材4を第2方向Bに付勢している。エンコーダ7は、検出した移動部材4の位置を制御装置10に出力する。なお、ばね部材6およびエンコーダ7は、ボイスコイルモータ5に内蔵されていてもよい。すなわち、移動部材4の位置検出は、ボイスコイルモータ5に内蔵されたエンコーダを用いて行ってもよいし、ボイスコイルモータ5に外付けされたエンコーダ7(例えば、リニアエンコーダ)を用いて行ってもよい。
【0016】
制御装置10は、一例として、演算などを行うCPUと、実装装置1の制御に必要なプログラムあるいはデータなどを記憶しておくROMおよびRAMなどの記憶媒体と、外部機器との間で信号の入出力を行うインターフェース部とで構成されている。
【0017】
また、制御装置10は、図1に示すように、第1力制御部11、第2力制御部12および第3力制御部13を有し、移動装置2を荷重検出センサ3により検出された荷重の大きさに基づいて制御して、移動部材4を予め設定された目標荷重(例えば、1N未満の低荷重)で対象物100に押し当てる。なお、第1力制御部11、第2力制御部12および第3力制御部13の各部は、制御装置10のCPUが所定のプログラムを実行することにより実現される機能である。
【0018】
第1力制御部11は、移動部材4が対象物100に接触した後、荷重検出センサ3により検出された荷重が閾値以上になった場合に、移動部材4の対象物100に対する第1押し当て力を決定する。なお、閾値は、移動部材4が対象物100に接触したことが確実に分かる値であればよく、例えば、荷重検出センサ3の性能および移動部材4の移動速度により決定される。
【0019】
第1押し当て力は、移動部材4が対象物100に接触したときに移動部材4によって対象物100に加えられる力を打ち消す第2方向B(すなわち、移動部材4が対象物100に押し当てられる第1方向Aとは逆方向)の第1の力に基づいて決定される。より詳しくは、第1押し当て力は、第1の力と、第1方向Aの第4の力とに基づいて(例えば、第1の力と第4の力とを合成することにより)決定される。第1の力は、移動部材4に保持された半導体部品110に加えられる衝撃荷重を打ち消す力であり、第4の力は、移動部材4を第2方向Bに付勢するばね部材6の付勢力を打ち消す力である。例えば、第1方向Aが鉛直下向き(すなわち、プラス方向)で第2方向Bが鉛直上向き(すなわち、マイナス方向)であった場合、移動部材4の重量をWとし、対象物100に接触したときの移動部材4の加速度をαとすると、第1の力F1は、-(W×α)により予め算出される。第4の力Tは、予め計測されたばね部材6のばね定数と、エンコーダ7により検出された移動部材4の位置とに基づいて予め算出される。すなわち、第1押し当て力は、-(W×α)+Tにより予め算出される。
【0020】
第1押し当て力が決定されると、第1力制御部11は、移動装置2を制御して、決定された第1押し当て力を半導体部品110を介して対象物100に加える第1力制御を行う。この第1力制御は、図2に示すように、移動部材4が対象物100に接触した後、荷重検出センサ3により検出された荷重が閾値以上になったときから、例えば、1~2制御周期の期間22が経過するまで行われる。なお、1制御周期は、例えば、100μsである。
【0021】
第2力制御部12は、第1力制御が終了した後、移動部材4の対象物100に対する第2押し当て力を決定する。第2押し当て力は、第2の力、第3の力、第4の力および第5の力に基づいて(例えば、第2の力、第3の力、第4の力および第5の力を合成することにより)決定される。
【0022】
第2の力は、目標荷重から予め設定される第1方向Aのフィードフォワード力である。例えば、第2の力は、第2力制御の開始から数制御周期(例えば、2~3制御周期)に亘って、第1力制御が終了したときの第1押し当て力を目標荷重に向かって段階的に大きくした力であり、移動部材4により対象物100に加えられる荷重が目標荷重にできるだけ早く近づくように設定される。
【0023】
第3の力は、荷重検出センサ3により検出された荷重の大きさをフィードバックすることにより算出される(すなわち、フィードバック制御により算出される)第1方向Aの力である。
【0024】
第5の力は、移動部材4が対象物100に接触した後に発生する振動であって実装装置1のばね特性により決定される振動を抑制する力である。例えば、荷重検出センサ3(例えば、ロードセル)の荷重の周期を計測することにより、実装装置1のばね特性により決定される振動を予め計測しておき、計測された振動の逆位相の力が、第5の力として決定される。
【0025】
第2押し当て力が決定されると、第2力制御部12は、移動装置2を制御して、図2に示すように、第1力制御が終了したときから、例えば、60~70制御周期の期間23が経過するまで、決定された第2押し当て力を半導体部品110を介して対象物100に加えて、移動部材4により対象物100に加えられる荷重を目標荷重に近づける第2力制御を行う。
【0026】
第3力制御部13は、第2力制御が終了した後、移動部材4の対象物100に対する第3押し当て力を決定する。第3押し当て力は、第4の力と、第3の力と、第2力制御が終了したときの第2の力とに基づいて(例えば、第4の力、第3の力および第2力制御が終了したときの第2の力を合成することにより)決定される。
【0027】
第3押し当て力が決定されると、第3力制御部13は、移動装置2を制御して、例えば、図2に示すように、第2力制御が終了したときから所定の期間24が経過するまで、決定された第3押し当て力を半導体部品110を介して対象物100に加えて、移動部材4により対象物100に加えられる荷重を目標荷重に安定化させる第3力制御を行う。
【0028】
次に、図3図6を参照して、制御装置10を備えた実装装置1の押し当て動作について説明する。なお、以下に説明する動作は、制御装置10が所定のプログラムを実行することで実施される。
【0029】
実装装置1は、一例として、対象物100に接触する直前の期間21(図2参照)の移動部材4の所定の移動速度(すなわち、サーチ速度)を、期間21よりも前の期間の移動部材4の移動速度よりも低下させつつ、可能な限り大きくした状態で、移動部材4を対象物100に向かって移動させるように構成されている。図3に示すように、制御装置10は、半導体部品110を保持した状態の移動部材4を初期位置から対象物100に向かって所定の移動速度で移動させ(ステップS0)、移動部材4が対象物100に接触する前(すなわち、期間21の開始時)に、移動部材4の移動速度をサーチ速度に変更する(ステップS1)。そして、制御装置10は、移動部材4が対象物100に接触して、荷重検出センサ3により検出された荷重が閾値以上になったか否かを判定する(ステップS2)。荷重検出センサ3により検出された荷重が閾値以上になっていないと判定された場合は、荷重検出センサ3により検出された荷重が閾値以上になったと判定されるまでステップS2を繰り返す。なお、サーチ速度は、荷重検出センサ3により検出される最大荷重が、例えば、目標荷重+10%の範囲を超えないように設定され、ステップS0における所定の移動速度と同じかそれ以下である。
【0030】
荷重検出センサ3により検出された荷重が閾値以上になったと判定された場合、第1力制御部11が、第1力制御を行う(ステップS3)。
【0031】
図4に示すように、第1力制御が開始されると、第1力制御部11は、予め算出された第1の力(すなわち、移動部材4に保持された半導体部品110に加えられる衝撃荷重を打ち消す力)および第4の力(すなわち、移動部材4を第1方向Aとは反対方向に引っ張るばね部材6の付勢力を打ち消す力)に基づいて第1押し当て力を決定し(ステップS11)、決定された第1押し当て力を対象物100に加える(ステップS12)。
【0032】
第1押し当て力が対象物100に加えられると、第1力制御部11は、移動部材4が対象物100に接触した後、荷重検出センサ3により検出された荷重が閾値以上になったときから所定期間(例えば、1~2制御周期)が経過したか否かを判定する(ステップS13)。所定期間が経過したと判定された場合、第1力制御部11は、第1力制御が終了する。また、所定期間が経過していないと判定された場合は、ステップS12に戻り、所定期間が経過したと判定されるまで、第1押し当て力が対象物100に加えられる。
【0033】
なお、荷重検出センサ3により検出された荷重が閾値以上になったときから経過した時間は、例えば、制御装置10により計測される。
【0034】
図3に示すように、第1力制御が終了すると、第2力制御部12が第2力制御を行う(ステップS4)。
【0035】
図5に示すように、第2力制御が開始されると、第2力制御部12は、第3の力を算出する(ステップS21)。第3の力は、荷重検出センサ3により検出された荷重の大きさをフィードバックすることにより算出される第1方向Aの力である。第3の力が決定されると、第2力制御部12は、予め算出された第2の力、第4の力および第5の力と、フィードバック制御により算出された第3の力とに基づいて第2押し当て力を決定し(ステップS22)、決定された押し当て力を対象物100に加える(ステップS23)。なお、第2の力は、目標荷重から予め設定される第1方向Aのフィードフォワード力であり、第2力制御の開始から数制御周期(例えば、2~3制御周期)に亘って、第1力制御が終了したときの第1押し当て力を目標荷重に向かって段階的に大きくした力である。第5の力は、実装装置1のばね特性により決定される振動を抑制する力である。
【0036】
第2押し当て力が対象物100に加えられると、第2力制御部12は、第1力制御が終了したときから所定期間(例えば、60~70制御周期)が経過したか否かを判定する(ステップS24)。所定期間が経過したと判定された場合、第2力制御部12は、第2力制御を終了する。また、所定期間が経過していないと判定された場合は、ステップS21に戻り、所定期間が経過したと判定されるまで、第2押し当て力が対象物100に加えられる。
【0037】
なお、第1力制御が終了したときから経過した時間は、例えば、制御装置10により計測される。
【0038】
図3に示すように、第2力制御が終了すると、第3力制御部13が第3力制御を行う(ステップS5)。
【0039】
図6に示すように、第3力制御が開始されると、第3力制御部13は、荷重検出センサ3により検出された荷重の大きさをフィードバックすることにより第3の力を算出し(ステップS30)、第4の力と、算出された第3の力と、第2力制御が終了したときの第2の力とに基づいて第3押し当て力を決定し(ステップS31)、決定された第3押し当て力を対象物100に加える(ステップS32)。
【0040】
第3押し当て力が対象物100に加えられると、第3力制御部13は、第2力制御が終了したときから所定期間が経過したか否かを判定する(ステップS33)。所定期間が経過したと判定された場合、第3力制御部13は、第3力制御を終了する。また、所定期間が経過していないと判定された場合は、ステップS30に戻り、所定期間が経過したと判定されるまで、第3押し当て力が対象物100に加えられる。
【0041】
なお、第2力制御が終了しときから経過した時間は、例えば、制御装置10により計測される。
【0042】
制御装置10によれば、移動部材4が対象物100に接触した後、荷重検出センサ3により検出された荷重が閾値以上になった場合に、移動部材4が対象物100に接触したときに移動部材4によって対象物100に加えられる力を打ち消す第1の力と、ばね部材6の付勢力を打ち消す第4の力とに基づいて決定される第1押し当て力を対象物に加える第1力制御を行う。また、第1力制御の終了後、目標荷重から予め設定される第2の力と、荷重検出センサ3により検出された荷重の大きさをフィードバックすることにより算出される第3の力と、第4の力とに基づいて決定される第2押し当て力を対象物100に加えて、荷重検出センサ3により検出される荷重の大きさが目標荷重を超えないように移動部材4により対象物100に加えられる荷重を目標荷重に近づける第2力制御を行う。このような構成により、移動部材4が対象物100に接触したときに発生する衝撃を抑えながら、サーチ速度を高めることができる制御装置10を容易に実現できる。
【0043】
また、実装装置1によれば、制御装置10によって、移動部材4が対象物100に接触したときに発生する衝撃を抑えながら、サーチ速度を高めることができるので、移動部材4を目標荷重で対象物100に押し当てる工程作業時間を短縮可能な実装装置1を実現できる。
【0044】
また、第2力制御部12は、第2の力、第3の力および第4の力に加えて、移動部材4が対象物100に接触した後に発生する振動であって実装装置1のばね特性により決定される振動を抑制する第5の力に基づいて、第2押し当て力を決定する。第2力制御において、移動部材4により対象物100に加えられる荷重は、実装装置1のばね特性の振動周期により変動する。このような構成により、第2力制御における移動部材4により対象物100で発生する荷重のピークを抑制することができる。その結果、荷重の振動を抑えることができる。
【0045】
また、第2の力が、第2力制御の開始から、目標荷重に向かって段階的に大きくなるように設定されている。このような構成により、より確実に、荷重検出センサ3により検出される荷重の大きさが目標荷重を超えないように移動部材4により対象物100に加えられる荷重を目標荷重に近づけることができる。
【0046】
また、第2力制御が終了した後、第4の力と、第3の力と、第2力制御が終了したときの第2の力とに基づいて移動部材4の対象物100に対する第3押し当て力を決定し、移動装置2を制御して決定された第3押し当て力を対象物100に加えて、移動部材4により対象物100に加えられる荷重を目標荷重に安定化させる第3力制御を行う第3力制御部13を備える。このような構成により、移動部材4により対象物100に加えられる荷重を目標荷重で容易に維持することができる。
【0047】
なお、制御装置10は、少なくとも第1制御部11および第2力制御部12を備えていればよい。例えば、第3力制御部13は、省略することができる。すなわち、図3のフローチャートにおいて、ステップS5は省略することができる。
【0048】
例えば、移動装置2のばね部材6を省略することで、第1力制御部11は、第1の力のみに基づいて第1押し当て力を決定するように構成することができる。この場合、第2力制御部12は、第2の力および第3の力のみに基づいて第2押し当て力を決定するように構成される。このような構成であっても、移動部材4が対象物100に接触したときに発生する衝撃を抑えながら、サーチ速度を高めることができる制御装置10を実現できる。
【0049】
第2力制御部12は、第2の力および第3の力のみに基づいて第2押し当て力を決定するように構成することができる。
【0050】
第1力制御が行われる期間22、第2力制御が行われる期間23および第3力制御が行われる期間24の各々の長さは、実装装置1の設計などに応じて、任意に設定することができる。
【0051】
以上、図面を参照して本開示における種々の実施形態を詳細に説明したが、最後に、本開示の種々の態様について説明する。なお、以下の説明では、一例として、参照符号も添えて記載する。
【0052】
本開示の第1態様の制御装置10は、
対象物100に向かう第1方向Aおよび前記対象物100から離れる第2方向Bに移動可能な移動部材4と、前記移動部材4に前記第1方向Aの力を加えて前記移動部材4を前記第1方向Aに移動させると共に、前記移動部材4に前記第2方向Bの力を加えて前記移動部材4を前記第2方向Bに移動させるリニアコイルモータ5とを有する移動装置2と、
前記移動部材4によって前記対象物100に加えられる荷重の大きさを検出する荷重検出センサ3と
を有する実装装置1の前記移動装置2を前記荷重検出センサ3により検出された荷重の大きさに基づいて制御して、前記移動部材4を目標荷重で前記対象物100に押し当てる制御装置10において、
前記移動部材4が前記対象物100に接触した後、前記荷重検出センサ3により検出された荷重が閾値以上になった場合に、前記移動部材4が前記対象物100に接触したときに前記移動部材4によって前記対象物100に加えられる力を打ち消す前記第2方向Bの第1の力に基づいて前記移動部材4の前記対象物100に対する第1押し当て力を決定し、前記移動装置2を制御して決定された前記第1押し当て力を前記対象物100に加える第1力制御を行う第1力制御部11と、
前記第1力制御が終了した後、前記目標荷重から予め設定される前記第1方向Aの第2の力と、前記荷重検出センサ3により検出された荷重の大きさをフィードバックすることにより算出される第1方向Aの第3の力とに基づいて前記移動部材4の前記対象物100に対する第2押し当て力を決定し、前記移動装置2を制御して決定された前記第2押し当て力を前記対象物100に加えて、前記荷重検出センサ3により検出される荷重の大きさが前記目標荷重を超えないように前記移動部材4により前記対象物100に加えられる荷重を前記目標荷重に近づける第2力制御を行う第2力制御部12と
を備える。
【0053】
第1態様の制御装置10によれば、移動部材4が対象物100に接触したときに発生する衝撃を抑えながら、サーチ速度を高めることができる制御装置10を実現できる。
【0054】
本開示の第2態様の制御装置10は、
前記移動装置2が、前記移動部材4を前記第2方向Bに付勢するばね部材6をさらに有し、
前記第1力制御部11が、前記第1の力と、前記ばね部材6の付勢力を打ち消す前記第1方向Aの第4の力とに基づいて前記第1押し当て力を決定し、
前記第2力制御部12が、前記第2の力、前記第3の力および前記第4の力に基づいて前記第2押し当て力を決定する。
【0055】
第2態様の制御装置10によれば、移動部材4が対象物100に接触したときに発生する衝撃を抑えながら、サーチ速度を高めることができる制御装置10を容易に実現できる。
【0056】
本開示の第3態様の制御装置10は、
前記第2力制御部12が、前記第2の力、前記第3の力および前記第4の力に加えて、前記移動部材4が前記対象物100に接触した後に発生する振動であって前記実装装置1のばね特性により決定される前記振動を抑制する第5の力に基づいて、前記第2押し当て力を決定する。
【0057】
第3態様の制御装置10によれば、第2力制御における移動部材4により対象物100に加えられる荷重のピークを抑制することができる。その結果、サーチ速度を大きくすることができる。
【0058】
本開示の第4態様の制御装置10は、
前記第2の力が、前記第2力制御の開始から、前記目標荷重に向かって段階的に大きくなるように設定されている。
【0059】
第4態様の制御装置10によれば、より確実に、荷重検出センサ3により検出される荷重の大きさが目標荷重を超えないように移動部材4により対象物100に加えられる荷重を目標荷重に近づけることができる。
【0060】
本開示の第5態様の制御装置10は、
前記第2力制御が終了した後、前記第4の力と、前記第3の力と、前記第2力制御が終了したときの前記第2の力とに基づいて前記移動部材4の前記対象物100に対する第3押し当て力を決定し、前記移動装置2を制御して決定された前記第3押し当て力を前記対象物100に加えて、前記移動部材4により前記対象物100に加えられる荷重を前記目標荷重に安定化させる第3力制御を行う第3力制御部13を備える。
【0061】
第5態様の制御装置10によれば、移動部材4により対象物100に加えられる荷重を目標荷重で容易に維持することができる。
【0062】
本開示の第6態様の実装装置1は、
前記態様の制御装置10を備えた。
【0063】
第6態様の実装装置1によれば、制御装置10によって、移動部材4が対象物100に接触したときに発生する衝撃を抑えながら、サーチ速度を高めることができるので、移動部材4を目標荷重で対象物100に押し当てる工程作業時間を短縮可能な実装装置1を実現できる。
【0064】
なお、前記様々な実施形態または変形例のうちの任意の実施形態または変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせまたは実施例同士の組み合わせまたは実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態または実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示の制御装置は、例えば、ダイボンダ装置などの実装装置に適用できる。
【0066】
本開示の実装装置は、例えば、半導体部品あるいは集積回路の基板への実装に適用できる。
【符号の説明】
【0067】
1 実装装置
2 移動装置
3 荷重検出センサ
4 移動部材
5 ボイスコイルモータ
6 ばね部材
7 エンコーダ
10 制御装置
11 第1力制御部
12 第2力制御部
13 第3力制御部
100 対象物
110 半導体部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6