(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】リレー
(51)【国際特許分類】
H01H 50/12 20060101AFI20220823BHJP
H01H 50/54 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H01H50/12 A
H01H50/54 B
(21)【出願番号】P 2018205101
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】川口 直樹
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 亮太
(72)【発明者】
【氏名】林田 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】森 真吾
(72)【発明者】
【氏名】大塚 航平
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 博之
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-199107(JP,A)
【文献】特開2012-199123(JP,A)
【文献】特許第6300153(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/12
H01H 50/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点と、
前記固定接点に対向して配置された可動接点と、前記可動接点を支持する可動接触片と、前記可動接触片に接続された駆動軸と、を含み、前記可動接点が前記固定接点に近接する接触方向と、前記可動接点が前記固定接点から開離する開離方向とに移動可能に設けられた可動機構と、
前記固定接点と前記可動機構とを収容するハウジングと、
空気よりも高い熱伝導率を有し、少なくとも前記可動接点が前記固定接点と接触している閉状態で、前記可動機構と前記ハウジングとを接続する伝熱部材と、
を備え
、
前記ハウジングは、前記可動機構の移動方向と交差する方向に前記可動接触片と対向し前記可動機構の移動方向に延びる側面を含み、
前記伝熱部材は、少なくとも前記閉状態で、前記可動機構と前記側面とを接続する、
リレー。
【請求項2】
固定接点と、
前記固定接点に対向して配置された可動接点と、前記可動接点を支持する可動接触片と、前記可動接触片に接続された駆動軸と、を含み、前記可動接点が前記固定接点に近接する接触方向と、前記可動接点が前記固定接点から開離する開離方向とに移動可能に設けられた可動機構と、
前記固定接点と前記可動機構とを収容するハウジングと、
空気よりも高い熱伝導率を有し、少なくとも前記可動接点が前記固定接点と接触している閉状態で、前記可動機構と前記ハウジングとを接続する伝熱部材と、
を備え、
前記伝熱部材は、少なくとも前記閉状態で、前記駆動軸と前記ハウジングとを接続する、
リレー。
【請求項3】
固定接点と、
前記固定接点に対向して配置された可動接点と、前記可動接点を支持する可動接触片と、前記可動接触片に接続された駆動軸と、を含み、前記可動接点が前記固定接点に近接する接触方向と、前記可動接点が前記固定接点から開離する開離方向とに移動可能に設けられた可動機構と、
前記固定接点と前記可動機構とを収容するハウジングと、
空気よりも高い熱伝導率を有し、少なくとも前記可動接点が前記固定接点と接触している閉状態で、前記可動機構と前記ハウジングとを接続する伝熱部材と、
を備え、
前記伝熱部材は、前記閉状態で前記可動機構及び前記ハウジングと接触し、前記可動接点が前記固定接点から開離している開状態で前記可動機構及び/又は前記ハウジングから開離している、
リレー。
【請求項4】
前記伝熱部材は、バネ性を有する、
請求項1
から3のいずれかに記載のリレー。
【請求項5】
前記伝熱部材は、板バネである、
請求項1
から4のいずれかに記載のリレー。
【請求項6】
前記伝熱部材は、コイルバネである、
請求項1
から4のいずれかに記載のリレー。
【請求項7】
前記ハウジングは、
第1ハウジング部と、
前記第1ハウジング部よりも熱伝導率の高い材料で形成された第2ハウジング部と、
を含み、
前記伝熱部材は、少なくとも前記閉状態で、前記可動機構と前記第2ハウジング部とを接続する、
請求項1から
6のいずれかに記載のリレー。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記可動機構の移動方向において前記可動接触片と対向する天面を含み、
前記伝熱部材は、少なくとも前記閉状態で、前記可動機構と前記天面とを接続する、
請求項
2から7のいずれかに記載のリレー。
【請求項9】
前記可動機構を移動させる駆動装置をさらに備え、
前記ハウジングは、前記ハウジング内を第1収納部と第2収納部とに区画する隔壁を含み、
前記第1収納部には、前記固定接点と前記可動接点と前記可動接触片とが配置され、
前記第2収納部には、前記駆動装置が配置され、
前記伝熱部材は、少なくとも前記閉状態で、前記可動機構と前記隔壁とを接続する、
請求項
2から7のいずれかに記載のリレー。
【請求項10】
前記伝熱部材は、少なくとも前記閉状態で、前記可動接触片と前記ハウジングとを接続する、
請求項
1、3から9のいずれかに記載のリレー。
【請求項11】
前記可動機構は、前記可動接触片を保持するホルダをさらに備え、
前記伝熱部材は、少なくとも前記閉状態で、前記ホルダと前記ハウジングとを接続する、
請求項
1、3から9のいずれかに記載のリレー。
【請求項12】
前記伝熱部材は、前記閉状態で前記可動機構及び前記ハウジングと接触し、前記可動接点が前記固定接点から開離している開状態でも前記可動機構及び前記ハウジングと接触している、
請求項
1、2、4から11のいずれかに記載のリレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気回路を開閉するリレーが知られている。例えば、特許文献1に記載されたリレーは、固定接点と、可動接点と、可動接触片と、駆動軸と、コイルとを備えている。可動接触片は、駆動軸に連結されている。コイルは、磁界を発生させることで、駆動軸及び可動接触片を移動させる電磁力を発生させる。可動接触片が移動して固定接点と可動接点とが接触又は開離することで、電気回路が開閉される。
【0003】
固定接点と可動接点とが接触した状態、すなわち通電時には、コイルが発熱する。このため、特許文献1には、通電時におけるコイルの発熱を効率的にケースに逃がすために、コイルとケースとの隙間に空気よりも高い熱伝導率を持つ介在部材を配置することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通電時には、固定接点、可動接点、及び可動接触片においても発熱する。しかし、特許文献1では、通電時におけるコイルの発熱を効率的にケースに逃がすことができたとしても、固定接点、可動接点、及び可動接触片での発熱を効率的に逃がすことは難しい。従って、固定接点、可動接点、及び可動接触片を効果的に冷却することは困難である。
【0006】
本発明の課題は、リレーにおいて、通電時における固定接点、可動接点、及び可動接触片の冷却性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係るリレーは、固定接点と、可動機構と、ハウジングと、伝熱部材とを備える。可動機構は、可動接点と、可動接触片と、駆動軸とを含む。可動接点は、固定接点に対向して配置される。可動接触片は、可動接点を支持する。駆動軸は、可動接触片に接続される。可動機構は、接触方向と開離方向とに移動可能に設けられる。接触方向は、可動接点が固定接点に近接する方向である。開離方向は、可動接点が固定接点から開離する方向である。ハウジングは、固定接点と可動機構とを収容する。伝熱部材は、空気よりも高い熱伝導率を有する。伝熱部材は、少なくとも可動接点が固定接点と接触している閉状態で、可動機構とハウジングとを接続する。
【0008】
本態様に係るリレーは、少なくとも可動接点が固定接点と接触している閉状態で、伝熱部材は、可動機構とハウジングとを接続する。そのため、通電時に、固定接点、可動接点、及び可動接触片で生じた熱を、伝熱部材を介してハウジングに逃がすことができる。それにより、通電時における固定接点、可動接点、及び可動接触片の冷却性を向上させることができる。
【0009】
伝熱部材は、バネ性を有してもよい。この場合、可動機構の移動に応じて、伝熱部材が容易に変形する。そのため、伝熱部材が可動機構の移動を阻害することが抑えられる。例えば、伝熱部材は、板バネであってもよい。或いは、伝熱部材は、コイルバネであってもよい。
【0010】
ハウジングは、第1ハウジング部と第2ハウジング部とを含んでもよい。第2ハウジング部は、第1ハウジング部よりも熱伝導率の高い材料で形成されてもよい。伝熱部材は、少なくとも閉状態で、可動機構と第2ハウジング部とを接続してもよい。この場合、通電時に、固定接点、可動接点、及び可動接触片で生じた熱を、伝熱部材を介して第2ハウジング部に逃がすことができる。第2ハウジング部は、熱伝導率の高い材料で形成されているので、固定接点、可動接点、及び可動接触片の冷却性をさらに向上させることができる。
【0011】
ハウジングは、可動機構の移動方向において可動接触片と対向する天面を含んでもよい。伝熱部材は、少なくとも閉状態で、可動機構とハウジングの天面とを接続してもよい。この場合、通電時に、固定接点、可動接点、及び可動接触片で生じた熱を、伝熱部材を介してハウジングの天面に逃がすことができる。
【0012】
ハウジングは、側面を含んでもよい。側面は、可動機構の移動方向と交差する方向に可動接触片と対向し、可動機構の移動方向に延びていてもよい。伝熱部材は、少なくとも閉状態で、可動機構とハウジングの側面とを接続してもよい。この場合、通電時に、固定接点、可動接点、及び可動接触片で生じた熱を、伝熱部材を介してハウジングの側面に逃がすことができる。
【0013】
リレーは、可動機構を移動させる駆動装置をさらに備えてもよい。ハウジングは、ハウジング内を第1収納部と第2収納部とに区画する隔壁を含んでもよい。第1収納部には、固定接点と可動接点と可動接触片とが配置されてもよい。第2収納部には、駆動装置が配置されてもよい。伝熱部材は、少なくとも閉状態で、可動機構と隔壁とを接続してもよい。この場合、通電時に、固定接点、可動接点、及び可動接触片で生じた熱を、伝熱部材を介して隔壁に逃がすことができる。
【0014】
伝熱部材は、少なくとも閉状態で、可動接触片とハウジングとを接続してもよい。この場合、固定接点と可動接点とにおいて生じた熱を可動接触片を介して逃がすことができる。
【0015】
伝熱部材は、少なくとも閉状態で、駆動軸とハウジングとを接続してもよい。この場合、固定接点と可動接点と可動接触片とにおいて生じた熱を駆動軸を介して逃がすことができる。
【0016】
可動機構は、可動接触片を保持するホルダをさらに備えてもよい。伝熱部材は、少なくとも閉状態で、ホルダとハウジングとを接続してもよい。この場合、固定接点と可動接点と可動接触片とにおいて生じた熱をホルダを介して逃がすことができる。
【0017】
伝熱部材は、可動接点が固定接点と接触している閉状態で、可動機構及びハウジングと接触してもよい。伝熱部材は、可動接点が固定接点から開離している開状態で、可動機構及び/又はハウジングから開離してもよい。この場合、伝熱部材が可動機構の移動を妨げることが抑えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リレーにおいて、通電時における固定接点、可動接点、及び可動接触片の冷却性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る閉状態のリレーを示す側面断面図である。
【
図7】第4変形例に係る閉状態のリレーを示す図である。
【
図8】
図7におけるVIII-VIII断面を示す図である。
【
図9】第4変形例に係る開状態のリレーを示す図である。
【
図15】第10変形例に係るリレーを示す図である。
【
図16】第11変形例に係るリレーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して実施形態に係るリレー1について説明する。
図1は実施形態に係るリレー1を示す側面断面図である。
図1に示すように、リレー1は、接点装置2と、ハウジング3と、駆動装置4とを備える。なお、以下の説明において、上下左右の各方向は、
図1における上下左右の各方向を意味するものとする。詳細には、駆動装置4から接点装置2に向かう方向を上方と定義する。また、接点装置2から駆動装置4に向かう方向を下方と定義する。
図1において、上下方向に交差する方向を左右方向と定義する。また、上下方向及び左右方向に交差する方向を前後方向と定義する。前後方向は、
図1の紙面に垂直な方向である。ただし、これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、リレー1の配置方向を限定するものではない。
【0021】
接点装置2は、可動機構10と、第1固定端子11と、第2固定端子12とを含む。第1固定端子11と第2固定端子12とは、例えば銅などの導電性を有する材料で形成されている。第1固定端子11には、第1固定接点14が設けられている。第2固定端子12には、第2固定接点15が設けられている。第1固定接点14と第2固定接点15とは、左右方向に離れて配置されている。
【0022】
第1固定端子11は、第1接点支持部21と第1外部端子部22とを含む。第1固定接点14は、第1接点支持部21に接続されている。第1外部端子部22は、第1接点支持部21に接続されている。第1外部端子部22は、ハウジング3から外方に突出している。第2固定端子12は、第2接点支持部23と第2外部端子部24とを含む。第2固定接点15は、第2接点支持部23に接続されている。第2外部端子部24は、第2接点支持部23に接続されている。第2外部端子部24は、ハウジング3から外方に突出している。
【0023】
なお、
図1では、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、ハウジング3から左右方向に突出している。しかし、第1外部端子部22と第2外部端子部24とは、左右方向に限らず、上下方向、或いは前後方向など他の方向にハウジング3から突出してもよい。
【0024】
可動機構10は、可動接触片13と、第1可動接点16と、第2可動接点17と、駆動軸19と、ホルダ26と、接点バネ27とを含む。可動接触片13は、例えば銅などの導電性を有する材料で形成されている。可動接触片13は、左右方向に延びている。本実施形態において、可動接触片13の長手方向は、左右方向に一致する。可動接触片13は、第1固定接点14及び第2固定接点15の上方に配置されている。可動接触片13は、第1固定端子11及び第2固定端子12に対向して配置されている。詳細には、可動接触片13は、第1接点支持部21と第2接点支持部23とに対向して配置されている。
【0025】
第1可動接点16と第2可動接点17とは、可動接触片13に支持されている。第1可動接点16と第2可動接点17とは、左右方向に離れて配置されている。第1可動接点16は、第1固定接点14に対向して配置されている。第2可動接点17は、第2固定接点15に対向して配置されている。
【0026】
可動機構10は、上下方向に移動可能に配置されている。詳細には、可動接触片13は、接触方向Z1と開離方向Z2とに移動可能に配置されている。接触方向Z1は、可動接触片13が第1固定端子11及び第2固定端子12に近接する方向(
図1における下方)である。開離方向Z2は、可動接触片13が第1固定端子11及び第2固定端子12から開離する方向(
図1における上方)である。
【0027】
駆動軸19は、上下方向に延びている。駆動軸19は、接触方向Z1及び開離方向Z2に移動可能に配置されている。駆動軸19は、可動接触片13に接続されている。駆動軸19は、可動接触片13から下方に延びている。駆動軸19は、ホルダ26及び接点バネ27を介して、可動接触片13に接続されている。ホルダ26は、可動接触片13に取り付けられており、可動接触片13を保持する。接点バネ27は、ホルダ26と可動接触片13との間に配置されている。接点バネ27は、可動接点16,17が固定接点14,15に接触している状態で、可動接触片13を接触方向Z1に付勢する。
【0028】
ハウジング3は、接点装置2と駆動装置4とを収容している。ハウジング3は、天面41と、第1側面42と、第2側面43と、隔壁46とを含む。天面41は、可動機構10の移動方向において可動接触片13と対向する。天面41は、可動接触片13の上方に配置されている。第1側面42と第2側面43とは、左右方向に互いに間隔をおいて配置されている。第1側面42と第2側面43とは、可動機構10の移動方向と交差する方向に可動接触片13と対向している。すなわち、第1側面42と第2側面43とは、左右方向に可動接触片13と対向している。第1側面42と第2側面43とは、可動機構10の移動方向に延びている。可動接触片13は、左右方向において、第1側面42と第2側面43との間に配置されている。隔壁46は、ハウジング3内を第1収納部S1と第2収納部S2とに区画している。可動接点16,17と、固定接点14,15と、可動接触片13と、可動接点16,17とは、第1収納部S1内に配置されている。駆動装置4は、第2収納部S2内に配置されている。
【0029】
駆動装置4は、電磁力によって可動接触片13を動作させる。駆動装置4は、接触方向Z1及び開離方向Z2に可動接触片13を移動させる。駆動装置4は、ハウジング3の下方に配置されている。駆動装置4は、スプール30と、可動鉄心31と、コイル32と、固定鉄心33と、ヨーク34と、復帰バネ35とを含む。
【0030】
スプール30は、ハウジング3の下方に配置されている。スプール30は、上下方向にスプール30を貫通する孔301を含む。可動鉄心31は、スプール30の孔301内に配置されている。可動鉄心31は、固定鉄心33と別体である。可動鉄心31は、駆動軸19に接続されている。可動鉄心31は、接触方向Z1及び開離方向Z2に移動可能に設けられている。コイル32は、スプール30に巻回されている。コイル32は、通電されることで可動鉄心31を接触方向Z1及び開離方向Z2に移動させる電磁力を発生させる。
【0031】
固定鉄心33は、スプール30の孔301内に配置されている。固定鉄心33は、可動鉄心31に対向して配置されている。固定鉄心33は、可動鉄心31の下方に配置されている。復帰バネ35は、可動鉄心31と固定鉄心33との間に配置されている。復帰バネ35は、可動鉄心31を開離方向Z2に付勢している。
【0032】
ヨーク34は、コイル32を囲むように配置されている。ヨーク34は、コイル32によって構成される磁気回路上に配置されている。ヨーク34は、コイル32の上方と、コイル32の側方と、コイル32の下方とに配置されている。
【0033】
次に、リレー1の動作について説明する。コイル32に通電されていないときには、駆動装置4は励磁されていない。この場合、駆動軸19は、可動鉄心31と共に、復帰バネ35の弾性力によって開離方向Z2に押圧されている。そのため、可動接触片13も開離方向Z2に押圧されており、可動接触片13は、
図2に示すように開離位置に位置している。可動接触片13が開離位置に位置している状態では、第1可動接点16及び第2可動接点17は、第1固定接点14及び第2固定接点15から開離した開状態となっている。
【0034】
コイル32に通電されると、駆動装置4が励磁される。この場合、コイル32の電磁力により、可動鉄心31が、復帰バネ35の弾性力に抗して、接触方向Z1に移動する。それにより、駆動軸19と可動接触片13とが共に接触方向Z1に移動して、可動接触片13は
図1に示す接触位置へ移動する。可動接触片13が接触位置に位置している状態では、第1可動接点16及び第2可動接点17は、第1固定接点14及び第2固定接点15に接触した閉状態となる。
【0035】
コイル32への電流が停止され消磁されると、可動鉄心31は、復帰バネ35の弾性力によって開離方向Z2に押圧される。それにより、可動鉄心31は駆動軸19に対して開離方向Z2に移動して、可動接触片13は
図2に示す開離位置へ戻る。その結果、第1可動接点16及び第2可動接点17は開状態に戻る。
【0036】
図3は、接点装置2の拡大図である。
図3に示すように、リレー1は、伝熱部材5aを備えている。伝熱部材5aは、空気よりも高い熱伝導率を有する材料で形成されている。伝熱部材5aは、バネ性を有する。例えば、伝熱部材5aは、銅などの金属で形成される。ただし、伝熱部材5aは、金属以外の材料で形成されてもよい。本実施形態において、伝熱部材5aは、板バネである。伝熱部材5aは、可動接触片13とハウジング3の天面41との間に配置されている。
【0037】
伝熱部材5aは、天面41に向かって凸に湾曲した形状を有している。伝熱部材5aは、第1接触部51と、第2接触部52と、第3接触部53とを含む。第1接触部51は、天面41と接触している。第2接触部52と第3接触部53とは、可動接触片13に接触している。詳細には、可動接触片13は、第1支持部28と第2支持部29とを含む。第1可動接点16は、第1支持部28に支持されている。第2可動接点17は、第2支持部29に支持されている。第2接触部52は、可動接触片13の第1支持部28に接触している。第3接触部53は、可動接触片13の第2支持部29に接触している。
【0038】
図1に示すように、伝熱部材5aは、閉状態で可動機構10とハウジング3とを接続する。すなわち、伝熱部材5aは、閉状態で可動接触片13とハウジング3とに接触している。詳細には、リレー1が閉状態で、第1接触部51はハウジング3の天面41に接触し、第2接触部52は可動接触片13の第1支持部28に接触し、第3接触部53は可動接触片13の第2支持部29に接触する。また、伝熱部材5aは、開状態においても、可動機構10とハウジング3とを接続する。すなわち、伝熱部材5aは、開状態においても、可動接触片13とハウジング3とに接触している。詳細には、リレー1が開状態で、第1接触部51はハウジング3の天面41に接触し、第2接触部52は可動接触片13の第1支持部28に接触し、第3接触部53は可動接触片13の第2支持部29に接触する。
【0039】
以上説明した本実施形態に係るリレー1では、可動接点16,17が固定接点14,15と接触している閉状態で、伝熱部材5aは、可動接触片13とハウジング3の天面41とを接続する。そのため、通電時に、固定接点14,15、可動接点16,17、及び可動接触片13で生じた熱を、伝熱部材5aを介してハウジング3の天面41に逃がすことができる。それにより、通電時における固定接点14,15、可動接点16,17、及び可動接触片13の冷却性を向上させることができる。
【0040】
伝熱部材5aは、板バネであり、バネ性を有している。従って、可動機構10の移動に応じて、伝熱部材5aが容易に弾性変形する。詳細には、可動接触片13が天面41に向かって移動することで、可動接触片13と天面41との間の距離が小さくなる。それに応じて、伝熱部材5aが弾性変形する。また、可動接触片13が天面41から離れる方向に移動することで、可動接触片13と天面41との間の距離が大きくなる。それにより、伝熱部材5aの弾性変形が元に戻る。以上のように、伝熱部材5aが容易に弾性変形することで、伝熱部材5aと可動機構10との接触を維持しつつ、伝熱部材5aが可動機構10の移動を阻害することが抑えられる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、第1固定端子11、第2固定端子12、可動接触片13の形状、或いは配置が変更されてもよい。コイル32、スプール30、或いはヨーク34の形状、或いは配置が変更されてもよい。
【0042】
第1固定接点14は、第1固定端子11と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2固定接点15は、第2固定端子12と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第1可動接点16は、可動接触片13と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2可動接点17は、可動接触片13と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。
【0043】
伝熱部材の形状、及び/又は、配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。伝熱部材は、板バネに限らず、他の部材であってもよい。例えば、
図4は、第1変形例に係る伝熱部材5bを示す。
図4に示すように、伝熱部材5bは、コイルバネであってもよい。
【0044】
伝熱部材が接触する対象は、ハウジング3の天面41に限らず、ハウジング3の他の部分であってもよい。また、伝熱部材が接触する対象は、可動接触片13に限らず、可動機構10の他の部分であってもよい。伝熱部材が接触する対象は、可動接触片13に接している可動機構10の金属製の他の部分であることが好ましい。上記の実施形態において、伝熱部材5aは、ホルダ26とハウジング3の天面41とを接続してもよい。或いは、上記の実施形態において、伝熱部材5aは、駆動軸19とハウジング3の天面41とを接続してもよい。
【0045】
図5は第2変形例に係る伝熱部材5cを示す。
図5に示すように、伝熱部材5cは、少なくとも閉状態で、可動機構10とハウジング3の隔壁46とを接続してもよい。伝熱部材5cは、少なくとも閉状態で、ホルダ26とハウジング3の隔壁46とを接続してもよい。
【0046】
なお、第2変形例では、伝熱部材5cは、ホルダ26とハウジング3の隔壁46とを接続する。しかし、伝熱部材は、可動接触片13などの他の可動機構10の部分と、ハウジング3の隔壁46とを接続してもよい。上記の第2変形例では、伝熱部材5cはコイルバネである。しかし、伝熱部材5cは、板バネなどの他の部材であってもよい。
【0047】
図6は、第3変形例に係る伝熱部材5dを示す。
図6に示すように、伝熱部材5dは、少なくとも閉状態で、可動機構10とハウジング3の側面42,43とを接続してもよい。伝熱部材5dは、少なくとも閉状態で、駆動軸19とハウジング3の側面42,43とを接続してもよい。伝熱部材5dは、板状の部材であってもよい。或いは、伝熱部材5dは、棒状の部材であってもよい。
【0048】
図7は、第4変形例に係る伝熱部材5eを示す。
図7に示すように、伝熱部材5eは、第1伝熱部54と第2伝熱部55とを含んでもよい。第1伝熱部54と第2伝熱部55とは、左右方向に離れて配置されてもよい。第1伝熱部54は、可動接触片13の第1支持部28の下方に配置されていてもよい。第2伝熱部55は、可動接触片13の第2支持部289の下方に配置されていてもよい。第1伝熱部54と第2伝熱部55とは、板状の形状であってもよい。或いは、第1伝熱部54と第2伝熱部55とは、棒状の形状であってもよい。第1伝熱部54は、閉状態で、第1支持部28と接触してもよい。第2伝熱部55は、閉状態で、第2支持部29と接触してもよい。
【0049】
図8は、
図7におけるVIII-VIII断面を示す図である。
図8は、第4変形例において、可動接触片13の長手方向から見た接点装置2を示す。
図8に示すように、第1伝熱部54は、第1部材541と第2部材542とを含んでもよい。第1部材541と第2部材542とは、前後方向に間隔をおいて配置されてもよい。ハウジング3は、第3側面44と第4側面45とを含んでもよい。第3側面44と第4側面45とは、前後方向に間隔をおいて配置されてもよい。前後方向において、可動接触片13は、第3側面44と第4側面45との間に配置されてもよい。
【0050】
第1部材541は、第1支持部28の下方の位置から第3側面44まで延びていてもよい。第1部材541は、第3側面44に接続されていてもよい。第2部材542は、第1支持部28の下方の位置から第4側面45まで延びていてもよい。第2部材542は、第4側面45に接続されていてもよい。第1伝熱部54は、閉状態で、第1支持部28を第3側面44及び第4側面45に接続してもよい。図示を省略するが、第2伝熱部55も、第1伝熱部54と同様の構成であってもよい。第2伝熱部55は、閉状態で、第2支持部29を第3側面44及び第4側面45に接続してもよい。
【0051】
図9は、第4変形例において開状態での接点装置2を示す図である。
図9に示すように、伝熱部材5eは、開状態において、可動機構10から開離していてもよい。詳細には、伝熱部材5eは、開状態において、可動接触片13から開離していてもよい。他の変形例についても同様に、伝熱部材は、開状態において、可動接触片13から開離していてもよい。或いは、伝熱部材は、開状態において、ハウジング3から開離していてもよい。
【0052】
図10は、第5変形例に係る伝熱部材5fを示す。
図10に示すように、伝熱部材5fの第1伝熱部54は、隔壁46に接続されていてもよい。第1伝熱部54は、閉状態で、第1支持部28を隔壁46に接続してもよい。図示を省略するが、伝熱部材5fの第2伝熱部55も、第1伝熱部54と同様の構成であってもよい。第2伝熱部55は、隔壁46に接続されていてもよい。第2伝熱部55は、閉状態で、第2支持部29を隔壁46に接続してもよい。
【0053】
図11は、第6変形例に係る伝熱部材5gを示す。
図11に示すように、伝熱部材5gの第1伝熱部54は、天面41に接続されていてもよい。第1伝熱部54は、閉状態で、第1支持部28を天面41に接続してもよい。図示を省略するが、伝熱部材5gの第2伝熱部55も、第1伝熱部54と同様の構成であってもよい。第2伝熱部55は、天面41に接続されていてもよい。第2伝熱部55は、閉状態で、第2支持部29を天面41に接続してもよい。
【0054】
図12に示す第7変形例のように、ハウジング3は、第1ハウジング部3aと第2ハウジング部3bとを含んでもよい。第1ハウジング部3aは、上述した天面41と、側面42,43と、隔壁46とを含んでもよい。第2ハウジング部3bは、第1ハウジング部3aよりも熱伝導率の高い材料で形成されてもよい。例えば、第1ハウジング部3aは絶縁性を有する樹脂製であり、第2ハウジング部3bは金属製であってもよい。或いは、第2ハウジング部3bはセラミック製であってもよい。伝熱部材5aは、少なくとも閉状態で、可動機構10と第2ハウジング部3bとを接続してもよい。
【0055】
図12に示すように、第2ハウジング部3bは、第1収納部S1内において天面41の一部に積層して配置されてもよい。或いは、
図13に示す第8変形例のように、第2ハウジング部3bは、第1収納部S1内において天面41の全体に積層するように配置されてもよい。この場合、第2ハウジング部3bは、インサート成形により、第1ハウジング部3aと一体的に形成されてもよい。なお、第2ハウジング部3bは、第1収納部S1内において天面41以外のハウジング3の部分と積層するように配置されてもよい。
【0056】
伝熱部材が接触するハウジング3の部分の外側に、冷却機構が配置されてもよい。冷却機構は、伝熱部材が接触するハウジング3の部分の外面に接触していてもよい。冷却機構は、ハウジング3よりも高い熱伝導率を有する部材であってもよい。冷却機構は、冷却フィンを含んでもよい。或いは、冷却機構は、冷却水が流れる冷却管を含んでもよい。
【0057】
例えば、
図14に示す第9変形例のように、伝熱部材5aがハウジング3の天面41に接触しており、天面41の外側に冷却機構60が配置されてもよい。或いは、
図15に示す第10変形例のように、伝熱部材5dがハウジング3の側面42,43に接触しており、側面42,43の外側に冷却機構61,62が配置されてもよい。
【0058】
上記の実施形態及び変形例では、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側に引き込むことで、可動接触片13が接触方向Z1に移動する。また、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側から押し出すことで、可動接触片13が開離方向Z2に移動する。しかし、接点を開閉するための駆動軸19の動作方向は、上記の実施形態と逆であってもよい。例えば、
図16に示す第11変形例のように、駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側に引き込むことで、可動接触片13が開離方向Z2に移動してもよい。駆動装置4が駆動軸19を駆動装置4側から押し出すことで、可動接触片13が接触方向Z1に移動してもよい。すなわち、接触方向Z1と開離方向Z2とは、上記の実施形態とは逆であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、リレーにおいて、通電時における固定接点、可動接点、及び可動接触片の冷却性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0060】
3 ハウジング
3a 第1ハウジング部
3b 第2ハウジング部
4 駆動装置
5a-5g 伝熱部材
10 可動機構
13 可動接触片
14,15 固定接点
16,17 可動接点
19 駆動軸
26 ホルダ
41 天面
42-45 側面
46 隔壁