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特許7125682嵩上げ部材、及び嵩上げ部材を備えるエレベータのかご
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】嵩上げ部材、及び嵩上げ部材を備えるエレベータのかご
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/08 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
B66B13/08 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021080356
(22)【出願日】2021-05-11
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 寛
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-029328(JP,A)
【文献】特開平04-345486(JP,A)
【文献】特開平10-129959(JP,A)
【文献】特開平04-020479(JP,A)
【文献】中国実用新案第207209662(CN,U)
【文献】特開平04-085277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごドアを開閉方向に案内するレールと前記かごドアの開閉駆動に用いられるプーリとを有するフレームが出入口の上方に配置されたかご室の前記フレームの上方で前記開閉方向に延びる基台部材の上端部に取り付け可能な嵩上げ部材本体を備え、
前記嵩上げ部材本体は、
前記基台部材に連結可能な基部と該基部から上方向に延びる起立部とを有する第一部材と、
ベルトを介して前記プーリを駆動させるモータを前記基部に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部と該支持部から下方に延びる垂下部とを有し、且つ該垂下部が水平方向から見て前記起立部と重なった状態で前記第一部材に固定される第二部材と、
前記プーリと前記モータとの間隔を調整可能な間隔調整部と、を有し、
前記第一部材と前記第二部材とは、板状の部材が折り曲げられることによって構成され、
前記間隔調整部は、
前記起立部が有し且つ上下方向に延びる第一長穴と、
前記垂下部が有し且つ前記第一長穴と少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる第二長穴と、
前記第一長穴と前記第二長穴とを挿通することによって前記起立部に対して前記垂下部を上下に相対移動可能に係合させ、且つ、前記第一長穴及び前記第二長穴に基づく範囲内での任意の相対位置で前記垂下部を前記起立部に固定可能な固定部材と、を有する、嵩上げ部材。
【請求項2】
前記第一長穴と前記第二長穴と前記固定部材との組は、水平方向に間隔をあけて複数組配置されている、請求項に記載の嵩上げ部材。
【請求項3】
少なくとも一部が互いに重なる前記第一長穴と前記第二長穴とに複数の前記固定部材が挿通されている、請求項又はに記載の嵩上げ部材。
【請求項4】
前記嵩上げ部材本体は、前記支持部に連結される支持部連結部と、前記支持部連結部から上方に延び且つ前記モータの出力軸側の端部が連結可能なモータ連結部と、を有するモータ連結部材を備える、請求項1~のいずれか1項に記載の嵩上げ部材。
【請求項5】
かごドアを開閉方向に案内するレールと前記かごドアの開閉駆動に用いられるプーリとを有するフレームが出入口の上方に配置されたかご室の前記フレームの上方で前記開閉方向に延びる基台部材の上端部に取り付け可能な嵩上げ部材本体を備え、
前記嵩上げ部材本体は、
前記基台部材に連結可能な基部と該基部から上方向に延びる起立部とを有する第一部材と、
上下方向に延びると共にベルトを介して前記プーリを駆動させるモータを前記基部に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部を有し、且つ該支持部が水平方向から見て前記起立部と重なった状態で前記第一部材に固定される第二部材と、
前記プーリと前記モータとの間隔を調整可能な間隔調整部と、を有し、
前記第一部材と前記第二部材とは、板状の部材が折り曲げられることによって構成され、
前記間隔調整部は、
前記起立部が有し且つ上下方向に延びる第一長穴と、
前記支持部が有し且つ前記第一長穴と少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる第二長穴と、
前記第一長穴と前記第二長穴とを挿通することによって前記起立部に対して前記支持部を上下に相対移動可能に係合させ、且つ、前記第一長穴及び前記第二長穴に基づく範囲内での任意の相対位置で前記支持部を前記起立部に固定可能な固定部材と、を有する、嵩上げ部材。
【請求項6】
前記第一長穴と前記第二長穴と前記固定部材との組は、前記開閉方向に間隔をあけて二つ配置され、
前記起立部は、該起立部の上端から前記二つの第一長穴の間を下方に向けて凹む凹部を有し、
前記支持部は、前記二つの第二長穴の間に穴を有し、該穴を通じて前記モータの出力軸を突出させた状態で該モータの出力軸側の端部を固定できる、請求項に記載の嵩上げ部材。
【請求項7】
かごドアを開閉方向に案内するレールと前記かごドアの開閉駆動に用いられるプーリとを有するフレームが出入口の上方に配置されたかご室の前記フレームの上方で前記開閉方向に延びる基台部材の上端部に取り付け可能な嵩上げ部材本体を備え、
前記嵩上げ部材本体は、
前記基台部材に連結可能な基部と該基部から上方向に延びる起立部とを有する第一部材と、
上下方向に延びると共にベルトを介して前記プーリを駆動させるモータを前記基部に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部を有し、且つ該支持部が水平方向から見て前記起立部と重なった状態で前記第一部材に固定される第二部材と、
前記プーリと前記モータとの間隔を調整可能な間隔調整部と、を有し、
前記間隔調整部は、
前記起立部が有し且つ上下方向に延びる第一長穴と、
前記支持部が有し且つ前記第一長穴と少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる第二長穴と、
前記第一長穴と前記第二長穴とを挿通することによって前記起立部に対して前記支持部を上下に相対移動可能に係合させ、且つ、前記第一長穴及び前記第二長穴に基づく範囲内での任意の相対位置で前記支持部を前記起立部に固定可能な固定部材と、を有し、
前記第一長穴と前記第二長穴と前記固定部材との組は、前記開閉方向に間隔をあけて二つ配置され、
前記起立部は、該起立部の上端から前記二つの第一長穴の間を下方に向けて凹む凹部を有し、
前記支持部は、前記二つの第二長穴の間に穴を有し、該穴を通じて前記モータの出力軸を突出させた状態で該モータの出力軸側の端部を固定できる、嵩上げ部材。
【請求項8】
かごドアと、
前記かごドアを開閉方向に案内するレール、及び前記かごドアの開閉駆動に用いられるプーリを有するフレームと、
出入口を有し、前記フレームが前記出入口の上方に配置されるかご室と、
前記フレームの上方で前記開閉方向に延びる基台部材と、
前記基台部材の上端部に取り付けられる嵩上げ部材本体であって、前記基台部材に連結可能な基部、及びベルトを介して前記プーリを駆動させるモータを前記基部に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部を有する嵩上げ部材本体を備える嵩上げ部材と、
前記モータと、を備え、
前記基台部材は、
前記フレームの上方で上下方向及び前記開閉方向に広がる板状で且つ上端が前記開閉方向に沿って直線状に延びる本体と、
前記本体の前記上端から前記開閉方向及び前記かご室の後方側に広がる板状のフランジ部と、を有し、
前記嵩上げ部材は、
前記フランジ部に沿って広がる第一部位と前記本体に沿って広がる第二部位とを含む断面L字状のアングル部、及び前記第一部位と前記第二部位とを接続して該第一部位に対する該第二部位の角度を維持するリブ、を有するブラケットと、
前記第一部位と前記嵩上げ部材の前記基部との間に前記フランジ部を挟み込んだ状態で該第一部位と該基部とを連結する第一連結部材と、
前記第二部位と前記基台部材とを連結する第二連結部材と、を有する、エレベータのかご。
【請求項9】
前記かご室を支持するかご枠を備え、
前記基台部材は、前記かご枠の一部を構成する部材、又は、前記かご室の天井壁上に配置される部材である、請求項8に記載のエレベータのかご。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かごの出入口の上方に配置される部材の上方に該部材と間隔をあけてモータを配置するための嵩上げ部材、及び該嵩上げ部材を備えるエレベータのかごに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、かごの出入口に配置されて該出入口を開閉するかごドア装置が知られている(特許文献1参照)。具体的に、このかごドア装置は、図13に示すように、ドアパネル101を吊り下げた状態で保持するドアハンガー102と、ドアハンガー102をドアパネル101の開閉方向に案内するレール103、及びドアハンガー102が接続された第一の無端ベルト104が巻き掛けられる一対のプーリ105a、105bが配置されるフレーム106と、一対のプーリ105a、105bのうちの一方のプーリ105aを、第二の無端ベルト107を介して駆動するモータ108と、を備える。このかごドア装置100では、モータ108がフレーム106に取り付けられている。
【0003】
このように構成されるかごドア装置100では、ドアハンガー102にドアパネル101が吊り下げられた状態で、フレーム106がかご109の出入口109aの上方に配置される。このかごドア装置100では、モータ108の出力軸108aと一方のプーリ105aとが第二の無端ベルト107を巻き掛けられるため、フレーム106から、かご109の後方側に向けてモータ108が突出している。このため、かごドア装置100は、通常、モータ108がかご109の天板より上側に位置するように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6694608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のかごドア装置100では、天井の高いかごに配置される場合、かごの出入口の高さが天井近くまでない場合でも、かごの天板より上側にモータ108が位置するように、モータ108の取り付けられているフレーム(部材)106がかごの上端部に配置される。この場合、ドアハンガー102を案内するレール103もフレーム106に配置されているため、ドアパネル101の高さ寸法が大きくなって質量が増し、これにより、モータ108が大型化する。その結果、かごドア装置100の配置スペース及びコストが増大する。
【0006】
そこで、本発明は、かごドアの高さ寸法を抑えることが可能な嵩上げ部材、及び該嵩上げ部材を備えるエレベータのかごを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の嵩上げ部材は、
かごドアを開閉方向に案内するレールと前記かごドアの開閉駆動に用いられるプーリとを有するフレームが出入口の上方に配置されたかご室の前記フレームの上方で前記開閉方向に延びる基台部材の上端部に取り付け可能な嵩上げ部材本体を備え、
前記嵩上げ部材本体は、前記基台部材に連結可能な基部と、ベルトを介して前記プーリを駆動させるモータを前記基部に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部と、を有する。
【0008】
かご室の天井壁と出入口の上端との間隔が大きく、かご室の出入口の上端に近い位置にフレームを配置すると該フレームにモータを取り付けられない場合でも、かかる構成によれば、フレームの上方に位置する基台部材より上方にモータを配置することができ、これにより、モータをかご室の天井壁より上側に配置しても、かご室におけるフレームの配置位置を低くすることができ、その結果、かごドアの高さ寸法を抑えることができる。
【0009】
また、前記嵩上げ部材において、
前記嵩上げ部材本体は、
前記基台部材に連結可能な前記基部と該基部から上方向に延びる起立部とを有する第一部材と、
前記モータを前記基部に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部と該支持部から下方に延びる垂下部とを有し、該垂下部が水平方向から見て前記起立部と重なった状態で前記第一部材に固定される第二部材と、
前記プーリと前記モータとの間隔を調整可能な間隔調整部と、を有し、
前記間隔調整部は、
前記起立部が有し且つ上下方向に延びる第一長穴と、
前記垂下部が有し且つ前記第一長穴と少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる第二長穴と、
前記第一長穴と前記第二長穴とを挿通することによって前記起立部に対して前記垂下部を上下に相対移動可能に係合させ、且つ、前記第一長穴及び前記第二長穴に基づく範囲内での任意の相対位置で前記垂下部を前記起立部に固定可能な固定部材と、を有してもよい。
【0010】
このように嵩上げ部材本体が間隔調整部を有することで、嵩上げ部材が基台部材に取り付けられてモータを支持した状態でもプーリとモータとの間隔を調整することができ、これにより、モータの回転動力をプーリに伝達するベルトの緩みの解消や、モータの基台部材に対する高さ位置の微調整等を行うことができる。しかも、係合状態で第一部材と第二部材とを相対移動させる(即ち、プーリとモータとの間隔を調整する)ことができるため、プーリとモータとの間隔の調整時にモータ又は第二部材の落下等を防ぐことができる。
【0011】
また、前記嵩上げ部材では、
前記第一長穴と前記第二長穴と前記固定部材との組は、水平方向に間隔をあけて複数組配置されてもよい。
【0012】
このように、上下方向に延びる第一長穴と第二長穴とに固定部材が挿通された組が水平方向に間隔をあけて複数組配置されていることで、第一部材(即ち、第一部材が連結された基台部材)に対する姿勢を維持しつつ第二部材(即ち、第二部材に支持されたモータ)を上下動(相対移動)させることができる。
【0013】
また、前記嵩上げ部材では、
少なくとも一部が互いに重なる前記第一長穴と前記第二長穴とに複数の前記固定部材が挿通されていてもよい。
【0014】
このように、第一長穴と第二長穴との重なっている部位に複数の固定部材が挿通されることで、第一部材(即ち、第一部材が連結された基台部材)に対する姿勢を維持しつつ第二部材(即ち、第二部材に支持されたモータ)を上下動(相対移動)させることができるとともに、起立部(第一部材)に対して垂下部(第二部材)を固定するときに該固定を強固に行える。
【0015】
また、前記嵩上げ部材において、
前記嵩上げ部材本体は、前記支持部に連結される支持部連結部と、前記支持部連結部から上方に延び且つ前記モータの出力軸側の端部が連結可能なモータ連結部と、を有するモータ連結部材を備えてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、嵩上げ部材本体は、基台部材に固定された状態でモータ連結部にモータの出力軸側の端部が連結されることで該モータを支持できる。
【0017】
また、前記嵩上げ部材では、
前記嵩上げ部材本体は、
前記基台部材に連結可能な前記基部と該基部から上方向に延びる起立部とを有する第一部材と、
上下方向に延びると共に、前記モータを前記基部に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部を有し、該支持部が水平方向から見て前記起立部と重なった状態で前記第一部材に固定される第二部材と、
前記プーリと前記モータとの間隔を調整可能な間隔調整部と、を有し、
前記間隔調整部は、
前記起立部が有し且つ上下方向に延びる第一長穴と、
前記支持部が有し且つ前記第一長穴と少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる第二長穴と、
前記第一長穴と前記第二長穴とを挿通することによって前記起立部に対して前記支持部を上下に相対移動可能に係合させ、且つ、前記第一長穴及び前記第二長穴に基づく範囲内での任意の相対位置で前記支持部を前記起立部に固定可能な固定部材と、を有してもよい。
【0018】
このように嵩上げ部材本体が間隔調整部を有することで、嵩上げ部材が基台部材に取り付けられてモータを支持した状態でもプーリとモータとの間隔を調整することができ、これにより、モータの回転動力をプーリに伝達するベルトの緩みの解消や、モータの基台部材に対する高さ位置の微調整等を行うことができる。しかも、係合状態で第一部材と第二部材とを相対移動させる(即ち、プーリとモータとの間隔を調整する)ことができるため、プーリとモータとの間隔の調整時にモータ又は第二部材の落下等を防ぐことができる。
【0019】
また、前記嵩上げ部材では、
前記第一長穴と前記第二長穴と前記固定部材との組は、前記開閉方向に間隔をあけて二つ配置され、
前記起立部は、該起立部の上端から前記二つの第一長穴の間を下方に向けて凹む凹部を有し、
前記支持部は、前記二つの第二長穴の間に穴を有し、該穴を通じて前記モータの出力軸を突出させた状態で該モータの出力軸側の端部を固定できてもよい。
【0020】
かかる構成によれば、嵩上げ部材は、起立部の上端より低い位置に出力軸が位置するようにモータを支持することができる。
【0021】
本発明のエレベータのかごは、
かごドアと、
前記かごドアを開閉方向に案内するレール、及び前記かごドアの開閉駆動に用いられるプーリを有するフレームと、
出入口を有し、前記フレームが前記出入口の上方に配置されるかご室と、
前記フレームの上方で前記開閉方向に延びる基台部材と、
上記のいずれかの嵩上げ部材と、
前記嵩上げ部材に支持され且つベルトを介して前記プーリを駆動させるモータと、を備え、
前記嵩上げ部材は、前記基台部材の上端部に取り付けられる。
【0022】
かご室の天井壁と出入口の上端との間隔が大きく、かご室の出入口の上端に近い位置にフレームを配置すると該フレームにモータを取り付けられない場合でも、この構成によれば、基台部材より上方にモータを配置することができ、これにより、モータをかご室の天井壁より上側に配置しても、かご室におけるフレームの配置位置を低くすることができ、その結果、かごドアの高さ寸法を抑えることができる。
【0023】
前記エレベータのかごは、
前記かご室を支持するかご枠を備え、
前記基台部材は、前記かご枠の一部を構成する部材、又は、前記かご室の天井壁上に配置される部材であってもよい。
【0024】
また、前記エレベータのかごでは、
前記基台部材は、
前記フレームの上方で上下方向及び前記開閉方向に広がる板状で且つ上端が前記開閉方向に沿って直線状に延びる本体と、
前記本体の前記上端から前記開閉方向及び前記かご室の後方側に広がる板状のフランジ部と、を有し、
前記嵩上げ部材は、
前記フランジ部に沿って広がる第一部位と前記本体に沿って広がる第二部位とを含む断面L字状のアングル部、及び前記第一部位と前記第二部位とを接続して該第一部位に対する該第二部位の角度を維持するリブ、を有するブラケットと、
前記第一部位と前記嵩上げ部材の前記基部との間に前記フランジ部を挟み込んだ状態で該第一部位と該基部とを連結する第一連結部材と、
前記第二部位と前記基台部材とを連結する第二連結部材と、を有してもよい。
【0025】
かかる構成によれば、上端部(フランジ部)と本体とによって構成される角部にブラケットが配置されるため、基台部材の強度がより向上する。
【発明の効果】
【0026】
以上より、本発明によれば、かごドアの高さ寸法を抑えることが可能な嵩上げ部材、及び該嵩上げ部材を備えるエレベータのかごを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、第一実施形態に係るエレベータの模式図である。
図2図2は、前記エレベータが備えるかごの上部において一部の構成を省略した状態の正面図である。
図3図3は、前記かごの上部の前方側の部位において一部の構成を省略した状態の側面図である。
図4図4は、前記かごが備えるかご枠の斜視図である。
図5図5は、前記かごが備える嵩上げ部材及びその周辺の部材の分解斜視図である。
図6図6は、第二実施形態に係るエレベータのかごの正面図である。
図7図7は、前記かごの上部において一部の構成を省略した状態の正面図である。
図8図8は、前記かごの上部の前方側の部位において一部の構成を省略した状態の側面図である。
図9図9は、前記かごが備える嵩上げ部材及びその周辺の部材の分解斜視図である。
図10図10は、他実施形態に係る嵩上げ部材を備えるかごの上部において一部の構成を省略した状態の正面図である。
図11図11は、前記嵩上げ部材が備える延長部材の構成を説明するための分解斜視図である。
図12図12は、他実施形態に係る嵩上げ部材において第一部材と第二部材とが重なっている部位の横断面図である。
図13図13は、従来のかごドア装置が取り付けられたかごの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の第一実施形態について、図1図5を参照しつつ説明する。
【0029】
本実施形態に係るエレベータのかご1は、昇降路10を昇降して利用者等を目的の階まで運搬する。具体的に、かご1は、図1に示すように、出入口21を有するかご室2と、かご室2の出入口21を開閉するかごドア装置3と、かご室2を支持するかご枠7と、かご枠7に取り付けられる嵩上げ部材8と、を備える。
【0030】
かご室2は、内部に利用者等を収容可能なかご室空間Sを有し、出入口21を通じて利用者等が乗降する。本実施形態のかご室2は、直方体形状であり、矩形の出入口21が形成された(開口する)前壁22と、前壁22と間隔をあけて対向する後壁と、前壁22と後壁の端部同士を接続する一対の側壁24と、を有する。また、かご室2は、それぞれが水平方向に広がる底壁25と天井壁26とを有する。
【0031】
かごドア装置3は、かご室2の出入口21の上方に配置されるフレーム部4と、かご室2の出入口21を開閉するかごドア5と、かごドア5を開閉駆動するモータ6と、を備える。本実施形態のかごドア装置3は、二つのかごドア5を有する、いわゆるセンターオープン式(両開き式)のかごドア装置である。
【0032】
フレーム部4は、図2及び図3にも示すように、かご室2の前壁22の外面における出入口21の上方位置に配置されるフレーム41と、かごドア5を開閉方向(図1における左右方向)に案内するレール42と、開閉方向に間隔をあけてフレーム41に配置される一対のプーリ43a、43bと、一対のプーリ43a、43bに巻き掛けられる第一の無端ベルト44と、を有する。
【0033】
フレーム41は、上下方向及び開閉方向に広がる板状で且つ上端411tが開閉方向に沿って直線状に延びるフレーム本体411と、フレーム本体411の上端411tからかご室2の出入り方向(以下、単に「出入り方向」とも称する。)の後方側に延びるフランジ部412と、を有する。本実施形態のフレーム41では、一枚の金属板の端部が折り曲げられることで、フレーム本体411とフランジ部412とが形成されている。
【0034】
フレーム本体411は、上端411tが開閉方向に沿って直線状に延びた板状の部位である。本実施形態のフレーム本体411は、開閉方向に長尺な矩形の板状である。このフレーム本体411には、少なくともレール42と一対のプーリ43a、43bとが取り付けられている。
【0035】
レール42は、フレーム41のフレーム本体411(詳しくは、フレーム本体411の下端部)に配置されている。このレール42は、かご室2の出入口21の上方位置において開閉方向に延びている。本実施形態のレール42は、二つのかごドア5のそれぞれを案内する。
【0036】
一対のプーリ43a、43bは、フレーム本体411におけるレール42の上方位置において開閉方向に間隔をあけて配置されている。より具体的には、各プーリ43a、43bは、フレーム本体411において、出入り方向に延びる回転軸431が同じ高さ位置で且つ開閉方向における出入口21より外側の位置に配置されている。また、各プーリ43a、43bは、回転軸431周りに回転自在な状態でフレーム本体411に取り付けられている。本実施形態の一対のプーリ43a、43bのうちの一方のプーリ43aは、無端ベルト44、65が巻き掛けられる被巻き掛け部位を二つ有する、いわゆる二段プーリであり、これら二つの被巻き掛け部位の径は互いに異なっている。この一方のプーリ43aは、開閉方向において、嵩上げ部材8より外側に配置されている。また、他方のプーリ43bの被巻き掛け部の径は、一方のプーリ43aにおける径の小さい方の被巻き掛け部の径と同じである。
【0037】
二つのかごドア5のそれぞれは、矩形板状のドアパネル51と、ドアパネル51を吊り下げた状態でレール42に案内されるドアハンガー52と、ドアハンガー52とドアパネル51とを接続する中間部材53と、を有する。本実施形態のドアパネル51は、上下方向に長尺な矩形状である。また、各ドアハンガー52は、第一の無端ベルト44に接続されている。具体的に、二つのかごドア5のうちの一方のかごドア5のドアハンガー52は、一対のプーリ43a、43b間に架け渡された上下二つのベルト(第一の無端ベルト44の一部)のうちの上側のベルト44に接続され、他方のかごドア5のドアハンガー52は、下側のベルト44に接続されている。これにより、二つのかごドア5は、連動して開閉する。即ち、一方のかごドア5が開閉移動すると、この開閉移動に伴って(同期して)他方のかごドア5も開閉移動する。
【0038】
モータ6は、モータ本体61と、モータ本体61から突出し、回転動力を出力する出力軸62と、出力軸62に取り付けられたプーリ63と、を有する。このモータ6は、出力軸62を出入り方向の前方側に向け且つ該出力軸62の延びる方向がかご室2の出入り方向(前後方向)と一致するように配置されている。また、モータ6のプーリ63と、フレーム41に配置されているプーリ43aとには、第二の無端ベルト(ベルト)65が巻き掛けられている。これにより、モータ6の出力軸62から出力された回転動力は、第二の無端ベルト65を介してフレーム41のプーリ43aに伝達される。
【0039】
本実施形態のかごドア装置3では、一対のプーリ43a、43bと第一の無端ベルト44とモータ6と第二の無端ベルト65とによって、かごドア5の駆動機構を構成している。
【0040】
かご枠7は、かご室2を支持した状態で昇降する部材である。具体的に、かご枠7は、かご室2を囲むことで支持し、エレベータのメインロープ(主索)を接続されている。このかご枠7は、図4及び図5にも示すように、フレーム41の上方で開閉方向に延びる第一梁(基台部材)723を有する。より具体的に、かご枠7は、かご室2の下側に配置される下枠71と、かご室2の上側に配置される上枠72と、下枠71と上枠72とを接続する一対の縦枠73と、を有する。また、かご枠7は、各縦枠73を補強するための複数のブレス74と、下枠71と上枠72の前方側の端部同士を接続する一対のフロントアングル75と、を有する。
【0041】
下枠71は、上下方向から見て矩形の矩形枠部711と、矩形枠部711の出入り方向(前後方向)の中央部において開閉方向に延びるプランク712と、を有する。
【0042】
上枠72は、プランク712と対向する位置で開閉方向に延びるクロスヘッド721と、クロスヘッド721の両端部から出入り方向に延びる一対のサポートチャンネル722と、を有する。また、上枠72は、開閉方向に延び且つ一対のサポートチャンネル722の一方(かご室2の前方側)の端部同士を接続する第一梁723と、開閉方向に延び且つ第一梁723とクロスヘッド721との間において一対のサポートチャンネル722を接続する第二梁724と、開閉方向に延び且つ一対のサポートチャンネル722の他方の端部同士を接続する第三梁725と、を有する。
【0043】
第一梁723は、開閉方向に延び且つ出入り方向が厚さ方向となる帯板状の梁本体(本体)7231と、梁本体7231の上端7231tから出入り方向の後方側に延びる上フランジ部(フランジ部)7232と、を有する。また、本実施形態の第一梁723は、梁本体7231の下端から出入り方向の後方側に延びる下フランジ部7233も有する。
【0044】
梁本体7231は、上端7231tが開閉方向に沿って直線状に延びた帯板状である。この梁本体7231は、上部に、開閉方向に間隔をあけて並ぶ複数の穴7231aを有する。各穴7231aは、開閉方向に延びる長穴である。これら複数の穴7231aは、開閉方向における梁本体7231の中央より端部側に寄った位置に配置されている。また、複数の穴7231aは、開閉方向に等間隔で並んでいる。
【0045】
上フランジ部7232は、梁本体7231の上端7231tから開閉方向及び出入り方向の後方側に広がる板状の部位である。この上フランジ部7232は、開閉方向の各位置における出入り方向の寸法(幅)が一定又は略一定で且つ開閉方向に長尺な帯板状である。
【0046】
また、上フランジ部7232は、開閉方向に間隔をあけて並ぶ複数の穴7232aを有する。各穴7232aは、開閉方向に延びる長穴である。本実施形態の上フランジ部7232は、二つの穴7232aを有し、これら二つの穴7232aは、梁本体7231の複数の穴7231aが配置されている領域と開閉方向において対応する領域(位置)に配置されている。即ち、二つの穴7232aは、開閉方向における梁本体7231の中央より端部側に寄った位置に配置されている。
【0047】
一対の縦枠73のそれぞれは、上下方向に延び、プランク712の端部と該端部と対応するクロスヘッド721の端部とを接続する。
【0048】
複数のブレス74のそれぞれは、上下方向に対して傾斜する方向に延び、縦枠73の上下方向の中間部位と矩形枠部711の出入り方向の端部とを接続することで、かご枠7の強度を確保する。各縦枠73に対し、それぞれ二つのブレス74が配置されている。
【0049】
一対のフロントアングル75のそれぞれは、上下方向に延び、サポートチャンネル722の前方側の端部と矩形枠部711の前方側の端部(角部)とを接続する。
【0050】
嵩上げ部材8は、第一梁723に取り付けられた状態でモータ6を支持する。この嵩上げ部材8は、第一梁723の上端部に取り付け可能な嵩上げ部材本体80を備える。具体的に、嵩上げ部材本体80は、第一梁723に連結可能な基部811と、第二の無端ベルト(ベルト)65を介してプーリ43aを駆動させるモータ6を基部811に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部821と、を有する。
【0051】
嵩上げ部材本体80は、プーリ43aとモータ6との間隔、詳しくは、フレーム41に取り付けられたプーリ43aとモータ6のプーリ63との間隔を調整可能な間隔調整部9を有する(図2参照)。具体的に、嵩上げ部材本体80は、第一梁723に連結可能な第一部材81と、第一部材81に対して相対移動可能な第二部材82と、第二部材82を第一部材81に固定する固定部材83と、を有する。本実施形態の嵩上げ部材本体80は、モータ6と第二部材82とを連結するモータ連結部材84を有する。この嵩上げ部材8は、嵩上げ部材本体80を第一梁723に固定すると共に該第一梁723の強度を確保可能なブラケット86を備える。また、嵩上げ部材8は、各部材同士を連結するための複数の連結部材87も備える。本実施形態の連結部材87は、ボルト871、又は、ボルト871及び該ボルト871に螺合するナット872を有する。また、本実施形態の嵩上げ部材本体80は、第一部材81に対して第二部材82を上方に押上げ可能な押上げ部材88を有する。
【0052】
第一部材81は、第一梁723に連結可能な基部811と、基部811から上方に延びる起立部812と、を有する。また、第一部材81は、起立部812の先端からかご室2の後方側に向けて延びる鍔部813も有する。
【0053】
基部811は、開閉方向及び出入り方向に広がる板状の部位であり、上下方向に貫通する複数の穴811aを有する。これら複数の穴811aは、開閉方向に間隔をあけて配置され、各穴811aは、開閉方向に延びる長穴である。本実施形態の基部811は、開閉方向に長尺な矩形の板状であり、二つの穴811aを有する。
【0054】
起立部812は、基部811から上方に延びる板状(平板状)の部位である。具体的に、起立部812は、開閉方向及び上下方向に広がる矩形の板状であり、厚さ方向に貫通し且つ上下方向に延びる少なくとも一つの第一長穴812aを有する。この起立部812は、基部811の出入り方向の前方側の端部から上方に延びている。本実施形態の起立部812は、複数の第一長穴812aを有し、これら複数の第一長穴812aは、開閉方向に間隔をあけて配置されている。より具体的に、起立部812は、二つの第一長穴812aを有する。
【0055】
鍔部813は、開閉方向及び出入り方向に広がる板状の部位であり、上下方向に貫通する複数の穴813aを有する。これら複数の穴813aは、開閉方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態の鍔部813は、開閉方向に長尺な矩形の板状であり、二つの穴813aを有する。この鍔部813は、起立部812の上端部から出入り方向の後方側に延びている。また、二つの穴813aのそれぞれは、内周面に雌ネジが形成されているネジ穴(タップ穴)である。
【0056】
第二部材82は、モータ6を支持する支持部821と、支持部821から下方に延びる垂下部822と、を有し、垂下部822が水平方向から見て起立部812と重なった状態で第一部材81に固定されている。
【0057】
支持部821は、開閉方向及び出入り方向に広がる板状であり、上下方向に貫通する複数の穴821aを有する。この支持部821では、出入り方向に複数(本実施形態の例では二つ)の穴821aが並ぶ列が、開閉方向に間隔をあけて複数列(本実施形態の例では二列)配置されている。各列を構成する複数の穴821aのそれぞれは、出入り方向に延びる長穴である。これら複数の穴821aのそれぞれは、上下方向から見て、第一部材81の鍔部813の各穴813aと重ならない位置に配置されている。
【0058】
垂下部822は、支持部821から下方に延びる板状(平板状)の部位であり、第一部材81の起立部812と互いに平行な状態で重なる。具体的に、垂下部822は、開閉方向及び上下方向に広がる矩形の板状であり、厚さ方向に貫通する少なくとも一つの第二長穴822aを有する。この第二長穴822aは、起立部812の第一長穴812aと少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる。より具体的には、第二長穴822aは、対応する(共通の固定部材83が挿通される)第一長穴812aと開閉方向において同じ位置で且つ上下方向において少なくとも一部が重なる位置に配置されている。本実施形態の垂下部822は、複数の第一長穴812aと対応する位置のそれぞれに第二長穴822aを有する。即ち、垂下部822において、複数の第二長穴822aが開閉方向に間隔をあけて配置されている。より具体的には、垂下部822は、二つの第二長穴822aを有する。
【0059】
固定部材83は、第一長穴812aと、該第一長穴812aと対応する(重なる)第二長穴822aとを挿通することによって起立部812に対して垂下部822を上下に相対移動可能に係合させ、且つ、第一長穴812a及び第二長穴822aに基づく範囲内での任意の相対位置で垂下部822を起立部812に固定可能である。本実施形態の嵩上げ部材8では、少なくとも一部が互いに重なる第一長穴812aと第二長穴822aとに複数(図5に示す例では、二つ)の固定部材83が挿通されている。
【0060】
具体的に、この固定部材83は、重なっている第一長穴812a及び第二長穴822aに挿通されるボルト831と、該ボルト831に螺合されるナット832と、を有する。このボルト831が、出入り方向から見て重なっている第一長穴812aと第二長穴822aとに挿通されることで、起立部812に対して垂下部822を上下方向(第一長穴812a又は第二長穴822aの延びる方向)に相対移動可能に、起立部812と垂下部822とが係合される。このとき、起立部812に対して垂下部822が上下に相対移動できる範囲(距離)は、第一長穴812aと第二長穴822aとの上下方向の寸法によって規定される。そして、起立部812に対して垂下部822が所定の位置になったときに、ボルト831に螺合されているナット832が締め付けられることで、該位置において垂下部822が起立部812に固定される。尚、上下に配置される二つのナット832は、二つのネジ穴(タップ穴)を有するプレートナットであってもよい。
【0061】
本実施形態の嵩上げ部材本体80(嵩上げ部材8)では、互いに重なっている第一長穴812a及び第二長穴822aと、これら第一長穴812a及び第二長穴822aに挿通されている固定部材83とによって、間隔調整部9が構成されている(図2参照)。また、本実施形態の嵩上げ部材本体80では、重なっている第一長穴812aと第二長穴822aとに、二つの固定部材83(詳しくは、ボルト831)が挿通されている。そして、この二つの固定部材83と、これら二つの固定部材83が挿通されている第一長穴812a及び第二長穴822aとの組が、水平方向に間隔をあけて複数組配置されている。より具体的には、二つの前記組が、開閉方向に間隔をあけて配置されている。
【0062】
モータ連結部材84は、開閉方向及び出入り方向に広がる板状の支持部連結部841と、支持部連結部841から上方に延び且つモータ6の出力軸62側の端部が連結可能なモータ連結部842と、を有する。本実施形態のモータ連結部材84は、支持部連結部841とモータ連結部842とを接続する少なくとも一つの補強部843も有する。
【0063】
支持部連結部841は、矩形板状であり、出入り方向の後方側の端部が下方に向けて屈曲している。この支持部連結部841は、第二部材82の支持部821の各穴821aと対応する位置に穴841aを有する。即ち、支持部連結部841では、出入り方向に複数(本実施形態の例では二つ)の穴841aが並ぶ列が、開閉方向に間隔をあけて複数列(本実施形態の例では二列)配置されている。各列を構成する複数の穴841aのそれぞれは、出入り方向に延びる長穴である。この支持部連結部841は、第二部材82の支持部821と重ねられた状態で、各穴841aと、対応する支持部821の穴821aとに挿通された連結部材87(ボルト871及びナット872)によって、該支持部821に連結(固定)されている。
【0064】
モータ連結部842は、支持部連結部841における出入り方向の前方側の端部から上方に延びる。具体的に、モータ連結部842は、上下方向及び開閉方向に広がる板状であり、出入り方向に貫通する穴842aを有する。この穴842aには、モータ6の出力軸62が挿通される。本実施形態のモータ連結部842は、矩形板状であり、中央部に穴842aを有する。また、モータ連結部842は、穴842aの周囲に複数の穴842bも有する。中央部の穴842aの径は、該穴842aの周囲に配置された各穴842bの径より大きい。
【0065】
補強部843は、開閉方向の端部において、支持部連結部841の上部とモータ連結部842の後部とを接続する。本実施形態の補強部843は、支持部連結部841とモータ連結部842とのそれぞれに対して傾斜する方向に延びる帯板状である。
【0066】
このモータ連結部材84には、モータ連結部842の穴842aを通じて出力軸62を出入り方向の前方側に突出させた状態で、モータ連結部842の各穴842bに挿通された連結部材87(ボルト871:図3参照)によってモータ6の前面(出力軸62が突出する面)がモータ連結部842に連結されている。この状態において、出入り方向における第二部材82の支持部821の後端は、モータ本体61の中央位置より前方側に位置している。即ち、出入り方向において、嵩上げ部材8からモータ6の後部が大きく突出するように、モータ6がモータ連結部材84によって嵩上げ部材本体80に連結(配置)されている。尚、図5においては、図を見やすくするために、モータ6をモータ連結部842に連結するための連結部材87(ボルト871)の記載を省略している。
【0067】
押上げ部材88は、第一部材81の鍔部813の穴813aに上方に向けて挿通されているジャッキアップボルトである。固定部材83が緩められて第一部材81に対する第二部材82の固定が解除された上で、周面に雄ネジが形成されている軸の先端を第二部材82の支持部821に当接させたままで該押上げ部材88が軸周りに回転させられることで、第一部材81に対する第二部材82の上下方向の位置(鍔部813と支持部821との上下方向の間隔)が調整できる。
【0068】
具体的に、モータ6の位置を上げるときには、第一部材81に対する第二部材82の固定が解除された状態で、各押上げ部材88を軸周りに回転させて上昇させることで、該押上げ部材88の先端が支持部821(第二部材82)に当接した状態で該支持部821を押し上げる。これにより、モータ6が上昇する。
【0069】
一方、モータ6を下げるときには、第一部材81に対する第二部材82の固定が解除された状態で、各押上げ部材88を軸周りに回転(モータ6を上げるときと逆回転)させて下降させることで、モータ6、モータ連結部材84、第二部材82の自重により、支持部821が押上げ部材88の先端に支持されつつ(当接した状態のままで)該押上げ部材88と共に下降する。これにより、モータ6が下降する。
【0070】
このようにして第二部材82が第一部材81に対して所望の高さ位置(相対位置)になったときに、固定部材83(ボルト831及びナット832)が締め付けられることで、第二部材82が第一部材81に対して固定される。また、押上げ部材88と螺合する締付部材(本実施形態の例では、ナット)89が締め付けられることで、押上げ部材88も固定される。即ち、締付部材89は、ダブルナット的な役割を果たす。
【0071】
ブラケット86は、開閉方向に延びるアングル部860と、アングル部860に配置される複数のリブ865と、を有する。このブラケット86は、第一梁723の上端部、詳しくは、梁本体7231と上フランジ部7232とに沿って第一梁723の内側(第二梁724側)に配置される(図3参照)。
【0072】
アングル部860は、上フランジ部7232に沿って広がる第一部位861と、梁本体7231に沿って広がる第二部位862と、を含む断面L字状の部位である。本実施形態の第一部位861と第二部位862とのそれぞれは、開閉方向に長尺な矩形の板状である。
【0073】
第一部位861は、第一梁723の上フランジ部7232が有する穴7232aの数と対応する数(複数)の穴861aを有する。これら複数の穴861aは、開閉方向に間隔をあけて配置されている。具体的に、複数の穴861aのそれぞれは、上フランジ部7232の各穴7232aと対応する位置に配置されている。各穴861aは、出入り方向に延びる長穴である。開閉方向に隣り合う二つの穴861aの中心間の距離は、上フランジ部7232において開閉方向に隣り合う二つの穴7232aの中心間の距離と同じである。
【0074】
この第一部位861は、嵩上げ部材本体80の基部811との間に上フランジ部7232を挟み込んだ状態で上下方向から見て重なる基部811の穴811aと上フランジ部7232の穴7232aと第一部位861の穴861aとに挿通された連結部材(第一連結部材)87(本実施形態の例では、ボルト871及びナット872)によって、基部811と連結されている。
【0075】
第二部位862は、第一梁723の梁本体7231が有する穴7231aの数と対応する数(複数)の穴862aを有する。これら複数の穴862aは、開閉方向に間隔をあけて配置されている。具体的に、複数の穴862aのそれぞれは、梁本体7231の各穴7231aと対応する位置に配置されている。各穴862aは、上下方向に延びる長穴である。開閉方向に隣り合う二つの穴862aの中心間の距離は、梁本体7231において開閉方向に隣り合う二つの穴7231aの中心間の距離と同じである。
【0076】
この第二部位862は、梁本体7231と重った状態で出入り方向から見て重なる梁本体7231の穴7231aと第二部位862の穴862aとに挿通された連結部材(第二連結部材)87(本実施形態の例では、ボルト871及びナット872)によって、梁本体7231と連結されている。
【0077】
複数のリブ865は、交差する方向に広がる板状の第一部位861と第二部位862とを接続する部位であり、第一部位861に対する第二部位862の角度を維持する。各リブ865は、上下方向及び出入り方向に広がる板状である。
【0078】
かご室2の天井壁26と出入口21の上端との間隔が大きく、かご室2の出入口21の上端に近い位置にフレーム41を配置すると該フレーム41にモータ6を取り付けられない場合でも、本実施形態の嵩上げ部材8、及び嵩上げ部材8を備えたかご1によれば、かご枠7の第一梁723より上方にモータ6を配置することができる。これにより、モータ6をかご室2の天井壁26より上側に配置しても、かご室2におけるフレーム41の配置位置を低くすることができる。その結果、かごドア5の高さ寸法を抑えることができる。
【0079】
また、このように、かご室2におけるフレーム41の配置位置を低くすることで、かごドア5の高さが抑えられるため、かごドア5の重心が低くなる。これにより、本実施形態のかご1のかごドア装置3のように、第一の無端ベルト44によってかごドア5の上部を駆動して該かごドア5を開閉させる駆動方式において、かごドア5を安定して高速開閉させることが可能となる。
【0080】
また、本実施形態の嵩上げ部材8では、嵩上げ部材本体80は、第一梁723に連結可能な基部811と該基部811から上方向に延びる起立部812とを有する第一部材81と、モータ6を基部811に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部821と該支持部821から下方に延びる垂下部822とを有し、該垂下部822が水平方向から見て起立部812と重なった状態で第一部材81に固定される第二部材82と、プーリ43aとモータ6との間隔を調整可能な間隔調整部9と、を有する。また、間隔調整部9は、起立部812が有し且つ上下方向に延びる第一長穴812aと、垂下部822が有し且つ第一長穴812aと少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる第二長穴822aと、第一長穴812aと第二長穴822aとを挿通することによって起立部812に対して垂下部822を上下に相対移動可能に係合させ、且つ、第一長穴812a及び第二長穴822aに基づく範囲内での任意の相対位置で垂下部822を起立部812に固定可能な固定部材83と、を有する。
【0081】
このように嵩上げ部材本体80が間隔調整部9を有することで、嵩上げ部材8が第一梁723に取り付けられてモータ6を支持した状態でもプーリ43aとモータ6との間隔を調整することができる。これにより、モータ6の回転動力をプーリ43aに伝達する第二の無端ベルト65の緩みの解消や、モータ6の第一梁723に対する高さ位置の微調整等を行うことができる。しかも、係合状態で第一部材81と第二部材82とを相対移動させる(即ち、プーリ43aとモータ6との間隔を調整する)ことができるため、プーリ43aとモータ6との間隔の調整時にモータ6又は第二部材82の落下等を防ぐことができる。
【0082】
また、本実施形態の嵩上げ部材8では、第一長穴812aと第二長穴822aと固定部材83との組は、水平方向に間隔をあけて複数組配置されている。このように、上下方向に延びる第一長穴812aと第二長穴822aとに固定部材83が挿通された組が水平方向に間隔をあけて複数組配置されていることで、第一部材81(即ち、第一部材81が連結された第一梁723)に対する姿勢を維持しつつ第二部材82(即ち、第二部材82に支持されたモータ6)を上下動(相対移動)させることができる。
【0083】
また、本実施形態の嵩上げ部材8では、少なくとも一部が互いに重なる第一長穴812aと第二長穴822aとに複数の固定部材83が挿通されている。このように、第一長穴812aと第二長穴822aとの重なっている部位に複数の固定部材83が挿通されることで、第一部材81(即ち、第一部材81が連結された第一梁723)に対する姿勢を維持しつつ第二部材82(即ち、第二部材82に支持されたモータ6)を上下動(相対移動)させることができるとともに、起立部812(第一部材81)に対して垂下部822(第二部材82)を固定するときに該固定を強固に行える。
【0084】
また、本実施形態の嵩上げ部材8では、嵩上げ部材本体80は、支持部821に連結される支持部連結部841と、支持部連結部841から上方に延び且つモータ6の出力軸62側の端部が連結可能なモータ連結部842と、を有するモータ連結部材84を備えている。このように、嵩上げ部材本体80は、第一梁723に固定された状態でモータ連結部842にモータ6の出力軸62側の端部が連結されることで該モータ6を支持することができる。
【0085】
また、本実施形態のかご1では、第一梁723は、フレーム41の上方で上下方向及び開閉方向に広がる板状で且つ上端が開閉方向に沿って直線状に延びる梁本体7231と、梁本体7231の上端7231tから開閉方向及びかご室2の後方側に広がる板状の上フランジ部7232と、を有している。そして、嵩上げ部材8は、上フランジ部7232に沿って広がる第一部位861と梁本体7231に沿って広がる第二部位862とを含む断面L字状のアングル部860、及び第一部位861と第二部位862とを接続して該第一部位861に対する該第二部位862の角度を維持する少なくとも一つのリブ865、を有するブラケット86と、第一部位861と嵩上げ部材8の基部811との間に上フランジ部7232を挟み込んだ状態で該第一部位861と該基部811とを連結する連結部材(第一連結部材)87と、第二部位862と梁本体7231とを連結する連結部材(第二連結部材)87と、を有している。このように、上端部(上フランジ部7232)と梁本体7231とによって構成される角部にブラケット86が配置されているため、第一梁723の強度がより向上する。
【0086】
次に、本発明の第二実施形態について図6図9を参照しつつ説明するが、上記第一実施形態と同様の構成には同一符号を用いると共に詳細な説明を省略し、異なる構成についてのみ詳細に説明する。
【0087】
第一実施形態の嵩上げ部材8では、第二部材82の支持部821がモータ連結部材84を介してモータ6を支持しているが、本実施形態の嵩上げ部材8Aでは、第二部材82Aの支持部822Aが直接モータ6を支持している。具体的には、以下のとおりである。
【0088】
本実施形態に係るエレベータのかご1は、図6図8に示すように、かご室2と、かごドア装置3と、かご室2の天井壁26上に配置されてかご室2に対する位置が固定されている基台部材70と、基台部材70に取り付けられる嵩上げ部材8Aと、を備える。
【0089】
この嵩上げ部材8Aの嵩上げ部材本体80Aは、かご室2の天井壁26上に配置されている。具体的に、嵩上げ部材本体80Aは、かご室2のフレーム41の上方で開閉方向に延びる基台部材70の上端部に取り付けられる。本実施形態の基台部材70は、かご室2の天井壁26上に出入り方向に間隔をあけて二つ配置され、二つの基台部材70のうちの前方側の第一基台部材70Aは、開閉方向において嵩上げ部材8Aの幅程度延び、後方側の第二基台部材70Bは、開閉方向に延び、かご枠7の一対のサポートチャンネル722を接続する。
【0090】
本実施形態の嵩上げ部材本体80Aは、第一基台部材70Aと第二基台部材70Bとに掛け渡された載置板70Cを介して各基台部材70A、70Bの上端部に固定されている。この第一基台部材70Aは、いわゆる溝形鋼であり、第二基台部材70Bは、いわゆるZ形鋼であり(図8参照)、載置板70Cは、開閉方向及び出入り方向に広がる平板である。この載置板70Cは、第一部材81Aの穴811aと対応する位置(上下方向から見て重なる位置)に穴701Cを有する。
【0091】
嵩上げ部材本体80Aは、基台部材70A、70B(本実施形態の例では、載置板70C)に連結可能な基部811と該基部811から上方に延びる起立部812とを有する第一部材81Aと、上下方向に延びると共に、モータ6を基部811に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部821Aを有する第二部材82Aと、第二部材82Aを第一部材81Aに固定する固定部材83と、を有する。また、嵩上げ部材本体80Aは、各部材同士を連結するための複数の連結部材87と、第一部材81Aに対して第二部材82Aを上方に押上げ可能な押上げ部材88と、を備える。
【0092】
第一部材81Aは、基台部材70A、70B(本実施形態の例では、載置板70C)に連結可能な基部811Aと、基部811Aから上方に延びる起立部812Aと、を有する。
【0093】
基部811Aは、開閉方向及び出入り方向に広がる板状の部位であり、上下方向に貫通する複数の穴811aを有する。各穴811aは、出入り方向に延びる長穴である。本実施形態の基部811Aでは、出入り方向に間隔をあけて配置された二つの穴811aの組が開閉方向に間隔をあけて二組配置されている。この基部811Aは、矩形の板状である。
【0094】
起立部812Aは、基部811Aの出入り方向の前方側の端部から上方に延びる板状(平板状)の部位である。具体的に、起立部812Aは、開閉方向及び上下方向に広がる板状であり、少なくとも一つの第一長穴812aを有する。本実施形態の起立部812Aは、二つの第一長穴812aを有し、これら二つの第一長穴812aは、開閉方向に間隔をあけて配置されている。また、起立部812Aは、該起立部812Aの上端812tから二つの第一長穴812aの間を下方に向けて凹む凹部8120を有する。
【0095】
凹部8120は、それぞれ上端812tから下方に延びる一対の側縁8120sと、開閉方向に延び且つ一対の側縁8120sの下端同士を接続する底縁8120bと、を有する。この凹部8120は、各第一長穴812aの下端よりも下方位置まで凹んでいる。即ち、底縁8120bは、各第一長穴812aの下端よりも下方に位置する。また、底縁8120bの開閉方向の寸法は、各側縁8120sの上下方向の寸法より大きい。また、開閉方向において、二つの第一長穴812aのうちの一方の第一長穴812aと凹部8120(詳しくは、側縁8120s)との間隔は、他方の第一長穴812aと凹部8120(詳しくは、側縁8120s)との間隔と同じである。
【0096】
第二部材82Aは、上下方向及び開閉方向に広がる板状の支持部822Aと、支持部822Aの下端から出入り方向の後方側に延びる延設部823と、を有する。本実施形態の第二部材82Aは、支持部822Aと延設部823とを接続する少なくとも一つの補強部824も有する。
【0097】
支持部822Aは、第一部材81Aの起立部812Aと互いに平行な状態で重なり、少なくとも一つの第二長穴822aを有する。この第二長穴822aは、起立部812Aの第一長穴812aと少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる。本実施形態の支持部822Aは、複数の第一長穴812aと対応する位置のそれぞれに第二長穴822aを有する。即ち、支持部822Aは、開閉方向に間隔をあけて二つの第二長穴822aを有する。
【0098】
また、支持部822Aは、開閉方向における二つの第二長穴822aの間に、出入り方向に貫通する穴8221aを有する。この穴8221aには、モータ6の出力軸62が挿通される。本実施形態の支持部822Aは、開閉方向に長尺な矩形板状であり、開閉方向における二つの第二長穴822aの中央位置に穴8221aを有する。また、この穴8221aは、上下方向において、各第二長穴822aの上端部と同程度の位置(高さ位置)に配置されている。この支持部822Aは、穴8221aの周囲に複数の穴8221bも有する。これら複数の穴8221bは、穴8221aを囲むように配置されている。中央の穴8221aの径は、該穴8221aの周囲に配置された各穴8221bの径より大きい。
【0099】
延設部823は、開閉方向及び出入り方向に広がる矩形板状の部位であり、出入り方向の後方側の端部が下方に向けて屈曲している。この延設部823は、上下方向に貫通する複数の穴823aを有する。これら複数の穴823aは、開閉方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態の延設部823は、二つの穴823aを有する。これら二つの穴823aのそれぞれは、内周面に雌ネジが形成されているネジ穴(タップ穴)である。
【0100】
補強部824は、開閉方向の端部において、支持部822Aの上部と延設部823の後部とを接続する。本実施形態の補強部824は、二つ配置され、各補強部824は、支持部822Aと延設部823とのそれぞれに対して傾斜する方向に延びる帯板状である。
【0101】
この第二部材82Aには、支持部822Aの穴8221aを通じて出力軸62を出入り方向の前方側に突出させた状態で、支持部822Aの各穴8221bに挿通された連結部材87(ボルト871:図8参照)によってモータ6の前面(出力軸62が突出する面)が支持部822Aに連結されている。即ち、第二部材82A(詳しくは、支持部822A)には、モータ6の出力軸62側の端部が連結されている。尚、図9においては、図を見やすくするために、モータ6を支持部822Aに連結するための連結部材87(ボルト871)の記載を省略している。
【0102】
固定部材83は、第一長穴812aと、該第一長穴812aと対応する(重なる)第二長穴822aとを挿通することによって起立部812Aに対して支持部822Aを上下に相対移動可能に係合させ、且つ、第一長穴812a及び第二長穴822aに基づく範囲内での任意の相対位置で支持部822Aを起立部812Aに固定可能である。本実施形態の嵩上げ部材本体80Aでは、少なくとも一部が互いに重なる第一長穴812aと第二長穴822aとに複数(図9に示す例では、二つ)の固定部材83が挿通されている。
【0103】
本実施形態の嵩上げ部材本体80Aにおいても、互いに重なっている第一長穴812a及び第二長穴822aと、これら第一長穴812a及び第二長穴822aに挿通されている固定部材83とによって、間隔調整部9が構成されている。また、本実施形態の嵩上げ部材本体80Aでは、重なっている第一長穴812aと第二長穴822aとに、二つの固定部材83(詳しくは、ボルト831)が挿通されている。そして、この二つの固定部材83と、これら二つの固定部材83が挿通されている第一長穴812a及び第二長穴822aとの組が、水平方向に間隔をあけて複数組配置されている。より具体的には、二つの前記組が、開閉方向に間隔をあけて配置されている。
【0104】
押上げ部材88は、第二部材82Aの延設部823の穴823aに下方に向けて挿通されているジャッキアップボルトである。固定部材83が緩められて第一部材81Aに対する第二部材82Aの固定が解除された上で、周面に雄ネジが形成されている軸の先端を第一部材81Aの基部811Aに当接させたままで該押上げ部材88が軸周りに回転させられることで、第一部材81Aに対する第二部材82Aの上下方向の位置(延設部823と基部811Aとの上下方向の間隔)が調整できる。また、第一実施形態の嵩上げ部材8と同様に、押上げ部材88と螺合する締付部材(本実施形態の例では、ナット)89が締め付けられることで、押上げ部材88が固定される。
【0105】
以上のように構成される嵩上げ部材8Aは、第一部材81Aの各穴811aにおいてボルト871を下方に向けて挿通せた状態で該ボルト871と螺合するナット872が締め付けられることで、載置板70Cを介して基台部材70A、70Bに連結される。
【0106】
かご室2の天井壁26と出入口21の上端との間隔が大きく、かご室2の出入口21の上端に近い位置にフレーム41を配置すると該フレーム41にモータ6を取り付けられない場合でも、本実施形態の嵩上げ部材8A及び嵩上げ部材8Aを備えるかご1によれば、フレーム41の上方に位置する基台部材70A、70Bより上方にモータ6を配置することができる。これにより、モータ6をかご室2の天井壁26より上側に配置しても、かご室2におけるフレーム41の配置位置を低くすることができる。その結果、かごドア5の高さ寸法を抑えることができる。
【0107】
また、本実施形態の嵩上げ部材8Aでは、嵩上げ部材本体80Aは、基台部材70A、70Bに連結可能な基部811Aと該基部811Aから上方向に延びる起立部812Aとを有する第一部材81Aと、上下方向に延びると共に、モータ6を基部811Aに対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部822Aを有し、該支持部822Aが水平方向から見て起立部812Aと重なった状態で第一部材81Aに固定される第二部材82Aと、プーリ43aとモータ6との間隔を調整可能な間隔調整部9と、を有する。また、間隔調整部9は、起立部812Aが有し且つ上下方向に延びる第一長穴812aと、支持部822Aが有し且つ第一長穴812aと少なくとも一部が重なる位置において上下方向に延びる第二長穴822aと、第一長穴812aと第二長穴822aとを挿通することによって起立部812Aに対して支持部822Aを上下に相対移動可能に係合させ、且つ、第一長穴812a及び第二長穴822aに基づく範囲内での任意の相対位置で支持部822Aを起立部812Aに固定可能な固定部材83と、を有している。このように、本実施形態の嵩上げ部材8Aにおいても、嵩上げ部材本体80Aが間隔調整部9を有することで、嵩上げ部材8Aが基台部材70A、70Bに取り付けられてモータ6を支持した状態でもプーリ43aとモータ6との間隔を調整することができる。これにより、モータ6の回転動力をプーリ43aに伝達する第二の無端ベルト65の緩みの解消や、モータ6の基台部材70A、70Bに対する高さ位置の微調整等を行うことができる。しかも、第一実施形態の嵩上げ部材8と同様に、係合状態で第一部材81Aと第二部材82Aとを相対移動させる(即ち、プーリ43aとモータ6との間隔を調整する)ことができるため、プーリ43aとモータ6との間隔の調整時にモータ6又は第二部材82Aの落下等を防ぐことができる。
【0108】
また、本実施形態の嵩上げ部材8Aでは、第一長穴812aと第二長穴822aと固定部材83との組が開閉方向に間隔をあけて二つ配置されている。そして、起立部812Aが、該起立部812Aの上端812tから二つの第一長穴812aの間を下方に向けて凹む凹部8120を有し、支持部822Aが、二つの第二長穴822aの間に穴8221aを有し、該穴8221aを通じてモータ6の出力軸62を突出させた状態で該モータ6の出力軸62側の端部を固定されている。このように、嵩上げ部材8Aは、起立部812Aの上端812tより低い位置に出力軸62が位置するようにモータ6を支持することができる。
【0109】
尚、本発明の嵩上げ部材、及び嵩上げ部材を備えたかごは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0110】
第一及び第二実施形態のかご1のかごドア装置3は、かごドア5が二枚のセンターオープン式のかごドア装置であるが、この構成に限定されない。かごドア装置3は、いわゆる片開きのかごドア装置であってもよい。また、かごドア装置3が備えるかごドア5(ドアパネル51)の数も限定されない。
【0111】
また、第一及び第二実施形態の嵩上げ部材8、8Aは、間隔調整部9を有しているが、この構成に限定されない。嵩上げ部材8、8Aは、間隔調整部9の無い構成でもよい。この場合、例えば、嵩上げ部材本体80、80Aは、基部811と、支持部821と、上下方向に延びて基部811と支持部821とを接続する接続部と、を有する構成であってもよい。
【0112】
また、間隔調整部9の具体的な構成は限定されない。即ち、第一部材81、81Aの起立部812、812Aに係合した状態で第二部材82の垂下部822又は第二部材82Aの支持部822Aが上下に相対移動可能であり、且つ、所望の相対位置で垂下部822又は支持部822Aを起立部812、812Aに固定可能な構成であればよい。
【0113】
また、第一及び第二実施形態の嵩上げ部材8、8Aでは、間隔調整部9を構成する第一長穴812aと第二長穴822aとに、二つの固定部材83(ボルト831)が挿通されているが、この構成に限定されない。出入り方向から見て重なっている第一長穴812aと第二長穴822aとに、一つ又は三つ以上の固定部材83が挿通される構成でもよい。また、第一及び第二実施形態の嵩上げ部材8、8Aでは、第一長穴812aと、第二長穴822aと、これら第一長穴812a及び第二長穴822aに挿通される固定部材83との組は、二つであるが、一つ又は三つ以上でもよい。
【0114】
また、第一及び第二実施形態のかごドア装置3では、部材同士が、ボルト871、又はボルト871及びナット872によって連結されているが、リベット等の他の連結部材によって連結されてもよい。
【0115】
上記第一及び第二実施形態の嵩上げ部材8、8Aは、かご室2の天井壁26より上側に配置されたかご枠7の第一梁723や基台部材70A、70Bに取り付けられているが、この構成に限定されない。例えば図10に示すように、嵩上げ部材8、8A、は、上下方向におけるフレーム41とかご室2の天井壁26との間で開閉方向に延びる基台部材70に取り付けられていてもよい。即ち、嵩上げ部材8、8Aは、フレーム41の上方で開閉方向に延び且つ嵩上げ部材8、8Aを支持可能な強度を有する基台部材70に取り付けられていればよい。尚、この基台部材70は、かごドア装置3(詳しくは、フレーム41)に対する位置が固定されていればよく、かご室2に固定されていてもよく、かご枠7に取り付けられていてもよく、かご枠7の一部を構成していてもよい。
【0116】
かかる構成によっても、嵩上げ部材8、8Aの基部811、811Aが基台部材70の上端部に取り付けられた状態で該嵩上げ部材8、8Aの支持部821、822Aがモータ6を支持することで、基部811、811Aと支持部821、822Aとの相対位置に対応する距離だけモータ6が基台部材70に対して高い位置に配置されるため、モータ6をかご室2の天井壁26より上側に配置しても、かご室2におけるフレーム41の配置位置を低くすることができ、これにより、かごドア5の高さ寸法を抑えることができる。
【0117】
また、上記第一及び第二実施形態の嵩上げ部材8、8Aでは、嵩上げ部材本体80、80Aが、かご枠7の第一梁723又はかご室2の天井壁26上に配置された基台部材70A、70Bに取り付けられている(連結されている)が、この構成に限定されない。嵩上げ部材本体80、80Aが、上下方向に延びる少なくとも一つの延長部材85を介して第一梁723又は基台部材70A、70Bに取り付けられていてもよい(図10参照)。即ち、嵩上げ部材8、8Aは、基台部材70と嵩上げ部材本体80、80Aとの間に配置可能な少なくとも一つの延長部材85を備えていてもよい。
【0118】
この延長部材85は、図10及び図11に示すように、基台部材70と連結可能な第一連結部851と、第一連結部851から上方に延びる延設部852と、延設部852の先端部に配置され且つ嵩上げ部材本体80の基部811と連結可能な第二連結部853と、を有する。嵩上げ部材8は、複数(図10及び図11に示す例では二つ)の延長部材85を備え、複数の延長部材85は、開閉方向に間隔をあけて配置されている。図10及び図11に示す例では、各延長部材85の上下方向の寸法は、第一部材81の上下方向の寸法と同じである。
【0119】
第一連結部851は、開閉方向及び出入り方向に広がる板状の部位である。図10及び図11に示す例では、第一連結部851は、矩形板状であり、上下方向に貫通する少なくとも一つの穴851aを有する。この少なくとも一つの穴851aは、出入り方向に延びる長穴である。
【0120】
延設部852は、上下方向から見て、起立部812及び垂下部822と交差する方向に広がる板状(平板状)である。具体的に、延設部852は、出入り方向及び上下方向に広がる板状である。即ち、延設部852は、上下方向から見て、起立部812及び垂下部822と直交する方向に広がる板状である。この延設部852は、第一連結部851の開閉方向の端部から上方に延びている。図10及び図11に示す例では、延設部852は、上下方向に長尺な矩形状であり、開閉方向における第一連結部851の内側(もう一方の延長部材85側)の端部から上方に延びている。この延設部852の出入り方向の寸法は、第一連結部851の出入り方向の寸法と同じである。
【0121】
第二連結部853は、開閉方向及び出入り方向に広がる板状の部位である。図10及び図11に示す例では、第二連結部853は、延設部852の上端部から外側(もう一方の延長部材85と反対側)に延びる矩形板状であり、上下方向に貫通する少なくとも一つの穴853aを有する。この少なくとも一つの穴853aは、出入り方向に延びる長穴である。第二連結部853の出入り方向の寸法は、延設部852の出入り方向の寸法と同じである。この第二連結部853は、第一部材81の基部811と重ねられた状態で、穴853aと、対応する基部811の穴811aとに挿通された連結部材87(ボルト871及びナット872)によって、該基部811に連結(固定)されている。
【0122】
また、図10及び図11に示す例では、第一部材81の起立部812及び第二部材82の垂下部822の広がる方向と、延長部材85の延設部852の広がる方向とが、上下方向から見て直交しているが、この構成に限定されない。強度の観点からは、起立部812(又は812A)及び垂下部822(又は支持部822A)の広がる方向と、延長部材85の延設部852の広がる方向とが、上下方向から見て交差していればよい。また、嵩上げ部材本体80(又は80A)及び延長部材85において十分な強度がそれぞれ確保されている等の場合には、起立部812(又は812A)及び垂下部822(又は支持部822A)の広がる方向と、延設部852の広がる方向とは、上下方向から見て平行であってもよい。
【0123】
また、上記第二実施形態のような支持部822Aにモータ6が直接取り付けられる構成の嵩上げ部材8Aにおいて、第一部材81Aにおける起立部812Aの凹部8120の具体的な形状は限定されない。第二実施形態の第一部材81Aの凹部8120は、上端812tから下方に向けて矩形に凹んでいるが、円弧形状等の他の形状に凹んでいてもよい。また、起立部812Aが二つに分割される、即ち、基部811Aにおける出入り方向の前方側の端部において開閉方向に間隔をあけた位置から上方に向けてそれぞれ延びる二つの部位によって構成されることで、凹部8120が起立部812Aの一方の部位と他方の部位との間に形成されていてもよい。
【0124】
また、上記第一及び第二実施形態の嵩上げ部材8、8Aでは、第一部材81、81Aの起立部812、812Aと、第二部材82、82Aの垂下部822又は支持部822Aと、がそれぞれ上下方向及び開閉方向に広がる面に沿った平板状であるが、この構成に限定されない。例えば、図12に示すように、起立部812、812Aと垂下部822又は支持部822Aとがそれぞれ湾曲等していてもよい。即ち、起立部812、812Aと垂下部822又は支持部822Aとは、互いに接した状態で上下方向に相対移動(摺動)可能な対向面812s、822sをそれぞれ有していればよい。
【0125】
上記第一実施形態の嵩上げ部材8では、嵩上げ部材本体80が、ブラケット86との間に基台部材70を挟み込んだ状態で該基台部材70に取り付けられているが、この構成に限定されない。基台部材70の強度が十分な場合には、嵩上げ部材本体80は、上記第二実施形態の嵩上げ部材8Aと同様に、ブラケット86を用いることなく基台部材70にボルト等の連結部材87によって取り付けられてもよい。また、上記第二実施形態の嵩上げ部材8Aでは、嵩上げ部材本体80Aが、基台部材70に連結部材87(ボルト871及びナット872)によって取り付けられているが、この構成に限定されない。嵩上げ部材本体80Aは、上記第一実施形態の嵩上げ部材8と同様に、ブラケット86との間に基台部材70を挟み込んだ状態で該基台部材70に取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1…かご、2…かご室、21…出入口、22…前壁、24…側壁、25…底壁、26…天井壁、3…ドア装置、4…フレーム部、41…フレーム、411…フレーム本体、411t…上端、412…フランジ部、42…レール、43a、43b…プーリ、431…回転軸、44…第一の無端ベルト(ベルト)、5…かごドア、51…ドアパネル、52…ドアハンガー、53…中間部材、6…モータ、61…モータ本体、62…出力軸、63…プーリ、65…第二の無端ベルト(ベルト)、7…かご枠、70…基台部材、70A…第一基台部材(基台部材)、70B…第二基台部材(基台部材)、70C…載置板、701C…穴、71…下枠、711…矩形枠部、712…プランク、72…上枠、721…クロスヘッド、722…サポートチャンネル、723…第一梁(梁、基台部材)、7231…梁本体、7231a…穴、7231t…上端、7232…上フランジ部、7232a…穴、7233…下フランジ部、724…第二梁、725…第三梁、73…縦枠、74…ブレス、75…フロントアングル、8、8A…嵩上げ部材、80、80A…嵩上げ部材本体、81、81A…第一部材、811、811A…基部、811a…穴、812、812A…起立部、812a…第一長穴、812s…対向面、812t…上端、8120…凹部、8120b…底縁、8120s…側縁、813…鍔部、813a…穴、82、82A…第二部材、821、821A…支持部、821a…穴、822…垂下部、822A…支持部、822a…第二長穴、8221a、8221b…穴、823…延設部、823a…穴、824…補強部、83…固定部材、831…ボルト、832…ナット、84…モータ連結部材、841…支持部連結部、841a…穴、842…モータ連結部、842a、842b…穴、843…補強部、85…延長部材、851…第一連結部、851a…穴、852…延設部、853…第二連結部、853a…穴、86…ブラケット、860…アングル部、861…第一部位、861a…穴、862…第二部位、862a…穴、865…リブ、87…連結部材、871…ボルト、872…ナット、88…押上げ部材、89…締付部材、9…間隔調整部、10…昇降路、100…ドア装置、101…ドアパネル、102…ドアハンガー、103…レール、104…無端ベルト、105a…プーリ、106…フレーム、107…無端ベルト、108…モータ、108a…出力軸、109a…出入口、S…かご室空間
【要約】
【課題】かごドアの高さ寸法を抑えることが可能な嵩上げ部材、及び該嵩上げ部材を備えるエレベータのかごを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、かごドアを開閉方向に案内するレールとかごドアの開閉駆動に用いられるプーリとを有するフレームが出入口の上方に配置されたかご室のフレームの上方で開閉方向に延びる基台部材の上端部に取り付け可能な嵩上げ部材本体を備え、嵩上げ部材本体は、基台部材に連結可能な基部と、ベルトを介してプーリを駆動させるモータを基部に対して上方に間隔をあけた位置で支持可能な支持部と、を有する、
ことを特徴とする。
【選択図】図2
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