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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20220830BHJP
【FI】
B60J5/04 R
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018201214
(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公開番号】P2020066362
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】後藤 稔裕
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-340221(JP,A)
【文献】特開平06-255364(JP,A)
【文献】特開昭62-023874(JP,A)
【文献】特開2000-301985(JP,A)
【文献】特開2010-228696(JP,A)
【文献】特開2016-124346(JP,A)
【文献】特開2001-171354(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0008959(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成された車体と、
前記車体に取り付けられて前記開口部を覆うボデーパネルとを有する車両であって、
前記ボデーパネルは、板状をなし、車外に面する第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を有する樹脂製のパネル本体と、
前記第2面側に配置されて前記パネル本体を前記車体に設ける支持材と、
前記支持材を前記パネル本体の前記第2面側に取り付ける取付部とを備え、
前記支持材は、前記パネル本体の剛性よりも高い剛性を有し、
前記パネル本体は、本体部と、前記本体部と一体をなし、前記第1面から前記第2面まで透過する窓部とを有し、
前記本体部には、少なくとも前記取付部が前記第1面側に露呈することを防止する隠蔽部位が形成され、
前記取付部は、前記パネル本体に設けられ、温度変化による前記パネル本体の伸縮を吸収可能な複数の被締結部材と、前記支持材を前記各被締結部材に締結する複数の締結部材とを有し、
前記各被締結部材は、前記第2面から離隔し、前記支持材に当接する当接部と、前記当接部に形成され、前記締結部材が移動可能に挿通される長孔とを有し、
前記パネル本体には、前記パネル本体の中央に位置する中心点が規定され、
前記各長孔は、前記中心点に向かって延びていることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記各被締結部材は、前記第2面から前記支持に向かって略直角に起立しつつ前記当接部に連続する第1立壁部と、前記第1立壁部から離隔し、前記第2面から前記支持に向かって略直角に起立しつつ前記当接部に連続する第2立壁部とを有している請求項1記載の車両。
【請求項3】
前記各被締結部材は、前記パネル本体に沿って延び、前記第2面に接着されるとともに前記第1立壁部が連続する第1接着部と、前記第1接着部から所定の間隔を設けて配置され、前記第2面に接着されるとともに前記第2立壁部が連続する第2接着部とを有している請求項2記載の車両。
【請求項4】
開口部が形成された車体と、
前記車体に取り付けられて前記開口部を覆うボデーパネルとを有する車両であって、
前記ボデーパネルは、板状をなし、車外に面する第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を有する樹脂製のパネル本体と、
前記第2面側に配置されて前記パネル本体を前記車体に設ける支持材と、
前記支持材を前記パネル本体の前記第2面側に取り付ける取付部とを備え、
前記支持材は、前記パネル本体の剛性よりも高い剛性を有し、
前記パネル本体は、本体部と、前記本体部と一体をなし、前記第1面から前記第2面まで透過する窓部とを有し、
前記本体部には、少なくとも前記取付部が前記第1面側に露呈することを防止する隠蔽部位が形成され、
前記取付部は、前記パネル本体に設けられ、温度変化による前記パネル本体の伸縮を吸収可能な複数の被締結部材と、前記支持材を前記各被締結部材に締結する複数の締結部材とを有し、
前記各被締結部材は、前記第2面から離隔し、前記支持材に当接する上壁部と、前記上壁部に形成され、前記締結部材が移動可能に挿通される溝部とを有し、
前記パネル本体には、前記パネル本体の中央に位置する中心点が規定され、
前記各溝部は、前記中心点に向かって延びていることを特徴とする車両。
【請求項5】
前記各被締結部材は、前記パネル本体に一体に設けられ、前記第2面から前記支持に向かって延びて前記上壁部に連続するとともに、開口部位が形成された周壁部を有している請求項4記載の車両。
【請求項6】
前記ボデーパネルは、前記開口部を開閉可能である請求項1乃至5のいずれか1項記載の記載の車両。
【請求項7】
前記取付部は、前記支持材を前記パネル本体に着脱可能に取り付ける請求項1乃至6のいずれか1項記載の記載の車両。
【請求項8】
前記隠蔽部位は、前記支持材が前記第1面側に露呈することを防止する請求項1乃至7のいずれか1項記載の車両。
【請求項9】
前記隠蔽部位は、前記第1面又は前記第2面に設けられた不透明な着色層によって構成されている請求項1乃至8のいずれか1項記載の車両。
【請求項10】
前記隠蔽部位は、前記第1面に貼着された不透明な粘着シートによって構成されている請求項1乃至8のいずれか1項記載の車両。
【請求項11】
前記本体部と前記窓部とは、前記第1面側において略面一をなしている請求項1乃至10のいずれか1項記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の車両が開示されている。この車両は、車体とボデーパネルとを有している。車体には開口部が形成されている。ボデーパネルは、車体に取り付けられており、開口部を覆っている。
【0003】
ボデーパネルは、アウタパネルと、インナパネルと、ドアガラスと、モールとを備えている。アウタパネルは板状をなしており、第1面と第2面とを有している。第1面は車外に面している。第2面は、第1面の反対側に位置している。インナパネルも板状をなしている。インナパネルはアウタパネルの第2面側に配置されており、アウタパネルを車体に設けている。なお、同文献では、アウタパネル及びインナパネルの材質が不明であるものの、これらのアウタパネルやインナパネルは、金属板をプレス加工することによって形成されることが一般的である。
【0004】
ドアガラスは、透明な板材であり、アウタパネルとインナパネルとの間に取り付けられている。モールは、アウタパネル及びインナパネルとドアガラスとの間に取り付けられている。これにより、モールは、アウタパネル及びインナパネルとドアガラスとの間を封止している。ここで、このボデーパネルでは、アウタパネル及びインナパネルにモールが設けられることにより、アウタパネルとモールとの間やインナパネルとモールとの間に段差が存在する。
【0005】
この車両では、ボデーパネルのモールによって、アウタパネルとドアガラスとの間を経て雨水等の水がアウタパネルとインナパネルとの間に浸入することが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-14253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の車両では、アウタパネルやドアガラスに対するモールの取り付けが不十分である場合には、アウタパネルとモールとの間やドアガラスとモールとの間から水がアウタパネルとインナパネルとの間に浸入し得る。また、たとえアウタパネルやドアガラスに対するモールの取り付けが適切に行われていても、モールが劣化したり変形したりすれば、水がアウタパネルとインナパネルとの間に浸入し得る。このため、この車両では、耐久性の低下が懸念される。
【0008】
また、この車両では、アウタパネルとモールとの間に存在する段差によって、走行時に風切り音が生じ易いことから、静粛性が損なわれ易い。また、車両の走行時には、この段差によって空気抵抗が増大し得ることから、走行性能も向上の余地がある。
【0009】
さらに、この車両では、アウタパネル及びインナパネルが金属板によって形成されることにより、ボデーパネル、ひいては車両の重量が増大している。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、耐久性、静粛性及び走行性能に優れ、かつ軽量化を実現可能な車両を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の車両は、開口部が形成された車体と、
前記車体に取り付けられて前記開口部を覆うボデーパネルとを有する車両であって、
前記ボデーパネルは、板状をなし、車外に面する第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を有する樹脂製のパネル本体と、
前記第2面側に配置されて前記パネル本体を前記車体に設ける支持材と、
前記支持材を前記パネル本体の前記第2面側に取り付ける取付部とを備え、
前記支持材は、前記パネル本体の剛性よりも高い剛性を有し、
前記パネル本体は、本体部と、前記本体部と一体をなし、前記第1面から前記第2面まで透過する窓部とを有し、
前記本体部には、少なくとも前記取付部が前記第1面側に露呈することを防止する隠蔽部位が形成され
前記取付部は、前記パネル本体に設けられ、温度変化による前記パネル本体の伸縮を吸収可能な複数の被締結部材と、前記支持材を前記各被締結部材に締結する複数の締結部材とを有し、
前記各被締結部材は、前記第2面から離隔し、前記支持材に当接する当接部と、前記当接部に形成され、前記締結部材が移動可能に挿通される長孔とを有し、
前記パネル本体には、前記パネル本体の中央に位置する中心点が規定され、
前記各長孔は、前記中心点に向かって延びていることを特徴とする。
【0012】
本発明の車両では、パネル本体が本体部と窓部とを有しており、窓部は本体部と一体をなしている。このため、パネル本体において、本体部と窓部との間に隙間が存在しない。これにより、この車両では、パネル本体の第1面側から第2面側、ひいてはパネル本体と支持材との間に水が浸入する事態が生じることがない。
【0013】
また、パネル本体は窓部と本体部とが一体であるため、パネル本体に対して、窓部と本体部との間を封止するモールを設ける必要がない。このため、パネル本体には、モールに起因する段差が存在しない。これにより、この車両では、走行時における風切り音の発生を抑制することができる。また、この車両では、走行時の空気抵抗も減少させることができる。
【0014】
そして、この車両では、パネル本体が樹脂製であるため、パネル本体及び支持材が共に金属製である場合に比べて、ボデーパネルを軽量化することができる。また、支持材によってパネル本体を車体に設けることにより、パネル本体を車体に容易に設けることができる。ここで、支持材は、パネル本体の剛性よりも高い剛性を有していることから、支持材は、取付部によってパネル本体の第2面側に取り付けられた状態で、第2面側からパネル本体を好適に支持できる。このため、この車両では、パネル本体を樹脂製としていても、ボデーパネルの剛性や強度を十分に確保することができる。
【0015】
したがって、本発明の車両は、耐久性、静粛性及び走行性能に優れ、かつ軽量化を実現できる。
【0016】
特に、この車両では、パネル本体において、窓部と本体部とが一体であるため、例えば本体部に対して別途に無機ガラス等を取り付けて窓部を形成する場合に比べて、本体部と窓部との一体感を好適に創出することができる。また、窓部と本体部とが一体となることにより、窓部や本体部の設計の自由度も高くすることができる。そして、本体部には、隠蔽部位が設けられているため、取付部が第1面側に露呈することがない。これらのため、この車両は美観を高くすることができる。
【0017】
ボデーパネルは、開口部を開閉可能であることが好ましい。上記のように、この車両では、ボデーパネルを軽量化できるため、ボデーパネルによって、開口部を容易に開閉することが可能となる。これにより、車両の利便性を向上させることができる。
【0018】
取付部は、支持材をパネル本体に着脱可能に取り付けることが好ましい。この場合には、パネル本体に破損等が生じた際に、パネル本体の交換作業を容易に行うことが可能となる。
【0019】
取付部は、パネル本体に設けられ、温度変化によるパネル本体の伸縮を吸収可能な被締結部材と、支持材を被締結部材に締結する締結部材とを有してい。このため、温度変化によってパネル本体に伸縮が生じても、取付部、すなわちパネル本体と支持材との取付箇所に大きな応力が生じ難い。これにより、この車両では、ボデーパネルの耐久性を高くすることができる。
【0020】
また、被締結部材は、パネル本体に一体に設けられていることが好ましい。この場合には、パネル本体に被締結部材を設けるに当たって、接着等の作業が不要となるとともに、パネル本体に対する被締結部材の位置決め作業が不要となる。これらのため、被締結部材をパネル本体に容易に設けることができ、結果として、パネル本体と支持材との取付作業を容易化できる。
【0021】
隠蔽部位は、支持材が第1面側に露呈することを防止することが好ましい。この場合には、取付部に加えて支持材が第1面側に露呈することも防止できるため、車両の美観をより高くすることができる。また、支持材に装飾のための塗装等を施す必要がないため、支持材の製造を容易化することができる。
【0022】
隠蔽部位は、第1面又は第2面に設けられた不透明な着色層によって構成されていることが好ましい。また、隠蔽部位は、第1面に貼着された不透明な粘着シートによって構成されていることも好ましい。これらの場合には、本体部に隠蔽部位を容易に形成することが可能となる。
【0023】
本体部と窓部とは、第1面側において略面一をなしていることが好ましい。この場合には、パネル本体において、本体部と窓部との一体感をより好適に創出することができる。ここで、略面一とは、第1面側において、本体部と窓部とが完全に面一をなしている場合だけでなく、隠蔽部位として上記の粘着シート等を第1面に設けたことにより、本体部と窓部との間に僅かに段差が生じている場合を含む概念である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の車両は、耐久性、静粛性及び走行性能に優れ、かつ軽量化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施例1の車両を示す側面図である。
図2図2は、実施例1の車両に係り、図1のA-A断面を示す拡大断面図である。
図3図3は、実施例1の車両に係り、車内側からパネル本体を見た背面図である。
図4図4は、実施例1の車両に係り、図3のX1領域を示す拡大斜視図である。
図5図5は、実施例2の車両に係り、図2と同様の拡大断面図である。
図6図6は、実施例3の車両に係り、図2と同様の拡大断面図である。
図7図7は、実施例3の車両に係り、車内側からパネル本体を見た背面図である。
図8図8は、実施例3の車両に係り、図7のX2領域を示す拡大斜視図である。
図9図9は、参考例の車両に係り、図2と同様の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施例1~を図面を参照しつつ説明する。
【0027】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の車両は、車体1とスライドドア3とを有している。スライドドア3は、本発明の「ボデーパネル」の一例である。スライドドア3は車体1に取り付けられている。本実施例では、図1に示す各矢印によって、車両の前後方向及び上下方向を規定している。そして、図2以降では、図1に対応して、車両の前後方向及び上下方向を規定している他、車両の車外方向及び車内方向を規定している。
【0028】
図1に示すように、車体1には、車内に車室CRが形成されている。また、車体1には、開口1aが形成されている。開口1aは、車体1の前後方向の略中央に位置しており、車室CRと車外とを連通している。また、車体1には、サイドドア5及びバックドア7等が取り付けられている他、走行に必要な動力装置や制御装置等(図示略)が設けられている。
【0029】
図2に示すように、スライドドア3は、パネル本体11と、支持パネル13と、取付部14と、内装パネル17とを備えている。支持パネル13は、本発明の「支持材」の一例である。
【0030】
パネル本体11は、ポリカーボネートを主成分とする樹脂製であり、板状をなしている。パネル本体11は、図1に示す開口1aの全体を覆うことが可能な大きさを有する矩形状に形成されている。図3に示すように、パネル本体11には、前後方向及び左右方向の中央に位置する中心点Cが規定されている。なお、ポリカーボネート以外を主成分とする樹脂によってパネル本体11を形成しても良い。
【0031】
図2に示すように、パネル本体11は、第1面111と第2面112とを有している。第1面111は、車外に面しており、スライドドア3、ひいては車両の意匠を構成している。第2面112は、第1面111の反対側、すなわち、車室CRに面している。パネル本体11は無色透明に形成されている。なお、パネル本体11を有色の透明に形成したり、半透明に形成したりしても良い。
【0032】
また、パネル本体11は、本体部11aと窓部11bとを有している。図3に示すように、本体部11aは、パネル本体11において、窓部11bを除いた部分である。図2に示すように、本体部11aの全体には、第2面112側から不透明色が塗装されている。これにより、窓部11bを除いて第2面112には、不透明色による着色層19が形成されている。こうして、このパネル本体11では、本体部11aの全体が隠蔽部位11cとされている。つまり、本実施例では、隠蔽部位11cが着色層19によって構成されており、隠蔽部位11cは第2面112に形成されている。この着色層19により、本体部11aは、第1面111側から第2面112側、すなわち車外側から車内側が見えなくなっている。なお、着色層19を第1面111に形成しても良い。
【0033】
窓部11bは、本体部11aに着色層19を形成する際に、所定の位置に略矩形状のマスキング処理を施すことによって形成されている。つまり、パネル本体11において、窓部11bは、本体部11aと一体をなしている。上記のように、パネル本体11は無色透明に形成されており、窓部11bには、マスキング処理によって着色層19が形成されていない。このため、窓部11bは、第1面111から第2面112まで透過しており、車外側から車内側が見えるようになっている。
【0034】
また、この車両では、第1面111側において、本体部11aと窓部11bとが面一となるように、パネル本体11の形状が設計されている。なお、パネル本体11における窓部11bの位置や大きさは、車両のデザイン等に応じて適宜設計可能である。また、第1面111側において、窓部11bが本体部11aよりも第2面112側に向かって凹む形状となるようにパネル本体11を設計しても良い。
【0035】
パネル本体11において、第1面111の全面には、コーティング剤が塗布されることにより、保護層21が形成されている。同様に、第2面112において、窓部11bとなる位置にも保護層23が形成されている。これらの保護層21、23は透明をなしており、パネル本体11に傷が付くことを防止する他、パネル本体11に汚れ等が付着することを防止する。なお、図2では、説明を容易にするため、着色層19及び保護層21、23を誇張して図示している。後述する図5図6及び図9についても同様である。また、パネル本体11に対する保護層21、23の形成を省略しても良い。
【0036】
図2に示すように、支持パネル13は、パネル本体11の第2面112側に配置されている。支持パネル13は、第1パネル13aと第2パネル13bとで構成されている。第1、2パネル13a、13bは、それぞれ金属板にプレス加工を施すことによって形成されており、板状をなしている。第1、2パネル13a、13bは、パネル本体11とほぼ同じ大きさに形成されている。第1パネル13aには第1挿通孔131が形成されており、第2パネル13bには、第2挿通孔132が形成されている。なお、図示を省略するものの、第1、2挿通孔131、132は、それぞれ第1、2パネル13a、13bに複数形成されている。また、第1、2パネル13a、13bにおいて、パネル本体11の窓部11bに対向する箇所には、貫通孔が形成されている。貫通孔は、窓部11bの形状に沿うように形成されている。
【0037】
第2パネル13bは、第1パネル13aよりも車内側に配置されている。そして、第2パネル13bは、第2挿通孔132を第1挿通孔131に整合させた状態で、第1パネル13aに接合されている。こうして、支持パネル13が形成されている。ここで、第1、2パネル13a、13bが金属板で形成されていることから、支持パネル13は、樹脂製のパネル本体11に比べて高い剛性を有している。なお、第1、2パネル13a、13bの大きさや厚さ等は、パネル本体11の形状の他、支持パネル13に要求される剛性の大きさ等によって適宜設計可能である。また、第1、2パネル13a、13bをCFRP等の繊維強化樹脂によって形成しても良い。
【0038】
取付部14は、複数の取付フランジ31と、取付フランジ31と同数をなす取付ボルト33及びナット35とを有している。各取付フランジ31は、本発明の「被締結部材」の一例であり、各取付ボルト33及び各ナット35は、本発明の「締結部材」の一例である。
【0039】
図3に示すように、各取付フランジ31は、パネル本体11の第2面112側であって、パネル本体11の本体部11aにそれぞれ配置されている。なお、各取付フランジ31の個数の他、各取付フランジ31が本体部11aに配置される位置は、支持パネル13の大きさに応じて適宜設計可能である。
【0040】
図4に示すように、各取付フランジ31は、金属製の板材にプレス加工を施すことによって形成されており、略クランク形状をなしている。各取付フランジ31は、第1接着部311と、第2接着部312と、第1立壁部313と、第2立壁部314と、当接部315と、長孔156とを有している。
【0041】
第1接着部311と、第2接着部312とは、所定の間隔を設けて配置されており、それぞれパネル本体11に沿って延びている。第1立壁部313は第1接着部311と連続しており、第2立壁部314は第2接着部312と連続している。第1立壁部313は、第1接着部311に対して略垂直に起立しており、第1接着部311側から車内側に向かって延びている。第2立壁部314についても同様である。
【0042】
当接部315は、第1立壁部313と第2立壁部314とに連続しており、第1、2接着部311、312と略平行でパネル本体11に沿って延びている。長孔156は、当接部315に形成されており、当接部315を貫通している。長孔156は、当接部315において、第1立壁部313側から第2立壁部314側に向かって延びている。
【0043】
第1、2接着部311、312と、パネル本体11との間には、接着剤による接着層25a、25bが設けられている。そして、第1接着部311は、接着層25aによって、着色層19に接着されており、第2接着部311は、接着層25bによって、着色層19に接着されている。こうして、各取付フランジ31は、接着層25a、25b及び着色層19を介して、第2面112側で本体部11aに固定されている。
【0044】
ここで、図3に示すように、この車両では、各長孔156がそれぞれパネル本体11の中心点Cに向かって延びるように、本体部11aに固定される際の各取付フランジ31の向きが規定されている。つまり、各取付フランジ31は、第2面112において、中心点Cを囲んで放射状に配置されつつ、本体部11aに固定されている。
【0045】
図2に示すように、各取付ボルト33は、支持パネル13側から本体パネル11側に向かって延びている。各取付ボルト33は、支持パネル13側から、第2パネル13bの第2挿通孔132、第1パネル13aの第1挿通孔131及び各取付フランジ31の長孔156の順に挿通されている。そして、各取付ボルト33は、パネル本体11と各取付フランジ31の当接部315との間からナット35によって、各取付フランジ31に締結されている。これにより、支持パネル13は、当接部315に第1パネル13aを当接させた状態で、各取付フランジ31に締結されている。こうして、支持パネル13がパネル本体11の第2面112側に取り付けられている。ここで、各取付ボルト33は、各取付フランジ31に締結された状態で各長孔156内を移動することが許容されている。これにより、パネル本体11は、各取付ボルト33が各長孔156内を移動する範囲において、支持パネル13に対して相対移動することが可能となっている。
【0046】
内装パネル17は樹脂製であり、車室CRを構成している。内装パネル17は、パネル本体11及び支持パネル13よりも車内側に配置されている。内装パネル17は、支持パネル13の全体を覆うことが可能な大きさに形成されている。第1、2パネル13a、13bと同様、内装パネル17においても、パネル本体11の窓部11bに対向する箇所には、貫通孔(図示略)が形成されている。詳細な図示を省略するものの、内装パネル17は支持パネル13に固定されており、支持パネル13及び取付部14を車内側から覆っている。なお、内装パネル17の材質や形状は適宜設計可能である。
【0047】
この車両では、図1に示す車体1に対して、図2に示す支持パネル13が公知の方法によって前後方向に移動可能に取り付けられている。これにより、支持パネル13を通じてパネル本体11が車体1に対して前後方向に移動可能に設けられている。こうして、スライドドア3が車体1に取り付けられており、スライドドア3は、開口部1aを車外側から覆っている。そして、スライドドア3は、車体1に対して前後方向に移動することにより、開口部1aを開閉することが可能となっている。ここで、第1、2パネル13a、13b及び内装パネル17に形成された各貫通孔により、スライドドア3では、支持パネル13及び内装パネル17によって、窓部11bが遮られることがない。
【0048】
以上のように構成されたこの車両では、スライドドア3のパネル本体11が本体部11aと窓部11bとを有しており、窓部11bは本体部11aと一体をなしている。このため、パネル本体11において、本体部11aと窓部11bとの間に隙間が存在しない。これにより、この車両では、パネル本体11の第1面111側から第2面112側、ひいてはパネル本体11と支持パネル13との間に水が浸入する事態が生じることがない。
【0049】
また、パネル本体11は窓部11bと本体部11aとが一体であるため、パネル本体11に対して、窓部11bと本体部11aとの間を封止するモールを設ける必要がない。このため、パネル本体11には、モールに起因する段差が存在しない。これにより、この車両では、走行時における風切り音の発生を抑制することが可能となっている。また、この車両では、走行時の空気抵抗も減少させることが可能となっている。
【0050】
そして、この車両では、パネル本体11が樹脂製であるため、パネル本体11及び支持パネル13が共に金属製である場合に比べて、スライドドア3を軽量化することが可能となっている。また、支持パネル13によって、パネル本体11を車体1に設けることにより、パネル本体11を車体1に容易に設けることが可能となっている。ここで、支持パネル13は、金属製の第1、2パネル13a、13bによって構成されているため、支持パネル13は、パネル本体11の剛性よりも高い剛性を有している。これにより、支持パネル13は、取付部14によってパネル本体11の第2面112側に取り付けられた状態で、第2面112側からパネル本体11を好適に支持することが可能となっている。このため、この車両では、パネル本体11を樹脂製としていても、スライドドア3の剛性や強度を十分に確保することが可能となっている。
【0051】
ここで、パネル本体11を樹脂製とすることにより、この車両では、温度変化によって、パネル本体11は支持パネル13に比べて大きく伸縮する。この点、この車両では、取付部14が複数の取付フランジ31と、複数の取付ボルト33と、複数のナット35とを有しており、各取付フランジ31には、長孔156が形成されている。このため、支持パネル13がパネル本体11の第2面112側に取り付けられた状態でパネル本体11が伸縮すれば、それに伴って、各取付ボルト33は各長孔156内で移動することができる。これにより、各取付フランジ31は、パネル本体11の伸縮を吸収可能となっている。また、パネル本体11は、中心点Cに対して放射状に伸縮する。このため、各取付フランジ31は、中心点Cを囲んで放射状に配置されて本体部11aに固定されている。このため、各取付ボルト33は、パネル本体11が伸縮する方向に沿って、各長孔156内を移動することができる。これらにより、この車両では、パネル本体11が伸縮した際、パネル本体11は支持パネル13に対して好適に相対移動することができる。このため、この車両では、たとえ温度変化によって、パネル本体11が大きく伸縮しても、取付部14、すなわちパネル本体11と支持パネル13との取付箇所に大きな応力が生じ難くなっている。
【0052】
したがって、実施例1の車両は、耐久性、静粛性及び走行性能に優れ、かつ軽量化を実現できる。
【0053】
特に、この車両では、パネル本体11において、窓部11bと本体部11aとが一体であるため、例えば本体部11aに対して別途に無機ガラス等を取り付けて窓部11bを形成する場合に比べて、本体部11aと窓部11bとの一体感を好適に創出することができる。そして、このパネル本体11では、本体部11aと窓部11bとが第1面111側において面一をなしている。このため、本体部11aと窓部11bとの一体感をより高くすることが可能となっている。また、本体部11aと窓部11bが一体であることから、本体部11aや窓部11bの設計の自由度も高くなっている。さらに、パネル本体11には、保護層21、23が設けられているため、パネル本体11に傷が付いたり、汚れが付着したりすることを好適に防止できる。そして、本体部11aには、隠蔽部位11cが形成されているため、取付部14の他、支持パネル13や内装パネル17が第1面111側に露呈することがない。これらのため、この車両では、美観が高くなっている。また、隠蔽部位11cによって、支持パネル13が第1面111側に露呈しなくなるため、第1パネル13aや第2パネル13bに対して、装飾のための塗装等を施す必要がない。このため、支持パネル13の製造も容易となっている。
【0054】
また、この車両では、各ナット35によって、各取付ボルト33と各取付フランジ31との締結及びその解除を行うことにより、支持パネル13をパネル本体11に着脱可能に固定できる。これにより、この車両では、パネル本体11に破損等が生じた際に、パネル本体11の交換作業を容易に行うことが可能となっている。
【0055】
さらに、この車両では、隠蔽部位11cが着色層19によって構成されているため、本体部11aに隠蔽部位11cを容易に形成することが可能となっている。また、着色層19は、パネル本体11の第2面112に設けられているため、着色層19に傷等が付き難くなっている。この点においても、この車両では、美観が高くなっている。
【0056】
また、この車両では、スライドドア3が軽量化されるため、スライドドア3によって、開口部1aを容易に開閉することが可能となっている。これにより、この車両では、利便性も高くなっている。
【0057】
(実施例2)
図5に示すように、実施例2の車両では、パネル本体11の第1面111に粘着シート27が貼着されている。より詳細には、粘着シート27は、保護層21を介して第1面111に貼着されている。粘着シート27は樹脂製であり、薄い膜状をなしている。詳細な図示を省略するものの、粘着シート27は、パネル本体11とほぼ同じ大きさに形成されている。また、粘着シート27において、窓部11bに対向する箇所には、窓部11bの形状に応じた切り抜き加工が施されている。粘着シート27は、不透明色によって着色されている。粘着シート27は、本体部11aの全体に貼着されている。これにより、この車両では、隠蔽部位11cが粘着シート27によって構成されている。つまり、隠蔽部位11cは第1面111に形成されている。ここで、この車両においても、パネル本体11の本体部11aには、第2面112側から不透明色が塗装されている。なお、本体部11aに対する塗装を省略しても良い。また、図5では、説明を容易にするため、粘着シート27の厚さを誇張して図示している。
【0058】
また、この車両では、パネル本体11の第2面112の全体にコーティング剤が塗布されている。これにより、第2面112の全体に保護層23が形成されている。そして、各取付フランジ31は、接着層25a、25b及び保護層23を介して、第2面112側で本体部11aに固定されている。この車両における他の構成は実施例1の車両と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0059】
この車両では、不透明な粘着シート27によって隠蔽部位11cを構成することにより、本体部11aに隠蔽部位11cを容易に形成することが可能となっている。また、粘着シート27は、パネル本体11の第1面111に貼着されているため、粘着シート27に汚れ等が付着した際には、粘着シート27を容易に交換することが可能となっている。また、粘着シート27の色彩を変更したり、文字や図柄等が設けられた粘着シート27を第1面111に貼着したりすることにより、パネル本体11、ひいては車両の美観を容易に変更することができる。
【0060】
ここで、粘着シート27が保護層21を介して第1面111に貼着されることにより、パネル本体11の第1面111側において、窓部11bと本体部11aとの間には、粘着シート27の厚さの分だけ段差が生じている。しかし、粘着シート27は薄い膜状であるため、窓部11bと本体部11aとの段差は極めて小さい。これにより、この車両では、粘着シート27を第1面111に貼着していても、パネル本体11の第1面111側において、本体部11aと窓部11bとを略面一とすることが可能となっている。これにより、この車両でも、本体部11aと窓部11bとの一体感が高くなっている。この車両における他の作用は、実施例1の車両と同様である。
【0061】
(実施例3)
図6に示すように、実施例3の車両では、実施例1の車両における取付部14に換えて、取付部15を備えている。取付部15は、複数の取付体41と、複数の取付ボルト33及びナット35とで構成されている。各取付体41も、本発明の「被締結部材」の一例である。各取付体41は、パネル本体11に一体に形成されている。つまり、各取付体41は、樹脂製である。図7に示すように、各取付体41は、本体部11aにそれぞれ配置されている。なお、各取付体41の個数の他、各取付体41が本体部11aに配置される位置についても、支持パネル13の大きさに応じて適宜設計可能である。
【0062】
図8に示すように、各取付体41は、周壁部411と、上壁部412と、溝部413とを有している。周壁部411は、パネル本体11に立設されており、第2面112側から車内側に向かって延びている。周壁部411には、開口部位411aが1つ形成されている。上壁部412は、略矩形状の平面状をなしており、周壁部411と連続している。これらの周壁部411、開口部位411a及び上壁部412により、各取付体41は、開口部位411aの部分で開口する略矩形の箱状をなしている。
【0063】
溝部413は、上壁部412に形成されている。溝部413は開口部位411aと連通しつつ、開口部位411aとは反対側に向かって延びている。
【0064】
図7に示すように、各取付体41は、本体部11aにおいて、中心点Cを囲んで放射状に配置されている。この際、各溝部413が中心点Cに対して放射状に延びるように、各取付体41では、開口部位411aが中心点Cに臨んでいる。ここで、図6に示すように、第2面112にコーティング剤を塗布する際、各取付体41にはマスキング処理が施される。これにより、各取付体41には、保護層23が形成されていない。なお、各取付体41に対しても保護層23を形成しても良い。
【0065】
この車両では、第2パネル13bの第2挿通孔132、第1パネル13aの第1挿通孔131及び各取付体41の溝部413の順に各取付ボルト33を挿通させた状態で、ナット35によって各取付ボルト33を各取付体41に締結している。これにより、この車両でも、支持パネル13がパネル本体11の第2面112側に取り付けられている。ここで、各取付ボルト33は、各溝部413内を移動することが許容されている。これにより、各取付体41は、パネル本体11の伸縮を吸収可能となっている。こうして、この車両でも、パネル本体11は、各取付ボルト33が各溝部413内を移動する範囲において、支持パネル13に対して相対移動することが可能となっている。この車両における他の構成は、実施例1、2の車両と同様である。
【0066】
この車両においても、隠蔽部位11cによって、取付部15、支持パネル13及び内装パネル17が第1面111側に露呈することがない。そして、この車両では、支持パネル13が温度変化によって伸縮すれば、それに伴って、各取付ボルト33は各溝部413内で移動することができる。この際、各溝部413が中心点Cに対して放射状に延びるように、各取付体41が配置されているため、各取付ボルト33は、パネル本体11が伸縮する方向に沿って、各溝部413内を移動することができる。これらにより、この車両でも、パネル本体11が伸縮した際、パネル本体11は支持パネル13に対して好適に相対移動することができる。
【0067】
また、この車両では、各取付体41がパネル本体11に一体に形成されているため、パネル本体11に各取付体41を設けるに当たって、接着等の作業が不要となっているとともに、パネル本体11に対する各取付体41の位置決め作業が不要となっている。これらのため、各取付体41をパネル本体11に容易に設けることができることから、結果として、パネル本体11と支持パネル13との取付作業を容易化することが可能となっている。この車両における他の作用は、実施例1、2の車両と同様である。
【0068】
参考例
図9に示すように、参考例の車両では、実施例1の車両における取付部14に換えて、取付部16を備えている。取付部16は、複数の取付体51と、複数の取付ボルト53及びナット55とを有している
【0069】
各取付体51は、合成ゴム等の弾性体によって形成されている。各取付体51は、固定部511と、締結部512と、連結部513とを有している。固定部511は板状をなしており、パネル本体11に沿って延びている。締結部512も板状をなしている。締結部512は、固定部511と対向しつつ、支持パネル13の第1パネル13aに沿って延びている。締結部512には、取付ボルト53を挿通可能な複数の第3挿通孔514が形成されている。連結部513は、固定部511と締結部512との間に位置している。連結部513は、一端側で固定部511と一体をなしており、固定部511側から締結部512側に向かって延びている。そして、連結部513は、他端側で締結部512と一体をなしている。
【0070】
固定部511とパネル本体11との間には、接着剤による接着層26が設けられている。そして、固定部511は、接着層26によって、着色層19に接着されている。こうして、各取付体51は、接着層26及び着色層19を介して、第2面112側で本体部11aに固定されている。詳細な図示を省略するものの、各取付体51についても、上記の各取付フランジ31や各取付体41と同様、中心点Cを囲んで放射状に配置されつつ、本体部11aに固定されている。
【0071】
各取付ボルト53は、上記の各取付ボルト33に比べて小型に形成されている。ここで、この車両では、各取付ボルト53に応じて、第1、2パネル13a、13bの第1、2挿通孔131、132が小径に形成されている。各取付ボルト53は、支持パネル13側から、第2挿通孔132、第1挿通孔131及び第3挿通孔512aの順に挿通されている。そして、各取付ボルト53は、この状態で本体パネル11側から各ナット55によって、締結部512に締結されている。これにより、この車両でも、支持パネル13がパネル本体11の第2面112側に取り付けられている。この車両における他の構成は、実施例1の車両と同様である。
【0072】
この車両においても、隠蔽部位11cによって、取付部16、支持パネル13及び内装パネル17が第1面111側に露呈することがない。そして、この車両では、支持パネル13が温度変化によって伸縮すれば、それに伴って、各取付体51では、各連結部513が前後方向や上下方向に弾性変形する。これにより、各取付体51は、パネル本体11の伸縮を吸収しつつ、パネル本体11が支持パネル13に対して相対移動すること許容している。このため、この車両でも、温度変化によって、パネル本体11が大きく伸縮した際、取付部16、すなわちパネル本体11と支持パネル13との取付箇所に大きな応力が生じ難くなっている。この車両における他の作用は、実施例1の車両と同様である。
【0073】
以上において、本発明を実施例1~に即して説明したが、本発明は上記実施例1~に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0074】
例えば、実施例1~では、本発明におけるボデーパネルとしてスライドドア3を挙げているが、これに限らず、サイドドア5やバックドア7を本発明におけるボデーパネルとしても良い。また、ボンネットフード等を本発明におけるボデーパネルとしても良い。さらに、車体1に固定される側面パネル等を本発明におけるボデーパネルとしても良い。
【0075】
また、支持パネル13を第1パネル13a又は第2パネル13bのみによって形成したり、第1、2パネル13a、13bの他にパネルを加えて支持パネル13を形成したりしても良い。
【0076】
さらに、実施例1~では、本体部11aの全体を隠蔽部位11cとしているが、これに限らず、体部11aの一部を隠蔽部位11cとしても良い。
【0077】
また、着色層19及び粘着シート27を組み合わせることによって、隠蔽部位11cを構成しても良い。
【0078】
さらに、実施例1~では、本発明における支持材として板状をなす支持パネル13を挙げているが、これに限らず、支持材は、枠形状等をなしていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、乗用自動車の他、運送車両や産業車両等に利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1…車体
3…スライドドア(ボデーパネル)
11…パネル本体
11a…本体部
11b…窓部
11c…隠蔽部位
13…支持パネル(支持材)
14~16…取付部
19…着色層
27…粘着シート
31…取付フランジ(被締結部材)
33…取付ボルト(締結部材)
35…ナット(締結部材)
41…取付体(被締結部材)
51…取付体(被締結部材)
111…第1面
112…第2面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9