(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】光走査装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20220906BHJP
B41J 2/47 20060101ALI20220906BHJP
H04N 1/113 20060101ALI20220906BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G02B26/10 A
B41J2/47 101D
H04N1/113
G03G15/01 112A
(21)【出願番号】P 2018127610
(22)【出願日】2018-07-04
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亮
(72)【発明者】
【氏名】谷口 元
【審査官】山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-073450(JP,A)
【文献】特開2001-108923(JP,A)
【文献】特開2015-200849(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0316244(US,A1)
【文献】特開2000-187171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10,26/12
B41J 2/47
H04N 1/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光束を偏向する偏向器と、
前記偏向器を挟んで対向する位置に配置され、各々別の被走査面を走査する第1光学系および第2光学系と、
前記第1光学系の被走査面での書き出し位置を検知する第1光学系検知センサーと、
前記第2光学系の被走査面での書き出し位置を検知する第2光学系検知センサーと、
前記第1光学系からの光束を前記第1光学系検知センサーまで導く第1光学系反射ミラーと、
前記第2光学系からの光束を前記第2光学系検知センサーまで導く第2光学系反射ミラーと、
前記偏向器、前記第1光学系、前記第2光学系、前記第1光学系反射ミラー、および、前記第2光学系反射ミラーを収納する筐体と、を備え、
前記筐体は、副走査方向の断面において、前記偏向器と前記第1光学系および前記第2光学系とが載置される載置面により上段および下段に分かれた構造を有し、
前記偏向器は、前記上段および前記下段のいずれか一方に載置され、
前記第1光学系反射ミラーおよび前記第2光学系反射ミラーは、前記偏向器が配置されていない前記上段および前記下段のいずれか他方に載置され、
前記第1光学系および前記第2光学系は、前記上段および前記下段に渡って載置され、
前記第1光学系反射ミラーおよび前記第2光学系反射ミラーは、前記偏向器を挟むように配置され
、
前記第1光学系反射ミラーは第2光学系側に配置され、前記第2光学系反射ミラーは第1光学系側に配置され
、
前記第1光学系反射ミラーは、前記偏向器を挟んで前記第1光学系検知センサーとは反対側に配置され、
前記第2光学系反射ミラーは、前記偏向器を挟んで前記第2光学系検知センサーとは反対側に配置されている、
光走査装置。
【請求項2】
前記第1光学系反射ミラーは、前記第1光学系に含まれる最終レンズ後に配置され、
前記第2光学系反射ミラーは、前記第2光学系に含まれる最終レンズ後に配置されている、請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記第1光学系検知センサーに導かれる光束の光路は、被走査面を走査する光束の光路と光学的に等価であり、
前記第2光学系検知センサーに導かれる光束の光路は、被走査面を走査する光束の光路と光学的に等価である、請求項1または請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記第1光学系は、光束を反射して光路を折り曲げる2枚の第1光学系折り返しミラーを含み、
前記第2光学系は、光束を反射して光路を折り曲げる2枚の第2光学系折り返しミラーを含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記載置面は、前記偏向器と前記第1光学系との間、および、前記偏向器と前記第2光学系との間に、副走査方向の断面において高さが異なる段差部を有し、
前記第1光学系検知センサー、および、前記第1光学系反射ミラーの少なくともいずれか一方は、前記段差部の近傍に配置され、
前記第2光学系検知センサー、および、前記第2光学系反射ミラーの少なくともいずれか一方は、前記段差部の近傍に配置されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記段差部は、副走査方向の断面において、前記偏向器が載置されていない前記上段または前記下段において、前記第1光学系および前記第2光学系の方が空間が広がる方向に高さが異なるように設けられている、請求項5に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記筐体の前記偏向器が載置される前記上段または前記下段には、前記偏向器を含み主走査方向に前記筐体を通貫するように前記偏向器を冷却するための冷媒を通す冷媒流路が設けられている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項8】
前記第1光学系反射ミラーおよび前記第2光学系反射ミラーは、前記載置面を挟んで、前記冷媒流路とは反対側に配置されている、請求項7に記載の光走査装置。
【請求項9】
前記第1光学系検知センサーおよび前記第2光学系検知センサーは、前記冷媒流路の近傍に設けられている、請求項7および請求項8に記載の光走査装置。
【請求項10】
前記段差部が前記冷却流路の側面の一部を構成している、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項11】
前記偏向器は、前記筐体の上段に配置されている、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の光走査装置。
【請求項12】
主走査方向を有する像担持体、および、偏向器によって前記像担持体の表面に光ビームを走査させる光走査装置、を含む画像形成装置であって、
前記光操作装置は、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の光走査装置である、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光走査装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
偏向器を挟んでその両側に第1光学系と第2光学系とが配置され、第1光学系へ向かう光束と第2光学系へ向かう光束とが偏向器の異なる反射面で偏向走査される所謂、両側偏向方式を用いた光走査装置が知られている。一方、偏向器の片側のみに光学系が配置され、偏向器の単一の反射面で偏向器走査される所謂、片側偏向方式を用いた光走査装置が知られている。
【0003】
両側偏向方式の光走査装置は、複数の光学系の光束を共通の偏向器で偏向走査するため、画像形成装置に搭載する偏向器の数を減らすことができる。さらに、偏向器を中心に効率よく光学系を配置できるため、装置の省スペース化が可能となる。したがって、一般的にコストダウンと小型化を目指す場合は、両側偏向方式が用いられる。
【0004】
光走査装置には、一般的に被走査面の走査開始位置を検知する光検知センサーを搭載しているが、両側偏向方式の光走査装置では、光束を共通の偏向器を用いて対向した光学系を偏向走査するため、第1光学系および第2光学系の被走査面における走査方向が互いに逆方向となる。
【0005】
走査方向が互いに逆方向となると、組付け誤差や本体への取付けによる装置の歪み等で、光学素子の姿勢が変化し、光検知センサーへの光束の入射位置が変化して走査開始位置がずれた場合、第1光学系と第2光学系の走査線が互いに逆方向へ移動する。走査線が互いに逆方向へ移動すると、第1光学系と第2光学系による潜像を重ね合せる際にずれが生じるため、画像上で色ズレが発生する課題が知られている。
【0006】
上記課題に対して、各光学系の走査領域外に光検知センサーを設け、同じく走査領域外に設けた反射ミラーによって光束を光検知センサーに導くことで、各光学系の被走査面における光束の走査開始位置を検知する技術が知られている。
【0007】
さらに、偏向直後の光束を反射ミラーにより反射し、集光レンズを用いて光検知センサー上へ集光させ、光検知センサーまでの光路長を被走査面までの光路長よりも短くすることで装置の小型化を実現する技術が、特開2012-108383号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に開示される技術では、反射ミラー、集光レンズが偏向器の近傍に載置される。偏向器は一般的にモータによって回転力を得るため、熱を発生させる。したがって、偏向器の近傍に載置された反射ミラーは、熱により姿勢が変化する。さらに、近傍に載置された集光レンズも、熱により姿勢が変化するのに加えて、レンズが熱膨張することにより、光学性能が変化する。
【0010】
熱により反射ミラーおよび集光レンズの姿勢および性能が変化すると、光検知センサーへの光束の入射位置にずれが生じる。光検知センサーへの入射位置がずれると、被走査面における光束の走査開始位置を正しく検知することが困難となり、画像上では色ズレとなり画像劣化に繋がる慮がある。
【0011】
特に、集光レンズを介して光検知センサーへ光束を入射させる場合、熱による入射位置ずれが大きくなる(レンズの姿勢変化+レンズの熱膨張)ため、集光レンズを用いずに光束を光検知センサーへ入射させることが望ましいが、集光レンズを用いない場合は、光検知センサーまでの光路長が伸びてしまう。光路長が伸びると、装置の大型化に繋がる慮がある。さらに、一般的に集光レンズは高コスト部品であるため、各光学系毎に用いると、装置のコストアップに繋がる慮がある。
【0012】
集光レンズを用いずに装置の小型化を達成するには、一般的に反射ミラーの数を増やして、複数回光路を折り返す方法が挙げられる。しかし、反射ミラーの数が多くなると、偏向器の熱による反射ミラーの姿勢変化に伴う光束の光検知センサーへの入射位置ずれが無視出来なくなり、画像劣化に繋がる慮がある。
【0013】
さらに、反射ミラーの数が多くなると、その他の光学素子の配置制約により設計の自由度が低くなり、さらに装置のコストアップに繋がる慮がある。
【0014】
偏向器の熱による姿勢変化や熱膨張は、被走査面を走査する光学系に用いられる光学素子にも生じるため、光検知センサーへ光束を導くための反射ミラーは、偏向器直後ではなく各走査光学系の最終レンズ通過後の光束に対して載置されることが望ましい。
【0015】
この発明は、上述の課題を解決することに鑑みてなされたものであり、光検知センサーへの光束の入射位置ずれによる画像劣化(色ズレ)を抑制しつつ、安価に装置のコンパクト化が可能な光走査装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この光走査装置においては、光源からの光束を偏向する偏向器と、上記偏向器を挟んで対向する位置に配置され、各々別の被走査面を走査する第1光学系および第2光学系と、上記第1光学系の被走査面での書き出し位置を検知する第1光学系検知センサーと、上記第2光学系の被走査面での書き出し位置を検知する第2光学系検知センサーと、上記第1光学系からの光束を上記第1光学系検知センサーまで導く第1光学系反射ミラーと、上記第2光学系からの光束を上記第2光学系検知センサーまで導く第2光学系反射ミラーと、上記偏向器、上記第1光学系、上記第2光学系、上記第1光学系反射ミラー、および、上記第2光学系反射ミラーを収納する筐体と、を備える。
【0017】
上記筐体は、副走査断面において、上記偏向器と上記第1光学系および上記第2光学系とが載置される載置面により上段および下段に分かれた構造を有し、上記偏向器は、上記上段および上記下段のいずれか一方に載置され、上記第1光学系反射ミラーおよび上記第2光学系反射ミラーは、上記偏向器が配置されていない上記上段および上記下段のいずれか他方に載置され、上記第1光学系および上記第2光学系は、上記上段および上記下段に渡って載置され、上記第1光学系反射ミラーおよび上記第2光学系反射ミラーは、上記偏向器を挟むように配置され、上記第1光学系反射ミラーは第2光学系側に配置され、上記第2光学系反射ミラーは第1光学系側に配置されている。
【0018】
他の形態においては、上記第1光学系反射ミラーは、上記第1光学系に含まれる最終レンズ後に配置され、上記第2光学系反射ミラーは、上記第2光学系に含まれる最終レンズ後に配置されている。
【0019】
他の形態においては、上記第1光学系検知センサーに導かれる光束の光路は、被走査面を走査する光束の光路と光学的に等価であり、上記第2光学系検知センサーに導かれる光束の光路は、被走査面を走査する光束の光路と光学的に等価である。
【0020】
他の形態においては、上記第1光学系は、光束を反射して光路を折り曲げる2枚の第1光学系折り返しミラーを含み、上記第2光学系は、光束を反射して光路を折り曲げる2枚の第2光学系折り返しミラーを含む。
【0021】
他の形態においては、上記載置面は、上記偏向器と上記第1光学系との間、および、上記偏向器と上記第2光学系との間に、副走査断面において高さが異なる段差部を有し、上記第1光学系検知センサー、および、上記第1光学系反射ミラーの少なくともいずれか一方は、上記段差部の近傍に配置され、上記第2光学系検知センサー、および、上記第2光学系反射ミラーの少なくともいずれか一方は、上記段差部の近傍に配置されている。
【0022】
他の形態においては、上記段差部は、副走査断面において、上記偏向器が載置されていない上記上段または上記下段において、上記第1光学系および上記第2光学系の方が空間が広がる方向に高さが異なるように設けられている。
【0023】
他の形態においては、上記筐体の上記偏向器が載置される上記上段または上記下段には、上記偏向器を含み主走査方向に上記筐体を通貫するように上記偏向器を冷却するための冷媒を通す冷媒流路が設けられている。
【0024】
他の形態においては、上記第1光学系反射ミラーおよび上記第2光学系反射ミラーは、上記載置面を挟んで、上記冷媒流路とは反対側に配置されている。
【0025】
他の形態においては、上記第1光学系検知センサーおよび上記第2光学系検知センサーは、上記冷媒流路の近傍に設けられている。
【0026】
他の形態においては、上記段差部が上記冷却流路の側面の一部を構成している。
他の形態においては、上記偏向器は、上記筐体の上段に配置されている。
【0027】
この画像形成装置においては、主走査方向を有する像担持体、および、偏向器によって上記像担持体の表面に光ビームを走査させる光走査装置、を含む画像形成装置であって、上記光操作装置は、上述のいずれかに記載の光走査装置である。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、光検知センサーへの光束の入射位置ずれによる画像劣化(色ズレ)を抑制しつつ、安価に装置のコンパクト化が可能な光走査装置および画像形成装置の提供が可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施の形態1の画像形成装置の内部構造の一例を示す図である。
【
図2】実施の形態1の光走査装置の内部構造を示す副走査方向における断面図である。
【
図3】実施の形態1の光走査装置の内部構造を示す主走査方向における断面図である。
【
図4】実施の形態1の更なる作用効果を説明するための光走査装置の内部構造を示す副走査方向における第1断面図である。
【
図5】実施の形態1の更なる作用効果を説明するための光走査装置の内部構造を示す副走査方向における第2断面図である。
【
図6】実施の形態1の更なる作用効果を説明するための光走査装置の内部構造を示す副走査方向における第3断面図である。
【
図7】実施の形態1の更なる作用効果を説明するための光走査装置の内部構造を示す副走査方向における第4断面図である。
【
図8】実施の形態1の更なる作用効果を説明するための光走査装置の内部構造を示す副走査方向における第5断面図である。
【
図9】実施の形態2の光走査装置の内部構造を示す主走査方向における断面図である。
【
図10】実施の形態2の光走査装置3の内部構造を示す副走査方向における第1断面図である。
【
図11】実施の形態2の光走査装置3の内部構造を示す副走査方向における第2断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
この発明に基づいた実施の形態における光走査装置および画像形成装置について、図を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。以下の各図に示す光束は、各光源から出射される光の主光線を図示している。
【0031】
(実施の形態1:画像形成装置1)
図1を参照して、画像形成装置1について説明する。
図1は、画像形成装置1の内部構造の一例を示す図である。
【0032】
図1には、カラープリンタとしての画像形成装置1が示されている。以下では、カラープリンタとしての画像形成装置1について説明するが、画像形成装置1は、カラープリンタに限定されない。たとえば、画像形成装置1は、モノクロプリンタであってもよいし、ファックスであってもよいし、モノクロプリンタ、カラープリンタおよびファックスの複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。
【0033】
画像形成装置1は、
図1に示すように画像形成部2を備え、ビットマップ形式の原画像データに基づいて、画像形成部2により用紙上に画像を形成する。画像形成装置1は、原稿を読み取って原画像データを生成する画像読取部9、外部からの画像形成の指示に応じて原画像データを生成する画像生成部4、生成された原画像データに画像処理を施す画像処理部5、ユーザーインターフェイスとしての操作部6および表示部7を備える。
【0034】
画像形成部2は、画像処理部5により画像処理された原画像データに基づいて、複数の色からなる画像を用紙上に形成する。画像形成部2は、
図1に示すように、4つの書込みユニット8、中間転写ベルト22、2次転写ローラー23、定着装置24、給紙トレイ25および反転経路26を備える。
【0035】
書込みユニット8は、中間転写ベルト22のベルト面に沿って直列(タンデム)に配置されている。中間転写ベルト22は、複数のローラーにより巻き回されて回転する像担持体である。複数のローラーのなかには、1次転写ローラー2fおよび2次転写ローラー23が含まれる。2次転写ローラー23および定着装置24は、給紙トレイ25から搬送される用紙の搬送経路上に配置されている。
【0036】
4つの書込みユニット8は、それぞれC(シアン)、M(マジェンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)の色の画像を形成する。各書込みユニット8の構成は同じであり、
図1に示すように、光走査装置3、像担持体としての感光体2b、現像部2c、帯電部2d、クリーニング部2eおよび1次転写ローラー2fを備えている。
【0037】
画像形成時、各書込みユニット8では、帯電部2dにより感光体2bに電圧を印加して帯電させた後、光走査装置3により原画像データに基づいて発光させた光束で感光体2b上を走査して静電潜像を形成する。現像部2cによりトナー等の色材を供給して、感光体2b上の静電潜像を現像すると、感光体2b上に画像が形成される。
【0038】
各書込みユニット8の感光体2b上に各色の画像を形成すると、それぞれの1次転写ローラー2fにより、中間転写ベルト22上に順次重ねて転写(1次転写)し、複数の色からなる画像を形成する。1次転写後、各書込みユニット8において、クリーニング部2eにより感光体2b上に残留する色材を除去する。
【0039】
次に、給紙トレイ25により用紙を給紙し、2次転写ローラー23によって中間転写ベルト22上の画像を用紙上に転写する。転写後の用紙を定着装置24により加熱及び加圧して、画像を用紙に定着させる。
【0040】
1枚の用紙の両面に画像を形成する場合は、反転経路26に用紙を搬送して用紙面を反転させた後、再度2次転写ローラー23へ用紙を搬送する。
【0041】
画像読取部9は、ユーザーがセットした原稿を読み取り、ビットマップ形式の原画像データを、R(赤)、G(緑)及びB(青)の色ごとに生成する。
【0042】
画像生成部4は、画像形成の指示内容がページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたデータを、ネットワーク上のユーザー端末、サーバー等の外部装置から受信し、当該データのラスタライズ処理を実施することによって、ビットマップ形式の原画像データをC、M、Y及びKの色ごとに生成する。
【0043】
画像処理部5は、画像読取部9により生成されたR、G及びBの各色の原画像データを色変換し、C、M、Y及びKの各色の原画像データを出力する。画像処理部5は、色変換後の原画像データ又は画像生成部4により生成された原画像データに階調補正処理、中間調処理等の画像処理を施す。階調補正処理は、原画像データの各画素の階調値を、用紙上に形成された画像の濃度が目標の濃度と一致するように補正された階調値に変換する処理である。中間調処理は、例えば誤差拡散処理、組織的ディザ法を用いたスクリーン処理等である。
【0044】
(光走査装置3)
次に、
図2および3を参照して、光走査装置3の内部構成について説明する。
図2は、光走査装置3の内部構造を示す副走査方向における断面図、
図3は、光走査装置3の内部構造を示す主走査方向における断面図である。主走査方向とは、感光体2bの回転軸が延びる方向である。副走査方向とは、主走査方向と直交する方向である。
【0045】
光走査装置3は、筐体35を有する。筐体35の内部には、第1光源L1および第2光源L2からの光束を偏向する偏向器30が設けられている。第1光源L1から出射された光束は、第1鏡27Aを反射して偏向器30に向けられる。第2光源L2から出射された光束は、第2鏡27Bを反射して偏向器30に向けられる。偏向器30は、放熱フィン38aが設けられた放熱部材38に覆われている。
【0046】
筐体35の内部には、偏向器30を挟んで対向する位置に配置され、各々別の被走査面を走査する第1光学系3Aおよび第2光学系3Bが設けられている。第1光学系3Aは、第1光学系第1レンズ31A、第1光学系第1折り返しミラー41A、第1光学系第2折り返しミラー42A、第1光学系最終レンズ32A、および、第1光学系反射ミラー44Aを含む。第2光学系3Bは、第2光学系第1レンズ31B、第2光学系第1折り返しミラー41B、第2光学系第2折り返しミラー42B、第2光学系最終レンズ32B、および、第2光学系反射ミラー44Bを含む。各折り返しミラーは、光束を反射して光路を所定の方向に折り曲げる。
【0047】
筐体35は、偏向器30と第1光学系3Aおよび第2光学系3Bの構成部品が載置される載置面36により上段および下段に分かれた構造を有し、本実施の形態では、偏向器30は、載置面36の上面側に配置されている。第1光学系3Aの第1光学系第1レンズ31A、および、第1光学系第1折り返しミラー41Aも、載置面36の上面側に配置されている。第2光学系3Bの第2光学系第1レンズ31B、および、第2光学系第1折り返しミラー41Bも、載置面36の上面側に配置されている。
【0048】
第1光学系3Aの、第1光学系第2折り返しミラー42A、および、第1光学系最終レンズ32Aは、載置面36の下面側に配置されている。第2光学系3Bの、第2光学系第2折り返しミラー42B、および、第2光学系最終レンズ32Bも、載置面36の下面側に配置されている。
【0049】
載置面36は、偏向器30と第1光学系3Aとの間、および、偏向器30と第2光学系3Bとの間に、副走査断面において高さが異なる段差部36bがそれぞれ設けられている。この段差部36bは、偏向器30が載置されていない下段において、第1光学系3Aおよび第2光学系3Bの方が空間が広がる方向に高さが異なるように設けられている。これにより、載置面36の下面側においては、偏向器30の下方側の空間よりも、第1光学系3Aおよび第2光学系3Bの空間の方が広くなる。
【0050】
第2光学系3B側には、段差部36bの近傍に、第1光学系第2折り返しミラー42Aにより折り返された光束を反射する第1光学系反射ミラー44Aが設けられている。同様に、第1光学系3A側には、段差部36bの近傍に、第2光学系第2折り返しミラー42Bにより折り返された光束を反射する第2光学系反射ミラー44Bが設けられている。
【0051】
第1光学系3Aにおいて、段差部36bの近傍には、第1光学系3Aの被走査面での書き出し位置を検知する第1光学系検知センサー43Aが設けられている。同様に、第2光学系3Bにおいて、段差部36bの近傍には、第2光学系3Bの被走査面での書き出し位置を検知する第2光学系検知センサー43Bが設けられている。
【0052】
第1光学系反射ミラー44Aは、第1光学系3Aからの光束を第1光学系検知センサー43Aまで導き、第2光学系反射ミラー44Bは、第2光学系3Bからの光束を第2光学系検知センサー43Bまで導く。
【0053】
第1光学系反射ミラー44Aにおいては、第1光学系検知センサー43Aに導かれる光束と、反射ミラー45Aにより、筐体35に設けられたスリット37aを通過して感光体2b側に出射される光束とに分離される。同様に、第2光学系反射ミラー44Bにおいては、第2光学系検知センサー43Bに導かれる光束と、反射ミラー45Bにより、筐体35に設けられたスリット37bを通過して感光体2b側に出射される光束とに分離される。
【0054】
以上、本実施の形態における光走査装置3の構成によれば、第1光学系反射ミラー44Aおよび第2光学系反射ミラー44Bを偏向器30を挟んで対向配置するとともに、それぞれの反射ミラーは、他方側の光学系の近傍に配置する構成を採用している。これにより、偏向器30からの熱影響(
図2中の白抜き矢印)を受ける載置面36の下方領域に空間を形成することが可能となる。これにより、偏向器30からの熱影響を受ける各種構成部品を、偏向器30から離れた位置に配置させることが可能となり、偏向器30の熱による反射ミラー等の姿勢の変化を抑制することができる。その結果、画像形成装置における画像劣化(色ズレ)を抑制することが可能となる。
【0055】
さらに、第1光学系反射ミラー44Aにより、第1光学系3Aからの光束を第1光学系検知センサー43Aまで導き、第2光学系反射ミラー44Bにより、第2光学系3Bからの光束を第2光学系検知センサー43Bまで導く構成とすることで、偏向器30からの熱影響を回避しつつ、光路長を稼ぐことができ、複数枚の反射ミラーを用いることなく筐体35内部の空間を効率よく利用することで装置の小型化を低コストで実現可能とする。
【0056】
さらに、第1光学系反射ミラー44Aを第1光学系最終レンズ32Aの後に配置し、第2光学系反射ミラー44Bを第2光学系最終レンズ32Bの後に配置している。これにより、光検知センサーへ導かれる光束と、被走査面を走査する光束を光学的に等価とすることができる(同じ光学レンズ通過後の光束同士)。これにより、熱による光学素子の姿勢変化や光学性能変化に伴う光検知センサー上の光束と、被走査面における走査開始位置の光束の相対的なずれを抑制することができる。
【0057】
さらに、第1光学系3Aにおいて、第1光学系検知センサー43A用に集光レンズを用いず、第1光学系検知センサー43Aへ光束を導く第1光学系反射ミラー44Aを1枚とし、熱による光学素子の姿勢変化や性能変化を最小(第1光学系反射ミラー44A1枚の姿勢変化のみ)とすることで、第1光学系検知センサー43Aへの光束の入射位置ずれを低コストで抑制出来る。第2光学系3Bにおいても同様である。
【0058】
図4から
図8を参照して、本実施の形態の構成の更なる作用効果について説明する。
図4から
図7は、本実施の形態の更なる作用効果を説明するための光走査装置3の内部構造を示す副走査方向における第1から第6断面図である。
【0059】
図4を参照して、たとえば、第1光学系3Aにおいて、第1光学系第1折り返しミラー41Aおよび第1光学系第2折り返しミラー42Aを設けることで、図中の破線で示すように、折り返しミラー間の光路長を変更することができる。その結果、第1光学系反射ミラー44A、および、第1光学系検知センサー43Aの設置位置を容易に調整することが可能となる。第2光学系3Bにおいても同様である。その結果、光走査装置3の設計の自由度が高くなるとともに、装置の小型化に寄与することができる。
【0060】
図5および
図6を参照して、偏向器30と第1光学系3Aとの間、および、偏向器30と第2光学系3Bとの間に段差部36bを設けることにより、偏向器30からの熱影響で偏向器30、第1光学系3A、および、第2光学系3Bを載置する面が歪んでも強度が高い段差部36bが節となり歪み(
図6中の白抜き矢印方向への歪み)を小さくすることができる。
【0061】
この構成を採用することで、歪みが小さい段差部36bの近傍に第1光学系反射ミラー44A、第2光学系反射ミラー44B、第1光学系検知センサー43A、および、第2光学系検知センサー43Bを配置するようにすることで、各部品の取付面の熱歪みによる各部品の姿勢変化を抑制することができる。その結果、画像形成装置における画像劣化(色ズレ)を抑制することが可能となる。
【0062】
さらに、
図7に示すように、好ましくは、段差部36bを設けることにより、第1光学系3Aおよび第2光学系3Bにおける下段の領域(破線で囲まれる領域)が広く確保されることとなる。その結果、この領域に光学部品を配置することが可能となり、光走査装置3の小型化に寄与することができる。
【0063】
さらに、
図8に示すように、好ましくは、偏向器30は、筐体35の上段に配置されている。これにより、偏向器30からの熱は上方に滞留するため、筐体35の下段に配置された光学部品の熱の影響による姿勢変化を抑制することができる。その結果、画像形成装置における画像劣化(色ズレ)を抑制することが可能となる。
【0064】
(実施の形態2)
図9から
図11を参照して、実施の形態2における光走査装置3の構成について説明する。
図9は、光走査装置3の内部構造を示す主走査方向における断面図、
図10および
図11は、光走査装置3の内部構造を示す副走査方向における第1および第2断面図である。
【0065】
図10および
図11を参照して、本実施の形態における光走査装置3は、偏向器30を含み、筐体35を通貫するように冷却流路CHを設けるようにしたものである。冷却流路CHに導入する冷媒は、偏向器30の性能に悪影響を与えないものであればどのようなものでも良いが、一般的には、空気が考えられる。
【0066】
本実施の形態の構成においては、段差部36bが冷却流路CHの側壁35aの一部を構成している。側壁35aに設けられた光束が通過するスリットW1には、透明部材としてガラスGL1が取付られ、冷却流路CHの気密性を高め、冷媒が冷却流路CHから漏れ出るのを防止している。
【0067】
このように、偏向器30から発熱される熱を冷却流路CHを設けて放熱するこことで、光走査装置3の筐体35内部に配置される光学部品の偏向器30からの熱影響をよる姿勢変化を抑制することが可能となる。その結果、その結果、画像形成装置における画像劣化(色ズレ)を抑制することが可能となる。
【0068】
図11に示す、P1およびP2で囲む領域において、段差部36bが冷却流路CHの側壁35aの一部を構成させることで、光走査装置3の小型化に寄与することができる。
【0069】
以上、本実施の形態における光走査装置および画像形成装置によれば、共通の偏向器を挟み、対向する位置に第1および第1光学系を配置する両側偏向光学系を用いた光走査装置(両側偏向方式)において、第1光学系および第2光学系の各々に対して、光走査開始位置を検知する検知センサーを搭載し、偏向器および各光学系の光学素子を収納する筐体は上下段構造を有し、偏向器は一方の段、光学素子は両段に渡って載置している。
【0070】
さらに、光検知センサー用の集光レンズを用いず、光検知センサー用の反射ミラーを各走査光学系の最終レンズ後に1枚載置し、且つ載置する箇所を、偏向器を挟み、互いに他方側の走査光学系近傍としている。
【0071】
この構成により、画像形成装置における画像劣化を抑制しつつ、安価に光走査装置の小型化の実現を可能とする。
【0072】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
1 画像形成装置、2b 感光体、2c 現像装置、2f 一次転写ローラー、3 光走査装置、3A 第1光学系、3B 第2光学系、4,35 筐体、5 画像処理部、6 表示装置、7 ディズプレイ、8 書込みユニット、9 画像読取部、22 中間転写ベルト、23 二次転写ローラー、24 定着装置、25 記録媒体用カセット、27A 第1鏡、27B 第2鏡、30 偏向器、36b 段差部、31A,31B 第1レンズ、32A 第1光学系最終レンズ、32B 第2光学系最終レンズ、35a 側壁、36 載置面、38 放熱部材、38a 放熱フィン、41A,41B 第1折り返しミラー、42A,42B 第2折り返しミラー、43A 第1光学系検知センサー、43B 第2光学系検知センサー、44A 第1光学系反射ミラー、44B 第2光学系反射ミラー、45A,45B 反射ミラー、CH 冷却流路、GL1 ガラス、L1 第1光源、L2 第2光源。