(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-29
(45)【発行日】2022-09-06
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20220830BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20220830BHJP
【FI】
H01L21/78 N
H01L21/68 F
(21)【出願番号】P 2018168491
(22)【出願日】2018-09-10
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】草川 真由美
(72)【発明者】
【氏名】増田 幸容
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-60224(JP,A)
【文献】特開2013-172107(JP,A)
【文献】特開2013-83655(JP,A)
【文献】特表2001-513267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形を呈するウエーハの中心を求め、所定の加工を施す加工装置であって、
ウエーハを保持する保持手段と、該保持手段に保持されたウエーハの外周を該保持手段に対向する方向から撮像する撮像手段と、から少なくとも構成され、
該保持手段は、ウエーハの外周を露出させて吸引保持する保持テーブルと、該保持テーブルを支持する支持基台と、該支持基台に隣接して配設され該保持テーブルの外周に光を照射する光源を備えた発光手段と、該保持テーブルを回転させる駆動部と、から少なくとも構成され、
該保持テーブルは、円錐台と、該円錐台の上面に配設されウエーハを保持するウエーハ保持部とを備え、該円錐台の底面の直径は、該ウエーハ保持部が保持するウエーハの直径よりも大きく形成されていて、該発光手段の光源から照射される光が、該円錐台の側面に反射して保持テーブル上に保持されるウエーハの外周を照射し該ウエーハの外周が該撮像手段で撮像される加工装置。
【請求項2】
該保持テーブルの外周には、該保持テーブルに保持されるウエーハの外周を支持する補助テーブルが配設され、
該補助テーブルには、該円錐台の側面で反射した光を透過して露出したウエーハの外周を照射する開孔が少なくとも3箇所形成されている請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
該円錐台の側面の傾斜角度は、45°に設定される請求項1、又は2に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形を呈するウエーハの中心を求め、所定の加工を施す加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されたデバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とが表面に形成されたウエーハは、レーザー加工装置、ダイシング装置によって分割予定ラインが加工され、個々のデバイスチップに分割されて携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
レーザー加工装置は、ウエーハの外周を照射するLEDを備えた保持テーブルにウエーハを保持する回転可能な保持手段と、該保持手段をX軸方向の加工送り方向、及びY軸方向の割り出し送り方向に移動する移動手段と、該保持手段に保持されたウエーハにレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段と、該保持手段に保持されたウエーハの外周を、光を照射する光源(LED等)からの照明のもとで、保持テーブルを90度ずつ回転させて3点撮像し、該3点の座標に基づいてウエーハの中心を検出し、検出したウエーハの中心と保持テーブルの中心とのずれを求め、該ずれを考慮して加工を実施する際のウエーハの中心位置の補正をすると共に、該補正を考慮して分割予定ラインに対してレーザー加工を施す制御手段と、から概ね構成されていて、ウエーハを高精度に加工することができる(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
また、デバイス領域と、該デバイス領域を囲繞する外周余剰領域とが表面に形成されるウエーハにおいて、外周余剰領域以外のデバイス領域に対応する裏面を研削して外周余剰領域に対応する裏面にリング状の補強部を形成し、その後いくつかの工程を経てウエーハを個々のデバイスに分割する加工方法が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。前記したリング状の補強部を形成した場合、個々のデバイスに分割する加工を実施する際、外周に形成されたリング状の補強部が邪魔になることから、上記した特許文献1に記載されたウエーハの中心を検出する方法を応用して、ウエーハの中心座標を正確に求めることができ、該中心座標に基づいて精度よくリング状の補強部を切断して除去することができ、ウエーハを良好に個々のデバイスに分割することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-060224号公報
【文献】特開2007-019461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1に記載された技術によれば、ウエーハの中心座標を検出することができるものの、ウエーハを保持する保持手段は、ウエーハの大きさに応じて適宜交換される保持テーブルと、保持テーブルを着脱自在に支持する支持基台とから構成され、保持されるウエーハのサイズに応じて異なる保持テーブルが用意されることから、例えば、保持テーブルが着脱される支持基台側の上面の直径よりも小さい直径の保持テーブルを装着する場合に、保持テーブルや支持基台にウエーハの外周を照射するLED等を配設することが困難になるという問題がある。また、個々の保持テーブルや、支持基台にLED等の光源を配設する必要があることから、生産コストが高くなってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、生産コストを上昇させることなく円形を呈するウエーハの中心を求め、所定の加工を施すことができる加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、円形を呈するウエーハの中心を求め、所定の加工を施す加工装置であって、ウエーハを保持する保持手段と、該保持手段に保持されたウエーハの外周を該保持手段に対向する方向から撮像する撮像手段と、から少なくとも構成され、該保持手段は、ウエーハの外周を露出させて吸引保持する保持テーブルと、該保持テーブルを支持する支持基台と、該支持基台に隣接して配設され該保持テーブルの外周に光を照射する光源を備えた発光手段と、該保持テーブルを回転させる駆動部と、から少なくとも構成され、該保持テーブルは、円錐台と、該円錐台の上面に配設されウエーハを保持するウエーハ保持部とを備え、該円錐台の底面の直径は、該ウエーハ保持部が保持するウエーハの直径よりも大きく形成されていて、該発光手段の光源から照射される光が、該円錐台の側面に反射して保持テーブル上に保持されるウエーハの外周を照射し該ウエーハの外周が該撮像手段で撮像される加工装置が提供される。
【0009】
該保持テーブルの外周には、該保持テーブルに保持されるウエーハの外周を支持する補助テーブルが配設され、該補助テーブルには、該円錐台の側面で反射した光を透過して露出したウエーハの外周を照射する開孔が少なくとも3箇所形成されていることが好ましい。また、該円錐台の側面の傾斜角度は、45°に設定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の加工装置は、円形を呈するウエーハの中心を求め、所定の加工を施す加工装置であって、ウエーハを保持する保持手段と、該保持手段に保持されたウエーハの外周を該保持手段に対向する方向から撮像する撮像手段と、から少なくとも構成され、該保持手段は、ウエーハの外周を露出させて吸引保持する保持テーブルと、該保持テーブルを支持する支持基台と、該支持基台に隣接して配設され該保持テーブルの外周に光を照射する光源を備えた発光手段と、該保持テーブルを回転させる駆動部と、から少なくとも構成され、該保持テーブルは、円錐台と、該円錐台の上面に配設されウエーハを保持するウエーハ保持部と、を備え、該円錐台の底面の直径は、該ウエーハ保持部が保持するウエーハの直径よりも大きく形成されていて、該発光手段の光源から照射される光が、該円錐台の側面に反射して保持テーブル上に保持されるウエーハの外周を照射し該ウエーハの外周が該撮像手段で撮像されることから、保持テーブルの直径が、基台の直径よりも小さい場合でも、保持テーブルの円錐台の側面で光を反射して、ウエーハの外周を良好に検出することができる。また、保持テーブル側にLEDを配設する必要がなく、生産コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るレーザー加工装置の全体斜視図である。
【
図2】
図1に示すレーザー加工装置の保持テーブル、及び支持基台の分解斜視図である。
【
図3】保持テーブル及び支持基台の一部拡大断面図である。
【
図4】保持テーブルにウエーハを載置する状態を示す斜視図である。
【
図5】保持テーブルの円錐台の側面に光を照射してウエーハの外周を撮像手段で撮像する状態を示す側面図である。
【
図6】外周余剰領域に補強部を有するウエーハの外周を撮像手段で撮像する状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る加工装置について添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0013】
図1には、本実施形態に係る加工装置の一例として示すレーザー加工装置1の全体斜視図が示されている。レーザー装置1は、円形を呈する被加工物(ウエーハ)を保持する保持手段20と、保持手段20を移動させる移動手段30と、保持手段20に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段50と、を備えている。
【0014】
保持手段20は、レーザー加工装置1のベースとなる基台2上に配置されており、矢印Xで示すX軸方向において移動自在に載置される矩形状のX方向可動板21と、図中に矢印Yで示すY軸方向において移動自在にX方向可動板21に載置される矩形状のY方向可動板22と、Y方向可動板22の上面に固定された円筒状の支持基台24と、支持基台24の上部に回転可能に支持され、ウエーハの外周を露出させて吸引保持する保持テーブル28と、Y方向可動板22上で支持基台24に隣接した位置に、保持テーブル28に外方向から光を照射する発光手段40と、が配設されている。
【0015】
移動手段30は、基台2上に配設され、保持手段20をX軸方向に加工送りするX軸送り手段31と、保持手段20をY軸方向に割り出し送りするY軸送り手段32と、を備えている。X軸送り手段31は、パルスモータ33の回転運動を、ボールねじ34を介して直線運動に変換してX方向可動板21に伝達し、基台2上の案内レール2a、2aに沿ってX方向可動板21をX軸方向において進退させる。Y軸送り手段32は、パルスモータ35の回転運動を、ボールねじ36を介して直線運動に変換してY方向可動板22に伝達し、X方向可動板21上の案内レール21a、21aに沿ってY方向可動板22をY軸方向において進退させる。
【0016】
移動手段30の側方には、枠体4が立設される。枠体4は、基台2上に配設される垂直壁部4a、及び垂直壁部4aの上端部から水平方向に延びる水平壁部4bと、を備えている。枠体4の水平壁部4bの内部には、レーザー光線照射手段50のレーザー発振器を含む図示しない光学系が内蔵されている。水平壁部4bの先端部下面には、レーザー光線照射手段50の一部を構成する集光器51が配設され、集光器51の内部には、レーザー光線を集光する図示しない集光レンズが内蔵されている。レーザー光線照射手段50の該レーザー発振器から発振されたレーザー光線は、図示しない光学系を通り、集光器51によって集光され、保持手段20に保持される被加工物の所望の位置に集光スポットを形成する。
【0017】
水平壁部4bの先端部下面において、集光器51のX軸方向で隣接する位置には、保持手段20に保持される被加工物を、保持手段20に対向する方向から撮像する撮像手段60が配設される。撮像手段60は、可視光線により撮像する通常の撮像素子(CCD)62と、被加工物に光線を照射する図示しない照明手段と、を備え、図示しない制御手段に接続されている。撮像手段60によって撮像された画像の信号は、該制御手段に送られる。なお、被加工物の種類に応じ、撮像手段60に赤外線照射手段、及び赤外線撮像素子を含んでもよい。
【0018】
図示しない制御手段は、コンピュータにより構成され、制御プログラムに従って演算を実行する中央演算処理装置(CPU)と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)と、検出した検出値、演算結果等を格納するための読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)と、入力インターフェース、及び出力インターフェースとを備えている。制御手段は、上記した構成に基づき、メモリに記録された制御プログラムによってX軸送り手段31、Y軸送り手段32、及びレーザー光線照射手段50を作動させるための制御信号を出力する。また、該制御手段は、撮像手段60から送られた画像信号を保存し、該画像信号に基づき、撮像位置のX座標、及びY座標を記録する。
【0019】
さらに、
図2、及び
図3を参照しながら、本実施形態の支持基台24、及び保持テーブル28について、より具体的に説明する。保持テーブル28は、被加工物であるウエーハを保持するウエーハ保持部281と、ウエーハ保持部281を上面で支持する円錐台282とを備えている。ウエーハ保持部281の上面には、通気性を有する多孔質材料から形成され実質上水平に延在する円形状の吸着チャック281aが配設されている。保持テーブル28には、後述する保護テープTを介してウエーハを支持する環状のフレームF(
図4を参照。)を固定するためのクランプ29が周方向に均等な間隔で複数配設されている。円錐台282には傾斜面からなる側面282aが形成されており、側面282aは、光を良好に反射する鏡面からなる。本実施形態の側面282aは、水平面に対して45°の傾斜角度で形成されている。
【0020】
保持テーブル28を支持する支持基台24は、保持テーブル28が上面に載置される回転軸24aを備えている。回転軸24aの上面の中央には、円錐台282の下面との位置合わせに利用される大径凹部24bが配設され、大径凹部24bの底面の中央には、吸着チャック281aに負圧を供給するための第一の吸引孔24cが形成されている。また、回転軸24aの上面の大径凹部24bの近傍には、回転軸24aに対する保持テーブル28の回転方向の位置決めとして機能する位置決め凹部24d、及び、保持テーブル28を回転軸24aの上面に吸着するための第二の吸引孔24eが形成されている。
【0021】
図3には、支持基台24に保持テーブル28が載置された状態の断面の一部が示されている。図に示すように、回転軸24aの上面の中央に形成された大径凹部24bには、保持テーブル28の円錐台282の下面に形成され大径凹部24bに対し僅かに小さい寸法の略同形状で形成された大径凸部282bが挿入され、さらに、位置決め凹部24dには、円錐台282の下面に形成され位置決め凹部24dよりも僅かに小さい寸法の略同形状で形成された位置決め凸部282cが挿入される。これにより、支持基台24に対する、保持テーブル28の中心位置及び、回転方向の位置決めが正確に成される。
【0022】
上記した第一の吸引孔24c及び第二の吸引孔24eは、図示しない吸引手段に接続される。第一の吸引孔24cは、ウエーハ保持部281の吸着チャック281aの裏面側空間Sに接続されて、吸着チャック281aの表面に負圧を作用させ、ウエーハ等を保持する。また、第二の吸引孔24eに負圧を供給することで、円錐台282の下面を吸着して保持テーブル28を支持基台24に固定する。さらに、
図3に示すように、支持基台24の内部には、回転軸24aを回転させる駆動部として機能するパルスモータMが構成されており、保持テーブル28を支持基台24に対して所望の角度だけ回転させることができる。なお、図示は省略するが、X軸送り手段31、Y軸送り手段32、及び保持テーブル28には、周知のリニアスケール等からなる位置検出手段が配設されており、保持テーブル28のX軸方向の位置、Y軸方向の位置、回転方向の位置が正確に検出される。この検出された各位置情報は、図示しない制御手段に伝達され、該制御手段から指示される指示信号に基づいてX軸送り手段31、Y軸送り手段32、及び支持基台24に備えられた上記パルスモータMが駆動され、保持テーブル28を、任意のX座標位置、Y座標位置、及び回転位置に位置付けることが可能である。本実施形態の加工装置1は、概ね上記したとおりの構成を備えており、以下にその作用について説明する。
【0023】
図4には、レーザー加工装置1に配設された保持手段20の一部を構成するY方向可動板22近傍を一部拡大した斜視図と共に、ウエーハ10を保持テーブル28上に載置する状態が示されている。また、
図5には、保持テーブル28にウエーハ10を載置した状態の側面図を示している。図に示されているように、Y方向可動板22上であって、支持基台24に隣接した位置には、保持テーブル28に向けて光を照射する光源42を備えた発光手段40も配設されている。光源42は、図示しないLED等の光源を備えており、保持テーブル28の円錐台282の側面282aと同一の高さに設定され、光源42から水平方向に照射される光は、円錐台282の側面282aに照射される。
【0024】
図4に示すように、円形を呈する被加工物のウエーハ10は、裏面10b側がダイシングテープTに貼着され、ダイシングテープTを介して環状のフレームFに保持されている。ウエーハ10は、表面10a側において、分割予定ライン12によって格子状に区画された複数の各領域にデバイス14が形成されている。保持テーブル28のウエーハ保持部281の直径は、ウエーハ10よりも小さく形成されており、
図5から理解されるように、ウエーハ10の外周がウエーハ保持部281の外周からはみ出し露出した状態となる。また、保持テーブル28を構成する円錐台282の底面の直径は、ウエーハ保持部281に保持されるウエーハ10の直径よりも大径になるように設定されている。なお、保持テーブル28を構成するウエーハ保持部281の中心座標P0(x0,y0)は、上記したリニアスケール等からの情報に基づいて、図示しない制御手段によってその位置が常に管理されている。
【0025】
ウエーハ10を保持テーブル28上に載置したならば、フレームFをクランプ29で固定すると共に、図示しない吸引手段を作動してウエーハ10を吸引保持する。ウエーハ10を保持テーブル28に吸引保持したならば、図示しない制御手段により移動手段30を作動して、保持テーブル28を移動し、
図5に示すように、円錐台282の側面282aにおいて、発光手段40の光源42からの光Lが照射される位置を撮像手段60の直下に、すなわち、ウエーハ10の外周を保持テーブル28に対向する方向から撮像可能な位置に位置付ける。
【0026】
撮像手段60の直下に円錐台282の側面282aにおける光Lの照射位置を位置付けたならば、発光手段40を作動し、光源42から円錐台282の側面282aに光Lを照射して、側面282aにおいて該光Lを上方に90度方向転換して撮像手段60に向けて反射し、撮像手段60に投影する。撮像手段60に投影されたウエーハ10の所定の外縁部Aを第一外縁部Aとし、この第一外縁部Aを撮像手段60によって撮像し、撮像した情報を図示しない制御手段に送信し、該制御手段において、第一外縁部Aの座標A(x1,y1)を求め、図示しない制御手段のメモリに記憶する。
【0027】
さらに、上記した状態から、保持テーブル28を矢印Rで示す方向に回転すべく、回転軸24aを回転する駆動部(パルスモータM)を作動して90度だけ回転する。次いで、発光手段40を作動し、光源42から円錐台282の側面282aに光Lを照射して、側面282aにおいて該光Lを上方に90度方向転換すべく撮像手段60に向けて反射する。このとき撮像手段60に投影されたウエーハ10の所定の外縁部を第二外縁部Bとし、この第二外縁部Bを撮像手段60によって撮像し、第二外縁部Bの座標B(x2,y2)を求め、図示しない制御手段のメモリに記憶する。
【0028】
さらに、ウエーハ10の第二外縁部Bの座標Bを検出した状態から、保持テーブル28を矢印Rで示す方向に90度だけ回転駆動して、発光手段40を作動し、光源42から円錐台282の側面282aに光Lを照射する。このときの撮像手段60に投影されたウエーハ10の所定の外縁部を第三外縁部Cとし、この第三外縁部Cを撮像手段60によって撮像し、第三外縁部Cの座標C(x3,y3)を求め、図示しない制御手段のメモリに記憶する。
【0029】
第一外縁部Aを撮像した状態における、保持テーブル28の中心座標P0(x0,y0)及びウエーハ10の中心座標P1(x0’,y0’)の間隔、すなわち、中心のずれ量を(r)とし、該(r)とX軸との角度をθとした場合のウエーハ10の中心座標P1(x0’,y0’)のx0’、Y0’は以下のようにして算出される。
【0030】
x0’=x0+rcosθ ・・・ (1)
【0031】
y0’=y0+rsinθ ・・・ (2)
【0032】
さらに、第一外縁部Aの座標A(x1,y1)とその時のウエーハ10の中心座標P1(x0’,y0’)との間隔、すなわちウエーハ10の半径(R)については、第一外縁部Aの座標A及び該ウエーハ10の中心座標P1を結ぶ線を斜辺とする直角三角形を想定することにより、以下のような式が成立する。
【0033】
R2=[x1-(x0+rcosθ)]2
+[y1-(y0+rsinθ)]2 ・・・(3)
【0034】
また、第一外縁部Aを撮像した状態から90度(π/2)回転させた際に撮像される第二外縁部Bの座標B(x2,y2)と、その時のウエーハ10の中心座標との間隔、その状態からさらに90度(π/2)回転させた際に撮像される第三外縁部Cの座標C(x3,y3)と、その時のウエーハ10の中心座標との間隔はいずれもウエーハ10の半径(R)であることから、上記と同様に以下の式が成立する。
【0035】
R2=[x2-(x0+rcos(θ+π/2))]2
+[y2-(y0+rsin(θ+π/2))]2 ・・・(4)
【0036】
R2=[x3-(x0+rcos(θ+π)]2
+[y3-(y0+rsin(θ+π))]2 ・・・(5)
【0037】
そして、上記した式(1)~式(5)に基づいて、第一外縁部Aを撮像した際のウエーハ10の中心の座標P1(x0’,y0’)が算出されることから、保持テーブル28の中心座標P0(x0,y0)に対する、ウエーハ10の中心の座標P1のずれが正確に把握される。なお、当該ウエーハ10の中心座標P1の算出方法については、上記した特許文献1にも記載されており、詳細については省略する。ウエーハ10の中心座標P1、及び保持テーブル28の中心座標P0に対するずれが検出されたならば、当該ずれに関する情報を該制御手段に補正情報として記憶し、レーザー加工装置1によってウエーハ10を加工する際に活用する。これにより、保持テーブル28にウエーハ10を保持した際に、ウエーハ10の中心が保持テーブル28の中心に対してずれていたとしても、保持テーブル28を適切に移動させて、ウエーハ10上の分割予定ラインに沿って、正確にレーザー加工を施すことが可能となる。
【0038】
上記した実施形態によれば、保持テーブル28の直径が支持基台24の直径よりも小さい場合であっても、保持テーブル28の円錐台282の側面282aで光を反射してウエーハ10の外周を撮像でき、ウエーハ10の外周における所定の外縁部を良好に撮像することができ、ウエーハ10の中心座標P1の保持テーブル28の中心P0に対するずれを検出することが可能である。また、支持基台24や保持テーブル28に光源を配設する必要がないため、生産コストを抑えることが可能となる。
【0039】
本発明は、
図5に基づいて説明した一般的なウエーハ10に限定されず、他の円形を呈する被加工物にも適用することが可能である。例えば、ウエーハの外周余剰領域以外のデバイス領域に対応する裏面を研削して裏面の外周余剰領域に対応する裏面にリング状の補強部を形成し、その後いくつかの工程を経てウエーハを個々のデバイスに分割するレーザー加工装置においても上記と同様な格別な効果を奏することができる。以下に、
図6を参照しながら、より具体的に説明する。
【0040】
図6には、裏面10’b側の外周にリング状の補強部11が形成されたウエーハ10’が、ダイシングテープTを介してフレームF(図示は省略する。)に支持され、保持テーブル28のウエーハ保持部281上に吸引保持された状態の側面図が示されている。
【0041】
図に示すように、ウエーハ保持部281の上面は、ウエーハ10’よりも小径で形成されている。よって、ウエーハ10’の外周余剰領域に形成されたリング状の補強部11が外方に露出している。さらに、円錐台282の側面282aの底面の直径がウエーハ保持部282aに保持されるウエーハ10’の直径よりも大径に形成されている。そして、発光手段40の光源42から照射される光Lが、側面282aで反射することにより、上記した実施形態と同様に、ウエーハ10’の外縁部を投影し、撮像手段60により撮像することができる。上記したように、保持テーブル28のウエーハ保持部282aの直径は、被加工物であるウエーハ10’の直径よりも小さく設定されていることから、リング状の補強部11は、ウエーハ保持部282aの外側に露出し、補強部11がウエーハ10’を保持する際になんら支障をきたさず、ウエーハ10’の表面10aは平坦な状態で保持される。これにより、上記した手順により、ウエーハ10’の中心と、保持テーブル28の中心とのずれを良好に検出することができる。
【0042】
本発明によれば、上記した実施形態に限定されず、種々の変形例が提供される。以下に
図7を参照しながら、別実施形態として示される保持テーブル28’について説明する。なお、
図7に示す支持基台24は、
図2、及び
図3に基づき説明した支持基台24と同一の部材であり、具体的な説明は省略する。
【0043】
保持テーブル28’は、被加工物であるウエーハ10を保持するウエーハ保持部281’と、ウエーハ保持部281’を上面で支持する円錐台282’とを備えている。保持テーブル28’の上面には、通気性を有する多孔質材料から形成され実質上水平に延在する円形状の吸着チャック281’aが配置されている。さらに、保持テーブル28’のウエーハ保持部281’の外周には、保持テーブル28’に載置されるウエーハ10の外周を支持すべく、吸着チャック281’aを囲むようにリング状に形成された補助テーブル283が配設されている。なお、円錐台282’は、
図2、及び
図3に基づいて説明した円錐台282と同一の構成を有しており、具体的な構成についての説明は省略する。
【0044】
補助テーブル283には、円錐台282’の側面282’aで反射した光Lを透過して、ウエーハ10の外縁部(2点鎖線で示す。)を照射する開孔283aが少なくとも8箇所形成されている。開孔283aは、
図7に示しているように、ウエーハ保持部281’にウエーハ10が載置され保持された時に、ウエーハ10の外周と一致する円周上に配設される。また、上記したように、保持テーブル28’を90度ずつ回転してウエーハ10の外縁を投影して少なくとも3箇所撮像する場合は、補助テーブル283上の開孔283aは、少なくとも3箇所、好ましくは、均等に4箇所、又は均等に8箇所に形成するのがよい。
【0045】
上記したように、ウエーハ保持部281’を囲むように、開孔283aを備えた補助テーブル283を形成することにより、ウエーハ保持部281’がウエーハ10の直径よりも小さく形成される場合であっても、補助テーブル283によって、ウエーハ10の外周を支持することができ、外周においてウエーハ10が撓んで変形したりすることが防止されると共に、少なくとも3箇所以上形成された開孔283aによってウエーハ10の外周が露出されていることで、円錐台282’の側面282’aで反射された光Lによってウエーハ10の各外縁部を撮像して各外縁部の座標を求めることができ、ウエーハ10の中心の座標位置を検出することができる。
【0046】
また、上記した実施形態では、保持テーブル28を構成する円錐台282の側面282aの傾斜角度を45度で形成したが、本発明は必ずしも45度に限定されず、別の傾斜角度であってもよい。円錐台282の側面282aを45度以外の傾斜角度とする場合は、発光手段40から照射される光Lが、ウエーハ10の外周の外縁部を照射して得られる投影画像を撮像手段60が撮像できるように、側面282aに向けて光Lを照射する角度を、該傾斜角度に合わせて適宜調整することが好ましい。
【0047】
上記した実施形態では、ウエーハ10を90度ずつ回転し、第一の外縁部A,第二の外縁部B、及び第三の外縁部Cの座標を検出してウエーハ10の中心座標P1(x0’,y0’)を検出したが、本発明はこれに限定されず、他の手順を用いて中心P1の座標を求めるようにしてもよい。例えば、ウエーハ10の任意の外縁部3箇所の座標を検出したならば、各3箇所の外縁部の点を結ぶ直線を算出し、各直線の垂直二等分線を求め、各垂直二等分線の交点をウエーハ10の中心P1の座標として求めることができる。
【0048】
また、上記した実施形態では、本発明をレーザー加工装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、切削ブレードを用いたダイシング装置等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1:レーザー加工装置
2:基台
10、10’:ウエーハ
11:補強部
12:デバイス
14:分割予定ライン
20:保持手段
22:Y方向可動板
24:支持基台
24a:回転軸
24b:大径凹部
24c:第一の吸引孔
24d:位置決め凹部
24e:第二の吸引孔
28、28’:保持テーブル
281、281’:ウエーハ保持部
281a、281’a:吸着チャック
282、282’:円錐台
282a、282’a:側面
282b:大径凸部
282c:位置決め凸部
30:移動手段
40:発光手段
42:光源