IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イシダの特許一覧

<>
  • 特許-X線検査装置 図1
  • 特許-X線検査装置 図2
  • 特許-X線検査装置 図3
  • 特許-X線検査装置 図4
  • 特許-X線検査装置 図5
  • 特許-X線検査装置 図6
  • 特許-X線検査装置 図7
  • 特許-X線検査装置 図8
  • 特許-X線検査装置 図9
  • 特許-X線検査装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20220830BHJP
【FI】
G01N23/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018044585
(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公開番号】P2019158526
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(72)【発明者】
【氏名】堀 洋
(72)【発明者】
【氏名】小林 航太朗
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-275452(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193858(JP,U)
【文献】特開2004-271357(JP,A)
【文献】特開2008-275450(JP,A)
【文献】特開2004-233207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - G01N 23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される被検査物にX線を照射する検査室と、該検査室に通ずる搬送路を被うX線遮蔽トンネルと、前記X線遮蔽トンネルの開口からのX線の漏洩を防止する防護カーテンと
を備えたX線検査装置であって、
前記X線遮蔽トンネルが、固定カバーと、該固定カバーから分離可能な分離カバーとを有し、前記防護カーテンが前記分離カバーに取り付けられており、
前記分離カバーは、前記固定カバーに対して固定部材を介して取り付けられており、
前記分離カバーは、前記搬送路と水平かつ直交する方向に対して引き出すことにより、前記固定部材によって前記固定カバーに取り付けられた第1状態から、前記固定部材の固定が解除され、前記固定カバーから分離可能な第2状態に遷移する、
ことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記分離カバーは、前記搬送路の一方の側面を被う第一側壁と、それと直交し、前記防護カーテンが取り付けられる第二側壁とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記X線遮蔽トンネルには、前記分離カバーの着脱を検知するインターロックスイッチが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記検査室の入口側と出口側の外側面には、前記X線遮蔽トンネルが取り付けられる取付部が設けられ、前記X線遮蔽トンネルが取り付けられないときは、前記取付部がパネルで被われていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置の搬送方向長さが簡単に変更できるX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用のX線検査装置は、袋詰め商品の内容物検査に多用され、その基本構成は、図1に示すように、X線遮蔽構造体の本体2と、それを支持する支持脚3とを備えている。本体2上部には、操作表示部4が設けられ、下部には、入口5と出口6を有する検査室7が設けられている。この検査室7には、入口5から出口6まで被検査物Mを搬送するベルトコンベア8と、搬送される被検査物Mに上方からX線を照射するX線照射部9と、ベルトコンベア8の上下のベルト間に配置されて、被検査物Mを透過したX線を検出するラインセンサ10とが設けられている。
【0003】
また、被検査物Mが検査室7を通過するときのX線の漏洩を防止するために、図2の配置構成図のように、検査室7の入口5から出口6までの間にX線を遮蔽する複数の防護カーテンCが設けられ、搬送中の被検査物Mが防護カーテンCを跳ね上げた場合でも、その前後の防護カーテンCが搬送路を遮蔽しているため、検査室7からは、X線が漏洩しないようになっている。
【0004】
また、検査室7の一側面には、図1に示すように、開閉扉11が設けられ、それを下方へ開くと、検査室7が大きく開放されて、全ての防護カーテンCが、開放した開閉扉11側から着脱できるようになっている。このような構成は、下記特許文献1に開示されている。
【0005】
このようなX線検査装置1では、被検査物Mの搬送方向長さが長くなると、各防護カーテンCの間隔を広げる必要があるので、検査室7の入口5と出口6に通ずる外側の搬送路をX線遮蔽カバー12で被うとともに、そのカバー12内に防護カーテンCを配置して、検査室7の見かけ上の搬送方向長さを伸ばしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-099303号公報
【文献】特許第5740608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、図1のX線検査装置1では、開閉扉11の横幅Lを、左右のカバー12部分を被うまで広げているが、開閉扉11には、分厚いX線遮蔽部材が取り付けられているため、カバー12部分まで横幅Lを広げると、開閉扉11が重くなって、その取り扱いが難しくなる問題があった。それを避けるために、左右のカバー12の一側面に、中央の開閉扉11と同様な開閉扉を設けた機種もあるが、そうした機種は、コストアップになる問題があった。
【0008】
一方、特許文献2では、本体検査室の入口側と出口側に、カバーで被われたコンベアを着脱自在に接続し、それらのカバー内に防護カーテンを配置することによって、本体検査室の見かけ上の搬送方向長さを伸ばしている。したがって、この装置を使用すれば、本体検査室の開閉扉の横幅を変えずに、そこに接続される左右のコンベア長と、それを被うカバーの長さとを変えるだけで、搬送方向長さの異なる被検査物に、簡単に対応できるメリットがある。
【0009】
しかし、この特許文献2の装置では、入口と出口にそれぞれコンベアを接続しなければならないから、コストアップになるとともに、カバー内の防護カーテンやコンベアを清掃するとき、カバーをフレームから外し、内部の防護カーテンもフレームから外さなければならないから、作業性が悪いという問題があった。
【0010】
本発明は、こうした問題に鑑みて開発したもので、検査室の横幅は変えずに、検査室の見かけ上の搬送方向長さが簡単に変えられる、安価でメンテナンス性に優れたX線検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るX線検査装置は、搬送される被検査物にX線を照射する検査室と、該検査室に通ずる搬送路を被うX線遮蔽トンネルと、前記X線遮蔽トンネルの開口からのX線の漏洩を防止する防護カーテンとを備えたX線検査装置であって、
前記トンネルが、固定カバーと、該固定カバーから分離可能な分離カバーとを備え、前記防護カーテンが前記分離カバーに取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
このX線遮蔽トンネルは、検査室に入る入口側と、検査室から出た出口側とに設けられるが、これには限定されず、例えば検査室内の防護カーテンの配置構成によって、入口側又は出口側だけに設けても良い。また、トンネルの開口からのX線の漏洩を防止する防護カーテンは、被検査物が当ると跳ね上げられ、被検査物が通過すると閉じる、開閉自在なX線遮蔽用のカーテンである。
【0013】
このように、検査室に通ずる外側の搬送路がX線遮蔽トンネルで被われ、そのトンネルの開口が防護カーテンで遮蔽されるから、検査室の見かけ上の搬送方向長さを、トンネルの長さ分だけ延長することができる。しかも、トンネルを、固定カバーと分離カバーとで構成したので、トンネルの搬送方向長さの変更が容易にできる。さらに、従来装置のように、トンネルに開閉扉を設ける必要がないので、一層安価な装置とすることができる。加えて、防護カーテンは、分離カバーと一緒に固定カバーから分離されるので、従来装置のように、防護カーテンを吊り下げるフレームをトンネル内に設けなくても済むから、よりシンプルな安価なトンネルとすることができる。
【0014】
また、トンネル内や防護カーテンを清掃するときは、分離カバーを固定カバーから分離するだけで、防護カーテンも一緒に分離されるから、トンネルの分解清掃が極めて簡単にできる。
【0015】
また、分離カバーは、前記搬送路の一方の側面を被う第一側壁と、それと直交し、前記防護カーテンが取り付けられる第二側壁とを備えていることを特徴とする。
【0016】
これにより、分離カバーを固定カバーから取り去れば、搬送路の二側面が大きく開放されるから、搬送路を構成するコンベアのメンテナンスが楽にできる。また、第一側壁と第二側壁は、互いに直交し、平面視がL字状を成しているから、それを作業台に置いてメンテナンスするときは、分離カバーを直立姿勢で安定させることができる。
【0017】
また、前記トンネルには、前記分離カバーの着脱を検知するインターロックスイッチが設けられていることを特徴とする。
【0018】
これにより、分離カバーが外れた場合は、X線検査装置を作動させないようにすることができるから、分離カバーの固定カバーへの装着ミスによるX線の漏洩を防止することができる。
【0019】
また、前記検査室の入口側と出口側の外側面には、前記トンネルが取り付けられる取付部が設けられ、前記トンネルが取り付けられないときは、前記取付部がパネルで被われていることを特徴とする。
【0020】
これにより、搬送方向長さの短い被検査物に対しては、取付部をパネルで隠すことにより、標準仕様のX線検査装置とすることができ、前記パネルを取り去って取付部を露出させ、そこに前記トンネルを取り付ければ、搬送方向長さの長い被検査物用のX線検査装置とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のX線検査装置によれば、トンネルの長さを変えるだけで、被検査物の搬送方向長さの長いものから短いものまでを検査することができる、汎用性の高いX線検査装置とすることができる。しかも、トンネルを、固定カバーと分離カバーとで構成したので、トンネルの搬送方向長さの変更が容易になり、安価な装置とすることができる。
【0022】
また、分離カバーを固定カバーから取り去ると、X線遮蔽カーテンも一緒に除去されて搬送路が広く開放されるから、トンネルや搬送路の分解清掃が容易になり、作業時間も短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来装置のX線検査装置の構成を示す概略図。
図2図1の検査室内の防護カーテンの配置構成図。
図3】本発明の一実施形態に係るX線検査装置の標準仕様の外観斜視図。
図4図3のX線検査装置にトンネルを装着した後の一実施形態の外観斜視図。
図5】トンネルの側面図。
図6】トンネルの固定カバーの側面図。
図7】トンネルの装着を概要を示した分解説明図。
図8図5の分離カバーの平面図
図9】検査室の開閉扉を開けて、メンテナンスするときの説明図。
図10】分離カバーを取り外す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図3図10に基づいて、本発明に係るX線検査装置の一実施形態を説明する。なお、この実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、図3は、X線遮蔽トンネルT1,T2を取り付ける前の標準仕様のX線検査装置100の外観斜視図を示し、図4は、前記X線遮蔽トンネルT1,T2を取り付けた後のX線検査装置200の外観斜視図を示す。
なお、以下の説明では、X線遮蔽トンネルをトンネルと略称する。
【0025】
なお、図3のX線検査装置100では、ベルトコンベアBCの搬送方向長さは、検査室30の横幅Lに対応させた長さであるが、図4のX線検査装置20では、コンベアの両端が検査室30からはみ出る長さの長いベルトコンベアBCを使用し、はみ出た入口側と出口側に、図3のトンネルT1,T2を取り付けている。
【0026】
これらの図において、X線検査装置100、200は、X線を遮蔽する筐体40と、それを支持する支持脚50とを備えている。筐体40の上部には、タッチパネル式の操作表示部41が設けられ、下部には、図1と同様なX線遮蔽体で被われた検査室30が設けられている。また、図3の検査室30の入口と出口に通ずる各搬送路31には、外形がボックス形のトンネルT1、T2が取り付けられている。
【0027】
なお、検査室30の開口は、X線検査装置100、200が設置されるラインに応じて適宜に切り替えられる。すなわち、紙面に向かって右側を入口、左側を出口とする場合もあれば、それらを逆にする場合もある。逆にする場合は、ベルトコンベアBCの搬送方向が逆転される。
【0028】
また、各トンネルT1,T2は、ベルトコンベアBCの搬送面から僅かに浮かせた状態で検査室30の入口側と出口側に配置されるので、ベルトコンベアBCは、図3に示すように、開閉扉32の横幅Lと同程度の短いベルトコンベアBCを使用する場合もあれば、図4に示すように、入口から出口までの各トンネルT1、T2を含めた横幅Lと略同じ長さの長いベルトコンベアBCを使用する場合もある。
前者の短いベルトコンベアBCを使用する場合は、その前後に上流側装置のコンベアや下流側装置のコンベアが接続される。ただし、接続されるコンベアのベルト搬送面には、X線遮蔽材が取り付けられる。したがって、ベルトコンベアBCの搬送方向長さは、入口から出口までの両トンネルT1、T2間に跨る長さである必要はない。
【0029】
また、検査室30内には、図1と同様なX線照射部9、ベルトコンベアBC、ラインセンサ10、複数の防護カーテンCが取り付けられるが、これらの配置は、図1と略同じであるから、ここでは図示を省略している。また、検査室30の一側面に開閉扉32が取り付けられ、それを図9に示すように手前に引けば、検査室30内が露出されて、内部に取り付けられた複数の防護カーテンCが取り外せるようになっている。
【0030】
防護カーテンCは、被検査物の特性に応じて種々の形態のものが使用される。例えばタングステン入りのゴム製カーテンや短冊状のステンレス板を並設したものが使用される。また、その形状も下端部を下流側へ反らした形状や、全体をなだらかなS字状に曲げた形状等、種々のものが使用される。したがって、本発明では、防護カーテンCの形態は、特に限定されない。
【0031】
検査室30を構成する筐体40の入口側と出口側の側面には、図3図7の断面図に示すように、トンネルT1、T2を取り付ける一段凹んだ取付部42が設けられ、そこにトンネルT1、T2を支持するためのブラケット43が固定できるようになっている。図3は、トンネルT1、T2を取り付ける前であるため、この取付部42をパネル44で被った状態を示している。
【0032】
このパネル44を取り除くと、図7に示すように、筐体40の側面より一段凹んだ取付部42が現れ、そこに図6図7に示すブラケット43が固定できるようになっている。具体的には、一段凹んだ取付部42の裏面には、ブラケット43を固定するナット45が取り付けられ、鉛直方向に伸びるブラケット43の一対の脚部43aを取付部42の所定位置に保持し、その上からボルト46をナット45に捩じ込めば、ブラケット43が取付部42に固定されるようになっている。
【0033】
このブラケット43は、図6に示すように、一枚のプレートを門形に折り曲げたもので、互いに対向する一対の脚部43aの背面を、鉛直面に沿ってL字に折り曲げ、それを取付部42の鉛直面に沿わせる形状となっている。したがって、ブラケット43の一対の脚部43aの上端部には、水平方向に伸びる天板47が形成され、図6の紙面と直交する方向の両端部47aは、図7に示すように、下方へ折り曲げられて補強ビームとされている。また、天板47には、長手方向に沿って複数の貫通孔48が設けられ、その貫通孔48には、固定カバー60の天板裏面に取り付けられたスタッドボルト61が挿通されるようになっている。すなわち、図7の固定カバー60を矢印で示すように、ブラケット43の上に乗せ、スタッドボルト61を貫通孔48に挿入してから、スタッドボルト61に図示しないナットを捩じ込めば、固定カバー60がブラケット43の天板47に固定できるようになっている。
【0034】
一方、各トンネルT1、T2は、X線を遮蔽する厚さのステンレス板で形成され、前記取付部42に固定される固定カバー60と、その固定カバー60に着脱自在に装着される分離カバー70とを備えている。
【0035】
固定カバー60は、図6に示すように、側面視がL字形の中空ボックスであり、内部が空洞となった水平部62と垂直部63とを備え、それらでL字に囲まれた空間には、後述の分離カバー70が着脱自在に装着されるようになっている。また、その空間は、検査室30の入口又は出口に通ずる被検査物の搬送路31となっている。
【0036】
図5図7において、固定カバー60の水平部62の正面側には、分離カバー70を保持するための頭付ピン64が水平方向に2カ所設けられ、それらと対向する位置の分離カバー70の第二側壁72には、ダルマ孔H1と、それに続く、水平方向に伸びる長孔H2とが形成されている。そして、ダルマ孔H1に頭付ピン64を入れて水平方向にスライドさせると、長孔H2にピン62が嵌った状態で、ピン64の頭が抜け止めとなるように構成されている。
【0037】
固定カバー60の背面側には、検査室30の外側面に沿うフランジ65が形成され、そのフランジ65の、特に垂直部63の裏面側には、図6図7に示す取付板66が形成されている。この取付板66は、図7の取付部42に挿入できるように折り曲げられ、その取付板66の二か所のバカ穴67を図7の取付部42のスタッドボルト49に挿入し、その上から図示しないナットを締め付ければ、固定カバー60の垂直部63が、取付部42に固定されるようになっている。これにより、固定カバー60は、ブラケット43と、取付板66とで、取付部42に固定されるが、この取付板66は、必要に応じて設けられるもので、固定カバー60を検査室30の側面に固定するには、固定カバー60をブラケット43に取り付けるだけも良い。
【0038】
一方、分離カバー70は、図4図8の平面図に示すように、搬送路31の一側面を被う第一側壁71と、それと直交し、防護カーテンCが取り付けられる第二側壁72とを備えている。この第二側壁72の、検査室30の入口又は出口と対応する部分は、門形に切り取られ、そこに防護カーテンCが取り付けられている。したがって、検査室30の入口又は出口から、第二側壁72の防護カーテンCまでが、ベルトコンベアBCによって搬送される被検査物の搬送路31となり、その搬送路31の周囲が固定カバー60と分離カバー70で被われている。なお、図示はしていないが、ベルトコンベアBCのベルト走行面には、X線遮蔽材が使用され、これによって、下方へのX線の漏洩が防止されるようになっている。
【0039】
図5図8の防護カーテンCは、タングステン入りのゴム製カーテンである。この場合には、カーテンの上端部が押え板を介して第二側壁72の裏面に取り付けられているが、短冊状のステンレス板で構成される防護カーテンを使用する場合は、門形に切り取った鉛直方向の左右の縁部に対向するフランジを形成し、それらのフランジの上端部間に、防護カーテンの回転軸を掛け渡す構成となる。なお、この回転軸は、各ステンレス板を揺動自在に支持する支持軸となる部分である。
【0040】
また、分離カバー70の第一側壁71と第二側壁72には、それぞれ取っ手73が取り付けられ、それらを持って分離カバー70を固定カバー60に着脱できるようになっている。また、第一側壁71の上端部は、水平に折り曲げられ、そこに図5図7のインターロックスイッチ74のスライドキー75が取り付けられている。このキー75は、インターロックスイッチ74を作動させるキーであって、分離カバー70を固定カバー60に装着するときに、このキー75を図7の固定カバー60の鍵穴68に差し込めば、インターロックスイッチ74が作動するようになっている。
【0041】
このスイッチ74は、主電源と接続され、分離カバー70が確実に装着されていないときは、このスイッチ74が作動しないようになっている。したがって、分離カバー70の装着が不十分で、このスイッチ74が作動していないときは、例えメインスイッチが入っていても、X線は照射されないようになっている。
【0042】
また、検査室30の開閉扉32と接する側の第一側壁71の縁部76(図8参照)は、さらにL字状に折り曲げられ、そこに、閉じた開閉扉32が被さるようになっている。すなわち、閉じた開閉扉32が縁部76に被さると、図8に示すように、その縁部76は、閉じた開閉扉32に阻まれて矢印方向にスライドしないようになっている。これにより、分離カバー70の不用意な着脱が阻止されるようになっている。
【0043】
次に、分離カバー70の着脱方法について説明する。
まず、図9に示すように、本体側の開閉扉32を矢印方向に開ける。すると、分離カバー70のL字状の縁部76が開放されるから、図10に示すように、取っ手73を矢印方向に引けば、スライドキー75がインターロックスイッチ74から外れて、ダルマ孔H1がピン64の位置まで移動する。続いて分離カバー70を被検査物の搬送方向Fへ水平移動させると、ダルマ孔H1がピン64から外れ、分離カバー70を固定カバー60から取り去ることができる。
【0044】
また、取り去った分離カバー70を再び装着するときは、開閉扉32を開放した状態にして、前述と逆の操作を行えば、外された分離カバー70を固定カバー60に装着することができる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、他の構成も採用可能である。例えば、以上の実施形態では、開閉扉32を開放しないことには、分離カバー70を固定カバー60から分離することはできなかったが、これに代えて、分離カバー70のL字状の縁部76をストレートに成形して、開閉扉32が閉じた状態でも、分離カバー70を単独で引き出せるように構成しても良い。この場合でも、インターロックスイッチ74が効いていれば、スライドキー75が外れた時点で主電源が切れるから、X線が外部に漏洩することはない。また、分離カバー70と固定カバー60との連結を確実なものにする場合は、固定カバー60と分離カバー70との間に、パチン錠等の締結手段を取り付ければ良い。
【符号の説明】
【0046】
30 検査室
31 搬送路
42 取付部
44 パネル
T1 X線遮蔽トンネル
T2 X線遮蔽トンネル
C 防護カーテン
60 固定カバー
70 分離カバー
71 第一側壁
72 第二側壁
74 インターロックスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10