(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】先端工具
(51)【国際特許分類】
B25B 21/00 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
B25B21/00 Q
(21)【出願番号】P 2018195576
(22)【出願日】2018-10-17
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 鉄夫
(72)【発明者】
【氏名】今井 大介
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-144506(JP,A)
【文献】特開2006-175523(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0049762(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転工具に装着される先端工具であって、
筒状のソケットと、
上記ソケットに結合され、上記回転工具の装着孔に挿入される挿入部を有する軸体とを備え、
上記回転工具の装着孔には、上記挿入部が該装着孔から抜けるのを抑制するためのストッパが設けられ、
上記挿入部は、上記ストッパと係合する係合部を有し、
上記挿入部において、上記係合部よりも上記ソケット側の部分を先端側部とし、上記係合部よりも上記反ソケット側の部分を基端側部として、
上記先端側部の横断面形状は、上記装着孔の横断面形状と相似しかつ上記装着孔の内周面と接する形状であり、
上記基端側部の横断面積は、上記先端側部の横断面積よりも小さいことを特徴とする先端工具。
【請求項2】
請求項1に記載の先端工具において、
上記基端側部の横断面形状は、円形であることを特徴とする先端工具。
【請求項3】
請求項1に記載の先端工具において、
上記先端側部の横断面形状は、多角形状であり、
上記基端側部の横断面形状は、上記先端側部よりも角数の多い多角形状であることを特徴とする先端工具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の先端工具において、
上記軸体は、上記ソケットと重複する重複部を有し、
上記重複部には、上記挿入部の上記係合部よりも細い脆弱部が設けられていることを特徴とする先端工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転工具に装着される先端工具に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回転工具に装着される先端工具が知られている。
【0003】
特許文献1には、回転工具に連結できる接続軸部(軸体)と、ナット等に嵌合可能な受入口を有するソケット部と、ソケット部の基端側と接続軸部とを連結する連結部材を有し、連結部材が金属製の筒体で構成され、連結部材の内部で接続軸部の外周に落下防止用のストッパリングを設けた先端工具が開示されている。
【0004】
特許文献1の接続軸部には、回転工具の装着孔部に挿入した際にワンタッチで連結固定されるためのストッパ用鋼球が適合するための環状凹部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の先端工具では、軸体における、環状凹部よりもソケット側の部分(以下、先端側部という)と、環状凹部よりも反ソケット側の部分(以下、基端側部という)の両方が装着孔に挿入される。
【0007】
本願発明者らが鋭意検討したところ、先端側部の横断面積と基端側部の横断面積とが同じである場合、基端側部の方が、先端側部よりも、装着孔との接触面積が大きくなることが分かった。基端側部の方が、先端側部よりも、装着孔との接触面積が大きい場合、回転工具からの回転力は、主に基端側部に入力される。装着孔の内周面と基端側部との間には僅かに隙間があるため、回転工具により軸体が回転するときには、僅かにブレが生じる。この基端側部に発生したブレは、基端側部から離れるほど大きくなる。この結果、装着孔の先端部分が広げられて、装着孔に口開きが発生する。
【0008】
装着孔に口開きが発生すると、先端側部には、回転工具からの回転力がかかりにくくなる。このため、装着孔に口開きが発生した状態では、ナット等を締結させる際、先端側部には、ナット等から、ソケット部を介して、上記回転力とは逆方向の反力がかかりやすくなる。一方で、装着孔の基端部分は経年劣化による変形が小さいため、基端側部には、回転工具から上記回転力がかかる。この結果、軸体における環状凹部の部分にねじれ応力が生じて、該環状凹部の部分で軸体が破断するおそれがある。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軸体における回転工具の装着孔に挿入される部分が、締結作業時に破断することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、回転工具に装着される先端工具を対象として、筒状のソケットと、上記ソケットに結合され、上記回転工具の装着孔に挿入される挿入部を有する軸体とを備え、上記回転工具の装着孔には、上記挿入部が該装着孔から抜けるのを抑制するためのストッパが設けられ、上記挿入部は、上記ストッパと係合する係合部を有し、上記挿入部において、上記係合部よりも上記ソケット側の部分を先端側部とし、上記係合部よりも上記反ソケット側の部分を基端側部として、上記先端側部の横断面形状は、上記装着孔の横断面形状と相似しかつ上記装着孔の内周面と接する形状であり、上記基端側部の横断面積は、上記先端側部の横断面積よりも小さい、という構成とした。
【0011】
この構成によると、先端側部の横断面形状は、装着孔の横断面形状と相似しかつ装着孔の内周面と接する形状であるため、先端側部には回転工具の回転力が適切に入力される。また、基端側部の横断面積は、先端側部の横断面積よりも小さい。これにより、基端側部は、先端側部と比較して、装着孔の内周面と接触しにくくなる。このため、基端側部には、回転工具から回転力がかかりにくく、回転工具の回転力は主に先端側部に伝達されるようになる。この結果、装着孔の口開きが発生したとしても、係合部にかかるねじれ応力が小さくなる。これらのことから、締結作業時における、挿入部の破断を抑制することができる。
【0012】
上記先端工具の一実施形態では、上記基端側部の横断面形状は、円形である。
【0013】
この構成によると、基端側部が装着孔の内周面と接触する場合は、基端側部は、装着孔の内周面と点接触又は線接触にする。このため、基端側部と装着孔の内周面との接触面積を、出来る限り小さくすることができる。これにより、締結作業時における、挿入部の破断をより効果的に抑制することができる。
【0014】
上記先端工具の他の実施形態では、上記先端側部の横断面形状は、多角形状であり、上記基端側部の横断面形状は、上記先端側部よりも角数の多い多角形状である。
【0015】
この構成によると、基端側部が装着孔の内周面と接触したとしても、接触面積を出来る限り小さくすることができる。これにより、締結作業時における、挿入部の破断をより効果的に抑制することができる。
【0016】
上記先端工具において、上記軸体は、上記ソケットと重複する重複部を有し、上記重複部には、上記挿入部の上記係合部よりも細い脆弱部が設けられている、という構成であってもよい。
【0017】
この構成によると、係合部の位置で挿入部が破断する前に、脆弱部を破断させることで、係合部にねじれ応力がかかるのを抑制することができる。これにより、挿入部の破断を一層効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る先端工具によると、基端側部は、装着孔の内周面と接触しにくくなり、基端側部には、回転工具から回転力がかかりにくくなる。これにより、回転工具の回転力が主に先端側部に伝達されるため、締結作業時における、挿入部の破断を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る先端工具を示す断面図であって、回転工具の装着部に装着された状態を示す。
【
図3】
図1のIII-III線相当の断面図である。
【
図4】実施形態1の変形例に係る先端工具を示す断面図である。
【
図5】実施形態2に係る先端工具を示す断面図である。
【
図7】実施形態3に係る先端工具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
(実施形態1)
図1は、本実施形態1に係る先端工具1を示す。この先端工具1は回転工具100に装着される工具である。回転工具100は手動式及び電動式のものを含み、例えば、ラチェットハンドルやインパクトレンチ等である。
【0022】
先端工具1は、筒状のソケット2と、ソケット2に圧入により結合される長尺状の軸体4とを備えている。
図1に示すように、軸体4は、ソケット2の軸心方向の一端から、該軸心方向の一側に向かって延びている。本実施形態1では、ソケット2は、ボルト又はナットに作用する部分であり、軸体4は、回転工具100に装着される部分である。以下の説明では、上記軸心方向の上記一側を基端側といい、上記軸心方向の他側を先端側という。
【0023】
ソケット2は、
図1に示すように、略円筒状に形成されている。詳しくは、ソケット2は、相対的に外径の大きい第1円筒部21と、第1円筒部21の軸心方向の基端部から、該軸心方向の上記基端側に向かって縮径しながら延びる縮径部22と、縮径部22の軸心方向の基端部から、上記基端側に向かって延びる第2円筒部23とを有している。第1円筒部21、縮径部22及び第2円筒部23は同軸になっている。ソケット2は、金属で構成されている。
【0024】
ソケット2の筒内には、軸体4が圧入される被圧入部31と、回転工具100により回転される部品(ボルトやナット)と嵌合して該部品に作用する作用部24とが形成されている。作用部24は、ボルトやナットと合致する形状をなしており、例えば、断面六角形をなしている。
【0025】
ソケット2の筒内において、被圧入部31に対して作用部24とは反対側には、被圧入部31よりも小径なガイド部32が設けられている。このガイド部32は、軸体4がソケット2に作用部24側から挿し込まれる際に、軸体4をソケット2の軸心方向に沿って案内するための部分である。
【0026】
被圧入部31の直径は、軸体4の後述する結合部42の対角間距離よりも短くかつ対面間距離よりも長い。また、被圧入部31の直径は、軸体4の軸部41の対角間距離よりも大きい。ガイド部32の直径は、軸体4の軸部41の対角間距離よりも僅かに大きい。
【0027】
軸体4は、ソケット2よりも剛性の高い金属で構成されている。軸体4は、軸部41と、軸部41の一端部に形成されかつソケット2と結合される結合部42と、軸部41の他端部に形成され、回転工具100の装着孔101に挿入される挿入部50とを有している。結合部42は、断面六角形状をなしている。結合部42の横断面積は、軸部41の横断面積よりも大きい。
【0028】
軸部41において、結合部42よりの上記軸心方向の上記基端側の一部は、ソケット2と径方向に重複した重複部43となっている。
【0029】
図1に示すように、重複部43は、軸体4の他の部分よりも細い脆弱部46と、該脆弱部46よりも上記軸心方向の上記基端側に形成された段差部47とを有する。段差部47の直径は、被圧入部31の直径よりも小さくかつガイド部32の直径よりも大きい。脆弱部46が、軸体4の他の部分よりも脆弱になっていることにより、先端工具1を用いてナット等の締結作業を行う際に、軸体4が破断する場合には、脆弱部46の位置で破断しやすい。
【0030】
軸体4の挿入部50は、回転工具100の装着孔101内に設けられたストッパ102と係合する係合部51を有する。係合部51は、環状に削られた係合溝51aを有する。係合部51は、挿入部50における他の部分よりも細くなっている。係合部51は、脆弱部よりも太くなっている。
【0031】
回転工具100のストッパ102は、挿入部50が装着孔101から抜けるのを抑制するための装置である。ストッパ102は、スチールボールと、該スチールボールを装着孔101の中心軸に向かって付勢するコイルバネとを有する。挿入部50を装着孔101に挿入した状態では、上記スチールボールが、上記コイルバネの付勢力によって、装着孔101の中心軸に向かって移動して、係合部51の係合溝51aと係合する。これにより、挿入部50が装着孔101から抜けることが抑制される。
【0032】
本実施形態1では、挿入部50は、係合部51よりもソケット2側(上記軸心方向の上記先端側)の部分(以下、先端側部52という)と、係合部51よりもソケット2とは反対側(上記軸心方向の上記基端側)の部分(以下、基端側部53)とで形状が異なる。
【0033】
図2に示すように、先端側部52は、装着孔101の横断面形状と相似しかつ装着孔101の内周面と接する横断面形状を有している。詳しくは、装着孔101は、断面六角形状をなしており、先端側部52も、断面六角形状をなしている。つまり、先端側部52は六角柱状である。先端側部52の横断面積は、装着孔101の横断面積よりも僅かに小さい。これにより、挿入部50を装着孔101に挿入した状態では、先端側部52の表面は装着孔101の内周面と面接触しやすい。この結果、回転工具100が駆動したときには、回転工具100の回転力が先端側部52に適切にかかる。
【0034】
図3に示すように、基端側部53の横断面形状は、円形をなしている。つまり、基端側部53は円柱状である。基端側部53の横断面形状の直径は、装着孔101の対面間距離よりも短い。
図2及び
図3に示すように、基端側部53の横断面積は、係合部51の横断面積の最小値よりも大きくかつ先端側部52の横断面積よりも小さい。これにより、挿入部50を装着孔101に挿入した状態では、基端側部53の表面が装着孔101の内周面と接触するときには、基端側部53の表面は、装着孔101の内周面と、点接触又は線接触する。このため、回転工具100の駆動時において、基端側部53には、回転工具100から回転力が入力されにくくなる。尚、基端側部53の横断面形状の直径は、横断面積が係合部51の横断面積の最小値よりも大きくかつ先端側部52の横断面積よりも小さければ、特に限定されない。
【0035】
本実施形態1では、先端工具1は、軸部41がガイド部32を挿通するように、ソケット2の作用部24側から該ソケット2内に軸体4を差し込んで、結合部42を被圧入部21に圧入固定することで構成されている。
【0036】
ここで、本願発明者らが鋭意検討したところ、仮に、先端側部52の横断面積と基端側部53の横断面積とが同じである場合、基端側部53の方が、先端側部52よりも、装着孔101との接触面積が大きくなることが分かった。基端側部53の方が、先端側部52よりも、装着孔101との接触面積が大きい場合、回転工具100からの回転力は、主に基端側部53に入力される。挿入部50の挿入をスムーズにするために、通常、装着孔100の内周面と基端側部53との間には僅かに隙間がある。このため、回転工具100により軸体4が回転するときには、僅かにブレが生じる。この基端側部53に発生したブレは、基端側部53から離れるほど大きくなる。この結果、装着孔101の先端部分が広げられて、装着孔に口開きが発生する。
【0037】
回転工具100の装着孔101の先端部分に口開きが発生すると、先端側部52には、回転工具100からの回転力がかかりにくくなる。このため、装着孔101に口開きが発生した状態では、ナット等を締結させる際、先端側部52には、ナット等から、ソケット2を介して、上記回転力とは逆方向の反力がかかりやすくなる。一方で、装着孔101の基端部分は経年劣化による変形が小さいため、基端側部53には、回転工具100から上記回転力がかかる。この結果、軸体4における係合部51にねじれ応力が生じて、係合部51で軸体4が破断するおそれがある。
【0038】
これに対して、本実施形態1では、先端側部52の横断面形状は、装着孔101の横断面形状と相似する一方で、基端側部53の横断面積は、先端側部52の横断面積よりも小さい。これにより、基端側部53は、先端側部52と比較して、装着孔101の内周面と接触しにくくなる。このため、基端側部53には、回転工具100から回転力がかかりにくい。これにより、回転工具100の回転力は主に先端側部53に伝達されるようになる。この結果、装着孔101の口開きが発生したとしても、係合部51にかかるねじれ応力が小さくなる。これらのことから、締結作業時における、挿入部50の破断を抑制することができる。
【0039】
特に、本実施形態1では、基端側部52の横断面形状は円形である。これにより、基端側部53が装着孔101の内周面と接触したとしても、基端側部53は、装着孔101の内周面と、点接触又は線接触する。このため、基端側部52と装着孔101の内周面との接触面積を、出来る限り小さくすることができる。これにより、基端側部53には、回転工具100から回転力がよりかかりにくくなる。この結果、締結作業時における、挿入部50の破断をより効果的に抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態1では、軸体4の重複部43に脆弱部46が設けられている。これにより、挿入部50が破断する前に、脆弱部46で軸体4を破断させて、係合部51にねじれ応力が発生するのを抑制することで、挿入部50の破断を一層効果的に抑制することができる。
【0041】
さらに、軸体4が脆弱部46で破断したときには、軸体4がソケット2から抜けようとするが、段差部47がガイド部32に引っ掛かることで、軸体4はソケット2からは抜けない。これにより、軸体4が破断したときにソケット2が落下してしまうことを防止することができる。
【0042】
図4は本実施形態1の変形例を示す。この変形例において、軸体104は、脆弱部46及び段差部47を有していない。この構成であっても、先端側部52の横断面形状は、装着孔101の横断面形状と相似し、基端側部53の横断面積は、先端側部52の横断面積よりも小さいため、締結作業時における、挿入部50の破断を抑制することができる。
【0043】
(実施形態2)
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0044】
本実施形態2では、軸体204において、基端側部253の横断面形状が、上記実施形態1とは異なる。詳しくは、
図5及び
図6に示すように、基端側部253の横断面形状は、先端側部52よりも角数の多い多角形状をなしている。より具体的には、基端側部253の横断面形状は、十二角形をなしている。つまり、本実施形態2において、基端側部253は十二角柱状である。また、本実施形態2では、軸体204は、上記実施形態1の変形例と同様に、脆弱部46及び段差部47を有していない。尚、基端側部253の横断面形状は、正十二角形である必要はなく、相隣接する角部の内角の大きさが異なっていてもよい。
【0045】
本実施形態2の構成でも、接触面積を出来る限り小さくすることができる。よって、本実施形態2の構成であっても、締結作業時における、挿入部250の破断を抑制することができる。
【0046】
(実施形態3)
以下、実施形態3について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において実施形態1及び2と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0047】
本実施形態3では、軸体304において、係合部351の構成が、上記実施形態1及び2とは異なる。基端側部53は、上記実施形態1と同じ構成である。また、本実施形態3では、軸体304は、上記実施形態1の変形例と同様に、脆弱部46および段差部47を有していない。
【0048】
本実施形態3では、
図7に示すように、係合部351は、球面状の6つの係合凹部351aを有する。6つの係合凹部351aは、六角形の辺の部分にそれぞれ形成されている。挿入部350が装着孔101に挿入されたときには、ストッパ102のスチールボール102bが、係合凹部351aに係合する。
【0049】
本実施形態3では、係合溝を設ける場合と比較して、係合部351の横断面積の最小値を出来る限り大きくすることができる。このため、係合溝を設ける場合と比較して、係合部351の剛性を高くすることができる。これにより、挿入部350の破断をさらに効果的に抑制することができる。
【0050】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0051】
例えば、上述の実施形態1~3では、軸体4,204,304は、ソケット2の作用部24側から挿入されて、被圧入部31に結合部42が圧入されていた。これに限らず、軸体に脆弱部及び段差部を設けない構成であれば、軸体4,204,304の結合部42は、ソケット2における作用部24とは反対側(上記軸心方向の上記基端側)から被圧入部31に圧入されてもよい。この場合には、ソケット2にガイド部32を設ける必要はなく、被圧入部31が、ソケット2の上記軸心方向の基端まで延びていてもよい。
【0052】
また、実施形態2の係合部51を、上記実施形態3の係合部351のような形状にしてもよい。
【0053】
さらに、実施形態2の軸体204に対して、上記実施形態1のような脆弱部46及び段差部47を設けてもよい。この場合には、上述したように、軸体204は、ソケット2の作用部24側から挿入されて、被圧入部31に結合部42が圧入される。
【0054】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、回転工具に装着される先端工具として有用である。
【符号の説明】
【0056】
1 先端工具
2 ソケット
4,204,304 軸体
50,250,350 挿入部
51,351 係合部
52 先端側部
53,253 基端側部
100 回転工具
101 装着孔
102 ストッパ