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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-30
(45)【発行日】2022-09-07
(54)【発明の名称】部品回収装置、および部品装着機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20220831BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020559679
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2018046205
(87)【国際公開番号】W WO2020121535
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 寛芝
(72)【発明者】
【氏名】水野 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】篭嶋 裕之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 陽介
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/212548(WO,A1)
【文献】特開2006-165432(JP,A)
【文献】特開2006-196824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の装着作業を実行する部品装着機に設けられ、上方に開口する開口部を有して、前記部品のうち前記装着作業に適さないと判定された不適合部品を回収する回収容器と、
前記回収容器に回収された前記不適合部品の回収状態を空間的に検出する回収状態検出部と、を備え
前記回収状態検出部は、前記回収容器が前記不適合部品で満杯に近づいた状態、および前記回収容器の前記開口部に大型の前記不適合部品が跨って乗っている状態を検出する、
部品回収装置。
【請求項2】
部品の装着作業を実行する部品装着機に設けられ、上方に開口する開口部を有して、前記部品のうち前記装着作業に適さないと判定された不適合部品を回収する回収容器と、
前記回収容器に回収された前記不適合部品の回収状態を空間的に検出する回収状態検出部と、を備え
前記回収状態検出部は、前記回収容器の前記開口部の近傍の一箇所に配置されて前記開口部を通る検出光を発射する発光部、および前記開口部の近傍の他箇所に配置されて前記検出光が入射する受光部を含んで構成され、満杯に近づいた前記不適合部品により前記検出光が遮られる遮光状態を検出する遮光検出センサであり、
前記遮光検出センサは、前記検出光の光軸が前記回収容器の長さ方向、幅方向、および高さ方向の少なくとも一方向に対して傾斜しており、前記回収容器の前記開口部に跨って乗る大型の前記不適合部品により前記検出光が遮られる前記遮光状態を検出する、
部品回収装置。
【請求項3】
部品の装着作業を実行する部品装着機に設けられ、上方に開口する開口部を有して、前記部品のうち前記装着作業に適さないと判定された不適合部品を回収する回収容器と、
前記回収容器に回収された前記不適合部品の回収状態を空間的に検出する回収状態検出部と、を備え
前記回収状態検出部は、前記回収容器の前記開口部の近傍の一箇所に配置されて前記開口部を通る検出光を発射する発光部、および前記開口部の近傍の他箇所に配置されて前記検出光が入射する受光部を含んで構成され、満杯に近づいた前記不適合部品により前記検出光が遮られる遮光状態を検出する遮光検出センサであり、
前記回収容器は、前記開口部の周縁の高さが部分的に異なり、
前記遮光検出センサは、前記回収容器の前記開口部に傾斜した姿勢で跨って乗る大型の前記不適合部品により前記検出光が遮られる前記遮光状態を検出する、
部品回収装置。
【請求項4】
部品の装着作業を実行する部品装着機に設けられ、上方に開口する開口部を有して、前記部品のうち前記装着作業に適さないと判定された不適合部品を回収する回収容器と、前記回収容器に回収された前記不適合部品の回収状態を空間的に検出する回収状態検出部と、を備える部品回収装置と、
前記部品を採取し、搬送し、解放して前記装着作業を実行する装着実行装置と、
前記部品が前記装着作業に適するか否かを判定し、かつ、前記不適合部品を前記回収容器に回収する回収動作を前記装着実行装置に行わせるように制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記回収状態検出部の検出結果に基づいて、前記回収容器から前記不適合部品を取り除く除去作業の要否を判定する、
部品装着機。
【請求項5】
部品の装着作業を実行する部品装着機に設けられ、上方に開口する開口部を有して、前記部品のうち前記装着作業に適さないと判定された不適合部品を回収する回収容器と、前記回収容器に回収された前記不適合部品の回収状態を空間的に検出する回収状態検出部と、を備える部品回収装置と、
前記部品を採取し、搬送し、解放して前記装着作業を実行する装着実行装置と、
前記部品が前記装着作業に適するか否かを判定し、かつ、前記不適合部品を前記回収容器に回収する回収動作を前記装着実行装置に行わせるように制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記回収容器の前記開口部に跨って乗る大きさを有する大型の前記不適合部品を、水平姿勢で前記開口部の中央から外れたオフセット位置の上方に搬送して解放させるように前記装着実行装置を制御し、
大型の前記不適合部品を前記開口部の周縁の一箇所に当接させて傾斜させ、前記回収容器の内部に落下させる、
部品装着機。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載された部品回収装置と、
前記部品を採取し、搬送し、解放して前記装着作業を実行する装着実行装置と、
前記部品が前記装着作業に適するか否かを判定し、かつ、前記不適合部品を前記回収容器に回収する回収動作を前記装着実行装置に行わせるように制御する制御装置と、
を備える部品装着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品回収装置、および、この部品回収装置が設けられる部品装着機に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線が施された基板に対基板作業を実行して、基板製品を量産する技術が普及している。対基板作業を実行する対基板作業機の代表例として、部品の装着作業を実行する部品装着機がある。部品装着機が装着作業を継続すると、装着作業に適さないと判定された不適合部品が発生する。この不適合部品を回収するために、部品回収ボックスが設けられる。回収された不適合部品は、安価であれば廃棄され、高価であれば目視点検などによって良否が確認される。そして、良品と確認された高価な部品は、不適合の判定が取り消されて、再度装着作業に提供される。
【0003】
一般的な部品回収ボックスは、満杯を検出する機能や、回収した不適合部品を自動的に取り除く機構を備えない。このため、満杯の回避は、オペレータの日々のメンテナンス作業に委ねられる。仮に部品回収ボックスが満杯になると、溢れた不適合部品が散乱する不具合や、積み重なった不適合部品に吸着ノズルやチャックなどが干渉する不具合が発生し得る。この種の部品回収ボックスに関連する技術例が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1の部品回収装置は、部品廃棄位置で不適合部品を回収する回収容器と、回収容器を部品廃棄位置から部品回収位置へ移動させる移動機構および制御手段と、を有する。これによれば、部品装着機が稼働中であっても、回収容器を部品回収位置へと移動して、オペレータによる不適合部品の除去作業ができる、とされている。さらに、特許文献1には、不適合部品の廃棄状態を検出する手段として、不適合部品の数を算出することや、重量センサを用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-18910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、不適合部品の数を算出したり、不適合部品の総重量を検出したりして回収容器の満杯状態を検出するが、必ずしも十分な検出精度であるとは言えない。つまり、不適合部品の数や総重量では、不適合部品が占有する空間の大小の目安は得られても、回収容器が満杯に近いか否かを確実に検出することが難しい。
【0007】
さらに、大型の不適合部品が回収容器の開口部に跨って乗った状態では、実質的に開口部が狭くなるため、回収容器の内部が空いていても不適合部品の回収が難しくなる。このように実質的に開口部が狭くなった状態は、不適合部品の数や総重量では検出することができない。この問題点を解決するために回収容器を大形化すると、器具類の機内配置が制約され、場合によっては部品装着機のサイズに影響する。
【0008】
本明細書では、回収容器が満杯に近い状態を確実に検出できる部品回収装置、および、この部品回収装置が設けられる部品装着機を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書は、部品の装着作業を実行する部品装着機に設けられ、上方に開口する開口部を有して、前記部品のうち前記装着作業に適さないと判定された不適合部品を回収する回収容器と、前記回収容器に回収された前記不適合部品の回収状態を空間的に検出する回収状態検出部と、を備える部品回収装置を開示する。
【0010】
また、本明細書は、上記した部品回収装置と、前記部品を採取し、搬送し、解放して前記装着作業を実行する装着実行装置と、前記部品が前記装着作業に適するか否かを判定し、かつ、前記不適合部品を前記回収容器に回収する回収動作を前記装着実行装置に行わせるように制御する制御装置と、を備える部品装着機を開示する。
【発明の効果】
【0011】
本明細書で開示する部品回収装置や部品装着機において、回収状態検出部は、回収容器に回収された不適合部品の回収状態を空間的に検出する。したがって、回収容器の内部の空き空間が狭小となる満杯に近い状態が、確実に検出される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の部品装着機の全体構成を模式的に示す平面図である。
図2】第1実施形態の部品回収装置の斜視図である。
図3】部品回収装置の平面図である
図4】部品回収装置の上部の側面断面図である。
図5】部品装着機の制御の構成を説明するブロック図である。
図6】部品装着機および部品回収装置の動作を説明する制御装置の制御フローの図である。
図7】大型の不適合部品の回収状態を示す斜視図である。
図8】第2実施形態の部品装着機における不適合部品の回収動作を説明する制御装置の制御フローの図である。
図9】第2実施形態において、大型の不適合部品の回収動作を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.部品装着機1の全体構成
第1実施形態の部品回収装置7および部品装着機1のうち、まず部品装着機1の全体構成について図1を参考にして説明する。部品装着機1は、部品を基板Kに装着する装着作業を実行する。図1の紙面の左側から右側に向かう方向が基板Kを搬送するX軸方向、紙面の下側(前側)から上側(後側)に向かう方向がY軸方向となる。部品装着機1は、基板搬送装置2、複数のフィーダ3、部品移載装置4、部品カメラ5、制御装置6、および部品回収装置7などが基台10に組み付けられて構成される。
【0014】
基板搬送装置2は、一対のガイドレール21、22、一対のコンベアベルト、および基板クランプ機構などで構成される。コンベアベルトは、基板Kを載置した状態でガイドレール21、22に沿って輪転することにより、基板Kを作業実行位置まで搬入する。基板クランプ機構は、作業実施位置の基板Kを押し上げてクランプし、位置決めする。部品の装着作業が終了すると、基板クランプ機構は基板Kを解放する。続いて、コンベアベルトは、基板Kを搬出する。
【0015】
複数のフィーダ3は、基台10上のパレット部材11に設けられた複数の溝形状のスロットに着脱可能に装備される。フィーダ3は、本体部31の前側にテープリール39が装填される。本体部31の後側寄りの上部に、部品を供給する供給位置32が設定される。テープリール39には、多数のキャビティにそれぞれ部品を収納したキャリアテープが巻回されている。フィーダ3は、図略のテープ送り機構によりキャリアテープを供給位置32まで送る。これにより、フィーダ3は、キャビティから部品を採取可能とする供給動作を順次行う。なお、フィーダ3の一部または全部に代え、トレイを用いて主に大型の部品を供給するトレイ装置が設けられてもよい。
【0016】
部品移載装置4は、装着実行装置に相当する。部品移載装置4は、基板搬送装置2やフィーダ3よりも上方に配設される。部品移載装置4は、フィーダ3から部品を採取し、搬送し、解放して基板Kに装着する。部品移載装置4は、ヘッド駆動機構40、装着ヘッド45、ノズルツール46、チャックツール46A、およびマークカメラ47などで構成される。
【0017】
ヘッド駆動機構40は、一対のY軸レール41、42、Y軸スライダ43、および図略の駆動モータを含んで構成される。Y軸レール41、42は、Y軸方向に延び、相互に離隔して平行配置される。X軸方向に長いY軸スライダ43は、両方のY軸レール41、42に跨って装架され、Y軸方向に移動する。移動台44は、Y軸スライダ43に装架され、X軸方向に移動する。ヘッド駆動機構40は、Y軸スライダ43をY軸方向に駆動するとともに、Y軸スライダ43上の移動台44をX軸方向に駆動する。
【0018】
移動台44は、装着ヘッド45およびマークカメラ47を保持する。マークカメラ47は、位置決めされた基板Kに付設された位置マークを撮像して、基板Kの作業実行位置を検出する。装着ヘッド45の下側には、ノズルツール46またはチャックツール46Aが設けられる。複数種類のノズルツール46およびチャックツール46Aは、自動で交換される。図1において、装着ヘッド45には、ノズルツール46が設けられている。ノズルツール46は、図略の1本または複数本の吸着ノズルを下側に有する。
【0019】
吸着ノズルは、図略の昇降駆動部に駆動されて昇降動作する。吸着ノズルは、供給位置32の上方から下降し、負圧の供給により吸着動作を実行して部品を採取する。また、吸着ノズルは、基板Kの上方に駆動され、正圧の供給により部品を解放して装着動作を実行する。吸着ノズルは、主に小型および中型の部品、例えばチップ部品を対象とする。小型および中型の部品は、安価である場合が多い。このため、小型および中型の部品は、装着作業に適さないと判定された場合に廃棄される。
【0020】
チャックツール46Aは、図略のチャックを下側に有する。チャックは、開閉動作して、部品を挟持および解放する。チャックは、主に大型の部品、例えばCPUを始めとするLSI部品などを対象とする。大型の部品は、高価である場合が多い。このため、大型の部品は、装着作業に適さないと判定されても直ちに廃棄されずに、目視点検などで良否が確認され、使用できるか否か判定される。
【0021】
ノズルツール46およびチャックツール46Aの自動交換を行うために、ツールステーション48が、基板搬送装置2とフィーダ3との間の基台10の上面に設けられる。ツールステーション48には、交換用のノズルツール46およびチャックツール46Aが並べられている。なお、ツールの自動交換でなく、装着ヘッド45全体の自動交換や、吸着ノズルやチャックのみの自動交換が行われてもよい。また、ツールステーション48を備えない構成として、人手による交換が行われてもよい。
【0022】
部品カメラ5は、基板搬送装置2とフィーダ3との間の基台10の上面に、上向きに設けられる。部品カメラ5は、装着ヘッド45がフィーダ3から基板Kに移動する途中で、吸着ノズルまたはチャックが保持している部品を撮像する。取得された画像データは画像処理され、画像処理結果として部品の形状や姿勢が取得される。画像処理結果により、当該の部品が装着作業に適するか否か判定される。
【0023】
例えば、部品に欠けが生じて外形形状が異形となっているときや、リードの形状に異常が認められるときに、装着作業に適さない不適合部品と判定される。この場合、不適合部品を手直しして使用することは難しく、多くの場合に廃棄される。
【0024】
また、吸着ノズルやチャックに対して部品の中心位置が大きく変位したときや、部品の姿勢が傾斜しているときには、装着動作が困難となるため、やはり不適合部品と判定される。さらに、部品の上下が逆転しているときや、極性を有する部品の左右や前後が誤っているとき、同様に不適合部品と判定される。これらの場合、不適合部品であっても、部品自体には異常が無い。したがって、リトライ作業や人手による装着作業などで使用できる可能性がある。運用上は、大型で高価な部品を対象として使用可能性が確認される。一方、安価な部品は、異常の有無に関係なく廃棄されて、手間が省略される。
【0025】
制御装置6は、基台10に組み付けられており、その配設位置は特に限定されない。制御装置6は、CPUを有してソフトウェアで動作するコンピュータ装置により構成される。なお、制御装置6は、複数のCPUが機内に分散配置されて構成されてもよい。制御装置6は、予め記憶した装着シーケンスにしたがって、装着作業の実行を制御する。装着シーケンスは、生産する基板製品の種類ごとに異なる。さらに、制御装置6は、不適合部品を回収容器81(図2参照)に回収する回収動作を部品移載装置4に行わせるように制御する。
【0026】
2.部品回収装置7の構成
第1実施形態の部品回収装置7は、基台10上のツールステーション48と部品カメラ5の間に配置される。部品回収装置7の構成について、図2図4を参考にして詳細に説明する。図2の斜視図に示されるように、部品回収装置7は、回収容器81、回収状態検出部82、受け部材83、および容器検出センサ87などで構成される。なお、以降の説明を簡単明瞭化するため、図2に示される前後左右を便宜的に定める。
【0027】
受け部材83は、基台10の上面に設けられている。受け部材83は、金属製の板材に曲げ加工や切削加工が加えられて形成され、または、樹脂成型などにより形成される。受け部材83は、底受け部831、後側板834、後側センサ支持板837、側面受け部841、前側板844、および前側センサ支持板847を有する。
【0028】
底受け部831は、回収容器81の底面を受ける部位であり、基台10に接近して前後方向に水平に延在する。底受け部831の上側は、回収容器81をセットするセット空間となる。底受け部831は、下方にへこんだ凹部832を有する。一方、回収容器81は、その底面から下方に突出する凸部(図略)を有する。この凸部が凹部832に嵌入することで、回収容器81はセット位置にセットされる。
【0029】
底受け部831の凹部832に臨む位置に、容器検出センサ87が設けられる。容器検出センサ87は、板部材871および2本のビス872を用いて、受け部材83の後側に支持される。容器検出センサ87は、回収容器81の凸部が凹部832に嵌入しているか否かを検出する。容器検出センサ87の検出信号は、制御装置6に出力される。制御装置6は、検出信号が入力されないとき、回収容器81がセットされていないと判定する。
【0030】
後側板834は、受け部材83とは別部材であり、垂直に配置される。後側板834は、2本のビス835を用いて底受け部831の上面の後部に固定される。後側板834の高さは、セットされた回収容器81よりも少し高い(図4参照)。後側板834の左右方向の板幅寸法は、回収容器81の幅寸法より小さめとなっている。後側板834の上部寄りの右側に、光通過孔836が設けられる。
【0031】
後側センサ支持板837は、受け部材83とは別部材であり、後側板834の後側に垂直に配置される。後側センサ支持板837は、2本のビス838を用いて受け部材83の後面に固定される。後側センサ支持板837の高さは、後側板834よりもわずかに低い(図4参照)。後側センサ支持板837の上部寄りの右側に、後側センサ座839が設けられる。後側センサ座839は、取り付け孔とされており、これに限定されない。後側センサ座839は、光通過孔836の後側に位置する。後側センサ座839および光通過孔836は、セットされた回収容器81の低周縁部85Lよりも低く位置する(図4参照)。
【0032】
側面受け部841は、回収容器81の右側の側面を受ける。側面受け部841は、底受け部831の上面の右側に垂直に配置される。前側板844は、受け部材83とは別部材であり、垂直に配置される。前側板844は、2本のビスを用いて底受け部831の上面の前部に固定される。前側板844の高さは、後側板834に等しい(図4参照)。前側板844の左右方向の板幅寸法は、回収容器81の幅寸法よりも小さめとなっている。
【0033】
前側センサ支持板847は、受け部材83とは別部材であり、前側板844の前側に垂直に配置される。前側センサ支持板847は、2本のビスを用いて受け部材83の前面に固定される。前側センサ支持板847の高さは、前側板844に概ね一致する(図4参照)。前側センサ支持板847の上部寄りの左側に、前側センサ座849が設けられる。前側センサ座849は、後側センサ座839と同様の取り付け孔とされている。前側センサ座849は、セットされた回収容器81の高周縁部85Hよりも高く位置し(図4参照)、かつ、前側板844の左側縁よりも左側に位置する。
【0034】
回収容器81は、装着作業に適さないと判定された不適合部品を回収する容器である。回収容器81は、上方に開口する開口部85を有する箱形状とされ、前後方向に長く形成されている。回収容器81は、複数の樹脂板が貼り合わせて形成されている。回収容器81は、ツールステーション48におけるツール交換動作への干渉を避けるために、左右方向の幅寸法が前側で小さく、後側で大きくなっている。回収容器81の後側の上部に光通過孔852が設けられる。回収容器81の光通過孔852は、後側板834の光通過孔836の前側に位置する。
【0035】
上述した構成に限定されず、回収容器81は、例えば、樹脂成型品や金属成型品であってもよく、また、直方体に形成されてもよい。回収容器81の底面の下側に、前述した凸部が設けられている。回収容器81は、受け部材83の底受け部831、後側板834、および前側板844によって区画されるセット空間にセットされ、凸部によって位置決めされる。
【0036】
回収容器81は、開口部85の周縁の高さが部分的に異なる。具体的には、図3に便宜的にハッチングで示される回収容器81の後側および右側の一部が高周縁部85Hとなる。そして、高周縁部85H以外の右側の残部、前側、および左側の周縁が低周縁部85Lとなる。高周縁部85Hおよび低周縁部85Lが設けられる理由は、大型の不適合部品が傾斜した姿勢で跨って乗ることにより、回収状態検出部82による検出を確実化するためである。
【0037】
回収状態検出部82は、回収容器81に回収された不適合部品の回収状態を空間的に検出する。さらに、回収状態検出部82は、回収容器81が不適合部品で満杯に近づいた状態、および、開口部85に跨って乗る大型の不適合部品を検出する。本第1実施形態において、回収状態検出部82は、発光部821および受光部824を含んで構成された遮光検出センサが採用されている。発光部821は、開口部85の近傍の一箇所に相当する前側センサ座849に配置される。受光部824は、開口部85の近傍の他箇所に相当する後側センサ座839に配置される。
【0038】
発光部821は、部品装着機1が稼働している時間帯を通して電源線822から電源が供給され、開口部85を通る検出光827を発射する。検出光827の光軸は、図2~4に太い破線で示されるように、回収容器81の長さ方向、幅方向、および高さ方向に対して傾斜している。詳述すると、検出光827の光軸は、発光部821から後右方向の斜め下方に向かい、前側板844の左側を通り抜ける。さらに、検出光827の光軸は、開口部85を通り、回収容器81の光通過孔852および後側板834の光通過孔836を通過して、受光部824に到達する。
【0039】
受光部824は、検出光827が入射している受光状態と、検出光827が遮られた遮光状態を区別して検出する。したがって、受光部824は、回収容器81が満杯に近づいて不適合部品により検出光827が遮られる遮光状態を検出することができる。受光部824は、出力線825を用いて制御装置6に接続されており、検出信号を制御装置6に出力する。
【0040】
なお、発光部821および受光部824の位置は、入れ替わってもよい。また、検出光827の光軸の傾斜は、開口部85に跨って乗る大型の不適合部品に対して斜め方向から入射することにより、確実に検出すること目的とする。したがって、この目的に沿い、検出光827の光軸の傾斜方向を適宜変更してもよい。例えば、検出光827の光軸は、回収容器81の幅方向(左右方向)に傾斜せず、前側から真後ろへ下降する傾斜とすることができる。
【0041】
さらに、回収状態検出部82は、遮光検出センサに限定されない。例えば、回収状態検出部82として、回収容器81の内部を撮像するカメラを採用して、得られた画像データに画像処理を施し、不適合部品の回収状態を検出してもよい。または、回収状態検出部82として、近接センサ、レーザセンサ、超音波センサなどを採用して、赤外線やレーザ、超音波などの通過や反射を用いた空間的な検出を行ってもよい。
【0042】
次に、部品装着機1の制御の構成について、図5を参考にして説明する。図示されるように、制御装置6は、基板搬送装置2、複数のフィーダ3、部品移載装置4、および部品カメラ5に通信接続されており、これらの装置を制御する。また、制御装置6は、受光部824および容器検出センサ87の検出信号を受け取る。さらに、制御装置6は、各種情報をオペレータに通知する通知部61を備える。通知部61として、通知ランプや通知音発生器、ディスプレイ装置、通信を用いて通知を行う携帯端末などを例示できる。
【0043】
制御装置6は、回収状態検出部82の検出結果、すなわち受光部824から受け取った検出信号が遮光状態を示し、かつ遮光状態が所定時間を超えて継続したときに、回収容器81が満杯に近づいた状態と判定する。所定時間を用いた判定により、制御装置6は、不適合部品が落下する途中の一時的な遮光状態の影響を受けず、誤判定を防止することができる。さらに、制御装置6は、回収容器81が満杯に近づいたときに、回収容器81から不適合部品を取り除く除去作業が必要であると判定する。除去作業が必要である旨は、通知部61からオペレータに通知される。
【0044】
制御装置6は、開口部85に大型の不適合部品が跨って乗っているときも、満杯に近づいた状態と同様に判定することができる。このときさらに、制御装置6は、大型の不適合部品の除去作業が必要であると判定する。第1実施形態では、大型の不適合部品の1個ごとに除去作業が必要となる。
【0045】
また、制御装置6は、容器検出センサ87が回収容器81を検出できない場合に、装着作業を中断する。この場合、回収容器81がセットされていない旨が、通知部61からオペレータに通知される。回収容器81がセットされて、容器検出センサ87が回収容器81を検出すると、制御装置6は装着作業を再開する。
【0046】
3.部品装着機1および部品回収装置7の動作および作用
次に、部品装着機1および部品回収装置7の動作および作用について、制御装置6の制御フローにしたがって説明する。図6に示される制御フローのステップS1で、制御装置6は、装着作業の始めに吸着動作または挟持動作を制御する。これにより、部品移載装置4は、装着ヘッド45をフィーダ3の供給位置32の上方まで移動させ、吸着ノズルを用いて部品を吸着する。または、大型の部品の場合に、部品移載装置4は、装着ヘッド45をツールステーション48の上方まで移動させ、ノズルツール46をチャックツール46Aに交換する。この後、部品移載装置4は、チャックを用いて、トレイ装置から大型の部品を挟持する。
【0047】
次のステップS2で、制御装置6は、部品カメラ5による撮像動作を制御する。これにより、部品移載装置4は、装着ヘッド45を部品カメラ5の上方まで移動させる。部品カメラ5は、吸着ノズルまたはチャックに保持されている部品を撮像して、画像データを取得する。次のステップS3で、制御装置6または別体の画像処理部は、画像データに画像処理を施して、当該の部品が装着作業に適するか否かを判定する。
【0048】
次のステップS4で、制御装置6は、判定結果にしたがって、制御フローの実行を分岐させる。判定結果が良(装着作業に適する)であるときのステップS5で、制御装置6は、装着動作を制御する。これにより、部品移載装置4は、装着ヘッド45を基板Kの上方まで移動させる。さらに、部品移載装置4は、吸着ノズルまたはチャックを下降させ、部品を解放させることにより、装着動作を実行する。この後、制御装置6は、制御フローの実行をステップS1に戻す。
【0049】
なお、装着動作において、部品が解放されずに吸着ノズルまたはチャックに残ってしまうことが皆無でない。この場合、当該の部品は不適合部品となり、制御装置6は、制御フローの実行をステップS6に移動する(図略)。また、ノズルツール46が複数の吸着ノズルを有しており、吸着された複数の部品の一部が装着作業に適合し、複数の部品の残部が不適合となる場合もある。この場合、制御装置6は、適合した部品の装着動作を終了した後、不適合部品を対象として制御フローの実行をステップS6に移動する(図略)。
【0050】
ステップS4で判定結果が否(装着作業に適さない)であるときのステップS6で、制御装置6は、不適合部品の回収動作を制御する。これにより、部品移載装置4は、装着ヘッド45を回収容器81の上方まで移動させる。さらに、部品移載装置4は、吸着ノズルまたはチャックに保持された不適合部品を、回収容器81の概ね中央位置の上方に搬送して解放させる。すると、大型以外の不適合部品は、回収容器81の内部に落下し、中央位置の周りに山形状に堆積してゆく。
【0051】
また、大型の不適合部品PLは、水平姿勢で搬送されて解放されると、図7に示されるように、回収容器81の開口部85に跨って乗る。詳細には、大型の不適合部品PLは、右側の高周縁部85Hから左側の低周縁部85Lにかけて、傾斜した姿勢で跨って乗る。図7に示された状態において、実質的に開口部85が狭くなるので、不適合部品の回収動作を継続することは難しい。
【0052】
次のステップS7で、制御装置6は、除去作業の要否を判定する。除去作業は、次の2ケースで必要となる。どちらのケースでも、回収状態検出部82の遮光状態の検出信号が所定時間を超えて継続するので、制御装置6による判定は容易である。
ケース1)回収容器81の内部の空き空間が狭小となる満杯に近い状態となり、山形状に堆積したうちの頂上付近の不適合部品により検出光827が遮られた状態。
ケース2)図7に示されるように、開口部85に大型の不適合部品PLが跨って乗ることにより検出光827が遮られた状態。
【0053】
除去作業が必要でない場合、制御装置6は、制御フローの実行をステップS1に戻す。除去作業が必要な場合、制御装置6は、制御フローの実行をステップS8に進める。ステップS8で、制御装置6は、除去作業が必要である旨をオペレータに通知し、一時的に装着作業を中断する。次のステップS9で、制御装置6は、除去作業の終了を待つ。除去作業が終了すると、制御装置6は、制御フローの実行をステップS1に戻して、装着作業を再開する。
【0054】
第1実施形態の部品回収装置7において、回収状態検出部82は、回収容器81に回収された不適合部品の回収状態を空間的に検出する。したがって、回収容器81の内部の空き空間が狭小となる満杯に近い状態が、確実に検出される。
【0055】
また、回収状態検出部82は、開口部85に大型の不適合部品PLが跨って乗る姿勢を検出して、満杯に近い状態と同じ検出信号を出力する。したがって、小型の回収容器81を用いながらも、大型で高価な部品を回収して、使用可能性を確認することができる。加えて、大型の不適合部品PLは、回収容器81の内部に落下しないので、損傷するおそれが軽減される。
【0056】
仮に、大きな開口部をもつ回収容器を採用すると、部品回収装置のサイズが大型化する。これにより、ツールステーション48や部品カメラ5などの器具類の機内配置が制約され、作業効率の低下などが生じる。例えば、部品カメラ5の位置が端に寄ると、装着ヘッド45の移動時間が延びる。さらに、部品回収装置の大型化が部品装着機1のサイズに影響を及ぼす場合もある。
【0057】
また、大型の不適合部品PLは、開口部85に跨って傾斜した姿勢をとる構成、および、検出光827の光軸を傾斜させた構成の併用によって確実に検出される。なお、一方の構成のみを採用しても、大型の不適合部品PLを検出する効果は生じる。仮に、どちらの構成も採用しない場合、検出光827の水平な光軸が水平姿勢で跨った不適合部品の上側または下側を通過してしまい、遮光状態にならないおそれが生じる。
【0058】
4.第2実施形態の部品装着機1
次に、第2実施形態の部品装着機1について、第1実施形態と相違する点を主にして説明する。第2実施形態において、部品回収装置7は第1実施形態と同一品であり、不適合部品の回収動作が第1実施形態と相違する。すなわち、制御装置6は、図6に示される制御フローを実行する際に、ステップS6の回収動作で図8に示される制御フローを実行する。
【0059】
前述したように、制御装置6は、不適合部品の回収動作を制御する。図8の制御フローのステップS11で、制御装置6は、不適合部品が大型であるか否かを調査する。不適合部品が大型でない場合のステップS12で、制御装置6は、吸着ノズルに保持された不適合部品を、回収容器81の概ね中央位置の上方に搬送して解放させる。すると、不適合部品は、回収容器81の内部に落下し、中央位置の周りに山形状に堆積してゆく。この回収動作は、第1実施形態と変わらない。
【0060】
不適合部品が大型である場合のステップS13で、制御装置6は、部品移載装置4を制御して、チャックに保持された大型の不適合部品を水平姿勢に維持させ、回収容器81の中央位置から外れたオフセット位置の上方に搬送して解放させる。第2実施形態において、オフセット位置は、回収容器81の中央位置から右側に外れた位置に設定される。
【0061】
すると、大型の不適合部品PLは、図9に示されるように、開口部85の右側の高周縁部85Hに当接し、左側の低周縁部85Lには当接せずに、傾斜姿勢へと変化し、回収容器81の内部に落下する。このとき、回収容器81の空き空間が大きいと、落下した大型の不適合部品PLは、検出光を遮らない。したがって、不適合部品の回収動作を継続することができる。また、回収容器81の空き空間が小さいと、図9に示されるように、落下した大型の不適合部品PLは、傾斜姿勢で検出光827を遮る。
【0062】
第2実施形態では、大型の不適合部品PLを傾斜させて回収するようにしたので、水平姿勢で回収容器の内部に落下させる従来技術と比較して、回収容器81を小型化することができる。また、第1実施形態と異なり、大型の不適合部品PLを複数個まとめて回収できるので、第1実施形態と比較して除去作業の回数が削減される。
【0063】
5.実施形態の応用および変形
なお、第1実施形態において、制御装置6は、不適合部品の回収動作(ステップS6)の後に回収状態検出部82の検出信号を確認する(ステップS7)が、回収動作に関係なく検出信号を常時監視してもよい。また、部品回収装置7は、基台10上の別の位置に配置されてもよく、あるいは、いずれかのフィーダ3を取り外した位置に配置されてもよい。さらに、回収容器81から不適合部品を取り除く除去作業は、全自動化ないしは半自動化されてもよい。その他にも、第1および第2実施形態は、様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1:部品装着機 3:フィーダ 4:部品移載装置 5:部品カメラ 6:制御装置 7:部品回収装置 81:回収容器 82:回収状態検出部 821:発光部 824:受光部 827:検出光 83:受け部材 85:開口部 85H:高周縁部 85L:低周縁部 87:容器検出センサ PL:大型の不適合部品
図1
図2
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図9