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特許7124052対象にマーク付けするための2次元マーカー、マーカーを生成するための方法およびシステム、マーカーコードを生成するための方法およびシステム、ならびに対象を認証するための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-15
(45)【発行日】2022-08-23
(54)【発明の名称】対象にマーク付けするための2次元マーカー、マーカーを生成するための方法およびシステム、マーカーコードを生成するための方法およびシステム、ならびに対象を認証するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/06 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
G06K19/06 037
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020503097
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 EP2018057931
(87)【国際公開番号】W WO2018178158
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】2018613
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519350993
【氏名又は名称】アイトレース リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーク・マニング
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-261806(JP,A)
【文献】特開2005-338908(JP,A)
【文献】特開2011-053753(JP,A)
【文献】特開平04-233677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元マーカーでマーク付けされた基材であって、前記マーカーは、各ラインセグメントが第1のエンドポイントと第2のエンドポイントとの間を延びる複数のラインセグメントのパターンを備え、前記ラインセグメントのうちの少なくとも1つが、周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える基材
【請求項2】
前記周期波形は、正弦波形、方形波形、または三角波形の1つである、請求項1に記載の基材
【請求項3】
前記周期波形は、少なくとも2つの正弦波形が追加された複合波形である、請求項1に記載の基材
【請求項4】
前記少なくとも2つの正弦波形は、互いに対して位相シフトされる、請求項3に記載の基材
【請求項5】
前記少なくとも2つの正弦波形は、互いに対して異なる振幅を有する、請求項3に記載の基材
【請求項6】
前記少なくとも2つの正弦波形は、互いに対して異なる周期性を有する、請求項3に記載の基材
【請求項7】
周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える前記少なくとも1つのラインセグメントは、互いに異なる第1の周期性と第2の周期性とを少なくとも含む複数の周期性のうちの1つである周期性に関連付けられる、請求項1に記載の基材
【請求項8】
周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える前記少なくとも1つのラインセグメントは、互いに異なる第1の振幅と第2の振幅とを少なくとも含む複数の振幅のうちの1つである振幅に関連付けられる、請求項1に記載の基材
【請求項9】
周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える前記少なくとも1つのラインセグメントは、互いに異なる第1の位相角および第2の位相角を含む複数の位相角のうちの1つである位相角に関連付けられる請求項1に記載の基材
【請求項10】
前記ラインセグメントの前記第1のエンドポイントおよび前記第2のエンドポイントは、少なくとも1つのエッジラインセグメントを備えるエッジライン上に位置する、請求項1に記載の基材
【請求項11】
前記エッジラインは、
丸形、または
エッジラインセグメントは多角形の一辺である、前記多角形を有する、請求項10に記載の基材
【請求項12】
別のエッジラインセグメントとは異なる線幅を有するエッジラインセグメントを備える、請求項10に記載の基材
【請求項13】
マーカーを生成するためのシステムであって、前記マーカーは対象に関連付けられ、前記システムは、
前記対象に対応する対象データを受信するように構成された受信構成要素と、
対象データをマーカーコードに変換するように構成された変換構成要素と、
前記マーカーコードに基づいてマーカー画像を生成するように構成されたマーカー画像生成構成要素であって、前記マーカーが、前記マーカー画像に基づき、各ラインセグメントが第1のエンドポイントと第2のエンドポイントの間を延びる複数のラインセグメントを備え、前記ラインセグメントのうちの少なくとも1つが、周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備えるマーカー画像生成構成要素とを備え、
前記対象データ、前記マーカーコード、前記マーカー画像、および前記マーカーが1対1の関係を有するシステム。
【請求項14】
前記マーカーコードは、様々なマーカーコードセグメントとラインセグメントの様々な特性との間の既定の関係に基づいて、各々がラインセグメントの特性を定義する複数のマーカーコードを含み、
ラインセグメントの前記特性は、
前記ラインセグメントの第1のエンドポイント、
前記ラインセグメントの第2のエンドポイント、
前記ラインセグメントの少なくとも一部の周期性、
前記ラインセグメントの少なくとも一部の振幅、および
前記ラインセグメントの少なくとも一部の位相角を含む特性の群から選択される、請求項13に記載のシステム
【請求項15】
前記対象上または前記対象に接続すべきマーカー支持体上に前記マーカーを印刷するためのプリンタをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記対象上もしくは前記対象内または前記対象に接続すべきマーカー支持体上もしくは前記マーカー支持体内に前記マーカーを刻印するための刻印デバイスをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
マーカーに関連付けられる対象に対応する対象データを生成するためのシステムであって、
前記マーカーを走査することによって取得されるマーカー画像を受信するように構成された受信構成要素であって、前記マーカーが、各ラインセグメントが第1のエンドポイントと第2のエンドポイントの間を延びる複数のラインセグメントを備え、前記ラインセグメントのうちの少なくとも1つが、周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える受信構成要素と、
前記マーカー画像に基づいてマーカーコードを生成するように構成されたマーカーコード生成構成要素と、
前記マーカーコードを対象データに変換するように構成された変換構成要素とを備え、
前記対象データ、前記マーカーコード、前記マーカー画像、およびマーカーが1対1の関係を有するシステム。
【請求項18】
対象を識別しならびに/または認証するためのシステムであって、対象は、マーカーに関連付けられ、前記システムは、
前記マーカーを走査することによって取得されるマーカー画像を受信するように構成された受信構成要素であって、前記マーカーが、各ラインセグメントが第1のエンドポイントと第2のエンドポイントの間を延びる複数のラインセグメントを備え、前記ラインセグメントのうちの少なくとも1つが、周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える受信構成要素と、
前記マーカー画像に基づいてマーカーコードを生成するように構成されたマーカーコード生成構成要素であって、前記マーカーコード、前記マーカー画像、および前記マーカーが1対1の関係を有するマーカーコード生成構成要素と、
前記生成されたマーカーコードを認証されたマーカーコードのセットのうちの各マーカーコードと比較するように構成され、前記生成されたマーカーコードが、前記認証されたマーカーコードのうちの1つと同一であることが判明した場合、前記対象を真正であると見なすようにさらに構成された比較構成要素とを備えるシステム。
【請求項19】
対象を識別しならびに/または認証するシステムであって、対象は、マーカーに関連付けられ、前記システムは、
前記マーカーを走査することによって取得されるマーカー画像を受信するように構成された受信構成要素であって、前記マーカーが、各ラインセグメントが第1のエンドポイントと第2のエンドポイントの間を延びる複数のラインセグメントを備え、前記ラインセグメントのうちの少なくとも1つが、周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える受信構成要素と、
前記マーカー画像に基づいてマーカーコードを生成するように構成されたマーカーコード生成構成要素と、
前記マーカーコードを対象データに変換するように構成された変換構成要素であって、前記対象データ、前記マーカーコード、前記マーカー画像、および前記マーカーが1対1の関係を有する変換構成要素と、
前記対象データの少なくとも一部を認証された対象データのセットのうちの各対象データと比較するように構成され、前記対象データの前記少なくとも一部が、前記認証された対象データのうちの1つと同一であることが判明した場合、前記対象を識別済みでありならびに/または真正であると見なすようにさらに構成された比較構成要素とを備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーク付けの分野に関し、詳細には、対象を特定し認証するために2次元マーカーによって対象をマーク付けする分野に関する。詳細には、マーカーは、各ラインセグメントが第1のエンドポイントと第2のエンドポイントとの間を延びる複数のラインセグメントを備える。
【背景技術】
【0002】
多くの製品、特に、名声およびブランド価値を有する公知の会社によって提供される製品には、グレーマーケットおよび偽造の問題が生じる。グレーマーケットは、本来の製造業者の収益を大幅に失わせ、その販売店および小売業者に影響を与え、あらゆるレベルで利ざやを低下させ、ブランドの名声を損ない、場合によっては、テロに資金を提供することがある。同様に、偽造によって金銭的損失が生じてブランドが損なわれ、偽造品の障害による債務が増加し、疑うことを知らない顧客を怪我や死に至らしめることがあり、またテロの資金源となることもある。
【0003】
特定の品目をマーク付けして識別および認証を可能にし、偽造を回避する必要がある。従来技術では、対象はバーコードまたはドットコードを使用することによって識別され、これらのコードは対象の表面上に直接設けることができる。バーコードとドットコードはどちらも、妥当な寸法内に限られた数の相互に異なる識別コードを備える。この理由で、これらのコードは、バーコードまたはドットコードを設けるための表面が比較的小さいとき、大量の対象を一意に特徴付けるのには適していない。
【0004】
第1の参考文献米国特許第6565002(B1)号は、1つまたは複数の対象を識別するための方法およびシステムを開示している。直線の光学的に読取り可能な2次元パターンおよび識別コードが生成される。このパターンおよび識別コードは、所定のアルゴリズムによって1対1に対応するように対にされ、このパターンおよび識別コードは任意である。パターンの2次元表現は、対象上またはそれに接続されたパターン支持体上に設けられる。識別コードは、関連する識別情報と共に記憶される。対象を識別するために、そのパターンの表現が光学的に走査され、関連する識別コードが判定され、それによって識別情報を判定することができる。
【0005】
第1の参考文献による2次元パターンは、かなり小型化することができ、具体的には、通常のバーコードおよびドットコードよりもかなり小型化することができ、それにもかかわらず通常のバーコードおよびドットコード以上の異なる量の識別コードを備えることがある。このパターンは光学的に読取り可能であり、したがって、対象または対象に接続されパターンを支持するパターン支持体を走査することができ、これによって、関連する識別コードを判定することができる。
【0006】
第1の参考文献による適用例では、2次元パターンは、コードと1対1の関係を有する任意の向きに向けられた直線からなる。したがって、このコードはベクトルベースである。コードは、通し番号もしくは製造情報などのユーザ情報を含んでもよく、またはそのようなユーザ情報のインジケータであってもよい。2次元パターンの生成および読取りは安全である場合があり、特定の暗号化/解読アルゴリズムを適用するユーザのみがパターンを作成するかまたは読み取ることができる。
【0007】
第2の参考文献米国特許出願公開第2011/0303748(A1)号は、従来のバーコードに使用されるような直線寸法ではなく角度を使用してデータを表すシンボルを生成することを含む、データ符号化および符号化データの光学認識のための方法および装置を開示している。一実施形態は、各渦巻線が、渦巻線の任意の点において同心円と一定のシンボル角を有する、中央原点から放射状に延びる渦巻線を含む螺旋等曲線を使用する。別の実施形態は、放物等曲線を使用する。各シンボルは文字などのデータ要素を表すことがある。したがって、複数のシンボルが解釈されるべき順序が既定である場合、語またはコードを表すことができる。
【0008】
線パターンを有するマーカーのコードに追加のデータを設け、たとえば、製造業者による大量のおよび/または多数の種類の製品が製造される場合でも製造業者が製品上に一意のマーカーを設けるのを可能にする必要がある。
【0009】
パターンに線を追加することによって既存のベクトルベースのコードにさらなるデータを追加することができるが、このことには、パターンのサイズが大きくなり、背景のより多くの部分が曖昧になり、すなわち、パターンの表面領域が線によって覆われなくなることによってコントラストが低下する重大な欠点がある。このことは望ましくない。
【0010】
さらなるデータを追加する別のオプションとして、いくつかの2次元パターンが積層されてもよい。しかし、このことにはマーカーのフットプリントが大きくなる重大な欠点があり、同じく望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第6565002(B1)号
【文献】米国特許出願公開第2011/0303748(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
代替マーカーならびにそれを使用するための関連する方法およびシステムを提供することが望ましい。また、マーカーがより多くの情報、具体的にはあらゆるマーカーの一意の情報を記憶するのを可能にする、マーカーならびにそれを使用するための関連する方法およびシステムを提供することが望ましい。また、マーカーが小さいサイズおよび高いコントラストを有することができる、マーカーならびにそれを使用するための関連する方法およびシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの問題のうちの1つまたは複数によりうまく対処するために、本発明の第1の態様では、対象にマーク付けするための2次元マーカーであって、各ラインセグメントが第1のエンドポイントと第2のエンドポイントとの間を延びる複数のラインセグメントを備え、ラインセグメントのうちの少なくとも1つが、周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える2次元マーカーが提供される。
【0014】
本明細書では、マーカーという用語は、ラインセグメントのパターンを備える基材の少なくとも一部を示し、ラインセグメントのうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に周期波形の少なくとも1つの周期の形状を有する。パターンは、基材の一部の表面上に設けられてもよく、基材は、対象、または対象に接続すべきマーカー支持体、または対象もしくはマーカー支持体の一部である。基材は、天然材料、紙、プラスチック、金属、セラミックス、ガラス、およびその他の材料などの任意の材料から作られてもよい。パターンはまた、パターンを取得するように走査できる限り、基材の一部の表面の下方に設けられてもよい。一例として、パターンは、透明な材料の表面の下方に形成されてもよく、マーカーは、材料の外側から光学的に走査可能とすることができる。別の例として、パターンは、材料の外側から電磁気的に走査可能であるように材料の表面の下方に形成されてもよい。
【0015】
本発明によるマーカーは、同じ数のラインセグメントを用いた場合、少なくとも部分的にマーカーのラインセグメントのうちの1つまたは複数を周期波形の少なくとも1つの周期の形状で形成することによって、マーカー内に直線セグメントのみを有する場合よりもかなり多くの情報をマーカー内に記憶することが可能になるという知見に基づく。この場合、有利なことに、周期波形の一意の特性を使用して情報を記憶することができ、言い換えれば、マーカーのデータコンテンツを増加させることができる。同時に、ラインセグメントの数を増やす必要はなく、それによって、マーカーの背景に対するラインセグメントの光学的コントラスト、すなわち、ラインセグメントによって占められていないマーカーの空間が実質的に同じままである場合がある。
【0016】
周期波形は、想像基準直線に関連付けられてもよく、周期波形は、周期波形の1つの周期について基準線との少なくとも2つ、もしくは少なくとも3つの交差を有するか、または有すると見なすことができる。2つの交差の場合、そのような交差は周期内に位置する。少なくとも3つの交差の場合、周期の始点に1つの交差があり、周期の終点に1つの交差があり、周期の始点と周期の終点との間に少なくとも1つの交差がある。
【0017】
周期波形は、他の形状に対する利点を有する。周期波形は、フーリエ解析および変換を含む、十分に開発された四則計算に基づいて生成し解析することができ、多数の異なる値を有することができる限られた数の変数によって構成されてもよい。
【0018】
周期波形の有用な特性は、周期性および/または振幅および/または位相角であり、これらは、大量の異なるデータを表すように変更することができる。マーカーのラインセグメントの数に応じて、データの量は、その数の倍数になることがある。
【0019】
周期波形の周期は、たとえば、周期の始点における周期波形と基準線の交差点と周期の終点における周期波形と基準線の交差点との間の距離または長さとして判定することができ、この距離または長さは、前記基準線に沿って得られる。周期波形の振幅はまた、周期波形と基準線との間の、基準線に直角な距離もしくは長さまたは最大距離もしくは長さとして判定することができる。位相角はまた、周期波形の周期と同等な距離または長さに対する距離または長さとして判定することができ、位相角を表す距離または長さは前記基準線に沿って得られる。
【0020】
マーカーの一実施形態では、周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える少なくとも1つのラインセグメントは、複数の周期性のうちの1つである周期性に関連付けられ、複数の周期性は、互いに異なる第1の周期性と第2の周期性とを少なくとも備える。第1の周期性は、異なる周期性同士を高度に判別するように第2の周期性の整数倍数であることが好ましい。
【0021】
代替または追加として、マーカーの一実施形態では、互いに異なる第1の振幅および第2の振幅を少なくとも備える周期波形の少なくとも周期の形状を備える少なくとも1つのラインセグメントが、複数の振幅のうちの1つである振幅に関連付けられる。第1の振幅は、異なる振幅同士を高度に判別するように第2の振幅の整数倍数であることが好ましい。
【0022】
代替または追加として、マーカーの一実施形態では、周期波形の少なくとも周期の形状を備える少なくとも1つのラインセグメントは、互いに異なる第1の位相角および第2の位相角を少なくとも備える複数の位相角のうちの1つである位相角に関連付けられる。第1の位相角は、異なる位相角同士を高度に判別するように第2の位相角の整数倍数であることが好ましい。
【0023】
さらに、周期波形の有用な特性は、マーカーの第1のエンドポイントおよび第2のエンドポイントの位置または相対位置が一定でないことであり、これによって、大量の異なるデータが表される。マーカーのラインセグメントの数に応じて、データの量はその数の倍数になる。
【0024】
マーカーの一実施形態では、各ラインセグメントの第1のエンドポイントは一致せず、ならびに/または各ラインセグメントの第2のエンドポイントは一致せず、それによって、第1のエンドポイントおよび第2のエンドポイントの位置は高度に変更される。しかも、そのようなマーカーを走査する際、各ラインセグメントは、画像認識ソフトウェアによって比較的容易に認識されることがある。その理由は、第1のエンドポイントまたは第2のエンドポイントがどのラインセグメントに属するかの曖昧さが回避されるからである。
【0025】
一般に、マーカーの一実施形態では、各々の第1のエンドポイントは複数の所定の位置のうちの1つに配置され、ならびに/または各々の第2のエンドポイントは複数の所定の位置のうちの1つに配置される。所定の位置は、ラインセグメントの第1のエンドポイントおよび第2のエンドポイントがマーカーの他のどのラインセグメントのどの第1のエンドポイントまたはどの第2のエンドポイントとも一致しないような位置であってもよい。
【0026】
マーカーの一実施形態では、ラインセグメントの第1のエンドポイントおよび/または第2のエンドポイントは、エッジラインセグメントを備える実エッジラインまたは仮想エッジライン上に位置する。本明細書では、仮想エッジラインはマーカー内には見えず、したがって、想像線である。これに対して、実エッジラインは、マーカー内に見える。エッジラインは、矩形などの多角形状、特に方形などの正多角形状を有し、エッジラインセグメントは、多角形状の辺である。
【0027】
ラインセグメントの第1のエンドポイントは、エッジラインセグメントのうちの1つのエッジラインセグメント上に配置され、ラインセグメントの第2のエンドポイントは、エッジラインセグメントのうちの別のエッジラインセグメント上に配置されることが好ましい。エッジラインセグメントのうちの1つのエッジラインセグメントは、エッジラインセグメントのうちの他の1つのエッジラインセグメントと対向しており、各エッジラインセグメントは直線であることが好ましい。ここで、「対向」という用語は、「他の1つのエッジラインセグメントに対して90°未満の角度に延びる」ことを意味する。
【0028】
マーカーの向きを簡単にかつ効果的に認識するために、一実施形態では、マーカーは、別のエッジラインセグメントとは異なる線幅を有するエッジラインセグメント、特に他のエッジラインセグメントよりも大きい線幅を有するエッジラインセグメントを備える。有利なことに、異なる線幅を有するエッジラインセグメントは、座標系についての基準を設定し、第1および第2のエンドポイントならびに形状などの、マーカーのラインセグメントを決定する位置および/またはベクトルを定義する。
【0029】
マーカーの一実施形態では、周期波形は、正弦波形、または方形波形、または三角形波形である。さらに、周期波形は、少なくとも2つの正弦波形の追加を備える複合波形であってもよく、正弦波形の数は、正弦波形の数および/または各々が複合波形の形状を有する異なるラインセグメントを、たとえば光学的または電磁気的に判別する可能性によって決定される上限を有する。
【0030】
複合波形の形状を有するマーカーの一実施形態では、少なくとも2つの正弦波形は互いに対して位相シフトされる。ここで、正弦波形同士は、互いに対して同じまたは異なる周期性を有してもよく、ならびに/または互いに対して同じまたは異なる振幅を有してもよい。
【0031】
上述のように、各ラインセグメントが、第1のエンドポイントと第2のエンドポイントの間を延び、ラインセグメントのうちの少なくとも1つが、周期波形の少なくとも1つの周期の形状を少なくとも部分的に有する、特定の数の特定のラインセグメントを備える特定のマーカーは、特定のマーカーコードに対応することができ、マーカーとマーカーコードとの間に1対1の関係があってもよい。この関係を使用して、対象コード(すなわち、対象に関する対象データを備えるコード)から生成されていることがあるマーカーコードから特定の対象用のマーカーを生成することができるので有利である。
【0032】
したがって、本発明の第2の態様では、本発明のマーカーを生成する方法であって、マーカーが対象に関連付けられる方法が提供される。この方法は、
対象に対応する対象データを受信するステップと、
対象データをマーカーコードに変換するステップと、
マーカーコードに基づいてマーカー画像を生成するステップであって、マーカーが、マーカー画像に基づき、各ラインセグメントが第1のエンドポイントと第2のエンドポイントの間を延びる複数のラインセグメントを備え、ラインセグメントのうちの少なくとも1つが、周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える、ステップとを含み、
対象データ、マーカーコード、マーカー画像、およびマーカーが1対1の関係を有する。
【0033】
対象データは、対象識別データ、および対象製造データの少なくとも一方を備える。対象識別データは、対象識別番号もしくは対象通し番号、または他の識別データに関するデータであってもよい。対象製造データは、製造工場、製造部門、製造住所、製造日時、または他の製造データに関するデータであってもよい。
【0034】
この方法の一実施形態では、対象データをマーカーコードに変換するステップは、対象データを暗号化して暗号化マーカーコードを取得するステップを含み、マーカー画像を生成するステップは、暗号化マーカーコードに基づく。対象データの暗号化によって、悪意のある当事者が既知のマーカーコードから対象データを取り出すことは不可能になるかまたは少なくとも非常に困難になる。
【0035】
本発明の一実施形態では、マーカー画像に基づいて、対象または対象に接続すべき関連するマーカー支持体にマーカーが形成される。マーカーを形成するステップは、マーカーを対象または対象に接続すべき関連するマーカー支持体上に印刷するステップを含んでもよく、またはマーカーを対象または対象に接続すべき関連するマーカー支持体上またはその中に刻印するステップを含んでもよい。
【0036】
マーカーとマーカーコードとの1対1の関係をさらに使用してマーカーからマーカーコードを生成することができるので有利であり、マーカーコードから対象コード(すなわち、対象に関する対象データを備えるコード)が生成されてもよい。
【0037】
したがって、本発明の第3の態様では、本発明によるマーカーに関連付けられる対象に対応する対象データを生成する方法が提供される。この方法は、
マーカーを走査することによって取得されるマーカー画像を受信するステップであって、マーカーが、各ラインセグメントが第1のエンドポイントと第2のエンドポイントの間を延びる複数のラインセグメントを備え、ラインセグメントのうちの少なくとも1つが、周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える、ステップと、
マーカー画像に基づいてマーカーコードを生成するステップと、
マーカーコードを対象データに変換するステップとを含み、
対象データ、マーカーコード、マーカー画像、およびマーカーが1対1の関係を有する。
【0038】
この方法の一実施形態では、マーカーは、光学的に読取り可能なマーカーであり、マーカーの走査は光学的走査を含む。
【0039】
この方法の一実施形態では、マーカーコードは、暗号化マーカーコードであり、マーカーコードを対象データに変換するステップは、暗号化マーカーコードを解読して対象データを取得するステップを含む。マーカーコードの暗号化によって、悪意のある当事者が既知のマーカーコードから対象データを取り出すことは不可能になるかまたは少なくとも非常に困難になる。
【0040】
第2および第3の態様による方法では、マーカーコードは、様々なマーカーコードセグメントとラインセグメントの様々な特性との間の既定の関係に基づいて、各マーカーコードセグメントがラインセグメントの特性を定義する複数のマーカーコードセグメントを備える。ラインセグメントの特性は、
ラインセグメントの第1のエンドポイント、
ラインセグメントの第2のエンドポイント、
ラインセグメントの周期性、
ラインセグメントの振幅、および
ラインセグメントの少なくとも一部の位相角を含む特性の群から選択される。
【0041】
上述のように、各ラインセグメントが第1のエンドポイントと第2のエンドポイントの間を延びる特定の数の特定のラインセグメントを備え、ラインセグメントのうちの少なくとも1つが、周期波形の少なくとも一部の形状を有する特定のマーカーは、特定のマーカーコードに対応することができ、マーカーとマーカーコードの間に1対1の関係があってもよい。この関係を使用して、マーカーに関連付けられた対象の識別および認証を行うことができるので有利である。
【0042】
したがって、本発明の第4の態様では、対象を識別しならびに/または認証する方法が提供され、対象は、本発明によるマーカーに関連付けられる。この方法は、
マーカーを走査することによって取得されるマーカー画像を受信するステップであって、マーカーが、各ラインセグメントが第1のエンドポイントと第2のエンドポイントの間を延びる複数のラインセグメントを備え、ラインセグメントのうちの少なくとも1つが、周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える、ステップと、
マーカー画像に基づいてマーカーコードを生成するステップであって、マーカーコード、マーカー画像、およびマーカーが1対1の関係を有する、ステップと、
生成されたマーカーコードを認証されたマーカーコードのセットのうちの各マーカーコードと比較し、生成されたマーカーコードが、認証されたマーカーコードのうちの1つと同一であることが判明した場合、対象を識別済みでありならびに/または真正であると見なすステップとを含む。
【0043】
さらに、したがって、本発明の第5の態様では、対象を識別しならびに/または認証する方法が提供され、対象は、本発明によるマーカーに関連付けられる。この方法は、
マーカーを走査することによって取得されるマーカー画像を受信するステップであって、マーカーが、各ラインセグメントが第1のエンドポイントと第2のエンドポイントの間を延びる複数のラインセグメントを備え、ラインセグメントのうちの少なくとも1つが、周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える、ステップと、
マーカー画像に基づいてマーカーコードを生成するステップと、
マーカーコードを対象データに変換するステップであって、対象データ、マーカーコード、マーカー画像、およびマーカーが1対1の関係を有する、ステップと、
対象データの少なくとも一部を認証された対象データのセットのうちの各対象データと比較し、対象データの少なくとも一部が、認証された対象データのうちの1つと同一であることが判明した場合、対象を識別済みでありならびに/または真正であると見なすステップとを含む。
【0044】
本発明のさらなる態様では、本発明の方法を実行するシステムが提供される。
【0045】
本発明のこれらの態様およびその他の態様は、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されかつ添付の図面に関連して検討されるとより容易に諒解されよう。同様の参照記号は同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】ラインセグメントの第1および第2のエンドポイントの位置を特定するためにグリッドが付加された、本発明によるマーカーの実施形態を示す図である。
図2a】異なる振幅および異なる周期性を有する三角形波形を表すラインセグメントを備える、本発明によるマーカーの別の実施形態を示す図である。
図2b】三角形波形を有し、異なる振幅および異なる周期性を有するラインセグメントの形状を示す図である。
図2c】三角形波形を有し、異なる振幅および異なる周期性を有するラインセグメントの形状を示す図である。
図2d】三角形波形を有し、異なる振幅および異なる周期性を有するラインセグメントの形状を示す図である。
図3a】異なる振幅および異なる周期性を有する矩形波形を表すラインセグメントを備える、本発明によるマーカーの別の実施形態を示す図である。
図3b】矩形波形を有し、異なる振幅および異なる周期性を有するラインセグメントの形状を示す図である。
図3c】矩形波形を有し、異なる振幅および異なる周期性を有するラインセグメントの形状を示す図である。
図3d】矩形波形を有し、異なる振幅および異なる周期性を有するラインセグメントの形状を示す図である。
図4a】異なる振幅、異なる周期性、および異なる位相角を有する正弦波形を表すラインセグメントを備える、本発明によるマーカーの別の実施形態を示す図である。
図4b】正弦波形を有し、異なる振幅、異なる周期性、および異なる位相角を有するラインセグメントの形状を示す図である。
図4c】正弦波形を有し、異なる振幅、異なる周期性、および異なる位相角を有するラインセグメントの形状を示す図である。
図4d】矩形波形を有し、異なる振幅、異なる周期性、および異なる位相角を有するラインセグメントの形状を示す図である。
図5a】エッジラインセグメントとホームラインセグメントの組合せを示す図である。
図5b】エッジラインセグメントとホームラインセグメントの組合せを示す図である。
図6】対象に関連付けるべきマーカーを生成する方法ステップを示す流れ図である。
図7】マーカーを生成するためのデータ処理システムの構成要素を概略的に示すブロック図である。
図8】マーカーに関連付けるべき対象データを生成する方法ステップを示す流れ図である。
図9】対象データを生成するためのデータ処理システムの構成要素を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、対象をマーク付けするための2次元マーカー2の実施形態を示す。
【0048】
マーカー2は、基材に形成され、すなわち、基材上もしくは基材内またはその一部上もしくは一部内に形成される。基材は、対象またはその一部もしくは構成要素であり、マーカー2に接続すべきマーカー支持体であってもよい。
【0049】
マーカー2はエッジライン4を備える。エッジライン4は、多角形を表し、したがって、多角形状、この場合は矩形、特に方形を有し、4つのエッジラインセグメント4a、4b、4c、4dを有する。隣接するエッジラインセグメント4a、4b、ならびに4b、4c、ならびに4c、4d、ならびに4d、4aは直角を含む。ラインセグメント4a、4b、4c、4dの各々は多角形の辺である。エッジラインセグメント4aは、他のエッジラインセグメント4b、4c、4dのいずれとも異なる線幅を有する。具体的には、エッジラインセグメント4aは、他のエッジラインセグメント4b、4c、4dよりも大きい線幅を有する。
【0050】
複数のラインセグメント6a、6b、6c、6dの各々が、1つのエッジラインセグメント4a上に位置するそれぞれの第1のエンドポイントと、対向するエッジラインセグメント4c上に位置するそれぞれの第2のエンドポイントとの間を延びている。複数のラインセグメント8a、8b、8c、8dの各々が、エッジラインセグメント4b上に位置するそれぞれの第1のエンドポイントと別の対向するエッジラインセグメント4d上に位置するそれぞれの第2のエンドポイントとの間を延びている。したがって、ラインセグメント6a、6b、6c、6d、8a、8b、8c、8dの第1のエンドポイントおよび第2のエンドポイントは、4つのエッジラインセグメント4a、4b、4c、4dを備えるエッジライン4上に位置する。
【0051】
エッジライン4内において、ラインセグメント6a、6b、6c、6d、8a、8b、8c、8dの第1のエンドポイントおよび第2のエンドポイントの位置、または場所、または座標を示し、それについて説明することができるようにグリッド10が示されている。通常、本発明によるマーカーでは、そのようなグリッド10は存在しない。
【0052】
グリッド10の線は、マス目を画定し、各グリッドのマス目は、エッジライン4内またはエッジライン4における一対の整数座標によって表されると考えてもよい。エッジラインセグメント4a、4dによって画定される角部におけるグリッドのマス目が座標対すなわち(0,0)によって示される場合、エッジラインセグメント4a、4bによって画定される角部におけるグリッドのマス目は座標(0,31)によって示されてもよく、エッジラインセグメント4b、4cによって画定される角部におけるグリッドのマス目は座標(31,31)によって示されてもよく、エッジラインセグメント4a、4bによって画定される角部におけるグリッドのマス目は座標(31,0)によって示されてもよい。
【0053】
その場合、ラインセグメント6aの第1のエンドポイントは座標(0,1)に位置し、ラインセグメント6aの第2のエンドポイントは座標(31,7)に位置する。ラインセグメント6bの第1のエンドポイントは座標(0,8)に位置し、ラインセグメント6bの第2のエンドポイントは座標(31,0)に位置する。ラインセグメント6cの第1のエンドポイントは座標(0,12)に位置し、ラインセグメント6cの第2のエンドポイントは座標(31,24)に位置する。ラインセグメント6dの第1のエンドポイントは座標(0,24)に位置し、ラインセグメント6dの第2のエンドポイントは座標(31,12)に位置する。
【0054】
エッジラインセグメント4aとエッジラインセグメント4cとの間を延びるラインセグメント6a、6b、6c、6dの第1のエンドポイントが常にエッジラインセグメント4a の所に位置し、一方、第2のエンドポイントが常にエッジラインセグメント4c の所に位置するという規則を適用した場合、ラインセグメント6a、6b、6c、6dの第1のエンドポイントは座標(0,1)、(0,8)、(0,12)、および(0,24)を有することがわかる。第1の座標は常に0であり、区別的な役割を果たさないので、ラインセグメント6a、6b、6c、6dの第1のエンドポイントは、その第2の座標1、8、12、および24(2進法:それぞれ00001、01000、01100、および11000)を特徴とすることがある。
【0055】
エッジラインセグメント4aとエッジラインセグメント4cとの間を延びるラインセグメント6a、6b、6c、6dの第2のエンドポイントが常にエッジラインセグメント4c の所に位置するという規則を適用した場合、ラインセグメント6a、6b、6c、6dの第2のエンドポイントは座標(31,7)、(31,0)、(31,24)、および(31,12)を有する。第1の座標は常に31であり、区別的な役割を果たさないので、ラインセグメント6a、6b、6c、6dの第2のエンドポイントは、その第2の座標7、0、24、および12(2進法:それぞれ00111、00000、11000、および01100)を特徴とすることがある。
【0056】
ラインセグメント8aの第1のエンドポイントは座標(8,0)に位置し、ラインセグメント8aの第2のエンドポイントは座標(16,31)に位置する。ラインセグメント8bの第1のエンドポイントは座標(13,0)に位置し、ラインセグメント8bの第2のエンドポイントは座標(25,31)に位置する。ラインセグメント8cの第1のエンドポイントは座標(16,0)に位置し、ラインセグメント8cの第2のエンドポイントは座標(4,31)に位置する。ラインセグメント8dの第1のエンドポイントは座標(31,0)に位置し、ラインセグメント8dの第2のエンドポイントは座標(22,31)に位置する。
【0057】
エッジラインセグメント4dとエッジラインセグメント4bとの間を延びるラインセグメント8a、8b、8c、8dの第1のエンドポイントが常にエッジラインセグメント4d の所に位置し、一方、第2のエンドポイントが常にエッジラインセグメント4b の所に位置するという規則を適用した場合、ラインセグメント8a、8b、8c、8dの第1のエンドポイントは座標(8,0)、(13,0)、(16,0)、および(31,0)を有することがわかる。第2の座標は常に0であり、区別的な役割を果たさないので、ラインセグメント8a、8b、8c、8dの第1のエンドポイントは、その第1の座標8、13、16、および31(2進法:それぞれ01000、01101、10000、および11111)によって特徴付けられてもよい。
【0058】
エッジラインセグメント4dとエッジラインセグメント4bとの間を延びるラインセグメント8a、8b、8c、8dの第2のエンドポイントが常にエッジラインセグメント4bの所に位置するという規則を適用した場合、ラインセグメント8a、8b、8c、8dの第2のエンドポイントは座標(16,31)、(25,31)、(4,31)、および(22,31)を有することがわかる。第2の座標は常に31であり、区別的な役割を果たさないので、ラインセグメント8a、8b、8c、8dの第2のエンドポイントは、その第2の座標16、25、4、および22(2進法:それぞれ10000、11001、00100、および10110)によって特徴付けられてもよい。
【0059】
所定の範囲の第1のエンドポイント位置と所定の範囲の第2のエンドポイント位置とを有するそのような実施形態では、特定のラインセグメントの第1のエンドポイント位置を判定するには5ビットバイナリコードで十分であり、特定のラインセグメントの第2のエンドポイント位置を判定するには5ビットバイナリコードで十分である。その理由は、特定のラインセグメントについてのそのような第1のエンドポイント位置および第2のエンドポイント位置の各々を32個の考えられる位置のうちの1つによって特徴付けることができるからである。
【0060】
マーカー2の実施形態によれば、ラインセグメント6a、6b、6c、6d、8a、8b、8c、8dの第1のエンドポイントは一致せず、ラインセグメント6a、6b、6c、6d、8a、8b、8c、8dの第2のエンドポイントは一致しない。他の実施形態では、第1のエンドポイントのうちの少なくともいくつかおよび/または第2のエンドポイントのうちの少なくともいくつかが一致する。そのような実施形態または他の実施形態では、第1のエンドポイントのうちの少なくとも1つが第2のエンドポイントのうちの少なくとも1つと一致する。
【0061】
マーカーの実施形態では、各々の第1のエンドポイントが複数の所定の位置のうちの1つに位置し、ならびに/または各々の第2のエンドポイントが複数の所定の位置のうちの1つに位置する。マーカー2の実施形態では、各々の第1のエンドポイントが、座標(0,x)または座標(x,0)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置し、この場合、xは0~31の範囲であってもよい。各々の第2のエンドポイントは、座標(31,x)または座標(x,31)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置し、この場合、xは0~31の範囲であってもよい。
【0062】
他の実施形態では、各ラインセグメントの第1のエンドポイントが、第1のエンドポイント位置の総数から選択される所定数の位置のうちの任意の1つに位置してもよく、ならびに/または各ラインセグメントの第2のエンドポイントが、第2のエンドポイント位置の総数から選択される所定数の位置のうちの任意の1つに位置してもよい。一例として、図1による、マーカー内に8つのラインセグメントを有する座標系を参照するとわかるように、第1のラインセグメントの第1のエンドポイントは、座標(0,x)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは0~7の範囲であってもよい。第2のラインセグメントの第1のエンドポイントは、座標(0,x)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは8~15の範囲であってもよい。第3のラインセグメントの第1のエンドポイントは、座標(0,x)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは16~23の範囲であってもよい。第4のラインセグメントの第1のエンドポイントは、座標(0,x)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは24~31の範囲であってもよい。第5のラインセグメントの第1のエンドポイントは、座標(x,0)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは0~7の範囲であってもよい。第6のラインセグメントの第1のエンドポイントは、座標(x,0)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは8~15の範囲であってもよい。第7のラインセグメントの第1のエンドポイントは、座標(x,0)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは16~23の範囲であってもよい。第8のラインセグメントの第1のエンドポイントは、座標(x,0)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは24~31の範囲であってもよい。
【0063】
同様に、第1のラインセグメントの第2のエンドポイントは、座標(31,x)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは0~7の範囲であってもよい。第2のラインセグメントの第2のエンドポイントは、座標(31,x)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは8~15の範囲であってもよい。第3のラインセグメントの第2のエンドポイントは、座標(31,x)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは16~23の範囲であってもよい。第4のラインセグメントの第2のエンドポイントは、座標(31,x)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは24~31の範囲であってもよい。第5のラインセグメントの第2のエンドポイントは、座標(x,31)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは0~7の範囲であってもよい。第6のラインセグメントの第2のエンドポイントは、座標(x,31)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは8~15の範囲であってもよい。第7のラインセグメントの第2のエンドポイントは、座標(x,31)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは16~23の範囲であってもよい。第8のラインセグメントの第2のエンドポイントは、座標(x,31)を有する複数の所定の位置のうちの1つに位置してもよく、この場合、xは24~31の範囲であってもよい。
【0064】
所定の範囲の第1のエンドポイント位置と所定の範囲の第2のエンドポイント位置とを有するそのような実施形態では、特定のラインセグメントの第1のエンドポイント位置を判定するには3ビットバイナリコードで十分であり、特定のラインセグメントの第2のエンドポイント位置を判定するには3ビットバイナリコードで十分である。その理由は、特定のラインセグメントについてのそのような第1のエンドポイント位置および第2のエンドポイント位置の各々を8つのみの考えられる位置のうちの1つによって特徴付けることができるからである。
【0065】
図1では、第1のラインセグメント6aは、第1の周期性と第1の振幅とを有する周期波形、具体的には正弦波形の形状を有する。第2のラインセグメント6bは、直線であり、ゼロ周期性とゼロ振幅とを有すると考えられる。第3のラインセグメント6cは、第1の周期性と、第1の振幅よりも大きい第2の振幅とを有する周期波形、具体的には正弦波形の形状を有する。第4のラインセグメント6dは、第1の周期性よりも大きい第2の周期性と、第1の振幅とを有する周期波形、具体的には正弦波形の形状を有する。第5のラインセグメント8aは、第2の周期性と第2の振幅とを有する周期波形、具体的には正弦波形の形状を有する。第6のラインセグメント8bは、直線であり、ゼロ周期性とゼロ振幅とを有すると考えられる。第7のラインセグメント8cは、第1の周期性と第2の振幅とを有する周期波形、具体的には正弦波形の形状を有する。第8のラインセグメント8dは、直線であり、ゼロ周期性とゼロ振幅とを有すると考えられる。要するに、各ラインセグメント6a、6b、6c、6d、8a、8b、8c、8dの形状をその周期性およびその振幅によって特徴付けることができ、周期性をゼロ、第1の周期性、および第2の周期性とすることができ、振幅をゼロ、第1の振幅、および第2の振幅とすることができる。したがって、2進数では、図1のラインセグメントの形状を示すには4ビットで十分であり、たとえば、周期性00はゼロ周期性を示し、周期性01は第1の周期性を示し、周期性10は第2の周期性を示し、振幅00はゼロ振幅を示し、振幅01は第1の振幅を示し、振幅10は第2の振幅を示す。
【0066】
図1のマーカー2は、8つのラインセグメントを備え、したがって、以下のコードセグメントを備えるバイナリマーカーコードと1対1の関係を有してもよい。
- ラインセグメント6a: 第1のエンドポイント-第2のエンドポイント-周期性-振幅:00001-00111-01-01
- ラインセグメント6b: 第1のエンドポイント-第2のエンドポイント-周期性-振幅:01000-00000-00-00
- ラインセグメント6c: 第1のエンドポイント-第2のエンドポイント-周期性-振幅:01100-11000-01-10
- ラインセグメント6d: 第1のエンドポイント-第2のエンドポイント-周期性-振幅:11000-01100-10-01
- ラインセグメント8a: 第1のエンドポイント-第2のエンドポイント-周期性-振幅:01000-10000-10-10
- ラインセグメント8b: 第1のエンドポイント-第2のエンドポイント-周期性-振幅:01101-11001-00-00
- ラインセグメント8c: 第1のエンドポイント-第2のエンドポイント-周期性-振幅:10000-00100-01-10
- ラインセグメント8d: 第1のエンドポイント-第2のエンドポイント-周期性-振幅:11111-10110-00-00
【0067】
要するに、マーカー2は、上記のコードセグメントを連結することによって取得される112ビットバイナリマーカーコードによって特徴付けられてもよく、マーカーコードは0000100111010101000000000000011001100001101100001100100101000100001010011011100100001000000100011011111101100000であってもよい。
【0068】
したがって、異なる形状の周期波形を有するラインセグメントを含むマーカー2は、その周期性および振幅によって特徴付けられ、周期性を有さず振幅を有さない直線を有するに過ぎないマーカーと比較してマーカーコードを8 x 4 = 32ビットだけ延ばすと理解することができる。
【0069】
マーカーコードから、特定の既定のマーカーコード/マーカー関係規則を適用することによってマーカー2を生成することができる。逆に、マーカー2から、再び既定のマーカーコード/マーカー関係規則を適用することによって、マーカーコードを生成することができ、マーカー2とマーカーコードとの間に1対1の関係がある。
【0070】
様々な種類のマーカーを設計することができる。マーカーは、エッジラインを有することができ、またはエッジラインを含まないようにすることもできる。エッジラインは、少なくとも1つのエッジラインセグメントを備えてもよい。マーカーがエッジラインを有する場合、エッジラインはクローズドライン形態であってもよくまたはオープンライン形態(すなわち、ラインの各エンドポイントが同じ位置にはない)であってもよい。エッジラインは、円形、楕円形、レーストラック形、もしくは任意の他の丸形、またはその一部などの丸形を有してもよい。エッジラインは、多角形状を有してもよく、その場合、エッジラインセグメントは多角形状の辺である。図1では、エッジライン4は、矩形、特に方形を表すが、三角形、六角形、および八角形などの他の多角形状も可能である。ラインセグメントのエンドポイントは、エッジラインに接触してもよく、またはエッジラインから離れてもよい。マーカー内のラインセグメントの数は一定でなくてもよい。ラインセグメントの線幅は一定でなくてもよく、可能な周期波形の数を増やし、それに応じてマーカーコードを増やすことができる。周期波形は、少なくとも2つの正弦波形の追加を含む複合波形であってもよく、可能な周期波形の数をさらに増やし、それに応じてマーカーコードを増やすことができる。少なくとも2つの正弦波形が互いに対して位相シフトされてもよく、可能な周期波形をさらに増やし、それに応じてマーカーコードを増やすことができる。少なくとも2つの正弦波形は、互いに異なる周期性および/または振幅を有してもよく、可能な周期波形をさらに増やし、それに応じてマーカーコードを増やすことができる。
【0071】
ラインセグメントを定義するために正弦波形以外の他の種類の周期波形が選択されてもよい。
【0072】
図2aは、すべてのラインセグメントの周期波形の形状が三角波形であるラインセグメント20a、20b、20c、20dを備えるマーカー20を示す。ラインセグメント20a、20b、20c、および20dは、矩形を有するエッジライン22の境界内に位置する。
【0073】
図2bに示すように、ラインセグメント10aは、第1周期性と第1の振幅とを有する三角形状を有してもよい。
【0074】
図2cに示すように、三角形状を有する別のラインセグメント10bは、ラインセグメント10aの第1の周期性よりも大きい第2の周期性とラインセグメント10aの第1の振幅よりも大きい第2の振幅とを有してもよい。ラインセグメント10bの周期性および振幅を決定するための基準となる想像基準直線10dが、点線として示されている。
【0075】
図2dに示すように、三角形状を有する別のラインセグメント10cは、ラインセグメント10aの第1の周期性と、ラインセグメント10aの第1の振幅よりも大きくかつラインセグメント10bの第2の振幅よりも大きい第3の振幅とを有してもよい。ラインセグメント10cの周期性および振幅を決定するための基準となる想像基準直線10eが、距離または長さを測定することなどによって決定され、点線として示されている。
【0076】
図3aは、すべてのラインセグメントの周期波形の形状が矩形波形であるラインセグメント30a、30b、30cを備えるマーカー30を示す。ラインセグメント30dは直線である。ラインセグメント30a、30b、30c、および30dは、矩形状を有するエッジライン32の境界内に位置する。
【0077】
図3bに示すように、ラインセグメント12aは、第1の周期性と第1の振幅とを有する矩形状を有してもよい。距離または長さを測定することなどによってラインセグメント12aの周期性および振幅を決定するための基準となる想像基準直線12aが点線として示されている。
【0078】
図3cに示すように、矩形状を有する別のラインセグメント12bは、ラインセグメント12aの第1の周期性とよりも大きい第2の周期性、ラインセグメント12bの第1の振幅よりも大きい第2の振幅とを有してもよい。距離または長さを測定することなどによってラインセグメント12bの周期性および振幅を決定するための基準となる想像基準直線12eが点線として示されている。
【0079】
図3dに示すように、矩形状を有する別のラインセグメント12cは、ラインセグメント12aの第1の周期性と、ラインセグメント12aの第1の振幅よりも大きいラインセグメント12bの第2の振幅とを有してもよい。距離または長さを測定することなどによってラインセグメント12cの周期性および振幅を決定するための基準となる想像基準直線12fが点線として示されている。
【0080】
図4aは、すべてのラインセグメントが、正弦波形でありさらに直線部分を備える周期波形の形状を備えるラインセグメント40a、40b、40cを備えるマーカー40を示す。ラインセグメント40dは直線である。ラインセグメント40a、40b、40c、および40dは、矩形状を有するエッジライン42の境界内に位置する。
【0081】
図4bに示すように、ラインセグメント14aは、第1の直線部分16aと、正弦部分16bと、第2の直線部分16cとを有してもよい。直線部分16a、16cは、点線によって示されるように想像基準直線16f上に位置すると見なされてもよい。第1の直線部分16aと正弦部分16bとの間の遷移16dは、ラインセグメント14aに対する90度の第1の位相角を示す場合がある。正弦部分16bと第2の直線部分16cとの間の遷移16eは、ラインセグメント14aに対する90度の第2の位相角を示す場合がある。正弦部分16bは、基準線16fに沿った第1の周期性(遷移16d、16e間の距離または長さ)と、基準線16fに対する第1の振幅(遷移16d、16eのいずれか一方の長さ)とを有する。
【0082】
図4cに示すように、別のラインセグメント14bが、第1の直線部分18aと正弦部分18bと第2の直線部分18cとを有してもよい。第1の直線部分18aと正弦部分18bとの間の遷移18dは、ラインセグメント14bに対する120度の第1の位相角を示すことがある。正弦部分18bと第2の直線部分18cとの間の遷移18eは、ラインセグメント14bに対する300度の第2の位相角を示すことがある。正弦部分18bは、ラインセグメント14aの第1の周期性よりも小さい第2の周期性とラインセグメント14aの第1の振幅よりも小さい第2の振幅とを有する。
【0083】
別のラインセグメント14cは、第1の直線部分19aと、正弦部分19bと、第2の直線部分19cとを有してもよい。直線部分19a、19cは、点線によって示すように想像基準直線19f上に位置すると見なされてもよい。第1の直線部分19aと正弦部分19bとの間の遷移19dは、ラインセグメント14cに対する180度の第1の位相角を示すことがある。正弦部分19bと第2の直線部分19cとの間の遷移19eは、ラインセグメント14cに対する180度の第2の位相角を示すことがある。正弦部分19bは、ラインセグメント14aの第1の周期性よりも小さくかつラインセグメント14bの第2の周期性よりも小さい基準線19fに沿った第3の周期性(遷移19d、19e間の距離または長さ)を有し、ラインセグメント14aの第1の振幅よりも小さくかつラインセグメント14bの第2の振幅よりも大きい、基準線19fに対する第3の振幅を有する。
【0084】
したがって、第1のエンドポイント、第2のエンドポイント、周期性、および振幅に加えて、位相角もラインセグメントを特徴付けてもよい。したがって、マーカーコードは、ラインセグメントの位相角を表すコードセグメントを含むことによってさらに延ばされてもよい。
【0085】
図5aは、エッジラインセグメント52a、52b、52c、および52dを含むエッジライン52を有するマーカー50を示す。エッジラインセグメント52aは、直線セグメントであるホームラインセグメント54と組み合わされる。ホームラインセグメント54は、マーカー50を走査する際にマーカー50の向きを確立するのを可能にする。
【0086】
図5bは、エッジラインセグメント62a、62b、62c、および62dを含むエッジライン62を有するマーカー60を示す。エッジラインセグメント62aは、正弦ラインセグメントであるホームラインセグメント64と組み合わされる。ホームラインセグメント64は、マーカー60を走査する際マーカー60の向きを確立するのを可能にする。さらに、ホームラインセグメント64は、ホームラインセグメント64のエンドポイントのうちの少なくとも1つによって画定される特定の周期性、特定の振幅、および場合によっては特定の位相角を有してもよく、それによって、ホームラインセグメント64は、さらなるラインセグメントとして働き、コード化された情報をマーカー60に格納してもよい。
【0087】
マーカーを対象に関連付けることによって、対象に対応する対象データを対象に関連付けることができる。対象データに基づいて、マーカーが以下のように生成されてもよい。
【0088】
図6の流れ図および図7のブロック図に示すように、方法ステップ400によれば、対象を特徴付ける対象データが、点線によって示されるデータ処理システム500において受信される。そのような対象データは、対象識別データのうちの少なくとも1つ、たとえば、通し番号、対象製造データ、たとえば、日時および場所を含み、収集されるか、データ処理システム500に記憶されるかまたは転送もしくは送信されてもよい。この目的のために、データ処理システムは、矢印505によって示されるように対象に対応する対象データを受信するように構成された受信構成要素510を備える。
【0089】
本明細書では、「構成要素」という用語は、ハードウェア機能とソフトウェア機能の組合せ、すなわち、前述のような特定の機能または方法ステップを実行するための命令を含むソフトウェアをロードしならびに/または記憶するように構成されたハードウェア処理構成要素(プロセッサなど)を指す。
【0090】
ステップ400に続くステップ410に示すように、対象データはマーカーコードに変換される。この目的のために、データ処理システム500は、対象データをマーカーコードに変換するように構成された変換構成要素を備える。
【0091】
ステップ415に示すように、ステップ410の間、対象データが暗号化され暗号化マーカーコードが取得される。この目的のために、データ処理システム500は、対象データを暗号化して暗号化マーカーコードを取得するように構成された暗号化構成要素525を備えてもよい。
【0092】
ステップ410に続くステップ420に示すように、マーカー画像生成構成要素530によって、マーカーコードまたは暗号化マーカーコードに基づいてマーカー画像が生成される。この生成プロセスでは、たとえば、ルックアップテーブルを使用して、既定のマーカーコード/マーカー関係規則が適用されてもよい。
【0093】
ステップ420に続くステップ430に示すように、マーカーは、マーカー画像に基づいて、対象または対象に接続すべきマーカー支持体に形成される。この目的のために、処理システム500は、マーカーを対象上もしくは対象内に形成するか、または対象に接続すべきマーカー支持体上もしくはマーカー支持体内に形成するように構成されたマーカーアプリケータ540に結合される。マーカーアプリケータ540は、対象上または対象に接続すべき関連するマーカー支持体上にマーカーを印刷するための、レーザプリンタまたはインクジェットプリンタなどのプリンタを備えてもよい。別の実施形態では、マーカーアプリケータ540は、マーカーを対象上もしくは対象内、または対象に接続すべき関連するマーカー支持体上もしくはマーカー支持体内に刻印するための刻印デバイスを備えてもよい。
【0094】
対象データ、マーカーコード、マーカー画像、およびマーカーは1対1の関係を有してもよい。
【0095】
データ処理システム500は、任意にマーカーアプリケータ540を含む場合も含まない場合もある単一のデバイスに物理的に組み込まれてもよく、または異なるデバイスにわたって物理的に分散されてもよい。たとえば、受信構成要素510は、他の構成要素520、525、530とは別の位置において動作可能であってもよい。他の実施形態では、受信構成要素510と、場合によっては暗号化構成要素525を含む変換構成要素520が、他の構成要素530とは別の位置において動作可能であってもよい。異なる構成要素間のデータ通信は、物理的に一体化された単一のデバイス内で行われてもよく、または場合によっては、物理的に分散されたデバイスの場合にはインターネットなどのネットワークにおけるデータ通信回線を通して行われてもよい。データ通信は有線であってもまたは無線であってもよい。
【0096】
マーカーを対象に関連付けることによって、対象に対応する対象データを対象に関連付けることができる。マーカーに基づいて、対象データが以下のように生成されてもよい。
【0097】
図8の流れ図に示しかつ図9のブロック図に示すように、方法ステップ610によれば、マーカー画像が、点線によって示されるデータ処理システム700において受信される。マーカー画像は、データ処理システム700、具体的には、マーカーを走査することによって取得されたマーカー画像を、矢印715によって示すように受信するように構成された受信構成要素720に結合された、光学スキャナなどのスキャナ710を使用して、ステップ600に従ってマーカーを走査することによって取得される。
【0098】
ステップ610に続くステップ620に示すように、マーカー画像に基づいてマーカーコードが生成される。この目的のために、データ処理システム700は、マーカー画像に基づいてマーカーコードを生成するように構成されたマーカーコード生成構成要素730を備える。マーカーコード生成構成要素730は、マーカーのラインセグメントの特性を認識するように構成された画像認識ソフトウェアを備えてもよい。ラインセグメントは、ラインセグメントの第1のエンドポイントと、ラインセグメントの第2のエンドポイントと、ラインセグメントの少なくとも一部の周期性と、ラインセグメントの少なくとも一部の振幅と、ラインセグメントの少なくとも一部の位相角とを含む特性の群から選択される1つまたは複数の特性を有してもよい。これらの特性は、上述のようにマーカーコードの各部分において表される。
【0099】
マーカーコード生成プロセス620では、たとえば、ルックアップテーブルを使用して、既定のマーカーコード/マーカー関係規則が適用されてもよい。
【0100】
ステップ620に続くステップ630に示すように、マーカーコードは対象データに変換される。この目的のために、データ処理システム700は、マーカーコードを対象データに変換するように構成された変換構成要素740を備える。
【0101】
ステップ630の間のステップ635に示すように、マーカーコードは、暗号化マーカーコードである場合、解読され、(解読)マーカーコードが取得される。この目的のために、データ処理システム700は、暗号化マーカーコードを解読するように構成された解読構成要素745を備える。
【0102】
ステップ640に示すように、ステップ620で取得された生成されたマーカーコードは、認証されたマーカーコードのセットのうちの各マーカーコードと比較されてもよく、生成されたマーカーコードが認証されたマーカーコードと同一であることが判明した場合、対象は、識別済みでありならびに/または真正であると指定される。この目的のために、データ処理システム700は、生成されたマーカーコードを認証されたマーカーコードのセットのうちの各マーカーコードと比較するように構成され、生成されたマーカーコードが認証されたマーカーコードのうちの1つと同一であることが判明した場合、対象を真正であると見なすようにさらに構成された比較構成要素750を備えてもよい。認証されたマーカーコードは、データ処理システム700のメモリ760に記憶されてもよく、または別の位置に記憶されデータ処理システム700によって取り出されてもよい。代替として、ステップ640において、ステップ630において取得された対象データの少なくとも一部が認証された対象データのセットのうちの各対象データと比較されてもよく、対象データの少なくとも一部が認証された対象データのうちの1つと同一であることが判明した場合、対象は、識別済みでありならびに/または真正であると指定される。この目的のために、データ処理システム700は、対象データの少なくとも一部を認証された対象データのセットのうちの各対象データと比較するように構成され、対象データの少なくとも一部が認証された対象データのうちの1つと同一であることが判明した場合、対象を識別済みでありならびに/または真正であると見なすようにさらに構成された比較構成要素750を備えてもよい。認証された対象データは、データ処理システム700のメモリ760に記憶されてもよく、または別の位置に記憶されデータ処理システム700によって取り出されてもよい。
【0103】
対象データ、マーカーコード、マーカー画像、およびマーカーは、1対1の関係を有する。
【0104】
データ処理システムは、場合によってはスキャナ710を含むことも含まないこともある単一のデバイスに物理的に組み込まれてもよく、または異なるデバイスにわたって物理的に分散されてもよい。たとえば、受信構成要素720は、他の構成要素730、740、750とは別の位置において動作可能であってもよい。他の実施形態では、たとえば、受信構成要素720とマーカーコード生成構成要素730は、場合によっては解読構成要素745を含む変換構成要素740とは別の位置において動作可能であってもよい。異なる構成要素間のデータ通信は、物理的に一体化された単一のデバイス内で行われてもよく、または場合によっては、物理的に分散されたデバイスの場合にはインターネットなどのネットワークにおけるデータ通信回線を通して行われてもよい。データ通信は有線であってもまたは無線であってもよい。
【0105】
上述のように、対象にマーク付けするための2次元マーカーは、各ラインセグメントが第1のエンドポイントと第2のエンドポイントとの間を延びる複数のラインセグメントを備え、ラインセグメントのうちの少なくとも1つは、周期波形の少なくとも1つの周期の形状を備える。
【0106】
本発明のマーカーは、エアバッグ、衣服、電気器具、ブレーキなどの自動車部品、バッテリ、軸受、消耗品、コンタクトレンズ、化粧品、回路遮断器、文献、電子機器、宝石、医療デバイス、薬品、原品および予備部品、時計などの様々な製品を識別しならびに/または認証し、追跡するために使用されてもよい。
【0107】
本発明のマーカーは、別の種類のマーカーと組み合わされてもよく、したがって、二要素製品認証を実現してもよい。このマーカーを、たとえばバーコード、データマトリックス、またはQRコード(登録商標)のような他のオープンソーストラッキング技術と一緒に提供することによって、テキストメッセージがeメールまたは銀行口座ログインに関して認証の第2の要素を構成するのと同様に、製品に対して二要素認証2FAを実現することが可能である。マーカー内の情報をオープンソーストラッキング技術における情報と比較することができる場合、製品の真正性に対してより安全な判定を下すことができる。このようにして、このマーカーを使用して既存の製品および解決手段のセキュリティを強化することができる。
【0108】
本明細書では、必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が開示されたが、開示された実施形態が本発明の例に過ぎず、様々な形態で具現化できることを理解されたい。したがって、本明細書で開示された特定の構造および機能の詳細は、限定として解釈すべきではなく、単に特許請求の範囲の基礎、および実質的に任意の適切な詳細構造において本発明を様々な形態で使用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈すべきである。さらに、本明細書で使用した語句は、限定的なものではなく、むしろ本発明の理解可能な説明を提供するものである。
【0109】
本明細書で使用される「a/an」という語は、1つまたは複数として定義される。本明細書で使用されるplurality(複数)という語は、2つ以上として定義される。本明細書で使用されるanother(別の)という語は、少なくとも第2のものまたはそれ以上のものとして定義される。本明細書で使用されるincluding(含む)および/またはhaving(有する)という語は、comprising(備える)(すなわち、オープン文言、他の要素またはステップを除外しない)として定義される。特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲または本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【0110】
特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているということだけでは、これらの手段の組合せを有利には使用できないことを示すことにはならない。
【0111】
本明細書で使用されるcoupled(結合された)という用語は、接続されていることとして定義されるが、必ずしも直接接続されるとは限らず、必ずしも機械的に接続されるとは限らない。
【0112】
単一のプロセッサまたは他のユニットが、特許請求の範囲に記載されたいくつかの項目の機能を実現してもよい。
【0113】
本明細書で使用されるプログラム、ソフトウェアアプリケーションなどの用語は、コンピュータシステム上で実行されるように設計された命令のシーケンスとして定義される。プログラム、コンピュータプログラム、またはソフトウェアアプリケーションは、サブルーチン、関数、プロシージャ、対象メソッド、対象インプリメンテーション、実行可能アプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、対象コード、共有ライブラリ/動的ロードライブラリ、および/またはコンピュータシステムもしくはデータ処理システム上で実行されるように設計された命令の他のシーケンスを含んでもよい。
【0114】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に供給されるかまたは他のハードウェアの一部として供給されるが、インターネットまたは他の有線もしくは無線通信システムを介することなどの他の形態でも分配される光学記憶媒体または半導体態媒体などの適切な媒体上で記憶されならびに/または分配されてもよい。
【符号の説明】
【0115】
2 マーカー
4 エッジライン
4a、4b、4c、4d エッジラインセグメント
6a、6b、6c、6d ラインセグメント
8a、8b、8c、8d ラインセグメント
10 グリッド
10a、10b、10c、10d ラインセグメント
12a、12b、12c、12d ラインセグメント
14a、14b ラインセグメント
16a、16c 直線部分
16b 正弦部分
16d、16e 遷移
16f 想像基準直線
18a、18c 直線部分
18b 正弦部分
18e 遷移
19a、19c 直線部分
19b 正弦部分
19d 遷移
19e 遷移
19f 想像基準直線
20a、20b、20c、20d ラインセグメント
30 マーカー
30a、30b、30c、30d ラインセグメント
40a、40b、40c、40d ラインセグメント
50 マーカー
52a、52b、52c、52d エッジラインセグメント
54 ホームラインセグメント
60 マーカー
62a、62b、62c、62d エッジラインセグメント
64 ホームラインセグメント
500 データ処理システム
505 矢印
510 受信構成要素
520 変換構成要素
525 暗号化構成要素
530 マーカー画像生成構成要素
540 マーカーアプリケータ
700 データ処理システム
710 スキャナ
715 矢印
720 受信構成要素
730 マーカーコード生成構成要素
740 変換構成要素
745 解読構成要素
750 比較構成要素
760 メモリ
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9