(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-17
(45)【発行日】2022-08-25
(54)【発明の名称】端末保持具、およびカート
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20220818BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20220818BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20220818BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
G06F1/16 313C
G07G1/00 311D
G07G1/00 301D
G07G1/01 301D
G07G1/00 331Z
B62B5/00 Z
B62B5/00 L
(21)【出願番号】P 2019022950
(22)【出願日】2019-02-12
【審査請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2018167718
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088856
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】秋月 香穂
(72)【発明者】
【氏名】本多 洋輝
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-109687(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0102073(US,A1)
【文献】特開平11-348677(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0039442(US,A1)
【文献】EXEA|自動車用品の製造・販売[online],2018年8月21日アーカイブ[2022年5月30日検索],URL:https://web.archive.org/web/20180821042605/http://www.seikosangyo.go.jp/exea/subpage5.php?no=55
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/00
G06F 1/16-1/18
B62B 1/00-5/08
G07G 1/00-5/00
H04M 1/02-1/23
H05K 5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を保持する保持部と、
前記携帯端末を背面側から受ける背面受け部と、前記携帯端末の一側面を受ける第一の側面当接部と、の間に設けられ、前記携帯端末の正面を露出させるように見開くカバーが差し入れられる間隙と、
前記第一の側面当接部と対向し、かつ前記第一の側面当接部よりも高い位置へ延び出る案内部が上端に連結した第二の側面当接部と、を備える、
携帯端末保持具。
【請求項2】
前記背面受け部は、前記第一の側面当接部よりも高さを有すると共に、前記携帯端末の背面に設けられた読取部の撮像範囲に前記携帯端末保持具が入らない位置に設けられている、
請求項
1記載の携帯端末保持具。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の携帯端末保持具が、前記携帯端末保持具に保持された前記携帯端末の背面に設けられた読取部がカゴに向けられるように取り付けられた、
カート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末保持具および端末保持具を有するカートに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等、商品が陳列されている店舗において、顧客がタブレット等の携帯端末を利用しながら店内を買い回る場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顧客が店内を買い回る場合、ショッピングカートを押しながら移動することがある。そこで、携帯端末を保持可能なショッピングカートがあるとよい。また、顧客が使用する携帯端末の形状は、メーカーにより様々であるので、異なる形状の携帯端末であっても、スムースに保持できる携帯端末保持具が必要とされている。
【0005】
さらに、顧客が自身の携帯端末を使用して、購入する商品の登録を行い、当該登録に基づいて決済を行うレジシステムにおいては、携帯端末が有する読取部を使用して商品の登録を行う。そこで、携帯端末が保持されている状態においても、商品の読取が可能な状態で保持される携帯端末保持具が必要とされている。
【0006】
特許文献1には、製品搬送装置に接続されたショッピングカート用タブレットと移動端末が開示されている。しかしながら、顧客が有する様々な形状の携帯端末を保持することはできない。
【0007】
そこで本発明は、異なる形状の携帯端末であってもスムースに保持でき、かつ、商品の読取が可能な状態で保持される携帯端末保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る携帯端末保持具は、携帯端末を保持する保持部と、前記携帯端末に給電するバッテリーを収納する収納部と、を備える。
【0009】
所定の鍵で施開錠することにより、前記収納部に収納されたバッテリーの取り外しを規制する規制部、をさらに備えるものとしてもよい。
【0010】
前記バッテリーの表面には、情報表示部が設けられており、前記バッテリーを収納した前記収納部には、前記情報表示部を露出させる窓部が設けられているものとしてもよい。
【0011】
前記保持部は、前記携帯端末を背面側から保持する保持面、を備え、前記保持面には、前記携帯端末の背面を露出させる領域が設けられているものとしてもよい。
【0012】
前記保持面には、保持される前記携帯端末の滑りを抑制する滑り抑制部材が取り付けられているものとしてもよい。
【0013】
前記領域は、前記携帯端末を保持した際に、前記携帯端末の背面に設けられた読取部の撮像範囲に前記携帯端末保持具が入らない位置に設けられているものとしてもよい。
【0014】
取付対象物に取り付けるための外部取付部、をさらに備えるものとしてもよい。
【0015】
前記保持部と前記収納部とを連結する連結部、をさらに備え、前記保持部は、前記連結部の長さ方向に対して斜めに設けられているものとしてもよい。
【0016】
本発明の別の観点に係るカートは、前記携帯端末保持具、が取り付けられたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、異なる形状の携帯端末であってもスムースに保持でき、かつ、商品の読取が可能な状態で保持される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る携帯端末保持具を正面側から見下ろした斜視図である。
【
図2】前記携帯端末保持具の正面側から見あげた斜視図である。
【
図3】前記携帯端末保持具の底面側から見た斜視図である。なお、前記携帯端末保持具の背面に設けられる収納部は省略されている。
【
図4】前記携帯端末保持具の右側背面側から見た斜視図である。
【
図5】前記携帯端末保持具が、携帯端末を保持している様子を示す正面斜視図である。
【
図6】前記携帯端末保持具が前記携帯端末を保持している状態の、上方側から見た斜視図である。
【
図7】前記携帯端末保持具の本体と外部取付部とが揺動するための機構の様子を示す右側斜視図である。
【
図8】カートのグリップに、前記携帯端末保持具が取り付けられている様子を示す、右前方側から見た斜視図である。なお、外部取付部のカバーは省略されている。
【
図9】2種類の形状のカートに、それぞれ前記携帯端末保持具が取り付けられている様子を示す、進行方向向い側から見た斜視図である。
【
図10】前記カートに保留カゴが配置されている様子を示す、進行方向側から見た斜視図である。
【
図11】本発明の別の実施形態に係る携帯端末保持具を正面側から見た斜視図である。
【
図12】前記携帯端末保持具の背面側から見た斜視図である。
【
図13】前記携帯端末保持具を正面側から見た図である。
【
図14】前記携帯端末保持具を背面側から見た図である。
【
図15】前記携帯端末保持具を底面側から見た図である。
【
図16】前記携帯端末保持具を側面側から見た図である。
【
図17】前記携帯端末保持具に補助部品を収納させた状態を示す斜視図である。
【
図18】カートのグリップに、前記携帯端末保持具が取り付けられている様子を示す斜視図である。
【
図19】カートのグリップに、前記携帯端末保持具が取り付けられている様子を示す斜視図であって、
図18におけるA部分を示す部分拡大図である。
【
図20】前記携帯端末保持具の変形例を示す正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る携帯端末保持具について、図を参照して説明する。
【0020】
●携帯端末保持具●
図1および
図2に示すように、携帯端末保持具1は、本体20と、可動保持部30と、を備える。携帯端末保持具1は、本体20および可動保持部30により、
図5に示す携帯端末200を保持する部材である。
【0021】
●本願発明に係る携帯端末の使用が想定されるシステムの概要
携帯端末200は、例えば平板状の部材であり、現在普及している一般的なスマートホンやタブレット等を想定している。携帯端末200の背面上部には、商品の読取部、例えばカメラが配置されている。携帯端末200の正面には表示部が設けられていて、読み取られた商品の名称や価格等の情報や、合計金額等が表示可能である。顧客は、購入する商品を携帯端末200で読み取った後に、買い物カゴに投入する。顧客又は店側が所定の処理を行うと、読み取った商品の決済を行うことができる。このようなシステムにおいては、従来型のスーパーマーケットにおけるレジの登録業務を省略し、レジの混雑緩和を実現することができる。
【0022】
●携帯端末保持具1の本体
図1、
図2に示すように、携帯端末保持具の本体20は、端末の背面を受け止める平板状の背面受け部71を有し、背面受け部71の前面は携帯端末の背面が当接する背面当接面21aになっている。本体20は、背面受け部71の下端縁部が前方に突出して、携帯端末の底面を受ける底面当接部22を有している。底面当接部22の
図1において左端からは、携帯端末の左側面を受ける左側面当接部23が、背面受け部71の左側面と平行に、かつ、この左側面との間に間隙24をおいて上方に立ち上がっている。
【0023】
底面当接部22および左側面当接部23は背面受け部71の前面から前方に突出することにより、それぞれ携帯端末の底面との当接面、携帯端末の左側面との当接面を構成している。また、底面当接部22の前端面の上縁部と左側面当接部23の前端面の右側縁部は背面当接面21aと対向するようにそれぞれ突出してリブ22b,23bが形成されている。これらのリブ22b,23bは、本体20で携帯端末を保持したとき、携帯端末の下端縁部および左端縁部の前面に対向して携帯端末の脱落を防止する。
【0024】
底面当接部22は、底面当接面22aにおいて貫通する開口25を有する。携帯端末保持具1が携帯端末200を保持している状態において、開口25に、後述する収納部80から延び出るケーブル27b、27cを挿通し、携帯端末200の底面の端子にケーブル27b、27cを接続することができる。このため、例えば携帯端末保持具1に携帯端末200を保持させた状態で、携帯端末200を充電することが可能である。カートに携帯端末200を固定して買い回りを行う使用シーンでは、携帯端末200を常時起動させておく必要があるため、本構成によれば携帯端末の充電量を損なうことなく安定して使用することができる。また、ケーブル27b、27cにより別の装置に接続して情報の授受を行うことも可能である。
【0025】
背面受け部71の右側面側からは、背面受け部71の上寄りの位置においてほぼ台形状に切り欠かれてなる凹部21bが形成されている。凹部21bの形状は、後で詳細に説明する可動保持部30の形状に対応させた形状である。具体的には、背面受け部71の上端から内方に向かう傾斜面と、これに続く背面受け部71の側面と平行な垂直面と、この垂直面の下端に続く水平面とで凹部21bが形成されている。
【0026】
背面受け部71の上記凹部21bの下側は、背面当接面21aに連続した平面を有するとともに凹部21bから右側に突出した平坦部21cとなっている。また、平坦部21cの下端部は下方に向かう突出部21dとなっていて、突出部21dは底面当接部22の右側面につながっている。
【0027】
本体20は、可動保持部30を上記凹部21bから背面当接面21aと平行にかつ水平方向に摺動可能に保持している。可動保持部30を摺動可能に保持する背面受け部71の形状および構造は以下の通りである。
【0028】
図3に示すように、携帯端末の背面側を受ける背面受け部71の背面側には、可動保持部30の四角形の板状の摺動部31を受け入れる窪み21eが設けられている。この窪み21eの深さおよび上下方向の寸法は、可動保持部30の摺動部31(
図1参照)の厚さに対応した深さおよび上下方向の寸法である。背面受け部71の背面側には、窪み21eの大半を覆う平板22fがねじ止めされていて、窪み21eと平板22fによって、
図3に示す背面側から見た左端が解放したトンネル状の空間が形成されている。この空間に、
図3において左側の開放端から可動保持部30の摺動部31が挿入されている。可動保持部30は、その摺動部31が上記空間内を水平方向に摺動可能である。
【0029】
可動保持部30は、その摺動部31と背面受け部71との間に架け渡された水平方向の2本の引っ張りコイルバネ4により、可動保持部30が背面受け部71に引き込まれる向きに付勢されている。
【0030】
平板22fには四角形の窓孔22gが形成され、窓孔22gを通して引っ張りコイルバネ4(弾性体の例)を装着できるようになっている。
【0031】
図1および
図4乃至
図6に示すように、背面受け部71の背面側には、携帯端末200の利用および買い物を補助する補助部品201を収納する収納部80が取り付けられている。収納部80は、略直方体状の中空の部材である。収納部80の底面には開口27aがあり、収納部80に収納される補助部品201の一部を、収納部80の外部に露出又は突出することができる。
【0032】
補助部品は、例えば携帯端末200のバッテリーである。バッテリーは、携帯端末200と接続可能なケーブル27b、27cが延び出ていて、開口27aから突出し、開口25を介して携帯端末と接続可能である。なお、携帯端末200が有する充電端子は、いくつかの形状が考えられるため、複数種類のケーブルが延び出ていてもよい。本実施形態では、ケーブルは2本であったが、1本でも3本以上であってもよい。利用者の携帯端末200を充電可能なバッテリーを店側が用意し、あらかじめ携帯端末保持具1に収納しておくことにより、買い回り中に携帯端末200を充電することができる。
【0033】
その他、買い物の補助として、以下の様なものを当該収納部80に収めてもよい。
精算時等に利用するクーポン券、スタンプカードなどのポイントカード、現物商品と交換するためのカード(カートに載せられない大型商品や高価な商品の場合は、店員に商品を用意してもらう必要があるため、その際に利用される売り場に置かれバーコードや値段が印刷されたカード)。特に現物商品と交換するためのカードの場合は、仮にカゴの中に入れた物品に紛れ込んでしまうと、そのカードをそのまま持ち帰ってしまい、現物との交換を忘れる可能性がある。
当該収納部80にこのカードをしまっておくことにより、このような交換忘れを防止することが出来る。
【0034】
収納部80の背面下寄りには、後述する外部取付部5の溝5aと嵌り合い、外部取付部5に対して摺動する嵌合部28が突設されている。嵌合部28の構成については、後述する。
【0035】
●可動保持部
図1、
図2に示すように、可動保持部30は、摺動部31の右端に連続して摺動部31の前面から前方に突出して、携帯端末の右側面に当接することができる右側面当接部32と、右側面当接部32の上端に続く案内部33を有している。右側面当接部32は上下方向に伸び、案内部33は斜め右上方に傾斜している。右側面当接部32と案内部33が連続した形は、背面受け部71の前記凹部21bの形状に対応している。これにより、可動保持部30が前記付勢力によって背面受け部71側に引き込まれたとき、凹部21bに右側面当接部32と案内部33が入り込む。
【0036】
右側面当接部32は前記本体20の左側面当接部23と対向していて、可動保持部30の前記付勢力により、携帯端末の左右両側面を右側面当接部32と左側面当接部23で挟み込むようになっている。右側面当接部32の前面側の一部は、前記背面当接面21aと平行に、かつ、背面当接面21a側に向かって突出した突出部32bが形成されている。
【0037】
突出部32bは、前記底面当接部22と左側面当接部23のリブ22b,23bと同一平面上にあり、これら突出部32b、リブ22b,23bと、前記背面当接面21aとの間には、携帯端末の厚さ以上の間隔が保持されている。突出部32bは、前記リブ22b,23bとともに本体20と可動保持部30で保持される携帯端末の前方に位置して、携帯端末の脱落を防止する。
【0038】
可動保持部30の案内部33は、本体20と可動保持部30で形成される携帯端末保持空間に対し、この携帯端末保持空間を上方に向かい順次開放する形になっている。可動保持部30は、携帯端末を装着しない状態では前記付勢力により上記携帯端末保持空間を携帯端末の幅寸法よりも狭めている。この狭い空間に携帯端末をその下端部から上記保持空間に挿入すると、携帯端末の左側面は本体20側の当接面23aに当接して位置規制される。一方、携帯端末の右側の下端部は案内部33にガイドされながら携帯端末の右側面が案内部33を押し、可動保持部30を付勢力に抗して摺動させる。
【0039】
また、案内部33の始点、すなわち右側面当接部32との連結部分は、左側面当接面23aの上端よりも下側に位置している。この構成によれば、携帯端末200を挿入するとき、案内部33に携帯端末200の右端が当接している際に携帯端末200の左側面が左側面当接面23aに当接する。したがって、左側面当接面23aからの反発力が、携帯端末200を介して伝達され、可動保持部30を右側へ摺動させる方向に働く。利用者は携帯端末200を下向きに移動させる意識を持って携帯端末保持具1に挿入することが予想され、また、携帯端末200の自重に任せて落とすイメージで挿入できるので、直観的かつ小さい力で挿入を実現できる。仮に、案内部33の始点が当接面23aの上端よりも上方にある場合、案内部に対して下へ押し下げる力を付与しても可動保持部を右向きに摺動させる力が発生しづらいため、利用者は意識的に可動保持部を右側へ摺動させる力を発揮する必要があり、煩雑である。
【0040】
図5に示すように、背面受け部71の上下方向の長さは、携帯端末200の長さより短い。言い換えれば、携帯端末200は、携帯端末保持具1に保持されている状態において、背面受け部71の上方に突出し、携帯端末の背面上部は露出されている。商品の読取部は、一般的に携帯端末200の上部に配置されているため、本構成によれば、携帯端末保持具1に保持されている状態であっても、携帯端末により商品を読み取ることができる。
【0041】
左側面当接部23と背面受け部21との間には、間隙24が設けられている。間隙24は、上方が開口されており、携帯端末200に付属する適宜の物品を本体20上方から下方に向かって挟み込むことができる。例えば、携帯端末200の背面および正面を覆うカバーであって、カバーを左開きに見開くことで正面の表示部を露出させることができるものがある。この間隙24によれば、表示部を露出させた状態で上方からカバーを間隙24に差し入れることで、携帯端末200が携帯端末保持具1に保持されている間、表示部を露出させておくことができる。
【0042】
携帯端末200が携帯端末保持具1に挿入され、保持される様子を説明する。携帯端末200の挿入前の状態では、可動保持部30は引っ張りコイルバネ4により左側面当接部23側に付勢されていて、左側面当接面23aと右側面当接面32aとの距離は、一般的な携帯端末200の幅より狭い。携帯端末200が携帯端末保持具1の上方から挿入されるとき、携帯端末200が案内部33に沿って下方に進むに従い、左側面当接面23aからの反発力により可動保持部30が右側へ摺動し、左側面当接面23aと右側面当接面32aとの距離が携帯端末200によって押し広げられる。同時に、摺動部31が背面当接面21aに対して摺動し、引っ張りコイルバネ4が伸長する。携帯端末200が底面当接面22aに到達しているとき、携帯端末200は引っ張りコイルバネ4の復元力により左側面当接面23aに付勢され、左側面当接面23aと右側面当接面32aとにより挟持される。携帯端末200の上端は、携帯端末保持具1には覆われておらず、解放されている。本構成によれば、形状の異なる携帯端末であっても、引っ張りコイルバネ4により付勢されることにより、スムースに保持することができる。
【0043】
案内部33が延び出る方向と、間隙24の開口方向は、共に携帯端末保持具1の上側である。したがって、携帯端末200が案内部33に案内されて上方から携帯端末保持具1に挿入されるとき、同時に携帯端末200の付属部品を間隙24に挿入することができる。
【0044】
●外部取付部
図4および
図7に示すように、携帯端末保持具1の背面、より具体的には収納部80の背面には、取付対象物と連結するための外部取付部5が設けられている。取付対象物は、例えばカートであり、特に小売店におけるショッピングカートである。外部取付部5は、上下方向に長い角丸の略直方体であり、本体20との対向面と上面とは連続した曲面となっている。
【0045】
図7に示すように、外部取付部5の本体20との対向面には、上下方向に設けられた細長い溝5aが配置されている。溝5aは、外部取付部5の上面にまで連続して設けられている。嵌合部28は、溝5aに嵌合されていて、携帯端末200の背面が載置面に対して略垂直、すなわち起立した状態を保持しながら、溝5aに沿って上下方向に摺動することができる。すなわち、利用者の身長、言い換えれば利用者の視点の高さに応じて、携帯端末200の高さを調整することができる。嵌合部28および溝5aは、移動機構を構成している。
【0046】
なお、
図8に示すように、嵌合部28の先端には例えば略直方体状の摺動部材5cが連結されている。摺動部材5cの両側面には、摺動部材5cの摺動経路を規定する1対の長板5bが配置されている。摺動部材5cおよび長板5bは、外部取付部5の内部に配置されている。
【0047】
外部取付部5の溝5aに沿って上方向へ嵌合部28を摺動させると、上面へ続く曲面を進むに従い本体20の正面が上方を向く。溝5aの上端まで嵌合部28を摺動させると、本体20の角度は、起立状態から略90度変化して仰向けの状態となる。すなわち、カート100に取り付けられた状態で、カート100の載置面と携帯端末200の背面との角度は、略垂直になる位置と略平行になる位置との間を揺動可能である。この構成によれば、上下方向の摺動では対応しきれなかったより高身長の利用者であっても、上から覗きこむように端末を操作することができ、携帯端末200を快適に使用することができる。
【0048】
外部取付部5の下寄りの部分には、取付対象物の棒状部分に嵌合するため左右方向に渡って貫通する嵌合孔52が設けられている。外部取付部5の嵌合孔52の内径は、取付径に応じて調整可能である。
【0049】
図9に示すように、外部取付部5の嵌合孔52は、種々の形状のカート100、100aのグリップ102、102aに固定可能である。カート100は、取付対象物の例である。使用者は、
図9における紙面奥行側に立って、グリップ102を把持し、紙面手前側へカート100を押して進行する。すなわち、携帯端末保持具1は、カート100への取付状態において使用者の右手前に配置される。
【0050】
この構成によれば、外部取付部5は、携帯端末保持具1がカート100の上方に突出するように取り付けられるため、携帯端末200の表示部が使用者により視認しやすい。また、携帯端末200がカート100の側方に過剰に突出することがないため、携帯端末200又は携帯端末保持具1を店内の棚や物品、人等にぶつけるリスクを軽減できる。
【0051】
さらに、カート100は、別のカート100と前後方向にスタッキングされているとき、カート100のグリップ102上方は解放されている。したがって、携帯端末保持具1が別のカート100と干渉することはない。すなわち、本構成によれば、カート100は別のカートと前後方向に連結収納可能である。
【0052】
図9に示すように、携帯端末保持具1がカート100に取り付けられた状態で、携帯端末200の背面は、カート100に対して外側に向けられる。本実施形態においては、本体20が外部取付部5に対して、進行方向外側に向かって所定角度傾いて固定されている。携帯端末200の背面上部には、携帯端末200の読取装置の読取部が設けられていることが一般的である。そこで、携帯端末200の背面がカート100に対して外側に向けられることにより、購入予定の商品等の読取対象物をカート100の上方よりも右外側で読み取ることができる。本構成によれば、使用者が商品を読み取る際、右手に商品を持ってカート100の右方から携帯端末200に近づくことを想定すると、読取位置がカート100の運転中における右手の位置に近くなり、読み取りやすい。
【0053】
図10に示すように、カート100のグリップ102下方には、保留カゴ10が連結可能であってもよい。本カゴ11には、携帯端末200により読取済の商品を入れておくことを前提としているため、店内の買い回り中に、正しく読取ができなかった商品を保留カゴ10に入れてもらうことができる。また、正しく読取ができなかったことを検知して、携帯端末200を介して利用者に、当該商品を保留カゴ10に入れるよう促すシステムを有していてもよい。また、携帯端末200又は携帯端末200に接続されている適宜のシステムに、商品の読取が失敗した旨の情報や、エラー時の操作履歴を保存できるように構成されていてもよい。
【0054】
従来のセルフショッピングシステムでは、正しく読取が出来なかった商品があった場合、利用者は購入を断念してしまう場合があった。これに対し、本構成によれば、買い回り中に正しく読取ができなかった商品については、保留カゴ10に保持し、後ほど別の方法等で商品の登録を行うことができる。例えば、本願発明にかかるカート100を使用するシステムにおいて、利用者は、買い回りの後、店舗に設けられた精算端末で精算を行う。この精算時に、買い回り中に生じた商品読取失敗の情報やエラー時の操作履歴に基づいて、店舗店員に報知し、店員が呼び出されるように構成されている。そこで、店舗店員が保留カゴ10内の商品の登録作業を行うことができる。
【0055】
なお、商品の読取が失敗した旨の情報や、エラー時の操作履歴を保存し、当該情報および履歴に基づいて店舗店員に報知するように構成されている構成によれば、精算されていない商品を店舗外に持ち出す万引き行為等の不正を抑止する効果が実現でき、セキュリティ性を担保することができる。
【0056】
保留カゴ10の開口は、グリップ102から、進行方向手前に向かって、下方に傾斜している。この構成によれば、使用者は保留カゴ10に商品を入れやすくなる。また、後方から挿入される別のカート100’のグリップと干渉することがないため、連結収納が可能である。
【0057】
このように、本願発明にかかる携帯端末保持具によれば、異なる形状の携帯端末であってもスムースに保持でき、かつ、商品の読取が可能な状態で保持される。
【0058】
図9、10の様なカートの場合、レジ袋やマイバッグを正面に掛け、登録した商品をそのままレジ袋やマイバッグへ入れていくことが出来る。これにより、従来あった以下の2回の移し替えの手間や時間を削減することが出来る。
1回目:店舗で用意された第1カゴに詰められた購入希望商品をPOSレジで登録する際に、スキャンしながら第2カゴへ移す手間
2回目:取引終了後、袋詰め台へ移動し第2カゴの中身をレジ袋やマイバッグへ移す手間
【0059】
<付記>
以上の実施形態について、その一の観点に係る携帯端末保持具は、携帯端末の第1面が当接可能な第1当接部と、前記第1当接部と対向し、前記第1当接部が有する前記携帯端末との当接面に対して進退可能であって、前記第1当接部との間で前記携帯端末を挟持する、可動保持部と、を備える。
【0060】
取付対象物に取り付けるための外部取付部と、前記取付対象物に取り付けられた状態で、前記取付対象物の載置面と前記携帯端末の背面との角度が、略垂直になる位置と略平行になる位置との間を揺動可能とする移動機構と、をさらに備えていてもよい。
【0061】
前記取付対象物に取り付けられた状態で、前記携帯端末の背面は、前記取付対象物に対して外側に向けられていてもよい。
【0062】
前記携帯端末保持具が取り付けられている前記取付対象物が別の前記取付対象物と連結収納されている場合でも互いに干渉しない位置に取り付けられていてもよい。
【0063】
前記携帯端末の前記第1面に隣接する第2面が当接可能な第2当接部をさらに備え、前記第1当接部と前記第2当接部との間には間隙が設けられていてもよい。
【0064】
前記可動保持部は、前記第1当接部から離れる方向に延出した案内部を有し、前記案内部は、前記第1当接部の上端よりも低い位置に延出の始点を有していてもよい。
【0065】
前記携帯端末の利用を補助する補助部品を収納する収納部をさらに備えていてもよい。
【0066】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係るカートは、携帯端末保持具が取り付けられてなるカートであって、
前記携帯端末保持具は上述のいずれかに記載の携帯端末保持具である。
【0067】
以下、本発明の別の実施形態に係る携帯端末保持具について、図を参照して説明する。
【0068】
●携帯端末保持具6
図11乃至
図15に示すように、携帯端末保持具6は、本体70と、収納部80と、連結部90と、外部取付部95とを備え、
図18および
図19に示すように携帯端末200を保持する。
なお、特段の言及がない限り、携帯端末200など、上述した実施形態において言及したものの構成等は、本実施形態においても上述の実施形態と同様である。
【0069】
●携帯端末保持具6の本体70
図11乃至
図15に示すように、携帯端末保持具6の本体70は、携帯端末200を背面側から保持する保持面として略平板状の背面受け部71を有しており、この背面受け部71の前面には携帯端末200の背面が当接する。
【0070】
背面受け部71には、保持される携帯端末200の背面上方にあたる位置に開口部71aが設けられている。この開口部71aは、背面受け部71上に保持した携帯端末200の背面を部分的に露出させる領域であり、一般的な携帯端末200が背面に有するカメラなどの読取部が背面受け部71によって隠れるのを防ぐ。かかる開口部71aの位置や形状、及び大きさは、一般的な携帯端末200が背面上部に有するカメラなどの読取部の位置に対応したものである。この開口部71aにより、携帯端末200が携帯端末保持具6に保持されている状態であっても、携帯端末200により商品を読み取ることができる。
なお、開口部71aは、各種の携帯端末200が備える読取部の位置に対応すべく一定の面積をとるが、開口部71aの外縁側は携帯端末200の背面に当接して携帯端末200を保持するため、広くとり過ぎないほうがよい。
【0071】
背面受け部71の略中央には、周囲の面よりも僅かに後方へ凹んだ凹部711が設けられている。この凹部711には、携帯端末保持具6に携帯端末200を保持させる際、携帯端末200の背面に取り付けられることがあるアクセサリーを収めることができる。
なお、凹部711を設ける代わりに、開口部71aを広くとることもできるが、開口部71aから携帯端末200が脱落するのを防いだり、本体70の強度を保ったりするためには、凹部711とするのが好適である。
【0072】
背面受け部71の表面には、携帯端末200の滑りを防止するための滑り抑制部材771、772、773が貼り付けられている。滑り抑制部材771、772、773は、シート状のシリコーンゴムなどによって実現され、これにより、携帯端末200が背面受け部71上を滑って動いたり脱落したりするのを防ぐことができる。
【0073】
背面受け部71の上端縁部、及び当該上端縁部の左右両側縁部には、背面受け部71から前方へ直角に突出した上面当接部72が設けられている。
上面当接部72は、平面視略U字状に形成されており、携帯端末保持具6に携帯端末200が保持された状態においては、携帯端末200の上端、及び上方の両側面を囲い、携帯端末200が上方において携帯端末保持具6から脱落するのを防いでいる。
【0074】
背面受け部71の図示右端からは、携帯端末200の右側面を受ける右側面当接部73が、背面受け部71から前面側へ直角に立ち上がっている。また、背面受け部71の図示左端からは、携帯端末200の左側面を受ける左側面当接部74が、背面受け部71から前面側へ直角に立ち上がっている。
この右側面当接部73と左側面当接部74により、携帯端末保持具6に携帯端末200が保持された状態においては、携帯端末200が左右両側から脱落しないようになっている。
【0075】
背面受け部71の下端縁部には、背面受け部71から前方へ直角に突出した一対の底面当接部75、76が設けられている。
底面当接部75、76の先端は、背面受け部71と平行に内側へ鉤爪状に延出しており、本体70に携帯端末200が保持された際には、この底面当接部22により、携帯端末200が下方及び前面側から脱落しないようになっている。
【0076】
なお、
図17および
図19に示すように、一対の底面当接部75、76の間には間隙が形成され、携帯端末保持具6が携帯端末200を保持している状態においては、挿通孔91aから導出されたケーブル27e、27f、27gをこの間隙から挿通させ、携帯端末200の底面に設けられた端子に接続させることができる。これにより、携帯端末保持具6に携帯端末200を保持させた状態で、携帯端末200を充電することが可能である。なお、上述した実施形態と同様、ケーブル27e、27f、27gにより別の装置に接続して情報の授受を行うことも可能である。
【0077】
また、上面当接部72と右側面当接部73の間、上面当接部72と左側面当接部74の間、右側面当接部73と底面当接部75の間、および左側面当接部74と底面当接部76の間はいずれも離間しており、それぞれ間隙73a、間隙74a、間隙75a、および間隙76aを構成する。背面受け部71全体を囲うことなく、間隙73a、74a、75a、76aを設けることで、背面受け部71上に携帯端末200を保持した状態において間隙73a、74a、75a、76aから携帯端末200に指をかけやすく、容易に携帯端末200を取り外すことができる。このようなことは例えば、携帯端末200に電話の着信があった場合、素早く携帯端末200を取り出したいときに好適である。また、スーパーマーケット等で携帯端末保持具6を用いて商品の登録を行う場面では、携帯端末保持具6に携帯端末200を保持したまま商品登録を行うことが想定されているが、野菜などのバーコードが付与されてない商品は、野菜の棚や商品POPに印刷されたバーコードを読み取って商品登録を行うために、携帯端末200を取り外す必要がある。そのような場合にもやはり、携帯端末200を素早く取り外すことができ、便利である。
【0078】
また、本実施形態に係る携帯体端末保持具6をスーパーマーケット等で利用するシステムでは、携帯端末保持具6に保持された携帯端末を使い、商品登録とショッピングカート上のカゴやバッグの監視を行うことが想定されるところ、携帯端末200の撮像範囲に不要なものが入り込まないようにする必要がある。この点、本実施形態に係る携帯端末保持具6は、本体70が上端に設けられ、本体70の背面や上方に収納部80や連結部90、あるいは外部取付部95を備えていないため、携帯端末200を本体70にセットしてもその撮像範囲には本体70はもちろん、収納部80や連結部90、あるいは外部取付部95が入り込むことがない。これにより、携帯端末200による商品登録やカート上のカゴやバッグの監視に支障をきたすことがない。
【0079】
●携帯端末保持具6の収納部80
図11乃至
図17に示すように、連結部90を介して本体70に連結された収納部80には、携帯端末200の利用および買い物を補助する補助部品201を収納することができる。収納部80は、上方が開口した略箱状の部材であり、平板状の背面部材81、右側面部材82、左側面部材83、前面部材84、底面部材85からなる。
【0080】
前面部材84は、背面部材81よりも低く、収納部80内に収納した補助部品201を取り出したり、収納させたりしやすいようになっている。
また、前面部材84には、後述する補助部品201が備えるインジケータを外側に露出させるための窓部84aが設けられている。この窓部84aは、補助部品201が備えるインジケータに対応する位置を所定の形状に切り欠くことによって設けられている。この窓部84aにより、補助部品201を収納部80に収納させた状態においても、補助部品201のインジケータを外部から視認することができ、インジケータによって示される情報を確認することができる。
【0081】
底面部材85には開口85aが設けられており、収納部80に収納される補助部品201の一部を、収納部80の外部に露出あるいは導出させることができる。
【0082】
ここで、補助部品201は例えば、利用者の携帯端末200に給電するバッテリーである。
図17に示すように、バッテリーからは、電力を外部へ供給するためのケーブル27dが開口85aから導出されており、このケーブル27dは連結部90の背面側を経由して挿通孔91aから前面側へ導出され、携帯端末200と接続する。
なお、携帯端末200が有する充電端子は、いくつかの形状が考えられるため、ケーブル27dは、携帯端末200と接続可能なケーブル27e、27f、27gに途中で分岐しており、ケーブル27e、27f、27gのいずれかを携帯端末200に接続させて充電することができる。
【0083】
また、補助部品201たるバッテリーの外面には、充電量を表示する情報表示部としてインジケータが設けられている。このインジケータは、前面部材84に設けられている窓部84aから視認可能になっている。
このように、補助部品201たるバッテリーを収納部80に収納させることで、利用者は買い回り中に携帯端末200を充電することができる。また、補助部品201たるバッテリーを収納部80に収納させた状態で、バッテリーのインジケータを確認することができ、充電量が切れる前にバッテリー交換の必要性を認識することができる。
なお、上述した実施形態と同様、収納部80には、クーポン券等のカードをしまっておくこともできる。
【0084】
●携帯端末保持具6の連結部90
連結部90は、本体70と収納部80を連結している。この連結部は、断面略U字状からなる中空の棒状部材であり、前面部材91、および前面部材91の両側縁から直角に折曲して延び出した右側面部材92と左側面部材93によって構成され、上端側には本体70が取り付けられ、下端部の前方には収納部80が取り付けられている。
【0085】
前面部材91の上方には、
図11、
図13、および
図14に示すように、背面側から前面側へ貫通した挿通孔91aが設けられている。この挿通孔91aには、
図17に示すように、連結部90の背面側から前面側へケーブル27e、27f、27gを挿通させることができる。
なお、連結部90の背面側は開放されており、開口85aから引き回されたたケーブル27d、27e、27f、27gを、前面部材91、右側面部材92、および左側面部材93によって囲われた中空部内に収容させることができる。
【0086】
前面部材91、右側面部材92、および左側面部材93の長さは、連結部90の上端に取り付けられる本体70と下方に取り付けられる外部取付部95とを離間させ、携帯端末保持具6を
図19に示すようにカート100aのグリップ102aに取り付けた際、カート100aのカゴ部分から十分に高い位置に本体70がくる長さを備える。このような長さを備えさせているのは、携帯端末保持具6で保持した携帯端末200により商品登録を行う場合、カート100a上のカゴやバッグと、携帯端末200を保持する本体70の間に十分な距離がないと、撮像対象たる商品を撮像範囲内に収めることができないためである。また、カート100a上のカゴやバッグと本体70の間に十分な距離がないと、カート100aのカゴ全体を監視することもできない。
このように、連結部90の前面部材91、右側面部材92、および左側面部材93が十分な長さを備えていることで、カート100a上のカゴやバッグと携帯端末200を保持する本体70の間の距離を確保でき、商品登録時に商品を撮像範囲に収めると共に、カート100a上のカゴ内全体を撮影することができる。
【0087】
本体70は
図16に示すように、連結部90の長さ方向に対して所定の角度、背面側へ傾いた状態で連結部90に取り付けられている。即ち、
図18を参照して後述するとおり、携帯端末保持具6をカート100aに取り付けた状態においては、連結部90はグリップ102aから鉛直方向上方へ立設するように取り付けられ、本体70はカート100aのカゴ側へ傾倒して斜めに設けられている。
これにより、カート100aおよび携帯端末保持具6の利用者が、上から覗きこむように携帯端末200を操作でき、視認性と操作性がよい。また、これと同時に、携帯端末200の背面部に備えられた読取部により、カート100a内の商品を的確に認識することができる。このような構成は、本実施形態に係る携帯端末保持具6によって保持される携帯端末200が、商品登録を行う登録装置としてのみならず、商品登録状況を表示し様々な操作を受け付ける表示装置あるいは操作装置として機能することが想定されているために好適なものである。
【0088】
なお、本実施形態では、前面部材91の上端にはと本体70の背面には、前面部材91と本体70に連結する連結片911が設けられており、この連結片911によって連結部90に本体70が取り付けられている。この連結片911には、携帯端末保持具6あるいは本体70の幅方向に二つのボルト孔911a、911cが設けられており、この二つのボルト孔911a、911cにはめ込まれたボルト911b、911dによって連結片911と連結部90が一体的に連結している。ここで、ボルト孔911a、911cのうち、少なくとも一方は、携帯端末保持具6あるいは本体70の幅方向と直交する方向に長さを有した長孔からなる。この長孔の任意の位置でボルト締めを行うことにより、連結部90に取り付けられる本体70を携帯端末保持具6あるいは本体70の幅方向に所定の角度だけ傾けて固定することができる。
【0089】
即ち、本例においては、右側面当接部73側のボルト孔911aが長孔を構成しており、携帯端末保持具60を正面から見た場合に、本体70上に保持した携帯端末200が携帯端末保持具6の幅方向左側を向くように調整することができる。これにより、
図18に示すように、カート100aの図示右側のグリップ102aに携帯端末保持具6を取り付けた場合、携帯端末200をカート100aの中央に正対させることができる。この結果、多数派の右利きの人が携帯端末200を操作しやすいよう、にカート100aの右側のグリップ102aに携帯端末保持具6を取り付けた場合でも、携帯端末200の背面に備えられた読取部でカート100a全体を監視することができる。
なお、この例に限らず、左側面当接部74側のボルト孔911cを長孔として構成し、携帯端末保持具60を正面から見た場合に、本体70上に保持した携帯端末200が携帯端末保持具6の幅方向右側を向くように調整することもできる。
【0090】
連結部90には
図11に示すように、収納部80に収納された補助部品201たるバッテリーの取り外しを規制する規制部94が設けられている。この規制部94は、施開錠機構94a、規制片94b、および貫通孔94cから構成される。
規制片94bは、貫通孔94cを介して前面部材91の背面側から前面側へ突出しており、施開錠機構94aによる施開錠動作に従って、鉛直方向に長さを有する貫通孔94cから突出した状態で上下に動く。施開錠機構94aは、所定の鍵による施開錠操作を受け付けて、規制片94bを上下動させると共に、上下動させた規制片94bを上下動不能にロックすることができる。
【0091】
この規制部94の使用場面について、
図19を参照して説明する。
規制片94bは、収納部80に収納された補助部品201の上方において貫通孔94cから突出している。施開錠機構94aによって解錠操作が行われ、規制片94bが補助部品201から離れて上方にある状態においては、収納部80に補助部品201を収納したり、収納部80から補助部品201を取り出したりすることができる。他方、収納部80に補助部品201を収納した状態において、施開錠機構94aによって施錠操作が行われると、規制片94bは下方に移動し、補助部品201の上面に当接あるいは略当接した状態となる。この状態において、規制片94bは上下動不能にロックされており、収納部80内の補助部品201は規制片94bによって抜出を規制されている。
これにより、補助部品201としてのバッテリーを収納部80に収納させている場合に、許可なき者が当該バッテリーを勝手に取り出して持ち去ることを防ぐことができる。
【0092】
●外部取付部
外部取付部95は、
図12に示すように、連結部90の下端部の背面側(携帯端末保持具6の背面あるいは収納部80の背面でもある)に取り付けられている。
この外部取付部95は、両側端が開口した略筒型形状からなり、左右に貫通する嵌合孔95aを備える。外部取付部95の取付対象となる取付対象物は上述の実施形態と同様、例えばカート、特に小売店におけるショッピングカートであり、
図18に示すように、カート100aが備える棒状のグリップ102aを嵌合孔95aに嵌合させて固定させることができる。なお、
図18の例に関わらず、携帯端末保持具6は上述の実施形態と同様、種々のカートに取り付けることができる。
【0093】
このような実施形態に係る携帯端末保持具6によってもやはり、各種の形状を有する携帯端末をスムースに保持でき、かつ、商品の読取が可能な状態で保持される。
【0094】
なお、上述した本実施形態に係る携帯端末保持具6はその変形例において、
図20に示すように構成することもできる(
図20では、変形例として異なる部分のみ異なる符号を用いている)。即ち、
図20に示す例では、上面当接部72に代えて右側面当接部78と左側面当接部79が設けられている一方、背面受け部72の上方は開放されている。また、開口部71bも上述した開口部71aとは異なり、一端側が開口している。このように、本体70上に携帯端末200を保持した状態において、携帯端末200がU字状に囲われ、携帯端末200の上面に何も当接しないようになっていても、携帯端末200を保持することができる。また、携帯端末保持具6をこのように構成した場合には、携帯端末200を出し入れし易く、携帯端末200の読取部の撮像領域もしっかりと確保できる。
なお、この例に限らず、右側面当接部78と左面側当接部90を設けないものとすることもできる。
【0095】
なお、以上の実施形態に係る携帯端末保持具1、6について、さらに別の実施形態では、携帯端末保持1、6具全体、あるいは携帯端末200の背面に当接する背面受け部71を透明な材質で構成してもよい。これにより例えば、携帯端末保持具6に開口部71aを設けず、携帯端末200の背面に備えられている読取部を所定の部材で覆ってしまう形状とした場合でも、携帯端末200の背面を透かせる透明な部材が携帯端末200の背面を露出させる領域を構成し、携帯端末200の読取部が商品を読み取るのを妨げることがない。また、このような構成にあっては、携帯端末200の背面に備えられている読取部による商品の読み取りを可能にしつつ、携帯端末200の背面全体を保持できるので、より確実に携帯端末200を保持することができる。
【0096】
なお、以上の実施形態において説明した携帯端末保持具1、6をスーパーマーケット等で使用する場合に好適な商品の登録や精算のシステムの例について言及する。
かかるシステムの一例では、携帯端末保持具6によって保持した携帯端末200に所定のソフトウェアアプリケーションをインストールさせておき、当該アプリケーションソフトウェアにより、利用者自らが購入を希望する商品を読み取って商品登録を行う。より具体的には、携帯端末200が予め備えるカメラ等の読取部によって商品に付されたバーコードや商品の形状を読み取り、バーコードをデコードしたり、形状認識を行ったりすることによって商品を識別し、登録する。商品の登録が完了すると、店舗が備える所定の精算処理装置に対して、登録された商品に関する情報を送信し、別途店舗内に用意されている精算機によって支払いを済ませたり、携帯端末200上で決済処理を実行させたりすることにより、精算を完了させる。これにより、商品の精算に付随する店舗側業務の負担軽減や人員削減、精算における混雑緩和を図ることができる。
また、携帯端末200により、商品の登録と合わせて、カート100、100a内の監視を行うようにすることもできる。即ち、携帯端末200によってカート100、100a内を撮影し、商品の形状からカート100、100aに入れられた商品を認識し、別途登録された商品の内容と対比することにより、商品が未登録のまま精算が完了するのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0097】
1 携帯端末保持具
21 背面受け部
22 底面当接部
23 左側面当接部
30 可動保持部
100 カート
100a カート
200 携帯端末
6 携帯端末保持具
70 本体
80 収納部
90 連結部
95 外部取付部