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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】現像装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20220830BHJP
   G03G 15/09 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G03G15/08 366
G03G15/09 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018086852
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019191485
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡村 憩
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 裕行
(72)【発明者】
【氏名】高谷 俊一
(72)【発明者】
【氏名】石塚 一輝
(72)【発明者】
【氏名】窪田 愛子
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-066021(JP,A)
【文献】特開2002-148921(JP,A)
【文献】特開2018-040836(JP,A)
【文献】特開2012-163628(JP,A)
【文献】特開2012-128143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 15/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持しかつ回転駆動される現像剤担持体と、
回転駆動されることにより、現像剤を攪拌しかつ前記現像剤担持体に搬送する現像剤攪拌部材と、
回転駆動されることにより、静電潜像の現像後において前記現像剤担持体から剥離された現像剤を、前記現像剤攪拌部材に戻して回収する現像剤回収部材と、を有し、
前記現像剤回収部材は、前記現像剤担持体から剥離された現像剤を、攪拌しながら搬送し、前記現像剤攪拌部材に戻す回収スクリューであり、
前記現像剤攪拌部材は、現像剤の循環経路を形成する2つ以上の循環系スクリューであり、
前記現像剤攪拌部材の駆動速度および前記現像剤回収部材の駆動速度は、それぞれ独立して制御可能であり、
前記現像剤担持体と前記現像剤回収部材の駆動速度は、独立して制御できないように構成されている、現像装置。
【請求項2】
前記現像剤回収部材の駆動速度は、以下の式を満たすように設定されている、請求項1に記載の現像装置。
RA≧CA
ただし、
RA:前記現像剤回収部材によって前記現像剤攪拌部材に戻される現像剤量(g/s)
CA:前記現像剤担持体によって前記現像剤回収部材に搬送される現像剤量(g/s)
【請求項3】
現像剤を前記現像装置の外に排出する現像剤排出部をさらに有し、
前記現像剤排出部は、前記現像剤攪拌部材による現像剤の搬送方向の延長上に位置し、
前記現像剤排出部による現像剤の排出量は、前記現像剤攪拌部材の駆動速度を変更することで調整可能である、請求項1、または請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の現像装置と、
前記静電潜像が形成される像担持体と、
前記現像装置を制御する制御部と、
前記現像剤担持体と前記現像剤回収部材を駆動する第1のモーターと、
前記現像剤攪拌部材を駆動する第2のモーターと、を有し、
前記制御部は、前記現像剤担持体が担持する現像剤に含まれるトナーを前記像担持体に転移させて前記静電潜像を現像し、前記トナーからなる画像を形成するように制御する、画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記現像剤攪拌部材が搬送する現像剤の液面高さに基づいて、前記現像剤攪拌部材の駆動速度を制御する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、現像剤の耐久状態に基づいて、前記現像剤攪拌部材の駆動速度を制御する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、現像剤に含まれるトナーの帯電量に基づいて、前記現像剤攪拌部材の駆動速度を制御する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記現像剤担持体の耐久状態に基づいて、前記現像剤攪拌部材の駆動速度を制御する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、トナーからなる画像が形成される領域に対する前記トナーが付着する部分の面積比である印字面積率に基づいて、前記現像剤攪拌部材の駆動速度を制御する、請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを用いる画像形成装置の現像装置は、トナーおよびキャリアから構成される2成分現像剤を利用しており、概して、回転駆動される循環系スクリュー、現像ローラーおよび回収スクリューを有する(例えば、特許文献1~3参照。)。
【0003】
循環系スクリューは、現像剤を攪拌し、そして、攪拌された現像剤を現像ローラーに供給(搬送)する現像剤攪拌部材である。現像ローラーは、供給された現像剤によって感光体ドラムに形成された静電潜像を現像する現像剤担持体である。回収スクリューは、静電潜像の現像後において現像ローラーから剥離された現像剤を、回収して攪拌スクリューに戻す現像剤回収部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-148921号公報
【文献】特開2009-92911号公報
【文献】特開2015-158536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、循環系スクリューの駆動速度および回収スクリューの駆動速度は、同一であるため、現像ローラーと循環系スクリューの速度関係が変化する場合、問題を有する。
【0006】
例えば、循環系スクリューおよび回収スクリューの駆動速度が一定の条件下で現像ローラーの駆動速度が速くなる場合、現像ローラーから回収スクリューに送られる現像剤量は、回収スクリューから循環系に戻される現像剤量より多くなる。そのため、回収スクリューに係る現像剤貯留部に現像剤が滞留し、また、循環系スクリューに係る現像剤貯留部の現像剤液面が低下する。
【0007】
現像剤の滞留は、現像剤の圧力を上昇させ、現像器を破損させる原因となる。また、現像剤液面の低下は、現像ローラーへの現像剤の供給不足や、トナー濃度センサーの誤検出を引き起こす。
【0008】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、現像剤担持体と現像剤攪拌部材の速度関係が変化しても、現像剤回収部材に係る現像剤貯留部に現像剤が滞留せず、現像剤攪拌部材に係る現像剤貯留部の現像剤液面が変動しない現像装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0010】
(1)現像剤を担持しかつ回転駆動される現像剤担持体と、
回転駆動されることにより、現像剤を攪拌しかつ前記現像剤担持体に搬送する現像剤攪拌部材と、
回転駆動されることにより、静電潜像の現像後において前記現像剤担持体から剥離された現像剤を、前記現像剤攪拌部材に戻して回収する現像剤回収部材と、を有し、
前記現像剤回収部材は、前記現像剤担持体から剥離された現像剤を、攪拌しながら搬送し、前記現像剤攪拌部材に戻す回収スクリューであり、
前記現像剤攪拌部材は、現像剤の循環経路を形成する2つ以上の循環系スクリューであり、
前記現像剤攪拌部材の駆動速度および前記現像剤回収部材の駆動速度は、それぞれ独立して制御可能であり、
前記現像剤担持体と前記現像剤回収部材の駆動速度は、独立して制御できないように構成されている、現像装置。
【0012】
)前記現像剤回収部材の駆動速度は、以下の式を満たすように設定されている、前記(1に記載の現像装置。
RA≧CA
ただし、
RA:前記現像剤回収部材によって前記現像剤攪拌部材に戻される現像剤量(g/s)
CA:前記現像剤担持体によって前記現像剤回収部材に搬送される現像剤量(g/s)

【0013】
(3)現像剤を前記現像装置の外に排出する現像剤排出部をさらに有し、
前記現像剤排出部は、前記現像剤攪拌部材による現像剤の搬送方向の延長上に位置し、
前記現像剤排出部による現像剤の排出量は、前記現像剤攪拌部材の駆動速度を変更することで調整可能である、前記(1)、または(2)に記載の現像装置。
【0014】
(4)前記(1)~(3)のいずれか1項に記載の現像装置と、
前記静電潜像が形成される像担持体と、
前記現像装置を制御する制御部と、
前記現像剤担持体と前記現像剤回収部材を駆動する第1のモーターと、
前記現像剤攪拌部材を駆動する第2のモーターと、を有し、
前記制御部は、前記現像剤担持体が担持する現像剤に含まれるトナーを前記像担持体に転移させて前記静電潜像を現像し、前記トナーからなる画像を形成するように制御する、画像形成装置。
【0015】
)前記制御部は、前記現像剤攪拌部材が搬送する現像剤の液面高さに基づいて、前記現像剤攪拌部材の駆動速度を制御する、前記()に記載の画像形成装置。
【0016】
)前記制御部は、現像剤の耐久状態に基づいて、前記現像剤攪拌部材の駆動速度を制御する、前記()に記載の画像形成装置。
【0017】
)前記制御部は、現像剤に含まれるトナーの帯電量に基づいて、前記現像剤攪拌部材の駆動速度を制御する、前記()に記載の画像形成装置。
【0018】
)前記制御部は、前記現像剤担持体の耐久状態に基づいて、前記現像剤攪拌部材の駆動速度を制御する、前記()に記載の画像形成装置。
【0019】
)前記制御部は、トナーからなる画像が形成される領域に対する前記トナーが付着する部分の面積比である印字面積率に基づいて、前記現像剤攪拌部材の駆動速度を制御する、前記()に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る現像装置および画像形成装置によれば、現像剤攪拌部材の駆動速度および現像剤回収部材の駆動速度は、独立して制御可能であるため、現像剤担持体と現像剤攪拌部材の速度関係が変化した場合であっても、現像剤担持体と現像剤回収部材の速度関係を、一定に維持することが可能である。したがって、現像剤回収部材に係る現像剤貯留部における現像剤の滞留、および、現像剤攪拌部材に係る現像剤貯留部の現像剤液面の変動が抑制される。つまり、現像剤担持体と現像剤攪拌部材の速度関係が変化しても、現像剤回収部材に係る現像剤貯留部に現像剤が滞留せず、現像剤攪拌部材に係る現像剤貯留部の現像剤液面が変動しない現像装置および画像形成装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置を説明するための概略図である。
図2図1に示される現像装置を説明するための断面図である。
図3図2に示される第1現像ローラー、第2現像ローラーおよび回収ローラーを説明するための概念図である。
図4】循環系スクリューを説明するための概略図である。
図5図4に示される現像剤排出部を説明するための断面図である。
図6】第1現像ローラー、第2現像ローラー、回収ローラーおよび回収スクリューを駆動する第1モーターと、循環系スクリューを駆動する第2モーターを説明するためのブロック図である。
図7】標準状態における現像剤液面を示している断面図である。
図8】第1および第2現像ローラーの駆動速度が上昇した場合の現像剤液面を示している断面図である。
図9】現像剤の排出が過多の場合の現像剤液面を示している断面図である。
図10】比較例に係る現像装置を説明するための断面図である。
図11】比較例に係る第1および第2現像ローラーの駆動速度が上昇した場合の現像剤液面を示している断面図である。
図12】比較例に係る現像剤の排出が過多の場合の現像剤液面を示している断面図である。
図13】本発明の実施の形態に係る変形例1を説明するための概略図である。
図14】本発明の実施の形態に係る変形例2を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置を説明するための概略図である。
【0024】
画像形成装置100は、例えば、コピー機能、プリンター機能およびスキャン機能を有するMFP(Multi-Function Peripheral)であり、図1に示されるように、制御部105、記憶部106、画像読み取り部110、操作表示部115、画像形成部120、転写部180、定着部185、用紙搬送部190、現像剤貯蔵部196および通信インターフェース198を有する。
【0025】
制御部105は、プログラムに従って上記各部の制御や各種の演算処理を実行するマイクロプロセッサー(CPU:Central Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等から構成される制御回路であり、画像形成装置100の各機能は、それに対応するプログラムを制御部105が実行することにより発揮される。
【0026】
記憶部106は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびHDD(Hard Disk Drive)が適宜組み合わされて構成されている。ROMは、各種プログラムおよび各種データを保存する読み取り専用の記憶装置である。RAMは、作業領域として一時的にプログラムおよびデータを記憶する高速のランダムアクセス記憶装置である。HDDは、各種プログラムや各種データを保存する大容量のランダムアクセス記憶装置である。
【0027】
画像読み取り部110は、原稿の画像データを生成するために使用され、ADF(Auto Document Feeder)112およびスキャナー部113を有する。ADF112は、載置された原稿を1枚ずつ、スキャナー部113の読取位置に搬送するために使用される。スキャナー部113は、例えば、ラインイメージセンサーを有し、ADF112によって読取位置に搬送された原稿あるいはプラテン台上に載置された原稿の画像信号を生成する(光電変換する)。生成された電気信号は、画像処理後、画像形成部120に入力される。画像処理は、A/D変換、シェーディング補正、フィルター処理、画像圧縮処理等である。ADF112は、必要に応じて省略することも可能である。
【0028】
操作表示部115は、例えば、タッチパネル117および物理キーボード部118から構成される。タッチパネル117は、機器構成、プリントジョブの進行状況、現在変更可能な設定などを、ユーザーに知らせるために使用される。物理キーボード部118は、用紙Pのサイズを指定する選択キー、コピー枚数等を設定するテンキー、動作の開始を指示するスタートキー、動作の停止を指示するストップキー等からなる複数のキーを有し、文字入力、各種設定、スタート等の指示を、ユーザーが実行するために利用される。
【0029】
画像形成部120は、用紙Pに画像を形成するために複数設けられており、上から順に、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のそれぞれの色に対応している。画像形成部120の各々は、感光体ドラム122、帯電部124、光書込部126および現像装置130を有する。
【0030】
感光体ドラム122は、有機光導電体(Organic Photo Conductor:OPC)を含むポリカーボネイト等の樹脂からなる感光層を有する像担持体であり、所定の速度で回転するように構成されている。帯電部124は、感光体ドラム122の周囲に配置されるコロナ放電極からなり、生成されるイオンによって感光体ドラム122の表面を帯電させる。光書込部126は、走査光学装置が組み込まれており、ラスターイメージデータに基づいて帯電された感光体ドラム122を露光することにより、露光された部分の電位を低下させ、画像データに対応する電荷パターン(静電潜像)を形成する。
【0031】
現像装置130は、収容している現像剤を感光体ドラム122に転移させて感光体ドラム122上に形成された静電潜像を現像する。現像剤は、キャリアと各色に対応したトナーとを混合してなり、静電潜像は、トナーによって可視化される。
【0032】
転写部180は、中間転写ベルト182、1次転写ローラー183および2次転写ローラー184を有する。中間転写ベルト182は、1次転写ローラー183および複数のローラーにより巻回され、走行可能に支持されている。1次転写ローラー183は、複数設けられ、上から順に、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のそれぞれの色に対応している。2次転写ローラー184は、中間転写ベルト182の外側に配置され、中間転写ベルト182との間を用紙Pが通過可能に構成されている。
【0033】
画像形成部120において形成された各色のトナー画像は、1次転写ローラー183により、中間転写ベルト182上に逐次転写され、イエロー色、マゼンタ色、シアン色および黒色の各層が重畳したカラーのトナー画像が形成される。形成されたトナー画像は、2次転写ローラー184によって、搬送されて来る用紙Pに転写される。
【0034】
定着部185は、用紙Pに転写されたカラー画像を定着するために使用され、定着ローラー(加熱ローラー)187および加圧ローラー188を有する。用紙Pは、定着ローラー187と加圧ローラー188との間(ニップ部)を通過する際、圧力および熱が加えられ、トナーを溶融することで、カラー画像が定着される。
【0035】
用紙搬送部190は、複数の給紙トレイ192A,192Bおよび用紙搬送路194を有する。給紙トレイ192A,192Bは、複数枚の用紙Pが積載され、最上位の用紙Pが用紙搬送路194に向かって供給される。用紙搬送路194は、複数のローラー対および駆動モーター(図示せず)を有しており、給紙トレイ192A,192Bからの用紙Pを、2次転写ローラー184の転写位置および定着ローラー187と加圧ローラー188のニップ部を経由して、装置外に排出するために使用される。用紙搬送部190は、用紙Pの表裏を反転して排出、あるいは、用紙Pの両面に画像を形成するための用紙反転部を有することも可能である。
【0036】
現像剤貯蔵部196は、現像装置130に対応して複数設けられ、上から順に、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のそれぞれの色に対応する現像剤を収納したボトルが交換可能に装填されている。現像剤貯蔵部196は、貯蔵している現像剤の色に対応する現像装置130に対して、現像剤を搬送(補給)可能に構成されている。
【0037】
例えば、ボトルに収納されている現像剤のトナー重量比は、80~95%であり、現像装置130における現像剤のトナー重量比は、5~10%である。そのため、現像装置130において現像によりトナーが消費されると、その消費量に見合ったトナーを含む現像剤が補給され、現像装置130における現像剤のトナー重量比が一定に維持される。
【0038】
通信インターフェース198は、例えば、印刷ジョブ等のデータの送信するコンピューターとネットワークを経由して接続するための通信機能を、画像形成装置100に追加する拡張装置(LANボード)である。ネットワークは、構内情報通信網(LAN:Local Area Network)、LAN同士を専用線で接続した広域情報通信網(WAN:Wide Area Network)、インターネット、これらの組合せ等の各種のネットワークからなる。
【0039】
次に、現像装置130を詳述する。
【0040】
図2は、図1に示される現像装置を説明するための断面図、図3は、図2に示される第1現像ローラー、第2現像ローラーおよび回収ローラーを説明するための概念図、図4は、循環系スクリューを説明するための概略図、図5は、図4に示される現像剤排出部を説明するための断面図である。
【0041】
現像装置130は、図2図4および図5に示されるように、第1現像ローラー131、第2現像ローラー136、回収ローラー141、回収スクリュー146、循環系スクリュー151,156、現像剤補給口158、現像剤排出部159、液面検出センサー170、トナー濃度検出センサー172およびケーシング174を有する。なお、現像装置130は、トリクル現像方式(AR(Auto-Refining developing system)方式とも呼ばれる。)を採用している。トリクル現像方式は、一部の現像剤を現像装置130の外部に排出(廃棄)するとともに、新しい現像剤を補給することにより現像剤の劣化が抑制する方式である。
【0042】
第1現像ローラー131は、回転駆動される現像剤担持体であり、図3に示されるように、感光体ドラム122に隣接して配置される。第1現像ローラー131は、スリーブ132および固定磁極を有し、循環系スクリュー151,156からの現像剤を、磁力に基づき吸着(担持)するように構成されている。
【0043】
スリーブ132は、非磁性であり、回転軸134を中心に回転駆動される。固定磁極は、スリーブ132の内部に配置され、扇型の磁極133A~133Eおよび扇型の非磁極部133Fを有する。
【0044】
磁極133Aは、N極であり、現像剤をスリーブ132に吸着させる。磁極133B、133Cおよび133Dは、S極、N極およびS極であり、スリーブ132の回転に伴って、吸着されている現像剤を上方に搬送する。磁極133Eは、磁極133Aと連携して発生する反発磁界によって、スリーブ132から現像剤を剥離する。非磁極部133Fは、N極である磁極133Aおよび磁極133Eの間に位置し、非磁性体から構成されている。
【0045】
第2現像ローラー136は、回転駆動される第2の現像剤担持体であり、感光体ドラム122の回転方向に関し、第1現像ローラー131より下流側に位置し、かつ、第1現像ローラー131の上方に配置される。第2現像ローラー136は、スリーブ137および固定磁極を有し、磁力に基づき、第1現像ローラー131(スリーブ132)から現像剤が受け渡されて、吸着(担持)するように構成されている。
【0046】
スリーブ137は、非磁性であり、回転軸139を中心に回転駆動される。固定磁極は、スリーブ137の内部に配置され、扇型の磁極138A~138Eおよび扇型の非磁極部138Fを有する。
【0047】
磁極138Aは、S極であり、第1現像ローラー131(スリーブ132)から剥離された現像剤をスリーブ137上に吸着させる(受け渡される)。磁極138B、138Cおよび138Dは、N極、S極およびN極であり、スリーブ137の回転に伴って、吸着されている現像剤を上方に搬送する。磁極138Eは、S極であり、感光体ドラム122で消費されずに残留している現像剤を、磁極138Aと連携して発生する反発磁界によって、スリーブ137から剥離する。非磁極部138Fは、S極である磁極138Aおよび磁極138Eの間に位置し、非磁性体から構成されている。
【0048】
回収ローラー141は、回転駆動される現像剤回収部材であり、第2現像ローラー136と回収スクリュー146との間の上方に配置される。回収ローラー141は、スリーブ142および固定磁極を有し、第2現像ローラー136から現像剤を、磁力に基づき受け渡されるように構成されている。
【0049】
スリーブ142は、非磁性であり、回転軸144を中心に回転駆動される。固定磁極は、スリーブ142の内部に配置され、扇型の磁極143A~143Eと、扇型の非磁極部143Fとを有する。
【0050】
磁極143Aおよび143Bは、N極およびS極である。磁極143Cは、N極であり、第2現像ローラー136(スリーブ137)から剥離された現像剤をスリーブ142に吸着させる。磁極143Dは、S極であり、スリーブ142の回転に伴って、吸着されている現像剤を下方に搬送する。磁極143Eは、N極であり、磁極143Aと連携して発生する反発磁界によって、スリーブ142に吸着されている現像剤を、スリーブ142から剥離する。非磁極部143Fは、N極である磁極143Aおよび磁極143Eの間に位置し、非磁性体から構成されている。
【0051】
したがって、循環系スクリュー151,156からの現像剤は、第1現像ローラー131のスリーブ132に吸着されると、スリーブ132の回転動作によって、感光体ドラム122に向かって搬送され、感光体ドラム122に形成された静電潜像を現像する。そして、感光体ドラム122に形成された静電潜像を現像した後、スリーブ132の回転動作によって第2現像ローラー136に近接すると、現像剤は、スリーブ132から剥離されて、第2現像ローラー136のスリーブ137に受け渡される。
【0052】
スリーブ137に吸着された現像剤は、スリーブ137の回転動作によって、感光体ドラム122に向かって搬送され、感光体ドラム122に形成された静電潜像を現像する。そして、感光体ドラム122に形成された静電潜像を現像した後、残留している現像剤(余剰現像剤)は、スリーブ137の回転動作によって回収ローラー141に近接すると、スリーブ137から剥離されて、回収ローラー141のスリーブ142に受け渡される。
【0053】
スリーブ142に吸着された現像剤は、スリーブ142の回転動作によって、下方に搬送され、回収スクリュー146に近接すると、スリーブ142から剥離され、自重により回収スクリュー146に向かって落下する。
【0054】
なお、スリーブ132,137,142の内周と固定磁極133A~133F,138A~138F,143A~143Fの外周との間には、スリーブ132,137,142の回転を許容する空間が配置されている。また、非磁極部133F,138F,143Fは、空間によって構成することも可能である。
【0055】
回収スクリュー146は、回収ローラー141の下方に位置し、回収ローラー141から受け渡される(回収される)現像剤を、撹拌しながら搬送する。なお、符号178Aは、回収された現像剤が一時的に貯留される部位(現像剤貯留部)を示している。
【0056】
循環系スクリュー151,156は、回転駆動される現像剤攪拌部材であり、第1現像ローラー131および回収スクリュー146の下方に位置する。循環系スクリュー151,156は、本実施の形態においては、供給スクリュー151および攪拌スクリュー156によって構成される。なお、以下においては、循環系スクリュー151および156は、供給スクリュー151および攪拌スクリュー156によって適宜参照する。
【0057】
供給スクリュー151は、第1現像ローラー131と攪拌スクリュー156との間に位置し、攪拌スクリュー156との間には、ケーシング174の仕切り壁175が配置されている。なお、供給スクリュー151と回収スクリュー146との間に位置するケーシング174の仕切り壁には、連通口(不図示)が設けられている。したがって、回収スクリュー146によって撹拌された現像剤は、前記連通口を経由し、供給スクリュー151に向かって自重により落下する(供給スクリュー151に導入される)(図2参照)。
【0058】
供給スクリュー151および攪拌スクリュー156の搬送方向は、互いに逆方向であり、供給スクリュー151の搬送路152の始端側および終端側と、攪拌スクリュー156の搬送路157の終端側および始端側とが、仕切り壁175に設けれている連通口176A,176Bを経由して連結(連通)されている。したがって、現像剤は、図4において矢印で示す時計回りかつ略水平方向に、循環し、その一部が第1現像ローラー131に向かって流出する(供給される)(図4参照)。なお、符号178Bおよび178Cは、供給スクリュー151および攪拌スクリュー156に係る現像剤が貯留される部位(現像剤貯留部)を示している。
【0059】
現像剤補給口158および現像剤排出部159は、トリクル現像方式のために設けられている。
【0060】
現像剤補給口158は、攪拌スクリュー156上方のケーシング174に配置され(図2参照)、かつ、現像剤貯蔵部196(図1参照)と連結されており、現像剤貯蔵部196に装填されているボトルに収納されている現像剤を、攪拌スクリュー156に係る現像剤貯留部178Cに補給可能に構成されている。上述のように、現像剤貯蔵部196のボトルに収納されている現像剤のトナー重量比は、現像装置130における現像剤のトナー重量比より大きいため、現像剤貯留部178Cに補給される現像剤を調整することによって、現像装置130における現像剤のトナー重量比を一定に維持することが可能である。
【0061】
現像剤排出部159は、攪拌スクリュー156の搬送路157の終端側に配置される(現像剤の搬送方向の延長上に位置する)(図4および図5参照)。現像剤排出部159は、逆向きスクリュー部159A、導出経路159Bおよび現像剤排出口159Cを有する。逆向きスクリュー部159Aは、搬送路157を搬送されてきた(循環している)現像剤を制止するように構成されている。導出経路159Bは、逆向きスクリュー部159Aとその上方に位置するケーシング174との間の空間によって定義され、現像剤排出口159Cに連通している。
【0062】
したがって、攪拌スクリュー156に係る現像剤貯留部178Cの現像剤液面が、逆向きスクリュー部159Aより上方に位置する場合、現像剤は、導出経路159Bおよび現像剤排出口159Cを経由して、外部に排出されることになる。なお、この際、現像剤の排出量は、攪拌スクリュー156の駆動速度に対応する。したがって、現像剤排出部159による現像剤の排出量は、攪拌スクリュー156の駆動速度を変更することで調整可能である。つまり、制御部105は、攪拌スクリュー156の駆動速度を変更することによって、現像剤の排出を調整することが可能である。なお、現像剤排出部159は、上記構成に限定されない。
【0063】
液面検出センサー170(図2参照)は、循環系スクリュー151,156に係る現像剤貯留部178B,178Cの現像剤液面レベル(嵩レベル)を検出するために配置されている。現像剤液面レベルは、現像剤の循環量を適正レベルに維持するために利用される。
【0064】
トナー濃度検出センサー172(図2参照)は、循環系スクリュー151,156に係る現像剤貯留部178B,178Cに含まれるトナー濃度を検出するために配置されている。トナー濃度は、現像装置130におけるトナーの消費量に対応するため、現像剤貯蔵部196からの現像剤補給の制御に利用される。例えば、トナー濃度が所定値より低下したことが検出されると、現像剤貯蔵部196から現像剤が補給される。なお、現像剤の透磁率はトナー濃度より変化するため、透磁率を利用してトナー濃度を検出することが可能である。
【0065】
次に、第1現像ローラー、第2現像ローラー、回収ローラー、回収スクリュー、供給スクリュー、攪拌スクリューの制御を説明する。
【0066】
図6は、第1現像ローラー、第2現像ローラー、回収ローラーおよび回収スクリューを駆動する第1モーターと、循環系スクリューを駆動する第2モーターを説明するためのブロック図、図7は、標準状態における現像剤液面を示している断面図、図8は、第1および第2現像ローラーの駆動速度が上昇した場合の現像剤液面を示している断面図、図9は、現像剤の排出が過多の場合の現像剤液面を示している断面図である。
【0067】
現像装置130は、図6に示されるように、第1モーター160、伝動装置161、第2モーター162および伝動装置163を、さらに有する。
【0068】
第1モーター160は、制御部105によって制御可能であり、伝動装置161を経由して、第1現像ローラー131、第2現像ローラー136、回収ローラー141および回収スクリュー146を同一速度で駆動するように構成されている駆動源である。第2モーター162は、制御部105によって制御可能であり、伝動装置163を経由して、循環系スクリュー(供給スクリュー151および攪拌スクリュー156)を同一速度で駆動するように構成されている駆動源である。
【0069】
つまり、第1現像ローラー131、第2現像ローラー136、回収ローラー141および回収スクリュー146の駆動速度と、循環系スクリュー151,156の駆動速度とは、独立制御することが可能である。なお、循環系スクリュー151,156を構成する供給スクリュー151および攪拌スクリュー156の駆動速度は、現像剤の循環バランスを維持するため、一定であることが好ましい。
【0070】
回収スクリューの駆動速度は、式(RA≧CA)を満たすように設計段階で設定することが好ましい。ただし、RAは、回収スクリューによって循環系スクリュー151,156に戻される現像剤量(g/s)であり、CAは、第1および第2現像ローラーによって回収スクリューに搬送される現像剤量(g/s)である。
【0071】
循環系スクリュー151,156の駆動速度は、循環系スクリュー151,156によって搬送される現像剤液面高さ(液面検出センサー170によって検出される現像剤貯留部178B,178Cの液面高さ)に基づいて、適宜制御することが好ましい。
【0072】
例えば、印刷ジョブの内容(適用される用紙や画像形成速度)に応じて、図7に示される標準状態に比較し、第1および第2現像ローラー131,136の駆動速度が上昇する場合、第1および第2現像ローラー131,136からの現像剤量は、増加する。しかし、回収スクリュー146の駆動速度と、第1および第2現像ローラー131,136の駆動速度との速度関係は変化しないため、回収スクリュー146から循環系スクリュー151,156に戻される現像剤は増加し、現像剤貯留部178Aにおける現像剤の過度の滞留は生じない。
【0073】
これにより、循環系スクリュー151,156に係る現像剤貯留部178B,178Cの現像剤液面は一定に維持され、低下しない。つまり、第1および第2現像ローラー131,136の駆動速度が上昇する場合においても、図8に示されるように、現像剤貯留部178A,178B,178Cの現像剤液面は一定に維持される。
【0074】
また、例えば、高温高湿の雰囲気環境により現像剤の物性が変化し、現像剤の排出が過多となる場合、循環系スクリュー151,156に係る現像剤貯留部178B,178Cの現像剤液面が低下する。
【0075】
現像剤の排出は、循環系スクリュー151,156の駆動速度を変更することで調整可能である。そのため、現像剤貯留部178B,178Cの現像剤液面を標準状態に戻すため、循環系スクリューの駆動速度を低下させ、現像剤の排出を抑制する。
【0076】
この際、第1現像ローラー131、第2現像ローラー136、回収ローラー141および回収スクリュー146の駆動速度は、独立して制御可能であるため、循環系スクリューの駆動速度が低下しても、第1および第2現像ローラー131,136の駆動速度と、回収スクリュー146の駆動速度とを、一定とする(速度関係は変化しない)ことが可能である。これにより、回収スクリュー146に係る現像剤貯留部178Aでの現像剤の過度の滞留が抑制される(現像剤液面は上昇せず、標準状態が維持される)ため、図9に示されるように、現像剤貯留部178A,178B,178Cの現像剤液面は一定に維持される。
【0077】
なお、現像剤の排出量が不十分であり、現像剤液面高さが高い場合、循環系スクリュー151,156の駆動速度を上昇させて、現像剤の排出量を増加させることで、現像剤液面高さを低下させることが可能である。
【0078】
次に、比較例を説明する。
【0079】
図10は、比較例に係る現像装置を説明するための断面図、図11は、比較例に係る第1および第2現像ローラーの駆動速度が上昇した場合の現像剤液面を示している断面図である。
【0080】
比較例においては、図10に示されるように、第1モーター160は、伝動装置161を経由して、第1現像ローラー131、第2現像ローラー136および回収ローラー141を同一速度で駆動するように構成されている駆動源である。また、第2モーター162は、伝動装置163を経由して、回収スクリュー146および循環系スクリュー151,156を同一速度で駆動するように構成されている駆動源である。
【0081】
したがって、例えば、第1および第2現像ローラー131,136の駆動速度が標準状態から上昇する場合、第1および第2現像ローラー131,136から回収スクリュー146に戻される現像剤量は、増加する。一方、回収スクリュー146は、循環系スクリュー151,156と同一速度で駆動されているため、回収スクリュー146から循環系スクリュー151,156に戻される現像剤量が一定である(変化しない)。そのため、図11に示されるように、回収スクリュー146に係る現像剤貯留部178Aにおいて現像剤が過度に滞留することになる(現像剤液面が上昇する)。現像剤貯留部178Aにおける現像剤の過度の滞留は、現像剤の圧力上昇によって現像器破損の原因となる。
【0082】
また、現像剤貯留部178Aから戻される現像剤は減少するため、循環系スクリュー151,156に係る現像剤貯留部178B,178Cにおける現像剤液面は、低下する。現像剤液面の低下は、トナー濃度検出センサー172の誤検出や、第1および第2現像ローラー131,136に供給される現像剤量の低下を引き起こす。例えば、トナー濃度検出センサー172の精度は、現像剤液面に影響されるため、液面の低下による誤検出を生じ、現像剤貯蔵部196からの現像剤の補給量(補給タイミング)を不適切なものとする。また、現像剤量の低下(現像剤供給不足)は、感光体ドラム122上での現像が不均一となり、画像濃度ムラを発生させる。
【0083】
図12は、比較例に係る現像剤の排出が過多の場合の現像剤液面を示している断面図である。
【0084】
比較例において、現像剤の排出が過多となった場合、現像剤貯留部178B,178Cにおける現像剤液面を標準状態に戻すため、循環系スクリュー151,156の駆動速度を低下させ、現像剤の排出を抑制すると、同一駆動されている回収スクリュー146の駆動速度も低下する。
【0085】
これにより、回収スクリュー146から循環系スクリュー151,156に戻される現像剤量が減少する。また、第1および第2現像ローラー131,136からの現像剤量は、変化しない。したがって、図12に示されるように、回収スクリュー146に係る現像剤貯留部178Aにおいて現像剤が過度に滞留することになる(現像剤液面が上昇する)。
【0086】
また、現像剤貯留部178Aから戻される現像剤は減少するため、循環系スクリュー151,156に係る現像剤貯留部178B,178Cにおける現像剤液面は、上昇しない(低下した状態が維持される)。これにより、トナー濃度検出センサー172の誤検出や、第1および第2現像ローラー131,136に供給される現像剤量の低下を引き起こす。
【0087】
以上のように、本実施の形態によれば、回収スクリュー146に係る現像剤貯留部178Aにおける現像剤の滞留、および、循環系スクリュー151,156に係る現像剤貯留部178B,Cの現像剤液面の変動が抑制される。
【0088】
なお、循環系スクリュー151,156の駆動速度は、現像剤の耐久状態に基づいて、適宜制御することも可能である。現像剤の耐久状態は、例えば、現像剤の使用量、現像剤の使用時間、適用された用紙の枚数等に基づいて推定される。つまり、現像剤の使用時間が長くて現像剤の帯電量が低下する場合、現像剤貯留部の現像剤液面が低下し、トナー濃度センサーの誤検出や現像剤の搬送不良などを引き起こす虞があるため、現像剤貯留部の現像剤液面が上昇する(適正なレベルに維持される)ように、循環系スクリュー151,156の駆動速度が制御される。
【0089】
循環系スクリュー151,156の駆動速度は、現像剤に含まれるトナーの帯電量に基づいて、適宜制御することも可能である。例えば、トナーの帯電量によって現像剤液面が変化するため、トナーの帯電量は、現像剤液面高さの代わりに利用することが可能である。なお、トナーの帯電量は、例えば、現像ローラーに接続した電流計と感光体ドラム上のトナー付着量を検出する光学センサーを用いて測定される。具体的には、感光体ドラムに付着量の異なる複数のパッチ画像を形成し、そして、複数のパッチ画像に対応して、現像ローラーと感光体ドラムとの間の経路に生じる電流の変化量と、用紙に転写された画像の付着量の変化量とを検出し、そして、付着量の変化量に対する電流の変化量の割合より、トナーの帯電量が、測定される。トナーの帯電量の測定方法は、当該構成に限定されない。
【0090】
循環系スクリュー151,156の駆動速度は、第1および第2現像ローラー131,136の表面の耐久状態に基づいて、適宜制御することも可能である。例えば、第1および第2現像ローラー131,136のスリーブ表面が摩耗して現像剤の搬送量が低下している場合、現像剤の搬送量が増加するように、循環系スクリュー151,156の駆動速度が制御される。なお、第1および第2現像ローラー131,136の耐久状態は、第1および第2現像ローラー131,136に適用された現像剤の使用量、関連する印刷用紙の枚数等に基づいて推定することが可能である。
【0091】
循環系スクリュー151,156の駆動速度は、トナーからなる画像が形成される領域に対するトナーが付着する部分の面積比である印字面積率(カバレッジ)に基づいて、適宜制御することも可能である。例えば、高カバレッジが連続する場合、高カバレッジと低カバレッジとが頻繁に切り替えられる場合、現像剤の劣化が促進し、現像剤の物性(現像剤貯留部における液面の高さ)が変化するためである。
【0092】
次に、本発明の実施の形態に係る変形例1および2を順次説明する。
【0093】
図13は、本発明の実施の形態に係る変形例1を説明するための概略図である。
【0094】
回収スクリュー146を駆動するモーターは、第1および第2現像ローラー131,136を駆動するモーターと同一(共通)とする形態に限定されず、例えば、図12に示されるように、回収スクリュー146専用のモーター(第3モーター)164を設ける(独立駆動する)ことも可能である。この場合、回収スクリュー146を独立制御することが可能であるため、回収スクリュー146の制御の自由度が増加する。
【0095】
図14は、本発明の実施の形態に係る変形例2を説明するための概略図である。
【0096】
循環系スクリューは、供給スクリュー151および攪拌スクリュー156によって構成される形態に限定されない。例えば、図14に示されるように、供給スクリュー151と攪拌スクリュー156の両方の機能を有する単一のスクリュー156Aによって構成することも可能である。
【0097】
以上のように、本実施の形態によれば、現像剤攪拌部材(循環系スクリュー)の駆動速度および現像剤回収部材(回収スクリュー)の駆動速度は、独立制御することが可能であるため、現像剤担持体(現像ローラー)と現像剤攪拌部材の速度関係が変化した場合であっても、現像剤担持体と現像剤回収部材の速度関係を、一定に維持することが可能である。したがって、現像剤回収部材に係る現像剤貯留部における現像剤の滞留、および、現像剤攪拌部材に係る現像剤貯留部の現像剤液面の変動が抑制される。つまり、現像剤担持体と現像剤攪拌部材の速度関係が変化しても、現像剤回収部材に係る現像剤貯留部に現像剤が滞留せず、現像剤攪拌部材に係る現像剤貯留部の現像剤液面が変動しない現像装置および画像形成装置を提供することが可能である。
【0098】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で種々改変することができる。例えば、画像形成装置は、MFPに限定されず、印刷専用のプリンターやファクシミリ装置を適用することも可能である。また、回収スクリュー、供給スクリューおよび攪拌スクリューの羽根形状は、特に限定されず、例えば、螺旋状の羽根やパドル状の羽根を適用することが可能である。
【0099】
現像剤攪拌部材(循環系スクリュー)の駆動速度および現像剤回収部材(回収スクリュー)の駆動速度の独立制御は、複数の駆動源(モーター)によって達成する形態に限定されない。例えば、クラッチや多段ギヤ等を用いることで、単一の駆動源による独立制御を達成することも可能である。現像ローラーは、単一、あるいは、3つ以上とすることも可能である。循環系スクリューは、3本以上のスクリューによって構成することも可能である。回収ローラーをガイド部材(斜面)によって代替し、あるいは、回収ローラーに隣接するガイド部材(斜面)をさらに付加することも可能である。
【符号の説明】
【0100】
100 画像形成装置、
105 制御部、
106 記憶部、
110 画像読み取り部、
112 ADF(Auto Document Feeder)、
113 スキャナー部、
115 操作表示部、
117 タッチパネル、
118 物理キーボード部、
120 画像形成部、
122 感光体ドラム、
124 帯電部、
126 光書込部、
130 現像装置、
131 第1現像ローラー(現像剤担持体)、
132 スリーブ、
133A,133B,133C,133D,133E 磁極(固定磁極)、
133F 非磁極部(固定磁極)、
134 回転軸、
136 第2現像ローラー(第2の現像剤担持体)、
137 スリーブ、
138A,138B,138C,138D,138E 磁極(固定磁極)、
138F 非磁極部(固定磁極)、
139 回転軸、
141 回収ローラー、
142 スリーブ、
143A,143B,143C,143D,143E 磁極(固定磁極)、
143F 非磁極部(固定磁極)、
144 回転軸、
146 回収スクリュー、
151 供給スクリュー(循環系スクリュー(現像剤攪拌部材))、
152 搬送路、
156 攪拌スクリュー(循環系スクリュー(現像剤攪拌部材))、
156A スクリュー、
157 搬送路、
158 現像剤補給口、
159 現像剤排出部、
159A 逆向きスクリュー部、
159B 導出経路、
159C 現像剤排出口、
160 第1モーター、
161 伝動装置、
162 第2モーター、
163 伝動装置、
164 第3モーター、
170 液面検出センサー、
172 トナー濃度検出センサー、
174 ケーシング、
175 仕切り壁、
176A,176B 連通口、
178A,178B,178C 現像剤貯留部、
180 転写部、
182 中間転写ベルト、
183 1次転写ローラー、
184 2次転写ローラー、
185 定着部、
187 定着ローラー、
188 加圧ローラー、
190 用紙搬送部、
192A 給紙トレイ、
192B 給紙トレイ、
194 用紙搬送路、
196 現像剤貯蔵部、
198 通信インターフェース、
P 用紙。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14