(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】車種判別装置、車種判別方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/015 20060101AFI20220830BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20220830BHJP
G08G 1/042 20060101ALI20220830BHJP
G08G 1/02 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
G08G1/015 A
G08G1/14 A
G08G1/042 A
G08G1/02 A
(21)【出願番号】P 2018090945
(22)【出願日】2018-05-09
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】吉野 広太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 慎
(72)【発明者】
【氏名】神田 翔平
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-186100(JP,A)
【文献】特開平05-174293(JP,A)
【文献】実開平04-101175(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出空間に車両が進入する際に生じる振動を示す振動情報を
前記検出空間に設けられた振動センサから取得し、前記振動情報に基づいて前記振動情報の第1特徴量を生成する第1特徴量生成部と、
前記検出空間における磁気を検出可能な磁気センサの検出値と、前記検出空間が車両の無い空状態であるときの前記磁気センサの検出値を示す基準値との差分である変化量を算出する変化量算出部と、
前記変化量算出部によって算出された前記変化量に基づいて前記変化量の第2特徴量を生成する第2特徴量生成部と、
予め定められた特定車種に対応付けられた前記振動情報に関する第1車種閾値と前記第1特徴量とが一致し、且つ、前記特定車種に対応付けられた前記変化量に関する第2車種閾値と前記第2特徴量とが一致する場合に、前記検出空間に対する進入車両の車種を前記特定車種と判定する車種判定部と、を備え、
前記磁気センサは、前記検出空間の中央部に対して前記検出空間への車両の出入口側の位置であって、前記出入口から前記検出空間に車両が進入して駐車されるまでの間に車両のエンジン部分が前記磁気センサの上方を通過可能な位置に設置されており、
前記第2特徴量は、前記エンジン部分が前記磁気センサの上方を通過するときに前記磁気センサによって検出された前記検出値と前記基準値との差分値である車種判別装置。
【請求項2】
前記第1特徴量は、前記振動情報に含まれる変位振幅、速度振幅、又は振動周波数のいずれか一つ又は複数に関する特徴量である、請求項1に記載の車種判別装置。
【請求項3】
前記第1特徴量は、前記変位振幅、前記速度振幅、又は前記振動周波数のいずれか一つ又は複数の平均値、ピーク値、又は波形パターンである、請求項2に記載の車種判別装置。
【請求項4】
前記変化量に基づいて前記検出空間における車両の有無を判定する車両有無判定部を更に備え、
前記車種判定部は、前記車両有無判定部によって前記検出空間が前記空状態から車両を有する満状態に変化したと判定されたことを条件に、前記進入車両の車種の判定を行う、請求項1から3のいずれかに記載の車種判別装置。
【請求項5】
前記変化量が空車判定に用いられる第1閾値よりも大きい第2閾値を越えたか否かを判定する閾値判定部を更に備え、
前記車両有無判定部は、
前記閾値判定部によって前記変化量が前記第2閾値を越えたと判定されてから所定時間を経過した時点の前記変化量を示す数値が、前記第2閾値未満であり、且つ、前記第1閾値と前記第2閾値との間に定められた第3閾値以上である場合に、前記検出空間が前記満状態であると判定する、請求項4に記載の車種判別装置。
【請求項6】
前記第3閾値は、
前記検出空間が前記空状態であり、且つ、前記検出空間に隣接する隣接空間が前記満状態であるときの前記変化量を示す数値よりも大きく、
前記検出空間が前記満状態であり、且つ、前記隣接空間が前記空状態であるときの前記変化量を示す数値よりも小さい値に定められている、請求項5に記載の車種判別装置。
【請求項7】
前記車種判定部によって前記進入車両の車種が判定できなかった場合に、前記車両有無判定部によって前記検出空間が前記満状態から前記空状態に変化したと判定されるまで前記検出空間からの出車を促す警報を報知する報知処理部を更に備える、請求項4から6のいずれかに記載の車種判別装置。
【請求項8】
コンピューターが、
検出空間に車両が進入する際に生じる振動を示す振動情報を
前記検出空間に設けられた振動センサから取得し、前記振動情報に基づいて前記振動情報の第1特徴量を生成する第1特徴量生成ステップと、
前記検出空間における磁気を検出可能な磁気センサの検出値と、前記検出空間が車両の無い空状態であるときの前記磁気センサの検出値を示す基準値との差分である変化量を算出する変化量算出ステップと、
前記変化量算出ステップによって算出された前記変化量に基づいて前記変化量の第2特徴量を生成する第2特徴量生成ステップと、
前記第1特徴量及び前記第2特徴量に基づいて前記検出空間に対する進入車両の車種を判定する車種判定ステップと、を
実行し、
前記磁気センサは、前記検出空間の中央部に対して前記検出空間への車両の出入口側の位置であって、前記出入口から前記検出空間に車両が進入して駐車されるまでの間に車両のエンジン部分が前記磁気センサの上方を通過可能な位置に設置されており、
前記第2特徴量は、前記エンジン部分が前記磁気センサの上方を通過するときに前記磁気センサによって検出された前記検出値と前記基準値との差分値である車種判別方法。
【請求項9】
請求項8に記載の車種判別方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車スペースなどの検出空間に駐車或いは停車された車両の車種を判定可能な車種判別装置、車種判別方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複数台の車両が駐車できる公共の駐車場の入口には、一時的に停車した車両の車種を判別する車種判別装置が設けられている。この種の車種判別装置においては、停止した車両をカメラで撮像し、撮像した画像に基づいて車種(車両タイプ)を判別している(特許文献1参照)。
【0003】
駐車場においては、車種ごとに車両の駐車スペースが区画されている場合がある。例えば、トラックやバスなどの大型車両は、車両サイズに応じた駐車面を有する駐車スペースが区画されている。普通車や小型車などの車両も、各車両サイズに応じた駐車スペースが区画されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、停止した車両をカメラで撮像して判別する従来技術では、駐車場の入口や建物の入口付近に、車両を撮像するためのカメラを地面よりも上方の位置に設置しなければならず、停車スペース以外の箇所にカメラ用の設置スペースが必要である。また、駐車場において、普通車や小型車に対応する駐車スペースが満車状態であるときに、普通車や小型車が大型車両を駐車するための駐車スペースに駐車される場合がある。この場合、駐車スペースに対応した車両が駐車されているか否かを判定するために、駐車スペースに駐車された車両の車種を判別する必要がある。しかしながら、駐車スペースにおける車種の判別に上述の従来技術を適用した場合、駐車スペース毎に車両を撮像するためのカメラを設置する必要がある。一方、複数の駐車スペースをカメラで撮像して、その撮像画像を解析することで車両の車種を判別することも可能であるが、高性能のカメラが必要である。
【0006】
本発明の目的は、駐車スペースなどの検出空間に駐車又は停車される車両の車種を簡単な構成でありながら高精度に判別することが可能な車種判別装置、車種判別方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る車種判別装置は、第1特徴量生成部と、第2特徴量生成部と、車種判定部と、を備える。前記第1特徴量生成部は、検出空間に車両が進入する際に生じる振動を示す振動情報を振動センサから取得し、前記振動情報に基づいて前記振動情報の第1特徴量を生成する。前記第2特徴量生成部は、前記検出空間における磁気を検出可能な磁気センサから前記磁気を示す検出値を取得し、前記検出空間に車両が進入する際の前記検出値の変化量に基づいて前記変化量の第2特徴量を生成する。前記車種判定部は、前記第1特徴量及び前記第2特徴量に基づいて前記進入車両の車種を判定する。
【0008】
本発明の他の局面に係る車種判別方法は、第1特徴量取得ステップと、第2特徴量生成ステップと、車種判定ステップと、を含む。前記第1特徴量取得ステップは、検出空間に車両が進入する際に生じる振動を示す振動情報を振動センサから取得し、前記振動情報に基づいて前記振動情報の第1特徴量を生成する。前記第2特徴量生成ステップは、前記検出空間における磁気を検出可能な磁気センサから前記磁気を示す検出値を取得し、前記検出空間に車両が進入する際の前記検出値の変化量に基づいて前記変化量の第2特徴量を生成する。前記車種判定ステップは、前記第1特徴量及び前記第2特徴量に基づいて前記進入車両の車種を判定する。
【0009】
本発明は、前記車種判別方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム、又は、このようなプログラムを非一時的に記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、駐車スペースなどの検出空間に駐車又は停車される車両の車種を簡単な構成でありながら高精度に判別することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車種判別装置の接続構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、車種判別装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、磁気センサの検出値の変化量を車種別に示す図である。
【
図4】
図4は、車両の駐車状態と、各駐車状態に応じた磁気センサの検出値の変化量を示す図である。
【
図5】
図5は、振動センサの検出値を車種別に示す図である。
【
図6】
図6は、車種毎に定められた閾値範囲を示す図である。
【
図7】
図7は、車種判別装置の制御部によって実行される車両検知処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、車種判別装置の制御部によって実行される車種判別処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、車種判別装置の制御部によって実行される車種判別処理の手順の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[車種判別装置10]
図1は、本発明の実施形態に係る車種判別装置10の接続構成を示す模式図である。
【0014】
車種判別装置10は、駐車場20に区画された複数の駐車スペースZそれぞれにおいて、入車する車両21の車種(車両タイプ)を判定するものである。
図1に示すように、各駐車スペースZそれぞれには磁気センサ11と、振動センサ16とが設置されている。ここで、駐車スペースZは、本発明の検出空間の一例である。
【0015】
磁気センサ11は、その設置位置における地磁気を含む磁界の強度(磁束密度)を検出可能な周知のセンサである。駐車スペースZにおいて地磁気以外の磁界を形成するものが存在しない限り、磁気センサ11は、設置位置における地磁気の強度を検出する。
【0016】
磁気センサ11は、駐車スペースZ内に設置されており、
図1に示すように、駐車スペースZの中央部よりも車両21の出入口17寄りの位置に設置されている。本実施形態では、磁気センサ11は駐車スペースZにおける駐車面に埋設されている。磁気センサ11の設置位置は、例えば、フロント側にエンジンを搭載しているFR車やFF車などの車両(フロントエンジン車)が前進で駐車スペースZに駐車した場合に、荷室などを有するリア部分が配置される位置であり、後進で駐車スペースZに駐車した場合に、エンジンが搭載されたエンジン部分が配置される位置である。また、磁気センサ11の設置位置は、リア側にエンジンを搭載しているRR車などの車両(リアエンジン車)が前進で駐車スペースZに駐車した場合にエンジン部分が配置される位置であり、後進で駐車スペースZに駐車した場合に荷室などを有するフロント部分が配置される位置である。また、磁気センサ11の設置位置は、前後の車軸間にエンジンを搭載しているMR車などの車両(ミッドシップ車)が前進又は後進で駐車スペースZに駐車した場合にエンジン部分以外の部分が配置される位置である。
【0017】
磁気センサ11は、三軸タイプのものであり、その設置位置における磁界のベクトル量、つまり、磁界の大きさ(スカラー量)、及び磁界の方向(向き)を検出する。より詳細には、磁気センサ11は、検出した磁界のベクトル(磁界ベクトル)の大きさ成分であるスカラー量を検出し、そのスカラー量を検出値として後述の制御部12に送る。磁気センサ11は、例えば、コイル、ホール素子、磁気抵抗素子(MR素子)、磁気インピーダンス素子(MI素子)などの磁気センサ素子を用いて、設置位置付近の地磁気を含む磁界の強度(磁束密度)を検出するものである。なお、磁気センサ11は、前記磁気センサ素子の他に、増幅回路、AD変換回路などを備えている。なお、磁気センサ11は、二軸タイプのものであって、X軸方及びY軸を含むXY平面の磁界の大きさ及び方向を検出するものであってもよい。
【0018】
磁気センサ11は、車種判別装置10に無線又は有線によって電気的に接続されている。本実施形態では、車種判別装置10は、駐車スペースZの駐車面に設置された磁気センサ11から検出値を取得し、取得した検出値の変化量Gに基づいて駐車スペースZにおける車両21の有無を判定する。
【0019】
振動センサ16は、その設置位置における振動を検出可能な周知のセンサである。振動センサ16は、駐車スペースZの近傍に設けられており、詳細には、駐車スペースZ内に設置されている。駐車スペースZに車両21が進入する際にその車両21の振動を効果的に検出可能なように、振動センサ16は、
図1に示すように、駐車スペースZの中央部付近に設置されている。本実施形態では、振動センサ16は駐車スペースZにおける駐車面に埋設されている。
【0020】
振動センサ16は、動電型のセンサであり、その設置位置における振動加速度Fを検出する。より詳細には、振動センサ16は、振動加速度Fを検出し、その検出値を後述の制御部12に送る。振動センサ16は、動電型のものに限られず、例えば、圧電型センサまたは渦電流型センサであってもよい。
【0021】
振動センサ16は、車種判別装置10に無線又は有線によって電気的に接続されている。本実施形態では、車種判別装置10は、駐車スペースZに設置された振動センサ16からその検出値を取得し、取得した検出値、及び、前記変化量Gに基づいて駐車スペースZに進入した車両21の車種を判定する。
【0022】
図2は、車種判別装置10の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、車種判別装置10は、制御部12と、記憶部13と、通信部14とを備えている。また、車種判別装置10には、上述した磁気センサ11及び振動センサ16に加えて、スピーカーや表示装置、表示灯などの外部出力部18が接続されている。また、車種判別装置10は、ネットワークN1を通じて管理サーバ15と接続されている。
【0023】
外部出力部18は、駐車場20の敷地内に設置されており、車種判別装置10の制御部12から送られてきた所定の情報を音声、テキスト、又は点灯によって外部に出力する。
【0024】
通信部14は通信インターフェースであり、車種判別装置10を有線又は無線でネットワークN1に接続し、ネットワークN1を介して管理サーバ15との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行する。通信部14は、車種判別装置10における車両21の有無の判定結果(満状態又は空状態)をネットワークN1を介して管理サーバ15に送信する。ここで、前記空状態は、判定対象の駐車スペースZに車両21が無い状態であり、前記満状態は、駐車スペースZに車両21が有る状態である。管理サーバ15は、駐車場20における車両21の有無を管理するサーバ装置である。本実施形態では、車種判別装置10が管理サーバ15と通信可能に接続された構成について例示するが、車種判別装置10が管理サーバ15によって実現された構成であってもよい。
【0025】
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などを含む不揮発性の記憶媒体である。記憶部13には、制御部12に各種処理を実行させるための制御プログラムや、車種判別装置10において実行される後述の車種判別処理に用いられる各閾値、後述の車両検知処理及び車種判別処理による各判定結果、磁気センサ11の検出値、振動センサ16の検出値、後述の変化量Gを算出するための基準値などが記憶される。
【0026】
制御部12は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。制御部12は、前記ROM又は記憶部13に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより車種判別装置10を制御する。
【0027】
図2に示すように、制御部12は、変化量算出部121、閾値判定部122、車両判定部123(本発明の車両有無判定部の一例)、空車判定部124、第1特徴量生成部125、第2特徴量生成部126、車種判定部127、報知処理部128などの各種の処理部を含む。制御部12は、前記CPUで前記制御プログラムに従って車両検知処理や車種判定処理などの各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。なお、制御部12に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。また、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0028】
変化量算出部121は、磁気センサ11から送られてきた検出値(磁界の強度を示す磁束密度の値)に基づいて変化量Gを算出する。前記変化量Gは、磁気センサ11の検出値と、予め定められた基準値との差分の絶対値である。前記基準値は、磁気センサ11が設置されている駐車スペースZ1に車両21が駐車されていないときに検出された磁気センサ11の検出値であり、予め記憶部13に記憶されている。なお、前記基準値として、磁気センサ11が設置されている駐車スペースZ1とこれに隣接する駐車スペースZ2のいずれにも車両21が駐車されていないときに検出された磁気センサ11の検出値を用いてもよい。駐車場20における複数の駐車スペースZそれぞれにおける地磁気を含む磁界は、周辺の電線が形成する磁界の影響や、周辺の建物に用いられている鉄筋或いは立体駐車場に用いられている鉄筋などの強磁性体の影響を受ける。そのため、駐車スペースZごとに前記基準値が異なる。したがって、駐車スペースZごとの前記基準値が予め取得されて、記憶部13に記憶されている。
【0029】
一般に、自動車などの車両21には、地磁気に対して影響を及ぼす強磁性体の素材が多く使用されている。したがって、車両21が駐車スペースZに駐車されると、その駐車過程において磁気センサ11の検出値が変動する。このため、駐車スペースZにおける車両21の有無は、車両21の存在によって変動した磁気センサ11の検出値と前記基準値との差分である前記変化量Gを算出し、この変化量Gを所定の閾値と比較することによって判定することが可能である。
【0030】
ところで、車両21には種々の車種があり、車種によって地磁気への影響度の度合いが異なる。
図3は、磁気センサ11の検出値の前記変化量Gを車種別に示す図である。
図3中の波形W1(点線波形)は、小型車が駐車スペースZに進入したときに得られる変化量Gを示す。波形W2(実線波形)は、普通車又は中型車(以下「普通車等」と称する。)が駐車スペースZに進入したときに得られる変化量Gを示す。波形W3(破線波形)は、大型車が駐車スペースZに進入したときに得られる変化量Gを示す。なお、いずれの車種の車両21も、フロントエンジン車とする。
【0031】
図3に示すように、駐車スペースZに車両21が前進で入車した場合、磁気センサ11の検出値の変化量Gは、波形W1~3のように、車両21が進入するにしたがって前記変化量Gが徐々に大きくなる。そして、車両21のエンジン部分が磁気センサ11の上方を通過するときに、前記変化量Gはピーク値SP1~SP3に達し、その後徐々に低下して、安定値AV1~AV3に収束し、駐車スペースZ1に完全に車両21が駐車された状態では、前記変化量Gは安定値AV1~AV3を維持する。
【0032】
一般に、車両21では、そのエンジン部分に強磁性体が多く使用されており、そのため、
図3に示すように、エンジン部分の下では地磁気に対して比較的大きな歪みが与えられる。このため、当該部分に対応する地上面の地磁気の変化量は大きい。とりわけ、小型車よりも普通車等、普通車等よりも大型車のほうが、エンジン部分に強磁性体が多く使用されているため、波形W1のピーク値SP1よりも波形W2のピーク値SP2の方が大きく、波形W2のピーク値SP2よりも波形W3のピーク値SP3の方が大きくなる。したがって、前記変化量Gから得られた前記ピーク値と、各車種に対応する閾値(第2車種閾値)とを閾値判断することにより、駐車スペースZに進入する車両21の車種を判定できる。なお、これらのピーク値SP1~SP3は、本発明の第2特徴量の一例である。
【0033】
以下、
図4を参照して、互いに隣接する駐車スペースZ1,Z2における車両21の駐車状態に応じた磁気センサ11Aの検出値の変化量Gについて説明するとともに、後述の車両検知処理に用いられる各閾値について説明する。ここで、磁気センサ11Aは、駐車スペースZ1に設置されたものであり、以下の説明においても同様である。また、駐車スペースZ2は駐車スペースZ1に隣接する駐車スペースである。なお、
図4では、駐車スペースZ2の磁気センサ11の図示を省略している。
【0034】
図4に示すように、駐車スペースZ1だけに車両21が前進で入車した駐車状態P21では、磁気センサ11Aの検出値の変化量Gは、波形W11(
図4中の実線波形)のように、車両21が進入するにしたがって前記変化量Gが徐々に大きくなり、エンジン部分が磁気センサ11Aの上方を通過するときに前記変化量Gはピーク値SP11に達し、その後徐々に低下して安定値AV11に収束し、駐車スペースZ1に完全に車両21が駐車された状態では、前記変化量Gは前記安定値AV11を維持する。
【0035】
また、駐車スペースZ2だけに別の車両22が前進で入車した駐車状態P22では、駐車スペースZ1の磁気センサ11Aの検出値の変化量Gは、波形W12(
図4中の破線波形)のように、駐車スペースZ2に車両22が進入するにしたがって前記変化量Gが緩やかに大きくなり、その後、一定の安定値AV12に収束する。これは、駐車スペースZ2に車両22が、隣の駐車スペースZ1の磁界に影響を与えるためである。このような影響は、駐車スペースZ2に駐車される車両22が大型であるほど大きくなる。
【0036】
また、駐車スペースZ2に別の車両22が既に駐車されており、駐車スペースZ1に車両21が前進で入車する駐車状態P23では、前記変化量Gは、車両21が駐車スペースZ1に入車する前から既に前記安定値AV12となっている。つまり、駐車スペースZ1が空状態であり、且つ、駐車スペースZ2が満状態であるときの前記変化量Gは、前記安定値AV12である。そして、波形W13(
図4中の点線波形)のように、車両21が進入するにしたがって前記変化量Gが徐々に大きくなり、エンジン部分が磁気センサ11Aの上方を通過するときにピーク値SP11よりも大きいピーク値SP12に達する。その後、前記変化量Gは徐々に低下して、安定値AV13に収束し、駐車スペースZ1に完全に車両21が駐車された状態では、前記変化量Gは前記安定値AV13を維持する。
【0037】
本実施形態では、駐車スペースZ1,Z2に対する車両21,22の複数の駐車状態と、その駐車状態に応じた前記変化量Gの複数の波形パターンとに鑑みて、後述の車両検知処理に用いられる各閾値が定められている。
【0038】
具体的には、車両判定部123による後述の駐車判定処理を開始するか否かを判定するためのトリガー閾値H1は、空閾値L0よりも大きい数値に設定されている。詳細には、前記トリガー閾値H1は、前記空閾値L0よりも大きく、前記ピーク値SP11よりも小さい数値に設定されている。
【0039】
ここで、前記空閾値L0は、隣接する駐車スペースZ2に車両22が駐車されていない場合に、駐車スペースZ1における空状態を確実に判定できる数値に定められており、前記安定値AV12よりも小さく、前記基準値よりも大きい値に定められている。例えば、前記空閾値L0は、実験などから得られた信頼係数(例えば1.2)を前記基準値に乗じた数値に設定される。
【0040】
また、前記駐車判定処理に用いられる満閾値H2は、前記空閾値L0と前記安定値AV11との間の数値、つまり、前記空閾値L0よりも大きく、前記安定値AV11よりも小さい数値に設定されている。
【0041】
図2に示す閾値判定部122は、変化量算出部121によって算出された前記変化量Gが空車判定部124による後述の空車判定処理に用いられる前記空閾値L0よりも大きい前記トリガー閾値H1を越えたか否かを判定する。
【0042】
車両判定部123は、閾値判定部122によって前記変化量Gが前記トリガー閾値H1を越えたと判定されると、判定対象の駐車スペースZに車両があるか否かを判定する駐車判定処理を開始する。具体的には、車両判定部123は、前記変化量Gが前記トリガー閾値H1を越えたと判定された時点から予め定められた設定時間Taを経過した時点T31(
図4参照)の前記変化量Gが前記満閾値H2以上であるかどうかを判定する。ここで、前記変化量Gが前記満閾値H2以上である場合に、車両判定部123は、判定対象の駐車スペースZに車両21が存在している満状態であると判定し、つまり、駐車スペースZに車両21が駐車されたと判定する。なお、設定時間Taは、車両が駐車スペースZに進入してから駐車スペースZに駐車するまでに要する平均時間に基づいて設定されている。
【0043】
空車判定部124は、前記変化量Gに基づいて、判定対象の駐車スペースZが空状態か否かを判定する空判定処理を行う。具体的には、空車判定部124は、前記変化量Gが前記空閾値L0未満の場合に、判定対象の駐車スペースZに車両21が存在していない空状態と判定する。
【0044】
また、空車判定部124は、車両判定部123によって駐車スペースZに車両が駐車されたと判定されると、判定対象の駐車スペースZが満状態から空状態になったか否かを判定する空車判定処理を開始する。具体的には、空車判定部124は、駐車スペースZが満状態と判定された後に、前記変化量Gが再び前記トリガー閾値H1を越えたか否かを判定する。そして、空車判定部124は、前記変化量Gが前記トリガー閾値H1を越えたと判定すると、その判定の時点から前記設定時間Taを経過した時点の前記変化量Gが前記満閾値H2未満であるか否かを判定する。ここで、前記変化量Gが前記満閾値H2未満である場合に、空車判定部124は、判定対象の駐車スペースZが空状態であると判定し、つまり、駐車スペースZから車両が出車したと判定する。
【0045】
第1特徴量生成部125は、駐車スペースZに設置された振動センサ16から車両21の進入時に生じる振動を示す振動情報を取得し、取得した振動情報の特徴量(第1特徴量)を生成する。本実施形態では、第1特徴量生成部125は、駐車スペースZに車両21が進入する際に生じる経時的な振動加速度Fを含む前記振動情報に基づいて、車両21の進入から駐車までの前記振動加速度Fの平均値を算出(生成)する。前記振動加速度Fの平均値は、本発明の第1特徴量の一例である。
【0046】
ところで、車両21は、車種によって、車両21から生じる振動加速度Fが異なる。
図5は、車両21の進入時の振動センサ16の検出値を車種別に示す図である。
図5中の波形W21(点線波形)は、小型車又は普通ハイブリッド車(以下「小型車等」と称する。)が駐車スペースZに進入したときに得られる振動加速度Fを示す。波形W22(実線波形)は、普通車が駐車スペースZに進入したときに得られる振動加速度Fを示す。波形W3(破線波形)は、大型車又は中型車(以下「大型車等」と称する。)が駐車スペースZに進入したときに得られる振動加速度Fを示す。
【0047】
一般に、小型車等よりも普通車、普通車よりも大型車等のほうがエンジンの排気量が大きく、また、車両サイズも大きいため、
図5に示すように、前記振動加速度Fは、小型車等よりも普通車、普通車よりも大型車等のほうが大きい。したがって、振動センサ16から得られた振動加速度Fの平均値と、各車種に対応する閾値(第1車種閾値)とを閾値判断することにより、駐車スペースZに進入する車両21の車種を判定できる。
【0048】
本実施形態では、車両の車種を判定するための閾値として、
図6に示す5つの閾値範囲D(D1~D5)が用意されている。前記閾値範囲Dは、車種判定用に用いられる閾値の一例である。ここで、
図6において、変化量Gのピーク値が範囲G1~G3の3つに区分けされており、範囲G1は小型車に対応しており、範囲G2は普通車等に対応しており、範囲G3は大型車に対応している。これらの範囲G1~G3は、小型車、普通車等、大型車の各車種を判別するために用いられる閾値であり、本発明の第2車種閾値に相当する。また、
図6において、振動加速度Fの平均値が範囲F1~F3の3つ区分けされており、範囲F1は小型車等に対応しており、範囲F2は普通車に対応しており、範囲F3は大型車等に対応している。これらの範囲F1~F3は、小型車等、普通車、大型車等を判別するために用いられる閾値であり、本発明の第1車種閾値に相当する。
【0049】
ここで、閾値範囲D1は、小型車を判定するためのものであり、小型車に対応付けられた閾値範囲である。閾値範囲D1は、変化量Gのピーク値が相対的に小さい範囲G1と振動加速度Fの平均値が相対的に小さい範囲F1の両方を含む範囲とされている。閾値範囲D3は、普通車を判定するためのものであり、普通車に対応付けられた閾値範囲である。閾値範囲D3は、変化量Gのピーク値が相対的に中程度である範囲G2と振動加速度Fの平均値が相対的に中程度である範囲F2とを含む範囲とされている。閾値範囲D5は、大型車を判定するためのものであり、大型車に対応付けられた閾値範囲である。閾値範囲D5は、変化量Gのピーク値が相対的に大きい範囲G3と振動加速度Fの平均値が相対的に大きい範囲F3とを含む範囲とされている。また、閾値範囲D2は、普通ハイブリッド車を判定するためのものであり、変化量Gのピーク値が相対的に中程度の範囲G2と、振動加速度Fの平均値が相対的に小さい範囲F1とを含む範囲とされている。また、閾値範囲D4は、中型車を判定するためのものであり、変化量Gのピーク値が相対的に中程度の範囲G2と、振動加速度Fの平均値が相対的に大きい範囲F3とを含む範囲とされている。各閾値範囲Dそれぞれに対応づけられた各車種は、本発明の特定車種に相当する。また、各閾値範囲Dにおいて、振動加速度Fの平均値の範囲F1~F3が本発明の第1車種閾値に相当し、変化量Gのピーク値の範囲G1~G3が本発明の第2車種閾値に相当する。これらの各閾値は、記憶部13に記憶されている。
【0050】
各閾値範囲Dは、例えば、多種多用な複数の車両に対して磁気センサ11の検出値の変化量G、及び振動センサ16の振動加速度Fを取得する実験を行い、その実験によって得られた信頼度の高い最適範囲が適用される。
【0051】
第2特徴量生成部126は、前記変化量Gに基づいて前記変化量Gの特徴量(第2特徴量)を生成する。本実施形態では、第2特徴量生成部126は、駐車スペースZに対して車両21が進入してから駐車するまでの間に前記変化量算出部121によって算出された前記変化量Gから、上述した前記変化量Gのピーク値(本発明の第2特徴量の一例)を抽出(生成)する。
【0052】
車種判定部127は、第1特徴量生成部125及び第2特徴量生成部126によって生成された上述の振動加速度Fの平均値、及び変化量Gのピーク値と、各閾値範囲Dとに基づいて、駐車スペースZ1の車両21の車種を判定する。例えば、前記閾値範囲Dと、第1特徴量として生成された振動加速度Fの平均値とを比較して両者が一致しており、且つ、前記閾値範囲Dと、第2特徴量として生成された前記変化量Gのピーク値とを比較して両者が一致している場合に、前記進入車両の車種を前記閾値範囲Dに対応する車種と判定する。
【0053】
報知処理部128は、車種判定部127によって車両21の車種が判定できなかった場合に、通信部14を通じて管理サーバ15に判定不可の情報を出力する。また、 報知処理部128は、判定不可の場合に、駐車スペースZ1から車両21を出車させることを促す警報を報知する処理をおこなう。具体的には、音声アナウンスや警報メッセージ、警報灯などを外部出力部18から外部へ向けて出力する。
【0054】
[車両検知処理]
以下、
図7のフローチャートを用いて、制御部12によって実行される車両検知処理の手順について説明する。
図7において、S11,S12,・・・は処理手順の番号(ステップ番号)を示す。
【0055】
〈ステップS11,S12〉
図7に示すように、ステップS11では、制御部12は、磁気センサ11Aの検出値の変化量Gが前記空閾値L0よりも小さいか否かを判定する。ここで、変化量Gは前記空閾値L0よりも小さいと判定されると、次のステップS12において、制御部12は、駐車スペースZ1が空状態であると判定して、駐車スペースZ1が空状態であることを示すステータス情報を記憶部13に記憶し、当該ステータス情報を管理サーバ15に出力する。なお、駐車スペースZ1,Z2の両方に車両21が駐車されていない場合は、前記変化量Gが前記空閾値L0よりも小さいと判定される。
【0056】
〈ステップS13〉
ステップS11において、前記変化量Gが前記第1空閾値L1以上であると判定されると、処理は、次のステップS13に進む。ステップS13では、制御部12は、前記変化量Gが前記トリガー閾値H1を超えたか否かを判定する。車両21が駐車スペースZ1内に進入して、車両21のエンジン部分が磁気センサ11Aの上方に配置された状態になると、車両21が磁気センサ11Aの設置位置における地磁気に与える影響は急激に大きくなる。このため、前記変化量Gは前記トリガー閾値H1よりも大きくなる。このとき、制御部12は、前記変化量Gが前記トリガー閾値H1よりも大きいと判定する(S13のYes)。この場合、処理は、次のステップS14に進む。なお、ステップS13において、前記変化量Gが前記トリガー閾値H1以下であると判定された場合(S13のNo)、処理はステップS11に戻る。
【0057】
〈ステップS14〉
ステップS14では、制御部12は、ステップS13において前記変化量Gが前記トリガー閾値H1を越えたと判定された時点から前記設定時間Taを経過したか否かを判定する。ここで、前記設定時間Taを経過したと判定されると、処理はステップS15に進む。
【0058】
〈ステップS15〉
ステップS15では、制御部12は、前記設定時間Taを経過した時点T31(
図4参照)における前記変化量Gが、前記満閾値H2よりも大きいか否かを判定する。車両21が駐車スペースZ1に駐車された状態では、上述したように、車両21のエンジン部分以外の部分が地磁気に対する影響は低いが、前記変化量Gは前記満閾値H2よりも高い数値を示す。したがって、この場合は、制御部12は、前記変化量Gが前記満閾値H2よりも大きいと判定する(S15のYes)。一方、ステップS17において、時点T31(
図4参照)における前記変化量Gが前記満閾値H2以下であると判定されると(S15のNo)、処理はステップS11に戻る。
【0059】
〈ステップS16〉
ステップS15において、時点T31(
図4参照)における前記変化量Gが前記満閾値H2よりも大きいと判定された場合、制御部12は、次のステップS16において、駐車スペースZ1が満状態であると判定する。そして、制御部12は、駐車スペースZ1が満状態であることを示すステータス情報を記憶部13に記憶し、当該ステータス情報を管理サーバ15に出力する。
【0060】
〈ステップS17,S18〉
次のステップS17では、ステップS13と同じ処理が行われる。つまり、制御部12は、前記変化量Gが前記トリガー閾値H1を超えたか否かを再び判定する。車両21が駐車スペースZ1から出車し始めて、車両21のエンジン部分が磁気センサ11Aの上方に配置された状態になると、前記変化量Gは前記トリガー閾値H1よりも大きくなる。このとき、制御部12は、前記変化量Gが前記トリガー閾値H1を再び超えたと判定する(S17のYes)。その後、次のステップS19では、ステップS14と同じ処理が行われる。つまり、制御部12は、ステップS17において前記変化量Gが前記トリガー閾値H1を越えたと判定された時点から前記設定時間Taを経過したか否かを判定する。その後、処理はステップS19に進む。
【0061】
なお、本実施形態では、ステップS14及びS18それぞれにおいて同じ処理を行うこととしたが、各ステップにおいて、設定時間Taを異ならせてもよい。
【0062】
〈ステップS19〉
ステップS19では、制御部12は、前記設定時間Taを経過した時点における前記変化量Gが、前記満閾値H2以下であるか否かを判定する。車両21が駐車スペースZ1から完全に出車した状態では、車両21が磁気センサ11Aの設置位置における地磁気に与える影響が更に小さくなり、前記変化量Gは前記満閾値H2を下回る。このとき、制御部12は、前記変化量Gが前記満閾値H2以下と判定する(S19のYes)。つまり、制御部12は、駐車スペースZ1が空状態であると判定する。
【0063】
〈ステップS20〉
前記変化量Gが前記満閾値H2以下と判定されると、次のステップS20において、制御部12は、駐車スペースZ1が空状態に戻ったと判定して、駐車スペースZ1が空状態であることを示すステータス情報を記憶部13に記憶し、当該ステータス情報を管理サーバ15に出力する。
【0064】
[車種判定処理]
以下、
図8のフローチャートを用いて、制御部12によって実行される車種判別処理の手順とともに、本発明の車種判別方法について説明する。
【0065】
〈ステップS31〉
図8に示すように、ステップS31では、制御部12は、駐車スペースZ1が空状態であるか否かを判定する。かかる判定は、記憶部13に記憶されたステータス情報に基づいて行われる。ステップS31において、駐車スペースZ1が空状態であると判定されると、処理はステップS32に進む。
【0066】
〈ステップS32〉
空状態の駐車スペースZ1に対して車両21が進入し始めると、磁気センサ11Aの検出値が変動する。ステップS32では、制御部12は、磁気センサ11Aの検出値を監視することにより、磁気センサ11Aの検出値が変動したか否かを判定する。
【0067】
〈ステップS33,S34〉
ステップS32において、磁気センサ11Aの検出値が変動したと判定されると、制御部12は、振動センサ16から振動加速度の経時的な情報を取得する(S33)。また、制御部12は、磁気センサ11の検出値に基づいて前記変化量Gの経時的な情報を取得する(S34)。
【0068】
〈ステップS35〉
次のステップS35において、制御部12は、駐車スペースZに車両21が駐車されたことにより、駐車スペースZが空状態から満状態になったか否かを判定する。かかる判定は、記憶部13に記憶されたステータス情報に基づいて行われる。
【0069】
〈ステップS36〉
ステップS35において、駐車スペースZが空状態から満状態になったと判定されたことを条件に、制御部12は、満状態と判定されるまでの間にステップS33で取得した振動加速度Fから、第1特徴量の一例である平均値を算出する。更に、満状態と判定されるまでの間にステップS33で取得した前記変化量Gから、そのピーク値を抽出する。なお、ステップS36は、本発明の第1特徴量生成ステップ、及び第2特徴量生成ステップの一例である。
【0070】
〈ステップS37〉
次のステップS37では、制御部12は、第1特徴量として生成された振動加速度Fの平均値と、第2特徴量として生成された前記変化量Gのピーク値とに基づいて、駐車スペースZに駐車された車両21の車種を判定する処理を行う。具体的には、前記閾値範囲Dと、第1特徴量として生成された振動加速度Fの平均値とを比較して両者が一致しているか否かを判定する。更に、前記閾値範囲Dと、第2特徴量として生成された前記変化量Gのピーク値とを比較して両者が一致しているか否かを判定する。なお、ステップS37は、本発明の車種判定ステップの一例である。
【0071】
〈ステップS38〉
制御部12は、前記閾値範囲Dと振動加速度Fの平均値とが一致しており、且つ、前記閾値範囲Dと前記変化量Gのピーク値とが一致していると判定すると、各特徴量に対応する車種があると判定する。例えば、前記平均値及び前記ピーク値が閾値範囲D2に含まれている場合は、駐車スペースZ1に駐車された車両21を普通ハイブリッド車と判定する。また、前記平均値及び前記ピーク値が閾値範囲D4に含まれている場合は、駐車スペースZ1に駐車された車両21を中型車と判定する。
【0072】
〈ステップS39,S40〉
ステップS38において対応車両があると判定された場合は、車両車種を示す情報を記憶部13に記憶するとともに、その情報を管理サーバ15に出力する。一方、対応車両がないと判定された場合は、判定不可を示す情報を記憶部13に記憶するとともに、その情報を管理サーバ15に出力する。
【0073】
なお、上述したステップS37以降のステップS38~S40に替えて、
図9に示すステップS311~S315の処理を行ってもよい。この場合、判定対象である駐車スペースZには、特定車種の車両のみ駐車が許可されているものとし、駐車スペースZと特定車種(例えば普通ハイブリッド車)との対応関係が記憶部13に記憶されているものとする。
【0074】
〈ステップS311、S312〉
ここで、ステップS311では、制御部12は、前記特定車種(普通ハイブリッド車)が対応付けられた前記閾値範囲D2と、振動加速度Fの平均値とが一致しており、且つ、前記閾値範囲D2と前記変化量Gのピーク値とが一致していると判定すると、駐車スペースZに駐車された車両21を前記特定車種と判定する。この場合、駐車スペースZへの駐車が許可された車両21が駐車されたことになるため、駐車された車両21が許可車両であることを示す情報を記憶部13に記憶するとともに、その情報を管理サーバ15に出力する(S312)。
【0075】
〈ステップS313〉
一方、ステップS311において、駐車スペースZに駐車された車両21が前記特定車種と判定されなかった場合は、不許可の車両21が駐車スペースZに駐車されたことになる。このため、次のステップS313では、制御部12は、不正駐車が行われたことを示す情報を記憶部13に記憶するとともに、その情報を管理サーバ15に出力する。
【0076】
〈ステップS314,S315〉
次のステップS314では、制御部12は、不正駐車であることを示す音声アナウンスや警報メッセージ、警報灯などを外部出力部18から出力させる。これにより、駐車スペースZに車両21を駐車したドライバーは、駐車が認められていない駐車スペースに自身の車両を駐車したことに気づくことができる。かかる出力処理は、ステップS315において、駐車スペースZが満状態から空状態になったと判定されるまで継続して行われる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態に係る車種判別装置10では、制御部12は、第1特徴量として生成された振動加速度Fの平均値と、第2特徴量として生成された前記変化量Gのピーク値とに基づいて、駐車スペースZに駐車された車両21の車種を判定する処理を行い、前記閾値範囲Dと振動加速度Fの平均値とが一致しており、且つ、前記閾値範囲Dと前記変化量Gのピーク値とが一致していると判定すると、前記平均値及び前記ピーク値それぞれに対応する車種があると判定する。これにより、駐車場の駐車スペースに駐車される車両の車種を高精度に判別することができる。また、車両を撮像するためのカメラなどのような部材を設けることなく、簡単な構成で車種判別を行うことができる。
【0078】
また、車両が駐車スペースに駐車され場合に、その車両が駐車を許可された車種であるかどうかを駐車後すぐに判定することができる。そのため、不正駐車を迅速に発見し、報知することが可能となる。
【0079】
なお、上述の実施形態では、検出空間の一例である駐車スペースZに駐車された車両21の車種を判定する構成について説明したが、本発明はこのような構成に限られない。例えば、駐車場や建物の入口付近に定められた停車スペース、道路の路側帯に定められた停車スペース、家屋の敷地内に定められた一つ又は複数の駐車スペース、車両検査場などに定められた停車スペース(いずれも検出空間の他の例)などに駐車又は停車した車両の車種の判別にも車種判別装置10は適用可能である。
【0080】
なお、上述の実施形態では、第1特徴量として生成された振動加速度Fの平均値と、第2特徴量として生成された前記変化量Gのピーク値とに基づいて、駐車スペースZに駐車された車両21の車種を判定する処理例について説明したが、本発明はこの処理例に限定されない。例えば、振動加速度Fの平均値だけに基づいて車種判定を行ってもよい。
【0081】
また、上述の実施形態では、第1特徴量として振動加速度Fの平均値を例示したが、例えば、振動加速度Fのピーク値、或いは、振動加速度Fの経時的な変化を示す波形のパターン(波形パターン)を本発明の第1特徴量とすることもできる。また、振動加速度Fの平均値に代えて、振動センサ16によって検出可能な変位振幅や速度振幅、振動周波数(振動数)のいずれか一つの平均値、或いはこれらのピーク値又は波形パターンを本発明の第1特徴量としてもよい。また、変位振幅や速度振幅、振動周波数の全部又はいずれか複数の各特徴量(平均値、ピーク値、波形パターン)それぞれを本発明の第1特徴量としてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 :車種判別装置
11,11A:磁気センサ
12 :制御部
13 :記憶部
14 :通信部
15 :管理サーバ
16 :振動センサ
17 :出入口
18 :外部出力部
20 :駐車場
21,22:車両
121 :変化量算出部
122 :閾値判定部
123 :車両判定部
124 :空車判定部
125 :第1特徴量生成部
126 :第2特徴量生成部
127 :車種判定部
128 :報知処理部