(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-24
(45)【発行日】2022-09-01
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20220825BHJP
B60W 30/16 20200101ALI20220825BHJP
【FI】
B60K11/04 J
B60W30/16
(21)【出願番号】P 2018136911
(22)【出願日】2018-07-20
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増山 将
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-283837(JP,A)
【文献】特開2014-084073(JP,A)
【文献】特開2018-109397(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0036991(US,A1)
【文献】特開2012-201133(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0080018(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0343892(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
B60W 30/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方を走行する先行車両を特定する先行車両特定部と、
前記先行車両の後方で発生する低圧領域を導出する低圧領域導出部と、
前記低圧領域内で前記自車両が前記先行車両に追従するように、前記自車両の走行を制御する走行制御部と、
前記自車両の前面部に形成された開口を開閉する開閉部材と、
前記低圧領域内を前記自車両が走行しているとき、前記自車両の冷却性能に応じて、前記開閉部材の開度を制御する開閉制御部と、
前記自車両の駆動源を冷却するためのファンと、
前記自車両が前記低圧領域内に位置するときの前記自車両の低圧領域内消費エネルギーと、前記自車両が前記低圧領域外に位置するときの前記自車両の低圧領域外消費エネルギーと、前記ファンを駆動した際のファン駆動時消費エネルギーとを導出する消費エネルギー導出部と、
を備え
、
前記走行制御部は、前記ファン駆動時消費エネルギーが前記低圧領域内消費エネルギーと前記低圧領域外消費エネルギーとの差分である差分消費エネルギー未満である場合、前記自車両を前記低圧領域内で走行させ、前記ファン駆動時消費エネルギーが前記差分消費エネルギー以上である場合、前記自車両を前記低圧領域内から離脱させる、
車両制御装置。
【請求項2】
前記開閉制御部は、前記自車両の駆動源に応じた温度が所定の第1温度未満である場合、前記開閉部材の開度を閉状態に制御し、前記温度が前記第1温度以上である場合、前記開閉部材の開度を開状態に制御する
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記温度が前記第1温度より高い第2温度以上である場合、前記ファンの駆動を制御する回転数制御部と、
を備える
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記回転数制御部は、前記
ファン駆動時消費エネルギーが前記差分消費エネルギー未満である場合、前記ファンを駆動させ、前記ファン駆動時消費エネルギーが前記差分消費エネルギー以上である場合、前記ファンの駆動を停止させる、
請求項3に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転者の運転支援を行う車両制御装置について開示がある。車両制御装置は、自車両の前方を走行する先行車両を特定する。車両制御装置は、特定した先行車両と自車両の車間距離を所定車間距離に設定する。ここで、所定車間距離は、自車両における空気抵抗を低減させる先行車両との車間距離である。車両制御装置は、自車両が設定された所定車間距離で走行するように運転者を誘導する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、自車両が設定された所定車間距離(すなわち、自車両における空気抵抗を低減させる先行車両との車間距離)で走行する場合、自車両に当たる走行風は減少する。自車両に当たる走行風が減少すると、自車両の冷却性能が低減するおそれがある。
【0005】
本発明は、車両の消費エネルギーを低減しつつ、冷却性能を向上させることが可能な車両制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両制御装置は、自車両の前方を走行する先行車両を特定する先行車両特定部と、先行車両の後方で発生する低圧領域を導出する低圧領域導出部と、低圧領域内で自車両が先行車両に追従するように、自車両の走行を制御する走行制御部と、自車両の前面部に形成された開口を開閉する開閉部材と、低圧領域内を自車両が走行しているとき、自車両の冷却性能に応じて、開閉部材の開度を制御する開閉制御部と、自車両の駆動源を冷却するためのファンと、自車両が低圧領域内に位置するときの自車両の低圧領域内消費エネルギーと、自車両が低圧領域外に位置するときの自車両の低圧領域外消費エネルギーと、ファンを駆動した際のファン駆動時消費エネルギーとを導出する消費エネルギー導出部と、を備え、走行制御部は、ファン駆動時消費エネルギーが低圧領域内消費エネルギーと低圧領域外消費エネルギーとの差分である差分消費エネルギー未満である場合、自車両を低圧領域内で走行させ、ファン駆動時消費エネルギーが差分消費エネルギー以上である場合、自車両を低圧領域内から離脱させる。
【0007】
開閉制御部は、自車両の駆動源に応じた温度が所定の第1温度未満である場合、開閉部材の開度を閉状態に制御し、温度が第1温度以上である場合、開閉部材の開度を開状態に制御してもよい。
【0008】
温度が第1温度より高い第2温度以上である場合、ファンの駆動を制御する回転数制御部と、を備えてもよい。
【0009】
回転数制御部は、ファン駆動時消費エネルギーが差分消費エネルギー未満である場合、ファンを駆動させ、ファン駆動時消費エネルギーが差分消費エネルギー以上である場合、ファンの駆動を停止させてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両の消費エネルギーを低減しつつ、冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】自車両の概略的な構成を示した機能ブロック図である。
【
図2】輝度画像と距離画像を説明するための説明図である。
【
図3】走行制御処理の全体的な流れを示したフローチャートである。
【
図4】追従制御処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、自車両1の概略的な構成を示した機能ブロック図である。自車両1は、撮像装置10と、車両制御装置100を含んで構成される。撮像装置10は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子を2つ含んで構成される。2つの撮像素子は、自車両1の進行方向(前方)側に配される。2つの撮像素子の撮像面は、自車両1の進行方向に向いている。2つの撮像素子は、それぞれの光軸が略平行に配される。2つの撮像素子は、略水平方向に離隔して配置される。
【0015】
撮像装置10は、自車両1の前方の道路環境を撮像する。撮像装置10は、撮像した画像データを車両制御装置100に送信する。撮像装置10は、カラー画像、すなわち、画素単位で3つの色相(赤:R、緑:G、青:B)の輝度を取得することができる。ここでは、撮像装置10で撮像されたカラー画像を輝度画像と呼び、後述する距離画像と区別する。
【0016】
車両制御装置100は、自律センサ部102と、車両制御部104を含んで構成される。自律センサ部102は、CPU(Central Control Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含むマイクロコンピュータで構成される。ROMには、プログラム等が格納される。RAMは、ワークエリアとして機能する。
【0017】
自律センサ部102は、撮像装置10により撮像された画像データを取得する。自律センサ部102は、取得した画像データにおける色情報や位置情報に基づいて立体物を特定する。また、自律センサ部102は、特定した立体物までの距離を導出する。自律センサ部102は、画像処理部110と、先行車両特定部112と、車間距離導出部114と、道路環境特定部116として機能する。
【0018】
画像処理部110は、例えば1/60秒のフレーム毎(60fps)に撮像装置10から画像データを連続して取得する。画像処理部110は、画像データの更新を契機として画像処理を遂行する。
【0019】
図2は、輝度画像210と距離画像212を説明するための説明図である。画像処理部110は、撮像装置10の2つの撮像素子それぞれから画像データを取得すると、所謂パターンマッチングを用いて視差(視差情報)を導き出す。具体的に、画像処理部110は、
図2(a)に示した一方の画像データに基づく輝度画像210から任意に抽出したブロック(例えば水平4画素×垂直4画素の配列)に対応するブロックを、他方の画像データに基づく輝度画像210から検索する。ここで、水平は、撮像した画像の画面横方向を示し、垂直は、撮像した画像の画面縦方向を示す。
【0020】
画像処理部110は、導出した視差情報(後述する車間距離に相当)を画像データに対応付け、
図2(b)に示す距離画像212を生成する。距離画像212における各ブロックには、そのブロックの視差が関連付けられている。ここでは、説明の便宜上、距離画像212では視差が導出されたブロックを黒のドットで表している。
【0021】
図1に戻り、先行車両特定部112は、画像処理部110から輝度画像210と距離画像212とを取得する。先行車両特定部112は、距離画像212における、検出領域214内のブロック毎の視差情報を、所謂ステレオ法を用いて、水平距離、高さおよび相対距離を含む三次元の位置情報に変換する。ここで、ステレオ法は、三角測量法を用いることで、立体物の視差からその立体物の撮像装置10に対する相対距離を導出する方法である。
【0022】
先行車両特定部112は、輝度画像210に基づく輝度および距離画像212に基づく三次元の位置情報を用いて検出領域214における対象部位(画素やブロック)がいずれの立体物に対応するかを特定する。このとき、先行車両特定部112は、対象部位の相対距離と、対象部位と同相対距離にある道路表面上の点と対象部位との距離画像212上の検出距離とに基づいて、対象部位の道路表面からの高さを導出する。
【0023】
先行車両特定部112は、任意の対象部位を基点として、その対象部位と、水平距離の差分および高さの差分(さらに相対距離の差分を含めてもよい)が所定範囲内にある、同一の立体物に対応するとみなされた対象部位をグループ化する。ここで、所定範囲は、実空間上の距離で表され、任意の値(例えば、1.0m等)に設定することができる。また、先行車両特定部112は、グループ化により新たに追加された対象部位に関しても、その対象部位を基点として、水平距離の差分および高さの差分が所定範囲内にある、立体物が等しい対象部位をグループ化する。結果的に、対象部位同士の距離が所定範囲内にあれば、それら全ての対象部位がグループ化される。
【0024】
先行車両特定部112は、自車両1前方の所定車間距離内に位置する立体物の形状、高さおよび大きさ、ならびに、立体物におけるテールランプやウインカの相対位置等に基づいて、車両の有無を特定する。車両を特定した場合、先行車両特定部112は、特定した車両の形状(輪郭、後方投影面積、車高、車幅など)を特定する。
【0025】
先行車両特定部112は、自車両1前方の道路環境にある車両のうち、自車両1と同方向に進行している車両(以下、先行車両と呼ぶ)を特定する。すなわち、先行車両特定部112は、自車両1の前方を走行する先行車両を特定する。
【0026】
先行車両特定部112は、特定した先行車両のそれぞれに異なるIDを付す。先行車両特定部112は、IDによってそれぞれの先行車両を追尾する。先行車両特定部112は、輝度画像210から特定される走行帯を参照し、例えば、自車両1と同一の走行帯に車両がある場合、その車両を同一走行帯先行車両(以下、単に先行車両とも呼ぶ)として特定する。
【0027】
車間距離導出部114は、先行車両特定部112により特定された先行車両としてグループ化された1または複数の対象部位の相対距離の平均値を、自車両1および先行車両間の車間距離として導出する。車間距離導出部114は、自車両1および先行車両の走行に関する先行車両走行情報として、導出した車間距離を車両制御部104に送信する。
【0028】
道路環境特定部116は、自車両1前方の所定車間距離内に位置する立体物の形状、高さ、大きさおよび色等に基づいて、自車両1が走行する道路環境を特定する。例えば、道路環境特定部116は、自車両1が走行する道路形状や道路に立設する壁部(防音壁やトンネル)の有無などを特定する。また、道路環境特定部116は、輝度画像210に基づいて道路の区画線(白線や黄線等)を特定し、自車両1が走行する道路の走行帯の数(車線数)およびカーブの有無などを特定する。また、道路環境特定部116は、自車両1に対する先行車両の鉛直方向の位置(高さ)を特定し、自車両1が走行する道路の勾配を特定する。また、道路に立設する壁部を特定した場合、道路環境特定部116は、特定した壁部(防音壁やトンネル)の形状(輪郭、面積、高さ、幅など)を特定する。
【0029】
車両制御部104は、CPU、ROM、RAMを含むマイクロコンピュータで構成される。車両制御部104は、車両情報取得部120、相対速度導出部122、走行制御部124、低圧領域導出部126、開閉制御部128、回転数制御部130、消費エネルギー導出部132として機能する。また、自車両1は、車車間通信部12、速度センサ14、加速度センサ16、ハンドルセンサ18、ヨーレートセンサ20、ウインカセンサ22、GPSセンサ24、水温センサ26、ファン28、アクティブグリルシャッター(AGS)30を含んで構成される。ここで、本実施形態では、ファン28は、ラジエータに取り付けられるラジエータファンである。ファン28およびAGS30の詳細については、後述する。
【0030】
車両制御部104は、車車間通信部12と接続されている。車車間通信部12は、先行車両と無線により通信を行い、車両に関する情報を送受信する。つまり、車車間通信部12は、自車両1に関する情報(以下、自車両情報とも呼ぶ)を先行車両に送信する。また、車車間通信部12は、先行車両で生成された、先行車両に関する情報(以下、先行車両情報とも呼ぶ)を先行車両から受信し、車両制御部104に送信する。ここで、車両に関する情報には、車両の形状、位置、速度(車速)、加速度、ヨーレート、舵角およびウインカの指示方向の情報が含まれる。
【0031】
また、車両情報取得部120は、速度センサ14と、加速度センサ16と、ハンドルセンサ18と、ヨーレートセンサ20と、ウインカセンサ22と、GPSセンサ24と、水温センサ26とに、それぞれ接続される。速度センサ14は、自車両1の速度を検出する。加速度センサ16は、自車両1の加速度を検出する。ハンドルセンサ18は、自車両1に設けられたハンドルの舵角を検出する。ヨーレートセンサ20は、自車両1のヨーレートを検出する。ウインカセンサ22は、自車両1のウインカの指示方向を検出する。GPSセンサ24は、自車両1の位置(緯度、経度)情報を検出する。水温センサ26は、自車両1のエンジン内を流通する冷却水の温度を検出する。車両情報取得部120は、各センサによって検出された自車両1の速度、加速度、舵角、ヨーレート、ウインカの指示方向、位置情報、および、冷却水の温度を、まとめて自車両情報として取得する。
【0032】
また、車両情報取得部120は、先行車両特定部112により特定された先行車両に関する情報(例えば、先行車両の形状)を、先行車両情報として取得する。車両情報取得部120は、車間距離導出部114により導出された先行車両の走行に関する情報(例えば、車間距離)を、先行車両走行情報として取得する。車両情報取得部120は、道路環境特定部116により特定された道路環境に関する情報(例えば、防音壁やカーブの有無)を、道路環境情報として取得する。
【0033】
相対速度導出部122は、先行車両特定部112により先行車両が特定されている場合、車間距離の差分を計測時間間隔で除算する。これにより、相対速度導出部122は、自車両1および先行車両間の相対速度を導出する。また、相対速度導出部122は、自車両1の速度(車速)に相対速度を加算して、先行車両の速度(車速)を導出する。
【0034】
走行制御部124は、自車両1の走行を制御する。走行制御部124は、運転者の操作部に対する操作に応じて、運転支援走行制御(ACC(Adaptive Cruise Control))を行う。運転支援走行制御では、運転者の運転操作の支援が行われる。走行制御部124は、運転支援走行制御を行うと、運転者により指示された所定の速度に自車両1を維持させる。
【0035】
また、走行制御部124は、運転支援走行制御を行っている間、先行車両特定部112により先行車両が特定されると、先行車両と所定の車間距離を維持しつつ、自車両1を先行車両に追従させる追従制御を行う。つまり、走行制御部124は、走行制御中、先行車両がない場合には運転者により指示された速度に自車両1を維持させ、先行車両がある場合には自車両1を先行車両に追従させる。
【0036】
低圧領域導出部126は、先行車両特定部112により先行車両が特定されている場合、先行車両の後方に発生する低圧領域を導出する。開閉制御部128は、AGS(開閉部材)30の開度(駆動)を制御する。回転数制御部130は、ファン28の駆動(回転数)を制御する。消費エネルギー導出部132は、自車両1の消費エネルギー(燃費あるいは電費)を導出する。低圧領域導出部126、開閉制御部128、回転数制御部130、および、消費エネルギー導出部132の詳細については、後述する。
【0037】
ところで、道路を走行する車両には、車速の二乗に比例する空気抵抗が働く。したがって、道路を走行する車両は、車速が大きくなるにつれ、空気抵抗に抗するための消費エネルギーが大きくなる。ここで、道路を走行する車両の後方には、周辺領域より低圧となる低圧領域が発生する。低圧領域では、空気密度が小さくなるため、空気抵抗が低減される。
【0038】
本実施形態では、走行制御部124は、先行車両によって発生した低圧領域内で自車両1を走行させる(いわゆるスリップストリーム状態で走行させる)ことにより自車両1の空気抵抗を低減させる。走行制御部124は、自車両1を低圧領域内で走行させることにより、自車両1の消費エネルギーを低減させることができる。つまり、走行制御部124は、自車両1を低圧領域内で走行させることにより、自車両1の燃費あるいは電費を向上させることができる。
【0039】
低圧領域導出部126は、先行車両の後方に発生する低圧領域を導出する。具体的に、低圧領域導出部126は、先行車両の後端部から先行車両の進行方向と反対方向に延在する低圧領域の範囲(以下、低圧領域距離と呼ぶ)を導出する。なお、低圧領域距離は、先行車両の車速および後方投影面積に応じて変化する。例えば、先行車両の車速が大きくなるほど、低圧領域距離は長くなる。また、先行車両の後方投影面積が大きくなるほど、低圧領域距離は長くなる。
【0040】
本実施形態では、車両制御部104は、不図示の記憶部に低圧領域マップを格納(記憶)している。低圧領域マップは、先行車両の車速および後方投影面積に関連付けて、予め実験により得られた低圧領域距離を定めたマップである。低圧領域導出部126は、低圧領域マップを参照し、相対速度導出部122により導出された先行車両の車速および車両情報取得部120により取得された先行車両の後方投影面積に基づいて、低圧領域距離を導出する。
【0041】
走行制御部124は、車間距離導出部114により導出された車間距離が低圧領域導出部126により導出された低圧領域距離より小さくなるように、自車両1の走行を制御する。つまり、走行制御部124は、自車両1の少なくとも一部が先行車両の後方に発生する低圧領域内に収まるように、自車両1の走行を制御する。好ましくは、走行制御部124は、自車両1全体が先行車両の後方に発生する低圧領域内に収まるように、自車両1の走行を制御する。すなわち、走行制御部124は、低圧領域内で自車両1が先行車両に追従するように、自車両1の走行を制御する。これにより、走行制御部124は、自車両1の走行時の空気抵抗(すなわち、消費エネルギー)を低減させることができる。
【0042】
低圧領域は、先行車両の後端部に近づくほど、空気密度が小さくなる。つまり、低圧領域は、先行車両の後端部に近づくほど低圧になる。したがって、自車両1と先行車両との車間距離が小さいほど、自車両1に働く空気抵抗は小さくなる。ただし、自車両1と先行車両との車間距離が小さいほど、自車両1は先行車両と衝突する可能性が高くなる。
【0043】
そのため、走行制御部124は、車間距離導出部114により導出された車間距離が、安全運転の観点から維持すべき車間距離(以下、最低車間距離と呼ぶ)未満とならないように、自車両1の走行を制御する。
【0044】
ここで、走行制御部124は、車車間通信部12から先行車両情報を取得している場合、車車間通信部12から先行車両情報を取得していない場合よりも小さい値に最低車間距離を設定してもよい。車車間通信部12は、先行車両情報(例えば、加速度に関する情報)をリアルタイムに得ることができる。したがって、走行制御部124は、先行車両の走行状態が変化しても即座に対応でき、自車両1が先行車両と衝突しないように自車両1の走行を制御することができる。
【0045】
なお、走行制御部124は、道路環境特定部116により特定された道路環境に応じて、自車両1と異なる走行帯を走行している先行車両(以下、別走行帯先行車両と呼ぶ)に追従するように、自車両1の走行を制御してもよい。具体的に、走行制御部124は、別走行帯先行車両の低圧領域内に自車両1の少なくとも一部が収まるように、自車両1の走行を制御してもよい。例えば、自車両1が走行する走行帯に隣接して防音壁が配される場合、同一走行帯先行車両の後方を流れる走行風は、防音壁に衝突および反射し、自車両1に向かって流れることがある。その場合、自車両1は、防音壁から反射した走行風を受け、空気抵抗が増大するおそれがある。
【0046】
そのため、走行制御部124は、自車両1が走行する走行帯に隣接して防音壁が配される場合、別走行帯先行車両の低圧領域内に自車両1の少なくとも一部が収まるように、自車両1の走行を制御してもよい。
【0047】
また、走行制御部124は、低圧領域導出部126により導出された低圧領域距離に応じて、別走行帯先行車両に追従するように、自車両1の走行を制御してもよい。具体的に、走行制御部124は、別走行帯先行車両の低圧領域内に自車両1の少なくとも一部が収まるように、自車両1の走行を制御してもよい。先行車両特定部112が別走行帯先行車両を特定した場合、低圧領域導出部126は、別走行帯先行車両の低圧領域距離を導出する。走行制御部124は、同一走行帯先行車両の低圧領域距離と、別走行帯先行車両の低圧領域距離とを比較する。
【0048】
その結果、同一走行帯先行車両の低圧領域距離よりも別走行帯先行車両の低圧領域距離の方が大きければ、走行制御部124は、別走行帯先行車両に追従するように、自車両1の走行を制御してもよい。また、走行制御部124は、先行車両特定部112が複数の別走行帯先行車両を特定した場合、同一走行帯先行車両の低圧領域距離および複数の別走行帯先行車両の低圧領域距離のうち最も大きい低圧領域距離を有する先行車両を判定してもよい。そして、走行制御部124は、判定した最も大きい低圧領域距離を有する先行車両に追従するように、自車両1の走行を制御してもよい。
【0049】
ところで、自車両1が低圧領域内を走行する場合、自車両1に当たる走行風は減少する。自車両1に当たる走行風が減少すると、自車両1の冷却性能が低減するおそれがある。
【0050】
そこで、本実施形態では、自車両1は、ファン28と、AGS30とを備えている。自車両1の前部には、エンジンルームが配される。自車両1のエンジンルームには、エンジンおよびラジエータが収容される。ラジエータは、エンジン内を流通する冷却水を冷却する。冷却水は、エンジン内を流通することで、エンジンを冷却する。ファン28は、ラジエータに取り付けられる。つまり、ファン28は、ラジエータと一体的にエンジンルーム内に収容される。ファン28は、羽根を回転させることでラジエータに空気を当てて強制的に冷却する。ラジエータを冷却することで冷却水が冷却されやすくなり、その結果として、自車両1のエンジンの冷却性能が向上する。このように、自車両1には、エンジン(駆動源)を冷却するためのラジエータおよびファン28が設けられている。
【0051】
また、エンジンルームの前方(進行方向側)には、自車両1のフロントグリル(前面部)が配される。フロントグリルには、開口が形成される。そして、フロントグリルの開口には、AGS30が配される。フロントグリルの開口にAGS30が配されると、ファン28およびラジエータの前方(進行方向側)には、AGS30が配される。AGS30は、自車両1のフロントグリルに形成された開口を開閉する。AGS30がフロントグリルの開口を開くことで、外気をエンジンルーム内に導入させ易くすることができる。また、AGS30がフロントグリルの開口部を閉じることで、外気をエンジンルーム内に導入させ難くすることができる。
【0052】
開閉制御部128は、自車両1の冷却性能(例えば、水温センサ26により検出された冷却水の温度)に応じて、AGS30の開度(駆動)を制御する。また、回転数制御部130は、自車両1の冷却性能(例えば、水温センサ26により検出された冷却水の温度)に応じて、ファン28の回転数(駆動)を制御する。
【0053】
まず、開閉制御部128は、自車両1が低圧領域内を走行しているとき、冷却水の温度が所定の第1温度以上であるか否か判定する。ここで、所定の第1温度は、冷却水の適正温度の範囲内となる温度であり、適正温度の上限とされる温度より所定値分だけ低い温度である。そして、開閉制御部128は、冷却水の温度が所定の第1温度未満である場合、AGS30の開度を閉状態(全閉状態)に制御する。AGS30の開度を全閉状態に制御することで、開閉制御部128は、自車両1に働く空気抵抗を小さくすることができる。また、AGS30の開度を全閉状態に制御することで、開閉制御部128は、走行風(外気)をエンジンルーム内に導入させ難くし、エンジンの暖機を促進させることができる。
【0054】
開閉制御部128は、冷却水の温度が所定の第1温度以上である場合、エンジンを冷却する必要があると判定する。冷却水の温度が所定の第1温度を超えてさらに温度が高くなると、エンジンが過熱(オーバーヒート)し、エンジンの性能が低下するおそれがある。特に、自車両1が低圧領域を走行した場合、自車両1に当たる走行風が減少するため、冷却水の温度は、所定の第1温度以上となりやすい。
【0055】
そこで、開閉制御部128は、冷却水の温度が所定の第1温度以上である場合、AGS30の開度を開状態に制御する。開閉制御部128は、AGS30の開度を開状態に制御することで、フロントグリルの開口を介してエンジンルーム内に走行風を導入させる。エンジンルーム内に走行風を導入させることで、ラジエータおよびエンジンが冷却される。ラジエータおよびエンジンが冷却されると、冷却水の温度は低下する。
【0056】
このように、開閉制御部128は、自車両1が低圧領域内を走行しているとき、冷却水の温度が所定の第1温度以上になると、AGS30の開度を開状態に制御する。開閉制御部128は、AGS30の開度を開状態に制御することで、エンジンルーム内に導入される走行風の風量を増加させることができる。その結果、開閉制御部128は、自車両1の冷却性能を向上させることができる。つまり、開閉制御部128は、自車両1が低圧領域内を走行しているときに、AGS30の開度を制御することで、自車両1に必要な冷却性能を確保することができる。
【0057】
より詳細には、開閉制御部128は、冷却水の温度が所定の第1温度以上である場合に、冷却水の温度に応じて、AGS30の開度(開状態)を制御する。具体的に、開閉制御部128は、冷却水の温度が所定の第1温度より高くなるにつれ、AGS30の開度が大きくなるように制御する。換言すれば、開閉制御部128は、冷却水の温度が所定の第1温度に近づくほど、AGS30の開度が小さくなるように制御する。AGS30の開度が大きくなるほど、エンジンルーム内に導入される走行風の風量は増加する。エンジンルーム内に導入される走行風の風量が増加するほど、ラジエータおよびエンジンが冷却されるため、自車両1の冷却性能は向上される。
【0058】
一方、AGS30の開度が大きくなるほど、自車両1に働く空気抵抗は大きくなる。したがって、開閉制御部128は、冷却水の温度が所定の第1温度に近づくほど、AGS30の開度を小さくする。走行制御部124は、冷却水の温度が所定の第1温度に近づくほどAGS30の開度を小さくすることで、エンジンの冷却に必要な冷却性能を維持しつつ、自車両1に働く空気抵抗を小さくすることができる。ただし、これに限定されず、開閉制御部128は、冷却水の温度が所定の第1温度になった際に、AGS30の開度を全開状態に制御してもよい。
【0059】
つぎに、回転数制御部130は、自車両1が低圧領域内を走行しているとき、冷却水の温度が所定の第1温度より高い所定の第2温度以上であるか否か判定する。そして、回転数制御部130は、冷却水の温度が所定の第2温度以上である場合、ファン28の駆動を開始する。ここで、自車両1が低圧領域内を走行する場合、自車両1に当たる走行風は減少するため、冷却水の温度は、AGS30の開度を全開状態にしても、所定の第1温度から上昇し続け、所定の第2温度以上となる場合がある。
【0060】
そのため、回転数制御部130は、冷却水の温度が所定の第2温度以上である場合、ファン28を駆動し、ラジエータに対し強制的に風(以下、ラジファン風とも呼ぶ)を送る。ラジエータは、ファン28によりラジファン風が送られると冷却される。ラジエータが冷却されると、冷却水の温度は低下する。
【0061】
このように、回転数制御部130は、自車両1が低圧領域内を走行しているとき、冷却水の温度が所定の第2温度以上になると、ファン28を駆動する。このとき、開閉制御部128は、AGS30の開度を全開状態に制御している。開閉制御部128および回転数制御部130は、AGS30およびファン28を駆動制御することで、ラジエータを走行風およびラジファン風により冷却することができる。その結果、開閉制御部128および回転数制御部130は、自車両1の冷却性能を向上させることができる。
【0062】
より詳細には、回転数制御部130は、冷却水の温度が所定の第2温度以上である場合、冷却水の温度に応じて、ファン28の回転数を制御する。具体的に、回転数制御部130は、冷却水の温度が所定の第2温度より高くなるにつれ、ファン28の回転数が大きくなるように制御する。換言すれば、回転数制御部130は、冷却水の温度が所定の第2温度に近づくほど、ファン28の回転数が小さくなるように制御する。ファン28の回転数が大きくなるほど、ラジエータに送られるラジファン風の風量は増加する。ラジエータに送られるラジファン風の風量が増加するほど、自車両1の冷却性能は向上される。
【0063】
一方、ファン28の回転数が大きくなるほど、ファン28の消費エネルギーは増大する。したがって、回転数制御部130は、冷却水の温度が所定の第2温度に近づくほど、ファン28の回転数を小さくする。回転数制御部130は、冷却水の温度が所定の第2温度に近づくほどファン28の回転数を小さくすることで、エンジンの冷却に必要な冷却性能を維持しつつ、自車両1の消費エネルギーの増大を抑制することができる。
【0064】
ここで、消費エネルギー導出部132は、ファン28を駆動した際の消費エネルギー(以下、ファン駆動時消費エネルギーと呼ぶ)を導出する。また、消費エネルギー導出部132は、自車両1が低圧領域外に位置するときの自車両1の消費エネルギー(以下、低圧領域外消費エネルギーと呼ぶ)を導出する。具体的に、消費エネルギー導出部132は、自車両1が低圧領域外に位置するときの自車両1の燃費を低圧領域外消費エネルギーとして導出する。また、消費エネルギー導出部132は、自車両1が低圧領域内に位置するときの自車両1の消費エネルギー(以下、低圧領域内消費エネルギーと呼ぶ)を導出する。具体的に、消費エネルギー導出部132は、自車両1が低圧領域内に位置するときの自車両1の燃費を低圧領域内消費エネルギーとして導出する。このように、本実施形態では、低圧領域外消費エネルギーおよび低圧領域内消費エネルギーは、自車両1の燃費として導出される。ただし、これに限定されず、低圧領域外消費エネルギーおよび低圧領域内消費エネルギーは、自車両1の電費として導出されてもよい。
【0065】
また、消費エネルギー導出部132は、低圧領域外消費エネルギーと、低圧領域内消費エネルギーとの差分(以下、差分消費エネルギーと呼ぶ)を導出する。回転数制御部130は、この差分消費エネルギーとファン駆動時消費エネルギーとに基づいて、ファン28の駆動を制御する。まず、回転数制御部130は、差分消費エネルギーとファン駆動時消費エネルギーとを比較する。そして、回転数制御部130は、ファン駆動時消費エネルギーが差分消費エネルギー以上であるか否かを判定する。
【0066】
そして、ファン駆動時消費エネルギーが差分消費エネルギー未満である場合、走行制御部124は、冷却水の温度が所定の第2温度より高い所定の第3温度以上であるか否か判定する。ここで、所定の第3温度は、エンジンが過熱(オーバーヒート)するとされる冷却水の温度より所定値分だけ低い温度である。走行制御部124は、冷却水の温度が所定の第3温度以上である場合、自車両1を低圧領域内から離脱させるように(すなわち、自車両1が低圧領域外に位置するように)、自車両1の走行を制御する。
【0067】
冷却水の温度が所定の第3温度を超えてさらに温度が高くなると、エンジンが過熱し、エンジンの性能が低下するおそれがある。したがって、走行制御部124は、冷却水の温度が所定の第3温度以上である場合、AGS30の開度を開状態としたまま、自車両1を低圧領域内から離脱させる。自車両1が低圧領域内から離脱することで、走行風による自車両1の冷却性能が向上する。
【0068】
一方、走行制御部124は、冷却水の温度が所定の第3温度未満である場合、自車両1を低圧領域内で走行させる。また、回転数制御部130は、ファン駆動時消費エネルギーが差分消費エネルギー未満であり、かつ、冷却水の温度が所定の第3温度未満である場合、AGS30の開度を開状態としたまま、ファン28を駆動する。ファン駆動時消費エネルギーが差分消費エネルギー未満である場合、ファン駆動時消費エネルギーは、自車両1が低圧領域内を走行することで低減される消費エネルギーよりも小さい。したがって、回転数制御部130は、ファン28を駆動させても自車両1の消費エネルギーが低減(すなわち、燃費あるいは電費が向上)されると判定する。
【0069】
一方、走行制御部124は、ファン駆動時消費エネルギーが差分消費エネルギー以上である場合、自車両1を低圧領域内から離脱させるように(すなわち、自車両1が低圧領域外に位置するように)、自車両1の走行を制御する。このように、走行制御部124は、差分消費エネルギーとファン駆動時消費エネルギーに基づいて、自車両1を低圧領域内で走行させるか否か判定している。ファン駆動時消費エネルギーが差分消費エネルギー以上である場合、ファン駆動時消費エネルギーは、自車両1が低圧領域内を走行することで低減される消費エネルギー以上である。したがって、回転数制御部130は、ファン28を駆動させると自車両1の消費エネルギーが増大(燃費あるいは電費が悪化)すると判定する。
【0070】
そのため、回転数制御部130は、ファン28を駆動させずに、走行制御部124は、自車両1を低圧領域内から離脱させ、走行風による自車両1の冷却性能を向上させる。走行風による自車両1の冷却性能を向上させることで、ファン駆動時消費エネルギーを低減させる(すなわち、ファン28を駆動させなくする)ことができる。ファン駆動時消費エネルギーを低減させることで、自車両1の消費エネルギーの増大(燃費あるいは電費の悪化)を抑制することができる。
【0071】
図3は、走行制御処理の全体的な流れを示したフローチャートである。走行制御処理は、繰り返し実行される処理(ループ処理)である。
図3に示すように、走行制御部124は、先行車両特定部112により先行車両が特定されているか否かを判定する(ステップS102)。その結果、先行車両特定部112により先行車両が特定されていなければ(ステップS102におけるNO)、走行制御部124は、運転者により指示された速度に自車両1を制御し(ステップS104)、当該走行制御処理を終了する。
【0072】
一方、先行車両特定部112により先行車両が特定されていれば(ステップS102におけるYES)、走行制御部124は、自車両1を先行車両に追従させる追従制御処理を行い(ステップS200)、当該走行制御処理を終了する。
【0073】
図4は、追従制御処理の流れを示したフローチャートである。追従制御処理は、繰り返し実行される処理(ループ処理)である。
図4に示すように、低圧領域導出部126は、不図示の記憶部に記憶された低圧領域マップに基づいて、先行車両の後方に発生する低圧領域を導出する(ステップS202)。走行制御部124は、自車両1の少なくとも一部が先行車両の後方に発生する低圧領域内に収まるように、自車両1の走行を制御する(ステップS204)。
【0074】
開閉制御部128は、冷却水の温度が所定の第1温度以上であるか否か判定する(ステップS206)。開閉制御部128は、冷却水の温度が所定の第1温度未満である場合(ステップS206におけるNO)、AGS30の開度を閉状態(全閉状態)に制御し(ステップS208)、当該追従制御処理を終了する。
【0075】
一方、開閉制御部128は、冷却水の温度が所定の第1温度以上である場合(ステップS206におけるYES)、AGS30の開度を開状態に制御する(ステップS210)。そして、回転数制御部130は、冷却水の温度が所定の第2温度以上であるか否か判定する(ステップS212)。冷却水の温度が所定の第2温度未満である場合(ステップS212におけるNO)、回転数制御部130は、ファン28が駆動されていれば、ファン28の駆動を停止させる(ステップS214)。その後、ステップS206に戻り、開閉制御部128は、ステップS206以降の処理を再び実行する。
【0076】
回転数制御部130は、冷却水の温度が所定の第2温度以上である場合(ステップS212におけるYES)、ファン駆動時消費エネルギーが差分消費エネルギー以上であるか否かを判定する(ステップS216)。ここで、走行制御部124は、ファン駆動時消費エネルギーが差分消費エネルギー未満である場合(ステップS216におけるNO)、冷却水の温度が所定の第2温度より大きい所定の第3温度以上であるか否か判定する(ステップS218)。また、走行制御部124は、ファン駆動時消費エネルギーが差分消費エネルギー以上である場合(ステップS216におけるYES)、自車両1を低圧領域内から離脱させるように、自車両1の走行を制御する(ステップS220)。このとき、回転数制御部130は、ファン28が駆動されていれば、ファン28の駆動を停止させてもよい。その後、ステップS206に戻り、開閉制御部128は、ステップS206以降の処理を再び実行する。
【0077】
回転数制御部130は、冷却水の温度が所定の第3温度未満である場合(ステップS218におけるNO)、ファン28を駆動する(ステップS222)。その後、ステップS206に戻り、開閉制御部128は、ステップS206以降の処理を再び実行する。一方、走行制御部124は、冷却水の温度が所定の第3温度以上である場合(ステップS218におけるYES)、ステップS220に進み、自車両1を低圧領域内から離脱させる。このとき、回転数制御部130は、ファン28が駆動されていれば、ファン28の駆動を停止させてもよい。その後、ステップS206に戻り、開閉制御部128は、ステップS206以降の処理を再び実行する。
【0078】
本実施形態によれば、車両制御装置100は、走行制御部124、開閉制御部128、回転数制御部130として機能する。走行制御部124は、低圧領域内で自車両1が先行車両に追従するように、自車両1の走行を制御する。自車両1は、低圧領域内を走行することで、空気抵抗が低減される。その結果、走行制御部124は、自車両1の走行時の消費エネルギーを低減(すなわち、燃費あるいは電費を向上)させることができる。また、開閉制御部128は、低圧領域内を自車両1が走行しているときに、自車両1の冷却性能に応じて、AGS30の開度を制御する。これにより、開閉制御部128は、自車両1が低圧領域内を走行する場合でも、自車両1の冷却性能を向上させることができる。また、回転数制御部130は、低圧領域内を自車両1が走行しているとき、自車両1の冷却性能に応じて、ファン28の駆動を制御する。これにより、回転数制御部130は、自車両1が低圧領域内を走行する場合でも、自車両1の冷却性能を向上させることができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、
図3に示す走行制御処理および
図4に示す追従制御処理を車両制御装置100に実行させるように構成された車両制御プログラム、および、車両制御プログラムを格納した記憶媒体を提供することができる。
【0080】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0081】
上記実施形態では、走行制御部124は、自律センサ部102から取得される情報に基づいて、自車両1の走行を制御する例について説明した。しかし、これに限定されず、走行制御部124は、車車間通信部12から取得される情報に基づいて、自車両1の走行を制御してもよい。
【0082】
上記実施形態では、自車両1の駆動源がエンジン(内燃機関)である例について説明した。しかし、これに限定されず、自車両1の駆動源は、モータ(電動機)であってもよいし、エンジンおよびモータの双方であってもよい。また、上記実施形態では、自車両1に水温センサ26を設ける例について説明した。しかし、これに限定されず、自車両1には、自車両1の駆動源(エンジン、モータ、バッテリー等)に応じた温度を検出する温度センサが設けられていればよい。その場合、開閉制御部128および回転数制御部130は、自車両1の駆動源に応じた温度に基づいて、ファン28およびAGS30の駆動を制御してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、ラジエータにファン28を取り付ける例について説明した。しかし、これに限定されず、ファン28は、自車両1の駆動源(エンジン、モータ、バッテリー等)に取り付けられてもよい。その場合、ファン28は、自車両1の駆動源を冷却してもよい。
【0084】
なお、上記実施形態の走行制御処理および追従制御処理の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、車両制御装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 自車両
28 ファン
30 アクティブグリルシャッター(AGS、開閉部材)
112 先行車両特定部
124 走行制御部
126 低圧領域導出部
128 開閉制御部
130 回転数制御部
132 消費エネルギー導出部