(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-16
(45)【発行日】2022-08-24
(54)【発明の名称】3次元形状計測システム及び計測時間設定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20220817BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20220817BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G06T7/70 Z
(21)【出願番号】P 2018088540
(22)【出願日】2018-05-02
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123319
【氏名又は名称】関根 武彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125357
【氏名又は名称】中村 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100123098
【氏名又は名称】今堀 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100106622
【氏名又は名称】和久田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100138357
【氏名又は名称】矢澤 広伸
(72)【発明者】
【氏名】和澄 南
(72)【発明者】
【氏名】木村 和哉
(72)【発明者】
【氏名】早川 雅之
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-074428(JP,A)
【文献】特開2015-212673(JP,A)
【文献】特開2007-319938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0086953(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G06T 7/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期のための制御信号を出力するタイミング制御部と、
前記制御信号に同期して、被計測対象に接触せずに、該被計測対象の3次元形状を計測する非接触3次元形状計測センサと、
前記非接触3次元形状計測センサを有し、前記3次元形状の計測時に、前記被計測対象に対して、前記非接触3次元形状計測センサが該被計測対象の形状を計測し得る位置となるように保持されるプローブと、
前記プローブに配置され、前記制御信号に同期して、発光する複数のマーカと、
撮像に係る露光時間及び撮像の回数を設定する計測設定部と、
前記複数のマーカを含む撮像対象からの光を前記露光時間にわたって受けることによって該複数のマーカを含む画像を撮像する撮像部であって、前記非接触3次元形状計測センサによる前記被計測対象の3次元形状の計測時に、前記露光時間で、前記制御信号に同期して、前記複数のマーカを含む前記画像を前記回数撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された複数の前記画像から前記複数のマーカの位置を抽出し、該複数のマーカの位置関係に関する情報に基づいて前記プローブの世界座標系における位置姿勢を計測する処理部と、
前記
非接触3次元形状計測センサによって計測された、前記プローブに対して定義されるプローブ座標系における前記被計測対象の3次元形状を、前記非接触3次元形状計測センサによる3次元形状の計測時の前記プローブの位置姿勢に基づいて前記世界座標系における前記被計測対象の3次元形状に変換し、前記世界座標系における該被計測対象の3次元形状を表現する情報を生成する3次元形状変換処理部と、
を備えた3次元形状計測システムであって、
前記計測設定部は、
前記露光時間及び前記撮像の回数のいずれかを変更し、変更したときの前記撮像及び前記プローブの位置姿勢の計測の結果に基づいた前記プローブの位置計測誤差を算出し、
該位置計測誤差の算出を、複数種類の露光時間及び撮像の回数に対して行い、
得られた複数の位置計測誤差の中から、位置計測誤差が小さくなったときの露光時間及び撮像の回数を設定することを特徴とする3次元形状計測システム。
【請求項2】
前記露光時間を設定する際、前記撮像部によって撮像された前記複数のマーカを含む画像の画素値に基づいて該露光時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の3次元形
状計測システム。
【請求項3】
前記露光時間を設定する際に、前記複数のマーカを含む画像の画素値が飽和しないように設定した露光時間で、前記撮像部で前記複数のマーカを含む画像を撮像し、撮像した該複数のマーカを含む画像の画素値の最大値が、画素値の階調の80~100%になるように前記露光時間を設定することを特徴とする請求項2に記載の3次元形状計測システム。
【請求項4】
前記撮像部は、撮像した画像のうち、過去の時点における前記プローブの位置に基づき、撮像時に前記マーカが存在しうる領域を推定して前記処理部に出力し、
前記処理部は、前記領域の画像データから、前記プローブの位置姿勢を計測することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の3次元形状計測システム。
【請求項5】
前記撮像部は、撮像した画像データのデータ量を削減して前記処理部に出力し、
前記処理部は、データ量が削減された前記画像データから、前記プローブの位置姿勢を計測することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の3次元形状計測システム。
【請求項6】
前記複数のマーカを、前記プローブの姿勢が一意に決まり、かつ、該マーカ同士が同一平面上にないように配置していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の3次元形状計測システム。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の3次元形状計測システムに用いられる前記プローブであって、
前記複数のマーカを、前記プローブの姿勢が一意に決まり、かつ、該マーカ同士が同一平面上にないように配置していることを特徴とするプローブ。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の3次元形状計測システムに用いられる撮像装置であって、
前記撮像部、前記処理部及び前記計測設定部を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の3次元形状計測システムに用いられるコンピュータ装置であって、
前記処理部、前記3次元形状変換処理部及び前記タイミング制御部を備えることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項10】
制御信号に同期して、被計測対象の3次元形状を計測するプローブと、撮像対象からの光を露光時間にわたって受けることにより撮像する撮像部であって、前記プローブに設置され、前記制御信号に同期して発光する複数のマーカを含む画像を、前記制御信号に同期して撮像する撮像部によって撮像された前記画像に基づいて前記プローブの位置姿勢を計測する際に、所定の前記露光時間で、所定の回数、撮像された前記画像を用いて、前記プローブの位置姿勢を計測する処理を平均化する非接触プローブ測位センサと、を含む3次元形状計測システムにおいて、前記露光時間と前記回数を含む前記プローブの位置姿勢を計測する際の計測時間を設定する計測時間設定方法であって、
前記撮像部の露光時間を設定する第1ステップと、
前記プローブの位置姿勢を複数回数計測する第2ステップと、
複数パターンの前記回数での、前記プローブの位置ずれによる誤差及び位置ずれにかかわらず発生する誤差を含む位置計測誤差を算出する第3ステップと、
前記回数による前記プローブの前記計測時間と、前記プローブの前記位置計測誤差との対応関係を算出する第4ステップと、
設定候補すべての露光時間について、前記第1、第2、第3及び第4ステップを繰り返
すステップと、
前記露光時間と、前記回数による前記プローブの前記計測時間と、前記プローブの前記位置計測誤差との対応関係とに基づいて、前記プローブの前記位置計測誤差が小さくなったときの前記露光時間及び前記回数を設定するステップとを含むことを特徴とする計測時間設定方法。
【請求項11】
前記第2ステップは、前記プローブを固定手段に固定した状態で、前記プローブの位置姿勢を計測することを特徴とする請求項10に記載の計測時間設定方法。
【請求項12】
前記第2ステップは、ユーザが前記プローブを保持した状態で、前記プローブの位置姿勢を計測することを特徴とする請求項10に記載の計測時間設定方法。
【請求項13】
制御信号に同期して、被計測対象の3次元形状を計測するプローブと、撮像対象からの光を露光時間にわたって受けることにより撮像する撮像部であって、前記プローブに設置され、前記制御信号に同期して発光する複数のマーカを含む画像を、前記制御信号に同期して撮像する撮像部によって撮像された前記画像に基づいて前記プローブの位置姿勢を計測する際に、所定の前記露光時間で、所定の回数、撮像された前記画像を用いて、前記プローブの位置姿勢を計測する処理を平均化する非接触プローブ測位センサと、含む3次元形状計測システムにおいて、前記露光時間と前記回数を含む前記プローブの位置姿勢を計測する際の計測時間を設定する計測時間設定方法であって、
所定の露光時間に設定された前記撮像部で前記プローブの位置姿勢を複数回数計測するステップと、
複数パターンの前記回数での前記プローブの位置ずれによる誤差及び位置ずれにかかわらず発生する誤差を含む位置計測誤差を算出するステップと、
前記回数による前記プローブの前記計測時間と、前記プローブの前記位置計測誤差との対応関係を算出するステップと、
前記回数による前記プローブの前記計測時間と、前記プローブの前記位置計測誤差との対応関係とに基づいて、前記プローブの前記位置計測誤差が小さくなったときの前記回数を設定するステップとを含むことを特徴とする計測時間設定方法。
【請求項14】
前記所定の露光時間は、前記撮像部によって撮像された画像内の前記複数のマーカの画素値に応じて設定することを特徴とする請求項13に記載の計測時間設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元形状計測システム及び計測時間設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザを被計測対象表面に照射するレーザ照射部と、被計測対象表面に照射されたレーザを撮像するレーザ撮像部とを有するレーザプローブと、このレーザプローブとの位置関係が固定された複数のLEDのマーカを備えるプローブを用いて、被計測対象の3次元形状を計測する3次元形状計測システムが提案されていた(例えば、特許文献1を参照)。この3次元形状計測システムは、マーカのx方向の位置を検出する第1の撮像装置と、z方向の位置を検出する第2の撮像装置と、y方向の位置を検出する第3の撮像装置とを備え、各マーカを発光させ、第1~第3の撮像装置によってマーカを撮像した画像から、プローブの位置姿勢を算出する。この3次元形状計測システムでは、第1の撮像装置と第2の撮像装置を保持する第1のカメラユニットと、第3の撮像装置を保持する第2のカメラユニットをほぼ直交するように配置することにより、奥行き(y方向)の計測誤差を低減している。
【0003】
また、プローブの構成上、手振れの影響が低減される技術として、一定の位置関係に配置された複数のマーカと、被計測対象に接触させるスタイラスと、被計測対象の3次元計測領域を撮像する副撮像部とを有するプローブを用いて、被計測対象の3次元形状を計測する3次元形状計測システムが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。ここでは、プローブにおける各マーカとスタイラスの被計測対象との接触部との位置関係は既知であり、また、スタイラスの接触部と副撮像部との位置関係も既知である。発光する複数のマーカを主撮像部によって撮像し、処理部において、プローブの3次元位置と姿勢を計測することによって、スタイラスの接触部の3次元位置及びスタイラスの向きを特定することができる。処理部において、副撮像部の撮像領域を算出するとともに、指定された3次元計測点で構成される幾何学形状の交差や角度・面積を算出し、プローブの3次元位置姿勢計測値を基いて、これらの3次元計測値を結合することにより3次元形状を計測している。
【0004】
ここで、上述の従来の技術では、プローブを保持するユーザの手振れ等により、プローブに位置ずれが生じる場合があった。そのため、プローブの位置姿勢の測定に誤差が生じ、ひいては3次元形状計測の精度が低下するという不都合が生じる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6043974号公報
【文献】特開2015-190927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、プローブに位置ずれが生じる場合においても、被計測対象の3次元形状を高精度で計測することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明は、同期のための制御信号を出力するタイミング制御部と、
前記制御信号に同期して、被計測対象に接触せずに、該被計測対象の3次元形状を計測する非接触3次元形状計測センサと、
前記非接触3次元形状計測センサを有し、前記3次元形状の計測時に、前記被計測対象に対して、前記非接触3次元形状計測センサが該被計測対象の形状を計測し得る位置となるように保持されるプローブと、
前記プローブに配置され、前記制御信号に同期して、発光する複数のマーカと、
撮像に係る露光時間及び撮像の回数を設定する計測設定部と、
前記複数のマーカを含む撮像対象からの光を前記露光時間にわたって受けることによって該複数のマーカを含む画像を撮像する撮像部であって、前記非接触3次元形状計測センサによる前記被計測対象の3次元形状の計測時に、前記露光時間で、前記制御信号に同期して、前記複数のマーカを含む前記画像を前記回数撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された複数の前記画像から前記複数のマーカの位置を抽出し、該複数のマーカの位置関係に関する情報に基づいて前記プローブの世界座標系における位置姿勢を計測する処理部と、
前記非接触3次元形状計測センサによって計測された、前記プローブに対して定義されるプローブ座標系における前記被計測対象の3次元形状を、前記非接触3次元形状計測センサによる3次元形状の計測時の前記プローブの位置姿勢に基づいて前記世界座標系における前記被計測対象の3次元形状に変換し、世界座標系における該被計測対象の3次元形状を表現する情報を生成する3次元形状変換処理部と、
を備えた3次元形状計測システムであって、
前記計測設定部は、
前記露光時間及び前記撮像の回数のいずれかを変更し、変更したときの前記撮像及び前記プローブの位置姿勢の計測の結果に基づいた前記プローブの位置計測誤差を算出し、
該位置計測誤差の算出を、複数種類の露光時間及び撮像の回数に対して行い、
得られた複数の位置計測誤差の中から、位置計測誤差が小さくなったときの露光時間及び撮像の回数を設定することを特徴とする3次元形状計測システムである。
【0008】
本発明では、計測設定部によって、露光時間及び撮像の回数のいずれかを変更し、変更したときの計測及び保持された撮像結果に基づいたプローブの位置計測誤差を算出し、該計測誤差の算出を、複数種類の露光時間及び撮像の回数に対して行い、得られた複数の位置計測誤差の中から、位置計測誤差が小さくなったときの露光時間及び撮像の回数を設定するようにした。プローブの位置計測誤差には、プローブの位置ずれによる誤差(手振れ誤差)と、プローブの位置ずれにかかわらず生じる誤差(測位誤差)が含まれるが、撮像部の露光時間及び撮像の回数を、プローブの位置計測誤差が小さくなったときの露光時間及び撮像の回数に設定することにより、プローブに位置ずれが生じる場合においても、被計測対象の3次元形状を高精度で計測することが可能である。プローブの位置計測誤差が小さくなったときとしては、当該位置計測誤差が最小となったとき、当該位置計測誤差が所定値以下となったときを含むがこれに限られない。また、複数種類の露光時間及び撮像の回数に対して算出して得られた複数の位置計測誤差の値を補間し、又は外挿することにより、位置計測誤差が最小又は所定値以下となるような露光時間及び撮像の回数を設定するようにしてもよい。
ここで、保持されたプローブの位置ずれによる誤差には、実際にユーザがプローブを把持することによる手振れにより生じる誤差を含むが、プローブを保持する保持手段の位置ずれにより生じる誤差も含む。一方、プローブの位置ずれにかかわらず生じる誤差は、仮に、プローブを手振れ等の位置ずれが生じないように固定した状態のような、位置ずれの影響を無視し得る状態において生じる誤差である。また、プローブの保持の態様には、上述のように、ユーザによる把持に限らず、ロボットアームや保持具のような保持手段による保持も含まれる。また、露光時間とは、撮像部を構成する撮像素子が撮像対象からの光を受ける時間であり、露光時間は、機械式又は電子式のシャッタによって調整することができるが、露光時間の調整方法はこれに限らない。
【0009】
また、本発明においては、前記露光時間を設定する際、前記撮像部によって撮像された前記複数のマーカの画像の画素値に基づいて該露光時間を設定するようにしてもよい。
【0010】
これによれば、露光時間を予め、マーカの画像の画素値に基づいて設定しておくことによって、平均化する際の撮像回数のみを設定すればよいので、設定に要する時間を短縮することができる。また、ユーザがシステムを使用する現場で予め設定すれば、照明条件などシステムの使用環境下で最適な露光時間を設定し、高精度計測が可能となる。
【0011】
また、本発明において、前記露光時間を設定する際に、前記複数のマーカを含む画像の画素値が飽和しないように設定した露光時間で、前記撮像部で前記複数のマーカを含む画像を撮像し、撮像した該複数のマーカを含む画像の画素値の最大値が、画素値の階調の80~100%になるように前記露光時間を設定するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明において、前記撮像部は、撮像した画像のうち、過去の時点における前記プローブの位置に基づき、撮像時に前記マーカが存在しうる領域を推定して前記処理部に出力し、
前記処理部は、前記領域の画像データから、前記プローブの位置姿勢を計測するようにしてもよい。
前記撮像部によって撮像した画像のうち、過去の時点における前記プローブの位置情報に基づき、撮像時に前記マーカが存在しうる領域を推定し、該領域の画像データを得る処
理は、撮像部において実施してもよいし、処理部において実施してもよい。
【0013】
前記撮像部は、撮像した画像データのデータ量を削減して前記処理部に出力し、
前記処理部は、データ量が削減された前記画像データから、前記プローブの位置姿勢を計測するようにしてもよい。
前記撮像部によって撮像した画像データのデータ量を削減する処理は、撮像部において実施してもよいし、処理部において実施してもよい。
【0014】
また、本発明において、前記複数のマーカを、前記プローブの姿勢が一意に決まり、かつ、該マーカ同士が同一平面上にないように配置してもよい。
【0015】
このようにすれば、撮像部によって、複数のマーカを撮像した場合に、各マーカの位置の計測誤差を低減することができ、プローブの位置計測の精度を向上させ、被計測対象の3次元形状の計測精度を向上させることができる。
【0016】
また、本発明は、上記3次元形状計測システムに用いれる前記プローブであって、
前記複数のマーカを、前記プローブの姿勢が一意に決まり、かつ、該マーカ同士が同一平面上にないように配置していることを特徴とするプローブである。
【0017】
このようなプローブを用いれば、撮像部によって、マーカを撮像した場合に、各マーカの位置の計測誤差を低減することができ、プローブの位置姿勢計測の精度を向上させ、被計測対象の3次元形状の計測精度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明は、上記3次元形状計測システムに用いられる撮像装置であって、
前記撮像部、前記処理部及び前記計測設定部を備えることを特徴とする撮像装置である。
【0019】
このような撮像装置を用いれば、プローブに位置ずれが生じる場合においても、被計測対象の3次元形状を高精度で計測することが可能である。
【0020】
また、本発明は、上記3次元形状計測システムに用いられるコンピュータ装置であって、
前記処理部、前記3次元形状変換処理部及び前記タイミング制御部を備えることを特徴とするコンピュータ装置である。
【0021】
このようなコンピュータ装置を用いれば、プローブに位置ずれが生じる場合においても、被計測対象の3次元形状を高精度で計測することが可能である。
ここで、コンピュータ装置は、少なくとも、CPU,RAM,ROM及びHD等の記憶装置を含み、CPUがROM等から読みだされたプログラムを実行する装置であるが、単一のコンピュータ装置に限られず、機能を分担して協働する複数のコンピュータ装置を含んでもよい。
【0022】
また、本発明は、制御信号に同期して、被計測対象の3次元形状を計測するプローブと、撮像対象からの光を露光時間にわたって受けることにより撮像する撮像部であって、前記プローブに設置され、前記制御信号に同期して発光する複数のマーカを含む画像を、前記制御信号に同期して撮像する撮像部によって撮像された前記画像に基づいて前記プローブの位置姿勢を計測する際に、所定の前記露光時間で、前記所定の回数、撮像された前記画像を用いて、前記プローブの位置姿勢を計測する処理を平均化する非接触プローブ測位センサと、を含む3次元形状計測システムにおいて、前記露光時間と前記回数を含む前記プローブの位置姿勢を計測する際の計測時間を設定する計測時間設定方法であって、
前記撮像部の露光時間を設定する第1ステップと、
前記プローブの位置姿勢を複数回数計測する第2ステップと、
複数パターンの前記回数での、前記プローブの位置ずれによる誤差及び位置ずれにかかわらず発生する誤差を含む位置計測誤差を算出する第3ステップと、
前記回数による前記プローブの前記計測時間と、前記プローブの前記位置計測誤差との対応関係を算出する第4ステップと、
設定候補すべての露光時間について、前記第1、第2、第3及び第4ステップを繰り返すステップと、
前記露光時間と、前記回数による前記プローブの前記計測時間と、前記プローブの前記位置計測誤差との対応関係とに基づいて、前記プローブの前記位置計測誤差が小さくなったときの前記露光時間及び前記回数を設定するステップとを含むことを特徴とする計測時間設定方法である。
【0023】
本発明によれば、プローブの位置計測誤差が小さくなったときの露光時間及び撮像の回数を設定することにより、プローブに位置ずれが生じる場合においても、被計測対象の3次元形状を高精度で計測できる計測時間設定方法を提供することが可能である。プローブの位置計測誤差が小さくなったときとしては、当該位置計測誤差が最小となったとき、当該位置計測誤差が所定値以下となったときを含むがこれに限られない。また、複数種類の露光時間及び撮像の回数に対して算出して得られた複数の位置計測誤差の値を補間し、又は外挿することにより、位置計測誤差が最小又は所定値以下となるような露光時間及び撮像の回数を設定するようにしてもよい。
【0024】
また、本発明において、前記第2ステップは、前記プローブを固定手段に固定した状態で、前記プローブの位置姿勢を計測するようにしてもよい。
【0025】
このようにすれば、3次元形状システムの製造時に、プローブを固定手段に固定した状態で、被計測対象の3次元形状を高精度に計測し得る露光時間と撮像の回数を設定することができる。
固定手段としては、プローブの保持による位置ずれが無視し得る状態で、移動しないよ
うに固定する手段であればよい。
【0026】
また、本発明において、前記第2ステップは、ユーザが前記プローブを保持した状態で、前記プローブの位置姿勢を計測するようにしてもよい。
【0027】
このようにすれば、ユーザが3次元形状計測システムを用いる場合に、ユーザが実際にプローブを保持した状態で、被計測対象の3次元形状を高精度に計測し得る露光時間と撮像の回数を設定することができる。
ここで、ユーザがプローブを保持する場合には、ユーザが直接プローブを把持する場合と、ユーザが保持手段を介して保持する場合を含む。
【0028】
また、本発明は、制御信号に同期して、被計測対象の3次元形状を計測するプローブと、撮像対象からの光を露光時間にわたって受けることにより撮像する撮像部であって、前記プローブに設置され、前記制御信号に同期して発光する複数のマーカを含む画像を、前記制御信号に同期して、撮像する撮像部によって撮像された前記画像に基づいて前記プローブの位置姿勢を計測する際に、所定の前記露光時間で、所定の回数、撮像された前記画像を用いて、前記プローブの位置姿勢を計測する処理を平均化する非接触プローブ測位センサと、含む3次元形状計測システムにおいて、前記露光時間と前記回数を含む前記プローブの位置姿勢を計測する際の計測時間を設定する計測時間設定方法であって、
所定の露光時間に設定された前記撮像部で前記プローブの位置姿勢を複数回数計測するステップと、
複数パターンの前記回数での前記プローブの位置ずれによる誤差及び位置ずれにかかわらず発生する誤差を含む位置計測誤差を算出するステップと、
前記回数による前記プローブの前記計測時間と、前記プローブの前記位置計測誤差との対応関係を算出するステップと、
前記回数による前記プローブの前記計測時間と、前記プローブの前記位置計測誤差との対応関係とに基づいて、前記プローブの前記位置計測誤差が小さくなったときの前記回数を設定するステップとを含むことを特徴とする計測時間設定方法である。
【0029】
本発明によれば、予め最適な露光時間が分かっている場合に、その露光時間を所定の露光時間として用いることにより、平均化する際の撮像の回数のみを設定すればよいので、設定に要する時間を短縮することができる。また、ユーザがシステムを使用する現場で予め設定すれば、照明条件などシステムの使用環境下で最適な露光時間を設定し、高精度計測が可能となる。プローブの位置計測誤差が小さくなったときとしては、当該位置計測誤差が最小となったとき、当該位置計測誤差が所定値以下となったときを含むがこれに限られない。また、複数種類の露光時間及び撮像の回数に対して算出して得られた複数の位置計測誤差の値を補間し、又は外挿することにより、位置計測誤差が最小又は所定値以下となるような露光時間及び撮像の回数を設定するようにしてもよい。
【0030】
また、本発明において、前記所定の露光時間は、前記撮像部によって撮像された画像内の前記マーカの画素値に応じて設定するようにしてもよい。
【0031】
本発明によれば、マーカの画像の画素値に基づいて、露光時間を予め設定しておくことができる。
前記露光時間を設定する際に、前記マーカの画像の画素値が飽和しないように設定した露光時間で、前記撮像装置で前記マーカを含む画像を撮像し、撮像した該マーカの画像の画素値の最大値が、画素値の階調の80~100%になるように前記露光時間を設定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、3次元形状計測システムにおいて、プローブに位置ずれが生じる場合においても、被計測対象の3次元形状を高精度で計測することが可能な技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施例に共通する3次元形状計測システムの概略を示す全体構成図である。
【
図2】本発明の実施例に共通する3次元形状計測システムの機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施例に共通する3次元形状計測手順のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例1における計測時間設定方法のフローチャートである。
【
図6】計測時間とプローブの位置計測誤差との対応関係を示すグラフである。
【
図7】本発明の実施例2における計測時間設定方法のフローチャートである。
【
図8】本発明の実施例3における計測時間設定方法のフローチャートである。
【
図9】本発明の実施例4における露光時間設定方法のフローチャートである。
【
図10】本発明の実施例4における計測時間設定方法のフローチャートである。
【
図11】本発明の実施例4における計測時間設定方法のフローチャートである。
【
図12】本発明の実施例5におけるマーカ部の配置を説明する図である。
【
図13】本発明の実施例6における転送画像データを示す概念図である。
【
図14】本発明の実施例7における転送画像データの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。本発明は例えば、
図1に示すような3次元形状計測システム1に適用される。
【0035】
このような3次元形状計測システム1においては、被計測対象6に向けて、ユーザがプローブ2を把持して、被計測対象6の3次元形状を計測する。プローブ2に設けられた非接触3次元形状計測センサ7から照射され、被計測対象6の表面で反射された光を受信するまでの光の飛行時間を用いて、被計測対象6との距離を計測することにより、被計測対象6の3次元形状を計測する。この被計測対象6の3次元形状の計測と同期して、撮像装置3(具体的には、撮像装置3に含まれる撮像部13)によってプローブ2に配置された複数のマーカ12,…12を含む画像を撮像する。プローブ2に対する複数のマーカ12,…12の配置は予め分かっているので、複数のマーカ12,…12を含む画像を処理して各マーカ12の位置を抽出し、それらの位置関係を算出することにより、撮像装置3に対するプローブ2の位置姿勢を計測することができる。プローブ2の非接触3次元形状計測センサ7によって計測される被計測対象6の3次元形状は、プローブ2に対して定義されるプローブ座標系に対するものである。プローブ2の撮像装置3に対する位置姿勢は、世界座標系に対するものである。非接触3次元形状計測センサ7による被計測対象6の3次元形状の計測と、撮像装置3によるプローブ2の位置姿勢の計測は同期して行われているので、プローブ座標系から世界座標系に変換することができ、世界座標系における被計測対象6の3次元形状を算出することができる。プローブ2を被計測対象6の異なる領域に向けることにより計測された被計測対象6の異なる領域の3次元形状を、世界座標系において結合することにより、これらの領域を結合した領域に対する被計測対象6の3次元形状を計測することができる。プローブ2によって、被計測対象6の3次元形状の計測時には、上述のように、ユーザがプローブ2を把持して、非接触3次元形状計測センサ7が、被計測対象6の計測しようとする領域に向くように位置させる。このとき、ユーザの手振れ等の位置ずれが生じると、撮像装置3によって撮像される複数のマーカ12,…12を含む画像に基づいて計測されるプローブ2の位置姿勢にも誤差(手振れ誤差)が発生し
、3次元形状計測の精度が低下することとなる。また、プローブ2の位置姿勢を計測する場合には上述のような位置ずれにかかわらない、撮像装置3内部のノイズや撮像素子のばらつき等による誤差(測位誤差)も発生する。
【0036】
また、3次元形状計測システム1においては、撮像装置3による撮像の際の露光時間と、撮像された画像データから抽出される複数のマーカ12,…12の位置に関する情報を平均化するために撮像する回数(平均回数)とを含む計測時間を設定している。ここで、露光時間は、撮像装置3を構成する撮像素子が、撮像対象からの光を受光する時間であり、露光時間を限定する方法は特に限定されない。ユーザが実際に計測する場合を想定すると、
図6(a)に示すように、特定の露光時間に対しては、平均回数を増やすと、測位誤差は平均化される一方で、ユーザがプローブ2を把持する時間が長くなるので手振れ誤差は増加する傾向にある。このため、手振れ誤差と測位誤差の両方を含むプローブの位置計測誤差が、最小となる計測時間が存在する。また、
図6(b)に示すように、露光時間によって、位置計測誤差と計測時間との関係もシフトする。本発明は、このような関係に着目し、露光時間と平均回数をスイープすることにより、位置計測誤差が最小となる露光時間及び平均回数を設定することによって、3次元形状計測の精度を向上させるものである。なお、
図6では、横軸に示される計測時間は、実際には、離散的な値を取る回数に基づいて算出されるので、離散的な値となる。
図6(a),(b)に示される曲線は、このような離散的な値をつなげた曲線である。
【0037】
また、3次元形状計測システム1は、製造時には、プローブ2を固定した状態で、プローブの位置計測誤差が手振れ誤差を含まず、測位誤差のみを含む場合にも、予め計測時間と手振れ誤差との対応関係を取得しておき、この対応関係を用いて、位置計測誤差が最小となる露光時間及び平均回数を設定する。また、ユーザが、3次元形状計測システムを用いて計測する場合に、計測時間設定モードのような特別のモードを設けておき、ユーザが計測時と同様に、プローブを保持した状態で、位置計測誤差が最小となる露光時間及び平均回数を設定する。また、被計測対象6の3次元形状を計測する場合に、プローブ2を静止させる場合と、等速で移動させる場合とがあり、それぞれの場合でも、位置計測誤差が最小となる露光時間及び平均回数を設定することできる。また、最適な露光時間が予めわかる場合には、露光時間を最適な時間に設定した上で、複数回の平均回数での位置計測誤差を算出して、位置計測誤差が最小となる平均回数を設定することもできる。
【0038】
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例に係る3次元形状計測システム1について、図面を用いて、より詳細に説明する。
【0039】
<システム構成>
図1は、本実施例に係る3次元形状計測システム1の全体構成の概略を示す図である。
図2は、3次元形状計測システムの機能ブロック図である。
【0040】
図1に示すように、本実施例に係る3次元形状計測システム1は、プローブ2と、撮像装置3と、プローブ2及び撮像装置3と接続されたPC(パーソナルコンピュータ)4と、PC4に接続されたディスプレイ5から構成される。
次に、
図2に示す各機能ブロックについて説明する。
3次元形状計測システム1は、主として、非接触3次元形状計測センサ7、非接触プローブ測位センサ8、3次元形状変換処理部9、タイミング制御部10、出力部11を含む。そして、非接触プローブ測位センサ8は、発光する複数のマーカ12,…12、撮像部13、処理部14及び計測設定部15を含む。非接触3次元形状計測センサ7は、被計測対象6に接触せずにその3次元形状
を計測する。非接触3次元形状計測センサ7は、例えば、被計測対象6に向けて光を照射し、被計測対象6の表面で反射された光を受信するまでの光の飛行時間を用いて、被計測対象6との距離を計測することにより、被計測対象6の3次元形状を計測する。具体的には、非接触3次元形状計測センサ7は、マーカ12,…12とともにプローブ2に含まれる。撮像部13は複数のマーカ12,…12を含む画像を撮像し、具体的には撮像装置3に含まれる。タイミング制御部10は、非接触3次元形状計測センサ7、マーカ12,…12、撮像部13及び3次元形状変換処理部9にタイミング制御信号を出力する。非接触3次元形状計測センサ7は、このタイミング制御信号に合せて、被計測対象6の3次元形状を計測する。また、複数のマーカ12,…12は、このタイミング制御信号に合せて発光し、撮像部13は、このタイミング
制御信号に合せて発光した複数のマーカ12,…12を含む画像を撮像する。3次元形状変換処理部9は、タイミング制御部10からの信号に合せて非接触プローブ測位センサ8と非接触3次元形状計測センサ7から受信したデータを変換、結合処理し、3次元形状データを算出する。処理部14は、撮像部13によって撮像された複数のマーカ12,…12を含む画像を処理して、マーカ12,…12の位置を抽出し、マーカ12,…12の位置関係に関する情報を算出する。複数のマーカ12,…12はプローブ2の所定位置に配置されているの
で、予め分かっている複数のマーカ12,…12の位置関係と、撮像部13によって撮像された画像から抽出された複数のマーカ12,…12の位置関係とから、撮像部13に定義される世界座標系におけるプローブ2の位置姿勢を算出する。非接触3次元形状計測センサ7に計測される被計測対象6の3次元形状は、非接触3次元形状計測センサ7を有するプローブ2に定義されるプローブ座標系におけるものである。上述のように、非接触3次元形状計測センサによる被計測対象6の3次元形状の計測と、撮像部13による複数のマーカ12,…12を含む画像の撮像とは、タイミング制御信号に同期して行われているので、被計測対象6の3次元形状計測時のプローブの位置姿勢が分かっている。すなわち、プローブ座標系における被計測対象6の3次元形状と、このときのプローブ2の世界座標系における位置姿勢とは、タイミング制御信号を介して関連付けられている。従って、3次元形状変換処理部9において、非接触3次元形状計測センサ7によって計測された、プローブ座標系における被計測対象6の3次元形状を世界座標系における3次元形状に変換することができ、世界座標系において、直前までの計測で取得されて隣接又は重なる領域の3次元形状を表現する情報と結合して、被計測対象6の3次元形状を表現する情報を生成する。そして、具体的には、CPU、RAM、ROM及びHD等の記憶装置から構成されるPC4は、処理部14と、3次元形状変換処理部9と、タイミング制御部10とを含む。また、出力部11は、具体的にはディスプレイ5に含まれる。また、撮像装置3が、撮像部13と処理部14を含むように構成してもよい。
また、計測設定部15は後述するように、撮像部の露光時間や平均回数をスイープさせてプローブ2の位置姿勢を計測し、位置計測誤差が最も小さくなるように計測時間を設定する。なお、
図2では、計測設定部15は、処理部14とは別に設けられているが、処理部14内に含まれていてもよい。
【0041】
本実施例に係る3次元形状計測システムによる3次元形状計測の手順の概略を
図3のフローチャートに基づいて説明する。
まず、タイミング制御部10から計測するタイミングを制御するタイミング制御信号が出力される(ステップ1)。このタイミング制御信号に合せて、プローブ2の位置姿勢が計測される(ステップ2)とともに、被計測対象6の3次元形状を計測する(ステップ3)。このとき、ステップ3として、非接触3次元形状計測センサ7の視野の範囲内の被計測対象6の3次元形状が計測される。ステップ2では、この3次元形状の計測に同期して、複数のマーカ12,…12が発光し、これらのマーカ12,…12を含む画像から、プローブ2の位置姿勢が計測される。そして、これらの情報に基づいて3次元形状変換処理を行う(ステップ4)。このとき、プローブ2の位置が計測されているので、プローブ2に定義されたプローブ座標系における被計測対象6の3次元形状である、非接触3次元形状計測センサ7によって計測された被計測対象6の3次元形状を世界座標系における3次元形状に変換することができる。このように、世界座標系における3次元形状に変換され
た被計測対象6の3次元形状を結合することにより、世界座標系における被計測対象6の3次元形状を表現する情報が得られる。そして、3次元形状変換処理によって算出された3次元形状を表現する情報を画像として、ディスプレイ5等に出力する(ステップ5)
【0042】
ステップ2のプローブ2の位置姿勢計測処理を具体的に説明する。ステップ1のタイミング制御信号に合せて、プローブ2に配置された複数のマーカ12,…12が発光する。このタイミング制御信号に合せて、撮像部13では、プローブ2の発光する複数のマーカ12,…12を含む画像が撮像される。複数のマーカ12,…12を含む画像を処理することにより、各マーカ12の輪郭を抽出して中心を決定し、中心相互の距離、中心間を結ぶ線による形状等の位置関係を算出する。プローブ2における複数のマーカ12,…12の配置は既知であり、複数のマーカ12,…12相互の位置関係はあらかじめ分かっているので、これらの情報と、上述の画像から算出された情報とにより、固定された撮像部13に対して定義される世界座標系におけるプローブ2の位置姿勢を計測することができる。複数のマーカ12,…12を含む画像の撮像結果から、複数のマーカ12,…12の位置を抽出し、これら複数のマーカ12,…12の位置関係に関する情報に基づいて、世界座標系におけるプローブ2の位置姿勢を計測する方法としては、上述の方法に限られない。このとき、撮像部13では、計測設定部15により設定された露光時間による複数のマーカ12,…12を含む画像の撮像を、計測設定部15により設定された回数繰り返す。このように複数回撮像することにより得られた複数の画像に対して上述の計測処理を繰り返して平均化することにより、誤差が平均化され、誤差の影響を低減することができる。誤差としては、プローブ2が、ユーザの手振れ等の位置ずれによって生じる誤差や、ノイズや撮像素子の特性のばらつき等によりプローブ2の位置ずれにかかわらず生じる誤差がある。処理部14において計測されたプローブ2の位置姿勢に関する情報を3次元形状変換処理部9に送信する。
【0043】
ステップ3の被計測対象6の3次元形状計測処理を具体的に説明する。非接触3次元形状計測センサ7では、被計測対象6に対して、非接触3次元形状計測センサ7が被計測対象6の3次元形状を計測し得るような位置に、プローブ2を保持した状態で、タイミング制御信号に合せて、計測を行う。被計測対象6の3次元形状の計測としては、例えば、被計測対象6に向けて発射されたレーザ光等の信号が、被計測対象6表面で反射されて受信されるまでの飛行時間に基づいて非接触3次元形状計測センサから被計測対象6の表面までの距離を計測することにより行うことができるが、3次元形状の計測方法はこれに限られない。プローブ2を被計測対象6に対して一定の位置に保持した状態で被計測対象6の3次元形状を計測し、プローブ2の被計測対象6に対する位置を変更して、被計測対象6の3次元形状の計測を繰り返すことにより、被計測対象6のより広い範囲の3次元形状を計測することができる。非接触3次元形状計測センサ7は、計測された被計測対象6の3次元形状データを3次元形状変換処理部9に送信する。
【0044】
ステップ4の3次元形状変換処理を具体的に説明する。非接触3次元形状計測センサ7からは、プローブ2に対して定義されるプローブ座標系における被計測対象6の3次元形状データが、3次元形状変換処理部に出力される。また、処理部14からは、世界座標系におけるプローブ2の位置姿勢データが3次元形状変換処理部に出力される。これらのプローブ座標系における被計測対象6の3次元形状計測と、世界座標系におけるプローブ2の位置姿勢計測は、タイミング制御信号により、同期して行われているから、タイミング制御部10からの計測タイミングに関する情報を介して、互いに関連付けられており、プローブ座標系から世界座標系における3次元形状データへと変換することができる。このように変換された3次元形状データは、世界座標系における互いの位置関係が特定されているので、3次元形状変換処理部9において、直前までの計測で取得された隣接又は重なり合う領域の3次元形状データと結合することにより、世界座標系における被計測対象6の3次元形状データを生成することができる。
【0045】
上述した計測時間設定方法として、製造時に実施する場合を、
図4に示すフローチャートに基づいて説明する。この場合にはプローブ2は、所定の位置に固定して保持された状態で以下の処理を実施する。このようにプローブ2を所定の位置に固定して保持された状態とすることによって、手振れ等によるプローブ2の位置ずれによる影響を排除することができる。製造時に計測時間設定を行っておくことにより、露光時間と平均回数のデフォルト値を得ることができ、現場での計測時に計測時間設定を行わない場合にも、このデフォルト値を利用して計測することができる。
まず、設定候補である露光時間のうち、一つの露光時間に設定(ステップ11)し、複数回、プローブの位置姿勢計測を行う(ステップ12)。そして、計測したプローブ位置について、複数パターンの平均回数での測位誤差を算出する(ステップ13)。このとき、プローブ2は、固定されているので、位置計測誤差として算出されるのは測位誤差のみである。ここで、例えば、計測時間は、計測時間=(露光時間+(撮像部(カメラ)13の画素データの)転送時間)×平均回数によって表される。そして、測位誤差を算出した全てのパターンについて、露光時間と平均回数から計測時間を算出する(ステップ14)。次に、計測時間と算出した測位誤差との対応表を算出する(ステップ15)。
図5(a)に計測時間と測位誤差との対応関係を示す対応表の例を示す。製造時に実施する場合には、上述のように固定して保持されたプローブ2の位置は予め分かっているので、予め分かっている位置からの誤差として測位誤差を算出することができる。そして、
図5(b)に示すような計測時間と手振れ誤差との対応関係を示す対応表を事前に取得しておく。計測時間と手振れ誤差との対応表は、実際に行った実験データを用いてもよいし、シミュレーションに基づくものであってもよい。計測時間と測位誤差との対応表と、計測時間と手振れ誤差との対応表を用いて、
図5(c)に示すような、設定した露光時間での、計測時間と、手振れ誤差及び測位誤差を含む位置計測誤差の対応表を算出する(ステップ16)。ここで、手振れ誤差と測位誤差の両者を含む誤差である位置計測誤差は、手振れ誤差と測位誤差によって決まるが、これらの単純な加算のみに限られない。
図5(c)に示すように、位置計測誤差e1は、手振れ誤差ve1と測位誤差pe1とから算出式EによりE(ve1,pe1)として算出される。算出式として、単純な加算の他には、二乗和平方根(SRSS)や二乗平均平方根(RMS)を用いることができる。そして、設定候補の全ての露光時間に対して、ステップ11~16を繰り返して、計測時間と、手振れ誤差及び測位誤差を含む位置計測誤差との対応表を算出する(ステップ17)。そして、その中から、手振れ誤差及び測位誤差を含む位置計測誤差が最小となる露光時間と平均回数を設定する(ステップ18)。
【0046】
図6(a)に、計測時間と、プローブ2の手振れ誤差及び測位誤差を含む位置計測誤差との対応関係を示し、
図6(b)に、設定露光時間を変更した場合の計測時間と、プローブ2の手振れ誤差及び測位誤差を含む位置計測誤差との対応関係を示す。ここで、破線が計測時間と手振れ誤差との対応関係を示し、細い実線が露光時間Aの場合の計測時間と測位誤差との対応関係、太い実線が、この場合の計測時間とプローブ2の位置計測誤差(手振れ誤差+測位誤差)との対応関係を示すグラフである。また、一点鎖線が露光時間Bの場合の計測時間と測位誤差との対応関係、二点鎖線が、この場合の計測時間とプローブ2の位置計測誤差(手振れ誤差+測位誤差)との対応関係を示すグラフである。ここでは、位置計測誤差として、手振れ誤差と測位誤差の単純加算によるものを例として説明しているが、上述したように、位置計測誤差は、単純加算に限られない。
図6(a)に示すように、一般に、平均回数が増えると測位誤差は平均化され、これに対して計測時間が長くなると、手に把持している時間も長くなるので、手振れ誤差は大きくなる傾向にある。このため、手振れ誤差と測位誤差の合計であるプローブ2の位置計測誤差が最小となる計測時間が存在する。また、
図6(b)に示すように、露光時間に応じて、計測時間と測位誤差との関係を示すグラフもシフトするため、プローブ2の位置計測誤差が最小となる計測時間も異なる。従って、露光時間設定を変更しながらステップ11~16の処理を繰り返す
ことによって、ステップ18で手振れ誤差及び測位誤差を含む位置測定誤差が最小となる露光時間と平均回数を設定することができる。
【0047】
〔実施例2〕
本実施例では、計測時間設定モードのような特別のモードを設けることにより、ユーザが使用時に実施する計測時間設定について、
図7に示すフローチャートに基づいて説明する。ここでは、ユーザがプローブ2を静止して計測した被計測対象6の3次元形状を結合する場合(スタンプ式等)について説明する。なお、初期設定として、実施例1で説明した製造時の設定を実施しておくことが望ましい。
まず、計測時間設定モードを開始し、ユーザはプローブ2を保持し、実際の計測時と同様に静止させる。その上で、処理部14では、設定候補である露光時間のうち、一つを露光時間に設定する(ステップ21)。そして、ユーザがプローブ2を把持し、静止させた状態でプローブ位置姿勢を複数回計測する(ステップ22)。計測したプローブ位置について、複数パターンの平均回数での位置計測誤差を算出する(ステップ23)。この場合に、算出される位置計測誤差は、実施例1のように、手振れ誤差と、測位誤差に分離することはできないが、概念的には、保持されたプローブ2の位置ずれ(手振れ等)に基づく手振れ誤差と、プローブ2が静止していても生じる測位誤差を含むものである。次に、位置計測誤差を算出した全てのパターンについて、露光時間と平均回数から計測時間を算出する(ステップ24)。そして、計測時間と、算出した位置計測誤差の対応表を算出する(ステップ25)。そして、設定候補の全ての露光時間に対して、ステップ21~25を繰り返して、計測時間と位置計測誤差の対応表を算出する(ステップ26)。そして、その中から、手振れ誤差及び測位誤差を含む位置計測誤差が最小となる露光時間と平均回数を設定する(ステップ27)。
【0048】
〔実施例3〕
本実施例では、実施例2と同様に、計測時間設定モードのような特別のモードを設けることにより、ユーザが使用時に実施する計測時間設定について、
図8に示すフローチャートに基づいて説明する。ただし、本実施例では、プローブ2を動かして被計測対象6の3次元形状を計測する場合について説明する。ここでも、初期設定として、実施例1で説明した製造時の設定を実施しておくことが望ましい。
まず、計測時間設定モードを開始し、ユーザはプローブ2を保持し、実際の測定時と同様に等速で動かす。その上で、処理部14では、設定候補である露光時間のうち、一つを露光時間に設定する(ステップ31)。そして、ユーザがプローブ2を把持し、等速で動かした状態でプローブ位置姿勢を複数回計測する(ステップ32)。計測したプローブ位置について、複数パターンの平均回数での位置計測誤差を算出する(ステップ33)。この場合に、算出される位置計測誤差は、実施例1のように、手振れ誤差と、測位誤差に分離することはできないが、概念的には、保持されたプローブ2の位置ずれ(手振れ等)に基づく手振れ誤差と、プローブ2が位置ずれしていなくても生じる測位誤差を含むものである。次に、位置計測誤差を算出した全てのパターンについて、露光時間と平均回数から計測時間を算出する(ステップ34)。そして、計測時間と、算出した位置計測誤差の対応表を算出する(ステップ35)。そして、設定候補の全ての露光時間に対して、ステップ31~35を繰り返して、計測時間と位置計測誤差の対応表を算出する(ステップ36)。そして、その中から、位置計測誤差が最小となる露光時間と平均回数を設定する(ステップ37)。
【0049】
〔実施例4〕
本実施例では、測位精度、すなわち位置計測の精度が最も良くなる最適な露光条件が既知の場合に、非接触プローブ測位センサ8の計測時間設定において実施例1~3のように露光時間をスイープさせるのではなく、計測時間設定の初めに画像を用いて最適な露光条件に設定する方法について説明する。
本実施例に係る露光時間設定方法を
図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、非接触プローブ測位センサ8の計測時間設定の開始直後に、撮像部の露光時間を初期露光時間に設定し(ステップ41)、プローブ2のマーカ12を発光させ、撮像する(ステップ42)。そして、撮像された画像内のマーカ12の画素値が飽和しているか否かを判断する(ステップ43)。ステップ43において、撮像された画像内のマーカ12の画素値が飽和している場合には、露光時間を短くして、ステップ41~43を繰り返す。ステップ43において、撮像された画像内のマーカ12の画素値が飽和していない場合には、マーカ画素値の最大値が最適な画素値になるように露光時間を設定する(ステップ44)。ここでは、最適な画素値として、階調の80~100%になるように露光時間を設定する。
【0050】
上述の手順によって露光時間が設定されている場合に、製造時に計測時間を設定する方法を
図10に基づいて説明する。
まず、複数回プローブ2の位置姿勢計測を行う(ステップ51)。そして、計測したプローブ位置について、平均回数での測位誤差を算出する(ステップ52)。そして、測位誤差を算出した全てのパターンについて、露光時間と平均回数から計測時間を算出する(ステップ53)。次に、計測時間と算出した測位誤差との対応表を算出する(ステップ54)。そして、事前に取得しておいた、計測時間と手振れ誤差との対応表を用いて、設定した露光時間での、計測時間と、手振れ誤差及び測位誤差を含む位置計測誤差との対応表を算出する(ステップ55)。そして、その対応表から、位置計測誤差が最小となる平均回数を設定する(ステップ56)。
【0051】
上述の手順によって露光時間が設定されている場合に、ユーザが使用時に計測時間を設定する方法を
図11に基づいて説明する。
まず、計測時間設定モードを開始し、ユーザはプローブ2を把持し、実際の測定時と同様の状態にさせる、すなわち静止又は等速移動させる。その上で、ユーザがプローブ2を保持し、実際の測定時と同様の状態でプローブ位置姿勢を複数回計測する(ステップ61)。計測したプローブ位置について、複数パターンの平均回数での位置計測誤差を算出する(ステップ62)。ここでも、算出される位置計測誤差は、実施例1のように、手振れ誤差と、測位誤差に分離することはできないが、概念的には、保持されたプローブの位置ずれ(手振れ等)に基づく手振れ誤差と、プローブ2が静止していても生じる測位誤差を含むものである。次に、位置計測誤差を算出した全てのパターンについて、露光時間と平均回数から計測時間を算出する(ステップ63)。そして、計測時間と、算出した位置計測誤差の対応表を算出する(ステップ64)。そして、その対応表から、位置計測誤差が最小となる平均回数を設定する(ステップ65)。
【0052】
〔実施例5〕
本実施例は、3次元形状計測システムの非接触プローブ測位センサ8のマーカ12,…12に関する。
図12(a)に示すように、z方向に配置された撮像素子が、複数のマーカ12,…12を撮像する場合に、3次元位置姿勢推定では、射影によって失ったz方向の位置情報を、x方向又はy方向に生じる視差から推定するため、x方向又はy方向の推定誤差に比べてz方向の推定誤差が大きく生じる。このため、
図12(a)に示すように長方形の4つの頂点と長辺に平行な対称軸上の2点という同一平面上の位置に複数のマーカ12,…12が配置されている場合に、マーカ12,…12の位置推定誤差範囲は、ハッチング部分となる。これに対して、中央の2つのマーカを、他のマーカが配置された平面と同一平面上ではない位置に配置する。このようにマーカ12,…12をプローブ上に立体的に配置することでz方向に幾何拘束が起こり、
図12(b)のハッチング部分で示すように、マーカ12,…12の3次元位置姿勢の推定誤差を小さくすることができる。すなわち、プローブ2の位置姿勢の推定誤差を小さくすることができ、高精度での被計測対象の3次元
形状計測が可能となる。
【0053】
〔実施例6〕
本実施例は、撮像部13から処理部14に転送する、マーカ12を撮像した画像データに関する。
撮像部13では、マーカ12を含む視野全体の画像を撮像している。このうち、過去のマーカ12の位置情報に基づいて、マーカ12が存在する領域の画素データのみを処理部14に転送すれば、転送されるデータ量を削減することができる。このように転送されるデータ量が削減できれば、データを転送する時間やデータの処理に要する時間を低減することができ、処理の高速化により測位精度を向上させることができる。
具体的には、
図13に示すように、Δt間の撮像画像上での最大マーカ変化量Δxを事前に把握しておき、時刻tに撮像した画像において、時刻(t-Δt)に撮像した画像から抽出したマーカ像(網掛けの円で示す。)の座標に対して、半径がΔx以下の領域(破線で示す。)の画素データのみを処理部に転送する。このようにすれば、時刻tに撮像されるマーカ像(黒く塗りつぶされた円で示す。)は、破線で示される転送領域に存在し得るので、処理部14では、転送されたデータから、時刻tにおけるマーカ12の座標を抽出することができる。
なお、上述した画像データの削減処理は、撮像部13において実施しているが、これに限られない。すなわち、具体的な構成としては、撮像装置3又はこれに接続されるPC4のいずれにおいて実施されてもよい。
【0054】
〔実施例7〕
本実施例は、撮像部13から処理部14に転送する、マーカ12を撮像した画像データに関する。
本実施例では、撮像部13において撮像した画像の画素値のデータ量を削減することにより、処理部14へ転送されるデータ量を削減する。このように転送されるデータ量が削減できれば、データを転送する時間やデータの処理に要する時間を低減することができ、処理の高速化により測位精度を向上させることができる。
具体的には、
図14に示すように、撮像された画像データの画素値が8bitで表現されていた場合に、予め設定しておいた閾値によって、8bitから2bitに変換する。ここでの閾値としては、プローブの測位精度を担保できる程度の値を予め求めておく。このようにすれば、撮像された画像の階調が低下することで転送されるデータ量を削減することができ、処理の高速化による測位精度を向上させることができる。
上述のように、画素値に対して閾値を設定する場合に限られず、画素値の空間的又は時間的な変化量に対して閾値を設けてもよい。
なお、上述した画像データの削減処理は、撮像部13において実施しているが、これに限られない。すなわち、具体的な構成としては、撮像装置3又はこれに接続されるPC4のいずれにおいて実施されてもよい。
【0055】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
同期のための制御信号を出力するタイミング制御部(10)と、
前記制御信号に同期して、被計測対象に接触せずに、該被計測対象の3次元形状を計測する非接触3次元形状計測センサ(7)と、
前記非接触3次元形状計測センサ(7)を有し、前記3次元形状の計測時に、前記被計測対象(6)に対して、前記非接触3次元形状計測センサ(7)が該被計測対象(6)の形状を計測し得る位置となるように保持されるプローブ(2)と、
前記プローブ(2)に配置され、前記制御信号に同期して、発光する複数のマーカ(12,…12)と、
撮像に係る露光時間及び撮像の回数を設定する計測設定部(15)と、
前記複数のマーカ(12,…12)を含む撮像対象からの光を前記露光時間にわたって受けることによって該複数のマーカ(12,…12)を含む画像を撮像する撮像部(13)であって、前記非接触3次元形状計測センサ(7)による前記被計測対象(6)の3次元形状の計測時に、所定の前記露光時間で、前記制御信号に同期して、前記複数のマーカ(12,…12)を含む前記画像を前記回数撮像する撮像部(13)と、
前記撮像部(13)によって撮像された複数の前記画像から前記複数のマーカ(12,…12)の位置を抽出し、該複数のマーカ(12,…12)の位置関係に関する情報に基づいて前記プローブ(2)の世界座標系における位置姿勢を計測する処理部(14)と、
前記非接触3次元形状計測センサ(7)によって計測された、前記プローブ(2)に対
して定義されるプローブ座標系における前記被計測対象(6)の3次元形状を、前記非接触3次元形状計測センサ(7)による3次元形状の計測時の前記プローブ(2)の位置姿勢に基づいて前記世界座標系における前記被計測対象(6)の3次元形状に変換し、前記世界座標系における該被計測対象(6)の3次元形状を表現する情報を生成する3次元形状変換処理部(9)と、
を備えた3次元形状計測システム(1)であって、
前記計測設定部(15)は、
前記露光時間及び前記撮像の回数のいずれかを変更し、変更したときの前記撮像及び前記プローブの位置姿勢の計測の結果に基づいた前記プローブの位置計測誤差を算出し、
該位置計測誤差の算出を、複数種類の露光時間及び撮像の回数に対して行い、
得られた複数の位置計測誤差の中から、位置計測誤差が小さくなったときの露光時間及び撮像の回数を設定することを特徴とする3次元形状計測システム(1)。
<発明2>
前記露光時間を設定する際、前記撮像部(13)によって撮像された前記複数のマーカ(12,…12)の画像の画素値に基づいて該露光時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の3次元形状計測システム(1)。
<発明3>
前記露光時間を設定する際に、前記複数のマーカ(12,…12)を含む画像の画素値が飽和しないように設定した露光時間で、前記撮像部で前記複数のマーカ(12,…12)を含む画像を撮像し、撮像した該マーカ(12,…12)の画像の画素値の最大値が、画素値の階調の80~100%になるように前記露光時間を設定することを特徴とする請求項2に記載の3次元形状計測システム(1)。
<発明4>
前記撮像部(13)は、撮像した画像のうち、過去の時点における前記プローブ(2)の位置に基づき、撮像時に前記マーカ(12)が存在しうる領域を推定して前記処理部(14)に出力し、
前記処理部(14)は、前記領域の画像データから、前記プローブ(2)の位置姿勢を計測することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の3次元形状計測システム(1)。
<発明5>
前記撮像部(13)は、撮像した画像データのデータ量を削減して前記処理部(14)に出力し、
前記処理部(14)は、データ量が削減された前記画像データから、前記プローブ(2)の位置姿勢を計測することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の3次元形状計測システム(1)。
<発明6>
前記複数のマーカ(12,…12)を、前記プローブ(2)の姿勢が一意に決まり、かつ、該マーカ(12,…12)同士が同一平面上にないように配置していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の3次元形状計測システム(1)。
<発明7>
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の3次元形状計測システム(1)に用いられる前記プローブ(2)であって、
前記複数のマーカ(12,…12)を、前記プローブ(2)の姿勢が一意に決まり、かつ、該マーカ(12,…12)同士が同一平面上にないように配置していることを特徴とするプローブ(2)。
<発明8>
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の3次元形状計測システム(1)に用いられる撮像装置(3)であって、
前記撮像部(13)、前記処理部(14)及び前記計測設定部(15)を備えることを特徴とする撮像装置(3)。
<発明9>
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の3次元形状計測システム(1)に用いられるコンピュータ装置(4)であって、
前記処理部(14)、前記3次元形状変換処理部(9)及び前記タイミング制御部(10)を備えることを特徴とするコンピュータ装置(4)。
<発明10>
制御信号に同期して、被計測対象(6)の3次元形状を計測するプローブ(2)と、撮像対象からの光を露光時間にわたって受けることにより撮像する撮像部(13)であって、前記プローブ(2)に設置され、前記制御信号に同期して発光する複数のマーカ(12,…12)を含む画像を、前記制御信号に同期して撮像する撮像部(13)によって撮像された前記画像に基づいて前記プローブ(2)の位置姿勢を計測する際に、所定の前記露光時間で、所定の回数、撮像された前記画像を用いて、前記プローブ(2)の位置姿勢を計測する処理を平均化する非接触プローブ測位センサ(8)と、含む3次元形状計測システム(1)において、前記露光時間と前記回数を含む前記プローブ(2)の位置姿勢を計測する際の計測時間を設定する計測時間設定方法であって、
前記撮像部(13)の露光時間を設定する第1ステップ(S11)と、
前記プローブ(2)の位置姿勢を複数回数計測する第2ステップ(S12)と、
複数パターンの前記回数での、前記プローブ(2)の位置ずれによる誤差及び位置ずれにかかわらず発生する誤差を含む位置計測誤差を算出する第3ステップ(S13)と、
前記回数による前記プローブの前記計測時間と、前記プローブ(2)の前記位置計測誤差との対応関係を算出する第4ステップ(S16)と、
設定候補すべての露光時間について、前記第1、第2、第3及び第4ステップを繰り返すステップ(S17)と、
前記露光時間と、前記回数による前記プローブの前記計測時間と、前記プローブの前記位置計測誤差との対応関係とに基づいて、前記プローブの前記位置計測誤差が小さくなったときの前記露光時間及び前記回数を設定するステップ(S18)とを含むことを特徴とする計測時間設定方法。
<発明11>
前記第2ステップは、前記プローブを固定手段に固定した状態で、前記プローブの位置姿勢を計測する(S12)ことを特徴とする請求項10に記載の計測時間設定方法。
<発明12>
前記第2ステップは、ユーザが前記プローブ(2)を保持した状態で、前記プローブの位置姿勢を計測する(S22、S32)ことを特徴とする請求項10に記載の計測時間設定方法。
<発明13>
制御信号に同期して、被計測対象(6)の3次元形状を計測するプローブ(2)と、撮像対象からの光を露光時間にわたって受けることにより撮像する撮像部であって、前記プローブ(2)に設置され、前記制御信号に同期して発光する複数のマーカ(12)を含む画像を、前記制御信号に同期して、撮像する撮像部(13)によって撮像された前記画像に基づいて前記プローブ(2)の位置姿勢を計測する際に、所定の前記露光時間で、所定の回数、撮像された前記画像を用いて、前記プローブ(2)の位置姿勢を計測する処理を平均化する非接触プローブ測位センサ(8)と、含む3次元形状計測システム(1)において、前記露光時間と前記回数を含む前記プローブ(2)の位置姿勢を計測する際の計測時間を設定する計測時間設定方法であって、
所定の露光時間に設定された前記撮像部(13)で前記プローブ(2)の位置姿勢を複数回数計測するステップ(S51)と、
複数パターンの前記回数での前記プローブ(2)の位置ずれによる誤差及び位置ずれにかかわらず発生する誤差を含む位置計測誤差を算出するステップ(S52)と、
前記回数による前記プローブ(2)の前記計測時間と、前記プローブ(2)の前記位置計測誤差との対応関係を算出するステップ(S55)と、
前記回数による前記プローブ(2)の前記計測時間と、前記プローブ(2)の位置計測誤差との対応関係とに基づいて、前記プローブ(2)の位置計測誤差が小さくなったときの前記回数を設定するステップ(S56)とを含むことを特徴とする計測時間設定方法。<発明14>
前記所定の露光時間は、前記撮像部(13)によって撮像された画像内の前記複数のマーカ(12,…12)の画素値に応じて設定する(S41~S44)ことを特徴とする請求項13に記載の計測時間設定方法。
【符号の説明】
【0056】
1:3次元形状計測システム
2:プローブ
6:被計測対象
7:非接触3次元形状計測センサ
8:非接触プローブ測位センサ
9:3次元形状変換処理部
10:タイミング制御部
12:マーカ
13:撮像部
14:処理部
15:計測設定部