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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20220906BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20220906BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G15/20 510
G03G21/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018160926
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2020034708
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 大輔
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206601(JP,A)
【文献】特開2016-118720(JP,A)
【文献】特開2005-202116(JP,A)
【文献】特開2007-310270(JP,A)
【文献】特開2017-138507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 15/20
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状の中間転写体に形成されたトナー像を用紙に転写させる、中間転写方式の画像形成装置において、
前記中間転写体を張架する第1のローラーと、
前記中間転写体を介して前記第1のローラーと対向する位置に配置され、前記第1のローラーとの間に用紙を挟持搬送するニップ部を形成する第2のローラーと、
前記中間転写体の外側に配置され、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち少なくともいずれか一方を加熱する加熱部と、
画像形成前における前記加熱部による加熱を制御する加熱制御部と、
前記第1のローラー及び前記第2のローラーの回転速度を制御する回転制御部と、を備え、
前記加熱制御部は、画像形成速度が、画像形成装置が設定可能な最高速の半分以上のときのみ、前記画像形成前における前記加熱部による加熱を実行し、
前記回転制御部は、前記加熱部による加熱時に、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち加熱されるものの回転速度を、画像形成時よりも遅くする
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2のローラーに張架された無端状の搬送ベルトを備え、
前記加熱部は、前記中間転写体の外側かつ前記搬送ベルトの外側に配置され、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを加熱する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転制御部は、前記回転速度を、前記加熱部による加熱時間と、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち加熱されるものの回転数と、に基づいて決定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1のローラー又は前記第2のローラーに転写電圧を印加する電圧印加部を備え、
前記加熱制御部は、前記加熱時間を、前記電圧印加部により定電圧を印加したときに発生する電流値、又は前記電圧印加部により定電流を印加したときに発生する電圧値に基づいて決定する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記加熱制御部は、前記加熱時間を、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち加熱されるものの表面温度に基づいて決定する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記加熱制御部は、前記加熱時間を、画像形成装置の筐体内の温度に基づいて決定する
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
用紙に形成されたトナー像を加熱定着させる定着部を備え、
前記加熱部は、
前記定着部を介して前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち少なくともいずれか一方に空気を吹き付ける送風部を備え、
前記送風部によって、前記定着部の保持熱又は前記定着部を加熱するためのヒーターの熱を伝播させることにより、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち少なくともいずれか一方を加熱する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記加熱制御部は、前記ヒーターの出力を、前記定着部の温度に基づいて決定する
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記回転制御部は、前記回転速度を、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち加熱するものの材質に基づいて決定する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記加熱制御部は、前記第1のローラー及び第2のローラー並びに前記中間転写体のうち少なくともいずれか一つの温度が、所定の温度以上になった場合に、前記加熱部による加熱を中断する
ことを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
無端状の中間転写体に形成されたトナー像を用紙に転写させる、中間転写方式の画像形成装置であって、前記中間転写体を張架する第1のローラーと、前記中間転写体を介して前記第1のローラーと対向する位置に配置され、前記第1のローラーとの間に用紙を挟持搬送するニップ部を形成する第2のローラーと、前記中間転写体の外側に配置され、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち少なくともいずれか一方を加熱する加熱部と、を備えた画像形成装置のコンピューターを、
画像形成前における前記加熱部による加熱を制御する加熱制御部、
前記第1のローラー及び前記第2のローラーの回転速度を制御する回転制御部、として機能させ、
前記加熱制御部は、画像形成速度が、画像形成装置が設定可能な最高速の半分以上のときのみ、前記画像形成前における前記加熱部による加熱を実行し、
前記回転制御部は、前記加熱部による加熱時に、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち加熱されるものの回転速度を、画像形成時よりも遅くする
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体に形成したトナー像を中間転写ベルトに1次転写して、中間転写ベルト上のトナーを、中間転写ベルトを介して配置される2次転写ローラーと対向ローラーとで構成される2次転写部において用紙に2次転写する、中間転写方式の画像形成装置が普及している。
【0003】
このような画像形成装置においては、2次転写ローラーと対向ローラーとの間の放電や、2次転写部に接続される電源の出力不足が原因で、画像不良が発生する場合がある。具体的には、2次転写ローラーや対向ローラーの表面の電気抵抗は環境により変動し、低温低湿条件下では抵抗が高くなる。したがって、このような条件下では2次転写部に一定の電流を印加したときに必要な電圧が大きくなるため、電源の出力不足や放電が発生しやすくなる。
上記した問題に対して、特許文献1には、2次転写ローラー及び対向ローラーをそれぞれ加熱するためのヒーターを設け、抵抗の上昇を抑えることにより画像不良を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-191121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のように、ヒーターを二つ新たに設ける構成とすると、高コスト化する。一方で、単一のヒーターにより中間転写ベルトの外側から2次転写ローラー及び対向ローラーを加熱する構成とすると、これらが中間転写ベルトと接触しながら回転することで中間転写ベルトに熱を奪われるため、十分に加熱されるまでのダウンタイムが長くなってしまう。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、コストを抑制しつつ、効率的に2次転写部を加熱することにより、画像不良を抑制可能な画像形成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の画像形成装置は、
無端状の中間転写体に形成されたトナー像を用紙に転写させる、中間転写方式の画像形成装置において、
前記中間転写体を張架する第1のローラーと、
前記中間転写体を介して前記第1のローラーと対向する位置に配置され、前記第1のローラーとの間に用紙を挟持搬送するニップ部を形成する第2のローラーと、
前記中間転写体の外側に配置され、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち少なくともいずれか一方を加熱する加熱部と、
画像形成前における前記加熱部による加熱を制御する加熱制御部と、
前記第1のローラー及び前記第2のローラーの回転速度を制御する回転制御部と、を備え、
前記加熱制御部は、画像形成速度が、画像形成装置が設定可能な最高速の半分以上のときのみ、前記画像形成前における前記加熱部による加熱を実行し、
前記回転制御部は、前記加熱部による加熱時に、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち加熱されるものの回転速度を、画像形成時よりも遅くする
ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第2のローラーに張架された無端状の搬送ベルトを備え、
前記加熱部は、前記中間転写体の外側かつ前記搬送ベルトの外側に配置され、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを加熱する
ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記回転制御部は、前記回転速度を、前記加熱部による加熱時間と、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち加熱されるものの回転数と、に基づいて決定する
ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置において、
前記第1のローラー又は前記第2のローラーに転写電圧を印加する電圧印加部を備え、
前記加熱制御部は、前記加熱時間を、前記電圧印加部により定電圧を印加したときに発生する電流値、又は前記電圧印加部により定電流を印加したときに発生する電圧値に基づいて決定する
ことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の画像形成装置において、
前記加熱制御部は、前記加熱時間を、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち加熱されるものの表面温度に基づいて決定する
ことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項3から5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記加熱制御部は、前記加熱時間を、画像形成装置の筐体内の温度に基づいて決定する
ことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
用紙に形成されたトナー像を加熱定着させる定着部を備え、
前記加熱部は、
前記定着部を介して前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち少なくともいずれか一方に空気を吹き付ける送風部を備え、
前記送風部によって、前記定着部の保持熱又は前記定着部を加熱するためのヒーターの熱を伝播させることにより、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち少なくともいずれか一方を加熱する
ことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、
前記加熱制御部は、前記ヒーターの出力を、前記定着部の温度に基づいて決定する
ことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記回転制御部は、前記回転速度を、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち加熱するものの材質に基づいて決定する
ことを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記加熱制御部は、前記第1のローラー及び第2のローラー並びに前記中間転写体のうち少なくともいずれか一つの温度が、所定の温度以上になった場合に、前記加熱部による加熱を中断する
ことを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載のプログラムは、
無端状の中間転写体に形成されたトナー像を用紙に転写させる、中間転写方式の画像形成装置であって、前記中間転写体を張架する第1のローラーと、前記中間転写体を介して前記第1のローラーと対向する位置に配置され、前記第1のローラーとの間に用紙を挟持搬送するニップ部を形成する第2のローラーと、前記中間転写体の外側に配置され、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち少なくともいずれか一方を加熱する加熱部と、を備えた画像形成装置のコンピューターを、
画像形成前における前記加熱部による加熱を制御する加熱制御部、
前記第1のローラー及び前記第2のローラーの回転速度を制御する回転制御部、として機能させ、
前記加熱制御部は、画像形成速度が、画像形成装置が設定可能な最高速の半分以上のときのみ、前記画像形成前における前記加熱部による加熱を実行し、
前記回転制御部は、前記加熱部による加熱時に、前記第1のローラー及び前記第2のローラーのうち加熱されるものの回転速度を、画像形成時よりも遅くする
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コストを抑制しつつ、効率的に2次転写部を加熱することにより、画像不良を抑制可能な画像形成装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
図3】2次転写部及び定着部の概略構成を示す図である。
図4】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図5】ウォームアップ動作時間を定めたテーブルの一例である。
図6】送風部による送風時の2次転写部及び定着部の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0022】
[画像形成装置の構成]
図1は、本実施形態の画像形成装置1の概略構成を示す図である。図2は、画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0023】
画像形成装置1は、用紙に画像を形成する複合機等の画像形成装置である。図1に示すように、画像形成装置1は、原稿読取部15、搬送部16、給紙部18、画像形成部20及び定着部30、機内温度検出部40等を備える。
【0024】
原稿読取部15は、コピー用に設けられたスキャナー等であり、制御部11の指示に従って、原稿台上にセットされた原稿dを読み取って、画素ごとにR(赤)、G(緑)及びB(青)の色値を有するビットマップ形式の原画像を生成する。原稿読取部15により生成されたR、G及びBの色値を有する原画像は、図示しない色変換部によりC、M、Y及びKの色値を有する原画像に色変換された後、記憶部12(図2参照)に記憶される。
【0025】
搬送部16は、複数の搬送ローラー161A、161B、161C、161D、レジストローラー162及び排紙ローラー163等で構成されている。搬送部16は、制御部11の指示に従って、給紙部18や手差しトレイから給紙された用紙を、画像形成部20、定着部30へ搬送し、画像形成及び定着された用紙を排紙口24から排紙トレイ25に排出する。排紙トレイ25は、排出された用紙を載置する。搬送部16は、定着部30から搬送された用紙を反転して再度画像形成部20に搬送する反転部16aを有する。
【0026】
給紙部18は、複数の給紙トレイを備え、制御部11の指示に従って、給紙手段181により画像形成部20に用紙を供給する。各給紙トレイには、それぞれ予め定められた紙種やサイズの用紙が収納されている。
【0027】
画像形成部20は、制御部11の指示に従って、画像処理部17(図2参照)により画像処理された原画像に基づいて、C、M、Y及びKの複数の色からなる画像を用紙上に形成する。画像形成部20は、4つの書込みユニット21Y、21M、21C、21K、中間転写ベルト22、2次転写部23を備えている。
【0028】
4つの書込みユニット21Y、21M、21C、21Kは、中間転写ベルト22のベルト面に沿って直列(タンデム)に配置され、それぞれC、M、Y及びKの色の画像を形成する。書込みユニット21Yは、感光体211Y、帯電部212Y、光走査装置213Y、現像部214Y、1次転写ローラー215Y及びクリーニング部216Yを備えている。画像形成時、書込みユニット21Yでは、帯電部212Yにより感光体211Yに電圧を印加して帯電させた後、光走査装置213Yにより原画像に基づいて発光させた光束で感光体211Y上を走査して静電潜像を形成する。現像部214Yによりトナー等の色材を供給して、感光体211Y上の静電潜像を現像すると、像担持体である感光体211Y上にトナー像が形成される。
なお、各書込みユニット21M、21C、21Kは、書込みユニット21Yと同様に構成されているため、その説明を省略する。
【0029】
各書込みユニット21Y~21Kにおいて、感光体211Y~211K上にトナー像が形成されると、1次転写ローラー215Y~215Kにより、感光体211Y~211K上のトナー像が中間転写ベルト22上に順次重ねて転写(1次転写)される。これにより、中間転写ベルト22上には複数の色からなるトナー像が形成される。1次転写後、クリーニング部216Y~216Kにより感光体211Y~211K上に残留する色材が除去される。
【0030】
中間転写ベルト22は、複数のローラーにより巻き回されて回転する像担持体である。複数のローラーの中には、1次転写ローラー215Y~215Kが含まれる。
なお、中間転写ベルト22は、中間転写体として機能する。
【0031】
2次転写部23は、2次転写ローラー231と、対向ローラー232と、電圧印加部233と、表面温度検出部234と、を備えて構成される。
2次転写ローラー231は、給紙部18から搬送される用紙の搬送経路上に配置されている。2次転写ローラー231は、給紙部18から給紙された用紙上に、中間転写ベルト22上のトナー像を転写(2次転写)し、定着部30に搬送する。なお、2次転写ローラー231は、第2のローラーとして機能する。
対向ローラー232は、中間転写ベルト22の内側に配置され、2次転写ローラー231との間で転写ニップ部N1を形成する。なお、対向ローラー232は、第1のローラーとして機能する。
【0032】
また、2次転写ローラー231は電圧印加部233(図2参照)に接続され、電圧印加部233によって所定の電圧が印加されることにより、中間転写ベルト22上に形成されたトナー像が転写ニップ部N1を挟持搬送される用紙側に引き寄せられて、用紙に転写される。なお、電圧印加部233は、制御部11によって印加する電圧値又は電流値が制御される。
【0033】
表面温度検出部234は、対向ローラー232の表面近傍に設けられ、対向ローラー232の表面の温度を検出する。また、表面温度検出部234は、検出した表面温度を制御部11に出力する。これにより、制御部11は、表面温度検出部234によって検出された温度に基づき、後述するウォームアップ動作時間を決定することができる。
なお、表面温度検出部234は、2次転写ローラー231の近傍に配置され、2次転写ローラー231の表面温度を検出するものとしてもよい。
【0034】
定着部30は、制御部11の指示に従って、画像形成部20により色材の像としてのトナー像が形成された用紙に、画像を熱定着させる。すなわち、定着部30は、画像形成部20によりトナー像が形成された用紙を加熱及び加圧する。用紙の両面に画像を形成する場合、定着部30により一方の面に画像が定着された用紙は、反転部16aにより用紙面を反転された後、再度2次転写ローラー231の位置へ給紙される。
なお、定着部30は、加熱部として機能する。
【0035】
機内温度検出部40は、画像形成装置1の筐体内に配置され、機内の空気の温度を検出する。また、機内温度検出部40は、検出した空気の温度を制御部11に出力する。
これにより、制御部11は、機内温度検出部40によって検出された温度に基づき、後述するウォームアップ動作時間を決定することができる。
【0036】
図2に示すように、画像形成装置1は、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、原稿読取部15、搬送部16、画像処理部17、給紙部18、通信部19、画像形成部20、定着部30及び機内温度検出部40等を備える。画像形成装置1の各部は、バス50を介して接続されている。
【0037】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、画像形成装置1の各部を制御する。ROMは、各種プログラム及び各種データが記憶されている記憶部である。制御部11は、CPUがROMから各種プログラムを読み出して適宜RAMに展開し、展開したプログラムとCPUの協働で、各種処理を実行する。例えば、制御部11は、原稿読取部15により生成され又は通信部19を介して受信され、記憶部12に保持されたビットマップ形式の原画像を、画像処理部17により画像処理させて、画像処理後の原画像データに基づき、画像形成部20により用紙上に画像を形成させる。
なお、制御部11は、加熱制御部及び回転制御部として機能する。
【0038】
記憶部12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により構成され、各種画像処理に係る画像データ等の各種データを一時的に記憶する画像メモリーである。また、記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)等を有し、各種データを書き込み及び読み出し可能に記憶する構成としても良い。
【0039】
操作部13及び表示部14は、ユーザーインターフェイスとして画像形成装置1に設けられる。操作部13は、ユーザーの操作に応じた操作信号を生成し、制御部11に出力する。操作部13としては、キーパッド、表示部14と一体に構成されたタッチパネル等を用いることができる。表示部14は、制御部11の指示に従って、操作画面等を表示する。表示部14としては、LCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro Luminescence Display)等を用いることができる。
【0040】
画像処理部17は、記憶部12に記憶された画像データ、原稿読取部15により原稿から画像を読み取って得られた画像データ、通信部19を介して外部装置から入力された画像データに必要な画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像形成部20に出力する。画像処理には、階調処理、中間調処理、色変換処理等が含まれる。階調処理は、画像データの各画素の階調値を、用紙上に形成された画像の濃度特性が目標の濃度特性と一致するように補正された階調値に変換する処理である。中間調処理は、誤差拡散処理、組織的ディザ法を用いたスクリーン処理等である。色変換処理は、RGBの各階調値をCMYKの各階調値に変換する処理である。
【0041】
通信部19は、ネットワークカード等で構成され、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続される。通信部19は、ネットワーク上の外部装置、例えばPC(Personal Computer)等のユーザー端末、サーバー等と通信する。通信部19は、ネットワークを介して、画像を形成するための画像データを外部装置から受信する
【0042】
次に、図3を参照して、定着部30の構成をより詳細に説明する。図3は、2次転写部23及び定着部30の概略図である。
【0043】
定着部30は、図3に示すように、用紙を加熱する定着部材31、当該定着部材31を押圧し当該定着部材31との間に定着ニップ部N2を形成する加圧部材32、定着ニップ部N2に用紙搬送方向(図3中、矢印a方向)下流側から空気を吹き付け、用紙Pを分離するための送風部33、及びこれらの各部材を収容する筐体34等を主に備えて構成されている。また、このように構成される定着部30と、当該定着部30の各部を制御する上記制御部11とにより、定着装置が構成されている。
定着部材31及び加圧部材32により形成される定着ニップ部N2に、トナー像が形成された用紙Pが通紙され、当該用紙Pを定着部材31が加熱するとともに加圧部材32が加圧することで、用紙P上に画像が熱定着される。また、送風部33が、定着ニップ部N2に空気を吹き付けることで、定着ニップ部N2を通過した用紙Pが定着部材31から分離されやすくなっている。
【0044】
定着部材31は、加熱ローラー311、加圧部材32を押圧する定着ローラー312、並びに、これら加熱ローラー311及び定着ローラー312に張架された定着ベルト313等を有する。加熱ローラー311及び定着ローラー312は、制御部11の指示に従って回転駆動する。
【0045】
加熱ローラー311は、ハロゲンヒーター311aを内蔵し、制御部11の指示に従って定着ベルト313を加熱する。
【0046】
加圧部材32は、制御部11の指示に従って回転駆動するローラー部材である。
加圧部材32は、所定の付勢手段(図示略)により、定着ベルト313を介して定着ローラー312を押圧する位置(第1の位置)に配置され、これにより用紙Pが通紙される定着ニップ部N2を形成している。また、加圧部材32は、制御部11の制御下で付勢手段による押圧が解除されることにより、定着ローラー312から離間された位置(第2の位置)に配置されることが可能である。
【0047】
送風部33は、内部で生じた空気の流れを定着ニップ部N2に導くダクト部331、ダクト部331内に設けられて図3中の矢印b方向に空気の流れを生じさせる送風ファン332等を有する。
【0048】
ダクト部331は、中空の筒状部材であって、一端が定着部30の定着ニップ部N2近傍に設けられ、他端が筐体34の外部へ連通している。
ダクト部331の一端は、先端ほど断面積が小さくなるように形成され、その先端部には、定着ニップ部N2に空気を吹き付けるための吹出口331aが設けられている。吹出口331aは、定着ニップ部N2の用紙幅方向全体に亘って設けられている。
【0049】
[2次転写部のウォームアップ動作]
次に、画像形成装置1が実行するウォームアップ動作について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置1は、2次転写部23における温度ムラに起因する転写不良を抑制するため、2次転写部23のウォームアップ動作を行う。
【0050】
2次転写部23における2次転写ローラー231及び対向ローラー232の表面の抵抗は、環境変動する。特に低温低湿条件下では抵抗が高くなり、2次転写部23に接続された電源の出力不足や放電現象による画像不良を招くこととなる。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置1は、2次転写部23の抵抗が高くなる状況において、画像形成開始前2次転写部を加熱するウォームアップ動作を実行する。ウォームアップ動作においては、温度ムラを抑制するため2次転写部23を回転させながら加熱するが、対向ローラー232に接触して回転する中間転写ベルト22により、熱が伝達する前に奪われ、対向ローラー232が十分に加熱されるまでのダウンタイムが長くなる。2次転写ローラー231も同様に、転写ニップ部N1において中間転写ベルト22に接触するため、熱を奪われてしまう。
したがって、ウォームアップ動作時においては、2次転写部23の回転速度を通常の画像形成時に比べて遅くすることで、上記した問題点を解消する。
【0051】
図4は、2次転写部23のウォームアップ動作を示すフローチャートである。なお、図4における処理は、制御部11と記憶部12に記憶されているプログラムとの協働により実現される。
【0052】
図4に示すように、画像形成指示を受け付けると(ステップS1)、制御部11は、所定の環境下かつ前回の画像形成時から所定の時間以上経過したか否かを判断する(ステップS2)。ここで、所定の環境とは、低温又は/及び低湿条件など2次転写ローラー231及び対向ローラー232の抵抗が低下する環境を指す。また、所定の時間とは、上記した所定の環境において2次転写ローラー231及び対向ローラー232の抵抗が所定の値だけ低下すると考えられる時間である。具体的には、所定の環境とは、例えば10℃以下の環境を指し、所定の時間とは、例えば6時間を指す。
【0053】
制御部11は、所定の環境下かつ前回の画像形成時から所定の時間以上経過したと判断すると(ステップS2:Yes)、ステップS3へと移行するが、そうでないと判断すると(ステップS2:No)、制御を終了する。
なお、ステップS2においては、これに限らず、例えば2次転写部23に対する400μAの印加電流に対して10kV以上の電圧が加わる場合、機内温度検出部40による検出値が10℃以下である場合、又は表面温度検出部234による検出値が10℃以下である場合等にウォームアップ動作を実行するものとしてもよい。
【0054】
ステップS3では、制御部11は、中間転写ベルト22の回転速度が所定の速度以上であるか否かを判断する。
中間転写ベルト22から用紙上に画像不良なくトナーを移動させるために必要な電流値は、画像形成速度に依存している。例えば、中間転写ベルト22の摺動速度が300mm/sである場合には2次転写に必要な電流は40μA、摺動速度が450mm/sである場合には必要な電流は60μA、摺動速度が600mm/sである場合には必要な電流は80μAであり、中間転写ベルト22の用紙に対する摺動速度が大きいほど、2次転写に必要な電流値が上昇する。2次転写部23に高い電流値が必要な場合、高圧の電圧を印加する必要があり、電源の出力不足や放電による画像不良が発生しやすくなる。
【0055】
以上のことから、中間転写ベルト22の回転速度が所定の速度以上の場合には、ウォームアップ動作を実施する必要があるが、所定の速度未満の場合には、ウォームアップ動作は必ずしも必要でないため、ウォームアップ動作を省略することでダウンタイムを抑制することができる。なお、所定の速度とは、例えば画像形成装置1の構成上設定可能な中間転写ベルト22の最大の回転速度の半分の速度とすることが想定され、例えば中間転写ベルト22の最大回転速度が600mm/sの場合、中間転写ベルト22の回転速度が300mm/s以上のときのみウォームアップ動作を実施するものとする。
【0056】
制御部11は、中間転写ベルト22の回転速度が所定の速度以上であると判断すると(ステップS3:Yes)、ステップS4へと移行するが、所定の速度未満であると判断すると(ステップS3:No)、制御を終了する。
【0057】
ステップS4では、制御部11は、2次転写部23の回転速度を決定する。
上記したように、ウォームアップ動作時には、2次転写ローラー231と対向ローラー232の回転速度を通常の画像形成時に比べて遅くする必要がある。ここで、2次転写部23の回転速度を、例えば通常の画像形成時の1/10の速度とするなど一律に設定するものとしてもよいが、本実施形態においては、ウォームアップ動作時間と2次転写部23の回転数とに基づいて設定するものとする。
【0058】
したがって、ステップS4においては、まずウォームアップ動作時間を決定する。
ウォームアップ動作時間は、予め所定の時間に決定されていてもよいが、2次転写部23に印加される電圧値若しくは電流値、画像形成装置1の機内温度、又は対向ローラー232の表面温度等に基づいて決定するものとしてもよい。本実施形態においては、これらの条件に基づいてウォームアップ動作時間を決定するものとする。
【0059】
図5に、各条件とウォームアップ動作とを対応付けたテーブルを示す。なお、当該テーブルは予め記憶部12によって記憶されている。
【0060】
図5(A)に、2次転写部23に印加する電流値を400μAとした場合に必要となる電圧値と、ウォームアップ動作時間との関係を示す。上記したように2次転写部23の抵抗が高くなるほど、一定の電流を印加したときに必要な電圧値が大きくなる。電圧値が高いほど画像不良が発生しやすくなるため、図5(A)に示すように、ウォームアップ動作時間を長くして2次転写部23の抵抗を低下させて画像不良を抑制する。
なお、定電圧を印加したときの電流値に基づいてウォームアップ動作時間を決定するものとしてもよい。即ち、2次転写部23の抵抗が高くなるほど、一定の電圧を印加したときに必要な電流値が小さくなるため、電流値が小さいほどウォームアップ動作時間を長くして画像不良を抑制する。
【0061】
図5(B)に、画像形成装置1の機内温度とウォームアップ動作時間との関係を示す。機内温度が低いほど2次転写部23の温度が低下して抵抗が高くなるため、図5(B)に示すように、ウォームアップ動作時間を長くして2次転写部23の抵抗を低下させて画像不良を抑制する。なお、機内温度として、機内温度検出部40によって検出された温度を用いるものとする。
【0062】
図5(C)に、対向ローラー232の表面温度とウォームアップ動作時間との関係を示す。対向ローラー232の表面温度が低いほど2次転写部23の温度が低下して抵抗が高くなるため、図5(C)に示すように、ウォームアップ動作時間を長くして2次転写部23の抵抗を低下させて画像不良を抑制する。なお、2次転写ローラー231の表面温度として、表面温度検出部234によって検出された温度を用いるものとする。
【0063】
なお、図5のように動作時間を異ならせることとしても、従来のウォームアップ動作時間(通常、8~10分程度)に比べて大幅にダウンタイムを削減することができる。
また、図5(A)~(C)に示したウォームアップ動作時間の設定方法は、それぞれ独立して用いるものとしてもよいし、組み合わせて用いるものとしてもよい。
【0064】
続いて制御部11は、上記した事項のいずれかに基づいてウォームアップ動作時間を決定すると、2次転写部23の回転数を決定する。
2次転写ローラー231及び対向ローラー232のウォームアップ動作時における回転数を、ウォームアップ効率を考慮して決定する。回転数が多すぎると、2次転写ローラー231及び対向ローラー232の保持熱が接触する中間転写ベルト22に奪われるため、ウォームアップ効率が低下する。一方で、回転数が少なすぎると、各ローラーの表面において、ウォームアップ動作の初期に加熱した部分と後期に加熱した部分との間に時間経過に伴う熱放出によって温度差が生じ、温度ムラが生じるリスクがあるため、2次転写ローラー231及び対向ローラー232はウォームアップ動作中に少なくとも一回転する必要がある。したがって、2次転写ローラー231及び対向ローラー232は一回転以上かつ通常の画像形成時よりも遅くなるような回転数に設定される必要がある。
【0065】
なお、2次転写ローラー231及び対向ローラー232の熱伝導性を考慮して、回転数を決定することが望ましい。即ち、対向ローラー232は金属等から形成された芯金の周りにゴムからなる弾性層で被覆されて構成されているため、熱伝導率が低い。したがって、例えば対向ローラー232の回転数を、例えば2回転とすれば十分である。一方で、2次転写ローラー231は比較的熱伝導率の高い材質で構成されているため、回転数を例えば10回転にする必要がある。
以上を考慮して、制御部11は、2次転写ローラー231及び対向ローラー232の回転数を決定する。
【0066】
上記したように決定したウォームアップ動作時間と2次転写部23の回転数とにより、2次転写部23の回転速度が一義的に決定される。
【0067】
続いて、制御部11は、加圧部材32を画像形成時において定着ニップ部N2を形成する第1の位置から、第2の位置に移動させる(ステップS5)。
図6に、加圧部材32を第2の位置に配置させた状態の、2次転写部23及び定着部30の概略図を示す。図6に示すように、定着ローラー312と加圧部材32とを離間させることにより、送風部33の吹出口331aから吹き出された空気は、図中bの方向に流れる。即ち、定着ローラー312と加圧部材32との間を通り抜けて2次転写部23に吹き付けられる。このとき、定着ベルト313はハロゲンヒーター311aにより加熱されており、吹出口331aから吹き出された空気は定着ベルト313に接触することにより加熱される。加熱された空気が吹き付けられることで、2次転写部23が加熱されることとなる。
【0068】
続いて、制御部11は、定着部材31の温度が所定の温度未満であるか否かを判断する(ステップS6)。
上記したように、定着ベルト313の保持熱を用いて2次転写部23を加熱するため、定着部材31の温度低下が懸念される。定着部材31の温度が所定の温度以上であれば、ハロゲンヒーター311aの通常画像形成時の出力とすることで、定着部材31の温度を保ちつつ2次転写部23を加熱することができる。一方で、所定の温度未満である場合には、定着部材31の保持熱が不足するため、ハロゲンヒーター311aの出力を上昇させる。なお、所定の温度は例えば170℃であり、定着部材31の温度が170℃未満の場合にはハロゲンヒーター311aの出力を1.2倍とすることができる。
制御部11は、所定の温度未満であると判断すると(ステップS6:Yes)、ハロゲンヒーター311aの出力を上昇させるが(ステップS7)、所定の温度以上であると判断すると(ステップS6:No)、ステップS8へと移行する。
【0069】
続いて、制御部11は、ウォームアップ動作を開始する(ステップS8)。具体的には、送風部33の送風ファン332を駆動して空気を吹出口331aから吹き出させるとともに、2次転写ローラー231及び対向ローラー232をステップS4で設定した回転速度となるように回転させる。加熱された空気で2次転写ローラー231及び対向ローラー232が加熱される。
【0070】
続いて、制御部11は、ウォームアップ動作時間を経過したか否かを判断する(ステップS9)。ウォームアップ動作時間は、予め設定された時間あるいはステップS4で定めた時間である。
制御部11は、経過したと判断すると(ステップS9:Yes)、ウォームアップ動作を終了するが(ステップS10)、経過していないと判断すると(ステップS9:No)、ステップS9の処理を繰り返す。
【0071】
ウォームアップ動作を終了すると、制御部11は、加圧部材32を第1の位置へと移動させて、画像形成を開始可能な状態にする(ステップS11)。
【0072】
以上のように、本実施形態に係る画像形成装置1は、2次転写部23のウォームアップ動作を実行する。
なお、ウォームアップ動作の実行中に、対向ローラー232の表面の温度が所定の温度以上になった場合に、ウォームアップ動作を中断するものとしてもよい。2次転写部23が過熱状態となると、周辺機器に不具合を生じさせるおそれがあるため、ウォームアップ動作を中断してサービスマンコールを出力することが有効である。なお、対向ローラー232の表面温度が例えば60℃の時にウォームアップ動作を中断するものし、温度には表面温度検出部234による検出結果を用いることができる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係る画像形成装置1は、中間転写ベルト22の外側から加熱する加熱部としての定着部30を備え、2次転写部23のウォームアップ動作時には、2次転写部23の回転速度を画像形成時よりも遅くする。これにより、中間転写ベルト22に奪われる熱を最小限にし、ダウンタイムを短くすることができる。
【0074】
また、本実施形態に係る画像形成装置1は、定着部30の保持熱を利用して、送風部33によって温風を吹き付ける。中間転写ベルト22の外側から、2次転写部23を加熱可能なヒーターを別個に設けることによっても本発明の効果を得ることは可能であるが、定着部30の保持熱を利用することにより、別個に2ヒーターを設ける場合に比べて、低コストである。
【0075】
なお、上記実施形態においては、加熱ローラー311の内部にハロゲンヒーター311aを配置させるものとし、これによって加熱された定着部30の保持熱を利用するものとしたが、これに限定されない。定着ベルト313の外部にヒーターを配置させる構成の場合、当該ヒーターに対して送風し、加熱された空気を2次転写部23に吹き付けることが可能である。
【0076】
また、上記実施形態においては、対向ローラー232に中間転写ベルト22が張架され、2次転写ローラー231にはベルトが張架されない構成としたが、これに限定されない。例えば、2次転写ローラー231に、用紙搬送力を向上させるための搬送ベルトが張架される構成としてもよい。この場合、2次転写ローラー231と搬送ベルトとが接触することで、2次転写ローラー231の熱が搬送ベルトに奪われるため、上記実施形態と同様に2次転写ローラー231のウォームアップ動作を制御することで、加熱効率を上昇させることができる。
【0077】
[他の実施形態]
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、上記の実施形態は本発明の好適な例であり、これに限定されない。
【0078】
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体として、不揮発性メモリー、ハードディスク等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0079】
その他、画像形成装置1を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の主旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成装置
11 制御部(加熱制御部、回転制御部)
12 記憶部
20 画像形成部
22 中間転写ベルト(中間転写体)
23 2次転写部
231 2次転写ローラー(第2のローラー)
232 対向ローラー(第1のローラー)
30 定着部(加熱部)
31 定着部材
311 加熱ローラー
312 定着ローラー
313 定着ベルト
32 加圧部材
33 送風部
331 ダクト部
332 送風ファン
40 機内温度検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6