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特許7133814カラーシフトキーイング用の可視光通信送信器、可視光通信受信器、可視光通信システム、及び可視光通信の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-01
(45)【発行日】2022-09-09
(54)【発明の名称】カラーシフトキーイング用の可視光通信送信器、可視光通信受信器、可視光通信システム、及び可視光通信の方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/116 20130101AFI20220902BHJP
   H04B 10/67 20130101ALI20220902BHJP
   H04B 10/572 20130101ALI20220902BHJP
   H01L 31/10 20060101ALI20220902BHJP
【FI】
H04B10/116
H04B10/67
H04B10/572
H01L31/10 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019525845
(86)(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2017084469
(87)【国際公開番号】W WO2018115483
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】16206756.5
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513121384
【氏名又は名称】ベステル エレクトロニク サナイー ベ ティカレト エー.エス.
(73)【特許権者】
【識別番号】519217777
【氏名又は名称】オジェイン ユニヴェルシテシ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ギュルバハール,バルハン
(72)【発明者】
【氏名】メミソグル,ゴルケム
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-297425(JP,A)
【文献】特開平11-177143(JP,A)
【文献】特開2016-025356(JP,A)
【文献】特開2015-045629(JP,A)
【文献】国際公開第2012/097885(WO,A1)
【文献】Xiaomu Wang, et al.,A spectrally tunable all-graphene-based flexible field-effect light-emitting device,NATURE COMMUNICATIONS,2015年07月,vol. 6,pp.1-6,https://www.nature.com/articles/ncomms8767.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/116
H04B 10/67
H04B 10/572
H01L 31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピーク送信波長が互いに異なる少なくとも6つのグラフェン系発光装置(LED-1、LED-2、・・・LED-8)を少なくとも備え、
前記少なくとも6つのグラフェン系発光装置(LED-1、LED-2、・・・LED-8)の各々は、少なくとも6つの基本色の色座標を用いて符号化された情報を送信し、前記少なくとも6つの基本色の各々は、前記グラフェン系発光装置の前記ピーク送信波長の各々に対応する、カラーシフトキーイング用の可視光通信送信器(13)。
【請求項2】
前記グラフェン系発光装置(LED-1、LED-2、・・・LED-8)のうちの少なくとも1つが電界効果発光ダイオードを含む、請求項1に記載の可視光通信送信器。
【請求項3】
前記グラフェン系発光装置(LED-1、LED-2、・・・LED-8)のうちの少なくとも1つの前記ピーク送信波長が調整可能である、請求項1または2に記載の可視光通信送信器。
【請求項4】
少なくとも1つのグラフェン系発光装置(LED-1、LED-2、・・・LED-8)に関連する少なくとも1つのそれぞれのゲート電圧チューナ(VG)をさらに備え、
それぞれのグラフェン系発光装置のピーク送信波長を調整するように動作可能である、請求項3に記載の可視光通信送信器。
【請求項5】
カラーシフトキーイングを使用して情報を符号化するために、前記グラフェン系発光装置(LED-1、LED-2、・・・LED-8)のうちの選択された1つをオン/オフに切り替えるように動作可能な変調器をさらに備える、請求項1に記載の可視光通信送信器。
【請求項6】
異なるピーク受信波長の少なくとも6個のグラフェン系光検出器(PD-1、PD-2、・・・PD-8)を少なくとも備え、
前記少なくとも6つのグラフェン系光検出器(LED-1、LED-2、・・・LED-8)の各々は、少なくとも6つの基本色の色座標を用いて符号化された情報を受信し、前記少なくとも6つの基本色の各々は、前記グラフェン系光検出器の前記ピーク受信波長の各々に対応する、カラーシフトキーイング用の可視光通信受信器(14)。
【請求項7】
前記グラフェン系光検出器(PD-1、PD-2、・・・PD-8)のうちの少なくとも1つは、少なくとも一対の積層グラフェン単分子層を含むフォトトランジスタを含む、請求項6に記載の可視光通信受信器。
【請求項8】
前記グラフェン系光検出器(PD-1、PD-2、・・・PD-8)のうちの少なくとも1つのピーク受信波長は調整可能である、請求項6または7に記載の可視光通信受信器。
【請求項9】
前記少なくとも1つのグラフェン系光検出器(PD-1、PD-2、・・・PD-8)に関連する少なくとも1つのそれぞれのチューナをさらに含み、前記チューナは、グラフェン系光検出器のピーク受信波長を調整するように構成されたプラズモン共鳴周波数を有するプラズモニックナノ構造を含む、請求項8に記載の可視光通信受信器。
【請求項10】
カラーシフトキーイングを使用して情報が符号化された可視光を受光した結果として、前記グラフェン系光検出器(PD-1、PD-2、・・・PD-8)によって出力される電気信号に符号化された情報を復号するように動作可能な復調器をさらに備える、請求項6から9のいずれか一項に記載の可視光通信受信器。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか一項に記載の可視光通信送信器(13)と、
請求項6から10のいずれか一項に記載の可視光通信受信器(14)と、を少なくとも有し、
少なくとも6つのグラフェン系光検出器(PD-1、PD-2、・・・PD-8)のそれぞれ異なるピーク受信波長のそれぞれは、少なくとも6つのグラフェン系発光装置(LED-1、LED-2、・・・LED-8)の異なるピーク送信波長のうちのそれぞれ1つに対応する、カラーシフトキーイング用の可視光通信システム(2)。
【請求項12】
少なくとも6つの異なる波長の可視光を、少なくとも6つのグラフェン系発光装置のそれぞれから送信させ、これらの発光装置のそれぞれは、他のそのようなデバイスのピーク送信波長とは異なるそれぞれの送信波長を有し、
少なくとも6つのグラフェン系光検出器のそれぞれ1つにおいて少なくとも6つの異なる波長の可視光を受光し、その各々は、少なくとも6つのグラフェン系発光装置のピーク送信波長のそれぞれに対応するピーク受信波長を有し、
少なくとも6つの基本色の色座標を用いて情報を符号化するカラーシフトキーイングを使用し、
前記情報を符号化するためにカラーシフトキーイングを使用してその送信の前に少なくとも6つの異なる波長の可視光を変調すること、及び
カラーシフトキーイングを使用して可視光に符号化され、前記グラフェン系光検出器によって受信された情報を復号するために前記グラフェン系光検出器によって出力された電気信号を復調することを特徴とする可視光通信の方法。
【請求項13】
ゲート電圧チューニングを使用して、少なくとも1つのグラフェン系発光装置のピーク送信波長を調整すること、及び
プラズモニックナノ構造を使用して、少なくとも1つのグラフェン系光検出器のピーク受信波長を調整することの少なくとも1つをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも7つの基本色の色座標を使用することを少なくとも含む、請求項12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の可視光通信送信器、請求項6に記載の可視光通信受信器、請求項11に記載の可視光通信システム、請求項12に記載の可視光通信方法、請求項15に記載の色変調の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる色星座(colour constellation)を使用して情報を符号化することによって、可視光を使用して情報を伝達することが知られている。これは、色変調(Colour Shift Keying;CSK)として知られている。従来技術のシステムは、3つ又は4つの基本色の色星座を使用することがある。そのようなシステムは、異なる色のLEDを用いて具現化することができ、LEDは3個でもよく、その場合、システムは、tri-LEDまたはT-LEDシステムとして知られ、またはLEDは4個でもよく、その場合、システムはquad-LEDまたはQ-LEDシステムとして知られる。例えば、国際公開第2012/097885号は、可視光通信システムにおける色変調星座のためのコーディング方式および方法を記載している。国際公開第2012/123572号は、可視光通信のためのシステムにおける通知のための方法および装置を記載している。"An Enhanced Colour Shift Keying Modulation Scheme for High-Speed Wireless Visible Light Communications" by R. Singh, T. O'Farrell and J.P.R. David, Journal of Lightwave Technology,Vol.32,no.14,pp.2582-2592(2014)には、4色LED色変調星座について説明している。これらの異なるCSK方式によれば、他の色は基本色を混合することによって得られる。
【0003】
しかしながら、3つまたは4つの基本色のみを使用すると、混合色が単一のLEDのみによって直接生成されるのではなく、少なくとも2つのLEDの使用を必要とするので、電力効率が悪くなる。さらに、伝統的な光検出器は一般に広範囲の波長にわたって可視光を受光することができる。したがって、従来の可視光通信システムにおける光検出器はそれぞれ、それぞれのLEDによって放射される光のピーク送信波長のうちの1つに対応する波長帯を画定するカラーフィルタを備えている。
【0004】
さらに、3つまたは4つの基本色のみを使用することは、混合によって利用可能な異なる可能な色の組み合わせの範囲を制限し、したがってCSKを使用する色によって表すことができる異なるシンボルの数を対応して減少させる。
【0005】
"A spectrally tunable all-graphene-based flexible field-effect light-emitting device" by Xiaomu Wang, He Tian, Mohammad Ali Mohammad, Cheng Li, Can Wu, Yi Yang & Tian-Ling Ren, Nature Communications,Vol.6,p. 7767(2015),doi:10.1038/ncomms8767は、調整可能な全グラフェン系発光装置を説明している。
【0006】
"Plasmon resonance enhanced multicolour photodetection by graphene" by Yuan Liu, Rui Cheng, Lei Liao, Hailong Zhou, Jingwei Bai, Gang Liu, Lixin Liu, Yu Huang & Xiangfeng Duan, Nature Communications,Vol.2,p.579(2011),doi:10.1038/ncomms1589は、グラフェン系光検出器を記載している。
【0007】
"Graphene photodetectors with ultra-broadband and high responsivity at room temperature" by Chang-Hua Liu, You-Chia Chang, Theodore B. Norris & Zhaohui Zhong, Nature Nanotechnology,Vol.9,pp.273-278(2014),doi:10.1038/nnano.2014.31もグラフェン系光検出器を記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、可視光通信送信器、可視光通信受信器、可視光通信システム、および可視光通信方法を提供することであり、ここで送信器、受信器、システムおよび方法は、色変調(CSK)に適しているだけでなく、色変調の方法を提供することにも適している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、請求項1に記載の可視光通信送信器によって解決される。可視光通信送信器は、色変調に適しており、好ましくは互いに異なるピーク送信波長の6つのグラフェン系発光装置(graphene-based light emitting device)を少なくとも含む。
【0010】
本明細書では、用語「可視光」は、約350~約750nm、特に約390~約700nmの波長を有する光を指す。
【0011】
この解決法は、少なくとも6色、場合によっては7色、さらには8色の基本色の色星座を有する色変調に送信器を使用することができるので有益である。これらは、T-LEDまたはQ-LED送信器を使用して、それぞれ3個又は4個の基本色のみの色星座を生成する色変調を使用する可視光通信の従来の方法と比較して、増加した数のシンボル、減少したシンボルエラーレート、及び改善された信号対雑音比を提供することができる。従来技術の色変調システムでは、少なくとも6つの基本色のうちのいくつかが混色に置き換わるため、グラフェン系発光装置はまた、従来の発光ダイオードよりも高い送信電力効率を有する。
【0012】
本発明の有利な実施形態は、任意の請求項および/または以下の説明の一部に従って構成することができる。
【0013】
グラフェン系発光装置のうちの少なくとも1つは電界効果発光ダイオードを含むことができる。好ましくは、それらの各々は電界効果発光ダイオードを含む。
【0014】
少なくとも1つのグラフェン系発光装置のピーク送信波長は調整可能であり得る。好ましくは、すべてのグラフェン系発光装置のピーク送信波長は調整可能である。これは、ピーク送信波長を調整することによってシンボル誤り率および信号対雑音比を最適化するためにCSK色星座の基本色を有利に選択することを可能にするので有益である。
【0015】
好ましくは、送信器は、少なくとも1つのグラフェン系発光装置に関連する少なくとも1つのそれぞれのゲート電圧チューナ(gate voltage tuner)をさらに含み、チューナは、それぞれのグラフェン系発光装置のピーク送信波長を調整するように動作可能である。
【0016】
好ましくは、送信器は、色変調を使用して情報を符号化するために、グラフェン系発光装置のうちの選択されたものをオンおよびオフに切り替えるように動作可能な変調器をさらに含む。これは、グラフェン系発光装置によって情報を符号化する電気信号を可視光に変換することを可能にするので有益であり、可視光は色変調を使用して電気信号と同じ情報を符号化する。
【0017】
本発明は、請求項6に記載の可視光通信受信器にも関する。可視光通信受信器は色変調に適しており、好ましくは互いに異なるピーク受信波長の少なくとも6つのグラフェン系光検出器を少なくとも含む。
【0018】
この解決方法は、少なくとも6つ、場合によっては7つ、あるいは8つの基本色の色星座を有する色変調のために受信器を使用することができるので有益である。これらは、3つまたは4つの基本色のみの色星座を検出するために伝統的なの光検出器を含む受信器を使用する色変調を使用する可視光通信の従来の方法と比較して、増加したシンボルの数、減少したシンボルエラーレート、及び改善された信号対雑音比を提供することができる。グラフェン系光検出器はまた、伝統的な光検出器よりもより良くそしてより効率的な検出を提供する。
【0019】
グラフェン系光検出器のうちの少なくとも1つは、少なくとも一対の積層グラフェン単分子層(stacked graphene monolayers)を含むフォトトランジスタを含むことができる。このようなフォトトランジスタはグラフェン二重層ヘテロ構造を有する。好ましくは、グラフェン系光検出器のそれぞれは、少なくとも一対の積層グラフェン単分子層を含むフォトトランジスタを含む。そのようなフォトトランジスタは、可視光に対して非常に高レベルの応答性を提供できるので有益である。
【0020】
グラフェン系光検出器のうちの少なくとも1つのピーク受信波長は調整可能であり得る。好ましくは、すべてのグラフェン系光検出器のピーク受信波長は調整可能である。グラフェン系光検出器のピーク受信波長を可視光通信トランスミッタのピーク送信波長と一致するように調整することを可能にするので、これは有益である。
【0021】
好ましくは、受信器は、グラフェン系光検出器のうちの少なくとも1つに関連する少なくとも1つのそれぞれのチューナをさらに備える。チューナは、グラフェン系光検出器のピーク受信波長を調整するように構成されたプラズモン共鳴周波数を有するプラズモンナノ構造を含むことが好ましい。
【0022】
好ましくは、受信器は、情報が色変調を使用して符号化された可視光を受信した結果としてグラフェン系光検出器によって出力された電気信号に符号化された情報を復号するように動作可能な復調器をさらに備える。色変調を使用して可視光で符号化された情報を回復するために電気信号を復号することが可能になるので、これは有益である。
【0023】
本発明はさらに可視光通信システムに関する。可視光通信システムは色変調に適しており、好ましくは少なくとも上記のような可視光通信送信器および上記のような可視光通信受信器を含む。少なくとも6つのグラフェン系光検出器のそれぞれ異なるピーク受信波長は、少なくとも6つのグラフェン系発光装置のそれぞれ異なるピーク送信波長に対応する。
【0024】
この解決方法は、少なくとも6つ、場合によっては7つ、あるいは8つの基本色の色星座を有する色変調のためにシステムを使用することができるので有益である。これらは、3つ又は4つの基本色のみの色星座を使用する色変調のための従来の可視光通信システムと比較して、送信および受信の両方においてより大きな電力効率、より多くのシンボル、より少ないシンボルエラーレートおよび改善された信号対雑音比を提供することができる。
【0025】
本発明はまた、可視光通信方法に関する。この方法は、少なくとも6つのグラフェン系発光装置のそれぞれから少なくとも6つの異なる波長の可視光を送信することを少なくとも含み、その各々は、他のそのようなデバイスのピーク送信波長とは異なるそれぞれのピーク送信波長を有し、少なくとも6つのグラフェン系光検出器のそれぞれ1つにおいて少なくとも6つの異なる波長の可視光を受光し、その各々は少なくとも6つのグラフェン系発光装置のピーク送信波長のそれぞれに対応するそれぞれのピーク受信波長を有する。
【0026】
好ましくは、この方法は、情報を符号化するために色変調を使用して伝送前に少なくとも6つの異なる波長の可視光を変調すること、および色変調を使用してグラフェン系光検出器によって受信された可視光で符号化された情報を復号するためにグラフェン系光検出器によって出力された電気信号を復調することをさらに含む。
【0027】
好ましくは、本方法は、ゲート電圧チューニング(gate voltage tuning)を使用して少なくとも1つのグラフェン系発光装置のピーク送信波長を調整すること、およびプラズモニックナノ構造を使用して、グラフェン系光検出器のうちの少なくとも1つのピーク受信波長を調整することをさらに含む。
【0028】
本発明はまた、少なくとも6色、好ましくは7色、より好ましくは8色の基本色の色星座を使用することを少なくとも含む、色変調の方法に関する。
【0029】
本発明はさらに、本明細書に記載の方法のうちの1つまたは複数を実行するためのコンピュータプログラム製品またはプログラムコードもしくはシステムに関する。
【0030】
次に、本発明のさらなる特徴、目的および利点を、本発明の例示的な構成要素が示されている添付の図面と関連して説明する。それらの機能に関して互いに本質的に少なくとも同等である本発明による装置および方法の構成要素は、同じ参照符号によって示すことができ、そのような構成要素は、すべての図面においてマークまたは記述される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
以下の説明において、本発明は、添付の図面に関して単なる例として説明される。
【0032】
図1】(A)色変調のための従来技術の可視光通信システムの要素を概略的に示す図である。(B)3色LECの色星座についてのCIE 1931 x-y色度図である。(C)4色LEDの色星座についてのCIE 1931 x-y色度図である。(D)4色LEDの色星座を混合することによって生成される色のいくつかの例を概略的に示すCIE 1931 x-y色度図である。
図2】色変調用の可視光通信システムの一実施形態の要素を概略的に示す図である。
図3】(A)色変調のための可視光通信送信器の要素を、それに関連する電力出力を概略的に表すグラフと共に概略的に示す図である。(B)色変調のための可視光光通信受信器の要素を、それに関連する応答性を概略的に表すグラフと共に概略的に示す図である。(C)可視光通信システムを使用する色変調の方法で使用するためのつの基本色を有する色星座の一例を概略的に示すCIE 1931 x-y色度図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1(A)は、色変調用の従来技術の可視光通信システム1の要素を概略的に示す。可視光通信システム1は、送信器3と受信器4とを備える。送信器3は、3つであってもよい複数の発光ダイオード(LED)を含み、この場合、システムは、tri-LEDまたはT-LEDとして知られ、4つの場合、システムはquad-LEDまたはQ-LEDシステムとして知られている。波長λに対してLEDの出力電力をプロットした図1(A)のグラフの滑らかな曲線で表されるように、光はそれぞれのピーク送信波長で各発光ダイオードによって放射される。これらのピーク送信波長は、例えば赤-緑-青(RGB)色空間とすることができる色星座の基本色を表す。しかしながら、可視光は3つまたは4つのピーク波長のみでLEDによって放射されるので、ピーク波長によって定義される以外の色の光は、3つまたは4つのLEDからの光を混合することによってしか得られない。このような混色を生成するために少なくとも2つのLEDの電力を使用しなければならないので、これは色生成にとって非効率的である。さらに、全部で3つまたは4つのLEDしかないので、これもまた基本色を混合することによって得られることができる異なる色の範囲を制限し、したがって色変調を使用して符号化できる限られた数のシンボルだけを提供する。
【0034】
受信器4は、複数の光検出器6と復調器8とを備える。各光検出器6は、送信器3の発光ダイオードによって放射された光のピーク送信波長の1つに対応する波長帯のうちの1つに対応する波長帯を規定するカラーフィルタを備える。これらの定義された波長帯は、図1(A)のグラフにおいて二乗関数によって表される。したがって、各光検出器6は、複数のLEDのうちの1つによって放射された光のみを受光することができる。光検出器はそれぞれ、定義された波長帯のそれぞれの1つにおいて光を受光することに応答して電気信号を生成する。すべての光検出器6によって生成された電気信号は次に復調器8に渡され、復調器8はこれらの電気信号を復号化して色変調を使用して送信器3の発光ダイオードによって放射される光に符号化された情報を導出する。しかしながら、光検出器6は一般に広いスペクトルの波長にわたって可視光を検出することができるので、各光検出器の受信波長帯を送信器内の各LEDのピーク送信波長に一致させるためにフィルタリングが必要である。可視光のスペクトルにわたって光検出器6の受光率をこのように意図的に減少させることは非効率的であり、信号対雑音比の増大を招く。
【0035】
図1(B)は、Tri-LED(T-LED)色星座の一例についての国際照明委員会(International Commission on Illumination;CIE)1931x-y色度図(chromaticity chart)であり、言い換えれば、図1(A)の可視光通信システム1が3つのLEDを有する場合、その色は、図1(B)においてLED-1、LED-2およびLED-3とラベル付けされた黒丸によって表される。
【0036】
図1(B)とは対照的に、図1(C)は、quad-LED(Q-LED)色星座の一例についてのCIE 1931 x-y色度図であり、言い換えれば、図1(A)の可視光通信システム1が4つのLEDを有する場合、その色は、図1(C)においてラベルLED-1、LED-2、LED-3、およびLED-4によって表される。
【0037】
図1(D)は、Q-LEDの色星座からの光を混合することによって生成される色のいくつかの例を概略的に示すCIE 1931 x-y色度図である。図1(C)において、黒丸10はQ-LEDの色星座の4つの基本色を表し、白丸12はこれら4つの基本色を混合することによって得られる色を表す。図1(D)のものと同様のCIE 1931 x-y色度図は、図1(B)に示されるT-LED色星座について構築され得る。
【0038】
図2は、色変調のための可視光通信システム2の実施形態の要素を概略的に示す。可視光通信システム2は、送信器13および受信器14を備える。送信器13は、図2においてLED-1、LED-2、・・・LED-8とラベル付けされた少なくとも6つのグラフェン系発光装置を備える。グラフェン系発光装置は、互いに異なるピーク送信波長を有する。グラフェン系発光装置はそれぞれ電界効果発光ダイオードを含み、そのような各デバイスのピーク送信波長は異なる波長に調整可能である。各グラフェン系発光装置は、図2においてVGとラベル付けされたそれぞれのゲート電圧チューナをそれに関連付けており、ゲート電圧チューニングを使用して、そのグラフェン系発光装置のピーク送信波長を他のそのようなデバイスとは異なる波長に調整するように動作可能である。グラフェン系発光装置はすべて変調器に接続されており、変調器は選択されたもののオンとオフを切り替えて色変調を使用して情報を符号化するように動作可能である。少なくとも6つのグラフェン系発光装置があり、それらのすべてが互いに異なるピーク透過波長を有するので、それによってより広い範囲の基本色が生成され、それによってこれらの基本色のいくつかが可能になり、その各々は、図1(A)に示す従来技術のシステムにおいてLEDの組み合わせを照明することによって生成された対応する混色のうちの1つを置き換えるために、1つのグラフェン系発光装置によってのみ生成される。より広い範囲の基本色はまた、他の混合色を生成するのにより効率的であり、図1(A)に示される従来技術のシステムと比較してより多数の可能な混合色を可能にする。
【0039】
受信器14は、互いに異なるピーク受信波長を有し、図2においてPD-1、PD-2、・・・PD-8とラベル付けされた少なくとも6つのグラフェン系光検出器を備える。グラフェン系光検出器はそれぞれ、一対の積層グラフェン単分子層を含むフォトトランジスタを含む。このような各光検出器のピーク受信波長は異なる波長に調整され、各グラフェン系光検出器は、その光検出器のピーク受信波長を他の光検出器とは異なる波長に調整するように構成された、それぞれ異なるプラズモニックナノ構造を含むそれぞれのチューナと関連付けられている。グラフェン系光検出器はすべて復調器に接続され、復調器は、情報が色変調を使用して符号化された可視光を受光した結果としてグラフェン系光検出器によって出力される電気信号に符号化される情報を復号するように動作する。
【0040】
受信器14内の少なくとも6つのグラフェン系光検出器PD-1、PD-2、・・・PD-8のそれぞれ異なるピーク受信波長は、送信器13内の少なくとも6つのグラフェン系発光装置LED-1、LED-2、・・・LED-8のそれぞれ異なるピーク送信波長に対応する。このようにして、光検出器のピーク受信波長がグラフェン系発光装置のピーク透過波長と一致するので、図1(A)に示す従来技術のシステムよりも送信器からのより多くの出力電力が受信器によって受信されることを意味し、より良好かつより効率的な検出及び低減された信号対雑音比をもたらす。
【0041】
図3(A)は、可視光通信送信器13のグラフェン系発光装置を、それらに関連する電力出力を概略的に表すグラフと共に概略的に示す。図3(A)のグラフから分かるように、6、7、または8つの異なる基本色は、可視光のスペクトル内で6、7または8つのそのようなグラフェン系発光装置によって生成され得る。従来の可視光通信システムよりも多いこの数の発光装置は、それぞれ3つ又は4つの基本色だけの色星座を使用する従来のT-LEDまたはQ-LEDの色変調よりも、より電力効率の良い色基準を与え、さらに基本色の混合によってより多くの色を生成することを可能にする。
【0042】
図3(B)は、可視光通信受信器14のグラフェン系光検出器のいくつかを、図3(A)のグラフに示すグラフェン系発光装置の電力出力に重ね合わせてそれらの関連する応答性を概略的に表すグラフと共に概略的に示す。図3(B)のグラフからわかるように、グラフェン系光検出器のピーク受信波長をグラフェン系発光装置のピーク送信波長と一致するように調整することができることにより、グラフェン系光検出器を使用することが可能となり、グラフェン系発光装置による可視光出力のより良好でより効率的な検出につながる。
【0043】
少なくとも3つの基本色の色星座を使用することを少なくとも含み、色変調の方法で使用するための8つの基本色を有する色星座の例を概略的に示すCIE 1931 x-y色度図である。そのような方法は、例えば、図2に示すような可視光通信システムを使用して実施することができる。図3(C)において、黒丸10は色星座の8つの基本色を表し、黒丸12はこれらつの基本色を混合した色を表している。図1(B)及び図1(C)に示すような従来技術の色星座よりも基本的な色を使用することにより、より効率的なシンボルカラーを生成し、より広い範囲のシンボルを符号化することを可能にし、より低い信号対雑音比を与える。
【0044】
したがって、要約すると、本発明は、可視光通信送信器、可視光通信受信器、可視光通信システム、および可視光通信方法を提供し、ここで、送信器、受信器、システムおよび方法は、色変調(CSK)、並びに色変調の方法を提供するのに適している。可視光通信送信器は、互いに異なるピーク送信波長の少なくとも6つ、好ましくは7つ、より好ましくは8つのグラフェン系発光装置を含む。可視光通信受信器は、互いに異なるピーク受信波長の対応する数のグラフェン系光検出器を備える。本発明に係る可視光通信システムは、6つのグラフェン系光検出器の異なるピーク受信波長のそれぞれが、グラフェン系発光装置の異なるピーク送信波長のそれぞれに対応するような送信器およびそのような受信器を備える。このようなシステムは、好ましくは色変調を使用して、少なくとも6つ、場合によっては7つ、あるいは8つの基本色の色星座を有する可視光通信の方法を可能にする。これらは、3つまたは4つの基本色のみの色星座を使用する色変調のための従来の可視光通信システムと比較して、増加したシンボル数、減少したシンボルエラー率および改善した信号対雑音比を提供できる。
【符号の説明】
【0045】
1 従来技術の可視光通信システム
2 可視光通信システムの実施形態
3 送信器
4 受信器
6 光検出器
8 復調器
10 基本色
12 基本色を混合して生成された色
13 送信器
14 受信器
LED-1、LED-2、・・・LED-8 グラフェン系発光装置
PD-1、PD-2、・・・PD-8 グラフェン系光検出器
図1
図2
図3