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  • 特許-UV硬化型インクジェットインキ組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-02
(45)【発行日】2022-09-12
(54)【発明の名称】UV硬化型インクジェットインキ組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/38 20140101AFI20220905BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20220905BHJP
   C09D 11/36 20140101ALI20220905BHJP
【FI】
C09D11/38
C09D11/30
C09D11/36
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021185251
(22)【出願日】2021-11-12
【審査請求日】2021-11-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0111667
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521498634
【氏名又は名称】韓国タイヨウインキ株式会社
【氏名又は名称原語表記】TAIYO INK MFG.CO.,(KOREA)LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミョンソク
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ソンジェ
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 新
(72)【発明者】
【氏名】リ、サンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イム、ジェフン
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-507966(JP,A)
【文献】特表2021-507047(JP,A)
【文献】特開2015-067794(JP,A)
【文献】特開2007-002018(JP,A)
【文献】特表2011-509313(JP,A)
【文献】特開2015-110765(JP,A)
【文献】特開2015-090903(JP,A)
【文献】特開2015-089903(JP,A)
【文献】特許第5688129(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/38
C09D 11/30
C09D 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)1つ以上のラジカル硬化性官能基及び1つ以上のカチオン硬化性官能基を含み、前記ラジカル硬化性官能基がエチレン性不飽和基、アクリロイル基、アクリレート基、メタクリレート基、及びビニル基からなる群から選択された1つ以上であり、前記カチオン硬化性官能基がエポキシ基、チオエーテル基、トリオキサン基、オキサゾリン基、カプロラクトン基、テトラヒドロフラン基、オキセタン基、アクリレート基及びビニルエーテル基からなる群から選択された1つ以上である、異種重合性モノマー;
(B)前記異種重合性モノマーのカチオン硬化性官能基と架橋結合を形成できる官能基を含み、前記官能基がエポキシ基、チオエーテル基、トリオキサン基、オキサゾリン基、カプロラクトン基、テトラヒドロフラン基、オキセタン基、及びビニルエーテル基からなる群から選択された1つ以上である、モノマー;
(C)アミン樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、及びエピスルフィド樹脂からなる群から選択された1つ以上である熱硬化性化合物;及び
(D)前記熱硬化性化合物と架橋結合を形成できる官能基を含み、前記官能基が水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミン基、カルボニル基、アクリル基、アクリロイル基、ニトリル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、及びエステル基からなる群から選択された1つ以上である、モノマー
を含む、
UV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項2】
前記異種重合性モノマー(A)が、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール600ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール1000ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール700ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選択された1つ以上である、
請求項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項3】
前記モノマー(B)が、エポキシ化合物、オキセタン化合物、及びビニルエーテル化合物からなる群から選択された1つ以上である、
請求項1又は2に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項4】
前記エポキシ化合物は、脂環エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂からなる群から選択された1つ以上である、
請求項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項5】
前記ノボラック型エポキシ樹脂は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂である、
請求項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項6】
前記クレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、下記式1の構造を有するものである、
請求項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【化1】
(ここで、nは1以上の整数である。)
【請求項7】
前記熱硬化性化合物(C)がブロックイソシアネート化合物である、
請求項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項8】
前記ブロックイソシアネート化合物のイソシアネートは、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート又は脂環式イソシアネートである、
請求項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項9】
前記イソシアネートは、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、テトラメチル-1,3-キシリレンジイソシアネート、2,4-トリレン二量体、ジメチルイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,1,6,6-テトラヒドロパーフルオロ-ヘキサメチレンジイソシアネート(1,1,6,6,-Tetrahydroperfluoro-hexamethylene diisocyanate、THFDI)、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランス-1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート;これらのアダクト体、ビュレット体又はイソシアヌレート体;及びこれらの組合わせからなる群から選択された1つ以上である、
請求項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項10】
イソシアネートのビュレット体化合物は、1,3,5-トリス(6-イソシアナトヘキシル)ビュレットである、
請求項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項11】
前記モノマー(D)が、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1-4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、及び2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群から選択された1つ以上である、
請求項1~10の何れか一項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項12】
組成物全体の重量を基準に
5~40重量%の異種重合性モノマー(A);
0.05~10重量%のモノマー(B);
2~30重量%の熱硬化性化合物(C);及び
1~15重量%のモノマー(D)
を含む、
請求項1~11の何れか一項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項13】
組成物全体の重量を基準に
10~30重量%の異種重合性モノマー(A);
0.1~5重量%のモノマー(B)及び
5~20重量%の熱硬化性化合物(C)
を含む、
請求項12に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項14】
多官能モノマー、ラジカル光開始剤、着色剤、分散剤、熱硬化性重合抑制剤、及びレベリング剤のうちの1つ以上をさらに含む、
請求項1~13の何れか一項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項15】
カチオン光開始剤を含まないことを特徴とする、
請求項1~14の何れか一項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項16】
前記着色剤は、ルチル型酸化チタン又はアナターゼ型酸化チタンである、
請求項15に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物。
【請求項17】
フォトソルダーレジスト(PSR)の最終硬化後に、請求項1~6の何れか一項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物でマーキングが形成された、印刷回路基板。
【請求項18】
請求項1~16の何れか一項に記載のUV硬化型インクジェットインキ組成物で形成された硬化物を基板上に備えることを特徴とする、印刷回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UV硬化型インクジェットインキ組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マーキングインキ(marking ink)は、印刷回路基板(printed circuit board;以下「PCB」)上に電子部品を組み立てる前に印刷回路基板の製造の最後の段階に用いられている。マーキングインキは、部品指定文字(component designator)、テストポイント(test points)及びその他の回路基板を組立、評価、使用又は修理するのに役立つ他の特徴を表示するのに用いられる。マーキングインキは、全ての印刷回路基板に用いられるが、使用分野がこれに局限されるわけではない。
【0003】
印刷回路基板(PCB)の製造において、回路を保護するためにフォトソルダーレジスト(photo solder resist;以下「PSR」)塗布工程が必要である。一般に、PSR工程以後、PCB表面の必要な部分にマーキングを形成する。従来のインクジェットインキ組成物は、PSR現像以後、マーキングを形成するのに主に使用され、その後、最終硬化を通じてPSRとマーキングをともに硬化させるのが一般的であった。これは、PSRの最終硬化以後にマーキングを形成させる場合、基板に対する密着性が顕著に不十分でマーキングが十分に形成されないためである。
【0004】
従って、従来のインクジェットインキ組成物の場合、工程順序が変更されて最終硬化以後にマーキングを形成する場合には、使用が制限された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国特許公開公報第10-2015-0050581号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのものであって、PSR現像以後だけでなく、最終硬化以後も使用可能なインクジェットインキ組成物に関する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1.本発明の一実施態様は、UV硬化型インクジェットインキ組成物に関するものであって、前記インキ組成物は、(A)1つ以上のラジカル硬化性官能基及び1つ以上のカチオン硬化性官能基を含む異種重合モノマー;(B)前記異種重合性モノマーのカチオン硬化性官能基と架橋結合を形成できる官能基を含むモノマー;(C)熱硬化性化合物;及び(D)前記熱硬化性化合物と架橋結合を形成できる極性官能基を含むモノマーを含むものである。
【0008】
2.一実施態様において、異種重合性モノマー(A)のラジカル硬化性官能基は、エチレン性不飽和基、アクリロイル基、アクリレート基、メタクリレート基、及びビニル基からなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0009】
3.一実施態様において、異種重合性モノマー(A)のカチオン硬化性官能基は、エポキシ基、チオエーテル基、トリオキサン基、オキサゾリン基、カプロラクトン基、テトラヒドロフラン基、オキセタン基、アクリレート基及びビニルエーテル基からなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0010】
4.一実施態様において、異種重合性モノマー(A)は、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール600ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール1000ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール700ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0011】
5.一実施態様において、モノマー(B)の官能基は、エポキシ基、チオエーテル基、トリオキサン基、オキサゾリン基、カプロラクトン基、テトラヒドロフラン基、オキセタン基、及びビニルエーテル基からなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0012】
6.一実施態様において、モノマー(B)は、エポキシ化合物、オキセタン化合物、及びビニルエーテル化合物からなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0013】
7.一実施態様において、エポキシ化合物は、脂環エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂からなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0014】
8.一実施態様において、ノボラック型エポキシ樹脂は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂であってもよい。
【0015】
9.一実施態様において、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、下記式1の構造を有するものであってもよい。
【化1】
(ここで、nは1以上の整数である)
【0016】
10.一実施態様において、熱硬化性化合物(C)は、アミン樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、及びエピスルフィド樹脂からなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0017】
11.一実施態様において、熱硬化性化合物(C)は、ブロックイソシアネート化合物であってもよい。
【0018】
12.一実施態様において、イソシアネート化合物は、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート又は脂環式イソシアネートであってもよい。
【0019】
13.一実施態様において、イソシアネート化合物は、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、テトラメチル-1,3-キシリレンジイソシアネート、2,4-トリレン二量体、ジメチルイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,1,6,6-テトラヒドロパーフルオロ-ヘキサメチレンジイソシアネート(1,1,6,6,-Tetrahydroperfluoro-hexamethylene diisocyanate、THFDI)、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランス-1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート;これらのアダクト体、ビュレット体又はイソシアヌレート体;及びこれらの組合わせからなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0020】
14.一実施態様において、イソシアネートのビュレット体化合物は、1,3,5-トリス(6-イソシアナトヘキシル)ビュレットであってもよい。
【0021】
15.一実施態様において、モノマー(D)の極性官能基が水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミン基、カルボニル基、アクリル基、アクリロイル基、ニトリル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、及びエステル基からなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0022】
16.一実施態様において、モノマー(D)が2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1-4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、及び2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0023】
17.一実施態様において、UV硬化型インクジェットインキ組成物は、組成物全体の重量を基準に5~40重量%の異種重合性モノマー(A);0.05~10重量%のモノマー(B);2~30重量%の熱硬化性化合物(C);及び1~15重量%のモノマー(D)を含み得る。
【0024】
18.一実施態様において、UV硬化型インクジェットインキ組成物は、組成物全体の重量を基準に10~30重量%又は15~25重量%の異種重合性モノマー(A);0.1~5重量%又は0.5~1.5重量%のモノマー(B)及び5~20重量%又は10~20重量%の熱硬化性化合物(C)を含み得る。
【0025】
19.一実施態様において、UV硬化型インクジェットインキ組成物は、多官能モノマー、ラジカル光開始剤、着色剤、分散剤、熱硬化性重合抑制剤、及びレベリング剤のうちの1つ以上をさらに含み得る。
【0026】
20.一実施態様において、UV硬化型インクジェットインキ組成物は、カチオン光開始剤を含まないことを特徴とするものであってもよい。
【0027】
21.一実施態様において、着色剤は、ルチル型酸化チタン又はアナターゼ型酸化チタンであってもよい。
【0028】
22.一実施態様において、UV硬化型インクジェットインキ組成物は、印刷回路基板上のPSR最終硬化後のマーキング形成のためのものであってもよい。
【0029】
23.本発明の一実施態様は、一実施態様によるUV硬化型インクジェットインキ組成物で形成された硬化物を基板上に備えることを特徴とする印刷回路基板に関するものであってもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一実施態様によるUV硬化型インクジェットインキ組成物は、硬化後の密着性及び表面硬化性に優れ、低粘度の特性を維持して優れた貯蔵安定性を示す。このような特性により、上記インクジェットインキ組成物は、PSR現像後だけでなく、PCB基板上でPSRの最終硬化後にもマーキング形成に用いられる優れた性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】従来のインクジェットインキ組成物を用いる場合の硬化過程を示した模式図(a)と、本発明の一実施態様によるUV硬化型インクジェットインキ組成物を用いる場合の硬化過程を示した模式図(b)を比較したものである。具体的には、従来のインクジェットインキ組成物は、現像されたPSRを硬化させた後に用いる場合、密着性が顕著に落ちてマーキングが形成され難い。一方、本発明の一実施態様によるUV硬化型インクジェットインキ組成物は、PSR現像後だけでなく、PSR硬化後に用いられても優れた密着性を示してマーキングが優れるように形成されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書に記載された多様な実施態様又は実施例は、本発明の技術的思想を明確に説明するための目的で例示されたものである。本発明の技術的思想は、本明細書に記載された各実施態様又は実施例の多様な変更(modifications)、均等物(equivalents)、代替物(alternatives)及び各実施態様又は実施例の全部又は一部から選択的に組み合わせられた実施態様又は実施例を含む。また、本発明の技術的思想は、以下に提示される多様な実施態様又は実施例やこれに関する具体的説明に限定されない。
【0033】
技術的又は科学的な用語を含め、本明細書で用いられる用語は、特に定義されない限り、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有し得る。一般の辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本発明で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されない。
【0034】
本明細書で用いられる「含む」、「含み得る」、「備える」、「備え得る」、「有する」、「有し得る」などのような表現は、対象となる特徴(例:機能、動作又は構成要素など)が存在することを意味し、他の追加の特徴の存在を排除しない。即ち、このような表現は、他の実施態様を含む可能性を内包する開放型用語(open-ended terms)として理解されるべきである。
【0035】
本明細書で用いられる単数型の表現は、文脈上異なって意味しない限り、複数型の意味を含み得、これは請求項に記載された単数型の表現にも同様に適用される。
【0036】
本明細書で用いられる「A、B及びC」、「A、B又はC」、「A、B及び/又はC」又は「A、B及びCのうち少なくとも1つ」、「A、B又はCのうち少なくとも1つ」、「A、B及び/又はCのうち少なくとも1つ」、「A、B及びCの中から選択された少なくとも1つ」、「A、B又はCの中から選択された少なくとも1つ」、「A、B及び/又はCの中から選択された少なくとも1つ」などの表現は、それぞれの羅列された項目又は羅列された項目の可能な全ての組合わせを意味し得る。
【0037】
本発明で用いられる用語「約」は、技術分野の熟練した技術者に広く公知となっている通り、それぞれの値に対する通常の誤差範囲を示し得る。これは、本明細書に記載された数値又は範囲の脈絡で、一実施態様で言及されているか、又は、請求された数値又は範囲の±20%、±15%、±10%、±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、又は±1%であることを意味し得る。
【0038】
本明細書で用いられる寸法、数値及びその範囲に関する記載は、文脈上異なって特定されない限り、当該寸法、数値及びその範囲のみに限定されるわけではなく、これを含む同等の範囲を意味し得る。
【0039】
以下で、本発明の多様な実施態様を説明する。
【0040】
[UV硬化型インクジェットインキ組成物]
本発明の一実施態様は、UV硬化型インクジェットインキ組成物に関するものである。
【0041】
一実施態様において、UV硬化型インクジェットインキ組成物は、(A)1つ以上のラジカル硬化性官能基及び1つ以上のカチオン硬化性官能基を含む異種重合性モノマー;(B)前記異種重合性モノマーのカチオン硬化性官能基と架橋結合を形成できる官能基を含むモノマー;(C)熱硬化性化合物;及び(D)前記熱硬化性化合物と架橋結合を形成できる極性官能基を含むモノマーを含み得る。UV硬化型インクジェットインキ組成物は、このような4つの成分の組合わせを通じて優れた粘度及び貯蔵安定性、密着性及び表面硬化性を示す。このような4つの成分は、それぞれが特定の配合比で含まれた場合に、更に優れた効果を奏することができる。特に、PSR最終硬化以後に用いられても印刷回路基板上で優れた密着性を示してPSR硬化以後の段階でもマーキングのためのインキ組成物として用いられるので、既存のインキ組成物より優れた異質な効果を奏することができる。
【0042】
[異種重合性モノマー(A)]
一実施態様において、異種重合性モノマー(A)は、互いに異なる1つ以上の官能基を有する化合物であれば、特に制限されずに用いられる。ここで、互いに異なる官能基とは、ラジカル硬化性官能基とカチオン硬化性官能基であり得る。異種重合性モノマー(A)は、互いに異なる官能基を有することにより、互いに異なる硬化反応性を示すことができ、例えば、ラジカル硬化反応性とカチオン硬化反応性を有することができる。これは、優れた密着性と鉛筆硬度に寄与することができ、反応速度に優れた特性を示すことができる。
【0043】
ラジカル硬化性官能基は、エチレン性不飽和基、アクリロイル基、アクリレート基、メタクリレート基、及びビニル基からなる群から選択された1つ以上であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0044】
カチオン硬化性官能基は、エポキシ基、チオエーテル基、トリオキサン基、オキサゾリン基、カプロラクトン基、テトラヒドロフラン基、オキセタン基、アクリレート基及びビニルエーテル基からなる群から選択された1つ以上であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0045】
具体的には、異種重合性モノマー(A)は、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール600ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール1000ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール700ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びトリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選択された1つ以上であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0046】
[モノマー(B)]
一実施態様において、モノマー(B)は異種重合性モノマー(A)のカチオン硬化性官能基と反応して架橋結合を形成できる官能基を含むものであれば、特に制限されずに用いられる。このようなモノマー(B)は、カチオン性光開始剤が存在しなくてもエネルギー線の照射によって異種重合性モノマーと架橋結合を形成できる。このような架橋結合により、本発明のUV硬化型インクジェットインキ組成物は、優れた粘度、貯蔵安定性、密着性及び表面硬化性を示すことができる。
【0047】
上記異種重合性モノマー(A)のカチオン硬化性官能基と反応して架橋結合を形成できるモノマー(B)の官能基は、エポキシ基、チオエーテル基、トリオキサン基、オキサゾリン基、カプロラクトン基、テトラヒドロフラン基、オキセタン基、及びビニルエーテル基からなる群から選択された1つ以上であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0048】
モノマー(B)は、エポキシ化合物、オキセタン化合物、及びビニルエーテル化合物からなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0049】
エポキシ化合物は、多官能エポキシ化合物であってもよく、脂環エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及びナフタレン型エポキシ樹脂からなる群から選択された1つ以上であってもよい。具体的には、ノボラック型エポキシ樹脂は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂であってもよく、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂は下記式1の構造を有するものであってもよい。
【0050】
【化2】
【0051】
ここで、nは繰り返し単位を示し、nは1以上の整数であり得る。例えば、nは1以上20以下の整数であり得る。このような繰り返し単位の単一同位元素の質量又は質量対電荷比(mass-to-charge ratio;m/z)は176.0837であり得る。
【0052】
UV硬化型インクジェットインキ組成物に含まれたクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の含量は、液体クロマトグラフィー-飛行時間-質量分析法(Liquid Chromatography Time-of-Flight Mass Spectrometry;LC-TOF-MS)により測定することができる。例えば、LC-TOF-MS分析の3D-マップ分析及びレファレンスサンプルとm/z値を比較して、インクジェットインキ組成物中に含まれたクレゾールノボラック型エポキシ成分を検出することができる。具体的には、任意のサンプルの3D-マップ分析からクレゾールノボラック型エポキシの繰り返し単位(n=1~6)に該当するイオン種・m/zを確認すると、維持時間(例:11~13分の間)中にクレゾールノボラック型エポキシの繰り返し単位差(△m/z=176)を有するピークを発見することができる(イオン種:アンモニウム付加体[M+NH4]+、これは、例えば、下記表1に示したように、10 mM酢酸アンモニウム水溶液から由来したものであり得る)。このように任意のサンプルに対する3D-マップ分析結果とm/z値をレファレンスサンプルと比較して、任意のサンプル内にクレゾールノボラック型エポキシ成分が存在することを確認することができる。例えば、レファレンスサンプルは、市販のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を含む製品(例:韓国タイヨウインキ社、IJR-400 LW300)をテトラヒドロフラン(THF)溶媒と超音波混合して、適正なエポキシ樹脂含量(例:0.5重量%)を合わせた後、前処理濾過(例:Pall社のメンブレンフィルター、材質:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、空隙の大きさ:0.2μm)後に実験に用いることができる。
【0053】
[LC-TOF-MS分析条件]
LC-TOF-MS分析は、ウォーターズ社のXevo G2-S機器を用いて、下記表1の条件で行うことができる。
【0054】
【表1】
【0055】
具体的には、脂環エポキシ樹脂化合物としては、3,4,3',4'-ジエポキシビシクロヘキシル、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロへキシル)プロパン、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロへキシル)-1,3-ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4-エポキシシクロへキシル)メタン、1-[1,1-ビス(3,4-エポキシシクロへキシル)]エチルベンゼン、ビス(3,4-エポキシシクロへキシル)アジペート、3,4-エポキシシクロへキシルメチル(3,4-エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル)メチル-3',4'-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレン-1,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボン酸)エステル、シクロヘキセンオキシド、3,4-エポキシシクロへキシルメチルアルコール、3,4-エポキシシクロへキシルエチルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有する脂環エポキシ樹脂化合物などが挙げられるが、これに制限されるわけではない。市販品としては、例えば、ダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2000、セロキサイド2021、セロキサイド3000、EHPE3150;三井化学(株)製のエポミックVG-3101;油化シェルエポキシ(株)製のE-1031S;三菱ガス化学(株)製のTETRAD-X、TETRAD-C;日本曹達(株)製のEPB-13、EPB-27等が挙げられるが、これに制限されるわけではない。オキセタン化合物としては、ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマー又は共重合体などの多官能オキセタン類以外に、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類又はシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物、オキセタン環を有する不飽和単量体とアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体などのオキセタン化合物が挙げられるが、これに制限されるわけではない。オキセタン化合物はまた、多官能オキセタン化合物であり得る。市販品としては、例えば、宇部興産(株)製のエタナコールOXBP、OXMA、OXBP、EHO、キシリレンビスオキセタン、東亜合成(株)製のアロンオキセタンOXT-101、OXT-201、OXT-211、OXT-221、OXT-212、OXT-610、PNOX-1009等が挙げられるが、これに制限されるわけではない。
【0056】
ビニルエーテル化合物としては、イソソルバイトジビニルエーテル、オキサノルボルネンジビニルエーテルなどの環状エーテル型ビニルエーテル(オキシラン環、オキセタン環、オキソラン環などの環状エーテル基を有するビニルエーテル);フェニルビニルエーテルなどのアリルビニルエーテル;n-ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル;シクロヘキシルビニルエーテルなどのシクロアルキルビニルエーテル;ヒドロキノンジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル、α及び/又はβ位置にアルキル基、アリル基などの置換基を有するビニルエーテル化合物などが挙げられるが、これに制限されるわけではない。市販品としては、例えば、丸善石油化学(株)製の2-ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)、ジエチレングリコールモノビニルエーテル(DEGV)、2-ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、トリエチレングリコールジビニルエーテルなどが挙げられるが、これに制限されるわけではない。
【0057】
[熱硬化性化合物(C)]
一実施態様において、熱硬化性化合物(C)は、加熱によって硬化することができる化合物であれば、特に制限されずに用いられる。このような熱硬化性化合物(C)は、モノマー(D)と架橋結合して密着性を向上させることができる。
【0058】
熱硬化性化合物(C)は、アミン樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、及びエピスルフィド樹脂からなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0059】
アミン樹脂は、メチロールベンゾグアナミン、ベンゾグアナミン、メチロールグリコールウリル、メチロール尿素、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリル、及びアルコキシメチル化尿素などのように公知となったものであってもよいが、これに制限されるわけではない。ここで、アルコキシメチル基はメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、又は、ブトキシメチル基であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0060】
イソシアネート化合物は、1分子内に1つ又は2つ以上のイソシアネート基を有する化合物を意味し得、ブロックイソシアネート化合物は、1分子内に1つ又は2つ以上のブロック化イソシアネート基を有する化合物を意味し得る。
【0061】
イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート又は脂環式イソシアネートが用いられる。芳香族イソシアネートの具体例としては、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、テトラメチル-1,3-キシリレンジイソシアネート及び2,4-トリレン二量体が挙げられる。脂肪族イソシアネートの具体例としては、ジメチルイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,1,6,6-テトラヒドロパーフルオロ-ヘキサメチレンジイソシアネート(1,1,6,6,-Tetrahydroperfluoro-hexamethylene diisocyanate、THFDI)、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及び4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)が挙げられる。脂環式イソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランス-1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、ジメチルジイソシアネート、及びビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。また、先に列挙されたイソシアネート化合物のアダクト体、ビュレット体及びイソシアヌレート体が挙げられる。例えば、イソシアネート化合物は、1,3,5-トリス(6-イソシアナトヘキシル)ビュレット(1,3,5-Tris(6-isocyanatohexyl)biuret)であってもよい。
【0062】
ブロックイソシアネート化合物に含まれるブロック化イソシアネート基は、イソシアネート基がブロック剤との反応によって保護され、一時的に不活性化されたものを意味する。所定の温度で加熱した時に、そのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成される。
【0063】
ブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤の付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応できるイソシアネート化合物としては、イソシアヌレート型、ビュレット型、アダクト型などが挙げられる。このイソシアネート化合物としては、例えば、上記と同一の芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート又は脂環式イソシアネートが用いられる。
【0064】
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール及びエチルフェノールなどのフェノール系ブロック剤;ε-カプロラクタム(ε-CAP)、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム及びβ-プロピオラクタムなどのラクタム系ブロック剤;マロン酸ジエチル(diethyl malonate;DEM)、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンなどの活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル及び乳酸エチルなどのアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドオキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム(methylethyl ketoxime;MEKO)、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノールなどのメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミドなどの酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミド及びマレイン酸イミドなどのイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミンなどのアミン系ブロック剤;イミダゾール、2-エチルイミダゾールなどのイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミン及びプロピレンイミンなどのイミン系ブロック剤;メチルピラゾール(例:3,5-ジメチルピラゾール)、エチルピラゾールなどのピラゾール系ブロック剤などを用いられるが、これに制限されるわけではない。
【0065】
ブロックイソシアネート化合物は、市販のものであってもよく、例えば、BI7683、BI7642、BI201、BI220、BI7950、BI7951、BI7960、BI7961、BI7963、BI7981、BI7982、BI7990、BI7991、BI7992(以上、Baxenden社製、商品名)、スミジュールBL-3175、BL-4165、BL-1100、BL-1265、デスモジュールTPLS-2957、TPLS-2062、TPLS-2078、TPLS-2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(以上、住友バイエルウレタン株式会社製、商品名)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(以上、日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名)、B-830、B-815、B-846、B-870、B-874、B-882(三井武田ケミカル株式会社製、商品名)、TPA-B80E、17B-60PX、E402-B80T、MF-B60B、MF-K60B、SBN-70D(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名)等を用いることができるが、これに制限されるわけではない。
【0066】
上記イソシアネート化合物又はブロックイソシアネート化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
シクロカーボネート化合物は、熱硬化成分として用いられる公知のカーボネート化合物であれば、その種類が特に制限されることはなく、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、又は、2,3-カーボネートプロピルメタクリレートなどが挙げられるが、これに制限されるわけではない。
【0068】
多官能エポキシ化合物としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、DIC株式会社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、新日鉄住金化学株式会社製のエポトートYD-011、YD-013、YD-127、YD-128、ダウ・ケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、住友化学株式会社製のスミ-エポキシESA-011、ESA-014、ELA-115、ELA-128、旭化成株式会社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(いずれも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjERYL903、DIC株式会社製のエピクロン152、エピクロン165、新日鉄住金化学株式会社製のエポトートYDB-400、YDB-500、ダウ・ケミカル社製のD.E.R.542、住友化学株式会社製のスミ-エポキシESB-400、ESB-700、旭化成株式会社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(いずれも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjER152、jER154、ダウ・ケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC株式会社製のエピクロンN-730、エピクロンN-770、エピクロンN-865、新日鉄住金化学株式会社社製のエポトートYDCN-701、YDCN-704、日本化薬株式会社製のEPPN-201、EOCN-1025、EOCN-1020、EOCN-104S、RE-306、住友化学株式会社製のスミ-エポキシESCN-195X、ESCN-220、旭化成株式会社製のA.E.R.ECN-235、ECN-299等(いずれも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;DIC株式会社製のエピクロン830、三菱ケミカル株式会社製のjER807、新日鉄住金化学株式会社製のエポトートYDF-170、YDF-175、YDF-2004等(いずれも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;新日鉄住金化学株式会社製のエポトートST-2004、ST-2007、ST-3000(商品名)等の水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjER604、新日鉄住金化学株式会社製のエポトートYH-434、住友化学株式会社製のスミ-エポキシELM-120等(いずれも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂;株式会社ダイセル製のセロキサイド2021Pなど(商品名)の脂環式エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のYL-933、ダウ・ケミカル社製のT.E.N.、EPPN-501、EPPN-502等(いずれも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のYL-6056、YX-4000、YL-6121(いずれも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬株式会社製のEBPS-200、旭電化工業株式会社製のEPX-30、DIC株式会社製のEXA-1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱ケミカル株式会社製のjERYL-931等(いずれも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学工業株式会社製のTEPIC等(商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂株式会社製のブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;新日鉄住金化学株式会社製のZX-1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鉄化学株式会社製のESN-190、ESN-360、DIC株式会社製のHP-4032、EXA-4750、EXA-4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC株式会社製のHP-7200、HP-7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂株式会社製のCP-50S、CP-50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えば、ダイセル化学工業製のPB-3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば、東都化成株式会社製のYR-102 YR-450等)等が挙げられるが、これに制限されるわけではない。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
多官能オキセタン化合物としては、ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、これらのオリゴマー又はこれらの共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はシルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂とのエーテル化物等が挙げられるが、これに制限されるわけではない。その他にも、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体等も挙げられる。市販品としては、例えば、宇部興産(株)製のエタナコールOXBP、OXMA、OXBP、EHO、キシリレンビスオキセタン、東亜合成(株)製のアロンオキセタンOXT-101、OXT-201、OXT-211、OXT-221、OXT-212、OXT-610、PNOX-1009等が挙げられる。
【0070】
エピスルフィド樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂YL7000等が挙げられるが、これに制限されるわけではない。また、同一の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
【0071】
上記熱硬化性化合物は、1種を単独で用いるか、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0072】
[モノマー(D)]
一実施態様において、モノマー(D)は、熱硬化性化合物(C)と反応して架橋結合を形成できる極性官能基を含み得る。このようなモノマー(D)は、本発明のUV硬化型インクジェットインキ組成物の硬化後の密着性を向上させることができ、これは熱硬化性化合物(C)と架橋結合を形成することによって達成される。
【0073】
モノマー(D)の極性官能基は、熱硬化性化合物(C)と反応して架橋結合を形成できるものであれば、特に制限されない。例えば、極性官能基は、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、アミン基、カルボニル基、アクリル基、アクリロイル基、ニトリル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、及びエステル基からなる群から選択された1つ以上であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0074】
モノマー(D)は、熱硬化性化合物(C)と反応して架橋結合を形成できるものであれば、特に制限されずに用いられ、例えば、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1-4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、及び2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートからなる群から選択された1つ以上であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0075】
[各成分の含量]
一実施態様において、異種重合性モノマー(A)の含量は、本発明の組成物全体の重量を基準に約5~約40重量%、約7~約35重量%、約10~約30重量%、約15~約25重量%、約18~約22重量%、又は、約19~約21重量%であってもよい。異種重合性モノマー(A)の含量が上記最小値以上である場合、本発明のUV硬化型インクジェットインキ組成物において達成しようとする密着性及び表面硬化性が更に優れるように達成され、上記最大値以下である場合、本発明で達成しようとする効果(密着性、表面硬化性、粘度及び貯蔵安定性)が達成される。
【0076】
一実施態様において、モノマー(B)の含量は、本発明の組成物全体の重量を基準に約0.05~約10重量%、約0.1~約9重量%、約0.1~約7重量%、約0.5~約5重量%、約0.5~約3重量%、約0.5~約2重量%、約0.5~約1.5重量%、又は、約0.5~約1重量%であってもよい。モノマー(B)の含量が上記最小値以上である場合、本発明のUV硬化型インクジェットインキ組成物において達成しようとする粘度及び貯蔵安定性と密着性が達成され、上記最大値以下である場合、粘度及び貯蔵安定性と表面硬化性が達成される。
【0077】
一実施態様において、熱硬化性化合物(C)の含量は、本発明の組成物全体の重量を基準に約2~約30重量%、約5~約25重量%、約5~約20重量%、約7~約20重量%、約10~約20重量%、約12~約18重量%、又は、約14~約16重量%であってもよい。熱硬化性化合物(C)の含量が上記最小値以上である場合、本発明のUV硬化型インクジェットインキ組成物において達成しようとする密着性が達成され、上記最大値以下である場合、本発明で達成しようとする効果(密着性、表面硬化性、粘度及び貯蔵安定性)が達成される。
【0078】
一実施態様において、モノマー(D)の含量は、本発明の組成物全体の重量を基準に約1~約15重量%、約5~約15重量%、約7~約13重量%、約9~約11重量%であってもよい。モノマー(D)の含量が上記最小値以上である場合、本発明のUV硬化型インクジェットインキ組成物において達成しようとする密着性が達成される。モノマー(D)の含量が上記最大値以下である場合、本発明のUV硬化型インクジェットインキ組成物において達成しようとする表面硬化性が達成され、モノマー(D)の含量が上記最大値を超える場合には、低粘度によって印刷時にインキが滲むなどの印刷性が不良になることがあり、耐化学性及び傾倒の側面で弱くなる可能性がある。
【0079】
[その他の添加剤]
一実施態様において、UV硬化型インクジェットインキ組成物は、多官能モノマー、ラジカル光開始剤、着色剤、分散剤、熱硬化性重合抑制剤、及びレベリング剤のうちの1つ以上を含み得る。
【0080】
多官能モノマーは、2つ以上又は3つ以上の官能基を有するモノマーであれば、特に制限なしに公知のものを用いることができ、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシレイテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又は、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどを用いることができるが、これに制限されるわけではない。このような多官能モノマーは、本発明のUV硬化型インクジェットインキ組成物の硬化後の鉛筆硬度と耐薬品性を向上させることができる。
【0081】
ラジカル光開始剤は、特に制限なく公知のものを用いることができ、例えば、ベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、ベンゾフェノン類、α-アミノアセトフェノン類、アシルホスフィンオキサイド類又はオキシムエステル類から選択された少なくとも1種以上を含み得る。より具体的には、例えば、ビアセチル、ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル-フェノールケトン、p-イソプロピル-α-ヒドロキシイソブチルフェノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、エチル-p-ジメチルアミノベンゾエート、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、2,4-ジメチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、トリメチルベンゾフェノン(TZT)、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルスルフィド、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン(DETX)、2-イソプロピルチオキサントン(ITX)、4,4'-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパンオン-1(IRGACURE907)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタンオン-1(IRGACURE 369)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリニルフェニル)-ブタンオン-1(IRGACURE 379)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド(OMNIRAD 819又はIRGACURE 819)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(Mosaphoto 348)、ビス(エタ5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル]チタニウム、2-ヒドロキシ-1-{1-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-フェニル]-1,3,3-トリメチル-インダン-5-イル}-2-メチル-プロパン-1-オン(ESACURE ONE)、1-プロパノン-1-[4-[(4-ベンゾイルフェニル)チオ]フェニル]-2-メチル-2-[(4-メチルフェニル)スルホニル](ESACURE 1001M)、ビス-N、N-[4-ジメチルアミノベンゾイル)オキシエチレン-l-イル]-メチルアミン(ESACURE A198)又はこれらの2種以上の混合物を用いることができるが、これに制限されるわけではない。
【0082】
着色剤として、赤、青、緑、黄、白、黒などの公知となった着色剤を用いることができ、顔料、染料、色素のうちいずれでも用いることができ、これらを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0083】
白色着色剤は、酸化チタンであってもよい。酸化チタンは、ルチル型酸化チタン又はアナターゼ型酸化チタンであってもよい。UV硬化型インクジェットインキ組成物の着色性、隠蔽性及び安定性を考慮したとき、ルチル型酸化チタンを用いることができる。ルチル型酸化チタンは、Si、Al及びZrのうちの1つ以上によって表面処理された(コーティングされた)ルチル型酸化チタンであってもよく、具体的には、Al及びSiによって表面処理された(コーティングされた)ルチル型酸化チタン又はSi、Al及びZrによって表面処理された(コーティングされた)ルチル型酸化チタンであってもよいが、これに制限されるわけではない。酸化チタンは、TiONA(R) 595を用いることができる。
【0084】
黒色着色剤は、カーボンブラック、ペリレンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭などが用いられるが、これに制限されるわけではない。
【0085】
赤色着色剤としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがあり、具体的には、以下のものが挙げられる。ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、112、114、146、147、151、170、184、187、188、193、210、245、253、258、266、267、268、269等のモノアゾ系赤色着色剤、ピグメントレッド37、38、41等のジスアゾ系赤色着色剤、ピグメントレッド48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53:1、53:2、57:1、58:4、63:1、63:2、64:1、68等のモノアゾレーキ系赤色着色剤、ピグメントレッド171、ピグメントレッド175、ピグメントレッド176、ピグメントレッド185、ピグメントレッド208等のベンズイミダゾロン系赤色着色剤、ソルベントレッド135、ソルベントレッド179、ピグメントレッド123、ピグメントレッド149、ピグメントレッド166、ピグメントレッド178、ピグメントレッド179、ピグメントレッド190、ピグメントレッド194、ピグメントレッド224等のペリレン系赤色着色剤、ピグメントレッド254、ピグメントレッド255、ピグメントレッド264、ピグメントレッド270、ピグメントレッド272等のジケトピロロピロール系赤色着色剤、ピグメントレッド220、ピグメントレッド144、ピグメントレッド166、ピグメントレッド214、ピグメントレッド220、ピグメントレッド221、ピグメントレッド242等の縮合アゾ系赤色着色剤、ピグメントレッド168、ピグメントレッド177、ピグメントレッド216、ソルベントレッド149、ソルベントレッド150、ソルベントレッド52、ソルベントレッド207等のアントラキノン系赤色着色剤、ピグメントレッド122、ピグメントレッド202、ピグメントレッド206、ピグメントレッド207、ピグメントレッド209等のキナクリドン系赤色着色剤が挙げられるが、これに制限されるわけではない。
【0086】
青色着色剤としては、フタロシアニン系、アントラキノン系などがあり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には:ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー16、ピグメントブルー60等が挙げられるが、これに制限されるわけではない。染料系としては、ソルベントブルー35、ソルベントブルー63、ソルベントブルー68、ソルベントブルー70、ソルベントブルー83、ソルベントブルー87、ソルベントブルー94、ソルベントブルー97、ソルベントブルー122、ソルベントブルー136、ソルベントブルー67等を用いることができるが、これに制限されるわけではない。また、これらの他にも、金属置換又は非置換のフタロシアニン化合物も用いることができる。
【0087】
緑色着色剤としては、同一にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系などがあり、具体的には、ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36、ソルベントグリーン3、ソルベントグリーン5、ソルベントグリーン20、ソルベントグリーン28等を用いることができるが、これに制限されるわけではない。上記以外にも、金属置換又は非置換のフタロシアニン化合物も用いることができる。
【0088】
黄色着色剤としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系などがあり、具体的には、以下のものが挙げられる。ソルベントイエロー163、ピグメントイエロー24、ピグメントイエロー108、ピグメントイエロー193、ピグメントイエロー147、ピグメントイエロー199、ピグメントイエロー202等のアントラキノン系黄色着色剤、ピグメントイエロー110、ピグメントイエロー109、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー179、ピグメントイエロー185等のイソインドリノン系黄色着色剤、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー94、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー166、ピグメントイエロー180等の縮合アゾ系黄色着色剤、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー156、ピグメントイエロー175、ピグメントイエロー181等のベンズイミダゾロン系黄色着色剤、ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、9、10、12、61、62、62:1、65、73、74、75、97、100、104、105、111、116、167、168、169、182、183等のモノアゾ系黄色着色剤、ピグメントイエロー12、13、14、16、17、55、63、81、83、87、126、127、152、170、172、174、176、188、198等のジスアゾ系黄色着色剤などを用いることができるが、これに制限されるわけではない。
【0089】
また、色調を調整する目的で、紫色、オレンジ、茶色、黒色などの着色剤を添加してもよい。具体的に例示すると、ピグメントバイオレット19、23、29、32、36、38、42、ソルベントバイオレット13、36、C. I. ピグメントオレンジ1、C. I. ピグメントオレンジ5、C. I. ピグメントオレンジ13、C. I. ピグメントオレンジ14、C. I. ピグメントオレンジ16、C. I. ピグメントオレンジ17、C. I. ピグメントオレンジ24、C. I. ピグメントオレンジ34、C. I. ピグメントオレンジ36、C. I. ピグメントオレンジ38、C. I. ピグメントオレンジ40、C. I. ピグメントオレンジ43、C. I. ピグメントオレンジ46、C. I. ピグメントオレンジ49、C. I. ピグメントオレンジ51、C. I. ピグメントオレンジ61、C. I. ピグメントオレンジ63、C. I. ピグメントオレンジ64、C. I. ピグメントオレンジ71、C. I. ピグメントオレンジ73、C. I. ピグメントブラウン23、C. I. ピグメントブラウン25、C. I. ピグメントブラック1、C. I. ピグメントブラック7等が挙げられるが、これに制限されるわけではない。
【0090】
着色剤の含量は、本発明の組成物全体の重量を基準に約1~約20重量%、約5~約20重量%、約10~約20重量%、約12~約18重量%、又は、約14~約16重量%であってもよい。
【0091】
分散剤は、特に制限なしに公知のものを用いることができ、本発明の組成物に含まれる上記着色剤の分散性に適するという側面で、商業的には、BYK社のDISPERBYK-111、DISPERBYK-110、DISPERBYK-118、DISPERBYK-140、DISPERBYK-142、DISPERBYK-163、DISPERBYK-2150、DISPERBYK-2200、DISPERBYK-2205、DISPERBYK-2163、DISPERBYK-2013、DISPERBYK-180、DISPERBYK-2155、DISPERBYK-2009、DISPERBYK-168、DISPERBYK-2164、DISPERBYK-2118、DISPERBYK-2008、DISPERBYK-9076、DISPERBYK-9077及びDISPERBYK-2055のうちの1つ以上を用いることができるが、これに制限されるわけではない。
【0092】
分散剤の含量は、本発明の組成物全体の重量を基準に約0.1~約5重量%、約0.5~約2重量%、約0.7~約1.5重量%、約0.9~約1.3重量%、又は、約0.9~約1.1重量%であってもよい。
【0093】
熱硬化性重合抑制剤は、インキの貯蔵安定性を維持するために用いられるものであれば、特に制限されずに用いられる。本発明のUV硬化型インクジェットインキ組成物は、熱硬化性化合物を含み、例えば、ブロックイソシアネートを含む。このような熱硬化性化合物は、ブロック化されて加熱前には安定した状態を維持するが、常温又は中温(約30℃~約60℃)の環境では熱硬化性化合物の反応が一部進められ、貯蔵安定性を減少させることがある。このような貯蔵安定性の減少を防止し、インクジェットインキ組成物の貯蔵安定性を維持させるために、熱硬化性重合抑制剤が用いられる。例えば、ヒドロキノン、ターシャリーブチルカテコール、ブチルヒドロキシアニソールなどのフェノール類、パラ-ベンゾキノンなどのキノン類、ニトロヒドロキシアミン、フェニレンジアミンなどのアミン類、メルカプタン、及びジチオカルバメートのうちの1つ以上を用いることができるが、これに制限されるわけではない。熱硬化性重合抑制剤は、アミン類であるトリス(N-ヒドロキシ-N-ニトロソフェニルアミナト-O,O')アルミニウム(Tris(N-hydroxy-N-nitrosophenylaminato-O,O')aluminium)又はニトロヒドロキシアミンアルミニウム塩(Q-1301;Wako社)を用いることができる。
【0094】
熱硬化性重合抑制剤の含量は、本発明の組成物全体の重量を基準に約0.01~約0.5重量%、約0.01~約0.3重量%、約0.05~約0.2重量%、約0.05~約0.15重量%、又は、約0.05~約0.1重量%であってもよい。熱硬化性重合抑制剤の含量が上記最小値以上である場合、UV硬化型インクジェットインキ組成物の貯蔵安定性が十分に達成され、その含量が上記最大値以下である場合、加熱による硬化が目的とする分だけ達成される。
【0095】
レベリング剤は、最終硬化したPSR基板上で密着性を増加させ、はじき問題(ピンホール現象)を解決するためのものであれば、特に制限されずに用いることができる。例えば、レベリング剤は、本発明の組成物のレベリング性に適するという側面で、商業的に入手可能なBYK社のシリコーン系又は非シリコーン系レベリング剤がいずれも使用可能であり、2種以上の組合わせを用いることができる。シリコーン系レベリング剤は、BYK-300、BYK-302、BYK-306、BYK-307、BYK-310、BYK-313、BYK-315N、BYK-320、BYK-322、BYK-323、BYK-325N、BYK-326、BYK-327、BYK-329、BYK-331、BYK-333、BYK-342、BYK-346、BYK-345、BYK-348、BYK-349、BYK-370、BYK-377、BYK-378、BYK-3455、BYK-3456、BYK-3450、BYK-3451、BYK-3480、BYK-3481、BYK-3760、BYK-UV-3500、BYK-UV-3505、BYK-UV-3530、BYK-UV-3535、BYK-UV-3570、BYK-UV-3575、及びBYK-UV-3576のうちの1つ以上であってもよいが、これに制限されるわけではない。非シリコーン系レベリング剤は、BYK-350、BYK-354、BYK-355、BYK-356、BYK-358N、BYK-361N、BYK-381、BYK-392、BYK-394、BYK-399、BYK-3440、BYK-3441、BYK-3560、及びBYK-3566のうちの1つ以上であってもよいが、これに制限されるわけではない。
【0096】
レベリング剤の含量は、本発明の組成物全体の重量を基準に約0.1~約1.0重量%、約0.2~約0.8重量%、約0.3~約0.7重量%、又は、約0.4~約0.6重量%であってもよい。レベリング剤の含量が上記最小値以上である場合、所望の密着性が達成されるか、又ははじき問題(ピンホール現象)がないUV硬化型インクジェットインキ組成物を製造することができ、その含量が上記最大値以下である場合、反応性が満たされ、密着性が達成されるUV硬化型インクジェットインキ組成物を製造することができる。
【0097】
一実施態様において、UV硬化型インクジェットインキ組成物は、さらに分散剤、消泡剤、流動性調節剤、発泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、静電気防止剤、及び光沢剤のうちの1つ以上を含み得、この場合、インキ組成物全体の重量に対して少量で添加され得る。
【0098】
一実施態様において、UV硬化型インクジェットインキ組成物は、カチオン光開始剤を含まないことを特徴とすることができる。本発明のインクジェットインキ組成物は、カチオン光開始剤を含むか、用いなくても異種重合性モノマーとカチオン硬化性官能基と架橋結合を形成できる官能基を有するモノマーが活性エネルギー線によって硬化する特徴を有する。このような特徴により、本発明のインクジェットインキ組成物は、優れた粘度又は貯蔵安定性を示し、優れた表面硬化性を示すことができる。
【0099】
本発明は、前述した実施態様及び後述する実施例を通じて更に明確になるはずである。以下では、下記表を参照して記述される実施例を通じて当該業界の通常の技術者が本発明を容易に理解して実現することができるように詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるわけではない。
【実施例
【0100】
I.インクジェットインキ組成物及びマーキングインキ基板の製造
【0101】
1.UV硬化型インクジェットインキ組成物の製造
下記表2及び表3に記載された各成分及び含量を有する反応物を攪拌機を用いて2,000rpmの速度で45℃にて1.5時間混合した後、顔料及び分散剤を追加し、粒径が0.2μmであるジルコニアビーズを用いて3時間分散させた。その後、1μmのフィルタで濾過してUV硬化型インクジェットインキ組成物を製造した。
【0102】
表2及び表3に記載された成分は、具体的に次の通りである。
【0103】
1)異種重合性モノマー(A):2-(2-ビニルオキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート(日本触媒社製)
2)モノマー(B)(クレゾールノボラック型エポキシ):BH-50(ジェービーカルテック(株)製;当該製品は、3官能ブロックイソシアネート:クレゾールノボラック型エポキシが12:0.7比率である製品であり、クレゾールノボラック型エポキシ化合物は、3官能ブロックイソシアネートとブレンディングされた混合物として添加される。表2及び表3の含量比率のとおり大量でブレンディング(BASE化)した後、小分して使用)
3)熱硬化性化合物(C)(3官能ブロックイソシアネート):BH-50(ジェービーカルテック(株)製;1,3,5-トリス(6-イソシアナトヘキシル)ビュレットが含まれており、クレゾールノボラック型エポキシとブレンディングされた混合物として添加される)
4)モノマー(D)(水酸基を含む単官能モノマー):4-ヒドロキシブチルアクリレート(日本化成(株)製)
5)多官能モノマー:トリメチロールプロパントリアクリレート(オルネクス社製)
6)その他のモノマー:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(Hexanediol diacrylate;HDDA;オルネクス社製)
7)ラジカル光開始剤:OMNIRAD 819(IGMレジンB.V.社製)及びMOSAPHOTO 348(UFCコーポレーション社製)の混合物(OMNIRAD 819とMOSAPHOTO 348を1.2:1.8の比率で混合)
8)酸化チタン:TiONA 595(Tronox社製)
9)熱硬化性重合抑制剤:Q-1301(Wako社製)
10)レベリング剤:BYK-307(BYK社製)
11)カチオン光開始剤:Omnicat 250(IGMレジンB.V.社製)
【0104】
2.フォトソルダーレジスト(PSR)基板の製造
太陽フォトソルダーレジストPSR-4000 MB(スクリーンタイプPSR)、PSR-4000 SP71(スプレータイプPSR)をスクリーン印刷工法及びスプレー印刷工法を用いて回路形成プリント配線板1.6T FR-4に(厚さ40um±2)印刷後に90℃で30分間乾燥した。乾燥したPSRをパターン形成及び露光を行うために露光機(OTS Technology社、YH-7090 8K)で現像フィルム(PETフィルム)を当て、400mJ/cm2で露光後に現像機(ペクトゥ企業社、TRUMAN DI442、Na2CO3 1wt%、60sec)に入れ、パターン及び現像基板を製作した。現像されたPSRを最終硬化するために、熱風循環式乾燥炉で150℃に60分間最終硬化してマーキングインキを評価するためのPSR基板を製造した。
【0105】
3.マーキングインキ基板の製造
上記1.の項目により製造されたUV硬化型インクジェットインキ組成物をインクジェットプリンター(Microcraft社のMJP2013K1-DU)、圧電方式(piezoelectric type)のプリントヘッドに適用し、上記2.の項目により製造され、PSRが最終硬化している回路形成プリント配線板1.6T FR-4(150mm x 95 mm)上に塗布した。その後、プリント配線板上に塗布されたマーキングインキ溶液に対してインクジェットプリンターに付着されたUV LEDランプ(385nm、395nm)を用いて総累積光量400mJ/cm2で紫外線を照射しながら光硬化を進めた。上記光硬化以後、熱風循環式乾燥炉にて150℃の温度で60分間熱硬化を進め、マーキングインキ塗膜を製造した。
【0106】
II.特性試験
上記により製造されたマーキングインキ塗膜を対象として下記評価を行い、実施例及び比較例のUV硬化型インクジェットインキ組成物に対して評価を行った。評価結果は、表2及び表3にそれぞれ示した。
【0107】
1.密着性
硬化した組成物の表面を1mm幅にカッターを用いて30°の角度で表面に四角(□)形態の目盛りを100個(10 x 10)作り、粘着テープで密着させた後、瞬間的に剥ぎ取る。剥ぎ取った後、剥がれた形態を下記表2により密着性を評価した。
【0108】
【表2】
【0109】
2.表面硬化性(Tacky)
硬化した組成物の表面をアルコールで濡らした白い布を用いてこすった後、白い布にインキが滲み出る程度を確認し、また、硬化した組成物の表面を手で触ったとき、手の指紋の転写有無をもって表面硬化性を評価した。
◎:手の指紋の転写がなく、インキが滲み出ることも全くない。
○:手の指紋の転写はないが、インキが滲み出ることが少し観察された。
△:手の指紋の転写があり、インキが滲み出ることが少し観察された。
×:手の指紋の転写があり、インキが消えることが発生した。
【0110】
3.粘度及び貯蔵安定性
上記方法により製造されたUV硬化型インクジェットインキ組成物に対して粘度を測定した(初期粘度)。その後、組成物を密閉した容器中にて50℃で2週間保存し、再び粘度を測定して下記式によって粘度の変化を確認した。
【0111】
【数1】
(A=初期粘度、B=2週間保存後の粘度)
【0112】
このように計算された粘度の変化を下記基準で評価した。
粘度の変化0%~2%以下:◎
粘度の変化2%超8%以下:○
粘度の変化8%超15%以下:△
粘度の変化15%超:×
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
【0115】
表2及び表3の実施例1~17によると、本発明の一実施態様によるUV硬化型インクジェットインキ組成物は、異種重合性モノマー(A)、モノマー(B)、熱硬化性化合物(C)及びモノマー(D)の組合わせを含み、総合的に優れた粘度及び貯蔵安定性、密着性及び表面硬化性を示す。一方、表2によると、本発明のUV硬化型インクジェットインキ組成物の成分(A)、(B)、(C)、及び(D)のいずれか1つが欠如している比較例1~4の場合、本発明で達成しようとするUV硬化型インクジェットインキ組成物の特性を達成することができなかった。比較例1~4の場合、密着性が非常に劣ることが確認でき、このような特性ではPSRの最終硬化以後にマーキングが十分に形成されない。特に、比較例2の場合、異種重合性モノマー(A)が含まれないことによって、表面硬化性も非常に劣ることが確認できた。また、カチオン光開始剤を含む比較例5の場合、表面硬化性と粘度及び貯蔵安定性が非常に劣ることが確認できた。本発明のインクジェット組成物は、このようなカチオン光開始剤を用いないことによって、優れた表面硬化性と粘度及び貯蔵安定性を達成することができる。
【要約】
【課題】PSR現像以後だけでなく、最終硬化以後も使用可能なインクジェットインキ組成物に関する技術を提供する。
【解決手段】UV硬化型インクジェットインキ組成物は、4つの成分の組合わせを通じて優れた粘度及び貯蔵安定性、密着性及び表面硬化性を示し、これにより、既存のインクジェットインキ組成物とは異なり、PSR硬化後にも印刷回路基板上に優れたマーキングを形成することができる。従って、本発明のUV硬化型インクジェットインキ組成物は、印刷回路基板の工程順序が変更され、最終硬化の後にマーキング形成が必要な場合にも用いられるので、従来のインクジェットインキ組成物の限界を克服することができる。
【選択図】図1
図1