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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-26
(45)【発行日】2022-09-05
(54)【発明の名称】電気機械システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/09 20060101AFI20220829BHJP
   F16C 32/04 20060101ALI20220829BHJP
   H02K 27/30 20060101ALI20220829BHJP
【FI】
H02K7/09
F16C32/04 Z
H02K27/30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019572153
(86)(22)【出願日】2018-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 FI2018050411
(87)【国際公開番号】W WO2019002663
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】20175638
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】504357510
【氏名又は名称】ラッペーンランナン-ラハデン テクニッリネン ユリオピスト ルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ユッシ ソパネン
(72)【発明者】
【氏名】オッリ ピルホネン
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0170943(US,A1)
【文献】特開平09-308185(JP,A)
【文献】特開2008-072811(JP,A)
【文献】特開2015-159717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/00- 7/20
H02K 27/00-27/30
F16C 32/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的駆動装置を実装するための製品セットであって、
前記製品セットは、電気機械(200)を備え、
前記電気機械は、
フレーム構造(202)と、該フレーム構造の内部の電磁的活性部分(203)と、を備えた固定子(201)と、
シャフト(205)と、前記固定子の前記電磁的活性部分と協働してトルクを生成するための電磁的活性部分(206)と、を備えた回転子(204)と、
前記回転子を前記固定子に対して回転可能に支持し、前記フレーム構造の内部にある軸受(207~209)と、を備え、
前記製品セットは、
前記シャフトを支持するための第1磁気軸受モジュール(210a)であるとともに、前記フレーム構造と該第1磁気軸受モジュールとが軸線方向において連続するようにして前記フレーム構造の外面に対して取り付け可能とされた第1磁気軸受モジュールであって、互いから非破壊的に取り外し可能とされた第1磁気軸受モジュールと、
前記シャフトを支持するための少なくとも1つの第2磁気軸受モジュール(210b、210c)であるとともに、前記フレーム構造と該第2磁気軸受モジュールとが軸線方向において連続するようにして前記フレーム構造の前記外面上の、前記第1磁気軸受モジュールが取り付け可能とされているのと同じ場所に対して取り付け可能とされた第2磁気軸受モジュールであって、互いから非破壊的に取り外し可能とされた少なくとも1つの第2磁気軸受モジュールと、をさらに備え、
前記第2磁気軸受モジュールは、前記第1磁気軸受モジュールの対応する力発生磁気要素とは異なる寸法とされた力発生磁気要素を有する、ことを特徴とする製品セット。
【請求項2】
前記フレーム構造は、前記固定子の前記電磁的活性部分を囲む管状部分(211)と、該管状部分に対して取り付けられ、前記シャフトのための開口を備えた端部シールド(212)と、を備え、
前記第1磁気軸受モジュール及び前記第2磁気軸受モジュールの各々は、前記端部シールドに対して取り付け可能とされている、請求項1に記載の製品セット。
【請求項3】
前記磁気軸受モジュール(210a、210c)のうちの少なくとも1つは、径方向の磁気軸受を備える、請求項1又は2に記載の製品セット。
【請求項4】
前記磁気軸受モジュール(110)のうちの少なくとも1つは、ロータディスクを有する軸線方向の磁気軸受を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の製品セット。
【請求項5】
前記磁気軸受モジュール(210b)のうちの前記少なくとも1つの磁気軸受モジュールは、コニカル磁気軸受(219)を備える、請求項1又は2に記載の製品セット。
【請求項6】
前記磁気軸受モジュール(210c)のうちの少なくとも1つの磁気軸受モジュールの固定子部分は、前記シャフトを囲むようにして互いに取り付け可能とされた少なくとも2つのセクター(221a、221b)を備え、
前記磁気軸受モジュールの前記固定子部分は、前記シャフトの自由端を必要とすることなく、取り付け可能とされている、請求項1~5のいずれか一項に記載の製品セット。
【請求項7】
前記磁気軸受モジュール(210a、210b)のうちの少なくとも1つは、前記磁気軸受モジュールに対して固定された径方向の基準位置に対しての前記シャフトの径方向位置と、前記磁気軸受モジュールに対して固定された軸線方向の基準位置に対しての前記シャフトの軸線方向位置と、のうちの少なくとも一方を示す位置信号を生成するための位置センサを備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の製品セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、回転電気機械に関する。より詳細には、本開示は、様々な機械的負荷に対して適合し得る電気機械システムに関する。さらに、本開示は、電気的駆動装置を実装するための製品セットに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機械が作業機械に対して接続されている電気的駆動装置においては、作業機械は、静的な力を、及び/又は、時間変動する軸線方向の力を、及び/又は、時間変動する径方向の力を、電気機械のシャフトに対して伝達することがあり得る。作業機械は、例えば、圧縮機、タービン、ポンプ、電気モータによって駆動されるいくつかの他の機械的デバイス、あるいは、発電機を駆動するいくつかの他の機械的デバイスであってもよい。電気機械のシャフトに対して伝達される軸線方向及び/又は径方向の力は、作業機械の特性に依存する。したがって、機械的な力が同じである様々な作業機械であっても、接続された電気機械のシャフトに対して伝達される径方向及び/又は軸線方向の力は、著しく相違することがあり得る。よって、電気機械が様々な作業機械に対して互換性を有するためには、電気機械の軸受は、様々な静的な力、及び/又は、時間変動する様々な径方向の力、及び/又は、時間変動する様々な軸線方向の力、を支持するのに適している必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の要求は、磁気軸受を備えた電気機械においては、困難なものであり得る。特に高速用途においては、様々な作業機械のための充分なパワーを有した電気機械であっても、典型的には、これらの作業機械のそれぞれを駆動するには、そのままでは適していない。なぜなら、それら作業機械どうしの間においては、電気機械のシャフトに対して伝達される、静的な力、及び/又は、時間変動する軸線方向の力、及び/又は、時間変動する径方向の力、に関して、相違が著しく大きい可能性があるからである。そのため、多くの場合、作業機械と、磁気軸受を有した高速電気機械と、を完全に一体化することが要望される。そのような完全な一体化は、困難な可能性があり、完全な一体化の必要性は、市場での磁気軸受技術のより広い応用にとって、ショーストッパでさえあり得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下においては、様々な発明の実施形態のいくつかの見地に関する基本的な理解を提供し得るよう、簡略化された概要を提示する。該概要は、本発明を広範に概観するものではない。該概要は、本発明の主要な又は重要な要素を特定することを意図するものではなく、また、本発明の範囲を境界付けすることを意図するものでもない。以下の概要は、本発明の好ましい実施形態のより詳細な説明に対する前置きとして、本発明のいくつかの概念を、単純化された態様で、単に提示するに過ぎない。
【0005】
本発明によれば、モータとしてあるいは発電機として機能し得る新規な電気機械システムが提供される。本発明による電気機械システムは、電気機械を備え、該電気機械は、
フレーム構造と、該フレーム構造の内部の電磁的活性部分と、を備えた固定子と、
シャフトと、固定子の電磁的活性部分と協働してトルクを生成するための電磁的活性部分と、を備えた回転子と、
回転子を固定子に対して回転可能に支持するとともにフレーム構造の内部にある軸受と、を備える。
【0006】
電気機械システムは、シャフトを支持し得るように構成された磁気軸受モジュールであって、フレーム構造と該磁気軸受モジュールとが軸線方向において連続するようにしてフレーム構造の外面に対して取り付けられた磁気軸受モジュールを、さらに備える。磁気軸受モジュールは、フレーム構造から非破壊的に取り外し可能とされた交換可能な構成部材である。よって、電気機械は、適切な磁気軸受モジュールを選択することにより、様々な作業機械に対して適合することができる。電気機械の上記の軸受は、例えば、磁気軸受を備えることができる。しかしながら、上記のタイプの磁気軸受モジュールが、作業機械に対して互換的であるために、例えばガス軸受などの、磁気軸受以外の軸受を備えた電気機械の適合のために使用されることも、また、可能である。
【0007】
本発明によれば、また、電気的駆動装置を実装するための新規な製品セットが提供される。本発明による製品セットは、電気機械を備え、該電気機械は、
フレーム構造と、該フレーム構造の内部の電磁的活性部分と、を備えた固定子と、
シャフトと、固定子の電磁的活性部分と協働してトルクを生成するための電磁的活性部分と、を備えた回転子と、
回転子を固定子に対して回転可能に支持するとともにフレーム構造の内部にある軸受と、を備える。
【0008】
製品セットは、
シャフトを支持するための第1磁気軸受モジュールであり、フレーム構造と該第1磁気軸受モジュールとが軸線方向において連続するようにしてフレーム構造の外面に対して取り付け可能とされた第1磁気軸受モジュールであり、さらに、フレーム構造から非破壊的に互いに取り外し可能とされた第1磁気軸受モジュールと、
シャフトを支持するための少なくとも1つの第2磁気軸受モジュールであり、フレーム構造と該第2磁気軸受モジュールとが軸線方向において連続するようにしてフレーム構造の外面上の、第1磁気軸受モジュールが取り付け可能とされているのと同じ場所に対して取り付け可能とされた第2磁気軸受モジュールであり、さらに、フレーム構造から非破壊的に互いに取り外し可能とされた少なくとも1つの第2磁気軸受モジュールと、をさらに備え、第2磁気軸受モジュールは、第1磁気軸受モジュールの対応する力発生磁気要素とは異なる寸法とされた力発生磁気要素を有する。
【0009】
本発明の非限定的な好ましい実施形態は、添付の従属請求項に記載されている。
【0010】
特定の非限定的な好ましい実施形態に関する以下の説明を、添付図面と関連して読むことにより、本発明の様々な非限定的な好ましい実施形態は、構造と動作方法との双方に関して、その追加的な目的及び利点と共に、最もよく理解されるであろう。
【0011】
本明細書においては、「備える」(to comprise)及び「含む」(to include)という動詞は、明記されていない特徴点の存在を除外も要求もしないというオープンな制限として、使用される。従属請求項に記載されている特徴点は、特段に明示的に言及されない限り、相互に自由に組み合わせることができる。さらに、本明細書を通して、“a”又は“an”の使用は、すなわち単数形の使用は、複数を除外しないことを理解されたい。
【0012】
本発明の非限定的な好ましい実施形態について、及び、それらの利点について、例示の意味合いで、添付図面を参照して、以下においてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の非限定的な好ましい実施形態による電気機械システムを示す。
図2a】電気的駆動装置を実装するための本発明の非限定的な好ましい実施形態による製品セットを示す。
図2b】電気的駆動装置を実装するための本発明の非限定的な好ましい実施形態による製品セットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明において提供される特定の具体例は、添付の特許請求の範囲及び/又は適用可能性を制限するものとして解釈されるべきではない。以下の説明において提供される具体例のリスト及びグループは、特段に明示的に言及されない限り、網羅的ではない。
【0015】
図1は、本発明の非限定的な好ましい実施形態による電気機械システムの概略的な断面図を示す。切断面は、座標系199のyz平面に対して平行である。電気機械システムは、固定子101と回転子104とを有した電気機械100を備える。固定子101は、フレーム構造102と、該フレーム構造102の内部の電磁的活性部分103と、を備える。電磁的活性部分103は、例えば、強磁性コア構造と、該強磁性コア構造のスロット内に設置された多相巻線と、を備えることができる。回転子104は、シャフト105と、固定子の電磁的活性部分103と協働してトルクを生成するための電磁的活性部分106と、を備える。回転子104の電磁的活性部分106は、例えば、永久磁石、巻線、ケージ巻線、及び/又は、突出性を提供する他の導電性構造及び/又は強磁性構造、を備えることができる。よって、電気機械100は、例えば、電気励起同期機、永久磁石機械、誘導機、あるいは、リラクタンス機、とすることができる。図1に示す例示的な状況においては、電気機械100のシャフト105は、カップリング123を使用して、作業機械124に対して結合されている。作業機械124は、例えば、圧縮機、タービン、ポンプ、電気機械がモータとして機能するときに電気機械100によって駆動されるいくつかの他の機械的デバイス、あるいは、電気機械が発電機として機能するときには電気機械100を駆動するいくつかの他の機械的デバイス、とすることができる。
【0016】
電気機械100は、固定子101のフレーム構造102の内部に配置された軸受107、108、109を備える。軸受107~109は、回転子104を固定子101に対して回転可能に支持し得るように構成されている。該例示的な電気機械100においては、軸受107、108は、軸線方向において回転子の電磁的活性部分106の両サイドに配置された径方向の磁気軸受である。軸受109は、ロータディスク120を有した軸線方向の磁気軸受である。電気機械100は、さらに、軸線方向及び径方向における基準位置に対しての回転子104の位置を示す位置信号を生成するための位置センサ117、118を備える。軸線方向は、座標系199のz軸に対して平行である。また、非限定的な好ましい実施形態による電気機械システムの電気機械が、図1に示すものとは異なる磁気軸受を備えることも、可能である。磁気軸受は、例えば、コニカル磁気軸受を備えることができる。電気機械100は、有利には、磁気軸受の故障時に回転子を支持するための、例えば玉軸受又はすべり軸受などのタッチダウン軸受を、さらに備える。タッチダウン軸受は、図1には図示されていない。さらに、非限定的な好ましい実施形態による電気機械システムの電気機械は、例えばガス軸受などの、磁気軸受以外のいくつかの他の軸受を備えることも可能である。
【0017】
電気機械システムは、さらに、シャフト105を支持し得るように構成された磁気軸受モジュール110であるとともに、フレーム構造と磁気軸受モジュールとが軸線方向において連続するようにして電気機械100のフレーム構造102の外面に対して取り付けられた磁気軸受モジュール110を、備える。磁気軸受モジュール110は、フレーム構造102から非破壊的に取り外し可能とされた交換可能な構成部材である。よって、電気機械100は、適切な磁気軸受モジュールを選択することにより、様々な作業機械に対して適合することができる。磁気軸受モジュール110は、磁気軸受モジュール110の磁気軸受の故障時にシャフトを支持するための、例えば玉軸受又はすべり軸受などの1つ又は複数のタッチダウン軸受を備えることができる。タッチダウン軸受は、図1には図示されていない。例示的な電気機械100においては、フレーム構造102は、固定子の電磁的活性部分103を囲む管状部分111と、該管状部分に対して取り付けられているとともに、シャフト105のための開口を有した端部シールド112と、を備える。図1に示すように、磁気軸受モジュール110は、端部シールド112に対して取り付けられている。
【0018】
図1に示す例示的な電気機械システムにおいては、磁気軸受モジュール110は、径方向の磁気軸受113と、ロータディスク115を有した軸線方向の磁気軸受114と、を備える。さらに、磁気軸受モジュール110は、磁気軸受モジュールに対して固定された基準位置に対してのシャフトの径方向位置、及び/又は、磁気軸受モジュールに対して固定された基準位置に対してのシャフトの軸線方向位置、を示す位置信号を生成するための位置センサ116を備える。
【0019】
図1に示す電気機械システムを備えた電気的駆動装置は、位置センサ116、117、118によって生成される位置信号に基づいて磁気軸受107~109、113、114を制御するためのコントローラシステム130を備える。磁気軸受モジュール110の磁気軸受、及び、電気機械100の磁気軸受は、磁気軸受モジュール110の浮揚制御ループと電気機械100の浮揚制御ループとの間に接続が存在するように、多変数制御によって制御することができる。また、磁気軸受モジュール110が、電気機械100の浮揚制御ループとは個別的な、該磁気軸受モジュール自身の浮揚制御ループによって制御されることも、可能である。磁気軸受モジュール110の磁気軸受、及び、電気機械100の磁気軸受は、有利には、例えば磁気軸受モジュール110の径方向の及び/又は軸線方向の磁気軸受が電気機械100の径方向の及び/又は軸線方向の磁気軸受に対して作用する状況などを回避し得るよう、連携された方法で制御される。作業機械124によってシャフト105へと伝達される力を支持することに加えて、磁気軸受モジュール110は、シャフトの有害な振動を減衰させるために使用することができる。振動の減衰は、すべての磁気軸受に対して連携的多変数制御を使用することによって、行うことができる。あるいは、振動の減衰は、電気機械100の磁気軸受107~109に対しての制御が磁気軸受ユニット110によって変更されるべきではない場合には、磁気軸受ユニット110に対しての個別的な制御を使用することによって、行うことができる。図1においては、磁気軸受ユニット110が磁気軸受107~109の制御とは個別的に制御されるという例示的な場合が、磁気軸受ユニット110を制御するための第1コントローラ130a、及び、電気機械100の磁気軸受107~109を制御するための第2コントローラ130b、と共に図示されている。
【0020】
コントローラシステム130の実装は、すなわち両コントローラ130a、130bの実装は、1つ又は複数のアナログ回路、あるいは、1つ又は複数のデジタル処理回路、あるいは、これらの組合せ、に基づくことができる。各デジタル処理回路は、適切なソフトウェアを備えたプログラマブルプロセッサ回路、あるいは、例えば特定用途向け集積回路「ASIC」などの専用ハードウェアプロセッサ、あるいは、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ「FPGA」などの構成可能なハードウェアプロセッサ、とすることができる。さらに、コントローラシステム130は、すなわち両コントローラ130a、130bは、各々が例えばランダムアクセスメモリ「RAM」回路であり得る1つ又は複数のメモリ回路を備えてもよい。
【0021】
図2aは、電気的駆動装置を実装するための本発明の非限定的な好ましい実施形態による製品セットを示す。該製品セットは、電気機械200と、磁気軸受モジュール210a、210b、210cと、を備える。磁気軸受モジュール210a~210cの各々は、電気機械200と磁気軸受モジュールとが軸線方向において連続するようにしてかつ互いに非破壊的に取り外し可能であるようにして、電気機械200に対して取り付け可能である。図2aにおいては、電気機械200と磁気軸受モジュール210a~210cとは、切断面が座標系299のyz平面に対して平行である概略的な断面図によって、示されている。電気機械200は、固定子201と、回転子204と、を備える。固定子201は、フレーム構造202と、該フレーム構造の内部の電磁的活性部分203と、を備える。回転子204は、シャフト205と、固定子の電磁的活性部分203と協働してトルクを生成するための電磁的活性部分206と、を備える。電気機械200は、回転子204を固定子201に対して回転可能に支持するために、径方向の磁気軸受207、208と、軸線方向の磁気軸受209と、を備える。磁気軸受207~208は、フレーム構造202の内部に配置されている。該例示的な場合においては、上記のフレーム構造202は、固定子の電磁的活性部分203を囲む管状部分211と、該管状部分211に対して取り付けられているとともに、シャフト205のための開口を有した端部シールド212と、を備える。磁気軸受モジュール210a~210cの各々は、端部シールド212に対して取り付け可能である。
【0022】
図2aに示すように、磁気軸受モジュール210a~210cは、互いに相違する力発生磁気要素を有する。よって、電気機械200は、磁気軸受モジュール210a~210cのうちの適切な1つを選択することにより、様々な要求に対して適合することができる。磁気軸受モジュール210aは、径方向の磁気軸受と、磁気軸受モジュール210aの軸線方向のカバー範囲内におけるシャフト205の径方向位置を示す位置信号を生成するための位置センサと、を備える。位置センサは、例えば、誘導センサとすることができる。さらに、磁気軸受モジュール210aは、例えば焼き嵌めによってシャフト205の周囲に組み立てられ得る回転子要素240を備える。回転子要素240は、有利には、電気的に絶縁された強磁性シートが軸線方向に積層されて構成された積層部分を備える。中実の鋼鉄と比較して、積層部分は、電力損失を引き起こすとともに径方向の磁気軸受の動作を妨害しさらに誘導的位置センサの動作を妨害する渦電流を低減する。磁気軸受モジュール210bは、コニカル磁気軸受219と、磁気軸受モジュール210aの軸線方向のカバー範囲内におけるシャフト205の径方向位置を示すとともにシャフト205の軸線方向位置を示す位置信号を生成するための位置センサと、を備える。磁気軸受モジュール210bは、外部の機械システムが、シャフト205に対して一方向の軸線方向の力を伝達する場合に、適している。磁気軸受モジュール210cの径方向の磁気軸受は、磁気軸受モジュール210aの径方向の磁気軸受と比較して、軸線方向において、より長いものとされている。磁気軸受モジュール210cは、位置センサを備えておらず、電気機械200の位置センサによって生成される位置信号が、磁気軸受モジュール210cの制御に利用されることが想定されている。磁気軸受モジュール210a~210cが単なる例示に過ぎないこと、及び、本発明の好ましい実施形態による製品セットが、磁気軸受モジュール210a~210cとは異なる磁気軸受モジュールを備え得ることは、注目に値する。
【0023】
本発明の一実施形態による製品セットの磁気軸受モジュールは、シャフトを囲むようにして互いに取り付け可能とされた少なくとも2つのセクター(sectors)を備えた固定子部分を有することができる。よって、磁気軸受モジュールの固定子部分は、シャフトの自由端を必要とすることなく、取り付けることができる。図2aに示す製品セットにおいては、磁気軸受モジュール210cは、シャフト205を囲むように互いに取り付け可能とされた2つのセクターを備えた固定子部分を有する。図2bは、座標系299の正のz方向に沿って見たときの、磁気軸受モジュール210cを示す。図2bにおいては、磁気軸受モジュール210cのセクターは、参照符号221a、221bによって示されている。図2aに関連する切断面は、図2bにおいて破線A-Aによって示されている。当然のことながら、磁気軸受モジュール210a、201bも、また、上述の種類の扇形構造(sectored structure)を有することができる。
【0024】
上記の説明において提供される特定の具体例は、添付の特許請求の範囲及び/又は適用可能性を制限するものとして解釈されるべきではない。上記の説明において提供されている具体例のリスト及びグループは、特段に明示的に言及されない限り、網羅的ではない。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む。
〔態様1〕
電気機械(100)を備えた電気機械システムであって、
前記電気機械は、
フレーム構造(102、202)と、該フレーム構造の内部の電磁的活性部分(103、203)と、を備えた固定子(101、201)と、
シャフト(105、205)と、前記固定子の前記電磁的活性部分と協働してトルクを生成するための電磁的活性部分(106)と、を備えた回転子(104、204)と、
前記回転子を前記固定子に対して回転可能に支持するとともに前記フレーム構造の内部にある軸受(107~109、207~209)と、を備え、
前記電気機械システムは、前記シャフトを支持するように構成された磁気軸受モジュール(110、210a~210c)であるとともに、前記フレーム構造と該磁気軸受モジュールとが軸線方向において連続するようにして前記フレーム構造の外面に対して取り付けられた磁気軸受モジュールを、さらに備え、
前記磁気軸受モジュールは、前記フレーム構造から非破壊的に取り外し可能とされた交換可能な構成部材である、ことを特徴とする電気機械システム。
〔態様2〕
前記フレーム構造は、前記固定子の前記電磁的活性部分を囲む管状部分(111、211)と、該管状部分に対して取り付けられ、前記シャフトのための開口を有する端部シールド(112、212)と、を備え、
前記磁気軸受モジュールは、前記端部シールドに対して取り付けられている、態様1に記載の電気機械システム。
〔態様3〕
前記磁気軸受モジュールは、径方向の磁気軸受(113)を備える、態様1又は2に記載の電気機械システム。
〔態様4〕
前記磁気軸受モジュールは、ロータディスク(115)を有する軸線方向の磁気軸受(114)を備える、態様1~3のいずれか一態様に記載の電気機械システム。
〔態様5〕
前記磁気軸受モジュールは、コニカル磁気軸受(219)を備える、態様1又は2に記載の電気機械システム。
〔態様6〕
前記磁気軸受モジュールの固定子部分は、前記シャフトを囲むようにして互いに取り付け可能とされた少なくとも2つのセクター(221a、221b)を備え、
前記磁気軸受モジュールの前記固定子部分は、前記シャフトの自由端を必要とすることなく、取り付け可能とされている、態様1~5のいずれか一態様に記載の電気機械システム。
〔態様7〕
前記フレーム構造の内部の前記軸受(107~109、207~209)は、軸線方向において前記回転子の前記電磁的活性部分の両サイドに配置された、第1磁気軸受及び第2磁気軸受を備える、態様1~6のいずれか一態様に記載の電気機械システム。
〔態様8〕
前記磁気軸受モジュールは、前記磁気軸受モジュールに対して固定された径方向の基準位置に対しての前記シャフトの径方向位置と、前記磁気軸受モジュールに対して固定された軸線方向の基準位置に対しての前記シャフトの軸線方向位置と、のうちの少なくとも一方を示す位置信号を生成するための位置センサ(116)を備える、態様1~7のいずれか一態様に記載の電気機械システム。
〔態様9〕
前記電気機械システムは、前記シャフトの振動を減衰させるように前記磁気軸受ユニット(110)を制御するための第1コントローラ(130a)と、前記電気機械(100)の前記磁気軸受(107~109)を制御するための第2コントローラ(130b)と、を備える、態様1~8のいずれか一態様に記載の電気機械システム。
〔態様10〕
電気的駆動装置を実装するための製品セットであって、
前記製品セットは、電気機械(200)を備え、
前記電気機械は、
フレーム構造(202)と、該フレーム構造の内部の電磁的活性部分(203)と、を備えた固定子(201)と、
シャフト(205)と、前記固定子の前記電磁的活性部分と協働してトルクを生成するための電磁的活性部分(206)と、を備えた回転子(204)と、
前記回転子を前記固定子に対して回転可能に支持し、前記フレーム構造の内部にある軸受(207~209)と、を備え、
前記製品セットは、
前記シャフトを支持するための第1磁気軸受モジュール(210a)であるとともに、前記フレーム構造と該磁気軸受モジュールとが軸線方向において連続するようにして前記フレーム構造の外面に対して取り付け可能とされた第1磁気軸受モジュールであって、互いから非破壊的に取り外し可能とされた第1磁気軸受モジュールと、
前記シャフトを支持するための少なくとも1つの第2磁気軸受モジュール(210b、210c)であるとともに、前記フレーム構造と該第2磁気軸受モジュールとが軸線方向において連続するようにして前記フレーム構造の前記外面上の、前記第1磁気軸受モジュールが取り付け可能とされているのと同じ場所に対して取り付け可能とされた第2磁気軸受モジュールであって、互いから非破壊的に取り外し可能とされた少なくとも1つの第2磁気軸受モジュールと、をさらに備え、
前記第2磁気軸受モジュールは、前記第1磁気軸受モジュールの対応する力発生磁気要素とは異なる寸法とされた力発生磁気要素を有する、ことを特徴とする製品セット。
〔態様11〕
前記フレーム構造は、前記固定子の前記電磁的活性部分を囲む管状部分(211)と、該管状部分に対して取り付けられ、前記シャフトのための開口を備えた端部シールド(212)と、を備え、
前記第1磁気軸受モジュール及び前記第2磁気軸受モジュールの各々は、前記端部シールドに対して取り付け可能とされている、態様10に記載の製品セット。
〔態様12〕
前記磁気軸受モジュール(210a、210c)のうちの少なくとも1つは、径方向の磁気軸受を備える、態様10又は11に記載の製品セット。
〔態様13〕
前記磁気軸受モジュール(110)のうちの少なくとも1つは、ロータディスクを有する軸線方向の磁気軸受を備える、態様10~12のいずれか一態様に記載の製品セット。
〔態様14〕
前記磁気軸受モジュール(210b)のうちの前記少なくとも1つの磁気軸受モジュールは、コニカル磁気軸受(219)を備える、態様10又は11に記載の製品セット。
〔態様15〕
前記磁気軸受モジュール(210c)のうちの少なくとも1つの磁気軸受モジュールの固定子部分は、前記シャフトを囲むようにして互いに取り付け可能とされた少なくとも2つのセクター(221a、221b)を備え、
前記磁気軸受モジュールの前記固定子部分は、前記シャフトの自由端を必要とすることなく、取り付け可能とされている、態様10~14のいずれか一態様に記載の製品セット。
〔態様16〕
前記磁気軸受モジュール(210a、210b)のうちの少なくとも1つは、前記磁気軸受モジュールに対して固定された径方向の基準位置に対しての前記シャフトの径方向位置と、前記磁気軸受モジュールに対して固定された軸線方向の基準位置に対しての前記シャフトの軸線方向位置と、のうちの少なくとも一方を示す位置信号を生成するための位置センサを備える、態様10~15のいずれか一態様に記載の製品セット。
図1
図2a
図2b