(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-25
(45)【発行日】2022-09-02
(54)【発明の名称】調整可能な硬さを有するベッドなどのマットレス構成
(51)【国際特許分類】
A47C 27/06 20060101AFI20220826BHJP
【FI】
A47C27/06
(21)【出願番号】P 2019562414
(86)(22)【出願日】2018-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2018062352
(87)【国際公開番号】W WO2018210736
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-02-19
(32)【優先日】2017-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515200180
【氏名又は名称】スタースプリングス アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】Starsprings AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ベングト、ヘガー
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-508547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルスプリングの複数のポケットユニットがケーシング材料から形成されるポケット内に個別に配置されるポケットスプリングマットレスであって、前記ポケットスプリングマットレスが少なくとも2つの部分を有し、それらの部分のうちの少なくとも1つが圧縮可能部分である、ポケットスプリングマットレスと、
前記圧縮可能部分における圧縮方向に対して垂直に延びる少なくとも1つの長尺作動部材であって、前記圧縮方向が前記マットレスの幅方向又は長さ方向に対応し、前記長尺作動部材が前記部分のうちの2つの部分間で前記マットレス内に埋め込まれ、前記作動部材が前記マットレスの前記1つ以上の圧縮可能部分のうちの少なくとも1つを拡張又は収縮させるために前記圧縮方向に移動可能である、長尺作動部材と、
を備え、
前記マットレスが所定の外形寸法を有するものであり、
前記マットレスが少なくとも2つの圧縮可能部分を備え、前記長尺作動部材は、前記圧縮可能部分のうちの一方を収縮させると同時に、他方の圧縮可能部分を拡張させるように配置される、ポケットスプリングマットレス構成。
【請求項2】
前記ポケットユニットが、並んで相互接続される複数の平行な連続ストリングを備え、各ストリングは、連続的なケーシング材料から形成されて、複数のコイルスプリングを個々のポケット内に収容し、一体型のポケットユニットのラインを形成する、請求項1に記載のポケットスプリングマットレス構成。
【請求項3】
前記連続ストリングが圧縮方向に延びる請求項2に記載のポケットスプリングマットレス構成。
【請求項4】
前記マットレスの前記1つ以上の圧縮可能部分を前記圧縮方向に収縮させるための収縮力を与えるように配置される少なくとも1つの弾性要素を更に備える請求項1から3のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス構成。
【請求項5】
前記少なくとも1つの弾性要素は、延在方向の第1の端部と第2の端部との間で延び、前記延在方向は、前記マットレスの長さ方向及び幅方向のうちの少なくとも一方に対応し、前記少なくとも1つの弾性要素は、前記第1及び第2の端部を互いに近づけるための収縮力を与えるように配置され、それにより、前記延在方向の前記第1及び第2の端部間で延びる前記マットレスの1つ以上の部分を収縮させるための収縮力を与える請求項4に記載のポケットスプリングマットレス構成。
【請求項6】
前記弾性要素のうちの少なくとも幾つかは、ポケットユニットのラインの上方又は下方に配置されて、前記ポケットユニットの少なくとも幾つかの端面に接続される請求項4又は5に記載のポケットスプリングマットレス構成。
【請求項7】
前記弾性要素のうちの少なくとも幾つかは、前記ポケットユニットのライン間に配置されて、前記ポケットユニットのうちの少なくとも幾つかの長手方向の表面に接続される請求項4から6のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス構成。
【請求項8】
前記圧縮方向に対して垂直に互いに距離を隔てて平行に延びる少なくとも2つの長尺作動部材を備える請求項1から7のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス構成。
【請求項9】
前記長尺作動部材が比較的硬質のロッド又はプレートである請求項1から8のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス構成。
【請求項10】
前記長尺作動部材は、前記マットレスの幅又は長さの全長の少なくとも
50%にわたって延びる請求項1から9のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス構成。
【請求項11】
前記長尺作動部材がポケットユニットの列間で延びる請求項1から10のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス構成。
【請求項12】
少なくとも1つの操作要素を更に備え、前記操作要素は、前記長尺作動部材の圧縮方向の移動を制御するために、圧縮方向に延びるとともに、前記少なくとも1つの長尺作動部材に接続される請求項1から11のいずれか一項に記載のポケットスプリングマットレス構成。
【請求項13】
前記操作要素の制御された牽引のための電気アクチュエータを更に備える請求項12に記載のポケットスプリングマットレス構成。
【請求項14】
マットレス構成の硬さを適合させるための方法であって、
ポケットスプリングマットレスを用意するステップであって、前記ポケットスプリングマットレスが少なくとも2つの部分を有し、それらの部分のうちの少なくとも1つが圧縮可能部分である、ステップと、
前記圧縮可能部分における圧縮方向に対して垂直に延びる少なくとも1つの長尺作動部材を用意するステップであって、前記圧縮方向が前記マットレスの幅方向又は長さ方向に対応し、前記長尺作動部材が前記部分のうちの2つの部分間で前記マットレス内に埋め込まれ、前記作動部材が前記圧縮方向に移動可能である、ステップと、
前記長尺作動部材の移動を制御して、前記マットレスの前記1つ以上の圧縮可能部分を拡張させる及び/又は収縮させるステップと、
を含むものであり、
前記マットレスが所定の外形寸法を有するものであり、
前記マットレスが少なくとも2つの圧縮可能部分を備え、前記長尺作動部材は、前記圧縮可能部分のうちの一方を収縮させると同時に、他方の圧縮可能部分を拡張させるように配置される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整可能な硬さを有するベッド構成などのマットレス構成に関する。また、本発明は、そのようなマットレス構成で使用可能なポケットスプリングマットレス、及び、そのようなマットレス構成を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マットレス構成では、例えばベッド構成又は他の座席構成又は家具構成では、ユーザの体重又は体重の一部に作用するように支持体が設けられ、ベッドは、ユーザの身体からの体重を装置の表面の一部分上にわたって分散させる。ベッドがユーザの体重をどのように分散するかに応じて、ベッドは柔らかいか又は硬いように見える。そのようなベッドの硬さの程度は、バネ定数などの弾性要素の特性、及び、クランプ又はプレテンションの程度など、弾性要素がベッドにどのように取り付けられているかに依存する。したがって、ベッドの硬さは、通常、装置の製造時に設定される。
【0003】
しかしながら、人によって望む必要な硬さは異なる。更に、身体部位によって必要な硬さが異なる場合もある。
【0004】
ベッド構成に可変硬さを与えることは知られている。弾性要素に対して変形を様々程度までもたらすことにより、装置の硬さが調整可能である。変形部材は、その存在によってもたらされる弾性要素の変形とは無関係に弾性要素を変形できる能力を有する。このことは、ユーザの望みにしたがって初期設定中にベッドの硬さを調整できることを意味する。時間の経過に伴う弾性装置の弾性特性の想定し得る変化に関して装置の硬さを補償することもできる。そのような既知の解決策は、例えば、欧州特許第2245967号明細書及び国際公開第2009/120270号パンフレットに開示される。
【0005】
更に、可変高さを有する支持プレート上にコイルスプリングを配置することによってマットレスの硬さに変化をもたらすことが知られている。支持プレートの高さは、支持プレート下に配置されて偏心した回転軸を有する回転可能要素によって制御されてもよい。これにより、回転可能要素の回転によってプレートが様々な高さ位置をとる。そのような硬さ調整手段は、例えば、米国特許第3340548号明細書及び米国特許出願公開第2011/0258772号明細書で論じられる。可変高さを有する支持プレートを伴う同様の構成を使用することも知られており、この構成では、リニアモータ、ジャッキ、及び、他のタイプの昇降機構の形態を成す変位部材によって支持プレートの高さを制御できる。そのような硬さ調整手段は、例えば、オーストラリア特許第551300号明細書、米国特許第4222137号明細書、米国特許出願公開第2006/0253994号明細書、国際公開第99/65366号パンフレット、及び、欧州特許第2245967号明細書で論じられる。
【0006】
しかしながら、可変硬さを有するこれらの既知のベッド構成に伴う一般的な問題は、それらの製造が比較的複雑で、困難であり、費用がかかることである。更に、これらの既知のベッド構成は、使用するのが比較的困難で面倒な場合が多い。更に、これらの既知のベッド構成は、ある程度の調整機能をもたらすが、これは多くの場合にユーザのニーズには不十分である。
【0007】
別の手法は、本出願における場合と同じ出願人による米国特許第8176589号明細書で与えられており、この場合、ベッドは可変幅を有し、また、マットレスは、ベッドフレームの拡張/収縮と一緒に拡張/収縮するようになっている。しかしながら、この手法の重大な欠点は、ベッドのサイズが大きく変わることである。
【0008】
更にまた、同じ出願人による欧州特許第2923610号明細書は、下側マットレスが膨張及び収縮できるようにされる2つのマットレスを伴うベッド構成と、2つのマットレス間に配置されるプレートとを開示しており、それにより、下側マットレスが収縮される際に形成される離間した空所が隠される。しかしながら、この解決策も比較的複雑で費用もかかり、また、プレートは特定の状況や特定の用途では不都合である。
【0009】
したがって、前述の問題を軽減する調整可能な硬さを伴うマットレス構成、特にベッド構成が依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許第2245967号明細書
【文献】国際公開第2009/120270号パンフレット
【文献】米国特許第3340548号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0258772号明細書
【文献】オーストラリア特許第551300号明細書
【文献】米国特許第4222137号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0253994号明細書
【文献】国際公開第99/65366号パンフレット
【文献】米国特許第8176589号明細書
【文献】欧州特許第2923610号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、これらの問題を少なくとも部分的に克服し、改善されたマットレス構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの目的及び以下から明らかになる他の目的は、添付の特許請求の範囲に係るマットレス構成及びマットレス構成を制御するための方法によって達成される。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、
コイルスプリングの複数のポケットユニットがケーシング材料から形成されるポケット内に個別に配置されるポケットスプリングマットレスであって、前記ポケットスプリングマットレスが少なくとも2つの部分を有し、それらの部分のうちの少なくとも1つが圧縮可能部分である、ポケットスプリングマットレスと、前記圧縮可能部分における圧縮方向に対して垂直に延びる少なくとも1つの長尺作動部材であって、前記圧縮方向がマットレスの幅方向又は長さ方向に対応し、長尺作動部材が前記部分のうちの2つの部分間でマットレス内に埋め込まれ、前記作動部材がマットレスの1つ以上の圧縮可能部分のうちの少なくとも1つを拡張又は収縮させるために圧縮方向に移動可能である、長尺作動部材と、
を備えるポケットスプリングマットレス構成が提供される。
【0014】
マットレス構成は、ベッド構成であってもよいが、他のタイプのシート又は家具構成も実現可能である。特に、マットレス構成は、ユーザの体重を受け入れるための例えばベッドマットレス、クッション等の形態を成すマットレスを備える。そのようなマットレスは、例えば、あらゆる種類の車両用のシート、布張りの家具、ダベンポート、ベッド構成などで使用され得る。
【0015】
マットレス構成は、マットレスが載置するベッドフレーム等を更に備えてもよい。
【0016】
更なるマットレス、パディング層なども提供され得る。更に、マットレス構成全体は一般にカバー布内に収容され得る。
【0017】
マットレスの圧縮は、マットレスの長さ方向で起こることが好ましいが、それに代えて又は加えて、幅方向で起こってもよい。
【0018】
睡眠/着座/休息の経験、及び、快適であるかないかと考えられていることは、人によって大きく異なる。更に、ユーザは、腹部上、すなわち、腹臥位、或いは、横などの姿勢をとるとき、背中で、すなわち、仰臥位などの他の睡眠位置で休息するときよりも柔らかいマットレスを有する方が快適であると感じる場合がある。本発明は、ユーザの望みに応じて及び例えば横になった姿勢の選択に基づいてマットレス特性を変化させる効率的であるが比較的単純で費用効率の高い方法を提供する。これにより、睡眠と安静の体験が大幅に改善され、安静と睡眠の質が良好になることが分かってきた。また、睡眠と休息の改善は、ユーザの健康も改善し、全体的な生活の質の向上につながる。
【0019】
本発明以前には、調整可能な特性を伴うマットレス及びシート/ベッドは、複雑で、重く、高価であり、使用するのが難しく面倒であることで知られていた。これに対し、本発明は、調整可能な特性が重さが非常に小さく、製造が比較的簡単で費用効率が高いとともに、ユーザにとって操作が容易な、ベッド構成などのマットレス構成を提供する。また、マットレス構成は、それ自体、自動又は半自動製造にも非常に適している。
【0020】
更にまた、本発明のマットレス構成は、所定の外形寸法をもたらすことができる。これは、マットレスの収縮が別個の領域で起こり、その収縮が他の領域の拡張によって補償され得るからである。したがって、使用されるべき硬さの設定にかかわらず、マットレス構成の全体的なサイズ及び外観は同じままである。
【0021】
特定の領域の拡張及び収縮のこの変化によってマットレス構成のための幅広い度合いの異なる硬さ設定が得られることが分かってきた。硬さも非常に正確で予測可能な方法で制御可能である。
【0022】
ポケットスプリングマットレスは、ポケット内に配置される複数のコイルスプリングを備える。最も好ましくは、ポケットスプリングマットレスが並んで相互接続される複数の平行なストリングを備え、各ストリングが複数の連続するケーシングを備え、各ケーシングがコイルスプリングを備え、拡張状態へのマットレスの拡張は、ストリングと平行な方向及びストリングに対して垂直な方向のうちの少なくとも一方で起こる。これらのタイプのマットレスはそれ自体知られている。本発明に関連して使用するのに適したマットレスの1つのタイプは、同一出願人による米国特許第8176589号明細書に開示されているものであり、これは、ポケットを形成するカバー材料に複数の伸縮開口が形成されることによりストリングを互いから分離できるポケットスプリングマットレスに関するものである。この文書は参照により本願に組み入れられる。同様に本発明に関連して使用するのに適した別のマットレスタイプは、同様に同一出願人による米国特許第7048263号明細書に開示されているものであり、これは、各ストリング内の隣接するスプリング/ポケット間に分離距離が形成されることによりマットレスをストリングの方向で拡張及び収縮させることができるポケットスプリングマットレスに関するものである。この文書も参照により本願に組み入れられる。本発明に関連して使用するのに適したマットレスタイプの更に別の例は、同様に同一出願人による米国特許出願公開第2007/124865号明細書に開示されているものであり、これは、各ストリング内の隣接するスプリング/ポケット間に分離距離が形成されるとともに、各分離内にスリット開口が設けられ、それにより、マットレスをストリングの方向で拡張及び収縮させることができる能力を更に向上させるポケットスプリングマットレスに関するものである。この文書も参照により本願に組み入れられる。
【0023】
ストリングは、マットレスの長さ方向で延びるように配置されることが好ましい。
【0024】
マットレスは、拡張状態と収縮状態との間の少なくとも1つ、好ましくは複数の中間状態を更にとってもよい。好ましい実施形態において、マットレスは、拡張状態と収縮状態との間の任意の中間状態に設定されるように連続的に制御可能である。
【0025】
マットレスは、所定の外形寸法を有することが好ましい。これにより、マットレスの硬さの調整中、マットレスの外側境界は同じままである。好ましくは、マットレスが少なくとも2つの圧縮可能部分を備えてもよく、前記長尺作動部材は、前記圧縮可能部分のうちの一方を収縮させると同時に、他方の圧縮可能部分を拡張させるように配置される。これにより、部分のうちの一方は、他方が拡張されるのと同じ程度まで同時に収縮され得る。しかしながら、3つ以上の部分が設けられてもよい。例えば3つの部分が使用される場合には、2つの部分が収縮されてもよい一方で、好ましくは他の2つの部分間に配置される他の部分が拡張され、逆もまた同様である。そのため、それに対応して、中央部分の拡張及び収縮の長さが他の2つの部分によって等しい又は異なる割り当てでとられてもよい。
【0026】
これにより、マットレスは常に同じサイズを維持する。同時に、マットレスの特定の部分が硬さ調整に関して他の部分よりも敏感でより重要であることが本発明者によって認識された。例えば、一般的には、ユーザの尻の下側にあるマットレスの中央部分、特にユーザの臀部/尻と肩との間の領域を、ユーザの頭及び脚の下側にそれぞれあるマットレスの端部へと向かう部分よりも調整可能にすることがより重要である。本発明により、より敏感な部分にとって適切な調整可能性がもたらされ、また、収縮又は拡張として実現されるこれらの調整は、他の部分の対応する調整によって補償される。したがって、ユーザがより硬いマットレスを望む場合、ユーザの尻の下側にある部分は、この部分を収縮させることによって更に硬くされる。同時に、1つ以上の他の部分の硬さがより低下されるが、これは一般にユーザにとって殆ど気にならない。したがって、実際にはマットレスの硬さの再配分のみが行われているにもかかわらず、ユーザにとっての全体的な印象は、マットレスが更に硬くなったというものである。同様に、ユーザがより柔らかいマットレスを望む場合、ユーザの尻の下側にある部分は、この部分を収縮することによって更に柔らかくされる。同時に、1つ以上の他の部分の柔らかさがより低下されるが、これも一般に先と同様にユーザにとって殆ど気にならない。したがって、実際には先と同様にマットレスの柔らかさの再配分のみが行われているにもかかわらず、ユーザにとっての全体的な印象は、マットレスが更に柔らかくなったというものである。
【0027】
これらの2つ、3つ、又は、それ以上の部分は、マットレスの長さ方向で互いの後に連続して配置されてもよい。しかしながら、もう一つの方法として、2つ、3つ、又は、それ以上の部分は、マットレスの幅方向で互いの後に連続して配置されてもよい。更に、マットレスの長さ方向及び幅方向の両方で異なる部分間に距離間隔を有することも実現可能である。例えば、マットレスは、長さ方向に3つの横列を成すとともに幅方向に3つの縦列を成して配置される9つの部分を備えてもよい。部分は、長尺作動部材によって互いから分離される。したがって、部分は、単一の一体型のマットレスコア内に形成されてもよく、又は、1つ以上の別個のマットレスコアによって形成されてもよい。
【0028】
マットレスは、幾つかの調整可能/圧縮可能な部分を備えてもよいが、圧縮不可能な部品を備えてもよい。したがって、マットレスは、1つ以上の圧縮可能部分と1つ以上の圧縮不可能部分との組み合わせを備えてもよいが、圧縮不可能部分を何ら伴うことなく2つ以上の圧縮可能部分の組み合わせを備えてもよい。
【0029】
ポケットユニットが並んで相互接続される複数の平行な連続ストリングを備えることが好ましく、各ストリングは、連続的なケーシング材料から形成されて、複数のコイルスプリングを個々のポケット内に収容し、一体型のポケットユニットのラインを形成する。
【0030】
連続ストリングは、圧縮方向で延びることが好ましい。
【0031】
ポケットスプリングマットレス構成は、マットレス又はマットレスの一部を収縮状態に至らせるための収縮力を提供するように配置される少なくとも1つの弾性要素を更に備えてもよい。これにより、マットレスのこの部分は、外力が加えられないときに収縮状態を再びとる。これはマットレスの動作を簡略化する。例えば、結果として、長尺作動部材は、例えば操作要素によって引かれることにより一方向で操作されてもよく、また、弾性要素によって解放されるときに他方向に戻されてもよい。更に、これに加えて又は代えて、弾性要素は、マットレスのこの部分のスプリングの分布が拡張状態と収縮状態との間のあらゆる中間状態でも均一のままであるようにするために使用されてもよい。弾性要素は、例えば、弾性材料のバンド、ストリング、コードなどであってもよい。好ましくは、マットレス又はマットレスの一部にわたって又はその内部に分布される複数の弾性要素が設けられる。更に、各弾性要素が複数の分散された接続ポイントでマットレスに接続されることが好ましい。特に、各弾性要素は、複数のポケットに接続され、好ましくはそれが接触している各ポケットに接続されることが好ましい。
【0032】
弾性要素は、マットレスの上面、マットレスの下面、マットレスの1つ又は幾つかの側面に配置されてもよく、マットレス内に組み込まれてもよく、又は、それらの任意の組み合わせであってもよい。ポケットスプリングマットレスでは、弾性要素のうちの少なくとも幾つかが、ポケットスプリングの隣接する列/ストリング間で延びてもよい。
【0033】
前述の弾性要素は、マットレス上に配置され又はマットレスに組み込まれ、マットレスの一部を収縮状態に至らせるべくマットレスの収縮をもたらすために使用される。同時に、マットレスの一部を拡張してこの部分を拡張状態又は収縮状態或いは完全収縮状態と完全拡張状態との間の中間状態に至らせるために長尺作動部材によって反力が与えられる。反力を解放することにより、下側マットレスが自動的に収縮されて休止状態又は初期設定状態である収縮状態に戻される。
【0034】
しかしながら、もう一つの方法として、スプリングなどの弾性要素は、代わりに、マットレスを自動的に拡張状態に至らせるように配置されてもよく、この場合、代わりに、マットレスのこの部分をより収縮された状態へと至らせるために長尺作動部材の反力が与えられるべきであり、これにより、反力の解放が、代わりに、マットレスのこの部分を拡張された休止状態又は初期設定状態に戻す。
【0035】
少なくとも1つの弾性要素は、延在方向の第1の端部と第2の端部との間で延びてもよく、前記延在方向は、マットレスの長さ方向及び幅方向のうちの少なくとも一方に対応し、前記少なくとも1つの弾性要素は、前記第1及び第2の端部を互いに近づけるための収縮力を与えるように配置され、それにより、延在方向の前記第1及び第2の端部間で延びる前記マットレスの1つ以上の部分を収縮させるための収縮力を与える。
【0036】
弾性要素のうちの少なくとも幾つかは、ポケットユニットのラインの上方又は下方に配置されて、前記ポケットユニットの少なくとも幾つかの端面に接続されてもよい。これに加えて又は代えて、弾性要素のうちの少なくとも幾つかは、ポケットユニットのライン間に配置されて、前記ポケットユニットのうちの少なくとも幾つかの長手方向の表面に接続されてもよい。
【0037】
しかしながら、弾性要素を何ら伴わない実施形態も実現可能である。例えば、長尺作動部材は、2方向で操作可能であってもよく、それにより、収縮及び拡張の両方で能動的に操作可能であってもよい。
【0038】
1つ以上の長尺作動部材は、木材、鋼などの比較的硬質の材料のロッド又はプレートによってもたらされてもよい。好ましくは、長尺作動部材は、移動方向で非常に硬質であるが、移動方向に対して垂直な方向ではあまり硬質ではなく或いは可撓性さえあってもよい。これにより、使用中にユーザが長尺作動部材を感じるリスクがかなり減少される。例えばヒンジジョイントによって、形状や材料の特定の選択などによって、異なる方向で異なる可撓性を得ることができる。
【0039】
好ましくは、長尺作動部材は、ユーザの臀部、尻、又は、肩の下側に配置されず、それにより、長尺作動部材がユーザに認識されにくくなる。
【0040】
幾つかの実施形態では、マットレスの2つの部分間に配置される単一の長尺作動部材のみが存在してもよい。しかしながら、好ましくは、マットレス構成は、互いに平行に且つ圧縮方向に対して垂直に延びるとともに互いに距離を隔ててマットレスの3つの部分間に配置される少なくとも2つの長尺作動部材を備える。また、3つ、4つ、又は、それ以上など、3つ以上の長尺作動部材が使用されてもよい。
【0041】
長尺作動部材は、ポケットユニットを通って延びてもよい。しかしながら、好ましくは、長尺作動部材は、ポケットユニットのストリング間又はポケットユニットのストリングを通り抜けるなど、ポケットユニットの列間で延びる。後者の場合、長尺作動部材は、ストリング内のポケットユニット間に配置される開口を通って配置されてもよい。
【0042】
長尺作動部材は、マットレスに接続及び取り付けられてもよい。しかしながら、もう一つの方法として、長尺作動部材は、ストリングなどの開口内に緩く受けられるなど、マットレス内に緩く保持されてもよい。
【0043】
長尺作動部材は、マットレスの幅(幅に沿って配置される場合)又は長さ(長さに沿って配置される場合)の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも90%にわたって延びてもよい。更に、長尺作動部材は、マットレスの幅又は長さの全体未満にわたって延びてもよい。しかしながら、幾つかの実施形態において、長尺作動部材は、長尺作動部材の端部がマットレスの側面から延出するように、幅又は長さを超える延在部を有してもよい。これにより、長尺作動部材の移動をマットレスの側面から行うことができ、マットレス内で操作の必要性が生じない。これは、マットレスの実現を容易にするとともに、その費用効率をより高くする。
【0044】
長尺作動部材は、好ましくは、遠隔位置から移動され、好ましくは、操作要素によって操作される。操作要素は、長尺作動部材を所望の位置に移動させるためにマットレス構成の側面から操作可能な、ロッド、ワイヤなどの手動操作可能な要素であってもよい。しかしながら、好ましくは、操作要素は、リニアアクチュエータ、電気油圧ピストン、電気モータなどの電気的に動作されるアクチュエータに接続されて該アクチュエータによって制御可能である。そのため、長尺作動部材の移動は、例えばコントロールボタン、タッチスクリーンなどを備えるユーザインタフェースを介して行われてもよい。
【0045】
一実施形態では、マットレス構成が牽引ワイヤなどの少なくとも1つの操作要素を備え、該操作要素は、長尺作動部材の圧縮方向の移動を制御するために、圧縮方向に延びるとともに、少なくとも1つの長尺作動部材に接続される。更に、マットレス構成は、操作要素の制御された牽引のための電気アクチュエータを備えてもよい。
【0046】
操作装置は、牽引装置又は押圧装置を備えてもよく、例えば、下側マットレスの側面又はマットレス内に接続される1つ又は幾つかのロープ、ストリング等を備えてもよい。そのような構成は、非常に費用効率が高く、特に手動操作に適しているが、自動化された電気的操作にも適している。手動操作では、ロープ/ストリングが、例えばロック装置によって適切な引き出し位置にロックされ又は互いに結合され又はその他の方法で固定されてもよい。しかしながら、ロープ/ストリングが電気モータなどによっても動作されてもよい。更に、下側マットレスの可動側は、電気モータなどによって自動的に移動され得る硬質の牽引要素又は押圧要素に接続されてもよい。
【0047】
2つ以上の長尺作動部材が設けられる場合、これらはマットレスの2つの異なる側から独立して操作されてもよい。しかしながら、もう一つの方法として、長尺作動部材は、互いに相関して、好ましくは共通の操作装置に接続されることによって移動されてもよい。
【0048】
本発明の別の態様によれば、マットレス構成の硬さを適合させるための方法が提供され、この方法は、ポケットスプリングマットレスを用意するステップであって、前記ポケットスプリングマットレスが少なくとも2つの部分を有し、それらの部分のうちの少なくとも1つが圧縮可能部分である、ステップと、前記圧縮可能部分における圧縮方向に対して垂直に延びる少なくとも1つの長尺作動部材を用意するステップであって、前記圧縮方向がマットレスの幅方向又は長さ方向に対応し、長尺作動部材が前記部分のうちの2つの部分間でマットレス内に埋め込まれ、前記作動部材が圧縮方向に移動可能である、ステップと、長尺作動部材の移動を制御して、マットレスの1つ以上の圧縮可能部分を拡張させる及び/又は収縮させるステップとを含む。
【0049】
本発明のこの付加的な態様により、本発明の第1の態様に関して前述したのと同様の目的及び利点が得られる。
【0050】
ここで、本発明の現在好ましい実施形態を示す添付図面を参照して、本発明のこれらの及び他の態様について更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1a】本発明に係るマットレス構成の一実施形態の概略上面図を示し、より硬い状態のマットレス構成を示す。
【
図1b】本発明に係るマットレス構成の一実施形態の概略上面図を示し、より柔らかい状態のマットレス構成を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係るマットレス構成の斜視図を示し、中央の切り欠き部分がマットレス構成の内部を示す。
【
図3】本発明の別の実施形態に係るマットレス構成の斜視図を示し、中央の切り欠き部分がマットレス構成の内部を示す。
【
図4a】斜視側面図で示されるマットレスの一実施形態を示す。
【
図4b】上面図で示されるマットレスの一実施形態を示す。
【
図5】斜視側面図で示されるマットレスの別の実施形態を示す。
【
図6a】斜視側面図で示されるマットレスの更に別の実施形態を示し、拡張状態のマットレスを示す。
【
図6b】側面図で示されるマットレスの更に別の実施形態を示し、収縮状態のマットレスを示す。
【
図6c】側面図で示されるマットレスの更に別の実施形態を示し、拡張状態のマットレスを示す。
【
図7a】側面図で示されるマットレスの更に別の実施形態を示し、マットレスを収縮状態まで引き込むために弾性要素が設けられており、拡張状態のマットレスを示す。
【
図7b】側面図で示されるマットレスの更に別の実施形態を示し、マットレスを収縮状態まで引き込むために弾性要素が設けられており、収縮状態のマットレスを示す。
【
図8a】マットレスを収縮状態まで引き込む又はマットレスを拡張状態に拡張するための弾性要素を有する下側マットレスの様々な更なる実施形態を示す。
【
図8b】マットレスを収縮状態まで引き込む又はマットレスを拡張状態に拡張するための弾性要素を有する下側マットレスの様々な更なる実施形態を示す。
【
図8c】マットレスを収縮状態まで引き込む又はマットレスを拡張状態に拡張するための弾性要素を有する下側マットレスの様々な更なる実施形態を示す。
【
図8d】マットレスを収縮状態まで引き込む又はマットレスを拡張状態に拡張するための弾性要素を有する下側マットレスの様々な更なる実施形態を示す。
【
図8e】マットレスを収縮状態まで引き込む又はマットレスを拡張状態に拡張するための弾性要素を有する下側マットレスの様々な更なる実施形態を示す。
【
図9】ポケットストリングを通る長尺作動部材の想定し得る位置決めを概略的に示す。
【
図10a】とりわけ異なるタイプの電気的に動作される操作要素を含む本発明の様々な実施形態を示す。
【
図10b】とりわけ異なるタイプの電気的に動作される操作要素を含む本発明の様々な実施形態を示す。
【
図10c】とりわけ異なるタイプの電気的に動作される操作要素を含む本発明の様々な実施形態を示す。
【
図11】本発明の更なる実施形態の概略上面図である。
【
図12】本発明の別の実施形態の概略上面図である。
【
図13】本発明の更に別の実施形態の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下では、本発明がベッド構成によって例示される。しかしながら、例えばベッドマットレスの形態を成すマットレスを使用する他のタイプのマットレス構成、あらゆる種類の車両用のシート、布張りの家具などのクッション等で同じ原理及び機能が使用されてもよいことが熟練した読者によって認識されるべきである。したがって、以下でベッド又はベッド構成について言及する場合には、これが他のタイプのマットレス構成、及び、特に他のタイプの家具構成でも使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0053】
本発明の第1の実施形態に係る調整可能な硬さを伴うマットレス1を有するマットレス構成が
図1aに概略的に示される。ベッド構成は、ベッドのヘッド側及びフット側に配置される側壁2を含むフレームを備える。ベッド構成は、ポケットスプリングマットレスを画定するべく、ポケットユニット31を形成するためにケーシング材料の別個のポケット内に個々に配置される複数のコイルスプリングを備えるポケットスプリングマットレス3を更に備える。ポケットユニットは好ましくは長尺ストリング32に設けられ、各長尺ストリングは、複数のポケットユニットを備えるとともに、ストリング全体にわたって延びる連続的なケーシング材料によって互いに接続される。好ましくは、幾つかのそのようなストリングは、例えば接着剤により、並列配置を成して互いに接続される。
【0054】
マットレスは、調整可能な硬さを伴う少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの部分4a、4b、4cを画定する。図示の例では、3つの部分が設けられる。これらの部分は、別個のポケットマットレス要素から形成されてもよく、又は、2つ以上の領域にわたって延びる連続的なマットレス要素から形成されてもよい。
【0055】
マットレスは、好ましくは、マットレスの部分のうちの1つ以上を圧縮方向に収縮させるための収縮力を提供するようになっている少なくとも1つの弾性要素5を更に備える。この実施形態では、そのような弾性要素5が中央部分4bに配置される。しかしながら、弾性要素は、これに加えて又は代えて、他の部分のうちの1つ以上に設けられてもよく、また、もう一つの方法として、以下で更に詳しく論じられるように、幾つかの部分にわたって又は全ての部分にわたって延びてもよい。
【0056】
この実施形態の弾性要素5は、中央部分4bの収縮をもたらし、それにより、マットレスの長さ方向でこの部分を圧縮する。しかしながら、他の実施形態において、圧縮は、これに代えて又は加えて、マットレスの幅方向で行われてもよい。
【0057】
更に、少なくとも1つの長尺作動部材6が設けられる。この長尺作動部材6は、圧縮方向に対して垂直に、すなわち、この実施形態では幅方向に延びている。長尺作動部材は、好ましくは硬質又は比較的硬質であり、例えば、ロッド、幅の狭いプレートなどとして実現されてもよい。長尺作動部材は、マットレスの圧縮方向、すなわち、ここでは長さ方向で移動可能であり、マットレスに埋め込まれる。これにより、長尺作動部材は、マットレスの部分のうちの1つ以上を収縮又は拡張させるために使用可能である。長尺作動部材が部分を収縮及び拡張させるために操作可能である場合には、弾性要素が随意的に省かれてもよい。
【0058】
図示の例では、第1の部分4aと第2の部分4bとの間及び第2の部分4bと第3の部分4cとの間にそれぞれ配置される2つの長尺作動部材が設けられる。
【0059】
図示の例では、弾性要素5が長尺作動部材に接続される。しかしながら、他の実施形態では、弾性要素が側壁の一方又は両方に接続されてもよい。更に、弾性要素は、これに加えて又は代えて、1つ又は幾つかのマットレス部分のポケットユニットに接続されてもよい。
【0060】
長尺作動部材は、好ましくは、長尺作動部材6に取り付けられて隣接するマットレス部分4a,4cを通って又は隣接するマットレス部分4a,4cの真下で側壁2へと延びる、ここではストリング、ワイヤ、コード、バンド、ロッドなどの形態を成す操作要素61によって移動可能である。したがって、操作要素61を引くことにより、長尺作動部材が側壁へ向かって移動し、それにより、中央マットレス部分が拡張し、それに対応して、長尺作動部材と側壁との間のマットレス部分が圧縮される。操作要素61は、好ましくは、1つ以上の引き込み位置、好ましくは幾つかの或いは更には全ての想定し得る引き込み位置で固定可能である。
【0061】
したがって、この図示の例では、操作要素61が自由位置の拡張位置にあるとき、弾性要素5が長尺作動部材6を一緒に移動させ、それにより、両側のマットレス部分4a,4cが拡張され、中央マットレス部分4bが圧縮される。これにより、ユーザにより体験されるマットレスの硬さが増大する。そのようなより硬い状態が
図1aに示される。短辺の一方又は両方から操作要素61を引き込み位置へと引くことにより、長尺作動部材6は、それぞれの側壁2により近い位置へと移動し、それにより、中央マットレス部分4bが拡張され、両側のマットレス部分4a,4cが圧縮される。これにより、ユーザにより体験されるマットレスの柔らかさが増大する。そのようなより柔らかい状態が
図1bに示される。この実施形態において、長尺作動部材は、一方向でのみ能動的に移動可能であり、弾性要素によって自動的に引き込まれる。しかしながら、長尺作動部材は、もう一つの方法として、前後の両方で能動的に移動可能であってもよい。
【0062】
短辺に最も近いマットレスの側は、好ましくは、フレームに対して接続され又は固定され、それにより、調整中にマットレスの固定された外側境界が維持される。例えば、短辺に最も近いポケットが側壁2に接続されてもよい。或いは、フレームに取り付けられるロッド等が、例えば、短辺に最も近いポケットユニットに取り付けられ又は短辺に最も近いポケットユニットの列間に配置されることによって、短辺に配置されてマットレスに接続されてもよい。
【0063】
また、マットレス構成は、外部カバー、1つ以上の付加的なマットレスなどを備えてもよい。そのような実施形態が
図2及び
図3に示される。
【0064】
図2を参照すると、マットレス構成は、例えば前述したタイプの調整可能なマットレスと付加的な上側マットレスとを収容するカバー71を備える。中央の切り抜き部分には、マットレス構成の内部が見える。マットレス構成は、調整可能な下側マットレス1、上側マットレス72、及び、フレーム21を備える。上側マットレスと下側マットレスとの間には更なるパディング層73などが設けられてもよい。フレーム21は、フレーム側壁2に接続され又はフレーム側壁2と一体化されてもよく(
図1aを参照)、また、例えばマットレス構成の長辺に沿って延びる付加的な側壁に接続され又は付加的な側壁と一体化されてもよい。
【0065】
しかしながら、上側マットレス72を設ける必要はなく、より単純な構成では、調整可能なマットレス1のみが設けられてもよい。そのような単純な構成が
図3に示される。ここで、マットレス構成は、例えば前述したタイプの調整可能なマットレス1を収容するカバー71も備える。中央の切り抜き部分には、マットレス構成の内部が見える。マットレス構成は、調整可能なマットレス1とフレーム21とを備える。調整可能なマットレス1の上部には更なるパディング層73などが設けられてもよい。
【0066】
マットレスは、単一のポケットコア内に組み込まれるか又は個々の別個のポケットコアとして設けられる幾つかの部分を備えるポケットスプリングマットレスである。ポケットコアは、好ましくは、互いに接続される連続したストリングとして配置されてもよい。マットレスの拡張状態への拡張は、ストリングと平行な方向及びストリングに対して垂直な方向のうちの少なくとも一方で起こる。各ストリングは、好ましくは、連続的なカバー材料によって形成され、隣接するポケット間の分離は、横方向の分離ジョイントによって形成されている。これらの分離ジョイントは、長手方向ジョイントと同様に、接着結合、溶接、ステープル留め、縫製、又は、それらの任意の組み合わせの任意の形態によって形成されてもよい。好ましい実施形態では、溶接が使用される。多くの異なるサイズのコイルスプリングを本発明と関連して使用することができ、また、原則的に、大きい又は小さい任意の所望のスプリングサイズが使用されてもよい。しかしながら、好ましくは、コイルスプリングは、2~10cmの範囲、4~8cmの範囲、例えば6cmの直径を有する。加えて、コイルスプリングは、螺旋状に巻かれたワイヤから製造されることが好ましい。スプリングは、好ましくは少なくとも3つの巻回部、好ましくは10未満の巻回部を備える。更に、スプリングは、好適には、0.5~3.0mmの範囲の厚さを有する螺旋ワイヤ、好ましくは1.25~2.50mmの範囲の厚さのワイヤから作られる。好ましくは、スプリングは僅かにスプール形状であり、すなわち、上下の巻き数が小さい。これらのタイプのマットレスはそれ自体知られている。
【0067】
下側マットレスとして使用するのに適した1つのマットレスタイプは、同じ出願人による米国特許第8176589号明細書に開示されているものであり、前記文書は参照によりその全体が本願に組み入れられる。そのようなマットレスが
図4a及び
図4bに示される。このポケットスプリングマットレスは、ストリング32に配置されるポケットユニット31を備える。各ポケットにはコイルスプリングがある。各ストリングは連続的なカバー材料から作られ、また、ポケットは、例えば溶接によって形成される分離ジョイント33により形成される。ストリングは、接続部35によって、並列配置を成して互いに平行に接続される。これらの接続部は、接着剤によって形成されてもよいが、代わりに、溶接、ベルクロなどによってもたらされてもよい。更に、ポケットには複数の伸縮開口34が設けられ、それにより、ネット状の表面構造がもたらされる。これにより、ストリングを互いに分離できる。したがって、このタイプのマットレスは、ストリングの長さ方向に対して垂直な方向で拡張され得る。
【0068】
下側マットレスとしての使用に適した別のタイプのマットレスは、同様に同じ出願人による米国特許第7048263号明細書に開示され、前記文書も参照によりその全体が本願に組み入れられる。そのようなマットレスが
図5に示される。このマットレスは、先の例の場合と同じ一般的構造を有し、この場合、コイルスプリングがポケット31に配置され、それにより、互いに平行に接続されるストリング32が形成される。しかしながら、この実施形態では、各ストリング内のポケット/スプリング間に増大された分離距離が与えられる。これは、2つの離間した分離ジョイント33’を設けることにより、或いは、もう一つの方法として、幅の広い分離ジョイント等を使用することによりもたらされてもよい。これにより、各ストリング内の隣接するスプリング/ポケット間に分離距離が形成され、それにより、マットレスをストリングの方向で拡張及び収縮させることができる。
【0069】
下側マットレスとしての使用に適した更なる別のタイプのマットレスは、同様に同じ出願人による米国特許出願公開第2007/124865号明細書に開示され、前記文書も参照によりその全体が本願に組み入れられる。そのようなマットレスが
図6a~
図6cに示される。このマットレスは、先の例の場合と同じ一般的構造を有し、この場合、コイルスプリングがポケット31に配置され、それにより、互いに平行に接続されるストリング32が形成される。更に、各ストリング内のポケット/スプリング間に増大した分離距離が与えられ、これは、2つの離間した分離ジョイント33’等を設けることによってもたらされる。ストリングの可撓性を更に高めるために、ポケット間及び分離ジョイント33’間にスリット開口36が設けられる。スリット開口は、開口端を何ら伴わずに材料中に封入されることが好ましい。
図6bは収縮状態のこのマットレスを示し、一方、
図6cは拡張状態の同じマットレスを示す。
【0070】
下側マットレスとしての使用に適した別のタイプのマットレスは、前述の
図5に関連して開示されたものと同様である。しかしながら、
図7に示されるこの実施形態において、ストリングは、ほぼ従来のポケットスプリングであるが、全ての第2のポケットが満たされていないままである。したがって、ここではポケットの半分だけがコイルスプリングを含む。したがって、各ストリング32は、ここでは1つおきのポケット31に配置されるコイルスプリングを含み、また、コイルスプリングを何ら伴わずに、1つおきのポケットを満たされていないままにすることによって各ストリング内のポケット/スプリング間に増大した分離距離が与えられる。したがって、分離距離は、満たされていない全てのポケットに隣接する分離ジョイント33によって形成され、それにより、マットレスをストリングの方向で拡張及び収縮させることができる。
【0071】
マットレスの少なくとも1つの部分は、マットレス又はマットレスの一部分を通じてマットレス又はマットレス部分の可動側と反対側との間で延びる少なくとも1つの弾性要素を更に備え、少なくとも1つの弾性要素は、マットレス又はマットレス部分を収縮状態に至らせるべく収縮力を与えるように配置される。これにより、マットレス又はマットレス部分は、外力が加えられないときに収縮状態を再びとる。これは、マットレスの動作を簡略化するとともに、マットレス又はマットレス部分におけるスプリングの分布が拡張状態と収縮状態との間の全ての中間状態でも均一に保たれるようにする。弾性要素は、例えば、弾性材料のバンド、ストリング、コードなどであってもよい。好ましくは、マットレス又はマットレス部分にわたって又はマットレス又はマットレス部分の内部に分布される複数の弾性要素が設けられる。更に、各弾性要素が複数の分散された接続ポイントでマットレス又はマットレス部分に接続されることが好ましい。特に、各弾性要素は、複数のポケットに接続され、好ましくはそれが接触している各ポケットに接続されることが好ましい。具体的には、そのような弾性要素は、
図4~
図7に関連して前述したポケットスプリングマットレスタイプのいずれかと組み合わされてもよい。
【0072】
図7の実施形態において、弾性要素5は、ポケットユニットの側面に接続され、ストリング方向と平行に延びている。この実施形態では、上側及び下側の弾性要素が設けられ、一方の弾性要素は、ポケットユニットの上部に隣接するが上部から離間されて配置され、また、もう一方の弾性要素は、ポケットユニットの底部に隣接するが底部から離間されて配置されしかしながら、もう一つの方法として、例えば中央に配置されている1つの弾性要素のみが設けられてもよく、或いは、3つ以上の弾性要素が使用されてもよい。弾性要素は、弾性バンド又は弾性コードによって形成されてもよい。弾性要素は、マットレスの全長にわたって又はマットレスのほぼ全長にわたって連続的に延びていてもよい。しかしながら、もう一つの方法として、各マットレス部分に離間された弾性要素が設けられてもよい。更に、弾性要素は、マットレスの全てのストリング間に又はもう一つの方法としてストリングの一部のみの間に配置されてもよい。これに加えて又は代えて、弾性要素がマットレスの外側に配置されてもよい。前述のように、幾つかの実施形態では、弾性要素が省かれてもよい。
【0073】
図8では、そのような弾性要素5を設ける幾つかの別の方法が示される。
【0074】
図8aには、弾性要素5がマットレスの上部及び底部に配置されるポケットスプリングマットレスが示される。図示の例では、弾性要素がマットレスの上部及び底部の両方に配置されているが、もう一つの方法として弾性要素が上部のみ又は底部のみに配置されてもよい。更に、ここでは、弾性要素がストリングと整列して配置される。しかしながら、これに代えて又は加えて、弾性要素がストリング方向に対して垂直に配置されてもよい。更に、この例では、弾性要素が各ストリングに沿って配置されるが、より少ない弾性要素が使用されてもよい。弾性要素は、好ましくは、それが接触する全てのポケットなど、複数の位置でストリングに接続される。
【0075】
これに代えて又は加えて、弾性要素5は、マットレスの両側で且つストリング間に配置されてもよい。そのような実施形態が
図8bに示される。この実施形態では、ストリングの各対間に弾性要素が設けられる。先と同様に、より少ない弾性要素が使用されてもよく、そのような実施形態の例が
図8cに示される。
【0076】
図8a~
図8cに示される実施形態では、弾性要素5がマットレスのストリングと平行に配置される。しかしながら、マットレスの収縮及び拡張は、既に前述したように、ストリング方向に対して垂直な方向で起こってもよい。そのようなマットレスでは、弾性要素が代わりにストリング方向に対して垂直な向きで配置されてもよい。そのような実施形態が
図8dに示される。
【0077】
図8a~
図8dに関連して説明した実施形態では、弾性要素がマットレスを収縮状態に至らせる力を及ぼすように配置される。しかしながら、弾性要素は、代わりに、マットレスを拡張状態に至らせる力を及ぼすように配置されてもよい。そのような実施形態が
図8eに示される。ここで、弾性要素5’は、ラテックス又はポリエーテルなどの弾性圧縮性材料で形成されて、マットレスが収縮されるときにスプリング間で圧縮されるように配置され、それにより、収縮力が除去される際にマットレスを再び拡張させる力を与えてもよい。
図8eの図示の例において、弾性圧縮性材料は、マットレスの同じストリング/列内の隣接するスプリング間に配置される。しかしながら、これに加えて又は代えて、弾性圧縮性材料は、ストリング/列と一列に並ぶのではなく、隣り合うストリング/列内の隣接するスプリング間に配置され、すなわち、隣接するストリング/列間に配置されてもよい。
【0078】
また、長尺作動部材がストリング内の開口に設けられてもよい。そのような例示的な例が
図9に示されており、この図では、2つの長尺作動部材が典型的態様で示される。既に説明したように、通常は、1つ、2つ、又は、3つなどの限られた数の長尺作動部材で十分である。
【0079】
長尺作動部材の移動は、プッシュ又はプル装置などの操作要素によってもたらされてもよい。したがって、操作要素は、好ましくは、ある距離から長尺作動部材に牽引力又は押圧力を及ぼし、それにより、対応するマットレス部分の収縮及び/又は拡張をもたらすように配置される。操作要素は、マットレス構成の外側から操作できる中実ロッドなどの形態を成してもよい。しかしながら、好ましくは、操作要素は、コード、ワイヤ、ストリップなどの可撓性の長尺構造の形態を成す。操作要素は、伸縮可能でなく、非弾性であることが好ましい。例えば、操作要素は鋼線として実現されてもよい。
【0080】
操作要素は、マットレスの下方で、マットレスの両側で、又は、マットレスを通り抜けて延びてもよい。
【0081】
操作要素は、手動で操作されてもよく、また、クランプなどの適切なロック装置又は固定装置により、互いに結合されるなどして、任意の所望の位置にロック可能であってもよい。
【0082】
しかしながら、操作要素は、電気モータ等によって動作されてもよい。その後、ノブ、ホイール、押し下げ可能なボタン、タッチスクリーン、又は、任意の他のタイプのユーザインタフェースを操作して、長尺作動部材の対応する変位をもたらしてもよい。
【0083】
以下、そのような操作要素の幾つかの実施形態について説明する。
【0084】
図10aの実施形態は、
図1に関連して説明した実施形態に類似している。
図10aにおいて、例えばロープ、ストリング、又は、ワイヤなどの可撓性を有するが非弾性で非伸縮性の操作要素61は、一端部が移動可能な長尺作動部材6に取り付けられ、反対側の端部が電気操作装置に接続される。ここでの電気操作装置は、操作要素が接続される回転可能シャフト62を備える。回転可能シャフトは電気モータ63によって駆動される。したがって、電気モータがシャフトを一方向に、例えば時計回りに回転させると、操作要素が引き込まれ、それにより、対応する長尺作動部材がシャフトへ向けて移動され、また、電気モータがシャフトを他方向に、例えば反時計回りに回転させると、操作要素が解放され、それにより、弾性要素により及ぼされる力に起因して、対応する長尺作動部材がシャフトから離れるように移動される。
【0085】
図10aの実施形態では、2つの操作要素が各長尺作動部材と対応するシャフトとの間に接続される。しかしながら、1つだけの操作要素又は3つ以上、例えば3つ又は4つの操作要素が使用されてもよい。
【0086】
シャフト及びローラがマットレスの平面内でマットレスの短辺から外側に配置されるように示されているが、当業者であれば分かるように、例えばマットレスの下方など、操作装置の多くの他の配置も実現可能である。更に、操作要素は、直線に沿って延在する必要はなく、特にマットレスの外側で湾曲した経路を成して配置されてもよい。異なる延在方向間に滑らかな移行部をもたらすように摺動面、ローラなどが配置されてもよい。
【0087】
図10aに関連して説明した実施形態と同様の別の実施形態において、操作要素61’は、先の例と同様に、一端部が対応する長尺作動部材に接続されるが、その後、シャフト62に接続される前に、他端部が互いに接続されて単一の操作要素61’を成してもよい。これにより、シャフトを、かなり短く、よりコンパクトにすることができるとともに、例えばロール、ホイールなどとして形成できる。
【0088】
図10a及び
図10bに関連して説明した実施形態では、それぞれの長尺作動部材ごとに1つの操作装置が設けられる。図示の例では、2つの長尺作動部材が設けられ、それぞれの長尺作動部材が対応するシャフト及びモータによって制御される。したがって、ここでは、マットレスのそれぞれの短辺に1つのシャフト及びモータが設けられる。これは、それによって長尺作動部材のそれぞれの独立した制御が可能であるため、多くの用途で有利である。しかしながら、多くの状況において、長尺作動部材は、同時に互いに制御される関係で移動されることが好ましい。そのような実施形態では、全ての長尺作動部材を制御するために単一の操作装置が使用されてもよい。そのような装置は、よりコンパクトでより費用効率が高いという利点を与える。
【0089】
図10cの実施形態では、全ての、ここでは2つの長尺作動部材を制御するために単一の操作装置が使用される。この装置では、単一の回転可能シャフト62”が、マットレスの一方側に配置されて、単一の電気モータ63”によって動作される。シャフトは、前述の実施形態と同じ方法で操作要素によりシャフトに最も近い長尺作動部材に接続される。更なる操作要素は、一端部がシャフトに接続され、その後、マットレスの下方で又はマットレスを通り抜けてマットレスの他方側の所定の固定部へと向かう経路を成して延び、シャフトから最も離れた他方の長尺作動要素に至るまで更に延びる。所定の固定部は、好ましくは、ローラ64、摺動面、ループなどとして実現される。
【0090】
前述の実施形態では、操作装置が回転可能シャフトを備える。しかしながら、操作要素の押圧及び/又は牽引を行うための他の多くの装置が実現可能である。
【0091】
図11に示される更なる別の実施形態において、長尺作動部材6は、長尺作動部材の端部がマットレスの長辺から外側に延びるように、マットレス1(他の詳細を不明瞭にしないように破線でのみ示される)の幅よりも大きい延在部を有する。これらの延在端は、マットレスの長辺に沿って延びるワイヤなどの操作要素61’’’に接続される。更に、この構成において、操作装置は、操作要素が接続されるコネクタ65を備え、このコネクタ65は、リニアアクチュエータ、電気油圧ピストン装置などによって移動可能である。図示の例では、ピストン63’が使用される。
【0092】
この実施形態では、両方の長尺作動部材の動作のために単一の操作装置が設けられるが、先と同様に、複数の操作装置が使用されてもよいことが認識されるべきである。
【0093】
図示の操作装置において、操作要素61’’’は、単一の操作要素又は接続された複数の操作要素から作られる閉ループを成す。特に、操作装置は、鋼線、好ましくは閉ループを成して配置される単一の鋼線を備えてもよい。操作要素は、ここではマットレスの短い端部の一方の近くに配置されるピストン63’によって制御可能に移動できるコネクタ65に接続される。ワイヤは、マットレスの1つの角部まで、及び、ローラ64’、摺動面、フック等まで延びる。その後、ワイヤは、それが接続される1つの長尺作動部材6の端部を通り過ぎて反対側の角部に配置されるローラ64”等までマットレスの長辺と平行に続く。その後、ワイヤは、同じ長辺と平行に逆向きに延び、それが接続される他方の長尺作動部材6の端部を通り過ぎて、第1の角部に配置される第2のローラ64’’’等まで延びる。その後、ワイヤは、短辺と平行に、反対側の角部へと続き、別のローラ64’’’等へと続いて、第2の長辺に沿って下る。ここで、ワイヤは、最初に、それが接続される第1の長尺作動部材6を通り過ぎて、反対側の角部へと下り、ローラ64’’等を通り過ぎて、それが接続される第2の長尺作動部材6の端部を介して第1の短辺へ向けて再び上る。最後に、ワイヤは、ローラ64’等を介してコネクタ65へと再び続き、それにより、ループを閉じる。
【0094】
したがって、コネクタ65を一方向に、例えば図の右へとピストンにより移動させることにより、ワイヤがループに沿って一方向に、例えば時計回りに移動し、それにより、長尺作動部材6が互いから離れるように同時に移動する。したがって、コネクタ65を他方向に、例えば図の左へと移動させることにより、ワイヤがループに沿って他方向に、例えば反時計回りに移動し、それにより、長尺作動部材6が互いの方へ向かうように同時に移動する。
【0095】
先の実施形態と同様に、マットレス1の端部は所定位置に固定される。この実施形態において、スチールロッドなどのロッド2’は、スプリングユニットの最も外側の2つの列の間など、マットレスの端部に配置され、フレーム2”に対して、例えばフレームの底部に又はフレームの1つ又は幾つかの側壁に接続される。
【0096】
更に、マットレスの一部又はマットレス全体に対して引き込み力を与えるために弾性要素5が設けられてもよい。この例では、弾性要素5がマットレスの全長又はほぼ全長にわたって延びる。ここでも、弾性要素は、他の部分を不明瞭にしないように破線でのみ示される。しかしながら、ここでは長尺作動部材が前後の両方に能動的に移動されるため、ここでは弾性要素が主に各部分内に各状態でポケットユニットの良好な分布を与えるために使用されるが、この実施形態でも弾性要素が省かれてもよい。
【0097】
コネクタ65を図の右に移動させることによって、長尺作動部材6が互いの方へ向かって移動されると、マットレスの中央部分が長尺作動部材間で圧縮される一方、マットレス1の短辺に隣接する外側部分が拡張される。これにより、ユーザはマットレスが硬いと認識する。コネクタ65を図の左に移動させることによって、長尺作動部材6が互いから離れるように移動されると、マットレスの中央部分が長尺作動部材間で代わりに拡張される一方、マットレス1の短辺に隣接する外側部分が代わりに圧縮される。これにより、ユーザは代わりにマットレスが柔らかいと認識する。
【0098】
この実施形態では、操作要素がマットレスの外側に配置され、それにより、スプリングなどとの干渉が回避されるとともに、より費用効率の高いアセンブリがもたらされる。
【0099】
前述の実施形態では、2つの長尺作動要素が設けられる。しかしながら、既に言及したように、3つ以上の長尺作動部材が使用されてもよい。長尺作動部材を1つだけ使用することもできる。そのような実施形態が
図12に示される。ここでは、好ましくは他方の短辺よりも一方の短辺の方に近いとともに、例えば他の実施形態に関連して前述したタイプの操作装置によって操作される長尺作動部材6が設けられる。図示の例では、
図10a~
図10bに関して説明したものと同様の操作装置が示されるが、
図10c及び
図11の装置などの他の装置が使用されてもよい。ここで、長尺作動部材は、好ましくは、前後に能動的に移動され、それにより、弾性要素がなくても済むようになる。しかしながら、弾性要素は、特により大きなマットレス部分では、スプリングの良好な分布をもたらすために依然として有用となり得る。
【0100】
前述の全ての実施形態では、拡張及び圧縮がマットレスの長さ方向で起こる。しかしながら、拡張及び収縮を幅方向でもたらすこともできる。そのような実施形態が
図13に示される。ここで、長尺作動部材61は、先の例の場合と同様に、幅方向ではなく、マットレスの長さ方向に延びる。更に、マットレスの長辺へ向かう及び/又は中央へ向かう長尺作動部材の移動をもたらすために操作要素61が幅方向で延びる。図示の例では、回転可能シャフト62が各長辺に沿って配置され、それにより、例えば電気モータ63により長尺作動部材を長辺へ向けて引っ張ることができる可能性がもたらされる。更に、弾性要素5は、長尺作動部材を解放時に互いの方へ向けて戻すために設けられる。しかしながら、他の前述の操作装置のいずれかが使用されてもよい。
【0101】
既に述べたように、調整可能なマットレスは、別のポケットスプリングマットレス、フォームマットレスなどの別のマットレスと組み合わせて配置されてもよい。更に、調整可能なマットレスは、1つ又は幾つかのパディング層などと組み合わされてもよい。
【0102】
好ましくは、低摩擦面が調整可能なマットレスの少なくとも一方側に配置される。そのような低摩擦面は、ポリエーテルシートなどの低摩擦材料のシートによってもたらされてもよい。そのようなシートは、調整可能なマットレスと別のマットレスとの間に又は他のマットレスが設けられない場合にはマットレスの上部に又は調整可能なマットレスとその上にあるパディングとの間に設けられてもよい。低摩擦シートは、調整可能なマットレスを調整するための抵抗を下げる。これにより、調整に必要な電力が少なくなるとともに、変形などのリスクも少なくなる。
【0103】
同様に、調整可能なマットレスがフレームプレート上にある場合、フレームプレートは、低摩擦面をもたらす材料から作られることが好ましい。例えば、ベースプレートが強化プラスチック材料から作られてもよい。或いは、ポリエーテルシートなどの低摩擦材料のシートがベースプレートと調整可能なマットレスとの間に配置されてもよい。
【0104】
当業者であれば分かるように、本発明は決して前述の好ましい実施形態に限定されない。逆に、添付の特許請求の範囲内で多くの変更及び変形が可能である。例えば、調整可能なマットレスは、付加的なマットレス、パディング、及び、シートと様々に組み合わせて配置されてもよい。更に、弾性要素は、マットレスの幾つかの部分のみにわたって又は複数の部分に又は全ての部分に配置されてもよく、或いは、幾つかの部分又は全ての部分にわたって延びるように配置されてもよい。また、弾性要素は、ポケットユニットの上方、下方、及び/又は、ポケットユニット間に様々な方法で配置されてもよい。更に、長尺作動部材は、様々な方法で配置されてもよく、また、マットレス内に様々な方法で埋め込まれてもよい。更にまた、長尺作動部材は、手動で調整可能であってもよく、或いは、様々な方法で電気的に調整可能であってもよい。そのような明白な変形は、添付の特許請求の範囲によって既定される本発明によって包含されると見なされなければならない。