(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】医用画像表示システム及び医用画像表示装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20220830BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20220830BHJP
G06F 3/04883 20220101ALN20220830BHJP
【FI】
A61B6/00 360Z
G16H10/00
G06F3/04883
(21)【出願番号】P 2017247215
(22)【出願日】2017-12-25
【審査請求日】2020-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅ケ谷 尚隼
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0034110(US,A1)
【文献】特開2007-029341(JP,A)
【文献】特開2016-123797(JP,A)
【文献】特開2004-220133(JP,A)
【文献】特開平06-004212(JP,A)
【文献】特開2011-224086(JP,A)
【文献】特開2016-126725(JP,A)
【文献】特開2014-012040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
A61B 5/055
A61B 8/00 - 8/15
G01T 1/161 - 1/166
G06T 1/00
G06F 3/01 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルの表示画面上に医用画像を表示する医用画像表示装置を有し、
前記表示画面に対する画面接触操作に基づいて、前記表示画面に表示された医用画像の表示態様を変化可能な医用画像表示システムにおいて、
前記表示画面上に、前記医用画像を表示する画像表示領域と、前記画像表示領域に比べて小さい領域であって前記医用画像が表示されない箇所に配置される小領域と、を備えており、
前記画像表示領域の表示態様は、前記小領域における前記画面接触操作に基づいて変化するように設定され、
前記小領域における指等による文字、記号、マーク又はシンボルの入力操作は、予めユーザーにより登録されており、
前記画像表示領域における表示態様の変化は、予め登録された前記小領域における前記指等による文字、記号、マーク又はシンボルの入力操作に対応して設定されていることを特徴とする医用画像表示システム。
【請求項2】
前記小領域は、前記表示画面の縁部に沿った位置に配置されていることを特徴とする請求項
1に記載の医用画像表示システム。
【請求項3】
前記小領域は、前記表示画面上に複数配置されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の医用画像表示システム。
【請求項4】
前記画像表示領域の表示態様は、複数の段階を踏んで変化が行われるワークフローとして設定可能となっていることを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の医用画像表示システム。
【請求項5】
タッチパネルの表示画面に対する画面接触操作に基づいて、前記表示画面に表示された医用画像の表示態様を変化可能な医用画像表示装置において、
前記表示画面上に、前記医用画像を表示する画像表示領域と、前記画像表示領域に比べて小さい領域であって前記医用画像が表示されない箇所に配置される小領域と、を備えており、
前記画像表示領域の表示態様は、前記小領域における前記画面接触操作に基づいて変化するように設定され、
前記小領域における指等による文字、記号、マーク又はシンボルの入力操作は、予めユーザーにより登録されており、
前記画像表示領域における表示態様の変化は、予め登録された前記小領域における前記指等による文字、記号、マーク又はシンボルの入力操作に対応して設定されていることを特徴とする医用画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像表示システム及び医用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばスマートフォンやタブレット端末等のタッチパネル上における指示に基づいて、タッチパネルに表示された医用画像の表示態様を変化させることが可能な医用画像表示装置が知られている。
特許文献1においては、表示端末のタッチパネル上で操作者によって指定された第1の点及び第2の点を特定し、第1及び第2の点によって規定される線を切断基準線として、被写体である解剖学的構造物を複数に分割するなどのシミュレーションを行える技術が開示されている。
特許文献2においては、表示端末のタッチパネルに超音波画像を表示させて実施される診断時において、医師や検査技師などのユーザーが、閾値個数以上のタッチ点でタッチパネルの表示画面を指等でタッチ操作し、超音波画像をフリーズ制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-123584号公報
【文献】特開2017-074213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1,2のような技術においては、タッチパネルに表示されている医用画像上での操作を行うため指や手で医用画像が隠れることになり、視認性の低下を招く場合がある。また、タッチパネル上のほぼ全域を操作のために使うため、タブレット端末のような比較的サイズの大きな端末では片手持ちによる操作は容易ではない。
【0005】
本発明の課題は、表示画面に表示された医用画像の視認性の低下を抑制できるとともに、操作性の向上を図ることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、タッチパネルの表示画面上に医用画像を表示する医用画像表示装置を有し、
前記表示画面に対する画面接触操作に基づいて、前記表示画面に表示された医用画像の表示態様を変化可能な医用画像表示システムにおいて、
前記表示画面上に、前記医用画像を表示する画像表示領域と、前記画像表示領域に比べて小さい領域であって前記医用画像が表示されない箇所に配置される小領域と、を備えており、
前記画像表示領域の表示態様は、前記小領域における前記画面接触操作に基づいて変化するように設定され、
前記小領域における指等による文字、記号、マーク又はシンボルの入力操作は、予めユーザーにより登録されており、
前記画像表示領域における表示態様の変化は、予め登録された前記小領域における前記指等による文字、記号、マーク又はシンボルの入力操作に対応して設定されていることを特徴としている。
【0007】
上記課題を解決するため、請求項5に記載の発明は、タッチパネルの表示画面に対する画面接触操作に基づいて、前記表示画面に表示された医用画像の表示態様を変化可能な医用画像表示装置において、
前記表示画面上に、前記医用画像を表示する画像表示領域と、前記画像表示領域に比べて小さい領域であって前記医用画像が表示されない箇所に配置される小領域と、を備えており、
前記画像表示領域の表示態様は、前記小領域における前記画面接触操作に基づいて変化するように設定され、
前記小領域における指等による文字、記号、マーク又はシンボルの入力操作は、予めユーザーにより登録されており、
前記画像表示領域における表示態様の変化は、予め登録された前記小領域における前記指等による文字、記号、マーク又はシンボルの入力操作に対応して設定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表示画面に表示された医用画像の視認性の低下を抑制できるとともに、操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】医用画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】ジェスチャー登録画面の表示例を示す図である。
【
図9】ジェスチャー登録画面の表示例を示す図である。
【
図12】ジェスチャー登録画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0011】
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における医用画像表示装置1の全体構成を示す。
医用画像表示装置1は、スマートフォンやタブレット型コンピューターを始めとする、タッチパネルを備えた携帯端末機であり、ネットワークを介して外部装置と通信可能に接続されている。携帯端末機とされた医用画像表示装置1は、人が携帯して持ち運ぶのに適した小型端末でもある。本実施形態における医用画像表示装置1としては、タブレット型コンピューターが採用されている。
なお、ネットワークとは、例えばインターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、専用回線、またはこれらの組み合わせによって構成される情報通信ネットワークを指すものとする。
【0012】
このような医用画像表示装置1は、
図1に示すように、制御部2と、記憶部3と、タッチパネル4と、通信部5と、を備える。
【0013】
制御部2は、CPU、RAM等により構成される。制御部2のCPUは、記憶部3に記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。
【0014】
記憶部3は、半導体の不揮発性メモリー等で構成されている。記憶部3には、本実施形態における医用画像表示装置1を動作させるのに必要なシステムプログラムや各種プログラムが記憶されている。
【0015】
タッチパネル4は、入力部と表示部とを兼ねており、医師や放射線技師等であるユーザーの指やタッチペン等の操作子でタッチ操作された位置を検知して、その座標データを入力するもので、本実施形態においては、例えば静電容量方式あるいは抵抗皮膜方式が採用されているが、その他の方式であってもよい。
制御部2は、タッチパネル4へのタッチ操作(画面接触操作)を検出すると、そのタッチ操作の内容(種類)として、タッチパネル4の表示画面(端末画面)内の位置を指示するタッチ操作が行われたのか、表示画面(端末画面)に表示されている表示内容の変更を指示するタッチ操作が行われたのか、コマンドあるいはデータの入力を指示するタッチ操作が行われたのかを判別する。
【0016】
通信部5は、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線通信により外部装置とデータ送受信を行うためのインターフェースを有しており、後述する関連検査に係る医用画像のデータや各種コマンドを始めとする様々なデータの送受信を可能としている。また、医用画像表示装置1は、特定の外部装置だけでなく、通信部5を通じて、その他の外部サーバーやサイト等にもアクセス可能となっている。
【0017】
また、医用画像表示装置1は、図示はしないが、以上の制御部2等の他にも、電源部や外部接続部(有線インターフェース)、音声入力部、音声出力部等を適宜備える。
さらに、制御部2や記憶部3等の内部装置は、タッチパネル4と当該タッチパネル4を保持する外装筐体6の内側に収納されている。内部装置を機能させるためのボタン等の操作部(図示省略)が、必要に応じて外装筐体6に設けられているものとする。
【0018】
以上のような医用画像表示装置1は、外部装置から受信した医用画像を、制御部2と記憶部3に記憶されたプログラムに基づいて、タッチパネル4の表示画面上に表示できるようになっている。また、医用画像を保管する外部装置と通信可能に接続され、この外部装置と医用画像を含む様々なデータや信号等の送受信を行うことで医用画像表示システムを構築している。そして、指やタッチペン等による操作に基づいて、表示画面に表示された医用画像の表示態様を変化させることが可能となっている。
なお、本実施形態においては、外部装置から受信した医用画像をタッチパネル4の表示画面上に表示するものとしたが、これに限られるものではなく、記憶部3に予め記憶された医用画像を、タッチパネル4の表示画面上に表示してもよい。
【0019】
外部装置は、図示はしないが、病院や診療所等における患者情報を管理するための院内サーバーであり、ユーザーは通常、院内クライアント端末を使用し、表示画面の大きな院内モニターを見ながら患者情報の管理・使用を行っている。医用画像表示装置1は、院外から院内サーバーである外部装置にアクセス可能となっており、必要な情報を管理・使用できるようになっている。
【0020】
次に、タッチパネル4の表示画面に係る構成について説明する。
医用画像表示装置1は、
図2~
図10に示すように、タッチパネル4の表示画面上に、医用画像を表示する画像表示領域10と、医用画像が表示されない箇所に配置される小領域20と、を備えている。
そして、画像表示領域10の表示態様は、小領域20における指等による操作に基づいて変化するように設定されている。
【0021】
画像表示領域10は、表示画面を最も大きく占める領域であり、外部装置である院内サーバーから受信した医用画像が表示される。
また、本実施形態における画像表示領域10は、仕切り線10a,10bによって4つの領域に区切られており、これら4つの領域それぞれに、異なる医用画像を表示できるようになっている。
なお、仕切り線10a,10bは、画像表示領域10内で移動させたり、表示状態と非表示状態とを切り替えたりできるようにしてもよい。また、仕切り線10a,10bの本数を増減させて画像表示領域10の区分けの仕方を変更できるようにしてもよい。これにより、画像表示領域10内のレイアウトをユーザーの任意で変更することが可能となる。
【0022】
画像表示領域10の表示態様の変化とは、例えば、画像表示領域10の区分け仕方の変更、画像表示領域10に表示された医用画像のパン表示(上下左右への視点移動)、医用画像のズーム表示(拡大縮小)、医用画像のコントラスト・階調・色調・解像度等の調整、ジェスチャー登録画面等の他画面への切り替え、関連検査リストの表示・非表示、ツールボックスの表示・非表示などである。このような表示態様の変化を、小領域20における指等による操作によって行うことができる。
【0023】
なお、画像表示領域10は、タッチパネル4上に備えられるものであるため、小領域20を用いずに、タッチパネル4に特有の操作を行うことで、その表示態様を変化させてもよい。すなわち、例えば画像表示領域10に表示された医用画像のうちの一つを、ピンチアウト操作を行うことで区分けされた領域内で拡大できたり、反対に、ピンチイン操作を行うことで縮小できたりする。その他にも、フリック操作又はスワイプ操作することで画像表示領域10から一時的に外したり、ロングタップ操作を行うことで医用画像を医用画像表示装置1の記憶部3にダウンロードしたりすることもできる。
ただし、この場合、画像表示領域10に表示された医用画像上で操作を行うため指や手で医用画像が隠れる場合がある。そのため、このような操作に基づく表示態様の変化は、あくまでもタッチパネル4特有の一操作であって、本発明に何らかの限定を加えるものではない。したがって、本実施形態においては、小領域20の表示中に、画像表示領域10における表示態様の変化に係る操作を行う際は、小領域20における指等による操作のみに基づくものとしてもよい。
【0024】
小領域20は、
図2等に示すように、画像表示領域10と比較すると、表示画面を占める面積は小さく設定されている。また、この小領域20は、本実施形態においては矩形状に形成され、さらに表示画面(画像表示領域10)の背景色とは異なる配色がなされているが、その他の形状でもよいし、色も特に限定されるものではない。
なお、小領域20の色を、表示画面(画像表示領域10)の背景色と異なるようにすることで、ユーザーが小領域20の場所を確認しやすくなるという利点がある。換言すれば、ユーザーが小領域20の場所を確認できればよいので、例えば小領域20を縁取りするなどしても同様の効果を得ることができる。
【0025】
小領域20は、タッチパネル4の表示画面の縁部に沿った位置に配置されている。より詳細に説明すると、本実施形態における小領域20は、表示画面の四隅のうち、下側の一方の隅に配置されている。換言すれば、小領域20は、表示画面の下縁部に沿った位置に配置されている。
なお、このような表示画面に対する小領域20の位置は、外装筐体6を備えた医用画像表示装置1を片手で持った際に、少なくとも親指が届く範囲であることが好ましい。また、親指が届く範囲に小領域20があったとしても、例えば小領域20の縁に届くだけでは操作がしづらいため、親指で操作が可能な面積であることも求められる。すなわち、小領域20は、医用画像表示装置1を片手で持った際に、親指で操作が可能な位置・面積に設定されているものとする。ただし、手の大きさや指の長さは個人で異なるため、あくまでも概ねの目安とする。
これに伴って、小領域20の位置は変更可能であってもよい。すなわち、小領域20は、医用画像表示装置1を片手で持った際に、親指で操作が可能な位置・面積に設定されていればよいため、その条件下で任意の位置に変更できるようにしてもよい。位置変更は、自動で行われるようにしてもよいし、手動で行われるようにしてもよい。手動の場合は、例えば小領域20をロングタップ操作して、表示画面上における小領域20の固定を解除し、そのまま指等を離さずに所望の位置まで小領域20を移動させ、指等を離して再度固定するような移動操作を行うようにする。
【0026】
また、小領域20は、一定時間以上の未操作状態が続いたり、もしくは、表示画面内において小領域20外をタッチしたりすると、
図3に示すように非表示の状態となる。このように小領域20が非表示状態となれば、画像表示領域10に表示された医用画像の確認中に、小領域20が目に入らなくなるので、医用画像の視認性の低下を防ぐことが可能となる。
【0027】
続いて、小領域20における指等による操作に基づいて、画像表示領域10の表示態様を変化させる場合について、より具体的に説明する。
本実施形態においては、例えば
図4に示すように、小領域20内に、指やタッチペン等によって「L」と入力すると、
図5に示すように、画像表示領域10に、関連検査リスト11を表示することができる。
なお、本実施形態において、小領域20内に、指やタッチペン等によって入力される文字や記号、マーク、シンボル等を、以下、ジェスチャーと呼称する。また、小領域20における指やタッチペン等による操作自体を、ジェスチャーと呼称してもよいものとする。
【0028】
関連検査とは、ある患者に行われた関連のある全ての検査や、ある患者の身体の同一部位に行われた関連のある全ての検査を指すものであり、このような検査に係る医用画像が、外部装置である院内サーバーの記憶部に記憶されている。
また、関連検査に係る医用画像は、各画像の付帯情報を参照して検索され、例えば患者氏名、患者ID、検査部位が同一で検査日付が某日よりも以前・以後のものである付帯情報があればその医用画像を関連検査分の医用画像として判別することができる。
【0029】
関連検査リスト11は、以上のような関連検査の内容(日付・モダリティーの種類)がリスト化されたものである。
なお、モダリティーとは、画像表示領域10に表示される医用画像を撮影した撮影装置の種類を指している。撮影装置の種類としては、例えば、放射線画像撮影装置(Flat Panel Detector)や乳房画像撮影装置(mammography)、CT(Computed Tomography)やMRI(Magnetic Resonance Imaging)、CR(Computed radiography)等がある。
【0030】
関連検査リスト11の各項目をタップ操作することで、サムネイルリストが展開するように構成されており、各項目をもう一度タップ操作することで、サムネイルリストをたたんで非表示とすることができる。また、サムネイルをタップ操作することで、そのサムネイルに対応する医用画像を、画像表示領域10に表示させることができる。
【0031】
また、例えば
図6に示すように、小領域20内に、指やタッチペン等によって「A」というジェスチャーを入力すると、
図7に示すように、画像表示領域10に、ツールボックス12を表示することができる。
ツールボックス12には、複数の機能ボタンが置かれており、これら複数の機能ボタンには、例えば、画像表示領域10への各医用画像の付帯情報の表示・非表示を切り替えるボタンを始めとする各種ボタンが含まれている。各種ボタンは、タップ操作によって機能させることができる。
【0032】
そして、小領域20内でジェスチャーを入力することで、以上のように、関連検査リスト11やツールボックス12を画像表示領域10に表示させることができたが、再度同じジェスチャーを入力することによって、これらを非表示にすることができる。
また、ジェスチャーの入力は、制御部2が認識・判別できる範囲で連続して行うことができるものとする。
【0033】
ジェスチャーは、医用画像表示装置1の記憶部3に予め記憶させておくことができる。つまり、予め登録させておくことができる。
小領域20内に、所定のジェスチャーを入力することで、
図8に示すように、タッチパネル4の表示画面にジェスチャー登録画面30を表示させることができ、ジェスチャーの登録は、当該画面30から行うことができる。
【0034】
ジェスチャー登録画面30には、登録済みジェスチャー一覧表31と、操作選択欄32と、ジェスチャー入力欄33と、が設けられている。
登録済みジェスチャー一覧表31には、登録済みのジェスチャーが表示されている。また、新規作成ボタン31aが設けられている。
新規作成ボタン31aをタップ操作すると、操作選択欄32がアクティブ状態となり、新規ジェスチャーに対応させたい操作を選択することができるようになる。
【0035】
操作選択欄32には、選択可能操作の分類を選択する分類選択部32aと、選択可能操作がリスト化された選択可能操作一覧32bと、選択可能操作一覧32bの中からユーザーによって選択された操作が表示されるジェスチャー対象欄32cと、選択ボタン32dと、が設けられている。
ユーザーは、まず分類選択部32aから選択可能操作の分類を選択する。
図8に示す例においては「ビューア」が選択されている。
分類「ビューア」中には、図示例のような各種の選択可能操作が表示されており、ユーザーは、その中からドラッグ操作を行うか、操作選択後に選択ボタン32dをタップ操作することによって、選択可能操作を選択することができる。
ユーザーによって選択された操作は、ジェスチャー対象欄32cに表示されると、ジェスチャー入力欄33がアクティブ状態となり、選択した操作に、任意のジェスチャーを設定することができるようになる。
【0036】
ジェスチャー入力欄33には、ジェスチャーを入力する入力部33aと、OKボタン33bと、キャンセルボタン33cと、が設けられている。
制御部2は、ユーザーが入力部33aに入力したジェスチャーを認識でき、既に登録されているジェスチャーと照合して、同じジェスチャーの有無を判別できるようになっている。同じジェスチャーが登録されていなければ、OKボタン33bをタップ操作することでジェスチャーの登録が完了し、キャンセルボタン33cをタップ操作するとジェスチャーの入力をやり直すことができる。同じジェスチャーが既に登録されていた場合は、登録不可となる。このような場合は、例えばOKボタン33bをタップ操作することで入力部33aに入力したジェスチャーが消去されるように設定されていてもよい。
【0037】
なお、
図8に示す例においては、「ビューア閉じる」の操作が選択され、「α」のジェスチャーが入力されている。
ここで、「ビューア」とは、画像表示領域10及び小領域20を含む表示を可能とするソフトウェアを指しており、ブラウザーともいう。
すなわち、ユーザーが小領域20内に「α」と入力すると、画像表示領域10及び小領域20を含む表示が閉じられ、タッチパネル4の表示画面には、その他の画面(例えば端末のホーム画面)が表示されることとなる。
【0038】
ここまでは単一の操作に対応するジェスチャー登録について説明したが、本実施形態における医用画像表示装置1は、
図9に示すように、複数の操作に対応するジェスチャー登録も可能となっている。換言すれば、画像表示領域10の表示態様は、複数の段階を踏んで変化が行われるワークフローとして設定可能となっている。つまり、小領域20内に、単一のジェスチャーを入力するだけで、画像表示領域10における表示態様の変化を、複数、順番に行うことができる。
より具体的に説明すると、
図9に示す例では、ユーザーによって「自動心胸膈比計測」の操作と「C心胸膈比CSV出力」の操作が選択されており、「C」のジェスチャーが入力されている。これで登録が完了すると、
図10に示すように、小領域20内に「C」と入力することによって、胸部正面X線画像での心臓の幅と胸郭の幅の比率を、表示された医用画像から計測を行い、続いて、その結果が記録されたCSV(comma-separated values)ファイルを保存するか否かを選択させるウィンドウ40を画像表示領域10に表示することができる。
【0039】
以上のように構成された医用画像表示装置1は、特に限定されるものではないが、医師等のユーザーが院内クライアント端末から離れた場所におり、さらに、医用画像の確認が必要な場合に使用されることを想定している。
【0040】
本実施形態における医用画像表示装置1としては、タブレット型コンピューターが採用されているが、これに限られるものではなく、スマートフォンのように、より小型の端末を採用してもよい。タブレット型コンピューターよりも小型の医用画像表示装置が採用される場合、同じような表示画面のレイアウトにしてしまうと、医用画像が小さくなりすぎてしまったり、小領域20内での入力操作がしにくかったりする。そのため、小型の端末を医用画像表示装置として採用する場合には、小型の医用画像表示装置に適した表示画面のレイアウトにすることが望ましい。例えば画像表示領域10は、仕切り線10a,10bが無く、一画面のレイアウトであってもよいものとする。
【0041】
また、以上のような医用画像表示装置1における各種機能は、アプリケーションとして提供されるようにしてもよい。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態の医用画像表示システムによれば、タッチパネル4の表示画面上に医用画像を表示する医用画像表示装置1を有し、表示画面に対する画面接触操作に基づいて、表示画面に表示された医用画像の表示態様を変化可能となっており、表示画面上に、医用画像を表示する画像表示領域10と、画像表示領域10に比べて小さい領域であって医用画像が表示されない箇所に配置される小領域20と、を備えており、画像表示領域10の表示態様は、小領域20における画面接触操作に基づいて変化するように設定されているので、画像表示領域10の表示態様を変化させるための操作を行う箇所を小さくすることができる。そのため、画像表示領域10の表示態様を変化させるための操作を行う際に、その動作が、画像表示領域10の妨げにならず、画像表示領域10に表示された医用画像が見やすくなる。さらに、操作を行う箇所が小さければ、片手での操作も可能となる。これによって、表示画面に表示された医用画像の視認性の低下を抑制できるとともに、操作性の向上を図ることができる。
【0043】
また、小領域20は、タッチパネル4の表示画面の縁部に沿った位置に配置されているので、医用画像表示装置1を片手で持った際に操作しやすくなるとともに、画像表示領域10の妨げになりにくい。そのため、表示画面に表示された医用画像の視認性の低下を抑制できるとともに、操作性の向上を図ることができる。
【0044】
また、小領域20は、タッチパネル4の表示画面の下縁部に沿った位置に配置されているので、医用画像表示装置1を手で持って操作する場合に、画像表示領域10を極力隠さずに操作することができる。そのため、表示画面に表示された医用画像の視認性の低下を抑制できるとともに、操作性の向上を図ることができる。
【0045】
また、小領域20における指等による操作(ジェスチャー)は、予め登録されており、画像表示領域10における表示態様の変化(関連検査リスト11、ツールボックス12の表示・ワークフロー)は、予め登録された小領域20における指等による操作(ジェスチャー)に対応して設定されているので、予め登録された指等による操作を小領域20内で行うだけで、それに対応した表示態様の変化を画像表示領域10において生じさせることができる。
【0046】
また、画像表示領域10の表示態様は、複数の段階を踏んで変化が行われるワークフローとして設定可能となっているので、指等による単一の操作を小領域20内で行うだけで、複数の表示態様の変化を画像表示領域10において生じさせることができる。
【0047】
また、本実施形態における医用画像表示装置1によれば、タッチパネル4の表示画面に対する画面接触操作に基づいて、表示画面に表示された医用画像の表示態様を変化可能となっており、表示画面上に、医用画像を表示する画像表示領域10と、画像表示領域10に比べて小さい領域であって医用画像が表示されない箇所に配置される小領域20と、を備えており、画像表示領域10の表示態様は、小領域20における画面接触操作に基づいて変化するように設定されているので、画像表示領域10の表示態様を変化させるための操作を行う箇所を小さくすることができる。そのため、画像表示領域10の表示態様を変化させるための操作を行う際に、その動作が、画像表示領域10の妨げにならず、画像表示領域10に表示された医用画像が見やすくなる。さらに、操作を行う箇所が小さければ、片手での操作も可能となる。これによって、表示画面に表示された医用画像の視認性の低下を抑制できるとともに、操作性の向上を図ることができる。
【0048】
〔構成例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、構成例について説明する。以下に挙げる構成例は可能な限り組み合わせてもよい。
【0049】
〔構成例1〕
本構成例における小領域20,21は、
図11~
図14に示すように、タッチパネル4の表示画面上に複数配置されている。
なお、本構成例においては2つの小領域20,21が表示画面上に配置されているが、3つ以上でもよく、その数は特に限定されるものではない。
【0050】
複数の小領域20,21は、タッチパネル4の表示画面の縁部に沿った位置に配置されている。より詳細に説明すると、本構成例における一方の小領域20は、表示画面の四隅のうち下側の一方の隅に配置され、他方の小領域21は、表示画面の四隅のうち下側の他方の隅に配置されている。
【0051】
このような小領域20,21に対するジェスチャーの登録は、
図12に示すように、ジェスチャー登録画面30Aから行うことができる。このジェスチャー登録画面30Aには、上述の実施形態と同様に、登録済みジェスチャー一覧表31と、操作選択欄32と、ジェスチャー入力欄33と、が設けられており、実施形態の場合と同様に機能する。ジェスチャー登録画面30Aには、その他に、小領域選択部34,35が設けられている。
小領域選択部34は、一方の小領域20に入力されるジェスチャーの登録を行う場合にタップ操作で選択されるタブである。
小領域選択部35は、他方の小領域21に入力されるジェスチャーの登録を行う場合にタップ操作で選択されるタブである。
【0052】
一方の小領域20に入力されるジェスチャーの登録は、上述の実施形態と同様であり、他方の小領域21に入力されるジェスチャーの登録は、小領域選択部35をタップ操作してから行われる。
図12に示す例では、他方の小領域21に入力されるジェスチャーとして「L」が登録されている。画像表示領域10における表示態様の変化としては「ズーム(拡大)」が選択されている。すなわち、
図13に示すように、他方の小領域21に「L」と入力すると、画像表示領域10に表示された医用画像のズーム(拡大)を行うことができる。
【0053】
なお、本構成例においては、一方の小領域20は、表示画面の四隅のうち下側の一方の隅に配置され、他方の小領域21は、表示画面の四隅のうち下側の他方の隅に配置されているものとしたが、これに限られるものではない。すなわち、小領域20,21は、タッチパネル4の表示画面の縁部に沿った位置に配置されるものであるため、
図14に示すように、表示画面の四隅ではなく、表示画面の縁部の中央側に配置されてもよい。
図14に示す例においては、小領域21が、画像表示領域10のうち医用画像が表示されていない箇所に入り込んだ状態となっているが、医用画像が表示される場合は、自動的に空いている表示画面の隅に配置されるものとする。
【0054】
このような構成によれば、小領域20,21が、タッチパネル4の表示画面上に複数配置されているので、小領域20,21での操作が煩雑になるのを防ぐことができる。例えば、小領域が一つであり、ジェスチャーの登録を次々に行っていくと、ジェスチャーが次第に煩雑化していくことが考えられる。このようにジェスチャーが煩雑化してしまうと、制御部2がジェスチャーを判別できない事態や、ユーザーが覚えていられない事態が生じることが考えられる。そこで、本構成例においては、小領域20,21が、タッチパネル4の表示画面上に複数配置されているので、同一のジェスチャー入力で、異なる表示態様の変化を画像表示領域10において生じさせることができる。これにより、ジェスチャーの数を増やさなくても、選択可能な操作を増やすことができる。
【0055】
〔構成例2〕
本構成例における小領域22は、
図15に示すように、タッチパネル4の表示画面のうち医用画像が表示されていない領域の全てとされている。そして、このような小領域22のうち、ユーザーがタッチした箇所を起点として、入力領域22aの範囲を規定できるようになっている。換言すれば、本構成例においては、表示画面において医用画像が表示されていない箇所(小領域22)のうち、ユーザーがタッチした箇所の周囲が、ジェスチャーを入力できる入力領域22aとなるように設定されている。
【0056】
このような構成によれば、画像表示領域10に表示される医用画像に応じてジェスチャーを入力できる入力領域22aの位置を変更できるので、使い勝手が良く、操作性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 医用画像表示装置
2 制御部
3 記憶部
4 タッチパネル
5 通信部
6 外装筐体
10 画像表示領域
10a 仕切り線
10b 仕切り線
11 関連検査リスト
12 ツールボックス
20 小領域
21 小領域
22 小領域
22a 入力領域
30 ジェスチャー登録画面
30A ジェスチャー登録画面
31 登録済みジェスチャー一覧表
31a 新規作成ボタン
32 操作選択欄
32a 分類選択部
32b 選択可能操作一覧
32c ジェスチャー対象欄
32d 選択ボタン
33 ジェスチャー入力欄
33a 入力部
33b OKボタン
33c キャンセルボタン
34 小領域選択部(一方:左)
35 小領域選択部(他方:右)