IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京体育用品株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-体育用マット 図1
  • 特許-体育用マット 図2
  • 特許-体育用マット 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】体育用マット
(51)【国際特許分類】
   A63B 6/00 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
A63B6/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018129407
(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公開番号】P2020005864
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】596113236
【氏名又は名称】東京体育用品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和久
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-20816(JP,U)
【文献】登録実用新案第3227365(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0125290(US,A1)
【文献】国際公開第2016/198916(WO,A1)
【文献】中国実用新案第210020952(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0080756(KR,A)
【文献】特開昭55-146175(JP,A)
【文献】実開昭54-95409(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状マット本体と該矩形状マット本体を全面被覆するカバーと該カバーの側面に設けた持ち手とで構成される体育用マットにおいて、
前記持ち手が、前記カバーの長手方向側縁に沿ってベルト状に設けられ、端部とその間の箇所で前記カバーに固定されていることを特徴とする体育用マット。
【請求項2】
前記持ち手が、前記カバーに互いに等間隔を空けて固定されていることを特徴とする請求項1に記載の体育用マット。
【請求項3】
前記持ち手が、前記カバーに前記端部を除く偶数箇所で固定されていることを特徴とする請求項2に記載の体育用マット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体育用器具である体育用マットに関し、特に、矩形状マット本体とこの矩形状マット本体を全面被覆するカバーとこのカバーの側面に設けた持ち手とで構成される体育用マットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体育用マットとして、合成繊維などからなるフェルトを中詰材として、これを綿帆布などからなるカバー部材で覆うとともに、約200mm間隔で縫製された厚さ60mm程度のものが広く使用されている。
【0003】
そして、このような体育用マットは、中詰材が反発弾性および衝撃吸収性に欠ける合成繊維のフェルトであるため、マット厚さを充分に確保することによって転倒や着地時における局部的な衝撃荷重を吸収している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平1-135960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の体育用マットは、マット厚さが大きくなるとマット重量が著しく増大するため、マット側面に複数の持ち手を設けて時に複数人で持ち運びしなければならない。
そのため、マット使用時に複数の持ち手が使用者のつま先に不用意に引っ掛かるおそれがあるだけでなく、製作上の手間を増大させる一方で、把持可能な箇所が個々の持ち手に事実上限定され、特に、各持ち手が一定距離以上離れて設けられた場合には、単独で複数の持ち手を同時に把持するのが困難であるなどの問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであって、持ち手の設置形態を簡素化して使用者が持ち運びの際に広範囲を把持可能な体育用マットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、矩形状マット本体と該矩形状マット本体を全面被覆するカバーと該カバーの側面に設けた持ち手とで構成される体育用マットにおいて、前記持ち手が、前記カバーの長手方向側縁に沿ってベルト状に設けられ、端部とその間の箇所で前記カバーに固定されていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、本請求項1に記載された体育用マットの構成に加えて、前記持ち手が、前記カバーに互いに等間隔を空けて固定されていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、本請求項2に記載された体育用マットの構成に加えて、前記持ち手が、前記カバーに前記端部を除く偶数箇所で固定されていることにより、前述した課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の体育用マットは、矩形状マット本体とこの矩形状マット本体を全面被覆するカバーとこのカバーの側面に設けた持ち手とで構成されることにより、以下のような特有の効果を奏することができる。
【0011】
請求項1に係る発明の体育用マットは、持ち手が、カバーの長手方向側縁に沿ってベルト状に設けられ、端部とその間の箇所でカバーに固定されていることにより、従来のような合成繊維などからなる重厚なフェルトを中詰材として用いたためにカバーの長手方向に複数の持ち手を設けた体育用マットに比較すると、使用者がマット長手方向の広範囲で持ち運び可能となるため、取り扱いが容易となるばかりでなく、製作上の手間が省かれ、しかも、カバーの長手方向側縁から短手方向に突出する持ち手が存在しないため、カバーの長手方向側縁において使用者がつま先を持ち手に引っ掛けて転倒するなどの不測の事態を防止して安全に使用することができる。
【0012】
請求項2に係る発明の体育用マットによれば、請求項1に係る発明が奏する効果に加えて、持ち手が、カバーに互いに等間隔を空けて固定されていることにより、使用者が把持する位置によって持ち手の長さが変化することなく常に一定となるため、使用者が安定して持ち運びすることができる。
【0013】
請求項3に係る発明の体育用マットによれば、請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、持ち手が、カバーに端部を除く偶数箇所で固定されていることにより、マット長手方向の中央位置でも把持可能となるため、使用者はマット長手方向の中央位置で持ち手を把持してバランス良く持ち運びすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による体育用マットの斜視図である。
図2図1に示す体育用マットの一部を切り欠いたマット構造の説明図である。
図3】本発明の一実施形態による体育用マットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、矩形状マット本体とこの矩形状マット本体を全面被覆するカバーとこのカバーの側面に設けた持ち手とで構成される体育用マットにおいて、持ち手が、カバーの長手方向側縁に沿ってベルト状に設けられて端部とその間の箇所で前記カバーに固定され、持ち手の設置形態を簡素化して使用者が持ち運びの際に広範囲を把持可能なものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0016】
すなわち、本発明の体育用マットの具体的な外形については、矩形状マットであれば良い。
但し、その外形サイズについては、矩形状マット本体が、長手方向に直交する幅方向におけるマット幅800~1000mm、長手方向におけるマット長さ1700~2000mm、マット厚さ30~60mmの範囲内であれば、マット重量を10kg以内に軽量化することができて、単独での持ち運びが容易となり、より好ましい。
【0017】
そして、本発明の体育用マットに用いた矩形状マット本体を構成する具体的な素材については、例えば、抗菌性や防臭性などを発揮する合成スポンジからなるマット、抗菌性や防臭性などを発揮する合成スポンジとこの合成スポンジの上下に積層配置されたフェルトとを組み合わせて積層したマット、あるいは、ポリウレタンなどの発泡体からなるマットなどのいずれを採用しても良い。
【0018】
また、本発明の体育用マットに用いたカバーについては、矩形状マット本体を全面被覆する形状であれば良く、その素材については、通気性、防水性、抗菌性などを有する帆布などを採用するのが好ましい。
さらに、本発明の体育用マットに用いたカバーの裏面については、滑り止めシートを積層配置してもしなくても良いが、滑り止めシートを積層配置した場合には、設置床面との位置ずれを確実に防止することができる。
【0019】
さらに、本発明の体育用マットに用いた持ち手は、カバーの長手方向側縁に沿ってベルト状に設けられ、端部とその間の箇所でカバーに固定されていれば良く、帆布などカバーと同一の素材を採用するのが好ましい。
なお、本発明の体育用マットに用いた持ち手は、カバーの左右いずれかに設けても良いが、カバーの左右両側に設けた方が左右両側のいずれの方からも持ち運び可能となり便利であることは言うまでもない。
【0020】
以下に、本発明の一実施形態である体育用マット100について、図1乃至図3に基づいて説明する。
なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施形態による体育用マット100は、後述する矩形状マット本体110とこの矩形状マット本体110を全面被覆するカバー120とこのカバー120の側面に設けた持ち手130とで構成されている。
【0022】
また、図2に示すように、矩形状マット本体110は、例えば、抗菌性と防臭性を発揮する合成スポンジ111とこの合成スポンジ111の上下にそれぞれ積層配置された一対のフェルト112、112とを一体に組み合わせて積層したもので矩形状に構成されている。
【0023】
他方、カバー120の素材については、通気性、防水性、抗菌性を有する帆布を用いている。
そして、このカバー120の裏面には、滑り止めシート140を積層配置することにより、設置床面との位置ずれ、滑りなどを確実に防止している。
【0024】
つぎに、本実施形態の体育用マット100が最も特徴とする持ち手130の具体的構成について、以下に詳しく説明する。
すなわち、前述した持ち手130は、カバー120の長手方向に複数設けることなく、カバー120の長手方向側縁に沿って設けられて端部とその間の箇所の縫着部131で縫着されたベルトで構成されている。
これにより、持ち手130がカバー120の長手方向側縁に沿って設けられた状態となるため、従来のような持ち手をカバーの長手方向の複数箇所に設けた体育用マットにおいて生じがちな、使用者がつま先を引っ掛けて転倒するなどの不測の事態を防止することができるだけでなく、製作上の手間も省かれ、さらに、使用者がマット長手方向の広範囲で持ち運び可能となる。
【0025】
図3に示すように、体育用マット100が凹凸の殆どない平らな場所に置かれた状態で、カバー120と、このカバー120の長手方向側縁に沿ってベルト状に設けられた持ち手130との間は、上面視でほぼ隙間がない状態となる。
使用者は、縫着部131以外の箇所でカバー120と持ち手130との間に指を挿入した後、持ち手130をカバー120と反対側に引っ張って、図3の拡大図上で示すように、カバー120と持ち手130との間の隙間を拡大することにより、持ち手130を把持可能とする。
また、本実施形態における持ち手130は、カバー120に、互いに等間隔を空けて、端部を除く偶数箇所(本実施形態では4箇所)で固定されている。
これにより、マット長手方向の中央位置に縫着部131が位置することなく、マット長手方向の中央位置でも把持可能となるため、使用者は、マット長手方向の中央位置で持ち手130を把持して、安定して、バランス良く持ち運びすることができる。
なお、本実施形態における持ち手130は、カバー120の左右両側にそれぞれ設け、左右両側のいずれの方からも持ち運び可能とし、利便性を高めていることは言うまでもない。
【0026】
以上のようにして得られた本実施形態の体育用マット100は、矩形状マット本体110とこの矩形状マット本体110を全面被覆するカバー120とこのカバーの側面に設けた持ち手130とで構成され、持ち手130が、カバー120の長手方向側縁に沿ってベルト状に設けられて端部とその間の箇所でカバー120に固定されていることにより、従来のような体育用マットに比較すると、使用者がマット長手方向の広範囲で持ち運び可能となり、製作上の手間も省かれ、カバー120の長手方向側縁において使用者がつま先を持ち手130に引っ掛けて転倒するなどの不測の事態を防止して安全に使用することができる。
【0027】
そして、持ち手130が、カバー120に互いに等間隔を空けて固定されていることにより、使用者が安定して持ち運びすることができる。
【0028】
さらに、持ち手130が、カバー120に端部を除く偶数箇所で固定されていることにより、使用者がマット長手方向の中央位置で持ち手130を把持してバランス良く持ち運びすることができるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0029】
100・・・体育用マット
110・・・矩形状マット本体
111・・・合成スポンジ
112・・・フェルト
120・・・カバー
130・・・持ち手
131・・・縫着部
140・・・滑り止めシート
図1
図2
図3