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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】汽水分離タンク
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20220831BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20220831BHJP
   B01J 4/00 20060101ALI20220831BHJP
   B23Q 3/08 20060101ALI20220831BHJP
【FI】
H01L21/78 F
B01D19/00 B
B01J4/00 103
B23Q3/08 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017195918
(22)【出願日】2017-10-06
(65)【公開番号】P2019071326
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植山 博光
(72)【発明者】
【氏名】楠 欣浩
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-144181(JP,A)
【文献】特開2006-289256(JP,A)
【文献】特開2000-153128(JP,A)
【文献】特開2006-343064(JP,A)
【文献】特開2016-087568(JP,A)
【文献】特開2015-193054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B01D 19/00
B01J 4/00
B23Q 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汽水分離タンクであって、
吸引ポンプを介して吸引された気体と液体との混合流体が導入される対面する2つの導入口と、
該2つの導入口より下方に形成された液体排出口を含む液体貯留部と、
該液体貯留部より上方に形成され吸引源に接続される気体排出口と、を有するタンク本体と、
該タンク本体の内部に配設され、該導入口から導入された該混合流体が該気体排出口へ流出するのを防止する2つの流出防止壁と、
該2つの導入口の双方に対面して配設され、該2つの導入口から導入された前記混合流体の流入速度を減速させる1つの減速壁と、
を備え
該2つの導入口は、該汽水分離タンクの対面する側面にそれぞれ配設され、
該2つの流出防止壁は、該2つの導入口から該液体排出口側に向けて平行に並んで該汽水分離タンクの上面から垂下し、
該液体排出口に近い側の流出防止壁の下端は、該液体排出口から遠い側の流出防止壁の下端よりも低い位置にある
汽水分離タンク。
【請求項2】
前記液体貯留部の底部に立設され、前記液体排出口から排出される液体の流出量を制限する堤防壁を備えた、請求項1に記載の汽水分離タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汽水分離タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
被加工物を研削する研削装置や切削する切削装置などの加工装置は、被加工物を吸引保持するチャックテーブルを備えている。チャックテーブルには、吸引力を生成するためのバキューム生成機構が接続されている。バキューム生成機構は、チャックテーブルに接続された水封式バキュームポンプと、水封式バキュームポンプから排出される水を循環利用するための汽水分離タンクとを備えている。汽水分離タンクには、気体と液体とからなる混合流体が導入される導入口と、タンク内に導入された混合流体に含まれる気体と液体とを排出する気体排出口と液体排出口とが形成され、気体排出口は吸引源に接続された構成となっている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-144181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような汽水分離タンクは、比較的大きく、加工装置に外付けされて配設されている。汽水分離タンクを小型化しようとすると、導入口と気体排出口との間隔が広く取れないため、タンク内に導入された混合流体がそのまま汽水分離されない状態で気体排出口から排出されてしまい問題となっている。
【0005】
本発明の目的は、小型化を可能とする汽水分離タンクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、汽水分離タンクであって、吸引ポンプを介して吸引された気体と液体との混合流体が導入される対面する2つの導入口と、該2つの導入口より下方に形成された液体排出口を含む液体貯留部と、該液体貯留部より上方に形成され吸引源に接続される気体排出口と、を有するタンク本体と、該タンク本体の内部に配設され、該導入口から導入された該混合流体が該気体排出口へ流出するのを防止する2つの流出防止壁と、該2つの導入口の双方に対面して配設され、該2つの導入口から導入された前記混合流体の流入速度を減速させる1つの減速壁と、を備え、該2つの導入口は、該汽水分離タンクの対面する側面にそれぞれ配設され、該2つの流出防止壁は、該2つの導入口から該液体排出口側に向けて平行に並んで該汽水分離タンクの上面から垂下し、該液体排出口に近い側の流出防止壁の下端は、該液体排出口から遠い側の流出防止壁の下端よりも低い位置にある汽水分離タンクである。
【0007】
また、上記液体貯留部の底部に立設され、前記液体排出口から排出される液体の流出量を制限する堤防壁を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る汽水分離タンクは、吸引ポンプを介して吸引された気体と液体との混合流体が導入される導入口と、導入口より下方に形成された液体排出口を含む液体貯留部と、液体貯留部より上方に形成され吸引源に接続される気体排出口と、を有するタンク本体と、タンク本体の内部に配設され、導入口から導入された混合流体が気体排出口へ流出するのを防止する流出防止壁とを備えたため、導入口と気体排出口との間隔を広げることなく導入口から気体排出口までの経路を長くとり、タンク本体を小型化することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る汽水分離タンクは、上記液体貯留部の底部に立設され、上記液体排出口から排出される液体の流出量を制限する堤防壁を備えたため、液体排出口から液体が過度に排出するのを防止することができる。
【0010】
さらに、本発明に係る汽水分離タンクは、上記導入口に対面して配設され、導入口から導入された上記混合流体の流入速度を減速させる減速壁を備えたため、タンク本体内に導入された混合流体の流れの勢いを弱めることができ、混合流体が気体排出口から流出するのを防止しうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】切削装置の一例の構成を示す斜視図である。
図2】保持テーブル及びバキューム生成機構の構成を示す説明図である。
図3】汽水分離タンクの第1例を示す側面図である。
図4】汽水分離タンクの第2例を示す側面図である。
図5】(a)は汽水分離タンクの第3例を示す平面図である。(b)は汽水分離タ ンクの第3例を示す側面図である。
図6】(a)は汽水分離タンクの第4例を示す平面図である。(b)は汽水分離タ ンクの第4例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す切削装置1は、矩形板状の板状ワークWに切削加工を施す切削装置の一例である。板状ワークWは、例えばCSP(Chip Size Package)基板やQFN(Quad Flat Non-leaded Package)基板などのパッケージ基板である。板状ワークWは、その表面において格子状に設けられた分割予定ラインSによって区画されて複数の領域が形成され、個々の領域にデバイスDが埋設されている。
【0013】
切削装置1は、装置ベース100を有し、装置ベース100の上には、板状ワークWを吸引保持する保持テーブル10a、10bと、保持テーブル10a、10bをX軸方向に加工送りする加工送り手段13a、13bとを備えている。加工送り手段13a、13bは、X軸方向に延在するボールネジ130と、ボールネジ130の一端に接続されたモータ131と、ボールネジ130と平行に延在する一対のガイドレール132と、X軸方向に水平に移動可能な移動基台133とを備えている。各移動基台133の上面には、保持テーブル10a、10bを支持した回転支持台17が立設されている。移動基台133の下面には、一対のガイドレール132が 接し、移動基台133の中央に形成されたナットにはボールネジ130が螺合している。モータ131によって駆動されてボールネジ130が回動することにより、移動基台133とともに保持テーブル10a、10bをガイドレール132に沿ってX軸方向に移動させることができる。
【0014】
装置ベース100のX軸方向後部において立設された門型のコラム101を有している。コラム101には、板状ワークWを切削する切削手段14a、14bと、切削手段14a、14bをそれぞれY軸方向に割り出し送りする割り出し送り手段15a、15bと、切削手段14a、14bをそれぞれZ軸方向に昇降させる昇降手段16a、16bとが配設されている。切削手段14a、14bは、回転軸方向(Y軸方向)の軸心を有するスピンドル140と、スピンドル140を回転可能に囲繞するスピンドルハウジング141と、スピンドル140の先端に装着された切削ブレード142とを備えている。図示しないモータによってスピンドル140を回転させることにより、切削ブレード142を回転させることができる。
【0015】
割り出し送り手段15a、15bは、Y軸方向に延在するボールネジ150と、ボールネジ150の先端に接続されたモータ151と、ボールネジ150と平行に延在するガイドレール152と、切削手段14a、14bをY軸方向にそれぞれ移動させる移動部153とを備えている。移動部153の側部に各ガイドレール152が 接しており、移動部153の中央部に形成されたナットにはボールネジ150が螺合している。モータ151によって駆動されてボールネジ150が回動することにより、移動部153とともに切削手段14a、14bをそれぞれY軸方向に割り出し送りすることができる。本実施形態に示すコラム101には、開口102が形成されており、切削手段14a、14bがY軸方向において互いに離反する向きに移動する際に、スピンドルハウジング141の後部側が開口102を通過する。昇降手段16a、16bは、Z軸方向に延在する図示しないボールネジと、ボールネジの一端に接続されたモータ160とを少なくとも備え、モータ160によって駆動されてボールネジが回動することにより、切削手段14a、14bをそれぞれZ軸方向に昇降させることができる。
【0016】
図2に示すように、保持テーブル10a、10bは、板状ワークWを吸引保持する治具チャックテーブル11と、治具チャックテーブル11が固定されるテーブルベース12とにより構成され、保持テーブル10a、10bには吸引力を生成するためのバキューム生成機構2が接続されている。治具チャックテーブル11は、例えば四角形状に形成され、上面が板状ワークWを吸引保持する保持面11aとなっている。治具チャックテーブル11は、分割予定ラインSに対応したブレード逃げ溝111が形成されるとともにブレード逃げ溝111で区画された各領域に板状ワークWの各チップを吸引するチップ吸引孔110が形成されている。
【0017】
テーブルベース12には、治具チャックテーブル11を吸引保持するためのテーブルベース吸引孔122が形成されている。テーブルベース吸引孔122は、バルブ4aを介して吸引源3aに接続されている。バルブ4aを開くことにより、テーブルベース吸引孔122を通じてテーブルベース12の上面に吸引力を作用させて治具チャックテーブル11を吸引保持することができる。また、テーブルベース12には、チップ吸引孔110に連通する吸引溝120と、一端が吸引溝120に連通し他端が吸引経路40に連通する吸引孔121とが形成されている。
【0018】
バキューム生成機構2は、吸引ポンプ30と、本発明に係る汽水分離タンク20とを備えている。吸引ポンプ30は、ケーシング31と、ケーシング31に対して偏心する位置に回転可能に取り付けられた羽根車32とからなる水封式バキュームポンプである。ケーシング31には、吸引口33と水供給口34と排出口35とが形成されている。吸引口33は、吸引経路40を通じて吸引孔121に連通しており、板状ワークWの切削時に板状ワークWに供給された加工水を吸引口33で吸引することができる。吸引経路40には、吸引ポンプ30側から気体や液体などが保持テーブル10a、10b側へ逆流するのを防止する逆止弁5が配設されている。汽水分離タンク20の構成については、後述で詳しく説明する。
【0019】
水供給口34には水供給源6が接続されている。水供給源6は、例えば市水などの水が溜められたタンクである。水供給口34は、循環経路41を通じて汽水分離タンク20に連通しており、排出口35は、循環経路42を通じて汽水分離タンク20に連通している。吸引ポンプ30では、水供給源6から送出された水を水供給口34からケーシング31内に供給しつつ羽根車32を回転させることにより、遠心力によってケーシング31の内壁に沿ってリング状の封水を形成しながら吸引口33からエア及び加工水を吸引するとともに、その吸引したエアや加工水を圧縮して排出口35から混合流体として排出する構成となっている。
【0020】
[汽水分離タンクの第1例]
次に、汽水分離タンク20の構成について説明する。図3に示すように、汽水分離タンク20は、縦置き型で箱状のタンク本体21を備えている。タンク本体21は、図2に示した吸引ポンプ30を介して混合流体7が導入される導入口211と、導入口211より下方に形成された液体排出口213と循環液流出口215とを含む液体貯留部212と、液体貯留部212より上方に形成された気体排出口214と、液体排出口213と気体排出口214との間の所定の高さ位置に形成されたオーバーフロー排出口216とを有している。
【0021】
図3の例に示す導入口211及び気体排出口214は、タンク本体21の上面210aに形成されている。導入口211は、図2に示す循環経路42を介して吸引ポンプ30の排出口35に連通している。導入口211から混合流体7がタンク本体21内に導入されると、液体貯留部212の底部212aに水8が貯留される。特に、液体貯留部212の底部212aには、混合流体7から分離された水8が自重によって溜まりやすくなっている。なお、点線で示す部分は、液体貯留部212に貯留された水8の水面を図示したものである。
【0022】
液体排出口213は、図2に示すバルブ4bを介して排水管44に接続されており、液体貯留部212に貯留された水8が液体排出口213から排水管44へと排出される構成となっている。循環液流出口215は、循環経路41を介して吸引ポンプ30の水供給口34に連通しており、液体貯留部212に貯留された水8を吸引ポンプ30に供給して循環利用することができる。
【0023】
気体排出口214は、吸引源3bに接続されている。吸引源3bの稼働によって、タンク本体21内で混合流体7から分離したエア9を吸引して気体排出口214からタンク本体21の外側へ排出することができる。オーバーフロー排出口216は、オーバーフロー経路43を介して排水管44に接続されている。これにより、液体貯留部212に貯留された水8の水量が増えて所定の水位を越えたらオーバーフロー排出口216から水8を排出することが可能となっている。
【0024】
タンク本体21の内部には、導入口211から導入された混合流体7が気体排出口214へ流出するのを防止する流出防止壁22を備えている。流出防止壁22によって導入口211側の空間200と気体排出口214側の空間201とに仕切られている。これにより、導入口211から空間200に導入された混合流体7が流出防止壁22によって遮られるため、混合流体7が空間201へ流出するのを防ぎ、混合流体7が水8とエア9とに分離されないまま気体排出口214から流出するのを防ぐことができる。このように、本発明に係る汽水分離タンク20は、タンク本体21の内部に流出防止壁22を設けたため、導入口211と気体排出口214との間隔を広げることなく導入口211から気体排出口214までの経路を長くとり、タンク本体21を小型化することができる。
【0025】
液体貯留部212の底部212aに、液体排出口213から排出される水8の流出量を制限する堤防壁23が立設されており、堤防壁23によって液体貯留部212が2つの領域に区画されている。そのため、堤防壁23から図中左側(循環液流出口215側)の領域に水8を貯留しつつ、循環液流出口215から吸引ポンプ30に向けて水を循環供給することができる。また、液体貯留部212に貯留された水8が堤防壁23を越えて図中右側(液体排出口213側)の領域に水8が流れ込むことで、液体排出口213から水8を排出することができる。このように、本発明に係る汽水分離タンク20は、液体貯留部212の底部212aに堤防壁23を設けたため、液体排出口213から水8が過度に排出するのを防止することができる。なお、堤防壁23の高さは、特に限定されず任意に設定される。
【0026】
タンク本体21の内部には、導入口211に対面して配設され、導入口211から導入された混合流体7の流入速度を減速させる減速壁24を備えている。減速壁24と流出防止壁22との間には、隙間240が形成されている。導入口211からタンク本体21の内部に混合流体7が導入されると、導入口211の直下にある減速壁24に混合流体7が当たって減速するとともに、混合流体7が隙間240を通過して液体貯留部212に向けて流下する。このように、本発明に係る汽水分離タンク20は、タンク本体21の内部に導入口211から導入された混合流体7の流入速度を減速させる減速壁24を設けたため、タンク本体21内に導入された混合流体7の流れの勢いを弱めることができ、混合流体7が気体排出口214から流出するのを防止しうる。
【0027】
[汽水分離タンクの第2例]
図4に示す汽水分離タンク20Aは、縦置き型で箱状のタンク本体21Aを備えている。タンク本体21Aは、混合流体7が導入される導入口211aをタンク本体21Aの側面210bに有している。第2例では、混合流体7が側面210b側の導入口211aからタンク本体21Aの内部に導入される。なお、第2例において上記した汽水分離タンク20と同様の構成部分については、共通の符号を付している。
【0028】
タンク本体21Aの内部には、導入口211aから導入された混合流体7が気体排出口214へ流出するのを防止するとともに導入口211aから導入された混合流体7の流入速度を減速させることができる流出防止壁兼減速壁25を備えている。流出防止壁兼減速壁25によって、導入口211a側の空間200と気体排出口214側の空間201とに仕切られ、導入口211aから空間200に導入された混合流体7が流出防止壁兼減速壁25によって遮られるため、混合流体7が空間201へ流入するのを防ぐことができる。また、導入口211aからタンク本体21Aの内部に導入された混合流体7は、流出防止壁兼減速壁25に当たってから液体貯留部212に向けて流下するため、混合流体7の流入速度を減速させることができる。このように、汽水分離タンク20Aについても、上記汽水分離タンク20と同様、混合流体7が気体排出口214から流出するのを防止しうる。
【0029】
[汽水分離タンクの第3例]
図5(a)及び(b)に示す汽水分離タンク20Bは、横置き型で箱状のタンク本体21Bを備えている。タンク本体21Bは、図示しない吸引ポンプを介して混合流体7が導入される第1導入口217aと第2導入口217bと、第1導入口217a及び第2導入口217bより下方に形成された液体排出口219と循環液流出口220とを含む液体貯留部218と、液体貯留部218より上方に形成された気体排出口221と、液体排出口219と気体排出口221との間の所定の高さ位置に形成されたオーバーフロー排出口222とを有している。
【0030】
タンク本体21Bの内部には、図5(b)に示すように、第1導入口217a及び第2導入口217bから導入された混合流体7が気体排出口214へ流出するのを防止する流出防止壁26を備えている。流出防止壁26は、タンク本体21Bの後方側で、かつ、第1導入口217a及び第2導入口217bと気体排出口221との間の位置に配設されている。流出防止壁26により第1導入口217a及び第2導入口217b側の空間202と気体排出口221側の空間203とに仕切られている。これにより、第1導入口217a及び第2導入口217bから空間202に導入された混合流体7が流出防止壁26によって遮られるため、混合流体7が空間203へ流入するのを防ぎ、混合流体7が水8とエア9とに分離されないまま気体排出口221から流出するのを防ぐことができる。
【0031】
第1例と同様に、液体貯留部218の底部218aに、液体排出口219から排出される水8の流出量を制限する堤防壁27が立設されており、この堤防壁27によって液体貯留部218が2つの領域に区画されている。そのため、堤防壁27から図中左側(循環液流出口220側)の領域に水8を貯留しつつ、循環液流出口220から吸引ポンプに向けて水8を循環供給することができる。また、液体貯留部218に貯留された水8が堤防壁27を越えて図中右側(液体排出口219側)の領域に水8が流れ込むことで、液体排出口219から水8を排出することができる。
【0032】
タンク本体21の内部には、流出防止壁26の下端に連接され水平方向に延在する減速壁28を備えている。第1導入口217a及び第2導入口217bからタンク本体21Bの内部に混合流体7が導入されると、第1導入口217a及び第2導入口217bの直下にある減速壁28に混合流体7が当たって減速するとともに、減速壁28に沿って混合流体7がガイドされ液体貯留部218に向けて流下する。このように、汽水分離タンク20Bについても、上記汽水分離タンク20と同様、混合流体7が気体排出口221から流出するのを防止しうる。
【0033】
[汽水分離タンクの第4例]
図6(a)及び(b)に示す汽水分離タンク20Cは、横置き型で箱状のタンク本体21Cを備えている。タンク本体21Cは、図示しない吸引ポンプを介して混合流体7が導入される第1導入口223aと第2導入口223bとをタンク本体21Cの側面210bに有している。なお、第4例において上記した汽水分離タンク20Bと同様の構成部分については、共通の符号を付している。
【0034】
タンク本体21Cの内部には、図6(b)に示すように、第1導入口223a及び第2導入口223bから導入された混合流体7が気体排出口221へ流出するのを防止する第1流出防止壁290と第2流出防止壁291とからなる流出防止壁29を備えている。第1流出防止壁290は、第1導入口223a及び第2導入口223bよりも後方側の位置に配設されている。第2流出防止壁291は、第1流出防止壁290と所定の間隔をあけて、かつ、気体排出口221よりも前方側の位置に配設されている。流出防止壁29により、タンク本体21Cの内部が3つの空間204,205,206に仕切られている。これにより、第1導入口223a及び第2導入口223bから空間204に導入された混合流体7が第1流出防止壁290によって遮られ、たとえ混合流体7が空間205に流入しても、第2流出防止壁291によって遮られるため、混合流体7が空間206へ流入するのを防ぎ、気体排出口221から混合流体7が流出するのを防ぐことができる。
【0035】
第3例と同様に、液体貯留部218の底部218aに、液体排出口219から排出される水8の流出量を制限する堤防壁27aが立設されており、この堤防壁27aによって液体貯留部218が2つの領域に区画されている。また、タンク本体21Cの内部には、第1流出防止壁290の下端に連接され水平方向に延在する減速壁28aとを備えている。第1導入口223a及び第2導入口223bからタンク本体21Bの内部に混合流体7が導入されると、第1導入口223a及び第2導入口223bの直下にある減速壁28aに混合流体7が当たって減速するとともに、減速壁28aに沿って混合流体7がガイドされ液体貯留部218に向けて流下する。このように、汽水分離タンク20Cについても、上記汽水分離タンク20と同様、混合流体7が気体排出口221から流出するのを防止しうる。図5及び図6に示したように、混合流体7が導入される導入口を2つ備えた汽水分離タンク20B,20Cによれば、1台だけで、図1に示したような2つのチャックテーブルを備えた切削装置1をまかなうことができる。また、実際に使用される装置では、横置き型の汽水分離タンクの下にそれぞれのチャックテーブル用の吸引ポンプを配置した構成となっている。縦置き型の汽水分離タンクを加工装置に組み込む場合は、吸引ポンプと汽水分離タンクとを同一面に並べて配置する必要があるため、フットプリントが大きくなるが、横置き型の汽水分離タンクによれば、汽水分離タンクの下に吸引ポンプが配置されるため、装置が大型化するのを防ぐことができる。
【0036】
本実施形態では、矩形板状の被加工物を切削する切削装置1に汽水分離タンク20,20A,20B,20Cを搭載したが、本発明が適用される装置は、上記した切削装置1に限定されない。したがって、円形板状の被加工物を切削する切削装置や研削装置等の他の加工装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1:切削装置 100:装置ベース 101:コラム 102:開口
2:バキューム生成機構 3a,3b:吸引源 4a,4b:バルブ 5:逆止弁
6:水供給源 7:混合流体 8:水 9:エア
10:保持テーブル 11:治具チャックテーブル 110:チップ吸引孔
111:ブレード逃げ溝 12:テーブルベース 120:吸引溝 121:吸引孔
122:テーブルベース吸引孔
13a,13b:加工送り手段 130:ボールネジ 131:モータ
132:ガイドレール 133:移動基台
14a,14b:切削手段 140:スピンドル 141:切削ブレード
15a,15b:割り出し送り手段 150:ボールネジ 151:モータ
152:ガイドレール 153:移動部
16a,16b:昇降手段 160:モータ 17:回転支持台
20,20A,20B,20C:汽水分離タンク
21,21A,21B,21C:タンク本体 210a:上面 210b:側面
211,211a:導入口 212:液体貯留部 212a:底部 213:液体排出口214:気体排出口 215:循環液流出口 216:オーバーフロー排出口
217a:第1導入口 217b:第2導入口 218:液体貯留部 218a:底部
219:液体排出口 220:循環液流出口 221:気体排出口
222:オーバーフロー排出口 223a:第1導入口 223b:第2導入口
22:流出防止壁 23:堤防壁 24:減速壁 25:流出防止壁兼減速壁
26:流出防止壁 27,27a:堤防壁 28,28a:減速壁
29:流出防止壁 290:第1流出防止壁 291:第2流出防止壁
30:吸引ポンプ 31:ケーシング 32:羽根車 33:吸引口 34:水供給口
35:排出口
40:吸引経路 41,42:循環経路 43:オーバーフロー経路 44:排水管
図1
図2
図3
図4
図5
図6