(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】画像処理装置およびその制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220830BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220830BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20220830BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220830BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H04N1/00 350
B41J29/42 F
B41J29/00 Z
B41J29/38
G03G21/00 376
G03G21/00 388
(21)【出願番号】P 2018093847
(22)【出願日】2018-05-15
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 健一
(72)【発明者】
【氏名】ノルデス メナード ラマー
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-257887(JP,A)
【文献】特開2012-221069(JP,A)
【文献】特開2011-146956(JP,A)
【文献】特開2009-042991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/42
B41J 29/00
B41J 29/38
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理部と、
前記画像処理部を制御する制御部と、
操作画面を表示する表示部とを備える画像処理装置であって、
前記画像処理装置の操作画面をカスタマイズする情報を規定するカスタマイズ情報テーブルを記憶する記憶部と、
ユーザー認証のための情報を取得する第1インターフェースと、
ユーザーを識別する情報を取得する第2インターフェースとを備え、
前記制御部は、
前記第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得した場合に、前記カスタマイズ情報テーブルを利用して、前記表示部に、当該ユーザー認証によって認証されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示し、
前記第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得しなかった場合に、前記カスタマイズ情報テーブルを利用して、前記表示部に、前記第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示
し、
前記ユーザー認証に必要な情報は、ユーザー名とパスワードとを含み、
前記制御部は、前記第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてパスワードが取得されなくても、前記第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示し、
前記カスタマイズ情報テーブルは、前記第2インターフェースが取得した情報によって特定される複数のユーザーの各々に対する複数の種類の操作画面をカスタマイズする情報を規定し、
前記制御部は、前記複数の種類の操作画面のうち、前記第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示する、画像処理装置。
【請求項2】
前記第2インターフェースは、無線通信によりユーザーを識別する情報を受信する受信装置を含む、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
操作画面をカスタマイズする前記情報は、操作画面の言語、および、前記画像処理部による画像処理動作のデフォルト設定、のうち少なくとも一方を含む、請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
操作画面をカスタマイズする前記情報は、前記画像処理部による画像処理動作のデフォルト設定を含み、
前記記憶部は、
前記第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得しなかった場合に許可される、前記画像処理部の動作の種類を特定する情報を記憶し、
前記カスタマイズ情報テーブルにおいて前記第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについて記憶されるデフォルト設定は、当該ユーザーに対して許可される画像形成動作のみに対応する、請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記第2インターフェースが取得した情報と、前記第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについて操作画面をカスタマイズする情報とのセットを規定するユーザーテーブルをさらに記憶し、
前記制御部は、前記ユーザーテーブルに記憶された情報の前記セットを、前記カスタマイズ情報テーブルに登録する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記登録とともに、前記ユーザーテーブルから前記セットを削除する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得した場合は、前記画像処理部を、認証されるユーザーに対して許可される機能を実現可能に制御し、
前記第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得しなかった場合は、前記画像処理部を、前記第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーに共通して許可される機能を実現可能に制御する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像処理装置のコンピューターによって実行される制御プログラムであって、
前記画像処理装置は、ユーザー認証のための情報を取得する第1インターフェースと、ユーザーを識別する情報を取得する第2インターフェースと、画像処理装置の操作画面をカスタマイズする情報を規定するカスタマイズ情報テーブルを記憶する記憶部とを備え、
前記制御プログラムは、前記コンピューターに、
前記第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得した場合に、前記カスタマイズ情報テーブルを利用して、当該ユーザー認証によって認証されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示するステップと、
前記第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得しなかった場合に、前記カスタマイズ情報テーブルを利用して、前記第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示するステップと、
を実行させ
、
前記ユーザー認証に必要な情報は、ユーザー名とパスワードとを含み、
前記第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示するステップでは、前記第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてパスワードが取得されなくても、前記第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面が表示され、
前記カスタマイズ情報テーブルは、前記第2インターフェースが取得した情報によって特定される複数のユーザーの各々に対する複数の種類の操作画面をカスタマイズする情報を規定し、
前記第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示するステップでは、前記複数の種類の操作画面のうち、前記第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面が表示される、画像処理装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置およびその制御プログラムに関し、特に、ユーザー認証による利用が可能な画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi-Functional Peripheral)等の画像処理装置の中には、当該画像処理装置の利用にユーザー認証を必要とするものがあった。たとえば、特開2012-51376号公報(特許文献1)、特開2016-76962号公報(特許文献2)、および、特開2017-103541号公報(特許文献3)には、ユーザー認証により画像処理装置の利用を可能にし、また、認証されたユーザーに従って操作画面をカスタマイズする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-51376号公報
【文献】特開2016-76962号公報
【文献】特開2017-103541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにユーザー認証によって利用可能になるモードとともに、ユーザー認証無しでも利用可能なモード(いわゆる、パブリックモード)で動作可能な画像処理装置も提案されている。
【0005】
画像処理装置では、上記パブリックモードにおいても、ユーザーごとにカスタマイズされた態様で動作することによる利便性の向上についての要望がある。
【0006】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、画像処理装置において、ユーザー認証を必要としない動作モードにおいてもユーザーに応じてカスタマイズされた操作画面を提供することにより、利便性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従うと、画像処理部と、画像処理部を制御する制御部と、操作画面を表示する表示部と、ユーザー認証のための情報を取得する第1インターフェースと、ユーザーを識別する情報を取得する第2インターフェースとを備える画像処理装置が提供される。画像処理装置は、当該画像処理装置の操作画面をカスタマイズする情報を規定するカスタマイズ情報テーブルを記憶する記憶部そさらに備える。制御部は、第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得した場合に、カスタマイズ情報テーブルを利用して、表示部に、当該ユーザー認証によって認証されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示し、第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得しなかった場合に、カスタマイズ情報テーブルを利用して、表示部に、第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示する。
【0008】
第2インターフェースは、無線通信によりユーザーを識別する情報を受信する受信装置を含んでいてもよい。
【0009】
操作画面をカスタマイズする情報は、操作画面の言語、および、画像処理部による画像処理動作のデフォルト設定、のうち少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0010】
操作画面をカスタマイズする情報は、画像処理部による画像処理動作のデフォルト設定を含んでいてもよい。記憶部は、第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得しなかった場合に許可される、画像処理部の動作の種類を特定する情報を記憶し、カスタマイズ情報テーブルにおいて第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについて記憶されるデフォルト設定は、当該ユーザーに対して許可される画像形成動作のみに対応してもよい。
【0011】
記憶部は、第2インターフェースが取得した情報と、第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについて操作画面をカスタマイズする情報とのセットを規定するユーザーテーブルをさらに記憶し、制御部は、ユーザーテーブルに記憶された情報のセットを、カスタマイズ情報テーブルに登録してもよい。
【0012】
制御部は、登録とともに、ユーザーテーブルからセットを削除してもよい。
制御部は、第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得した場合は、画像処理部を、認証されるユーザーに対して許可される機能を実現可能に制御し、第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得しなかった場合は、画像処理部を、第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーに共通して許可される機能を実現可能に制御してもよい。
【0013】
本開示の他の局面に従うと、画像処理装置のコンピューターによって実行される制御プログラムが提供される。画像処理装置は、ユーザー認証のための情報を取得する第1インターフェースと、ユーザーを識別する情報を取得する第2インターフェースと、画像処理装置の操作画面をカスタマイズする情報を規定するカスタマイズ情報テーブルを記憶する記憶部とを備える。制御プログラムは、コンピューターに、第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得した場合に、カスタマイズ情報テーブルを利用して、当該ユーザー認証によって認証されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示するステップと、第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得しなかった場合に、カスタマイズ情報テーブルを利用して、第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、画像処理装置は、第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得しなかった場合でも、第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】MFPのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】MFPがユーザーを識別する情報の入力態様の一例を示す図である。
【
図3】カスタマイズ情報テーブルの内容の一例を示す図である。
【
図4】操作画面の表示態様を決定するための処理のフローチャートである。
【
図6】ユーザーテーブルの内容の一例を示す図である。
【
図7】カスタム情報が追加されたユーザーテーブルの一例を示す図である。
【
図8】カスタマイズ情報テーブルに対して情報を追加するための処理の一例のフローチャートである。
【
図9】
図3のカスタマイズ情報テーブルに、
図7に登録されたデータのセットが登録された状態を示す図である。
【
図10】カスタマイズ情報テーブルの他の例を表わす図である。
【
図11】認証が成功したユーザーについてIDが追加されたカスタマイズ情報テーブルの内容の一例を示す図である。
【
図12】操作画面の表示態様を決定するための処理の変形例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照しつつ、画像処理装置の一実施の形態である、コピー、プリント、スキャン、FAX、等の機能を複合的に実現するMFPについて説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0017】
[1.MFPの構成]
図1は、MFPのハードウェア構成の一例を示す図である。
図1を参照して、MFP100の構成を説明する。
【0018】
MFP100は、システムコントローラー101と、表示部102と、操作部103と、無線通信制御部104と、顔認識部105と、音声認識部106と、記憶装置107と、出力画像処理部108と、プリンターエンジン109と、ネットワークインターフェース110と、メモリ111と、入力画像処理部112と、撮像部113と、を備える。これらの要素は、相互に接続されている。MFP100は、さらに、表示部102および操作部103に接続された、タッチパネルディスプレイ120を含む。
【0019】
システムコントローラー101は、MFP100全体を制御する。システムコントローラー101は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)101bとを含む。CPU101aは制御プログラムに従って動作する。ROM101bは制御プログラムを記憶している。
【0020】
表示部102は、タッチパネルディスプレイ120に対して各種情報を表示する。表示される情報の一例は、MFP100の操作画面である。当該操作画面には、コピー動作に対する設定(コピー動作、カラー/モノクロ出力、など)やスキャン動作に対する設定(モノクロ/カラー読取、解像度、など)の入力を受け付ける。なお、コピー動作とは、たとえば、撮像部113が原稿の画像を読み取り、プリンターエンジン109が当該画像を用紙上に形成する動作である。スキャン動作とは、たとえば、撮像部113が原稿の画像を読み取り、CPU101aが当該画像のデータを生成する動作である。また、プリント動作とは、たとえば、ネットワークインターフェース110を介して受信したファイルの画像または記憶装置107に格納されたファイルの画像を用紙上に形成する動作である。
【0021】
操作部103は、タッチパネルディスプレイ120を通じて各種操作を受け付ける。
無線通信制御部104は、外部の端末との無線LAN接続や、外部の端末からのiBeacon(登録商標)の電波の受信などを行う。
【0022】
顔認識部105は、ユーザーの顔や全体像を撮影し、顔認識および特徴点判別を行い、ユーザーを認識する。
【0023】
音声認識部106は、ユーザーの声に基づいて声紋分析を行い、ユーザー認識する。また音声認識部106は、入力した音声を識別し、認識した音声ワードと紐付けてあるメニューなどの項目を設定する。
【0024】
記憶装置107は、ハードディスク装置などであり、各種情報を記憶する。記憶される情報の一例は、ユーザー認証に利用される情報である。MFP100は、ユーザー名とパスワードの組合せを用いてユーザーを認証する。特定のユーザー(たとえば、当該MFP100が属するネットワークの管理者等から予め資格を与えられたユーザー)は、当該ユーザーのユーザー名に対して与えられたパスワードを入力することにより認証され、これにより、MFP100を特定の態様で利用できる。
【0025】
記憶装置107に記憶される情報の他の例は、ユーザーを識別する情報である。ユーザーは、ユーザー名とパスワードとを入力しなくとも、一定の制限が課された状態で、MFP100を利用できる。このような態様でのMFP100の動作を、本明細書では「パブリックモード」での動作ともいう。一例では、一定の制限は、MFP100が実現する機能に制限が課されることである。たとえば、MFP100は、パブリックモードでは、コピー、プリント、スキャン、FAX、等の機能のうちコピー機能のみ実現できる。
【0026】
出力画像処理部108は、画像データを処理して印刷データを作成する。
プリンターエンジン109は、出力画像処理部108で作成した印刷データを用紙に印刷する。プリンターエンジン109は、おおまかに、トナー像形成部、定着装置、および用紙搬送部などで構成される。プリンターエンジン109は、たとえば電子写真方式で用紙に画像を形成する。トナー像形成部は、いわゆるタンデム方式で4色の画像を合成し、用紙にカラー画像を形成する。トナー像形成部は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の各色について設けられた感光体と、感光体からトナー像が転写(1次転写)される中間転写ベルトと、中間転写ベルトから用紙に画像を転写(2次転写)する転写部などで構成される。定着装置は、加熱ローラーおよび加圧ローラーを有する。定着装置は、加熱ローラーと加圧ローラーとでトナー像が形成された用紙を挟みながら搬送し、その用紙に加熱および加圧を行なう。これにより、定着装置は、用紙に付着したトナーを溶融させて用紙に定着させ、用紙に画像を形成する。用紙搬送部は、給紙ローラー、搬送ローラー、およびそれらを駆動するモーターなどで構成されている。用紙搬送部は、用紙を給紙カセットから給紙して、MFP100の筐体の内部で搬送する。また、用紙搬送部は、画像が形成された用紙をMFP100の筐体から排紙トレイなどに排出する。
【0027】
ネットワークインターフェース110は、システムコントローラー101の制御の下、ネットワークを通じて外部の機器と通信を行う。
【0028】
メモリ111は、画像などの各種情報を一時的に記憶する。
入力画像処理部112は、撮像部113で読み取った入力画像データを処理する。
【0029】
撮像部113は、画像を読み取るスキャナーとして機能する。
MFP100がプリンターとして動作する場合、画像は、プリンターエンジン109により印刷される。MFP100が複写機として動作する場合、原稿の画像は撮像部113により読み取られ、その画像はプリンターエンジン109により印刷される。なお、MFP100のファクシミリ機能については、その図示および説明を省略する。
【0030】
[2.ユーザーを識別する情報の入力例]
図2は、MFP100がユーザーを識別する情報の入力態様の一例を示す図である。
【0031】
図2では、携帯端末300を携帯するユーザー200が、MFP100を操作するために、MFP100の近傍に位置する。
【0032】
携帯端末300は、当該携帯端末300のIDを含むビーコンを発信する。携帯端末300のIDは、当該携帯端末300を携帯するユーザーを識別する情報の一例である。無線通信制御部104は、当該ビーコンを受信する。システムコントローラー101のCPU101aは、受信したビーコンに含まれるIDを、たとえば後述するユーザーテーブル(
図3)に格納する。
【0033】
ユーザーを識別する情報のMFP100への入力は、ビーコンを利用した態様に限定されない。他の例としては、IC(Integrated Circuit)カードを利用したものが挙げられる。この場合、ユーザーは、ICカードを携帯し、MFP100は、無線通信制御部104として近距離無線通信装置を備える。ユーザーが無線通信制御部104にICカードを近づけると、無線通信制御部104はICカードに格納されたIDを読み取る。ICカードのIDは、当該ICカードを携帯するユーザーを識別する情報の一例である。
【0034】
さらに他の例として、MFP100は、ユーザーを識別する情報として、顔画像を取得してもよいし、音声情報(ユーザーの声等)を取得してもよい。
【0035】
MFP100は、複数の態様で、ユーザーを識別する情報の入力を取得してもよい。たとえば、MFP100は、ビーコンを利用したIDの入力を受け付ける受信器を備え、さらに、ICカードに格納されたIDを読み取る通信装置を備えていてもよい。MFP100は、当該複数の態様のそれぞれで取得した情報の組合せを用いて、または、当該複数の態様のそれぞれで取得した情報の中から所与の基準に従って選択された情報を用いて、ユーザーを識別してもよい。
【0036】
[3.カスタマイズ情報テーブルの更新]
図3は、カスタマイズ情報テーブルの内容の一例を示す図である。MFP100では、ユーザーごとに、操作画面をカスタマイズする情報を含む。以下、当該テーブルの内容をより具体的に説明する。カスタマイズ情報テーブルは、たとえば記憶装置107に格納されているが、他の記憶装置に格納されていてもよい。
【0037】
図3に示されるように、カスタマイズ情報テーブルは、「ユーザー名」、「パスワード」、「カスタム情報」、「許可機能」、「タイプ」、および「ID」を含む。
【0038】
「ユーザー名」と「パスワード」は、各ユーザーの認証に利用される。CPU101aは、ユーザーが入力した組み合わせ(ユーザー名とパスワード)がカスタマイズ情報テーブルに登録された組合せと一致した場合、当該ユーザーを認証する。この場合の「ユーザー」は、個人であってもよいし、グループであってもよい。すなわち、1つのグループに共通するユーザー名とパスワードの組合せが、当該グループに属する2以上のユーザーのために利用されてもよい。
【0039】
「カスタム情報」は、操作画面をカスタマイズする情報である。CPU101aは、あるユーザーが認証された場合、当該ユーザーに関連付けられたカスタム情報を利用して、操作画面をカスタマイズする。
図3の例は、カスタム情報として、操作画面の言語が採用されている。ユーザー名「Yamada」のカスタム情報は、「A(日本語)」であり、ユーザー名「Michel」のカスタム情報は、「B(ドイツ語)」である。この場合、CPU101aは、ユーザー名「Yamada」のユーザーが認証されると、操作画面を日本語で表示し、ユーザー名「Michel」のユーザーが認証されると、操作画面をドイツ語で表示する。
【0040】
「カスタム情報」は、ユーザーに対して複数の機能が許可される場合に、初期画面が対応する機能を規定する。一例では、コピーとスキャンを許可されたユーザーの「カスタム情報」は、初期画面としてコピーの設定画面を表示することを規定する。なお、当該コピーの設定画面は、操作対象の機能をコピーからスキャンに切り替えるための操作部を含む。
【0041】
「許可機能」は、ユーザーごとに許可される機能を表わす。たとえば、ユーザー名「Yamada」には、許可機能として「コピー」および「スキャン」が設定されている。ユーザー名「Michel」には、許可機能として「コピー」および「プリント」が設定されている。「コピー」「スキャン」「プリント」のそれぞれは、MFP100における、コピー動作、スキャン動作、プリント動作のそれぞれに対応する。
【0042】
CPU101aは、ユーザー名「Yamada」のユーザーがログインしている場合には、コピー動作およびスキャン動作を実行し、プリント動作は実行しない。これにより、ユーザー名「Yamada」のユーザーには、コピー動作とスキャン動作のみが許可される。
【0043】
ユーザー名「Michel」のユーザーがログインしている場合には、コピー動作およびプリント動作を実行し、スキャン動作は実行しない。これにより、ユーザー名「Michel」のユーザーには、コピー動作とプリント動作のみが許可される。
【0044】
MFP100は、ユーザー認証によって認証されないユーザーに対しても、パブリックモードにおいて一定の機能(たとえば、コピー機能)を提供する。パブリックモードにおいて、MFP100は、
図2に示された方法等によって識別されるユーザーに対してカスタマイズされた操作画面を提供する。
図3のカスタマイズ情報テーブルでは、ユーザー認証によって認証されないが、ビーコンのID等によって識別されるユーザーが、ユーザー名「Public」として登録される。MFP100は、ユーザー名「Public」として登録されたユーザーに共通して、上記一定の機能を許可する。そして、カスタマイズ情報テーブルの「タイプ」は、ユーザーを識別する情報のタイプを表わす。ビーコンによってユーザーが識別される場合、「タイプ」の値として「ビーコン」が利用される。ICカードによってユーザーが識別される場合、「タイプ」の値として「ICカード」が利用される。
【0045】
「ID」は、ユーザーを識別する情報であり、一例では、ビーコン信号から抽出されてカスタマイズ情報テーブルに登録される。他の例では、ICカードから読み取られた情報から抽出されて、カスタマイズ情報テーブルに登録される。
【0046】
図3の例では、たとえば、ビーコンのID「AACD:fFFA」が登録されている。カスタム情報「A(日本語)」がID「AACD:fFFA」に関連付けられている。これにより、CPU101aは、ユーザーが認証を受けることなくMFP100を利用している場合、受信したビーコンからID「AACD:fFFA」を取得すると、操作画面を日本語で表示する。
【0047】
[4.操作画面表示用の処理の流れ]
図4は、操作画面の表示態様を決定するための処理のフローチャートである。
図4の処理は、たとえばCPU101aが所与のプログラムを実行することによって実現される。CPU101aは、たとえば、MFP100の起動時、または、ユーザーのログアウト後に、
図4の処理を開始する。
図4を参照して、当該処理の内容を説明する。
【0048】
ステップS10にて、CPU101aは、タッチパネルディスプレイ120に初期画面を表示する。
図5は、初期画面の一例を示す図である。
【0049】
初期画面500は、たとえば、ログイン画面であり、ユーザー名を入力するための欄501と、パスワードを入力するための欄502と、入力されたユーザー名とパスワードの組合せを確定するための送信ボタン503とを含む。初期画面500は、さらに、パブリックモードでMFP100を動作させるためのパブリックモードボタン504を含む。
【0050】
図4に戻って、ステップS12にて、CPU101aは、無線通信制御部104がIDを検出したか否かを判断する。一例では、無線通信制御部104はビーコンを受信すると、当該ビーコンに含まれるIDを検出する。他の例では、無線通信制御部104はICカードと通信することにより、当該ICカードに格納されているIDを検出する。CPU101aは、無線通信制御部104がビーコン等からIDを検出したと判断すると(ステップS12にてYES)、ステップS14へ制御を進め、そうでなければ(ステップS12にてNO)、ステップS16へ制御を進める。
【0051】
ステップS14にて、CPU101aは、ステップS12にて検出されたIDをユーザーテーブルに格納する。ユーザーテーブルは、
図4の処理に利用される情報であり、たとえば記憶装置107に格納されているが、他の記憶装置に格納されていてもよい。
【0052】
図6は、ユーザーテーブルの内容の一例を示す図である。
図6に示されるように、ユーザーテーブルは、タイプと、IDと、カスタム情報とを含む。タイプは、ユーザーを識別する情報(ID)を取得した方法の種類を表わす。IDがビーコンから取得された場合には、タイプの値は「ビーコン」である。IDがICカードから取得された場合には、タイプの値は「ICカード」である。IDは、取得されたIDの値である。カスタム情報は、取得されたIDに関連する操作において、操作画面に対して加えられた設定を表わす。
図6の例は、ビーコンから取得されたID「AACD:fFF1」を表わす。
【0053】
図4に戻って、ステップS16にて、CPU101aは、初期画面に対してユーザー名とパスワードが入力され、さらに、送信ボタン503が押圧されたか否かを判断する。CPU101aは、ユーザー名とパスワードの入力および送信ボタン503の押圧がなされたと判断すると(ステップS16にてYES)、ステップS18へ制御を進め、そうでなければ(ステップS16にてNO)、ステップS22へ制御を進める。
【0054】
ステップS18にて、CPU101aは、入力されたユーザー名とパスワードの組合せによってユーザー認証が成功したか否かを判断する。CPU101aは、たとえば、入力された組合せが
図3に登録された組合せと一致した場合に、ユーザー認証が成功したと判断する。CPU101aは、ユーザー認証が成功したと判断すると(ステップS18にてYES)、ステップS20へ制御を進め、そうでなければ(ステップS18にてNO)、ステップS22へ制御を進める。
【0055】
ステップS20にて、CPU101aは、操作画面として、認証されたユーザーに対してカスタマイズされた画面をタッチパネルディスプレイ120に表示して、
図4の処理を終了させる。
図3の例では、ユーザー名「Yamada」のユーザーのカスタム情報は「A(日本語)」である。CPU101aは、ユーザー名「Yamada」のユーザーが認証されると、日本語の操作画面を表示する。その後、CPU101aは、認証されたユーザーがログアウトするまで、当該ユーザーの指示に従って動作を実行する。
【0056】
ステップS22にて、CPU101aは、パブリックモードボタン504を押圧されたか否かを判断する。CPU101aは、パブリックモードボタン504を押圧されたと判断すると(ステップS22にてYES)、ステップS24へ制御を進め、そうでなければ(ステップS22にてNO)、ステップS12へ制御を戻す。
【0057】
ステップS24にて、CPU101aは、ステップS14にてIDを取得済であるか否かを判断する。CPU101aは、たとえば、ユーザーテーブル(
図6)にIDが格納されていればIDを取得済であると判断する。CPU101aは、IDを取得済であると判断すると(ステップS24にてYES)、ステップS28へ制御を進め、そうでなければ(ステップS24にてNO)、ステップS26へ制御を進める。
【0058】
ステップS26にて、CPU101aは、タッチパネルディスプレイ120に、パブリック用の操作画面を表示して、
図4の処理を終了させる。パブリック用の操作画面とは、パブリックモードのための標準的な画面であり、特定のユーザーに対するカスタマイズがなされていない画面である。
【0059】
ステップS28にて、CPU101aは、ユーザーテーブルに登録されているIDがカスタマイズ情報テーブルに登録されているか否かを判断する。たとえば、ユーザーテーブルに格納されているIDが「AACD:fFFA」であれば、
図3に示されたカスタマイズ情報テーブルに登録されている。ユーザーテーブルに格納されているIDが「AACD:fFF1」(
図6)であれば、
図3に示されたカスタマイズ情報テーブルには登録されていない。CPU101aは、上記IDがカスタマイズ情報テーブルに登録されていると判断すると(ステップS28にてYES)、ステップS30へ制御を進め、そうでなければ(ステップS28にてNO)、ステップS34へ制御を進める。
【0060】
ステップS30にて、CPU101aは、タッチパネルディスプレイ120に、操作画面として、ユーザーテーブルに登録されているIDに対してカスタマイズされた画面を表示する。操作画面は、カスタマイズ情報テーブルにおいて、当該IDに関連付けられたカスタム情報に従ってカスタマイズされる。たとえば、IDが「AACD:fFFA」であれば、カスタム情報「A(日本語)」に従って、日本語の操作画面が表示される。
【0061】
ステップS32にて、CPU101aは、ユーザーテーブルから、登録されたIDを削除する。その後、CPU101aは
図4の処理を終了させる。
【0062】
ステップS34にて、CPU101aは、タッチパネルディスプレイ120に、パブリック用の操作画面を表示する。
【0063】
ステップS36にて、ステップS12にてIDを検出したユーザーの操作が終了するまでに検出された操作画面に対する設定を、カスタム情報としてユーザーテーブルに登録する。その後、CPU101aは
図4の処理を終了させる。
【0064】
図7は、カスタム情報が追加されたユーザーテーブルの一例を示す図である。
図7の例は、
図6に示されたID「AACD:fFF1」のユーザーが、操作画面の言語の設定として「日本語」を入力した場合を表わす。
図7のテーブルは、
図6に対して、カスタム情報「A(日本語)」が追加されている。
【0065】
ステップS12にてIDを検出したユーザーの操作の終了の一例は、ステップS12にて検出されたビーコンが検出されなくなることである。ビーコン発信機を所持したユーザーが、MFP100の操作を終えたことによってMFP100から離れた場合、無線通信制御部104は当該ビーコン発信機から発せられるビーコンを検出しなくなる。ユーザーの操作の終了の他の例は、ユーザーによる、操作終了を表わす情報の入力である。
【0066】
以上説明された
図4の処理では、ユーザーが、ユーザー名とパスワードの組合せを入力すると、MFP100は、当該組合せによるユーザー認証を試みる。ユーザー認証に成功すると(ステップS18にてYES)、MFP100は、認証されたユーザーに対してカスタマイズされた操作画面を表示する(ステップS20)。ユーザー認証を必要としないパブリックモードで利用される場合(ステップS22にてYES)、カスタマイズ情報テーブルにおいて、ステップS12において検出されたIDに対応するカスタム情報が登録されているときには、MFP100は当該カスタム情報を利用してカスタマイズされた操作画面を表示する(ステップS30)。
【0067】
カスタマイズ情報テーブルにおいて、ステップS12において検出されたIDに対応するカスタム情報が登録されていない場合、MFP100は、操作画面としてパブリック用画面を表示する(ステップS34)。さらに、MFP100は、当該ユーザーによる操作においてカスタマイズされた設定をユーザーテーブルに登録する(ステップS36)。
【0068】
ステップS36にて登録される設定は、パブリックモードにおいて許容される動作に対応したものに限定されてもよい。登録される設定は、操作画面の言語以外にも、画像処理動作に対する設定であってもよい。たとえば、MFP100が、コピー、スキャン、および、プリントの3種類の動作が可能な場合であって、パブリックモードにおいて許容される動作がコピーのみである場合には、ステップS36にて登録される設定は、コピー動作に関する設定のみであってもよい。すなわち、スキャンに関する設定およびプリントに関する設定は、ステップS36では登録されなくてもよい。
【0069】
[5.カスタマイズ情報テーブルに対する情報の追加]
図8は、カスタマイズ情報テーブルに対して情報を追加するための処理の一例のフローチャートである。
図8の処理は、ユーザーテーブル(
図7等)に格納された登録内容をカスタマイズ情報テーブルに移行させるための処理であり、たとえばCPU101aが所与のプログラムを実行することによって実現される。CPU101aは、たとえば、ユーザーがMFP100の操作を終了したタイミングで、または、一定時間ごとに、
図8の処理を実行する。
図8を参照して当該処理の内容を説明する。
【0070】
ステップS50にて、CPU101aは、ユーザーテーブルに、IDとカスタム情報のセットが登録されているか否かを判断する。
図6では、ID「AACD:fFF1」が登録されているが、当該ID「AACD:fFF1」に関連付けられたカスタム情報は登録されていない。したがって、
図6の状態については、IDとカスタム情報のセットが登録されていないと判断される。一方、
図7では、ID「AACD:fFF1」と、当該ID「AACD:fFF1」に関連付けられたカスタム情報「A(日本語)」が登録されている。したがって、
図7の状態については、IDとカスタム情報のセットが登録されていると判断される。
【0071】
CPU101aは、ユーザーテーブルに上記のセットが登録されていると判断すると(ステップS50にてYES)、ステップS52へ制御を進め、そうでなければ(ステップS50にてNO)、
図8の処理を終了させる。
【0072】
ステップS52にて、CPU101aは、カスタマイズ情報テーブルに、ユーザーテーブルに登録されているデータのセットを登録する。
図9は、
図3のカスタマイズ情報テーブルに、
図7に登録されたデータのセットが登録された状態を示す図である。
図9のテーブルは、
図3のテーブルと比較して、ID「AACD:fFF1」に関連付けられた情報が追加されている。追加された情報は、ユーザーテーブル(
図7)においてID「AACD:fFF1」に関連付けられていた、タイプ「ビーコン」およびカスタム情報「A(日本語)」に加えて、ユーザー名「Public」と、許可機能「コピー」とを含む。追加された情報における許可機能「コピー」は、パブリックモードにおいて許容されている機能を表わす。
【0073】
図8に戻って、ステップS54にて、CPU101aは、ステップS52にてカスタマイズ情報テーブルに登録されたセットのデータをユーザーテーブルから削除する。その後、CPU101aは
図8の処理を終了させる。
【0074】
[6.カスタム情報の他の例]
カスタム情報は、操作画面の言語以外の情報を含んでいてもよい。
図10は、カスタマイズ情報テーブルの他の例を表わす図である。
図10の例では、カスタム情報として、操作画面に表示される、画像処理動作のデフォルト設定が示されている。
【0075】
たとえば、ユーザー名「Yamada」には、「ページ集約」のデフォルト設定として「2in1」が登録され、「出力」のデフォルト設定として「カラー」が登録され、「読取」のデフォルト設定として「カラー」が登録され、「保存先」のデフォルト設定として「ボックスA」が登録されている。
【0076】
「ページ集約」は、コピーまたはプリントの出力において1枚の用紙の上に、複数枚の原稿の画像を集約して形成する機能の設定である。ユーザー名「Yamada」に対して表示される操作画面では、「ページ集約」のデフォルト設定は「2in1」である。
【0077】
「出力」は、コピーまたはプリントにおいて出力される画像のカラー/モノクロの設定である。ユーザー名「Yamada」に対して表示される操作画面では、「出力」のデフォルト設定は「カラー」である。
【0078】
「読取」は、コピーまたはスキャンにおける原稿の読取に対するカラー/モノクロの設定である。ユーザー名「Yamada」に対して表示される操作画面では、「読取」のデフォルト設定は「カラー」である。
【0079】
「保存先」は、スキャンにおいて生成されたデータの保存先の設定である。ユーザー名「Yamada」に対して表示される操作画面では、「保存先」のデフォルト設定は「ボックスA」(記憶装置107において設定された記憶領域の1つ)である。
【0080】
図10の例では、ユーザー名「Public」には、「ページ集約」のデフォルト設定として「4in1」が登録され、「出力」および「読取」のデフォルト設定として「カラー」が登録されている。
【0081】
ユーザー名「Public」には、「保存先」のデフォルト設定は登録されていない。このことは、パブリックモードではスキャンが許可されていないことに対応する。
【0082】
すなわち、ユーザー名「Public」に関連付けられた許可機能は「コピー」のみである。パブリックモードではコピーのみが可能であり、プリントとスキャンは許可されていない。「保存先」は、スキャンに関連する設定であって、コピーには関連しない設定である。したがって、スキャンを許可されていないパブリックモードで操作する、ユーザー名「Public」のユーザーには、「保存先」のデフォルト設定は登録されていない。
【0083】
なお、MFP100では、カスタム情報として登録される内容は、
図10を参照して説明されたような画像処理動作のデフォルト設定と、
図3を参照して説明されたような操作画面の言語についてのデフォルト設定との組み合わせであってもよい。
【0084】
[7.操作画面表示用の処理の変形例]
CPU101aは、カスタマイズ情報テーブルにおいて、ユーザー名およびパスワードを登録されたユーザーについても、「ID」を登録してもよい。
図4の処理において、CPU101aは、ステップS18においてユーザー認証が成功したと判断した後にステップS20においてカスタマイズ画面を表示する。このとき、CPU101aは、取得されているIDを、カスタマイズ情報テーブルにおいて、認証が成功したユーザーに関連付けて登録する。
【0085】
図11は、認証が成功したユーザーについてIDが追加されたカスタマイズ情報テーブルの内容の一例を示す図である。
図3と比較して、
図11では、ユーザー名「Yamada」についての情報が追加されている。より具体的には、
図11では、ユーザー名「Yamada」について、タイブ「ビーコン」とID「AACD:AAAA」が追加されている。
【0086】
図12は、操作画面の表示態様を決定するための処理の変形例のフローチャートである。以下に特記される場合を除き、
図12の各ステップの制御の内容は、
図4の各ステップの内容と同じであってもよい。
【0087】
MFP100は、無線通信制御部104がカスタマイズ情報テーブルに「ID」として登録されている情報を取得した場合、ユーザー名およびパスワードの入力を必要とすることなく当該「ID」のユーザーを認証し、また、パブリックモードボタン504の操作を必要とすることなく当該「ID」に対してカスタマイズされた画面を表示する。
【0088】
より具体的には、
図12の処理では、ステップS14において、CPU101aは、ステップS12にて検出されたIDをユーザーテーブルに格納する。その後、ステップS28にて、ユーザーテーブルに登録されているIDがカスタマイズ情報テーブルに登録されているか否かを判断する。CPU101aは、上記IDがカスタマイズ情報テーブルに登録されていると判断すると(ステップS28にてYES)、ステップS20へ制御を進め、そうでなければ(ステップS28にてNO)、ステップS16へ制御を進める。
【0089】
ステップS20にて、CPU101aは、タッチパネルディスプレイ120に、操作画面として、ユーザーテーブルに登録されているIDに対してカスタマイズされた画面を表示する。
図12のステップS20の画面において設定可能な機能は、ユーザーテーブルに登録されているID(ステップS12において検出されたID)によって異なる。IDが「AACD:AAAA」(
図11参照)であれば、
図12のステップS20の画面において設定可能な機能は、ユーザー名「Yamada」に許可された機能、すなわちコピーとスキャンである。IDが「AACD:fFFA」(
図11参照)であれば、
図12のステップS20の画面において設定可能な機能は、パブリックモードにおいて許可された機能、すなわちコピーのみである。
【0090】
その後、CPU101aは、ステップS32にて、ユーザーテーブルから、登録されたIDを削除した後、
図12の処理を終了させる。
【0091】
以上の説明によれば、MFP100は、認証したユーザーについて、ビーコンまたはICカードからIDを取得し、当該IDを当該ユーザーに関連付けて登録する(
図11のユーザー名「Yamada」)。その後、MFP100は、当該IDを取得すると、パスワードの入力無しに、当該ユーザーを認証する(
図12のステップS28にて「YES」)。これにより、ユーザーは、一度IDを発信する機器を携帯しながらMFP100に認証されれば、同じIDを発信する機器を携帯することによりパスワードの入力無しにMFP100によって認証され得る。これにより、MFP100において、パスワードの入力という煩雑な操作の必要性が低減され、ユーザーに対する利便性が高まる。
【0092】
また、MFP100は、パブリックモードのユーザーに対しても、過去に登録されたIDを検出した場合、パブリックモードボタン504の操作を必要とすることなくカスタマイズ画面を表示する(
図12のステップS28にて「YES」)。これにより、ユーザーは、一度IDを発信する機器を携帯しながらパブリックモードボタン504を操作してMFP100を利用すれば、その後、同じIDを発信する機器を携帯することにより、パブリックモードボタン504を操作することなく、MFP100を利用できる。MFP100は、パブリックモードボタン504の操作を待つことなく、カスタマイズされた画面の表示のための処理を開始する。これにより、MFP100に接近してきたユーザーは、タッチパネルディスプレイ120の前に到達したときにすぐにMFP100を利用できる。
【0093】
[8.カスタマイズ情報テーブルの変形例]
本開示では、制御部(CPU101a)は、第1インターフェース(タッチパネルディスプレイ120)がユーザー認証に必要な情報を取得した場合に、カスタマイズ情報テーブルを利用して、表示部に、当該ユーザー認証によって認証されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示する。制御部は、第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得しなかった場合に、カスタマイズ情報テーブルを利用して、表示部に、第2インターフェース(無線通信制御部104)が取得した情報によって識別されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示する。
【0094】
図3の「カスタマイズ情報テーブル」は、ユーザー認証されたユーザー(ユーザー名「Yamada」等)の操作画面をカスタマイズする情報と、ユーザー認証によって認証されないユーザー(ユーザー名「Public」)の操作画面をカスタマイズする情報とを格納する。なお、MFP100では、カスタマイズ情報テーブルが、これらの二種類の情報のそれぞれを格納する複数のテーブルから構成されていてもよい。すなわち、カスタマイズ情報テーブルは、前者の情報を格納する第1のテーブルと、後者の情報を格納する第2のテーブルとを含んでいてもよい。この場合、制御部は、第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得した場合、第1のテーブルを利用して、認証されたユーザについてカスタマイズされた操作画面を表示する。制御部は、第1インターフェースがユーザー認証に必要な情報を取得しなかった場合に、第2のテーブルを利用して、表示部に、第2インターフェースが取得した情報によって識別されるユーザーについてカスタマイズされた操作画面を表示する。第1のテーブルと第2のテーブルとは、互いに異なる装置に格納されていてもよい。
【0095】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0096】
100 MFP、101 システムコントローラー、101a CPU、101b ROM、102 表示部、103 操作部、104 無線通信制御部、105 顔認識部、106 音声認識部、107 記憶装置、108 出力画像処理部、109 プリンターエンジン、110 ネットワークインターフェース、111 メモリ、112 入力画像処理部、113 撮像部、120 タッチパネルディスプレイ、200 ユーザー、300 携帯端末、500 初期画面、501,502 欄、503 送信ボタン、504 パブリックモードボタン。