(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-22
(45)【発行日】2022-08-30
(54)【発明の名称】酸素濃度測定装置及び酸素濃度測定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 25/18 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
G01N25/18 J
(21)【出願番号】P 2019036617
(22)【出願日】2019-02-28
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 慎也
(72)【発明者】
【氏名】叶 肇
(72)【発明者】
【氏名】中尾 秀之
(72)【発明者】
【氏名】神山 進
(72)【発明者】
【氏名】半田 憲一
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-161434(JP,A)
【文献】特開平07-248304(JP,A)
【文献】特開2003-344326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素濃縮器において濃縮後の酸素の濃度を測定する酸素濃度測定装置であって、
空気に含まれる窒素を除去し、酸素を濃縮する酸素濃縮手段によって酸素が濃縮された濃縮ガスを加熱する加熱部と、
前記加熱部を跨いで並んで配置され、前記濃縮ガスの温度に基づき出力を行う出力部と、
前記出力部における出力より、前記濃縮ガスの熱伝導率を算出する熱伝導率算出部と、
前記熱伝導率算出部によって算出される前記濃縮ガスの熱伝導率に対する前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出する酸素濃度算出部と、を備え、
前記濃縮ガスは、前記酸素濃縮手段の使用が開始された初期状態において、該酸素濃縮手段によって酸素が濃縮された初期濃縮ガスと、該酸素濃縮手段を透過した空気と、を含み、
前記酸素濃度算出部は、前記初期濃縮ガスにおける熱伝導率及び酸素濃度と、前記空気における熱伝導率及び酸素濃度と、に基づいて、前記濃縮ガスの熱伝導率に対する前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出することを特徴とする、
酸素濃度測定装置。
【請求項2】
前記酸素濃度算出部は、前記初期濃縮ガスにおける熱伝導率をλ
a、酸素濃度をC
aとし、前記酸素濃縮手段を透過した空気における熱伝導率をλ
b、酸素濃度をC
bとし、前記熱伝導率算出部により算出された前記濃縮ガスの熱伝導率をλ
xとし、前記濃縮ガスの酸素濃度をC
xとしたときに、数式(1)によりC
xを算出することを特徴とする、
請求項1に記載の酸素濃度測定装置。
【数1】
【請求項3】
前記酸素濃度算出部は、前記濃縮ガスにおける、前記初期濃縮ガスと、前記酸素濃縮手段を透過した空気との存在比率を変化させた場合の熱伝導率及び酸素濃度の値によって算出された、前記濃縮ガスにおける熱伝導率と酸素濃度との対応関係を参照して、前記濃縮ガスの酸素濃度を算出することを特徴とする、
請求項1に記載の酸素濃度測定装置。
【請求項4】
前記対応関係は、前記濃縮ガスに含まれる前記酸素濃縮手段を透過した空気の割合が増加することに従い、前記濃縮ガスの熱伝導率に対して前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度は単調に変化する関係を含む、
請求項3に記載の酸素濃度測定装置。
【請求項5】
前記空気に含まれる酸素の濃度と、前記空気の熱伝導率と、を測定する測定手段を更に備える、
請求項1から4のうち何れか1項に記載の酸素濃度測定装置。
【請求項6】
酸素濃縮器において濃縮後の酸素の濃度を測定する酸素濃度測定方法であって、
空気に含まれる窒素を除去し、酸素を濃縮する酸素濃縮手段によって酸素が濃縮された濃縮ガスの熱伝導率を算出する熱伝導率算出ステップと、
前記濃縮ガスの熱伝導率に対する前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出する酸素濃度算出ステップと、を有し、
前記濃縮ガスは、前記酸素濃縮手段の使用が開始された初期状態において、該酸素濃縮
手段によって酸素が濃縮された初期濃縮ガスと、該酸素濃縮手段を透過した空気と、を含み、
前記酸素濃度算出ステップにおいては、前記初期濃縮ガスにおける熱伝導率及び酸素濃度と、前記空気における熱伝導率及び酸素濃度と、に基づいて、前記濃縮ガスの熱伝導率に対する前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出することを特徴とする、
酸素濃度測定方法。
【請求項7】
前記酸素濃度算出ステップにおいては、前記初期濃縮ガスにおける熱伝導率をλ
a、酸素濃度をC
aとし、前記酸素濃縮手段を透過した空気における熱伝導率をλ
b、酸素濃度をC
bとし、前記熱伝導率算出ステップにおいて算出された前記濃縮ガスの熱伝導率をλ
xとし、前記濃縮ガスの酸素濃度をC
xとしたときに、数式(1)によりC
xを算出することを特徴とする、
請求項6に記載の酸素濃度測定方法。
【数2】
【請求項8】
前記酸素濃度算出ステップにおいては、前記濃縮ガスにおける、前記初期濃縮ガスと、前記酸素濃縮手段を透過した空気との存在比率を変化させた場合の熱伝導率及び酸素濃度の値によって算出された、前記濃縮ガスにおける熱伝導率と酸素濃度との対応関係を参照して、前記濃縮ガスの酸素濃度を算出することを特徴とする、
請求項6に記載の酸素濃度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素濃度測定装置及び酸素濃度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
気体に含まれる成分の濃度をセンサによって検出することが行われている。例えば特許文献1では、測定対象の気体に含まれる水素ガスの濃度を熱流量センサ及び圧力センサを使用することによって求めることが開示されている。また、特許文献2では、超音波を利用した気体の濃度の測定に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-90317号公報
【文献】特開2006-275608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、酸素濃縮器では、大気中に含まれる酸素を濃縮するために所定のフィルタによって大気に含まれる窒素を除去することが行われている。しかしながら、フィルタの性能が経年劣化することにより、フィルタを通過した濃縮ガスに含まれる酸素の割合が相対的に低下することが考えられる。そこで、フィルタの交換の時期を容易に把握するために、特許文献1-2に開示される技術(以下、単に従来技術という)を利用し、フィルタを通過した後の濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を測定することが考えられる。
【0005】
ここで、フィルタを通過した濃縮ガスは、酸素、窒素、そしてアルゴンなどの3種類以上の成分が含まれることが考えられる。そこで、多様な酸素濃度の濃縮ガスの物性を従来技術によって測定し、酸素濃度と当該物性の測定値との対応関係を予め記憶しておくことが考えられる。そして、測定対象の濃縮ガスの物性を測定し、測定された物性値に対応する酸素の濃度を、予め記憶しておいた対応関係を参照して求めることが考えられる。
【0006】
しかしながら、このような方法の場合、濃縮ガスの酸素濃度と物性値との対応関係を作成するための負荷は大きいと考えられる。特に、成分比の変化に対する濃縮ガスの物性の変化に規則性が乏しい場合、成分比をより細かく変化させ、対応関係を作成する必要があるため上記の負荷はより大きくなる。すなわち、本発明者は、特許文献1-2に開示されるセンサによって3種類以上の成分を含む濃縮ガスの成分濃度を測定する場合に負荷を要するため、酸素濃縮器において濃縮された酸素の濃度の測定は簡易に行うことができず、よって窒素を除去するフィルタの交換の時期を容易に把握することができないことを見出した。
【0007】
本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、酸素濃縮器において、酸素が濃縮された気体に含まれる酸素の濃度を簡易に測定することのできる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0009】
すなわち本発明の一側面に係る酸素濃度測定装置は、酸素濃縮器において濃縮後の酸素の濃度を測定する酸素濃度測定装置であって、空気に含まれる窒素を除去し、酸素を濃縮
する酸素濃縮手段によって酸素が濃縮された濃縮ガスを加熱する加熱部と、前記加熱部を跨いで並んで配置され、前記濃縮ガスの温度に基づき出力を行う出力部と、前記出力部における出力より、前記濃縮ガスの熱伝導率を算出する熱伝導率算出部と、前記熱伝導率算出部によって算出される前記濃縮ガスの熱伝導率に対する前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出する酸素濃度算出部と、を備え、前記濃縮ガスは、前記酸素濃縮手段の使用が開始された初期状態において、該酸素濃縮手段によって酸素が濃縮された初期濃縮ガスと、該酸素濃縮手段を透過した空気と、を含み、前記酸素濃度算出部は、前記初期濃縮ガスにおける熱伝導率及び酸素濃度と、前記空気における熱伝導率及び酸素濃度と、に基づいて、前記濃縮ガスの熱伝導率に対する前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出することを特徴とする、酸素濃度測定装置である。
【0010】
当該構成によれば、測定対象の濃縮ガスは、酸素濃縮手段の使用が開始された初期状態において該酸素濃縮手段によって酸素が濃縮された初期濃縮ガスと、該酸素濃縮手段を透過した空気(以下、透過空気という)とからなるガスと考える。ここで、初期濃縮ガスは、酸素濃縮手段によって空気に含まれる窒素が除去され、濃縮された酸素と、濃縮前の空気に含まれるアルゴンとからなる気体である。また、酸素濃縮手段を透過した空気は、酸素濃縮手段によって窒素が除去されなかった空気であり、酸素、窒素、及びアルゴンの3種類の成分が少なくとも含まれる。
【0011】
ここで、初期濃縮ガスに含まれる濃縮された酸素とアルゴンの成分比は、透過空気の量に依存するものではなく、略一定である。よって、初期濃縮ガスの熱伝導率は略一定である。つまり、初期濃縮ガスの熱伝導率と初期濃縮ガスに含まれる濃縮酸素の濃度との関係は、略一定であり、一度求めておけばよく、透過空気の量が変化した場合に再度求めることをせずに済む。
【0012】
一方、透過空気に含まれる酸素、窒素、及びアルゴンの各成分比は、酸素濃縮手段によって窒素が除去される前の空気の成分比と略同一である。つまり、透過空気の熱伝導率と透過空気に含まれる酸素の濃度との関係は、酸素濃縮器の設置環境に存在する空気の熱伝導率と空気に含まれる酸素の濃度の関係ということになる。よって、当該関係は濃縮ガスの酸素の濃度を測定する前に予め求めることができ、又略一定の関係である。
【0013】
よって、当該構成によれば、初期濃縮ガスにおける熱伝導率及び酸素濃度、及び透過空気における熱伝導率及び酸素濃度に基づき、濃縮ガスにおける熱伝導率に対する濃縮ガスの酸素濃度を算出することができる。また、酸素濃度算出部は、濃縮ガスに含まれる多様な濃度の酸素に対する濃縮ガスの熱伝導率の対応関係を予め記憶しておくことをせずに済む。すなわち、当該構成によれば、酸素濃縮器において、濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を簡易に測定することができる。
【0014】
また、当該構成によれば、前記加熱部による加熱により生じた熱の分布は、濃縮ガスが流れた場合に変化する。よって、濃縮ガスが流れる場合と流れない場合とで出力部からの出力は変化する。また、出力部からの出力の変化の大きさは、濃縮ガスの流量の大きさに関係する。よって、当該構成によれば、出力部からの出力により濃縮ガスの流量も算出することができる。つまり、当該構成によれば、少なくとも3つの成分を含む濃縮ガスの成分比に加えて濃縮ガスの流量を測定できる。すなわち、当該構成は、1つの装置により濃縮ガスの成分比と流量とを測定できるため、コンパクトかつ製造コストの低い装置である。
【0015】
上記一側面に係る酸素濃度測定装置において、前記酸素濃度算出部は、前記初期濃縮ガスにおける熱伝導率をλ
a、酸素濃度をC
aとし、前記酸素濃縮手段を透過した空気における熱伝導率をλ
b、酸素濃度をC
bとし、前記熱伝導率算出部により算出された前記濃
縮ガスの熱伝導率をλ
xとし、前記濃縮ガスの酸素濃度をC
xとしたときに、数式(1)によりC
xを算出することを特徴としてもよい。
【数1】
【0016】
当該構成によれば、熱伝導率算出部によって算出される濃縮ガスの熱伝導率を算出式に代入し、簡易に濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出することができる。
【0017】
上記一側面に係る酸素濃度測定装置において、前記酸素濃度算出部は、前記濃縮ガスにおける、前記初期濃縮ガスと、前記酸素濃縮手段を透過した空気との存在比率を変化させた場合の熱伝導率及び酸素濃度の値によって算出された、前記濃縮ガスにおける熱伝導率と酸素濃度との対応関係を参照して、前記濃縮ガスの酸素濃度を算出することを特徴としてもよい。
【0018】
当該構成によれば、酸素濃度算出部は、熱伝導率算出部によって算出された濃縮ガスの熱伝導率に対して、当該対応関係に基づき濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出することができる。
【0019】
上記一側面に係る酸素濃度測定装置において、前記対応関係は、前記濃縮ガスに含まれる前記酸素濃縮手段を透過した空気の割合が増加することに従い、前記濃縮ガスの熱伝導率に対して前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度は単調に変化する関係を含んでもよい。
【0020】
当該構成によれば、酸素濃度算出部は、熱伝導率算出部によって算出された濃縮ガスの熱伝導率に対して、当該対応関係に基づき濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を一対一に算出することができる。
【0021】
上記一側面に係る酸素濃度測定装置において、前記空気に含まれる酸素の濃度と、前記空気の熱伝導率と、を測定する測定手段を更に備えてもよい。
【0022】
当該構成によれば、酸素濃度測定装置が設置される環境の変化により酸素濃縮器が設置される環境に存在する空気自体の成分が変わり、透過空気の成分の比率が変化した場合であっても、当該変化を測定手段によって測定し、当該変化の測定結果を使用して濃縮ガスの酸素濃度を算出することができる。つまり、当該構成によれば、酸素濃度測定装置が設置される環境の変化に関わらず、酸素濃縮器における濃縮ガスの酸素濃度を精度高く測定することができる。
【0023】
また、本発明は、方法の側面から捉えることもできる。すなわち、本発明の一側面に係る酸素濃度測定方法は、酸素濃縮器において濃縮後の酸素の濃度を測定する酸素濃度測定方法であって、空気に含まれる窒素を除去し、酸素を濃縮する酸素濃縮手段によって酸素が濃縮された濃縮ガスの熱伝導率を算出する熱伝導率算出ステップと、前記濃縮ガスの熱伝導率に対する前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出する酸素濃度算出ステップと、を有し、前記濃縮ガスは、前記酸素濃縮手段の使用が開始された初期状態において、該酸素濃縮手段によって酸素が濃縮された初期濃縮ガスと、該酸素濃縮手段を透過した空気と、を含み、前記酸素濃度算出ステップにおいては、前記初期濃縮ガスにおける熱伝導率及び酸素濃度と、前記空気における熱伝導率及び酸素濃度と、に基づいて、前記濃縮ガスの熱伝導率に対する前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出することを特徴とする、酸素濃度測定方法であってもよい。
【0024】
上記一側面に係る酸素濃度測定方法において、前記酸素濃度算出ステップにおいては、前記初期濃縮ガスにおける熱伝導率をλ
a、酸素濃度をC
aとし、前記酸素濃縮手段を透過した空気における熱伝導率をλ
b、酸素濃度をC
bとし、前記熱伝導率算出ステップにおいて算出された前記濃縮ガスの熱伝導率をλ
xとし、前記濃縮ガスの酸素濃度をC
xとしたときに、数式(1)によりC
xを算出することを特徴としてもよい。
【数2】
【0025】
上記一側面に係る酸素濃度測定方法において、前記酸素濃度算出ステップにおいては、前記濃縮ガスにおける、前記初期濃縮ガスと、前記酸素濃縮手段を透過した空気との存在比率を変化させた場合の熱伝導率及び酸素濃度の値によって算出された、前記濃縮ガスにおける熱伝導率と酸素濃度との対応関係を参照して、前記濃縮ガスの酸素濃度を算出することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、酸素濃縮器において、酸素が濃縮された気体に含まれる酸素の濃度を簡易に測定することのできる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、実施形態に係る酸素濃度測定装置による酸素の濃度の測定の概要の一例を模式的に例示する。
【
図2】
図2は、ヒータから発せられた熱がサーモパイルへ伝わることを表す等価回路の一例を例示する。
【
図3】
図3は、サーモパイルの出力と、混合ガスの熱伝導率との関係を図示した一例である。
【
図4】
図4は、混合ガスの熱伝導率と混合ガスに含まれる酸素濃度との関係の概要の一例を模式的に例示する。
【
図5】
図5は、従来技術による混合ガスに含まれる酸素濃度の測定の概要の一例を模式的に例示する。
【
図6】
図6は、酸素濃度測定装置の機能ブロック図の概要の一例を模式的に例示する。
【
図7】
図7は、混合ガスに含まれる酸素と窒素の成分比を変化させ、定数を決定する概要の一例を模式的に例示する。
【
図8】
図8は、最初期の酸素濃縮ガスの酸素濃度及び最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率を測定する概要の一例を模式的に例示する。
【
図9】
図9は、酸素濃度測定装置の処理手順を示すフローチャートの一例を模式的に例示する。
【
図10】
図10は、酸素濃度測定装置の概要の一例を模式的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0029】
§1 適用例
図1、
図2を用いて、本発明が適用される場面の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係る酸素濃度測定装置1による酸素の濃度の測定の概要の一例を模式的に例示する。
図1に示されるように、酸素濃度測定装置1は、流管部材2の内部を通過する混合ガス内に含まれる酸素の濃度を検出する。ここで、混合ガスは、酸素濃縮器の外部から流入し、窒素を吸着するフィルタ3を通過した気体である。混合ガスには、外部の空気に含まれる酸素、アルゴン、及びフィルタ3において吸着除去されなかった窒素が少なくとも含まれる。
【0030】
また、
図1に示されるように、酸素濃度測定装置1は、基板4と、基板4の上に実装される薄膜5とを備える。そして、酸素濃度測定装置1は、薄膜5の中央に配置されるヒータ6を備える。ヒータ6は、その上部を緩やかに通過する混合ガスを加熱する。また、酸素濃度測定装置1は、ヒータ6の両脇にサーモパイル7A、7Bを備える。サーモパイル7A、7Bは、夫々の両端の温度差に応じた出力を行う。
【0031】
図2は、ヒータ6から発せられた熱がサーモパイル7Aへ伝わることを表す熱等価回路の一例を例示する。ヒータ6から発せられた熱は、混合ガスによって運ばれ、サーモパイル7Aの接点8及び接点9へ達する。ここで、接点8から接点9へ混合ガスを介して運ばれる熱には、混合ガスの成分比に依存する熱抵抗が定常的に加わるものと考えられる。換言すれば、混合ガスに含まれる成分比が変化し、混合ガスの熱抵抗が変化した場合、接点8の温度と接点9の温度との温度差も変化する。よって、混合ガスに含まれる成分の比率は、サーモパイル7Aの出力より検出される。
【0032】
本実施形態では、フィルタ3の経年劣化などにより変化した混合ガスを、フィルタ3が新たに設置され、所望の通り窒素が除去されて酸素が濃縮された最初期の酸素濃縮ガスに、フィルタ3を通過した外気が混合する混合ガスと仮定して評価している。
【0033】
ここで、最初期の酸素濃縮ガスの物性は、経年した場合であっても変化しない。よって、最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率は経年に関わらず略一定である。つまり、最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率と最初期の酸素濃縮ガスに含まれる濃縮酸素の濃度は、フィルタ3が設置された直後に一度求めておけばよい。
【0034】
また、外気の成分比及び外気の物性も、同様にして経年した場合であっても変化しない。よって、外気の熱伝導率と外気に含まれる酸素の濃度は測定対象の混合ガスの酸素の濃度を測定する前に予め測定することができる。
【0035】
つまり、本実施形態では、測定対象の混合ガス全体の物性の経年変化は、最初期の酸素濃縮ガスの物性及び外気の物性の変化によるものではなく、混合ガスに混入する外気の量が単調に増加することによるものとなる。よって、混合ガス全体に含まれる酸素の濃度と混合ガス全体の熱伝導率との対応関係は、単調な変化を含む関係となる。よって、酸素濃度測定装置1によれば、測定対象の混合ガスの熱伝導率を算出し、算出された混合ガスの熱伝導率に対して、当該対応関係に基づき、混合ガスに含まれる酸素の濃度を一対一に、かつ簡易に算出することができる。その結果、フィルタ3の交換の時期を容易に把握することができる。
【0036】
§2 構成例
[ハードウェア構成]
次に、本実施形態に係る酸素濃度測定装置の一例について説明する。
図1に示されるように、酸素濃度測定装置1は、例えば呼吸器疾患を患う患者が使用する酸素濃縮器の内部に設けられる流管部材2の内部を緩やかに通過する混合ガス内に含まれる酸素の濃度を検
出する。ここで、混合ガスは、酸素濃縮器の外部から流入し、窒素を吸着するフィルタ3を通過した気体である。混合ガスには、外部の空気に含まれる酸素、フィルタ3において吸着除去されなかった窒素、及びアルゴンが少なくとも含まれる。
【0037】
また、
図1に示されるように、酸素濃度測定装置1は、基板4と、基板4の上に実装される薄膜5とを備える。そして、酸素濃度測定装置1は、薄膜5に覆われるヒータ6を備える。ヒータ6は、その上部を通過する混合ガスを加熱する。ここで、ヒータ6は、本発明の「加熱部」の一例である。
【0038】
また、酸素濃度測定装置1は、ヒータ6の両脇にサーモパイル7A、7Bを備える。サーモパイル7A、7Bは、夫々の両端の温度差に応じた出力を行う。また、基板4は、ヒータ6が配置され、薄膜側に開口する空洞20を備える。空洞20の存在により、ヒータ6の近傍の空間には、熱の分布が生じる。ここで、サーモパイル7A、7Bは、本発明の「出力部」の一例である。
【0039】
ここで、サーモパイル7A、7Bの上部を通過する混合ガスの流れは緩やかなので、サーモパイル7A、7Bからの出力は、混合ガスの流れがほぼ止まっている状態での出力となる。
【0040】
また、
図1に示される例では、混合ガスの流れる向きにサーモパイル7Aとサーモパイル7Bとが並んで設けられているが、サーモパイル7Aとサーモパイル7Bとは、混合ガスの流れる向きと垂直方向に並んで設けられてもよい。
[熱伝導率測定原理]
【0041】
図2に示されるように、ヒータ6から発せられた熱は、薄膜5を介してサーモパイル7Aへ達する。ここで、R
sを薄膜の熱抵抗とすると、薄膜5を介して移動する熱には、定
常的にR
sが加わるものと考えられる。また、サーモパイル7Aの薄膜5との片側の接点
8へ達した熱は、サーモパイル7Aを伝って反対側の接点9へ達する。ここで、サーモパイルの熱抵抗をR
tとすると、接点8からサーモパイル7Aを伝って接点9へ達する熱に
は、定常的にR
tが加わるものと考えられる。
【0042】
一方で、ヒータ6から発せられた熱は、薄膜5とは異なり混合ガスによっても運ばれ、サーモパイル7Aの接点8及び接点9へ達する。ここで、混合ガスの熱抵抗をRgとする
と、接点8から接点9へ混合ガスを介して運ばれる熱には、定常的にRgが加わるものと
考えられる。
【0043】
すなわち、サーモパイル7Aの接点8の温度と接点9の温度との温度差ΔTは、ヒータの発熱量をIとすれば、以下の式(2)によって表される。
【数3】
【0044】
よって、式(2)より、ΔTを測定すれば、熱抵抗Rgが求まる。ここで、熱抵抗Rgは、混合ガスの成分比と対応した値である。また、熱抵抗と熱伝導率は、反比例の関係にある。従って、ΔTを測定すれば、混合ガスの熱伝導率を求めることができる。
【0045】
図3は、サーモパイル7Aの出力(前述のΔTに相当)と、混合ガスの熱伝導率λとの関係を図示した一例である。
図3に示されるサーモパイル7Aの出力xと、混合ガスの熱伝導率λとの関係に適合する下記の式(3)の近似式の定数a、b、cを予め決定してお
けば、酸素と窒素の成分比が未知である混合ガスが流管部材2に流れた場合であっても、サーモパイル7Aの出力と式(3)より混合ガスの熱伝導率λが算出可能となる。
λ=ax
2+bx+c・・・(3)
【0046】
[酸素濃度測定原理]
本実施形態では、フィルタ3を透過した混合ガスは、フィルタ3が新たに設置され、所望の通り窒素が除去されて酸素が濃縮された最初期の酸素濃縮ガスと、フィルタ3の経年劣化などにより窒素の吸着効率が低下し、窒素が除去されずにフィルタ3を透過した外気とが混合されたガスと考える。つまり、フィルタ3の設置直後では、フィルタ3の窒素の吸着性能が劣化していないことが想定されるため、混合ガスは最初期の酸素濃縮ガスによって占有される割合が多く、外気の混合比率が小さいガスと考える。一方、フィルタ3が設置されて所定の期間が経過された場合には、フィルタ3の窒素の吸着性能が劣化していることが想定されるため、混合ガス中に占める外気の混合比率は増しているものと考える。ここで、混合ガスは、本発明の「濃縮ガス」の一例である。また、最初期の酸素濃縮ガスは、本発明の「初期濃縮ガス」の一例である。また、外気は、本発明の「酸素濃縮手段を透過した空気」の一例である。また、フィルタ3は、本発明の「酸素濃縮手段」の一例である。
【0047】
最初期の酸素濃縮ガスには、所望の通り濃縮された酸素とアルゴンが含まれる。最初期の酸素濃縮ガスに含まれる酸素の濃度は、例えば96%である。また、外気は、酸素濃縮器が設置される環境に存在する空気であって、酸素と窒素とアルゴンが含まれる。そして、外気の成分比率は、混合ガスの測定の前に事前に求めることができる。
【0048】
ここで、最初期の酸素濃縮ガスに含まれる濃縮された酸素の濃度をCa、最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率をλa、外気に含まれる酸素の濃度をCb、外気の熱伝導率をλbとし、最初期の酸素濃縮ガスに外気が(1-x)%の割合で混入した場合の熱伝導率をλx、酸素の濃度をCxとすれば、下記の式(4)、式(5)が成り立つ。
λx=xλa+(1-x)λb・・・(4)
Cx=xCa+(1-x)Cb・・・(5)
【0049】
また、式(4)と式(5)よりC
xとλ
xとの関係は式(1)の通りとなる。
【数4】
【0050】
ここで、本実施形態では、フィルタ3を取り付けた直後の混合ガスに含まれる酸素濃度及び混合ガスの熱伝導率が測定され、それらの値が夫々最初期の酸素濃縮ガスのC
a及びλ
aとされる。C
aは、酸素濃度測定装置1とは別途設けられた酸素濃度計によって計測される。また、λ
aは、上述の式(2)、式(3)、
図2―
図3に示されるように、サーモパイル7Aの出力から算出される。また、C
aとλ
aは、フィルタ3の経年劣化にかかわらず、略一定であるから、フィルタ3を取り付けた直後に一度測定されるだけでよい。
【0051】
一方、外気のCb及びλbは、測定対象の混合ガスの測定前に事前に測定可能であり、また、Cbとλbとの関係は、略一定の関係である。すなわち、本実施形態に係る酸素濃
度測定装置1は、個体差や機種によりフィルタ3を取り付けた直後の初期濃縮ガスの成分が異なる場合でも、Caとλaをフィルタ3を取り付けた直後に一度測定するだけで式(1)を構築することができ、その後測定対象の混合ガスを流管部材2へ流す場合、サーモパイル7Aの出力から式(1)を用いて混合ガスに含まれる酸素の濃度を算出することができる。つまり、混合ガスに含まれる酸素の濃度を測定するために、事前に多様な酸素濃度に対する混合ガスの熱伝導率の対応関係を予め記憶しておくことをせずに済む。
【0052】
また、
図4は、混合ガスの熱伝導率λ
xと混合ガスに含まれる酸素濃度C
xとの関係の概要の一例を模式的に例示する。本実施形態では、測定対象の混合ガス全体の物性の経年変化は、最初期の酸素濃縮ガスの物性及び外気の物性の変化によるものではなく、混合ガスに混入する外気の量が増加することによるものとなる。よって、
図4に示されるように、混合ガス全体の熱伝導率λ
xは、混合ガスに混入する外気(透過空気)の量が増加するに従い(混合ガス全体に含まれる酸素の濃度C
xは高から低)、単調に減少する対応関係となる。ここで、
図4に示される対応関係は、本発明の「濃縮ガスに含まれる酸素濃縮手段を透過した空気の割合が増加することに従い、濃縮ガスの熱伝導率に対して濃縮ガスに含まれる酸素の濃度は単調に変化する関係」の一例である。そして、当該対応関係は、最初期の酸素濃縮ガスに含まれる濃縮された酸素の濃度C
a、最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率λ
a、外気に含まれる酸素の濃度C
b、外気の熱伝導率λ
bが求まれば定まる関係である。
【0053】
そして、
図4に示されるような混合ガスの熱伝導率λ
xと混合ガスに含まれる酸素濃度C
xとの対応関係を、予めテーブル情報として記憶しておき、当該テーブル情報に基づき、測定対象の混合ガスの熱伝導率から測定対象の酸素濃度を算出することができるまた、ここでは、混合ガスに混入する外気の量が増加するに従い、混合ガスの物性が単調に減少する関係を例示しているが、混合ガスに混入する外気の量が増加するに従い、混合ガスの物性が単調に増加する関係の場合でも、同様にして測定される混合ガスの物性に対応する混合ガスに含まれる成分の濃度を一対一に求めることができる。
【0054】
図5は、従来技術による混合ガスに含まれる酸素濃度の測定の概要の一例を模式的に例示する。
図5に示されるように、混合ガスの成分が3種以上で割合が不明であっても、個々の製品で空気の混入割合を変化させ、その時の混合ガスの物性(音速や熱伝導率など)と酸素濃度を測定すれば酸素濃度と物性との紐付ができる。つまり、
図5に示されるような対応関係を予め求めておき、測定対象の混合ガスの熱伝導率を超音波センサや熱式フローセンサなどにより測定し、予め求めた対応関係を用いることで酸素濃度は算出可能となる。しかしながら、本発明では、式(1)や
図4に示されるように、混合ガスの熱伝導率λ
xと混合ガスに含まれる酸素濃度C
xとの関係が理論的に導出されているのに対し、従来技術では、
図5に示されるように実測により対応関係を得ているに過ぎない。よって、従来技術では、混合ガスに含まれる酸素濃度を求めるために負荷を要する。
【0055】
[機能構成]
次に、酸素濃度測定装置1の機能構成の説明を行う。
図6は、酸素濃度測定装置1の機能ブロック図の概要の一例を模式的に例示する。
【0056】
酸素濃度測定装置1は、制御部10を備える。制御部10は、例えばCPU(Central Process Unit)、及びROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)といった記憶装置から形成される。制御部10は、混合ガスに含まれる酸素と窒素の成分比を変化させた場合のサーモパイル7Aの出力xと、混合ガスの熱伝導率λとの関係に適合する式(3)の定数a、b、cを、測定対象の混合ガスの酸素濃度の測定の前に予め決定する。
図7は、混合ガスに
含まれる酸素と窒素の成分比を変化させ、定数a、b、cを決定する概要の一例を模式的
に例示する。
図7に示されるように、窒素気体と酸素気体とが夫々別々の流管内へ流入する。そして、夫々の流管にMFC(Mass Flow Controller)が設けられ、窒素と酸素の流量が調整される。流量が調整された窒素気体及び酸素気体は、その後合流し、混合ガスとなって1つの流管部材2Aへ流れる。そして、流管部材2Aには、酸素濃度測定装置1が設けられており、混合ガスが流れた場合のサーモパイル7Aの出力が得られる。また、混合ガスの熱伝導率は既知のセンサによって測定される。このようにして得られたサーモパイル7Aの出力と熱伝導率λとの測定データに式(3)が適合するように定数a、b、cを調節する。
【0057】
また、制御部10は、測定対象の混合ガスの酸素濃度の測定時に、サーモパイル7Aの出力と、予め求めておいた定数a、b、cを含む式(3)とから混合ガスの熱伝導率を算
出する。また、制御部10は、算出した測定対象の混合ガスの熱伝導率と、式(1)とから測定対象の混合ガスの酸素濃度を算出する。ここで、制御部10は、本発明の「熱伝導率算出部」及び「酸素濃度算出部」の一例である。また、制御部10は、ヒータ6に所定の電圧を印加し、発熱させる。
【0058】
また、酸素濃度測定装置1は、計測部11を備える。計測部11は、センサ部12を備える。センサ部12は、流管部材2に設けられるサーモパイル7A、7Bの出力を取得する。
【0059】
また、酸素濃度測定装置1は、第一記憶部13を備える。第一記憶部13は、上述の式(3)の定数a、b、cの値を記憶する。
【0060】
また、酸素濃度測定装置1は、第二記憶部14を備える。第二記憶部14は、最初期の酸素濃縮ガスの酸素濃度C
a及び最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率λ
aを記憶する。
図8は、最初期の酸素濃縮ガスの酸素濃度C
a及び最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率λ
aを測定する概要の一例を模式的に例示する。
図8に示されるように、酸素濃縮器にフィルタ3を取り付けた直後にフィルタ3及び酸素濃度測定装置1を通過した混合ガスを既知の熱伝導率測定センサによって測定し、測定された熱伝導率を最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率λ
aとする。また、当該混合ガスに含まれる酸素の濃度を既知の酸素濃度計によって測定し、測定された酸素濃度を最初期の酸素濃縮ガスの酸素濃度C
aとする。ここで、最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率λ
aは、熱伝導率測定センサによる測定ではなく、サーモパイル7Aの出力と、式(3)とを使用して算出されてもよい。
【0061】
また、第二記憶部14は、外気の酸素濃度Cb及び外気の熱伝導率λbを記憶する。外気の酸素濃度Cb及び外気の熱伝導率λbは、酸素濃縮器が設置される環境の空気の酸素濃度及び熱伝導率であるから、混合ガスの測定前に事前に測定される。
【0062】
また、酸素濃度測定装置1は、入力部15を備える。入力部15は、サーモパイル7Aの出力から混合ガスに含まれる酸素の濃度を算出するために必要な既知の情報が入力される。例えば、酸素濃縮器が設置される環境の空気の熱伝導率(外気の熱伝導率λb)、及び当該空気に含まれる酸素の濃度(外気の酸素濃度Cb)などの情報である。
【0063】
また、酸素濃度測定装置1は、出力部16を備える。酸素濃度測定装置1が表示部(例えばディスプレイ)を備える場合、出力部16は、算出された混合ガスに含まれる酸素の濃度を表示部に表示する。
【0064】
§3 動作例
次に、酸素濃度測定装置1の動作例を説明する。
図9は、酸素濃度測定装置1の処理手順を示すフローチャートの一例を模式的に例示する。なお、以下で説明する処理手順は一
例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0065】
(ステップS101)
ステップS101においては、酸素濃縮器の外部から流入した空気がフィルタ3を通過する。空気には、酸素、窒素、及びアルゴンの少なくとも3種類の成分が含まれている。空気がフィルタ3を通過する際に空気の中から窒素が除去される。そして、窒素が除去された空気(測定対象の混合ガス)が流管部材2の内部を流れる。また、流管部材2においては、ヒータ6に制御部10によって所定の電圧が印加され、ヒータ6の近傍に熱の分布が生じている。そして、測定対象の混合ガスは、当該熱の分布が生じている部分を通過する。そして、センサ部12が、測定対象の混合ガスが流れている状態でサーモパイル7A、7Bの出力を取得する。
【0066】
また、入力部15が、サーモパイル7Aの出力から混合ガスに含まれる酸素の濃度を算出するために必要な既知の情報の入力を受け付ける。受け付けられる情報は、例えば、外気の熱伝導率λb、及び外気の酸素濃度Cbなどの情報である。入力された外気の熱伝導率λb及び外気に含まれる酸素濃度Cbは、第二記憶部14によって記憶される。また、最初期の酸素濃縮ガスの酸素濃度Ca及び最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率λaは、上述の通りに事前に測定されて入力される。そして、最初期の酸素濃縮ガスの酸素濃度Ca及び最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率λaも同様に第二記憶部14によって記憶される。また、式(3)の定数a、b、cの値も上述の通りに測定対象の混合ガスの測定の前に決定
され、第一記憶部13によって記憶される。
【0067】
(ステップS102)
ステップS102においては、制御部10が、取得したサーモパイル7Aの出力と、第一記憶部13に記憶される定数a、b、cと、式(3)とから測定対象の混合ガスの熱伝
導率λxを算出する。
【0068】
(ステップS103)
ステップS103においては、制御部10が、算出した測定対象の混合ガスの熱伝導率と、第二記憶部14に記憶される最初期の酸素濃縮ガスの酸素濃度Ca、最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率λa、外気の酸素濃度Cb、及び外気の熱伝導率λbと、式(1)とから測定対象の混合ガスに含まれる酸素の濃度Cxを算出する。
【0069】
ここで、式(1)を使用せずに、第二記憶部が、
図4に示されるような混合ガスの熱伝導率λ
xと混合ガスに含まれる酸素濃度C
xとの対応関係を予めテーブル情報として記憶しておき、制御部10は、算出した混合ガスの熱伝導率λ
xと、当該テーブル情報から混合ガスの酸素濃度C
xを算出してもよい。
【0070】
(ステップS104)
ステップS104においては、出力部16が算出された酸素の濃度を、表示部を介して外部へ表示する。
【0071】
[作用・効果]
上記のような酸素濃度測定装置1によれば、測定対象の混合ガスは、フィルタ3が新たに設置され、所望の通り窒素が除去されて酸素が濃縮された最初期の酸素濃縮ガスと、外気とからなるガスと考える。ここで、最初期の酸素濃縮ガスの酸素とアルゴンとの成分比は、外気の量に依存するものではなく、略一定である。よって、最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率λaは略一定である。つまり、最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率λaと最初期の酸素濃縮ガスに含まれる濃縮酸素の濃度Caとの関係は、略一定であり、一度求めておけ
ばよく、外気の量が変化した場合に再度求めることをせずに済む。
【0072】
一方、外気に含まれる酸素、窒素、及びアルゴンの各成分比は、フィルタ3によって窒素が除去される前の空気の成分比と略同一である。つまり、外気の熱伝導率λbと外気に含まれる酸素の濃度Cbとの関係は、酸素濃縮器の設置環境に存在する空気の熱伝導率と空気に含まれる酸素の濃度の関係ということになる。よって、当該関係は測定対象の混合ガスの酸素の濃度Cxを測定する前に予め求めることができ、又略一定の関係である。
【0073】
よって、上記の酸素濃度測定装置1によれば、最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率λa、最初期の酸素濃縮ガスに含まれる濃縮酸素の濃度Ca、外気の熱伝導率λb、及び外気に含まれる酸素の濃度Cbを測定対象の混合ガスの測定の前に求め、式(1)を構築することができる。そして、式(1)へ測定対象の混合ガスの熱伝導率λxが代入され、混合ガスに含まれる酸素の濃度Cxが簡易に算出可能となる。
【0074】
また、上記の酸素濃度測定装置1によれば、最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率λ
a、最初期の酸素濃縮ガスに含まれる濃縮酸素の濃度C
a、外気の熱伝導率λ
b、及び外気に含まれる酸素の濃度C
bを測定対象の混合ガスの測定の前に求め、
図4に示される単調に変化する対応関係を含むテーブル情報を記憶しておくこともできる。そして、当該テーブル情報を参照して測定対象の混合ガスの熱伝導率λ
xに対する、混合ガスに含まれる酸素の濃度C
xが一対一に算出される。
【0075】
すなわち、上記の酸素濃度測定装置1は、混合ガスに含まれる多様な濃度の酸素に対する混合ガスの熱伝導率の対応関係を予め記憶しておくことをせずに測定対象の混合ガスの酸素の濃度Cxを算出可能である。すなわち、上記のような酸素濃度測定装置1によれば、酸素濃縮器において、フィルタ3を通過し、酸素が濃縮された混合ガスに含まれる当該酸素の濃度を簡易に測定することができる。よって、フィルタ3の交換の時期を容易に把握することができる。
【0076】
また、上記のような酸素濃度測定装置1によれば、ヒータ6による加熱により生じた熱の分布は、混合ガスが流れた場合に変化する。よって、混合ガスが流れる場合と流れない場合とでサーモパイル7A、7Bからの出力は変化する。また、サーモパイル7A、7Bからの出力の変化の大きさは、混合ガスの流量の大きさに関係する。よって、上記の酸素濃度測定装置1によれば、サーモパイル7A、7Bからの出力により混合ガスの流量も算出することができる。つまり、上記のような酸素濃度測定装置1によれば、酸素、窒素、及びアルゴンの少なくとも3つの成分を含む混合ガスの成分比に加えて混合ガスの流量を測定できる。すなわち、上記の酸素濃度測定装置1は、1つの装置により混合ガスの成分比と流量とを測定できるため、コンパクトかつ製造コストの低い装置である。
【0077】
§4 変形例
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0078】
<4.1>
上記の実施形態では、外気は酸素濃縮器が設置された環境における空気であるため、外気の酸素濃度Cb、及び外気の熱伝導率λbは、混合ガスに含まれる酸素濃度の測定前に測定可能であり、当該情報は、酸素濃度を測定する前に入力部15を介して入力されていた。しかし、酸素濃縮器の設置環境が変化し、設置環境の空気の成分比率が変化する場合
がある。または、酸素濃縮器の設置環境の空気の物性が不明であり、外気の酸素濃度Cb、及び外気の熱伝導率λbが不明である場合が考えられる。
【0079】
図10は、上記のような場合に、外気の熱伝導率及び外気の酸素濃度を測定する概要の一例を模式的に例示する。
図10に示されるように、外気の熱伝導率を測定する熱伝導率測定センサ30、及び外気の酸素濃度を測定する酸素濃度計31を酸素濃度測定装置1Aとは別に設ける。そして、外気となる酸素濃縮器の設置環境に存在する空気を酸素濃度測定装置1Aのフィルタ3を通過させずに熱伝導率測定センサ30へ流入させる。そして、外気の熱伝導率λ
bは、熱伝導率測定センサ30によって測定される。また、熱伝導率測定センサ30から流出した外気の酸素濃度C
bは、酸素濃度計31によって測定される。このように測定対象の混合ガスを測定する前に、外気に含まれる酸素濃度C
b及び外気の熱伝導率λ
bは、酸素濃度測定装置1Aとは別手段によって一時的に測定されてもよい。そして、測定された酸素濃度C
b及び外気の熱伝導率λ
bは、上記と同様に測定対象の混合ガスに含まれる酸素濃度を算出する場合に使用される。
【0080】
[作用・効果]
上記のような酸素濃度測定装置1Aは、酸素濃縮器の設置環境の変化により設置環境に存在する空気自体の成分が変わり、外気の成分の比率が変化した場合、又は酸素濃縮器の設置環境の空気の物性が不明である場合であっても、別の測定手段によって測定された外気の酸素濃度C
b、及び外気の熱伝導率λ
bを取得することができる。そして、取得したC
b、及びλ
bに基づき式(1)を更新することができる。また、更新された式(1)に基づき、混合ガスに含まれる酸素濃度を算出することができる。また、
図4に示される対応関係を更新することもできる。つまり、上記の酸素濃度測定装置1Aは、酸素濃縮器の設置環境の変化に関わらず、測定対象の混合ガスの酸素の濃度を精度高く測定することができる。
【0081】
<4.2>
上記の酸素濃度測定装置1は、酸素と窒素とアルゴンの3つの成分を少なくとも含む空気における酸素濃度を測定したが、測定対象は空気に含まれる酸素濃度に限定されない。本実施形態に係る酸素濃度測定装置1は、例えば、3種類の成分A、B及びCを少なくとも含む混合ガスにおいて、成分A、B及びCの何れか1つの成分の濃度を測定してもよい。また、混合ガスに含まれる成分Aと成分Bとの比率が略同一である場合、成分Aと成分Bとを一つの成分とみなし、混合ガスを2成分として成分ABあるいは成分Cの濃度を検出してもよい。この場合、酸素濃度測定装置1Bは、成分ABと成分Cとの成分比を変化させた混合ガスを流管部材2の内部へ流入させる。そして、当該成分比に応じたサーモパイル7Aの出力を測定し、成分比とサーモパイル7Aの出力との対応関係を記憶しておく。そして、酸素濃度測定装置1Bは、測定対象の混合ガスを流管部材に流した場合に、サーモパイル7Aから出力される出力値と、当該対応関係とから、成分ABあるいは成分Cの濃度を算出してもよい。
【0082】
[作用・効果]
上記のような酸素濃度測定装置1Bによれば、混合ガスに含まれる成分A及び成分Bの比率が略同一である場合に、より簡易に成分ABあるいは成分Cの濃度を算出することができる。
【0083】
<4.3>
上記の酸素濃度測定装置1が測定する混合ガスに含まれる酸素、窒素、及びアルゴンの熱伝導率は夫々異なる。しかし、混合ガスに含まれる少なくとも3つの成分A、B、Cのうち、成分AとBの熱伝導率が略同一であり、成分AとCの熱伝導率が異なる場合、混合ガスは、異なる熱伝導率の2つの成分からなるガスと仮定することができる。そこで、酸
素濃度測定装置1Cは、成分A、B、及びCとの成分比を変化させた混合ガスを流管部材2の内部へ流入させる。そして、当該成分比に応じたサーモパイル7Aの出力を測定し、成分比とサーモパイル7Aの出力との対応関係を記憶しておく。このような酸素濃度測定装置1Cは、測定対象の混合ガスを流管部材に流した場合に、サーモパイル7Aから出力される出力値と、当該対応関係とから、成分Cの濃度を算出することができる。
【0084】
[作用・効果]
上記のような酸素濃度測定装置1Cによれば、混合ガスに含まれる少なくとも3つの成分A、B、Cのうち、成分AとBの熱伝導率が略同一であり、成分AとCの熱伝導率が異なる場合に、より簡易に成分Cの濃度を測定することができる。
【0085】
<4.4>
上記の酸素濃度測定装置1によって測定される混合ガスが少なくとも3つの成分A、B、Cを含む場合であって、成分Cの含有率にCの熱伝導率を乗じた値が、混合ガス全体の熱伝導率に対して極端に小さい場合、成分Cを無視し、混合ガスが成分Aと成分Bとの2つの成分からなるガスと仮定してもよい。つまり、成分Cの変化による影響が小さい場合に、混合ガスを成分Aと成分Bからなるガスと仮定してもよい。このような場合、酸素濃度測定装置1Dは、成分Aと成分Bとの成分比を変化させた混合ガスを流管部材2の内部へ流入させる。そして、当該成分比に応じたサーモパイル7Aの出力を測定し、成分比とサーモパイル7Aの出力との対応関係を記憶しておく。そして、酸素濃度測定装置1Dは、測定対象の混合ガスを流管部材2に流した場合に、サーモパイル7Aから出力される出力値と、当該対応関係とから、成分A又は成分Bの濃度を算出してもよい。
【0086】
[作用・効果]
上記のような酸素濃度測定装置1Dによれば、成分Cの変化による影響が小さい場合に、3種類の成分A、B、Cを含む混合ガスの成分A又は成分Bの濃度をより簡易に測定することができる。
【0087】
<4.5>
また、上記の酸素濃度測定装置1では、第一記憶部13が、制御部10によって算出されたサーモパイル7Aの出力と混合ガスの熱伝導率を表す式(3)の定数a、b、cの値
を記憶している。そして、第二記憶部14が、測定された最初期の酸素濃縮ガスの酸素濃度Ca及び最初期の酸素濃縮ガスの熱伝導率λaを記憶している。また、第二記憶部14は、外気の酸素濃度Cb及び外気の熱伝導率λbも記憶している。しかし、酸素濃度測定装置1Eは、サーモパイル7Aから出力される電気信号を直接混合ガスの成分比に変換する数値を記憶してもよい。
【0088】
[作用・効果]
このような酸素濃度測定装置1Eによっても、サーモパイル7Aから出力を使用して測定対象の混合ガスに含まれる酸素濃度は算出される。また、ROMやRAMなどの記憶装置に記憶される情報量は削減される。よって、記憶装置の容量を減らすことができる。
【0089】
以上で開示した実施形態はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【0090】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<付記1>
酸素濃縮器において濃縮後の酸素の濃度を測定する酸素濃度測定装置(1、1A)であって、
空気に含まれる窒素を除去し、酸素を濃縮する酸素濃縮手段(3)によって酸素が濃縮
された濃縮ガスを加熱する加熱部(6)と、
前記加熱部(6)を跨いで並んで配置され、前記濃縮ガスの温度に基づき出力を行う出力部(7A、7B)と、
前記出力部(7A、7B)における出力より、前記濃縮ガスの熱伝導率を算出する熱伝導率算出部(10)と、
前記熱伝導率算出部(10)によって算出される前記濃縮ガスの熱伝導率に対する前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出する酸素濃度算出部(10)と、を備え、
前記濃縮ガスは、前記酸素濃縮手段(3)の使用が開始された初期状態において、該酸素濃縮手段(3)によって酸素が濃縮された初期濃縮ガスと、該酸素濃縮手段(3)を透過した空気と、を含み、
前記酸素濃度算出部(10)は、前記初期濃縮ガスにおける熱伝導率及び酸素濃度と、前記空気における熱伝導率及び酸素濃度と、に基づいて、前記濃縮ガスの熱伝導率に対する前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出することを特徴とする、
酸素濃度測定装置(1、1A)。
<付記2>
前記酸素濃度算出部(10)は、前記初期濃縮ガスにおける熱伝導率をλ
a、酸素濃度をC
aとし、前記酸素濃縮手段(3)を透過した空気における熱伝導率をλ
b、酸素濃度をC
bとし、前記熱伝導率算出部(10)により算出された前記濃縮ガスの熱伝導率をλ
xとし、前記濃縮ガスの酸素濃度をC
xとしたときに、数式(1)によりC
xを算出することを特徴とする、
付記1に記載の酸素濃度測定装置(1、1A)。
【数5】
<付記3>
前記酸素濃度算出部(10)は、前記濃縮ガスにおける、前記初期濃縮ガスと、前記酸素濃縮手段(3)を透過した空気との存在比率を変化させた場合の熱伝導率及び酸素濃度の値によって算出された、前記濃縮ガスにおける熱伝導率と酸素濃度との対応関係(
図4)を参照して、前記濃縮ガスの酸素濃度を算出することを特徴とする、
付記1に記載の酸素濃度測定装置(1、1A)。
<付記4>
前記対応関係(
図4)は、前記濃縮ガスに含まれる前記酸素濃縮手段(3)を透過した空気の割合が増加することに従い、前記濃縮ガスの熱伝導率に対して前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度は単調に変化する関係を含む、
付記3に記載の酸素濃度測定装置(1、1A)。
<付記5>
前記空気に含まれる酸素の濃度と、前記空気の熱伝導率と、を測定する測定手段(30、31)を更に備える、
付記1から4のうち何れか1項に記載の酸素濃度測定装置(1)。
<付記6>
酸素濃縮器において濃縮後の酸素の濃度を測定する酸素濃度測定方法であって、
空気に含まれる窒素を除去し、酸素を濃縮する酸素濃縮手段(3)によって酸素が濃縮された濃縮ガスの熱伝導率を算出する熱伝導率算出ステップ(S102)と、
前記濃縮ガスの熱伝導率に対する前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出する酸素濃度算出ステップ(S103)と、を有し、
前記濃縮ガスは、前記酸素濃縮手段(3)の使用が開始された初期状態において、該酸素濃縮手段(3)によって酸素が濃縮された初期濃縮ガスと、該酸素濃縮手段(3)を透過した空気と、を含み、
前記酸素濃度算出ステップ(S103)においては、前記初期濃縮ガスにおける熱伝導率及び酸素濃度と、前記空気における熱伝導率及び酸素濃度と、に基づいて、前記濃縮ガスの熱伝導率に対する前記濃縮ガスに含まれる酸素の濃度を算出することを特徴とする、
酸素濃度測定方法。
<付記7>
前記酸素濃度算出ステップ(S103)においては、前記初期濃縮ガスにおける熱伝導率をλ
a、酸素濃度をC
aとし、前記酸素濃縮手段(3)を透過した空気における熱伝導率をλ
b、酸素濃度をC
bとし、前記熱伝導率算出ステップ(S102)において算出された前記濃縮ガスの熱伝導率をλ
xとし、前記濃縮ガスの酸素濃度をC
xとしたときに、数式(1)によりC
xを算出することを特徴とする、
付記6に記載の酸素濃度測定方法。
【数6】
<付記8>
前記酸素濃度算出ステップ(S103)においては、前記濃縮ガスにおける、前記初期濃縮ガスと、前記酸素濃縮手段(3)を透過した空気との存在比率を変化させた場合の熱伝導率及び酸素濃度の値によって算出された、前記濃縮ガスにおける熱伝導率と酸素濃度との対応関係(
図4)を参照して、前記濃縮ガスの酸素濃度を算出することを特徴とする、
付記6に記載の酸素濃度測定方法。
【符号の説明】
【0091】
1、1A、1B、1C、1D、1E :酸素濃度測定装置
2、2A :流管部材
3 :フィルタ
4 :基板
5 :薄膜
6 :ヒータ
7A、7B :サーモパイル
8 :接点
9 :接点
10 :制御部
11 :計測部
12 :センサ部
13 :第一記憶部
14 :第二記憶部
15 :入力部
16 :出力部
20 :空洞
30 :熱伝導率測定センサ
31 :酸素濃度計