(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】文字入力装置、文字入力方法、及び、文字入力プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04886 20220101AFI20220817BHJP
G06F 3/023 20060101ALI20220817BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
G06F3/04886
G06F3/023 460
H04M1/00 R
(21)【出願番号】P 2018038658
(22)【出願日】2018-03-05
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野々村 由衣
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/161223(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0055371(US,A1)
【文献】特開2015-002520(JP,A)
【文献】特開2012-203653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/04886
G06F 3/023
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリック入力によって文字入力を受け付ける操作部と、
前記フリック入力
が行われた指の種類を判定する指検知部と、
指の種類別に、
前記フリック入力
による前記文字入力の入力判定領域を調整する制御部と、
前記フリック入力によって文字が誤入力されたかどうかを判断する判断部と、
指の種類別に、誤入力時における前記フリック入力の入力軌跡を記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、前記記憶部が記憶する誤入力時における前記フリック入力の入力軌跡を用いて、前記入力判定領域を指の種類別に調整する、
文字入力装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
指の種類
別に、前記フリック入力の誤入力回数
を記憶し、
前記制御部は、誤入力回数が設定した閾値を超えた指の種類について、前記入力判定領域を調整する、
請求項
1に記載の文字入力装置。
【請求項3】
前記指の種類は、親指と、前記親指以外の指である、請求項
1、または2に記載の文字入力装置。
【請求項4】
コンピュータが、
フリック入力によって文字入力を受け付ける
第1ステップと、
前記フリック入力
が行われた指の種類を判定する
第2ステップと、
指の種類別に、
前記フリック入力
による前記文字入力の入力判定領域を調整する
第3ステップと、
前記フリック入力によって文字が誤入力されたかどうかを判断する第4ステップと、
指の種類別に、誤入力時における前記フリック入力の入力軌跡を記憶部に記憶させる第5ステップと、を実行し、
前記第3ステップは、前記記憶部が記憶する誤入力時における前記フリック入力の入力軌跡を用いて、前記入力判定領域を指の種類別に調整するステップである、
文字入力方法。
【請求項5】
コンピュータに、
フリック入力によって文字入力を受け付ける
第1ステップと、
前記フリック入力
が行われた指の種類を判定する
第2ステップと、
指の種類別に、
前記フリック入力
による前記文字入力の入力判定領域を調整する
第3ステップと、
前記フリック入力によって文字が誤入力されたかどうかを判断する第4ステップと、
指の種類別に、誤入力時における前記フリック入力の入力軌跡を記憶部に記憶させる第5ステップと、を実行させ、
前記第3ステップは、前記記憶部が記憶する誤入力時における前記フリック入力の入力軌跡を用いて、前記入力判定領域を指の種類別に調整するステップである、
文字入力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タッチパネル式入力デバイスの文字入力技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の構成では、スライド操作を含む入力操作において、ユーザの誤入力を検知し、当該誤入力の補正を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、スライド操作を行う際に、どの指で操作を行ったかの判定を行っていなかった。このため、指によって操作入力方法が異なる場合、さらなる誤入力を引き起こしていた。
【0005】
したがって、本発明の目的は、指の種類による誤入力を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この文字入力装置は、フリック入力によって文字入力を受け付ける操作部と、フリック入力を行う指の種類を判定する指検知部と、フリック入力の誤入力回数に応じて、前記文字入力の入力判定領域を調整する制御部と、を備える。
【0007】
この構成では、フリック入力時の指の種類毎に、入力判定領域を調整することができ、誤入力が抑制され、利用者の利便性が向上する。
【0008】
この文字入力装置は、指の種類と、フリック入力の誤入力回数と、を関連付けて保存する記憶部を備えていてもよい。
【0009】
この構成では、指の種類毎に、入力判定領域を記憶しておき、後の操作に利用できる。
【0010】
この文字入力装置の制御部は、誤入力回数に閾値を設定し、閾値を超えた場合に入力判定領域を調整してもよい。
【0011】
この構成では、入力判定領域の調整を効率的に行うことができる。
【0012】
この文字入力装置における、指の種類は、親指と、親指以外の指であってもよい。
【0013】
この構成では、操作入力次の動きが異なる親指と、それ以外の指とを判別することによって、各状況に応じた調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、スライド操作時における誤入力を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置のブロック図である。
【
図2】(A)、(B)は、本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置の概要図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置の入力判定領域の調整イメージである。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置の動作を表すフローチャートである。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る文字入力装置の動作を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、幾つかの図を参照して説明する。
【0017】
・適用例
まず、
図1を用いて、本発明が適用される一例について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置のブロック図である。文字入力装置10は、例えば、スマートフォン等の携帯通信端末等に備えられており、タッチパネル式の表示画面を操作することで、文字入力を行える機器で使用される。
【0018】
文字入力装置10は、操作部110と、操作検出部120と、制御部130と、指検知部140と、記憶部150と、文字出力部160とを備える。なお、以下の文字入力操作は、指を用いたフリック入力を行う。フリック入力とは、タッチパネル式の表示画面でスライド操作を行うことによって文字入力を行う方式である。以下の例では、日本語入力を例として用いるが、アルファベット入力にも適用できる。
【0019】
まず、親指で入力が行われた場合について説明する。
【0020】
操作部110は、例えば、タッチパネル式の表示画面に構成されている、ソフトウェアキーボードであり、キーを表示し、文字入力操作を受け付ける。操作部110は、複数の入力判定領域を有している。
【0021】
操作検出部120は、操作部110における文字入力操作を検知し、文字入力操作の軌跡(以下、第1入力軌跡)と、最初に入力された文字(以下、第1入力文字)とを制御部130へ出力する。
【0022】
制御部130は、第1入力軌跡を指検知部140に出力する。指検知部140は、第1入力軌跡に基づき、予め既定された判定方法を用いて、親指による入力が行われたと判定する。判定方法は、例えば、文字入力操作の軌跡の長さや、文字入力時の指が接触する面積の大きさ等である。
【0023】
制御部130は、第1入力文字を文字出力部160に出力する。利用者は、文字出力部160を見て、第1入力文字を認識する。
【0024】
このとき、利用者は、第1入力文字が、誤った文字入力(以下、誤入力)であると判断し、削除ボタンを押下し、第1入力文字を削除する。
【0025】
次に、利用者は、訂正した文字入力(以下、第2入力文字)を入力する。操作部110は、第2入力文字の文字入力操作を受け付ける。
【0026】
操作検出部120は、操作部110における文字入力操作を検知し、文字入力操作の軌跡(以下、第2入力軌跡)と、第2入力文字とを制御部130へ出力する。
【0027】
制御部130は、第1入力文字と第2入力文字とを比較する。制御部130は、第2入力文字が第1入力文字と異なる場合に、利用者が誤入力を行ったと判断する。また、制御部130は、第1入力軌跡と、第2文字入力とを関連付けて、記憶部150に保存する。
【0028】
制御部130は、上述の操作を繰り返すことにより、誤入力の回数をカウントアップする。また、利用者が親指を用いた場合の誤入力の回数は、記憶部150に保存される。
【0029】
このことによって、制御部130は、親指での入力時の誤入力の傾向を判定する。例えば、制御部130は、第1入力軌跡の平均値を算出し、第2入力文字の入力判定領域を補正する。なお、入力判定領域とは、フリック入力時に、上下左右にスライドさせた時のどの文字を選択して入力するかを判定する領域である。
【0030】
この構成を用いることによって、親指で入力を行った際の入力判定領域を補正でき、利用者の利便性が向上する。
【0031】
次に、親指以外の指で入力が行われた場合、例えば、人差し指を用いた場合について説明する。
【0032】
操作検出部120は、操作部110における文字入力操作を検知し、文字入力操作の軌跡(以下、第3入力軌跡)と、最初に入力された文字(以下、第3入力文字)とを制御部130へ出力する。
【0033】
制御部130は、第3入力軌跡を指検知部140に出力する。指検知部140は、該軌跡に基づき、予め既定された判定方法を用いて、親指以外の指で入力が行われたと判断する。
【0034】
制御部130は、第3入力文字を文字出力部160に出力する。利用者は、文字出力部160を見て、第3入力文字を認識する。
【0035】
このとき、利用者は、第3入力文字が、誤入力であると判断し、第3入力文字を削除する。
【0036】
次に、利用者は、訂正した文字入力(以下、第4入力文字)を入力する。操作部110は、第4入力文字の文字入力操作を受け付ける。
【0037】
操作検出部120は、操作部110における文字入力操作を検知し、文字入力操作の軌跡(以下、第4入力軌跡)と、第4入力文字とを制御部130へ出力する。
【0038】
上述の親指での入力の場合と同様に、制御部130は、第3入力文字と第4入力文字とを比較する。制御部130は、第3入力文字と第4入力文字とが異なる場合に、利用者が誤入力を行ったと判断する。また、制御部130は、第3入力軌跡と、第4文字入力とを関連付けて、記憶部150に保存する。
【0039】
制御部130は、上述の操作を繰り返すことにより、誤入力の回数をカウントアップする。また、人差し指(親指以外の指)を用いた場合の誤入力の回数は、記憶部150に保存される。
【0040】
このことによって、制御部130は、人差し指(親指以外の指)での入力時の誤入力の傾向を判定する。上述のとおり、制御部130は、第3入力軌跡の平均値を算出し、第4入力文字の入力判定領域を補正する。
【0041】
この構成を用いることによって、人差し指(親指以外の指)で入力を行った際の入力判定領域を補正でき、利用者の利便性が向上する。
【0042】
したがって、親指と、親指以外の指とで入力を行った際の判定を行い、それぞれの特徴に応じた入力判定領域を補正することができる。
【0043】
・構成例1
図1は、本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置のブロック図である。
図2(A)、
図2(B)は、本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置の概要図である。
図3(A)、
図3(B)は、本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置の入力判定領域の調整イメージである。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置の動作を表すフローチャートである。
【0044】
上述の
図1の文字入力装置10の構成に基づき、
図2(A)、
図2(B)を用いて、より具体的な構成例を説明する。
【0045】
図1、
図2(A)、
図2(B)に示すように、文字入力装置10は、操作部110と、文字出力部160とを備えている。
【0046】
図2(A)は片手で文字入力装置10を操作する場合の概要図と、操作部110を拡大した図である。同様に、
図2(B)は、両手で文字入力装置10を操作する場合の概要図と、操作部110を拡大した図である。
【0047】
図1、
図2(A)に示すように、親指を用いて、利用者は、第1入力文字の「い」を入力する。指検知部140は、親指を用いて入力することを検知する。
【0048】
このとき、親指の第1入力軌跡は、軌跡D1の方向となる。すなわち、軌跡D1が、「う」の入力判定領域に含まれることから、文字出力部160には、「う」と出力される。
【0049】
この際、利用者は、「う」という文字が誤入力であると判断し、削除ボタンを押下する。次に、利用者は、上述の第2入力軌跡に沿うように、第2入力文字の「い」を入力する。
【0050】
したがって、制御部130は、利用者が、「第1入力軌跡を用いて、第2入力文字の「い」を入力したい」と認識する。制御部130は、第1入力軌跡と、第2入力文字の「い」を関連付けて記憶部150に保存する。
【0051】
次に、
図1、
図2(B)に示すように、人差し指(親指以外の指)を用いて、利用者は、第3入力文字の「い」を入力する。指検知部140は、人差し指を用いて入力することを検知する。
【0052】
このとき、
図2(A)で示した例と同様に、親指の第3入力軌跡は、軌跡D2の方向となる。すなわち、軌跡D2が、「う」の入力判定領域に含まれることから、文字出力部160には、「う」と出力される。
【0053】
この際、利用者は、「う」という文字が誤入力であると判断し、削除ボタンを押下する。次に、利用者は、上述の第4入力軌跡に沿うように、第2入力文字の「い」を入力する。
【0054】
したがって、制御部130は、利用者は、「第3入力軌跡を用いて、第4入力文字の「い」を入力したい」と認識する。制御部130は、第3入力軌跡と、第4入力文字の「い」を関連付けて記憶部150に保存する。
【0055】
制御部130は、上述の手順を繰り返すことによって、第2入力文字および第4入力文字の入力判定領域を調整する。このことによって、利用者の利便性が向上する。
【0056】
より具体的な入力判定領域の調整方法について、
図3(A)、
図3(B)を用いて説明する。
【0057】
図3(A)は、上述の
図2(A)の構成時における入力判定領域を拡大した図である。また、
図3(B)は、上述の
図2(B)の構成時における入力判定領域を拡大した図である。なお、
図3(A)、
図3(B)に示した図は、誤入力が複数回行われた結果を示している。
【0058】
親指で入力を行う場合、
図3(A)に示すように、「い」の入力判定領域は、基準線から第1入力軌跡である軌跡D1とで形成される領域である。また、操作部110の中心を通る基準線と、軌跡D1との間の角度は、θ1である。
【0059】
この第1入力軌跡は、利用者が複数回誤入力を行った際の第1入力軌跡の平均であってもよい。もしくは、利用者が閾値に達するまでに誤入力を行った結果の第1入力軌跡の平均であってもよい。
【0060】
親指以外の指で入力を行う場合、
図3(B)に示すように、「い」の入力判定領域は、基準線から第3入力軌跡である軌跡D2とで形成される領域である。また、操作部110の中心を通る基準線と、軌跡D2との間の角度は、θ2である。
【0061】
第1入力軌跡と同様に、この第3入力軌跡は、利用者が複数回誤入力を行った際の第3入力軌跡の平均であってもよい。もしくは、利用者が閾値に達するまでに誤入力を行った結果の第3入力軌跡の平均であってもよい。
【0062】
なお、
図3(A)、
図3(B)に示すように、角度θ1は、角度θ2より大きい。すなわち、親指入力を行った
図3(A)の方が、誤入力を行いやすいという傾向があると考えられる。しかしながら、制御部130は、利用者の誤入力の傾向、および、利用者の習慣的な入力傾向を判断し、親指、もしくは、親指以外の指の入力判定領域を調整できる。
【0063】
図4を用いて、入力判定領域を調整する具体的な動作について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る文字入力装置の動作を表すフローチャートである。
【0064】
利用者は、操作部110を用いて、キー入力(フリック入力)を行う。操作検出部120は、該キー入力情報を検出し、制御部130に出力する(S101)。
【0065】
制御部130は、キー入力情報を記憶部150に記録する(S102)。
【0066】
指検知部140は、キー入力に用いた指を判定する(S103)。指検知部140は、キー入力に用いられた指が、親指であると判断した場合、操作検出部120は、次に削除キーが押下されるかどうかを判断する(S104)。
【0067】
操作検出部120は、削除キーが押下されたと判断した場合(S104:Yes)、記憶部150から入力情報(第1入力文字)を読み出す(S105)。なお、操作検出部120は、削除キーが押下されなかったと判断した場合(S104:No)、入力情報を削除する(S121)。
【0068】
利用者は、再度、操作部110を用いて、キー入力を行う(S106)。このとき、制御部130は、第1入力文字と、第2入力文字とを比較する。第1入力文字と、第2入力文字とが異なる場合は、誤入力の回数を1インクリメントする。
【0069】
制御部130は、誤入力の回数が規定回数(閾値)に到達するかどうかを判断する(S107)。制御部130は、誤入力の回数が規定回数に達した場合(S107:Yes)、親指の入力判定領域を変更し、更新する(S108)。制御部130は、誤入力の回数が規定回数に達していない場合(S107:No)、入力情報を削除する(S121)。
【0070】
指検知部140は、キー入力に用いられた指が、親指以外の指であると判断した場合、操作検出部120は、削除キーが押下されるかどうかを判断する(S114)。
【0071】
操作検出部120は、削除キーが押下されたと判断した場合(S114:Yes)、記憶部150から入力情報(第3入力文字)を読み出す(S115)。なお、操作検出部120は、削除キーが押下されなかったと判断した場合(S114:No)、入力情報を削除する(S121)。
【0072】
利用者は、再度、操作部110を用いて、キー入力を行う(S116)。このとき、制御部130は、第3入力文字と、第4入力文字とを比較する。第3入力文字と、第4入力文字とが異なる場合は、誤入力の回数を1インクリメントする。
【0073】
制御部130は、誤入力の回数が規定回数(閾値)に到達するかどうかを判断する(S117)。制御部130は、誤入力の回数が規定回数に達した場合(S117:Yes)、親指の入力判定領域を変更し、更新する(S118)。制御部130は、誤入力の回数が規定回数に達していない場合(S117:No)、入力情報を削除する(S121)。
【0074】
なお、入力した指が判定不可能である場合(S103)には、入力情報を削除する(S121)。
【0075】
上述の手順を用いることによって、フリック入力を行った指が、親指か、もしくは、親指以外の指であるかを判定でき、それぞれの指に応じた入力判定領域を更新することができる。また、親指、親指以外の指における、誤入力を判定し、当該判定結果を用いて、入力判定領域を更新することができる。さらに、利用者の入力時の傾向を判断できるため、利用者の利便性が向上する。
【0076】
さらに、誤入力を判定する際に、予め規定回数(閾値)を定めることができるため、より柔軟な設定を行うことができる。
【0077】
なお、入力判定領域は、ソフトウェアキーボード上の他の文字入力の入力判定領域が極端に小さくならないように制限を設けてもよい。
【0078】
・構成例2
次に、
図5を用いて、入力判定領域を調整する具体的な動作について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る文字入力装置の動作を表すフローチャートである。
【0079】
第2の実施形態においては、第1の実施形態と比較して、入力判定領域の調整を実行手順が異なる。その他の点については、第1の実施形態と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0080】
利用者は、操作部110を用いて、入力を行う。操作検出部120は、該入力情報を検出し、制御部130に出力する(S201)。
【0081】
制御部130は、入力情報を記憶部150に記録する(S202)。
【0082】
指検知部140は、キー入力に用いた指を判定する(S203)。指検知部140は、キー入力に用いられた指が、親指であると判断した場合、事前に保存されている親指の補正情報を記憶部から呼び出す(S204)。なお、補正情報とは、入力判定領域を更新するための情報である。
【0083】
制御部130は、入力情報を記憶部150に保存する(S205)。
【0084】
操作検出部120は、削除キーが押下されるかどうかを判断する(S206)。
【0085】
操作検出部120は、削除キーが押下されたと判断した場合(S206:Yes)、記憶部150から入力情報(第1入力文字)を読み出す(S207)。なお、操作検出部120は、削除キーが押下されなかったと判断した場合(S206:No)、入力情報を削除する(S221)。
【0086】
利用者は、再度、操作部110を用いて、キー入力を行う(S208)。このとき、制御部130は、第1入力文字と、第2入力文字とを比較する。第1入力文字と、第2入力文字とが異なる場合は、誤入力の回数を1インクリメントする。
【0087】
制御部130は、誤入力の回数が規定回数(閾値)に到達するかどうかを判断する(S209)。制御部130は、誤入力の回数が規定回数に達した場合(S209:Yes)、補正情報との平均値を用いて、親指の入力判定領域を変更して、更新する(S210)。そして、更新内容によって、補正情報を更新する。制御部130は、誤入力の回数が規定回数に達していない場合(S209:No)、入力情報を削除する(S221)。
【0088】
指検知部140は、キー入力に用いられた指が、親指以外の指であると判断した場合、事前に保存されている親指以外の補正情報を記憶部から呼び出す(S214)。
【0089】
制御部130は、入力情報を記憶部150に保存する(S215)。
【0090】
操作検出部120は、削除キーが押下されるかどうかを判断する(S216)。
【0091】
操作検出部120は、削除キーが押下されたと判断した場合(S216:Yes)、記憶部150から入力情報(第3入力文字)を読み出す(S217)。なお、操作検出部120は、削除キーが押下されなかったと判断した場合(S216:No)、入力情報を削除する(S221)。
【0092】
利用者は、再度、操作部110を用いて、キー入力を行う(S218)。このとき、制御部130は、第3入力文字と、第4入力文字とを比較する。第3入力文字と、第4入力文字とが異なる場合は、誤入力の回数を1インクリメントする。
【0093】
制御部130は、誤入力の回数が規定回数(閾値)に到達するかどうかを判断する(S219)。制御部130は、誤入力の回数が規定回数に達した場合(S219:Yes)、補正情報との平均値を用いて、親指の入力判定領域を変更して、更新する(S220)。そして、更新内容によって、補正情報を更新する。制御部130は、誤入力の回数が規定回数に達していない場合(S219:No)、入力情報を削除する(S221)。
【0094】
なお、入力した指が判定不可能である場合には、入力情報を削除する(S121)。
【0095】
上述の手順を用いることによっても、フリック入力を行った指が、親指か、もしくは、親指以外の指であるかを判定でき、それぞれの指に応じた入力判定領域を更新することができる。
【0096】
また、補正情報が記憶されていることにより、後の装置を起動し、キー入力を再開した場合にも、指の種類に応じた入力判定を行うことができる。
【0097】
また、親指、親指以外の指における、誤入力を判定し、当該判定結果を用いて、入力判定領域を更新することができる。さらに、利用者の入力時の傾向を判断できるため、利用者のユーザビリティが向上する。利用者のユーザビリティが向上する。
【0098】
さらに、誤入力を判定する際に、予め規定回数(閾値)を定めることができるため、より柔軟な設定を行うことができる。
【0099】
なお、上述の構成において、指の種類毎に予測候補や、入力モードを保持する構成であっても良い。このことによって、キー入力時に使用する指が親指、または親指以外の指であるかによって、予測候補を切り替えることができる、または、キー入力時の設定を切り替えることができる。
【符号の説明】
【0100】
D1、D2…軌跡
10…文字入力装置
110…操作部
120…操作検出部
130…制御部
140…指検知部
150…記憶部
160…文字出力部