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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-10
(45)【発行日】2022-08-19
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20220812BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H05K7/20 G
H05K7/20 H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018132767
(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2020014263
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊介
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】谷口 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】阿部 重幸
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-141689(JP,A)
【文献】国際公開第2014/068651(WO,A1)
【文献】特開2016-163392(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0279863(US,A1)
【文献】特開2016-201988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の外部から空気を取り込む取り込み部と、
取り込んだ前記空気を通す流路と、
前記流路の一部に配置される、着脱可能な電力変換アセンブリと、
前記流路を流れる前記空気を外部へ排出する排出部と、
前記流路とは分離された電気室とを有し、
前記電力変換アセンブリは、第1の電気部品を備え、
前記電気室は、第1の電気部品と異なる第2の電気部品を備え、
前記電力変換アセンブリを取り外した場合には、前記流路と前記電気室とは、つながった構成となることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記電力変換アセンブリが装着された場合には、前記流路に流れる前記空気により、第1の電気部品が冷却されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記電力変換アセンブリは、前記流路に流れる前記空気を通す中空部を有し、
前記電力変換アセンブリの底部は、ほぼ水平であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記電気室には、素子である半導体スイッチもしくは、抵抗を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記電力変換アセンブリと前記流路との間に、封止部を有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記電力変換アセンブリを、着脱時にガイドするガイド部を有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記取り込み部は、フィルタと、ファンとを有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記流路には、導風板を備え、前記導風板を通過した前記空気が、前記電力変換アセンブリ内を通過する構成であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記電力変換アセンブリは、主回路部品とフィンとを有し、
前記主回路部品と前記フィンとは熱的に接続したことを特徴とする電力変換装置。
【請求項10】
請求項に記載の電力変換装置において、
前記素子は、主回路とバスを介して電気的に接続したことを特徴とする電力変換装置。
【請求項11】
請求項に記載の電力変換装置において、
前記封止部は、ガスケットであることを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関し、特に、冷却機能を有した、保守が容易な電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムをはじめとする、種々の電源装置等に用いられる電力変換装置は、電力変換動作を行う半導体素子等が電気的損失によって発熱するため、過熱状態を解消する必要がある。
【0003】
太陽光発電システムは、太陽光パネルに近いほうが、電線の抵抗による損失が少なく、電線コストも抑えられるため、屋外設置型が注目されている。
【0004】
外気を電力変換装置に導入することで、屋外に設置された電力変換装置を冷却する構造は、安価で単純な冷却構造とすることができる。
【0005】
特許文献1は、第1のチャンバと、第1のチャンバから分離された第2のチャンバとを有する冷却式電力変換アセンブリにおいて、第1のチャンバから熱を外に伝達する第1の冷却素子と、第2のチャンバから外に熱を伝達する第2の冷却素子を有して、単純な構成で冷却する冷却式電力変換アセンブリを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-201988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
冷却したい部品に外気冷却媒体が流れるような構造が求められる一方において、外気導入による強制冷却方式を採用した半導体電力変換装置では、基板・半導体素子・コンデンサ等、塵埃に弱い電気部品が含まれている。
【0008】
外気を導入する場合に、外気に含まれる塵埃成分等が、半導体電力変換装置に対して悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、塵埃に弱い部品は、外気に晒されないように、外気が流れる流路とは分離した領域が求められる。また、強制空冷式の電力変換アセンブリ内の部品の保守が容易であることが望ましい。
【0009】
特許文献1では、簡易な構成でチャンバを冷却することはできるが、複数のチャンバ構成であることや、空冷される部品の保守については、配慮が十分ではないと思われる。
【0010】
本発明の目的は、部品の保守を容易にするとともに、冷却媒体が流れる流路と分離した領域を備えた電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の好ましい一例は、筐体と、前記筐体の外部から空気を取り込む取り込み部と、取り込んだ前記空気を通す流路と、前記流路の一部に配置される、着脱可能な電力変換アセンブリと、前記流路を流れる前記空気を外部へ排出する排出部と、前記流路とは分離された電気室とを有する電力変換装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、部品の保守を容易にするとともに、冷却媒体が流れる流路と分離した領域を備えた電力変換装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1における電力変換装置の全体構成を示す図である。
図2】実施例1における電力変換アセンブリの一例を示す図である。
図3】実施例1における電力変換アセンブリの形状を示す図である。
図4】実施例2における電力変換アセンブリの形状を示す図である。
図5】実施例3における電力変換アセンブリの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施例を、図面を用いて、以下に説明をする。
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1の半導体電力変換装置100の全体構成を示す図である。図1(a)は、半導体電力変換装置100の正面図を示し、図1(b)は、半導体電力変換装置100の側面図を示す。図1(b)では、内部構成を見やすくするため、電力変換アセンブリ内のパネルバス110は除いた構成を示している。また、側面方向からの図のため、素子108は、電力変換アセンブリ200内ではなく、電力変換アセンブリ200とは隔離された領域である電気室130に配置されている。
【0016】
半導体電力変換装置100は、外形を構成する筐体115を有する。筐体115内部は、取り込んだ外気を用いた冷却媒体の流れる流路120と、流路120以外の領域である電気室130とで構成される。電気室130には、電気部品や構造物等が配置される。
【0017】
流路120に流れる空気の流れを説明する。フィルタ101を通過する外気102は、ファン103によって吸い上げられることで、流路120に導入される。
【0018】
導入された外気は、流路120の入り口に斜めに配置された導風板104に当たることで、塵埃・水が取り除かれ、流路120内を通り、電力変換アセンブリ200を通過する。導風板104を配置しても、完全には塵埃・水が取り除かれないので、導入された空気に晒したくない部品は、流路120内には、配置しないようにする。
【0019】
本実施例の電力変換アセンブリ200を通過する冷却風は、主回路部品107及び、素子108に、熱伝導により熱的に接続されたフィン109を冷却する。主回路部品107および素子108は、パネルバス110によって電気的に接続され、ユニット構造を形成している。
【0020】
素子108は、半導体スイッチング素子などの電気部品のため、流路120に流れる冷却媒体に晒すことができないため、電気室130に設置する必要がある。素子108は、冷却されたフィン109とは熱的に接触していることから、流路120とは分離した電気室内に配置されてはいるが、素子108は、フィンによる冷却の効果を得ることができる。
【0021】
図1では、主回路部品は、電力変換アセンブリ200と電気室130の両方に、分けて配置した。例えば、電気室130には、半導体スイッチング素子や、抵抗、コンデンサ端子などを配置し、電力変換アセンブリ200には、コンデンサのボディを配置して、コンデンサを冷却するようにしてもよい。
【0022】
電気室130の主回路と、電力変換アセンブリ200とは、電力変換アセンブリ200を装着した際に、互いに、接続するような構成にすることもできる。
【0023】
電力変換アセンブリ200を装着した場合には、電力変換アセンブリ200内に、外気から導入した冷却媒体が流れる、電気室との間で密閉された流路120となる。つまり、電力変換アセンブリ200が流路120の一部を構成することになる。
【0024】
電力変換アセンブリ200を通過した空気は、インダクタンスの機能を有するリアクトル111も同様に冷却し、外部フィルタ113を通過して、外部114に排出される。
【0025】
図2は、実施例1の電力変換アセンブリ200の構成を示す図の一例である。電力変換アセンブリ200には、その上部または下部に、ガスケット201を装着し、流路120と、ガスケット201によって、冷却媒体が、漏れないように密閉される。
【0026】
電力変換アセンブリ200は、素子破損の際などに、交換が必要と考えられるため、着脱できる必要がある。
【0027】
一方で、装置の性質から、流路120と電気室130とは、電力変換アセンブリ200は、装着後に、分離される構成になっても、各領域での密閉性が保たれる必要がある。また、ガスケット201は、電力変換アセンブリ200を半導体電力変換装置100に装着する際に、流路120との摩擦によって破損してはならない。
【0028】
電力変換アセンブリ200を構成するケースは、装着した場合に流路120の冷却媒体が通り抜けることができるように、中空部を有し、半導体電力変換装置100の正面と、正面と対向した背面と、互いに対向する2つの側面を有する。電力変換アセンブリ200内には、冷却される対象である主回路や、フィンが配置されるが、これらは、ケースの側面などに配置することが出来る。
【0029】
電力変換アセンブリ200を装着する前は、流路120と電気室130とは、冷却媒体が拡散できる、つながった構成になっているが、電力変換アセンブリ200を、装着することで、流路120内と、電気室130とは、隔離され、流路120内の冷却媒体が、電気室130に拡散することがないように分離されることになる。流路120と分離された電気室130とは、流路120内の冷却媒体としての空気が、電気室130に流れない構成をいう。
【0030】
電力変換アセンブリ200を装着して、冷却媒体が電気室などに漏れないようにするために、電力変換アセンブリ200のケース側面や、背面や正面の周囲には、空気の漏れをふさぐ封止部として、例えば、ガスケットを配置する。ガスケットは、電力変換アセンブリ200と流路120との間の隙間をふさぐように配置する。
【0031】
電気室130内には、外気に晒したくない半導体スイッチ素子や、コンデンサの端子などの部品を配置する。また、電力変換アセンブリ200を装着した場合には、電気室130の部品と、電力変換アセンブリ200内の部品とが接続できるようなケース構成とすることもできる。
【0032】
電力変換アセンブリ200を、半導体電力変換装置100から取り外した場合には、正面から、流路120を介して電気室130まで、繋がる空間が形成される構成であるので、電気室130内の部品の交換などの保守が容易となる。
【0033】
図3は、電力変換アセンブリの一例300である。電力変換アセンブリ200は、Y軸方向に所定の角度θ31を持つように上辺301が形成される。下辺302も同様にY軸方向に所定の角度θ32を持つ。
【0034】
ガスケットが上側の流路120および下側の流路120と摩擦して、破損することを防止するために、電力変換アセンブリ200は、X軸方向303にXZ平面に対してΦ=90度となるように、挿入する事が望ましい。
【0035】
電力変換アセンブリ200と電気室130をガスケットにて密閉する場合には、電力変換アセンブリ200を挿入した後に、ガスケットを後付けする手法がある。その場合、流路120へのアクセスを考慮する必要性があることや、構造が複雑になる。本実施例では、ガスケットをつけたまま、アセンブリを装着するようにしている。
【0036】
実施例1によれば、部品の保守を容易にするとともに、冷却媒体が流れる流路と分離した電気室130を備えた電力変換装置を実現できる。
【0037】
空気に晒される電力変換アセンブリ200内に配置した部品は、電力変換アセンブリ200を取り出すことで、その保守が容易になる。また、取り出した開口部から、電気室130内の部品の保守をすることも容易になる。
【0038】
また、電力変換アセンブリと流路との間に、封止部を設けることで、冷却媒体が電気室へ漏れことを防ぐことができる。
【実施例2】
【0039】
図4は、電力変換アセンブリの一例300である。下面601が、XZ平面に対して略並行(並行を含む)となるような形状を有した電力変換アセンブリ300となっている。本実施例における電力変換アセンブリ300は、下面が、略水平(水平も含む)なので、平面に置く場合に、安定に載置することができる。
【0040】
この例では、上面部602は、ZX平面に対してθ61の角度を持つように、点604及び頂点605を含むように形成される。電力変換アセンブリ300の背面側を小さくした形状で、電力変換アセンブリ300を挿入しやすい構成としている。
【0041】
実施例2の電力変換アセンブリ300では、部品の保守を行う際に、取り出した電力変換アセンブリ300を、安定した状態で、水平な地面や、作業台などに載置して、作業をすることができる。
【実施例3】
【0042】
図5は、実施例3における電力変換アセンブリの構成を説明する図である。実施例3では、電力変換アセンブリ300を、電力変換装置100に装着する時に、ガイド501を設けた場合である。図5(a)は、外形を点線で示した電力変換アセンブリ200を正面から見た図である。図5(a)では、電力変換アセンブリ200の側面に配置したガイド501を、実線で示す。図5(b)は、実施例1で示した電力変換アセンブリ200の側面図である。図5(c)は、実施例2で示した電力変換アセンブリ300の側面図である。
【0043】
実施例3によれば、ガイド501を設けることで、電力変換アセンブリ300を挿入させる際に、ガスケット201と流路120とが接触して互いに磨耗することを防ぎ、容易に、電力変換アセンブリを、電力変換装置100に挿入することができる。
【0044】
なお、上記の実施例では密閉材としてガスケットを例として説明したが、流路と電力変換アセンブリ300との隙間からの外気の漏れを防ぐことが出来れば、シール、パテ、ボンドを利用してもよい。
【0045】
なお、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
100 半導体電力変換装置
200、300 電力変換アセンブリ
120 流路
130 電気室
201 ガスケット
501 ガイド
図1
図2
図3
図4
図5