(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】レンズ群移動機構及び光学機器
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20220830BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20220830BHJP
【FI】
G02B7/04 D
G02B7/04 Z
G02B7/08 A
(21)【出願番号】P 2018018413
(22)【出願日】2018-02-05
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 啓樹
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-047089(JP,A)
【文献】特開2004-266341(JP,A)
【文献】特開平10-123399(JP,A)
【文献】特開昭58-111004(JP,A)
【文献】特開2012-103555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
G02B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のレンズからなる光学系において、そのうちの少なくとも1枚のレンズからなるレンズ群を移動させるためのレンズ群移動機構であって、
前記レンズ群を保持する移動玉枠と、
前記移動玉枠を光軸方向に移動可能に保持する固定筒と、
前記固定筒に対する相対的な位置が変化するように光軸方向に移動可能な移動枠と、
前記移動枠が光軸方向に移動するように作用する移動構造と、
前記移動枠及び前記移動玉枠に接触した状態で前記移動枠の移動を前記移動玉枠に伝える中間部材と、
前記移動玉枠を前記中間部材の方向に付勢する付勢部材と、
前記移動玉枠で保持されるレンズ群に含まれないレンズのうちの少なくとも1枚のレンズからなるレンズ群を保持し、かつ、前記移動枠と前記移動玉枠との間に位置する玉枠と、
を有し、
前記玉枠が光軸方向に貫通した穴を有し、前記中間部材が前記穴を貫通することを特徴とするレンズ群移動機構。
【請求項2】
前記固定筒に直進溝が設けられており、
前記固定筒に対して回転可能であってカム溝が設けられたカム筒と、
前記直進溝及び前記カム溝との係合状態で前記移動枠に取り付けられたカムフォロアと、を更に有し、
前記移動構造が、前記直進溝及び前記カム溝に対する前記カムフォロアの係合により構成されることを特徴とする請求項1記載のレンズ群移動機構。
【請求項3】
前記移動構造が、前記固定筒と前記移動枠とに設けられたヘリコイドにより構成されることを特徴とする請求項1記載のレンズ群移動機構。
【請求項4】
前記中間部材において、一端が前記移動枠に締結されており、他端が前記移動玉枠に非固定で接触していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のレンズ群移動機構。
【請求項5】
前記中間部材において、一端が前記移動玉枠に締結されており、他端が前記移動枠に非固定で接触していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のレンズ群移動機構。
【請求項6】
前記移動玉枠が、前記固定筒又は前記固定筒に締結された部品との嵌合により保持されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のレンズ群移動機構。
【請求項7】
前記移動玉枠に保持されているレンズ群が焦点補正レンズであり、前記移動玉枠の移動により前記光学系のフォーカス調整が可能になることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のレンズ群移動機構。
【請求項8】
前記移動構造に対する駆動力の入力部を更に有し、光軸方向において前記入力部と前記移動玉枠との間に、前記光学系を取り付けるための光学系取付部が設けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のレンズ群移動機構。
【請求項9】
前記中間部材が、前記移動枠又は前記移動玉枠と一体化された同一部品であることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載のレンズ群移動機構。
【請求項10】
前記光学系と、請求項1~9のいずれか1項に記載のレンズ群移動機構と、を備えたことを特徴とする光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズ群移動機構及び光学機器に関するものであり、例えば、フォーカス用のレンズ群を移動させるためのレンズ群移動機構と、それを備えた光学機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学機器(プロジェクター,デジタルカメラ等)には、光学系のフォーカシングやズーミングのためにレンズ群を移動させる機構が搭載されるが、機能上、駆動部とレンズ群とを離して配置することが必要な場合がある。例えば特許文献1に記載のレンズ群移動機構では、駆動モーターをレンズ群から光軸方向に離して配置して、駆動モーターの回転力をバーに伝達し、バーの回転に伴ってレンズ群を光軸方向に移動させる構成を採用することで、振動の影響や重量バランスの不均衡を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のレンズ群移動機構では、移動させるレンズ群の外側に歯車やヘリコイド機構を設ける必要があるため、レンズ群の径方向に光学機器が大型化してしまう。また、部品数が多くなるため、組立性の悪化やコストの増大を招くおそれもある。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、部品数が少なく、レンズ群の径方向への光学機器の大型化を抑えることができるレンズ群移動機構と、それを備えた光学機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の発明のレンズ群移動機構は、複数枚のレンズからなる光学系において、そのうちの少なくとも1枚のレンズからなるレンズ群を移動させるためのレンズ群移動機構であって、
前記レンズ群を保持する移動玉枠と、
前記移動玉枠を光軸方向に移動可能に保持する固定筒と、
前記固定筒に対する相対的な位置が変化するように光軸方向に移動可能な移動枠と、
前記移動枠が光軸方向に移動するように作用する移動構造と、
前記移動枠及び前記移動玉枠に接触した状態で前記移動枠の移動を前記移動玉枠に伝える中間部材と、
前記移動玉枠を前記中間部材の方向に付勢する付勢部材と、
前記移動玉枠で保持されるレンズ群に含まれないレンズのうちの少なくとも1枚のレンズからなるレンズ群を保持し、かつ、前記移動枠と前記移動玉枠との間に位置する玉枠と、
を有し、
前記玉枠が光軸方向に貫通した穴を有し、前記中間部材が前記穴を貫通することを特徴とする。
【0007】
第2の発明のレンズ群移動機構は、上記第1の発明において、前記固定筒に直進溝が設けられており、
前記固定筒に対して回転可能であってカム溝が設けられたカム筒と、
前記直進溝及び前記カム溝との係合状態で前記移動枠に取り付けられたカムフォロアと、を更に有し、
前記移動構造が、前記直進溝及び前記カム溝に対する前記カムフォロアの係合により構成されることを特徴とする。
【0008】
第3の発明のレンズ群移動機構は、上記第1の発明において、前記移動構造が、前記固定筒と前記移動枠とに設けられたヘリコイドにより構成されることを特徴とする。
【0009】
第4の発明のレンズ群移動機構は、上記第1~第3のいずれか1つの発明において、前記中間部材において、一端が前記移動枠に締結されており、他端が前記移動玉枠に非固定で接触していることを特徴とする。
第5の発明のレンズ群移動機構は、上記第1~第3のいずれか1つの発明において、前記中間部材において、一端が前記移動玉枠に締結されており、他端が前記移動枠に非固定で接触していることを特徴とする。
【0010】
第6の発明のレンズ群移動機構は、上記第1~第5のいずれか1つの発明において、前記移動玉枠が、前記固定筒又は前記固定筒に締結された部品との嵌合により保持されることを特徴とする。
【0011】
第7の発明のレンズ群移動機構は、上記第1~第6のいずれか1つの発明において、前記移動玉枠に保持されているレンズ群が焦点補正レンズであり、前記移動玉枠の移動により前記光学系のフォーカス調整が可能になることを特徴とする。
【0012】
第8の発明のレンズ群移動機構は、上記第1~第7のいずれか1つの発明において、前記移動構造に対する駆動力の入力部を更に有し、光軸方向において前記入力部と前記移動玉枠との間に、前記光学系を取り付けるための光学系取付部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
第9の発明のレンズ群移動機構は、上記第1~第3のいずれか1つの発明において、前記中間部材が、前記移動枠又は前記移動玉枠と一体化された同一部品であることを特徴とする。
【0014】
第10の発明の光学機器は、前記光学系と、上記第1~第9のいずれか1つの発明に係るレンズ群移動機構と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、移動枠の移動を中間部材で移動玉枠に伝えてレンズ群を移動させる構成になっているため、部品数が少なく、レンズ群の径方向への光学機器の大型化を抑えることができる。例えば、レンズ群が移動構造から離れて位置する場合でも、歯車やヘリコイド機構をレンズ群や移動玉枠の外側に設ける必要がないため、レンズ群の径方向への光学機器の大型化を防ぐことができ、光学機器(プロジェクター,デジタルカメラ等)の本体内部のようにスペースの限られた箇所に配置されているレンズ群でも移動させることができる。また、部品数が少ないため、組立性の向上やコストの低減も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1,第2の実施の形態(カムタイプの移動構造)の概略構成を2つのフォーカスポジションで示す断面図。
【
図2】第3,第4の実施の形態(ヘリコイドタイプの移動構造)の概略構成を2つのフォーカスポジションで示す断面図。
【
図3】第1,第3の実施の形態(シャフト型の中間部材)における
図1,
図2のV-V’線断面図。
【
図4】第2,第4の実施の形態(平板型の中間部材)における
図1,
図2のV-V’線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施したレンズ群移動機構,プロジェクター等を、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施の形態等の相互で同一の部分や相当する部分には同一の符号を付して重複説明を適宜省略する。
【0018】
図1に、第1,第2の実施の形態に係るレンズ群移動機構X1,X2及びプロジェクターY1,Y2の概略断面構造を示し、
図2に、第3,第4の実施の形態に係るレンズ群移動機構X3,X4及びプロジェクターY3,Y4の概略断面構造を示す。
図1及び
図2では光軸AXからの片側の断面のみを示しているので、
図1に示す概略断面構造は第1の実施の形態と第2の実施の形態とでほぼ同じになっており、
図2に示す概略断面構造は第3の実施の形態と第4の実施の形態とでほぼ同じになっている。プロジェクターY1~Y4は、複数枚のレンズからなる投影光学系LNと、レンズ群移動機構X1~X4と、プロジェクター本体1と、画像表示素子(不図示)と、を備えた光学機器の一例であり、画像表示素子の画像表示面に表示される画像を投影光学系LNでスクリーン面に拡大投影する構成になっている。
【0019】
投影光学系LNは、第1,第2,第3レンズ群L1,L2,L3からなっており、第1レンズ群L1は第1玉枠11に保持されており、第2レンズ群L2は第2玉枠12に保持されており、第3レンズ群L3は移動玉枠(第3玉枠)6に保持されている。最縮小側のレンズからなる第3レンズ群L3は焦点補正レンズであり、その第3レンズ群L3を保持する移動玉枠6をレンズ群移動機構X1~X4が移動させることにより、フォーカシングを行う構成になっている。
図1及び
図2において、(P1)は移動玉枠6が拡大側(図中左側)にフォーカス移動したときのフォーカスポジションを示しており、(P2)は移動玉枠6が縮小側(図中右側)にフォーカス移動したときのフォーカスポジションを示している。
【0020】
レンズ群移動機構X1~X4は、移動玉枠6の他に、移動玉枠6を光軸AX方向に移動可能に保持する固定筒2と、固定筒2に対する相対的な位置が変化するように光軸AX方向に移動可能な移動枠3又は移動枠13と、を有しており、移動玉枠6は固定筒2との嵌合により保持されている。また、プロジェクターY1~Y4には、レンズ群移動のための駆動源としてモーター10と、その駆動力をレンズ群移動機構X1~X4に入力するためのギア9と、が設けられている。
【0021】
レンズ群移動機構X1,X2では(
図1)、固定筒2に直進溝2aが設けられており、固定筒2に対して回転可能であってカム溝4aが設けられたカム筒4と、直進溝2a及びカム溝4aとの係合状態で移動枠3に取り付けられたカムフォロア5と、が更に設けられている。そして、移動枠3が光軸AX方向に移動するように作用する移動構造が設けられており、その移動構造は直進溝2a及びカム溝4aに対するカムフォロア5の係合により構成されている。つまり、固定筒2の外側にカム筒4が嵌合され、移動枠3がカムフォロア5を介して直進溝2aとカム溝4aに係合された状態となることにより、カム機構が構成されている。固定筒2に対してカム筒4を回転させると、移動枠3の光軸AX方向位置が変化する。ここでは、モーター10とギア9を用いたモーター駆動によりカム筒4の回転を行う構成になっているが、手動でカム筒4の回転を行う構成にしてもよい。
【0022】
レンズ群移動機構X3,X4では(
図2)、移動枠13が光軸AX方向に移動するように作用する移動構造が設けられており、その移動構造は固定筒2と移動枠13とに設けられたヘリコイド13aにより構成されている。つまり、ヘリコイド機構で移動構造が構成されている。固定筒2に対して移動枠13を回転させると、移動枠13の光軸AX方向位置が変化する。ここでは、モーター10とギア9を用いたモーター駆動によりカム筒4の回転を行う構成になっているが、手動でカム筒4の回転を行う構成にしてもよい。
【0023】
レンズ群移動機構X1,X3は(
図1,
図2)、移動枠3,13及び移動玉枠6に接触した状態で移動枠3,13の移動を移動玉枠6に伝えるシャフト型の中間部材8と、移動玉枠6を中間部材8の方向に付勢する付勢部材7と、を有している。
図3に、レンズ群移動機構X1,X3における
図1,
図2のV-V’線断面構造を示す。また、レンズ群移動機構X2,X4は(
図1,
図2)、移動枠3,13及び移動玉枠6に接触した状態で移動枠3,13の移動を移動玉枠6に伝える平板型の中間部材18と、移動玉枠6を中間部材18の方向に付勢する付勢部材7と、を有している。
図4に、レンズ群移動機構X2,X4における
図1,
図2のV-V’線断面構造を示す。レンズ群移動機構X1~X4では、付勢部材7として圧縮ばねの使用を想定しているが、他の種類のバネやゴム等の弾性部材を用いてもよい。
【0024】
カムタイプの移動構造とシャフト型の中間部材8を有するレンズ群移動機構X1では(
図1)、3つの中間部材8(
図3)において、一端が移動枠3に締結されており、他端が移動玉枠6に非固定で接触している。移動玉枠6は、固定筒2に対して光軸AX方向に移動可能に嵌合保持されているが、固定筒2に締結された部品に対して光軸AX方向に移動可能に嵌合保持された構成にしてもよい。また、中間部材8が移動枠3又は移動玉枠6と別部品である必要はなく、移動枠3,移動玉枠6のうちの少なくとも一方と一体化されたものでもよい。中間部材8の数は問わないが、中間部材8が2つ以下の場合は、外乱等による移動玉枠6の傾きを抑えるために、中間部材8の断面形状に留意する必要がある。
【0025】
レンズ群移動機構X1では(
図1)、移動枠3と移動玉枠6との間に第1玉枠11と第2玉枠12が位置しているが、第1玉枠11には光軸AX方向に貫通した穴11aが設けられており、第2玉枠12には光軸AX方向に貫通した穴12aが設けられている。中間部材8はこれらの穴11a,12aを貫通するように配置されているため、中間部材8と第1,第2玉枠11,12とが接触することはなく、レンズ径方向の大型化も回避することができる。そして、移動玉枠6と固定筒2(固定筒2に締結された部品でもよい。)との間に配置されている付勢部材7により、移動玉枠6が常に中間部材8に押し付けられている。移動玉枠6には焦点補正レンズとして機能する第3レンズ群L3が保持されているため、モーター駆動(又は手動)で固定筒2に対してカム筒4を回転させると、中間部材8と移動玉枠6との接触押圧状態を保ちながら、カム機構により中間部材8と移動玉枠6が光軸AX方向に移動する。その移動玉枠6の移動により焦点補正レンズ(第3レンズ群L3)の位置調整を行うことにより、投影光学系LNのフォーカス調整が可能になる。
【0026】
カムタイプの移動構造と平板型の中間部材18を有するレンズ群移動機構X2では(
図1)、2つの中間部材18(
図4)において、一端が移動枠3に締結されており、他端が移動玉枠6に非固定で接触している。移動玉枠6は、固定筒2に対して光軸AX方向に移動可能に嵌合保持されているが、固定筒2に締結された部品に対して光軸AX方向に移動可能に嵌合保持された構成にしてもよい。また、中間部材18が移動枠3又は移動玉枠6と別部品である必要はなく、移動枠3,移動玉枠6のうちの少なくとも一方と一体化されたものでもよい。中間部材18の数は問わないが、中間部材18が2つ以下の場合は、外乱等による移動玉枠6の傾きを抑えるために、中間部材18の断面形状に留意する必要がある。レンズ群移動機構X2では、
図4中の縦中心線を軸とした回転傾きを抑えるために、横方向に長い断面形状の中間部材18を用いている。
【0027】
レンズ群移動機構X2では(
図1)、移動枠3と移動玉枠6との間に第1玉枠11と第2玉枠12が位置しているが、第1玉枠11には光軸AX方向に貫通した穴11bが設けられており、第2玉枠12には光軸AX方向に貫通した穴12bが設けられている。中間部材18はこれらの穴11b,12bを貫通するように配置されているため、中間部材18と第1,第2玉枠11,12とが接触することはなく、レンズ径方向の大型化も回避することができる。そして、移動玉枠6と固定筒2(固定筒2に締結された部品でもよい。)との間に配置されている付勢部材7により、移動玉枠6が常に中間部材8に押し付けられている。移動玉枠6には焦点補正レンズとして機能する第3レンズ群L3が保持されているため、モーター駆動(又は手動)で固定筒2に対してカム筒4を回転させると、中間部材18と移動玉枠6との接触押圧状態を保ちながら、カム機構により中間部材18と移動玉枠6が光軸AX方向に移動する。その移動玉枠6の移動により焦点補正レンズ(第3レンズ群L3)の位置調整を行うことにより、投影光学系LNのフォーカス調整が可能になる。
【0028】
ヘリコイドタイプの移動構造とシャフト型の中間部材8を有するレンズ群移動機構X3では(
図2)、3つの中間部材8(
図3)において、一端が移動玉枠6に締結されており、他端が移動枠13に非固定で接触している。移動玉枠6は、固定筒2に対して光軸AX方向に移動可能に嵌合保持されているが、固定筒2に締結された部品に対して光軸AX方向に移動可能に嵌合保持された構成にしてもよい。また、中間部材8が移動枠13又は移動玉枠6と別部品である必要はなく、移動枠13,移動玉枠6のうちの少なくとも一方と一体化されたものでもよい。ただし、移動枠13はモーター駆動により回転するため、中間部材8と移動枠13との固定又は一体化は避けることが好ましい。中間部材8の数は問わないが、中間部材8が2つ以下の場合は、外乱等による移動玉枠6の傾きを抑えるために、中間部材8の断面形状に留意する必要がある。
【0029】
レンズ群移動機構X3では(
図2)、移動枠13と移動玉枠6との間に第1玉枠11と第2玉枠12が位置しているが、第1玉枠11には光軸AX方向に貫通した穴11aが設けられており、第2玉枠12には光軸AX方向に貫通した穴12aが設けられている。中間部材8はこれらの穴11a,12aを貫通するように配置されているため、中間部材8と第1,第2玉枠11,12とが接触することはなく、レンズ径方向の大型化も回避することができる。そして、移動玉枠6と固定筒2(固定筒2に締結された部品でもよい。)との間に配置されている付勢部材7により、移動玉枠6及び中間部材8が常に移動枠13に押し付けられている。移動玉枠6には焦点補正レンズとして機能する第3レンズ群L3が保持されているため、モーター駆動(又は手動)で固定筒2に対して移動枠13を回転させると、中間部材8と移動枠13との接触押圧状態を保ちながら、ヘリコイド機構により中間部材8と移動玉枠6が光軸AX方向に移動する。その移動玉枠6の移動により焦点補正レンズ(第3レンズ群L3)の位置調整を行うことにより、投影光学系LNのフォーカス調整が可能になる。
【0030】
ヘリコイドタイプの移動構造と平板型の中間部材18を有するレンズ群移動機構X4では(
図2)、2つの中間部材18(
図4)において、一端が移動玉枠6に締結されており、他端が移動枠13に非固定で接触している。移動玉枠6は、固定筒2に対して光軸AX方向に移動可能に嵌合保持されているが、固定筒2に締結された部品に対して光軸AX方向に移動可能に嵌合保持された構成にしてもよい。また、中間部材18が移動枠13又は移動玉枠6と別部品である必要はなく、移動枠13,移動玉枠6のうちの少なくとも一方と一体化されたものでもよい。ただし、移動枠13はモーター駆動により回転するため、中間部材18と移動枠13との固定又は一体化は避けることが好ましい。中間部材18の数は問わないが、中間部材18が2つ以下の場合は、外乱等による移動玉枠6の傾きを抑えるために、中間部材18の断面形状に留意する必要がある。レンズ群移動機構X4では、
図4中の縦中心線を軸とした回転傾きを抑えるために、横方向に長い断面形状の中間部材18を用いている。
【0031】
レンズ群移動機構X4では、移動枠13と移動玉枠6との間に第1玉枠11と第2玉枠12が位置しているが、第1玉枠11には光軸AX方向に貫通した穴11bが設けられており、第2玉枠12には光軸AX方向に貫通した穴12bが設けられている。中間部材18はこれらの穴11b,12bを貫通するように配置されているため、中間部材18と第1,第2玉枠11,12とが接触することはなく、レンズ径方向の大型化も回避することができる。そして、移動玉枠6と固定筒2(固定筒2に締結された部品でもよい。)との間に配置されている付勢部材7により、移動玉枠6及び中間部材18が常に移動枠13に押し付けられている。移動玉枠6には焦点補正レンズとして機能する第3レンズ群L3が保持されているため、モーター駆動(又は手動)で固定筒2に対して移動枠13を回転させると、中間部材8と移動枠13との接触押圧状態を保ちながら、ヘリコイド機構により中間部材18と移動玉枠6が光軸AX方向に移動する。その移動玉枠6の移動により焦点補正レンズ(第3レンズ群L3)の位置調整を行うことにより、投影光学系LNのフォーカス調整が可能になる。
【0032】
上述したレンズ群移動機構X1~X4によれば、移動枠3,13の移動を中間部材8,18で移動玉枠6に伝えて第3レンズ群L3を移動させる構成になっているため、部品数が少なく、第3レンズ群L3の径方向へのプロジェクターY1~Y4の大型化を抑えることができる。第3レンズ群L3がカム機構,ヘリコイド機構等の移動構造から離れて位置していても、歯車やヘリコイド機構を第3レンズ群L3や移動玉枠6の外側に設ける必要がないため、第3レンズ群L3の径方向へのプロジェクターY1~Y4の大型化を防ぐことができる。
【0033】
レンズ群移動機構X1~X4では(
図1,
図2)、カム機構,ヘリコイド機構等の移動構造に対する駆動力の入力部としてギア9が設けられており、光軸AX方向においてギア9と移動玉枠6との間に、投影光学系LNをプロジェクター本体1に取り付けるための光学系取付部(レンズマウント)1aが設けられている。つまり、レンズ群移動機構X1~X4では、移動構造を光学系取付部1aよりも内側に配置することができるため、プロジェクター本体1内のスペースの限られた箇所に配置されている移動玉枠6でも移動させることができる。これはプロジェクターに限らずデジタルカメラ等の光学機器でも同様である。また、部品数が少ないため、組立性の向上やコストの低減も可能である。
【符号の説明】
【0034】
X1,X2,X3,X4 レンズ群移動機構
Y1,Y2,Y3,Y4 プロジェクター(光学機器)
1 プロジェクター本体
1a 光学系取付部(レンズマウント)
2 固定筒
2a 直進溝(移動構造)
3 移動枠
4 カム筒
4a カム溝(移動構造)
5 カムフォロア(移動構造)
6 移動玉枠(第3玉枠)
7 付勢部材
8 中間部材(シャフト型)
9 ギア(駆動力の入力部)
10 モーター(駆動源)
11 第1玉枠(構成物)
12 第2玉枠(構成物)
11a,11b 穴
12a,12b 穴
13 移動枠
13a ヘリコイド(移動構造)
18 中間部材(平板型)
LN 投影光学系(光学系)
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群(焦点補正レンズ)
AX 光軸