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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】給紙装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/48 20060101AFI20220906BHJP
   B65H 3/12 20060101ALI20220906BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B65H3/48 320A
B65H3/12 310B
G03G15/00 405
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018165607
(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公開番号】P2020037474
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100194582
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 康浩
(72)【発明者】
【氏名】増田 佳之
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-179988(JP,A)
【文献】特開2012-046290(JP,A)
【文献】特開2009-057203(JP,A)
【文献】特開2010-105765(JP,A)
【文献】特開2010-100407(JP,A)
【文献】特開平10-067442(JP,A)
【文献】特開2014-001061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/48
B65H 3/12
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置において、
用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、
浮上する用紙の上方に当接することで、用紙の浮上高さを規制する用紙押さえ部と、
一方の吹き付け口の高さと他方の吹き付け口の高さとが異なる第1動作モード、及び前記用紙押さえ部の高さが用紙束の一方の側面側と当該用紙束の他方の側面側とで異なる第2動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う制御部と、
を有する給紙装置。
【請求項2】
用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置において、
用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、
一方の吹き付け口の高さと他方の吹き付け口の高さとが異なる第1動作モード、及び前記一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と前記他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とが異なる第3動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う制御部と、
を有する給紙装置。
【請求項3】
用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置において、
用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、
浮上する用紙の上方に当接することで、用紙の浮上高さを規制する用紙押さえ部と、
一方の吹き付け口の高さと他方の吹き付け口の高さとが異なる第1動作モード、前記用紙押さえ部の高さが用紙束の一方の側面側と当該用紙束の他方の側面側とで異なる第2動作モード、及び、前記一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と前記他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とが異なる第3動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う制御部と、
を有する給紙装置。
【請求項4】
前記吹き付け口に接続し、送風機から送風されたエアを前記吹き付け口に導くダクトをさらに有し、
前記ダクトは、上下方向に可動することで前記吹き付け口の高さを調整する
請求項1乃至3のいずれかに記載の給紙装置。
【請求項5】
前記ダクトは、エアの風圧によって上下方向に可動する
請求項記載の給紙装置。
【請求項6】
前記ダクトの可動を規制して、前記吹き付け口の高さを調整するロック機構をさらに有する
請求項記載の給紙装置。
【請求項7】
用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置において、
用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、
一方の吹き付け口の高さと他方の吹き付け口の高さとが異なる第1動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記吹き付け制御における動作モードとして、前記一方の吹き付け口の高さと前記他方の吹き付け口の高さとが揃った通常動作モードをさらに有し、
用紙の情報及び用紙の浮上状態の一方又は両方に基づいて、前記通常動作モードと前記第1動作モードとを切り替え可能であり、
前記第1動作モードは、前記一方の吹き付け口又は前記他方の吹き付け口の高さを、前記通常動作モードにおける高さよりも低くする給紙装置。
【請求項8】
用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置において、
用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、
浮上する用紙の上方に当接することで、用紙の浮上高さを規制する用紙押さえ部と、
前記用紙押さえ部の高さが用紙束の一方の側面側と当該用紙束の他方の側面側とで異なる第2動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う制御部と、
を有する給紙装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2動作モードに加え、前記一対の吹き付け口のうちの一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とが異なる第3動作モードで、前記吹き付け制御を行う
請求項記載の給紙装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記吹き付け制御における動作モードとして、前記用紙押さえ部の高さが用紙束の一方の側面側と当該用紙束の他方の側面側とで揃った通常動作モードをさらに有し、
用紙の情報及び用紙の浮上状態の一方又は両方に基づいて、前記通常動作モードと前記第2動作モードとを切り替える
請求項記載の給紙装置。
【請求項11】
用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置において、
用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、
一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とが異なる第3動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記吹き付け制御における動作モードとして、前記一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と前記他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とが揃った通常動作モードをさらに有し、
用紙の情報及び用紙の浮上状態の一方又は両方に基づいて、前記通常動作モードと前記第3動作モードとを切り替え可能であり、
用紙を浮上させてから、用紙束の上方に位置する用紙吸引部が用紙を吸引するまでの時間に基づいて、動作モードを切り替える給紙装置。
【請求項12】
前記用紙押さえ部は、前記吹き付け口の上方に設けられる
請求項8又は9のいずれかに記載の給紙装置。
【請求項13】
前記用紙押さえ部の高さを調整する可動機構をさらに有する
請求項1記載の給紙装置。
【請求項14】
前記制御部は、用紙を浮上させてから、用紙束の上方に位置する用紙吸引部が用紙を吸引するまでの時間に基づいて、動作モードを切り替える
請求項7又は10記載の給紙装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と前記他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とを異ならせる場合、エアの風量が多い方の前記吹き付け口の高さを、エアの風量が少ない方の前記吹き付け口の高さよりも低くする
請求項又は記載の給紙装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と前記他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とを異ならせる場合、エアの風量が少ない方の前記用紙押さえ部の高さを、エアの風量が多い方の前記用紙押さえ部よりも低くする
請求項又はに記載の給紙装置。
【請求項17】
請求項1から1のいずれかに記載の給紙装置と、
前記給紙装置から給紙された用紙に画像を形成する画像形成装置と、
を有する画像形成システム。
【請求項18】
用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置と、
給紙装置から給紙された用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記給紙装置及び前記画像形成装置を制御する制御部と、を有し、
前記給紙装置は、
用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口を有し、
前記制御部は、
一方の吹き付け口の高さと他方の吹き付け口の高さとが異なる第1動作モード、及び前記一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と前記他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とが異なる第3動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う
画像形成システム。
【請求項19】
用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置と、
給紙装置から給紙された用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記給紙装置及び前記画像形成装置を制御する制御部と、を有し、
前記給紙装置は、
用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、
浮上する用紙の上方に当接することで、用紙の浮上高さを規制する用紙押さえ部と、を有し、
前記制御部は、
前記用紙押さえ部の高さが用紙束の一方の側面側と当該用紙束の他方の側面側とで異なる第2動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成を含む各種の処理を一連で行う画像形成システムが知られている。この画像形成システムは、ユーザーが必要とする仕様に応じて、一台以上の装置を直列的に並べて構成されている。画像形成システムを構成する装置としては、画像形成を行う画像形成装置の他、大容量の用紙を保有してこれを画像形成装置に給紙する給紙装置(大容量給紙装置)等が挙げられる。
【0003】
給紙装置は、厚さ方向に積載された複数の用紙、すなわち、用紙束を載置する用紙載置台と、用紙を給紙する給紙部とを備えている。給紙部は、用紙載置台に載置された用紙束から用紙(最上位の用紙)を1枚ずつ給紙する。給紙部としては、用紙を吸引して給紙する構成が知られており、給紙装置は、用紙搬送方向に沿った用紙束の側面に、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける側面送風部を備えている。
【0004】
この類の給紙装置にあっては、エアの吹き付けにより、最上位の用紙のみならず、2枚目以降の用紙も浮上してしまう。そのため、給紙部によって最上位の用紙が吸着されると、最上位の用紙から2枚目以降の用紙を捌いた上で、用紙の給紙が行われる。このような構成であるため、用紙の浮上に時間がかかってしまうと、生産性が低下してしまう。一方、生産性を確保しようとすると、用紙を捌く時間が十分に確保できず、重送が発生してしまう虞がある。また、用紙の浮上が困難な場合には、用紙の吸着が間に合わず、用紙を給紙することができない可能性もある。
【0005】
そこで、例えば特許文献1には、用紙束の側面に吹き付けるエアの風量を増加させる手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-1061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、用紙束の側面に吹き付けるエアの風量は、送風機の構成に依存する。そのため、送風機の上限風量でも十分な浮上状態を得ることができない場合には、より高出力な送風機が必要となるという問題がある。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、用紙の浮上に要する時間を低減し、もって安定した給紙性能を実現することができる給紙装置及び画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、本願の一の発明は、用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置において、用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、浮上する用紙の上方に当接することで、用紙の浮上高さを規制する用紙押さえ部と、一方の吹き付け口の高さと他方の吹き付け口の高さとが異なる第1動作モード、及び用紙押さえ部の高さが用紙束の一方の側面側と当該用紙束の他方の側面側とで異なる第2動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う制御部と、を有している。
また、本願の他の発明は、用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置において、用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、一方の吹き付け口の高さと他方の吹き付け口の高さとが異なる第1動作モード、及び一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とが異なる第3動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う制御部と、を有する。
また、本願の他の発明は、用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置において、用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、浮上する用紙の上方に当接することで、用紙の浮上高さを規制する用紙押さえ部と、一方の吹き付け口の高さと他方の吹き付け口の高さとが異なる第1動作モード、用紙押さえ部の高さが用紙束の一方の側面側と当該用紙束の他方の側面側とで異なる第2動作モード、及び、一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とが異なる第3動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う制御部と、を有する。
また、本願の他の発明は、用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置において、用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、一方の吹き付け口の高さと他方の吹き付け口の高さとが異なる第1動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う制御部と、を有し、制御部は、吹き付け制御における動作モードとして、一方の吹き付け口の高さと他方の吹き付け口の高さとが揃った通常動作モードをさらに有し、用紙の情報及び用紙の浮上状態の一方又は両方に基づいて、通常動作モードと第1動作モードとを切り替え可能であり、第1動作モードは、一方の吹き付け口又は他方の吹き付け口の高さを、通常動作モードにおける高さよりも低くする。
【0010】
また、第2の発明は、用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置において、用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、浮上する用紙の上方に当接することで、用紙の浮上高さを規制する用紙押さえ部と、用紙押さえ部の高さが用紙束の一方の側面側と当該用紙束の他方の側面側とで異なる第2動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う制御部と、を有している。
【0011】
また、本願の他の発明は、用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置において、用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とが異なる第3動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う制御部と、を有し、制御部は、吹き付け制御における動作モードとして、一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とが揃った通常動作モードをさらに有し、用紙の情報及び用紙の浮上状態の一方又は両方に基づいて、通常動作モードと第3動作モードとを切り替え可能であり、用紙を浮上させてから、用紙束の上方に位置する用紙吸引部が用紙を吸引するまでの時間に基づいて、動作モードを切り替える。
【0014】
また、第2の発明において、制御部は、第2動作モードに加え、一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とが異なる第3動作モードで、吹き付け制御を行うことが好ましい。
【0016】
また、第1の発明は、吹き付け口に接続し、送風機から送風されたエアを吹き付け口に導くダクトをさらに有し、ダクトは、上下方向に可動することで吹き付け口の高さを調整することが好ましい。
【0017】
この場合、第1の発明において、ダクトは、エアの風圧によって上下方向に可動することが好ましい。
【0018】
また、第1の発明は、ダクトの可動を規制して、吹き付け口の高さを調整するロック機構をさらに有することが好ましい。
【0019】
また、第2の発明において、用紙押さえ部は、吹き付け口の上方に設けられることが好ましい。
【0020】
この場合、第2の発明は、用紙押さえ部の高さを調整する可動機構をさらに有することが好ましい。
【0023】
また、第2の発明において、制御部は、吹き付け制御における動作モードとして、用紙押さえ部の高さが用紙束の一方の側面側と当該用紙束の他方の側面側とで揃った通常動作モードをさらに有し、用紙の情報及び用紙の浮上状態の一方又は両方に基づいて、通常動作モードと第2動作モードとを切り替えることが好ましい。
【0026】
また、第1の発明において、制御部は、一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とを異ならせる場合、エアの風量が多い方の吹き付け口の高さを、エアの風量が少ない方の吹き付け口の高さよりも低くすることが好ましい。
【0027】
また、第1の発明において、制御部は、一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とを異ならせる場合、エアの風量が少ない方の用紙押さえ部の高さを、エアの風量が多い方の用紙押さえ部よりも低くすることが好ましい。
【0028】
また、第4の発明は、画像形成システムにおいて、第1から第3の発明に係る給紙装置と、給紙装置から給紙された用紙に画像を形成する画像形成装置と、を有する。
【0029】
また、本願の他の発明は、画像形成システムにおいて、用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置と、給紙装置から給紙された用紙に画像を形成する画像形成装置と、給紙装置及び画像形成装置を制御する制御部と、を有し、給紙装置は、用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口を有し、制御部は、一方の吹き付け口の高さと他方の吹き付け口の高さとが異なる第1動作モード、及び一方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量と他方の吹き付け口から吹き付けられるエアの風量とが異なる第3動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う。
【0030】
また、第6の発明は、画像形成システムにおいて、用紙載置台に載置された用紙束から用紙を吸引して給紙する給紙装置と、給紙装置から給紙された用紙に画像を形成する画像形成装置と、給紙装置及び画像形成装置を制御する制御部と、を有し、給紙装置は、用紙束を隔てて配置され、用紙を浮上させるためのエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける一対の吹き付け口と、浮上する用紙の上方に当接することで、用紙の浮上高さを規制する用紙押さえ部と、を有し、制御部は、用紙押さえ部の高さが用紙束の一方の側面側と当該用紙束の他方の側面側とで異なる第2動作モードで、用紙を浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行う。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る給紙装置及び画像形成システムによれば、用紙の浮上に要する時間を低減することができるので、安定した給紙性能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本実施形態に係る画像形成システムの構成を模式的に示す正面図
図2】給紙ユニットの構成を模式的に示す正面図
図3】側端送風部の構成を模式的に示す図
図4】側端送風部の詳細を示す説明図
図5】通常動作モードの説明図
図6】第1動作モードの説明図
図7】第2動作モードの説明図
図8】第3動作モードの説明図
図9】給紙処理の流れを示すフローチャート
図10】動作モードと用紙の情報との関係を規定したテーブルの説明図
図11】用紙押さえ部の変形例の説明図
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本実施形態に係る画像形成システムの構成を模式的に示す正面図である。画像形成システムは、用紙Pに対して画像形成を含む所定の処理を行うシステムであり、複数の装置から構成されている。本実施形態の画像形成システムは、画像形成装置100と、大容量給紙装置200とで構成されている。これらの装置は、用紙搬送方向の上流側から下流側にかけて、大容量給紙装置200、画像形成装置100の順番で配列されているが、個々の装置が同一の筐体内に収容されるものであってもよい。
【0035】
画像形成装置100は、大容量給紙装置200から給紙された用紙P、又は、自己が保有する用紙Pに画像を形成する装置である。画像形成装置100は、例えば電子写真方式の画像形成装置であり、複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成する、いわゆる、タンデム型カラー画像形成装置である。画像形成装置100は、原稿読取装置SCと、4組の画像形成部10Y,10M,10C,10Kと、定着装置40と、制御部50とを主体に構成されており、これらの要素が一つの筐体内に収容されている。
【0036】
原稿読取装置SCは、露光装置により原稿を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、これにより、画像信号を得る。この画像信号は、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理が施された後、画像データとして制御部50に入力される。なお、制御部50に入力される画像データとしては、原稿読取装置SCで読み取ったものに限らず、例えば、画像形成装置100に接続されたパーソナルコンピューター、他の画像形成装置から受信したもの、又は半導体メモリといった可搬性の記録媒体から読み込んだものであってもよい。
【0037】
4組の画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成部10Y、マゼンタ(M)の画像を形成する画像形成部10M、シアン(C)の画像を形成する画像形成部10C及びブラック(K)の画像を形成する画像形成部10Kで構成されている。
【0038】
画像形成部10Yは、感光体ドラム11Y並びにその周辺に配置された帯電部、光書込部、現像装置及びドラムクリーナーで構成されている。感光体ドラム11Yは帯電部によりその表面が一様に帯電させられており、光書込部による走査露光により、感光体ドラム11Yには潜像が形成される。現像装置は、トナーで現像することによって感光体ドラム11Y上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラム11Y上には、イエローに対応する画像(トナー画像)が形成される。感光体ドラム11Y上に形成された画像は、1次転写ローラーにより、無端ベルトである中間転写ベルト15上の所定位置へと逐次転写される。
【0039】
残余の画像形成部10M,10C,10Kは、感光体ドラム11M,11C,11K、並びにその周辺に配置された帯電部、光書込部、現像装置及びドラムクリーナーで構成されており、これらの詳細は、画像形成部10Yのそれと同様である。
【0040】
中間転写ベルト15上に転写された画像は、用紙搬送部20により所定のタイミングで搬送される用紙Pに対して、2次転写ローラー16により転写される。2次転写ローラー16は中間転写ベルト15と圧接して配置されており、2次転写ローラー16と中間転写ベルト15との間に転写ニップが形成される。
【0041】
用紙搬送部20は、用紙トレイ21から給紙ローラー22によって給紙された用紙P、又は、大容量給紙装置200から給紙された用紙Pを搬送経路に従って搬送する。用紙搬送部20には、搬送ローラー、搬送ガイド等が含まれる。また、後述する排紙ローラー23、切替ゲート24も用紙搬送部20の一部を構成する。
【0042】
定着装置40は、画像が転写された用紙Pに定着処理を施す装置である。定着装置40は、例えば、互いに圧接されて定着ニップを形成する一対の定着ローラーと、当該定着ローラーの一方を加熱するヒーターとで構成されている。この定着装置40は、用紙Pが定着ニップを通過する間に、一対の定着ローラーによる加圧と当該定着ローラーの有する熱とを用いて、転写された画像を用紙Pに定着させる。定着処理が施された用紙Pは、排紙ローラー23により機外へと排出される。
【0043】
用紙Pの裏面にも画像形成を行う場合、用紙表面に対する画像形成を終えた用紙Pは、切替ゲート24により、再給紙搬送経路に搬送される。再給紙搬送経路では、搬送された用紙Pの後端が反転ローラーにより挟持された後、逆送することによって用紙Pの表裏が反転させられる。表裏が反転させられた用紙Pは、複数の搬送ローラーによって搬送され、用紙裏面に対する画像形成に供するために、2次転写ローラー16よりも上流側の搬送経路に合流させられる。
【0044】
制御部50は、画像形成装置100の動作を制御する。制御部50としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。CPUは、各種プログラムを実行することにより、画像形成装置100の動作を制御する(プロセッサー)。ROMは、CPUが実行する各種プログラムを、当該CPUが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納する。また、ROMは、プログラムの実行に必要となるデータを記憶する。RAMは、作業用の記憶領域となるメモリである。ROMに格納されたプログラム及びデータは、CPUにより読み出されると、RAM上に展開される。そして、CPUは、RAM上に展開したプログラム及びデータに基づいて、各種の処理を行う。
【0045】
操作パネル60は、ディスプレイ上に表示される情報に従い、所望の情報を入力することが可能な入力部である。操作パネル60としては、タッチパネル方式等を採用することができる。ユーザーは、操作パネル60に対する操作を通じて、ジョブの内容(用紙Pに関する情報(用紙サイズ、紙種等)、画像の濃度や倍率等)を設定することができる。設定された情報は、制御部50によって取得される。また、操作パネル60は、制御部50に制御されることにより、ユーザーに種々の情報を表示する表示部としても機能する。
【0046】
大容量給紙装置200は、用紙Pを給紙する給紙装置である。大容量給紙装置200は、1つ以上の給紙ユニット210、例えば上段、中段及び下段に配置された3つの給紙ユニット210と、制御部250とを備えており、これらの要素が一つの筐体内に収容されている。
【0047】
図2は、給紙ユニット210の構成を模式的に示す正面図である。給紙ユニット210は、複数の用紙P(用紙束)を収容し、用紙束から用紙P(最上位の用紙P)を1枚ずつ給紙する。給紙ユニット210は、用紙載置台211、先端規制部材212、後端規制部材213、側端規制部材214、給紙部220、先端送風部230及び側端送風部240を主体に構成されている。給紙ユニット210には、ガイドレール215が設けられており、給紙ユニット210は、大容量給紙装置200の筐体から引き出し可能に構成されている。
【0048】
給紙ユニット210において、用紙束は用紙載置台211に載置されている。用紙載置台211には、電動式の昇降機構が設けられており、上下方向に沿って昇降可能に構成されている。
【0049】
先端規制部材212は、用紙載置台211に載置された個々の用紙Pの先端、すなわち、用紙搬送方向の下流側に位置付けられる用紙束の面(先端面)を規制する。
【0050】
後端規制部材213は、用紙載置台211に載置された個々の用紙Pの後端、すなわち、用紙搬送方向の上流側に位置付けられる用紙束の面(後端面)を規制する。後端規制部材213は、用紙搬送方向に沿って移動可能に構成されており、用紙サイズに応じて、その位置が調整される。
【0051】
後端規制部材213には、用紙載置台211上に載置された用紙束の高さを検出する高さセンサー(図示せず)が配置されている。制御部250は、高さセンサーの信号に基づいて昇降機構を駆動させ、用紙載置台211の昇降を制御する。この制御により、用紙載置台211上に載置された用紙束の最上位の用紙Pが一定の高さに維持される。
【0052】
側端規制部材214は、用紙載置台211に載置された個々の用紙Pの側端、すなわち、用紙搬送方向と平行する用紙束の面(側面)を規制する。側端規制部材214は、用紙束の両側面(左右側面)に対応して、2箇所に設けられている。すなわち、側端規制部材214のそれぞれは、用紙束を隔てた状態で、互いに対向するように配置されている。後端規制部材213の一方又は両方は、用紙搬送方向と直交する方向(用紙幅方向)に沿って移動可能に構成されており、用紙サイズに応じて、その位置が調整される。
【0053】
給紙部220は、用紙載置台211(用紙P)の上方に、当該用紙載置台211と対向して配置されている。給紙部220は、用紙載置台211に載置された用紙束の最上位の用紙Pから、一定の距離だけ離間した状態で配置されている。給紙部220は、エアの吹き付けによって用紙束から浮上した用紙P(最上位の用紙P)を吸引して、搬送経路へと給紙する。給紙部220は、搬送部221と、吸引部226とを主体に構成されている。
【0054】
搬送部221は、吸着された用紙Pを前方へと搬送(給紙)する機能を担っており、無端状の吸着ベルト221aと、当該吸着ベルト221aが掛け渡される駆動ローラー221b及び従動ローラー221cとを備えている。吸着ベルト221aは、駆動ローラー221bが回転駆動することにより回動し、用紙Pと対向するベルト領域(下側のベルト領域)が用紙搬送方向に移動する。吸着ベルト221aには、それぞれ小径からなる複数の貫通孔(図示せず)が設けられている。
【0055】
吸引部226は、浮上した用紙Pを吸引して吸着ベルト221aに吸着する。吸引部226は、吸着ベルト221aの内側に配置され、吸着ベルト221aを隔てて用紙Pと対峙している。吸引部226は、エアを吸引する吸引ファンと、吸着ベルト221aの内側に配置され、吸引ファンへとエアを導くダクトとを備えている。ダクトの下部には、吸着ベルト221aと対向する吸引口が設けられている。吸引ファンが動作すると、吸着ベルト221aの内側が負圧とされる。これにより、吸着ベルト221aの下側からダクトへと向かうエアの流れが形成され、用紙Pが吸引される。
【0056】
また、給紙部220には、吸着ベルト221aへの用紙Pの吸着を検出する吸着センサー(図示せず)が設けられている。吸着センサーによって検出される情報は、制御部250によって読み込まれる。
【0057】
先端送風部230は、用紙束の先端面かつ給紙部220の近傍に配置されている。先端送風部230は、用紙載置台211に載置された用紙束に対して用紙先端側から送風を行う。この送風により、最上位の用紙Pと2枚目以降の用紙Pとの間にエアが導入され、最上位の用紙Pと2枚目以降の用紙Pとを捌くことができる。
【0058】
先端送風部230は、送風機231と、送風口232とを主体に構成されている。送風機231は、例えば多翼ファン(シロッコファン)である。送風口232は、送風機231から送風されたエアを、用紙束の上部に向けて吹き付ける。
【0059】
図3は、側端送風部240の構成を模式的に示す図である。側端送風部240は、用紙束の左右側面に対応して、2箇所に配置されている。本実施形態において、側端送風部240は、側端規制部材214の内部に設けられている。一対の側端規制部材214と同様、一対の側端送風部240は、用紙束を隔てた状態で、互いに対向するように配置されている。個々の側端送風部240は、用紙束を中心に左右対称な構成とされている。
【0060】
側端送風部240は、送風機241、ダクト242、吹き付け口243及び用紙押さえ部244を備えている。送風機241は、例えば多翼ファン(シロッコファン)であり、エアを送風する。ダクト242は、送風機241から送風されたエアを吹き付け口243に導く。ダクト242は、エアの流れが上下方向に沿うように構成されている。ダクト242の上部には、吹き付け口243が接続されている。吹き付け口243は、ダクト242内を流れたエアを用紙束の側面に向けて吹き付ける。吹き付け口243から用紙束の側面に吹き付けられるエアは、最上位の用紙Pを浮上させるためのエアとして機能する。用紙押さえ部244は、浮上する最上位の用紙Pに上方から当接することで、当該用紙Pの浮上高さを規制する。用紙押さえ部244は、吹き付け口243の上方に設けられており、用紙束の中央に向かって延出している。この用紙押さえ部244には、その高さを調整する可動機構245が接続されている。可動機構245の動作は、制御部250により制御される。
【0061】
図4は、側端送風部240の詳細を示す説明図である。側端送風部240において、ダクト242は、上限位置から下限位置までの可動範囲の中で、上下方向に可動する。送風機241が停止しているとき、ダクト242は、図4(a)に示すように、自重により下限位置でとどまっている。一方、送風機241が動作しているときは、ダクト242は、図4(b)に示すように、送風機241から送風されたエアの風圧によって上限位置まで上昇し、その位置にとどまり続ける。送風機241が停止すると、ダクト242は、図4(a)に示すように、自重により下限位置まで下降する。
【0062】
本実施形態の特徴の一つとして、側端送風部240は、ロック機構246を備えている。ロック機構246は、ダクト242の可動を制限し、吹き付け口243の高さを調整する。ロック機構246としては、突当部材を用いる方法、又はソレノイドを用いる方法等が考えられる。突当部材は、ダクト242が下限位置にいるときに、ダクト242の上方へと進出可能に構成されている。突当部材が進出すると、送風機241が動作しても、ダクト242が突当部材に突き当たることで、ダクト242の上昇が規制される。一方、ソレノイドを用いる手法としては、ソレノイドのプランジャをダクト242と連結する。ソレノイドを引くと、送風機241が動作しても、ダクト242がプランジャに連結されているため、ダクト242の上昇が規制される。このように、ロック機構246を動作させることで、送風機241が動作しても、ダクト242は、下限位置に制限される(図4(c))。ロック機構246の動作は、制御部250によって制御される。
【0063】
このように、ダクト242に接続された吹き付け口243は、ダクト242の昇降に応じて、その高さが調整される。ダクト242が上限位置に位置する場合、すなわち、送風機241が動作して、エアの圧力を受けている場合、吹き付け口243は、予め設定された通常の吹き付け位置となる(図4(b))。通常の吹き付け位置においては、吹き付け口243の下側領域のみが用紙束の側面と対向し、吹き付け口243の上側領域が最上位の用紙Pよりも上方へと突出した状態となる。一方、ダクト242が下限位置に位置する場合、すなわち、送風機241が停止している場合、若しくは、送風機241が動作していても、ロック機構246を動作させた場合、吹き付け口243は、通常の吹き付け位置よりも低い位置に設定される。この位置においては、吹き付け口243のほぼ全域が用紙束の側面と対向した状態となる。
【0064】
吹き付け口243の高さを調整することで、用紙束の側面と対向する吹き付け口243の領域を調整することができる。用紙束の側面と対向する吹き付け口243の領域が狭い場合には、吹き付け口243から出力されるエアのうち、用紙束の側面に吹き付けられるエアの割合は減少する。一方、用紙束の側面と対向する吹き付け口243の領域が広い場合には、吹き付け口243から吹き付けられるエアのうち、用紙束の側面に吹き付けられるエアの割合は増加する。すなわち、吹き付け口243の高さを調整することで、用紙束の側面に吹き付けられるエアの割合を調整することができる。
【0065】
制御部250は、大容量給紙装置200の動作を制御する。制御部250としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。CPUは、各種プログラムを実行することにより、大容量給紙装置200の動作を制御する(プロセッサー)。ROMは、CPUが実行する各種プログラムを、当該CPUが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納する。また、ROMは、プログラムの実行に必要となるデータを記憶する。RAMは、作業用の記憶領域となるメモリである。ROMに格納されたプログラム及びデータは、CPUにより読み出されると、RAM上に展開される。そして、CPUは、RAM上に展開したプログラム及びデータに基づいて、各種の処理を行う。
【0066】
本実施形態との関係において、制御部250は、用紙束から用紙P(最上位の用紙P)を給紙する給紙動作を実行する。具体的には、制御部250は、吸引部226を制御して、用紙載置台211に載置された用紙束から用紙P(最上位の用紙P)を吸引する(吸引制御)。この際、制御部250は、側端送風部240を制御して、用紙Pを浮上させるためのエアを吹き付ける(吹き付け制御)。つぎに、制御部250は、吸着センサーを通じて用紙Pの吸着を判定すると、吹き付け制御を終了する。そして、制御部250は、先端送風部230を制御し、用紙Pの先端側から送風を行うことで最上位の用紙Pと2枚目以降の用紙Pとを捌く(捌き制御)。同様に、制御部250は、搬送部221を制御して、用紙Pを前方の搬送経路へと給紙する(搬送制御)。用紙Pが搬送経路へと給紙されると、制御部250は、捌き制御及び搬送制御を終了する。この一連の給紙動作は、用紙Pが給紙される度に、新たな最上位の用紙Pに対して繰り返される。
【0067】
本実施形態の特徴の一つである吹き付け制御の概略について説明する。以下の説明では、用紙束の右側面に対向する先端送風部230を右側の先端送風部230といい、その左側面に対向する先端送風部230を左側の先端送風部230という(先端送風部230を構成する要素についても同様に表現する)。
【0068】
制御部250は、吹き付け制御を行うために、複数の動作モードを備えている。制御部250は、基本的に、通常動作モードで吹き付け制御を行う。
【0069】
図5は、通常動作モードの説明図である。通常動作モードは、左側及び右側の側端送風部240をそれぞれ同一の条件で動作させるものである。具体的には、通常動作モードでは、左側の吹き付け口243の高さと、右側の吹き付け口243の高さとが、通常の吹き付け位置で揃った状態となる。また、左側の用紙押さえ部244の高さと、右側の用紙押さえ部244の高さが揃った状態となる。さらに、左側の吹き付け口243から吹き付けられるエアの風量と、右側の吹き付け口243から吹き付けられるエアの風量とが揃った状態となる。
【0070】
一方、制御部250は、所定の切替条件を判断すると、通常動作モードから、用紙Pの片側を積極的に浮上させる浮上優先モードに切り替える。浮上優先モードは、後述する第1動作モード、第2動作モード及び第3動作モードのうち、いずれか1つの動作モード、或いは、2つ以上の動作モードを組み合わせて実現される。なお、以下の説明では、用紙Pの右側端を浮上させる形態を例に挙げて説明を行う。
【0071】
図6は、第1動作モードの説明図である。第1動作モードは、右側の吹き付け口243の高さと、左側の吹き付け口243の高さとが異なるモードである。具体的には、左側の吹き付け口243の高さが通常の吹き付け位置に、右側の吹き付け口243の高さが、通常の吹き付け位置よりも低い位置に設定される。すなわち、右側の吹き付け口243の高さが、左側の吹き付け口243の高さよりも低い状態となる。
【0072】
低い位置にある吹き付け口243においては、通常の吹き付け位置にある吹き付け口243よりも、用紙束の側面に吹き付けるエアの割合が増加する。このため、用紙束の右側面においては、用紙P同士の間に入り込むエアの量が増えるので、用紙Pの右側端が大きく浮上する。
【0073】
用紙Pの右側端が大きく浮上すると、用紙Pの浮上した領域が給紙部220に近づくため、給紙部220の吸引によるアシストを受けることができる。このため、用紙Pの全体が浮上していない場合であっても、用紙Pの右側端から給紙部220に吸着させることができる。したがって、通常動作モードで両側から均等にエアを吹き付けた場合に浮上に時間を要する用紙Pであっても、浮上優先モード(第1動作モード)を適用して、用紙Pの片側のみを積極的に浮上させることで、浮上に要する時間を低減することができる。その結果、安定した給紙性を確保することができる。
【0074】
図7は、第2動作モードの説明図である。第2動作モードは、右側の用紙押さえ部244の高さと左側の用紙押さえ部244の高さとが異なるモードである。具体的には、左側の用紙押さえ部244の高さが、右側の用紙押さえ部244の高さよりも低く設定される。
【0075】
この場合、用紙Pの左側端では、用紙押さえ部244により用紙Pの浮上が規制される。一方で、用紙Pの右側端では、用紙押さえ部244に対して十分な距離があるので、用紙Pの浮上が許容される。この状態でエアの吹き付けが行われると、左側の用紙押さえ部244が支点となり、用紙Pの右側端が大きく浮上することとなる。
【0076】
用紙Pの右側端が大きく浮上すると、用紙Pの浮上した領域が給紙部220に近づくため、給紙部220の吸引によるアシストを受けることができる。このため、用紙Pの全体が浮上していない場合であっても、用紙Pの右側端から給紙部220に吸着させることができる。したがって、通常動作モードで両側から均等にエアを吹き付けた場合に浮上に時間を要する用紙Pであっても、浮上優先モード(第2動作モード)を適用して、用紙Pの片側のみを積極的に浮上させることで、浮上に要する時間を低減することができる。その結果、安定した給紙性を確保することができる。
【0077】
図8は、第3動作モードの説明図である。第3動作モードは、右側の吹き付け口243から吹き付けられるエアの風量と、左側の吹き付け口243から吹き付けられるエアの風量とが異なるモードである。具体的には、右側の吹き付け口243から吹き付けられるエアの風量を増加させる。この場合、右側にある吹き付け口243から用紙束の側面に吹き付けられるエアの割合が増加する。このため、用紙Pの右側端においては、用紙束の用紙間に入り込むエアの量が増えるので、浮上量が増加することとなる。
【0078】
用紙Pの右側端が大きく浮上すると、用紙Pの浮上した領域が給紙部220に近づくため、給紙部220の吸引によるアシストを受けることができる。このため、用紙Pの全体が浮上していない場合であっても、用紙Pの右側端から給紙部220に吸着させることができる。したがって、通常動作モードで両側から均等にエアを吹き付けた場合に浮上に時間を要する用紙Pであっても、浮上優先モード(第3動作モード)を適用して、用紙Pの片側のみを積極的に浮上させることで、浮上に要する時間を低減することができる。その結果、安定した給紙性を確保することができる。
【0079】
なお、第1動作モードと第3動作モードとを組み合わせる場合には、エアの風量が多い方の吹き付け口243の高さを、エアの風量が少ない方の吹き付け口243の高さよりも低くすることが好ましい。同様に、第2動作モードと第3動作モードとを組み合わせる場合には、エアの風量が少ない方の用紙押さえ部244の高さを、エアの風量が多い方の用紙押さえ部244よりも低くすることが好ましい。
【0080】
通常動作モードと浮上優先モードとの切替は、用紙Pの情報及び用紙Pの浮上状態の一方又は両方に基づいて行われる。用紙Pの情報は、坪量及び用紙長である。坪量が大きい用紙P、又は、用紙長が大きい用紙Pにあっては、通常動作モードでエアを吹き付けても、浮上に時間を要することがある。そのため、制御部250は、用紙Pの情報にしたがって、動作モードの切替を判断することができる。これにより、浮上に要する時間を低減することができるので、安定した給紙性を確保することができる。また、制御部250は、実際の用紙Pの浮上状態を監視することで、浮上に時間を要する用紙Pに応じて、動作モードの切替を判断することができる。これにより、浮上に要する時間を低減することができるので、安定した給紙性を確保することができる。
【0081】
以下、本実施形態に係る画像形成システムの動作、具体的には、大容量給紙装置200における用紙Pの給紙処理について説明する。ここで、図9は、給紙処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、給紙ジョブをトリガーとして、制御部250により実行される。
【0082】
まず、ステップS10において、制御部250は、動作モードの初期設定を行う。初期設定において、制御部250は、給紙対象の用紙Pの情報を読み込む。そして、制御部250は、動作モードと、用紙Pの情報(坪量及び用紙長)との関係を規定したテーブル(図10参照)に基づいて、動作モードを決定する。
【0083】
ステップS11において、制御部250は、用紙束の最上位の用紙Pについて給紙動作を行う。具体的には、制御部250は、吸引制御、吹き付け制御、捌き制御及び搬送制御を行う。この場合、吹き付け制御は、ステップS10で決定された動作モードで行われる。
【0084】
ステップS12において、制御部250は、給紙動作を開始してから、すなわち、用紙Pが浮上してから吸着センサーにより用紙Pが検出されるまでの時間、すなわち、浮上時間Tを算出する。
【0085】
ステップS13において、制御部250は、浮上時間Tが、第1閾値T1以上であるか否かを判断する。第1閾値T1は、正常な浮上時間よりも遅い浮上状態を判断するための閾値であり、実験やシミュレーションを通じて最適値が設定されている。浮上時間Tが第1閾値T1以上である場合には、ステップS13において肯定判定され、ステップS14に進む。一方、浮上時間Tが第1閾値T1よりも小さい場合には、ステップS13において否定判定され、ステップS15に進む。
【0086】
ステップS14において、制御部250は、動作モードを浮上優先モードに切り替える。なお、このステップS14に先立ち、動作モードが浮上優先モードに既に切り替えられてる場合には、浮上優先モードを継続する。この場合、浮上優先モードのうち、未実施の動作モードがある場合には、その動作モードを追加してもよい。例えば、第1動作モードのみを実施している場合には、第2動作モード及び第3動作モードの一方又は双方を追加するといった如くである。
【0087】
ステップS15において、制御部250は、浮上時間Tが、第2閾値T2よりも小さいか否かを判断する。第2閾値T2は、正常な浮上時間よりも早い浮上状態を判断するための閾値であり、実験やシミュレーションを通じて最適値が設定されている。浮上時間Tが第2閾値T2よりも小さい場合には、ステップS15において肯定判定され、ステップS16に進む。一方、浮上時間Tが第2閾値T2以上の場合には、ステップS15において否定判定され、ステップS17に進む。
【0088】
ステップS16において、制御部250は、動作モードを通常動作モードに切り替える。なお、現在の浮上優先モードが、複数の動作モードで実施している場合には、通常動作モードに直ぐに切り替えるのではなく、動作モードを減少させて浮上優先モードを継続してもよい。例えば、第1動作モード、第2動作モード及び第3動作モードを組み合わせて浮上優先モードを実施している場合には、この中の動作モードの1つ又は2つを停止するといった如くである。
【0089】
ステップS17において、制御部250は、給紙ジョブが終了したか否かを判断する。給紙ジョブが終了した場合には、ステップS17において肯定判定され、本ルーチンを終了する。一方、給紙ジョブが終了していない場合には、ステップS17において否定判定され、ステップS11に戻る。
【0090】
このように本実施形態において、大容量給紙装置200は、一方の吹き付け口243の高さと他方の吹き付け口243の高さとが異なる第1動作モード、用紙押さえ部244の高さが用紙束の一方の側面側と当該用紙束の他方の側面側とで異なる第2動作モード、及び、一方の吹き付け口243から吹き付けられるエアの風量と他方の吹き付け口243から吹き付けられるエアの風量とが異なる第3動作モードのいずれか1つ又は2つ以上を組み合わせて、用紙Pを浮上させるためのエアを吹き付ける吹き付け制御を行っている。
【0091】
この構成によれば、用紙Pの片側を大きく浮上させることができる。このため、用紙Pの浮上した領域が給紙部220に近づくため、給紙部220の吸引によるアシストを受けることができる。このため、用紙Pの全体が浮上していない場合であっても、用紙Pの右側端から給紙部220に吸着させることができる。したがって、通常動作モードで両側から均等にエアを吹き付けた場合に浮上に時間を要する用紙Pであっても、浮上優先モードを適用して、用紙Pの片側のみを積極的に浮上させることで、浮上に要する時間を低減することができる。その結果、安定した給紙性を確保することができる。
【0092】
なお、本実施形態では、用紙押さえ部244を、用紙束の両側面にそれぞれ配置している。しかしながら、図11に示すように、用紙束の一方の側面から他方の側面に跨がるように配置した単一の用紙押さえ部244を用いてもよい。
【0093】
また、本実施形態では、吹き付け口243の高さ調整と、用紙押さえ部244の高さ調整とを切り分けて行うため、用紙押さえ部244を可動する可動機構245を備える構成とした。しかしながら、用紙押さえ部244は、吹き付け口243から出力されるエアによって回動するように、当該吹き付け口243の上部に設け、ダクト242の昇降に応じて、その高さ調整するものであってもよい。
【0094】
また、本実施形態では、送風機241のエアの風圧によってダクト242が可動する構成、及び、この可動をロック機構246で規制する構成により、吹き付け口243の高さを調整した。しかしながら、側端送風部240の全部又は一部を、電動式の昇降機構で可動するものであってもよい。また、本実施形態では、吹き付け口243の高さを、通常の吹き付け位置と、最も低い位置との2段階で調整している。しかしながら、吹き付け口243の高さを、通常の吹き付け位置と最も低い位置との間で多段的に又はリニアに調整するものであってもよい。
【0095】
以上、本発明の実施形態にかかる画像形成システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。また、画像形成システムのみならず、画像形成システムを構成する給紙装置(大容量給紙装置)それ自体も本発明の一部として機能する。さらに、画像形成装置に内蔵される給紙ユニットに対して本発明を適用してもよく、この場合、当該画像形成装置も本発明の一部として機能することができる。
【0096】
また、画像形成システムが画像形成装置と給紙装置とで構成される場合、画像形成装置及び給紙装置がそれぞれ制御機能を備える構成であってもよいし、それぞれの制御機能を統括した一つの制御機能を備える構成であってもよい。個別の制御機能であっても、単一の制御機能であっても、画像形成装置及び給紙装置を制御する制御部として機能する。
【符号の説明】
【0097】
100 画像形成装置
10Y,10M,10C,10K 画像形成部
11Y,11M,11C,11K 感光体ドラム
15 中間転写ベルト
16 2次転写ローラー
20 用紙搬送部
21 用紙トレイ
22 給紙ローラー
23 排紙ローラー
24 切替ゲート
40 定着装置
50 制御部
60 操作パネル
200 大容量給紙装置
210 給紙ユニット
211 用紙載置台
212 先端規制部材
213 後端規制部材
214 側端規制部材
215 ガイドレール
220 給紙部
221 搬送部
221a 吸着ベルト
221b 駆動ローラー
221c 従動ローラー
226 吸引部
230 先端送風部
231 送風機
232 送風口
240 側端送風部
241 送風機
242 ダクト
243 吹き付け口
244 用紙押さえ部
245 可動機構
246 ロック機構
250 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11