(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】センサユニット及び機能作動方法
(51)【国際特許分類】
G08C 15/06 20060101AFI20220906BHJP
G08C 23/04 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G08C15/06 H
G08C23/04 Z
(21)【出願番号】P 2019014628
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】建畠 一輝
(72)【発明者】
【氏名】柴▲崎▼ 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】権藤 清彦
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-222786(JP,A)
【文献】特開2003-227880(JP,A)
【文献】特開2003-337988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/06-23/04
G01D 21/00-21/02
G01D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台が接続されてユニット列を形成可能なセンサユニットであって、
外部からの信号に基づいて所定の機能を作動させる作動部と、
前記外部からの信号に基づいて、前記所定の機能を作動させるためのトリガ信号
を含む光信号を外部に出力する
光通信部と、
対象物に向けて光を投光するタイミングを制御するタイミング制御部と、
を備
え、
前記作動部は、前記ユニット列における子機であるときに、前記光通信部を用いて前記ユニット列における他方のセンサユニットから受信した前記光信号に含まれる前記トリガ信号に基づいて、前記所定の機能を作動させ、
前記トリガ信号は、第1の幅を有するパルス波で表され、
前記作動部は、前記ユニット列における子機であるときに、前記光通信部を用いて前記ユニット列における他方のセンサユニットから受信した前記光信号に含まれる前記パルス波の幅に基づいて、前記所定の機能を作動させ、
前記光信号は、前記タイミング制御部が発光タイミングを制御するために使用する同期信号をさらに含み、
前記同期信号は、第2の幅と周期とを有するパルス波で表され、
前記第2の幅は、前記第1の幅より小さい、
センサユニット。
【請求項2】
前記光通信部を用いて前記トリガ信号を含む光信号を前記ユニット列における一方のセンサユニットに送信する、
請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記作動部は、前記ユニット列における子機であるときに、前記光通信部を用いて前記ユニット列における他方のセンサユニットから受信した前記光信号に含まれる前記パルス波の幅と所定期間にわたる該光信号に含まれる該パルス波の数とに基づいて、前記所定の機能を作動させる、
請求項
1又は
2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記所定の機能は、複数の機能を含み、
前記作動部は、前記ユニット列における子機であるときに、前記光通信部を用いて前記ユニット列における他方のセンサユニットから受信した前記光信号に含まれる前記パルス波の幅に基づいて、前記複数の機能のうちの一つを作動させる、
請求項
1又は
2に記載のセンサユニット。
【請求項5】
外部入力信号を受信する外部入力部をさらに備え、
前記作動部は、前記ユニット列における親機であるときに、前記外部入力信号に基づいて前記所定の機能を作動させる、
請求項1から
4のいずれか一項に記載のセンサユニット。
【請求項6】
対象物に向けて光を発する投光部と、
光を受けて受光量を検出可能に構成された受光部と、をさらに備える、
請求項1から
5のいずれか一項に記載のセンサユニット。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか一項に記載のセンサユニットを複数備える、
センサシステム。
【請求項8】
複数台が接続されてユニット列を形成可能なセンサユニットの機能作動方法であって、
外部からの信号に基づいて所定の機能を作動させる作動ステップと、
前記外部からの信号に基づいて、前記所定の機能を作動させるためのトリガ信号
を含む光信号を外部に出力する
光通信ステップと、
対象物に向けて光を投光するタイミングを制御するタイミング制御ステップと、
を含
み、
前記作動ステップは、前記ユニット列における子機であるときに、前記ユニット列における他方のセンサユニットから受信した前記光信号に含まれる前記トリガ信号に基づいて、前記所定の機能を作動させることを含み、
前記トリガ信号は、第1の幅を有するパルス波で表され、
前記作動ステップは、前記ユニット列における子機であるときに、前記ユニット列における他方のセンサユニットから受信した前記光信号に含まれる前記パルス波の幅に基づいて、前記所定の機能を作動させることを含み、
前記光信号は、前記タイミング制御ステップによって発光タイミングを制御するために使用する同期信号をさらに含み、
前記同期信号は、第2の幅と周期とを有するパルス波で表され、
前記第2の幅は、前記第1の幅より小さい、
機能作動方法。
【請求項9】
前記
光通信ステップは、前記トリガ信号を含む光信号を前記ユニット列における一方のセンサユニットに送信することを含む、
請求項
8に記載の機能作動方法。
【請求項10】
前記作動ステップは、前記ユニット列における子機であるときに、前記ユニット列における他方のセンサユニットから受信した前記光信号に含まれる前記パルス波の幅と所定期間にわたる該光信号に含まれる該パルス波の数とに基づいて、前記所定の機能を作動させることを含む、
請求項
8又は
9に記載の機能作動方法。
【請求項11】
前記所定の機能は、複数の機能を含み、
前記作動ステップは、前記ユニット列における子機であるときに、前記ユニット列における他方のセンサユニットから受信した前記光信号に含まれる前記パルス波の幅に基づいて、前記複数の機能のうちの一つを作動させることを含む、
請求項
8又は
9に記載の機能作動方法。
【請求項12】
前記作動ステップは、前記ユニット列における親機であるときに、外部入力信号に基づいて前記所定の機能を作動させることを含む、
請求項
8から
11のいずれか一項に記載の機能作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサユニット及び機能作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサシステムとして、コネクタ手段を介して信号伝達可能に結合された複数のセンサユニットを有するセンサシステムであって、各センサユニットは、各々の識別情報を保持するとともに、互いに信号伝達することにより各々に固有の識別番号を設定し、各センサユニットは、複数のセンサユニットのうちの特定の種別番号を有するセンサユニットから所定の周期で発信される同期信号を起点として、各々の識別番号に応じて定められる遅延時間が経過してから動作し、各センサユニットの遅延時間は、動作周期が種別情報毎に定められた所定の周期と一致し、かつ同一の種別情報を有する他のセンサユニットの遅延時間とは異なるよう に定められるものが知られている(特許文献1参照)。このセンサシステムでは、種別毎に任意に定められる動作周期を実現し、かつ同一種別間での相互干渉を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、複数の光電センサユニットを有するセンサシステムでは、複数の光電センサユニットに対し、一括して受光感度を感度調整したり、しきい値を変更したりしたいニーズがある。この場合、従来のセンサシステムは、各センサユニットが通信機能を有し、センサシステムが、各センサユニットに対して感度調整やしきい値設定のコマンドを送信可能な通信ユニットを備える構成が採用されていた。
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すセンサシステムのように、通信ユニットを含まない場合、複数のセンサユニットに対してある機能を一括して作動させる方法がなかった。このため、全てのセンサユニットのそれぞれについて、当該機能を作動させるための作業を行うが必要であり、その作業量が負担になっていた。
【0006】
そこで、本発明は、複数のセンサユニットに対して一括して機能を作動させることのできるセンサユニット及び機能作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るセンサユニットは、複数台が接続されてユニット列を形成可能なセンサユニットであって、外部からの信号に基づいて所定の機能を作動させる作動部と、外部からの信号に基づいて、所定の機能を作動させるためのトリガ信号を外部に出力する信号出力部と、を備える。
【0008】
この態様によれば、外部からの信号に基づいて所定の機能、例えば感度調整機能を作動させ、当該外部からの信号に基づいて、所定の機能を作動させるためのトリガ信号を外部に出力する。これにより、ユニット列における隣のセンサユニット、例えば右隣のセンサユニットにトリガ信号を伝達することが可能となる。従って、各センサユニットが次々にトリガ信号を伝達することで、複数のセンサユニットに対して所定の機能、例えば感度調整機能を一括して作動させることができ、各センサユニットに当該所定の機能、例えば感度調整機能を作動させるためにかかる作業量を削減することができる。
【0009】
前述した態様において、光信号を送信及び受信可能な光通信部をさらに備え、信号出力部は、光通信部を用いてトリガ信号を含む光信号をユニット列における一方のセンサユニットに送信してもよい。
【0010】
この態様によれば、トリガ信号を含む光信号がユニット列における一方、例えば右隣のセンサユニットに送信される。これにより、例えば同期信号等の他の用途に使用される光信号を、トリガ信号の送信に利用することができる。
【0011】
前述した態様において、作動部は、ユニット列における子機であるときに、光通信部を用いてユニット列における他方のセンサユニットから受信した光信号に含まれるトリガ信号に基づいて、所定の機能を作動させてもよい。
【0012】
この態様によれば、ユニット列における子機であるときに、ユニット列における他方、例えば左隣のセンサユニットから光信号を受信し、受信した光信号に含まれるトリガ信号に基づいて、所定の機能を作動させる。これにより、同期信号等の他の用途に使用される光信号を利用することができ、ユニット列において子機である場合に、所定の機能を容易に作動させることができる。
【0013】
前述した態様において、トリガ信号はパルス波で表され、作動部は、ユニット列における子機であるときに、光通信部を用いてユニット列における他方のセンサユニットから受信した光信号に含まれるパルス波の幅に基づいて、所定の機能を作動させてもよい。
【0014】
この態様によれば、光信号に含まれるパルス波のパルス幅に基づいて、所定の機能を作動させる。これにより、トリガ信号と、光信号に含まれるトリガ信号以外の信号とを識別することができ、光信号において、トリガ信号と同期信号等の他の信号とを容易に兼用することができる。
【0015】
前述した態様において、トリガ信号はパルス波で表され、作動部は、ユニット列における子機であるときに、光通信部を用いてユニット列における他方のセンサユニットから受信した光信号に含まれるパルス波の幅と所定期間にわたる該光信号に含まれる該パルス波の数とに基づいて、所定の機能を作動させてもよい。
【0016】
この態様によれば、光信号に含まれるパルス波のパルス幅と所定期間にわたる当該光信号に含まれるパルス波の数とに基づいて、所定の機能を作動させる。これにより、トリガ信号と、光信号に含まれるトリガ信号以外の信号とを容易に識別することができ、光信号において、トリガ信号と同期信号等の他の信号とをさらに容易に兼用することができる。
【0017】
前述した態様において、トリガ信号はパルス波で表され、所定の機能は、複数の機能を含み、作動部は、ユニット列における子機であるときに、光通信部を用いてユニット列における他方のセンサユニットから受信した光信号に含まれるパルス波の幅に基づいて、複数の機能のうちの一つを作動させてもよい。
【0018】
この態様によれば、所定の機能が複数の機能を含み、光信号に含まれるパルス波のパルス幅に基づいて、複数の機能のうちの一つを作動させる。これにより、所定の機能に含まれる複数の機能を、容易に選択して起動させることができる。
【0019】
前述した態様において、外部入力信号を受信する外部入力部をさらに備え、作動部は、ユニット列における親機であるときに、外部入力信号に基づいて所定の機能を作動させてもよい。
【0020】
この態様によれば、ユニット列における親機であるときに、外部入力信号に基づいて、所定の機能を作動させる。これにより、子機である場合と異なる外部入力信号を利用することで、ユニット列において親機である場合に、所定の機能を容易に作動させることができる。
【0021】
前述した態様において、対象物に向けて光を発する投光部と、光を受けて受光量を検出可能に構成された受光部と、をさらに備えてもよい。
【0022】
この態様によれば、対象物に向けて光を発する投光部と、光を受けて受光量を検出可能に構成された受光部と、をさらに備える。これにより、複数の光電センサユニットに対して所定の機能を一括して作動させる光電センサユニットを容易に実現することができる。
【0023】
また、本発明の他の態様に係るセンサシステムは、前述したセンサユニットを複数備える。
【0024】
この態様によれば、前述したセンサユニットが複数備わる。これにより、各センサユニットが所定の機能を一括して作動させ、各センサユニットに当該所定の機能を作動させるためにかかる作業量を削減することができる。
【0025】
また、本発明の他の態様に係る機能作動方法は、複数台が接続されてユニット列を形成可能なセンサユニットの機能作動方法であって、外部からの信号に基づいて所定の機能を作動させる作動ステップと、外部からの信号に基づいて、所定の機能を作動させるためのトリガ信号を外部に出力する信号出力ステップと、を含む。
【0026】
この態様によれば、外部からの信号に基づいて所定の機能、例えば感度調整機能を作動させ、当該外部からの信号に基づいて、所定の機能を作動させるためのトリガ信号を外部に出力する。これにより、ユニット列における隣のセンサユニット、例えば右隣のセンサユニットにトリガ信号を伝達することが可能となる。従って、各センサユニットが次々にトリガ信号を伝達することで、複数のセンサユニットに対して所定の機能、例えば感度調整機能を一括して作動させることができ、各センサユニットに当該所定の機能、例えば感度調整機能を作動させるためにかかる作業量を削減することができる。
【0027】
前述した態様において、信号出力ステップは、トリガ信号を含む光信号をユニット列における一方のセンサユニットに送信することを含んでもよい。
【0028】
この態様によれば、トリガ信号を含む光信号がユニット列における一方、例えば右隣のセンサユニットに送信される。これにより、例えば同期信号等の他の用途に使用される光信号を、トリガ信号の送信に利用することができる。
【0029】
前述した態様において、作動ステップは、ユニット列における子機であるときに、ユニット列における他方のセンサユニットから受信した光信号に含まれるトリガ信号に基づいて、所定の機能を作動させることを含んでもよい。
【0030】
この態様によれば、ユニット列における子機であるときに、ユニット列における他方、例えば左隣のセンサユニットから光信号を受信し、受信した光信号に含まれるトリガ信号に基づいて、所定の機能を作動させる。これにより、同期信号等の他の用途に使用される光信号を利用することができ、ユニット列において子機である場合に、所定の機能を容易に作動させることができる。
【0031】
前述した態様において、トリガ信号はパルス波で表され、作動ステップは、ユニット列における子機であるときに、ユニット列における他方のセンサユニットから受信した光信号に含まれるパルス波の幅に基づいて、所定の機能を作動させることを含んでもよい。
【0032】
この態様によれば、光信号に含まれるパルス波のパルス幅に基づいて、所定の機能を作動させる。これにより、トリガ信号と、光信号に含まれるトリガ信号以外の信号とを識別することができ、光信号において、トリガ信号と同期信号等の他の信号とを容易に兼用することができる。
【0033】
前述した態様において、トリガ信号はパルス波で表され、作動ステップは、ユニット列における子機であるときに、ユニット列における他方のセンサユニットから受信した光信号に含まれるパルス波の幅と所定期間にわたる該光信号に含まれる該パルス波の数とに基づいて、所定の機能を作動させることを含んでもよい。
【0034】
この態様によれば、光信号に含まれるパルス波のパルス幅と所定期間にわたる当該光信号に含まれるパルス波の数とに基づいて、所定の機能を作動させる。これにより、トリガ信号と、光信号に含まれるトリガ信号以外の信号とを容易に識別することができ、光信号において、トリガ信号と同期信号等の他の信号とをさらに容易に兼用することができる。
【0035】
前述した態様において、トリガ信号はパルス波で表され、所定の機能は、複数の機能を含み、作動ステップは、ユニット列における子機であるときに、ユニット列における他方のセンサユニットから受信した光信号に含まれるパルス波の幅に基づいて、複数の機能のうちの一つを作動させることを含んでもよい。
【0036】
この態様によれば、所定の機能が複数の機能を含み、光信号に含まれるパルス波のパルス幅に基づいて、複数の機能のうちの一つを作動させる。これにより、所定の機能に含まれる複数の機能を、容易に選択して起動させることができる。
【0037】
前述した態様において、作動ステップは、ユニット列における親機であるときに、外部入力信号に基づいて所定の機能を作動させることを含んでもよい。
【0038】
この態様によれば、ユニット列における親機であるときに、外部入力信号に基づいて、所定の機能を作動させる。これにより、子機である場合と異なる外部入力信号を利用することで、ユニット列において親機である場合に、所定の機能を容易に作動させることができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、複数のセンサユニットに対して一括して機能を作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るセンサシステムの概略構成を例示する構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したセンサユニットの外観を例示する斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示したセンサユニットの内部の概略構成を例示するブロック図である。
【
図4】
図4は、センサユニットがチャネル番号を認識する概略動作を例示するフローチャートである。
【
図5】
図5は、親機のセンサユニットが送信するバイナリデータを例示する図である。
【
図6】
図6は、子機のセンサユニットが送信するバイナリデータを例示する図である。
【
図7】
図7は、
図3に示した光通信部が送信及び受信をする光信号を例示する波形図である。
【
図8】
図8は、
図3に示した光通信部の光信号に含まれるパルス波とその用途との関係を例示する表である。
【
図9】
図9は、センサユニットのセンサヘッドが設置される搬送機構の概略構成を例示する斜視図である。
【
図10】
図10は、親機であるセンサユニットが所定の機能を作動させる概略動作を例示するフローチャートである。
【
図11】
図11は、子機であるセンサユニットが所定の機能を作動させる概略動作を例示するフローチャートでる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。さらに、本発明の技術的範囲は、当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0042】
まず、
図1及び
図2を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るセンサユニットの外観の一例について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るセンサシステム100の概略構成を例示する構成図である。
図2は、
図1に示したセンサユニット10の外観を例示する斜視図である。
【0043】
図1に示すように、センサシステム100は、複数のセンサユニット10を備える。各センサユニット10は、DINレール99の上に装着され、互いに隣接し又はわずかな隙間を空けて配列されている。これにより、複数のセンサユニット10は、n台(nは2以上の整数)のセンサユニットSU1~SUnから構成されるユニット列ULを形成する。
【0044】
センサユニット10は、例えば光ファイバ式の光電センサユニットである。
図2に示すように、センサユニット10は、略直方体状のハウジング11を含んでいる。ハウジング11の上面には、表示部12と操作部13とが設けられている。表示部12は、例えば7セグメントの表示器等を含んで構成される。操作部13は、例えば複数のボタン、スイッチ等を含んで構成される。ハウジング11の下面には、DINレール99に取り付けるための溝14が形成されている。
【0045】
ハウジング11の後面からは、電気コード15が引き出されている。この電気コード15は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)等の制御機器に接続される。また、ハウジング11の前面からは、往路光ファイバケーブル16と、復路光ファイバケーブル17とが引き出されている。往路光ファイバケーブル16の先端はセンサヘッド21に接続されており、復路光ファイバケーブル17の先端はセンサヘッド22に接続されている。
【0046】
また、ハウジング11の左側面には、光通信用窓18が形成されており、
図2におけるX軸正方向側の面であるハウジング11の右側面には、光通信用窓19が形成されている。
図2において、光通信用窓18及び光通信用窓19は、それぞれ開口しているように描画されているが、実際にはフィルタ部材で覆われている。当該フィルタ部材は、例えば赤外線光を透過する一方、可視光を遮断するフィルタである。
【0047】
図1に示すように、複数のセンサユニット10が一列に配置され、ユニット列ULが形成されると、例えば、センサユニットSU1の光通信用窓19と、センサユニットSU2の光通信用窓18とは、互いに対向する。これにより、後述するように、隣り合ったセンサユニット10の間で、双方向に光信号を介した通信(以下、「光通信」という場合がある)が可能となる。
【0048】
次に、
図3を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るセンサユニットの内部構成の一例について説明する。
図3は、
図2に示したセンサユニット10の内部の概略構成を例示するブロック図である。
【0049】
図3に示すように、センサユニット10は、内部に、投光部30と、受光部40と、光通信部50と、制御部60と、記憶部71と、前述した操作部13と、外部入力部72と、前述した表示部12と、出力部73と、を含んでいる。
【0050】
投光部30は、対象物(図示省略)に向けて光を発するためのものである。投光部30は、例えば、投光素子31と、投光駆動回路32と、を含む。投光素子31は、例えば発光ダイオードである。あるいは、投光素子31は、発光ダイオードレーザダイオード等の発光素子であってもよい。投光駆動回路32は、投光素子31を駆動するためのものである。具体的には、投光駆動回路32は、制御部60から入力される制御信号に基づいて、投光素子31に駆動信号を出力する。投光素子31は、駆動信号によって駆動されて光を発する。
【0051】
受光部40は、複数の画素がそれぞれ光を受け、後述する受光分布信号を得るためのものである。受光部40は、例えば、受光素子41と、信号増幅回路42と、を含む。受光素子41は、例えばフォトダイオードである。あるいは、受光素子41はCMOS(Complementary MOSFET)イメージセンサ、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ等の撮像素子であってもよい。受光素子41が受光して得られる電気信号は、信号増幅回路42によって増幅される。信号増幅回路42は、増幅した電気信号を制御部60に出力する。
【0052】
光通信部50は、
図1に示したように、隣り合ったセンサユニット10の間で、双方向に光通信が可能に構成されている。光通信部50は、自身から見て左隣のセンサユニット10との間で光通信を行うための発光回路51、発光素子52、受光素子53、及び受光回路54と、自身から見て右隣のセンサユニット10との間で光通信を行うための発光回路55、発光素子56、受光素子57、及び受光回路58と、を含む。
【0053】
発光素子52及び受光素子53は、
図2に示した光通信用窓18に対向するように、ハウジング11の内部に配置されている。発光素子52は、例えば赤外線の光を発する発光ダイオードであり、受光素子53は、例えばフォトダイオードである。発光回路51には、制御部60から制御信号が入力される。発光回路51は、当該制御信号に基づいて発光素子52に赤外線光を放出させる。受光素子53は、例えば
図1において左隣に配列されたセンサユニット10からの赤外線を受光する。その受光量を示す電気信号(以下、「受光信号」という)は、受光回路54を介して制御部60に出力される。
【0054】
一方、発光素子56及び受光素子57は、
図2に示した光通信用窓19に対向するように、ハウジング11の内部に配置されている。発光素子56は、例えば赤外線の光を発する発光ダイオードであり、受光素子57は、例えばフォトダイオードである。発光回路55には、制御部60から制御信号が入力される。発光回路55は、当該制御信号に基づいて発光素子56に赤外線光を放出させる。受光素子57は、例えば
図1において右隣に配列されたセンサユニット10からの赤外線を受光する。その受光量を示す受光信号は、受光回路58を介して制御部60に出力される。
【0055】
制御部60は、センサユニット10の各部の動作を制御するように構成されている。また、制御部60は、記憶部71に記憶されたプログラムを実行する等によって、後述する各機能を実現するように構成されている。制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロプロセッサを含んで構成される。
【0056】
制御部60は、タイミング制御部61と、A/D(Analog-to-Digital)変換器62と、を備える。タイミング制御部61は、受光信号に含まれる同期信号に基づいて、投光部30から発する光のタイミングを制御するように構成されている。具体的には、タイミング制御部61は、同期信号を起点として、所定のタイミングで制御信号を投光駆動回路32に出力する。A/D変換器62は、受光部40の信号増幅回路42から入力される電気信号に対し、標本化、量子化、及び符号化を行って、デジタル信号に変換する。制御部60は、このデジタル信号を所定のしきい値と比較することで、対象物の有無を判定するように構成されている。また、制御部60は、判定結果から、例えば対処物有りの場合は「1」、対象物無しの場合は「0」の2値信号を生成して出力部73を介して外部に出力するように構成されている。
【0057】
また、制御部60は、その機能構成として、例えば、判定部63、作動部64と、信号出力部65と、を備える。
【0058】
判定部63は、自身のセンサユニット10がユニット列ULにおける親機(マスタともいう)であるか、もしくは子機(スレーブともいう)であるかを判定するように構成されている。判定部63は、例えば光通信部50を用いてチャネル番号を認識することで、親機であると判定し、あるいは子機である判定する。
【0059】
作動部64は、外部からの信号に基づいて、所定の機能を作動させるように構成されている。外部からの信号は、例えば、光通信部50を用いて受信される光信号、後述する外部入力部72を用いて受信される外部入力信号等である。また、所定の機能は、例えば、対象物を検出するために受光部40の受光信号の感度を調整する感度調整機能、センサユニット10の各種の設定を所定値に設定する設定機能等である。所定の機能は、1つである場合に限定されず、複数であってもよい。所定の機能が複数である場合、ある機能を作動させるための外部からの信号は、別の機能を作動させるための外部からの信号と異なることが好ましい。作動部64は、所定の機能を作動させるために、例えば制御信号を生成して出力してもよい。
【0060】
信号出力部65は、前述した外部からの信号に基づいて、前述した所定の機能を作動させるためのトリガ信号を外部に出力するように構成されている。トリガ信号は、例えば所定の幅(以下、「パルス幅」という)を有するパルス波で表される。パルス波は、その種類を問わず、例えば、正弦波、矩形波、三角波、鋸歯状波等である。また、このパルス波は、所定の周期で送信されることが好ましい。
【0061】
より詳細には、信号出力部65は、光通信部50を用いてトリガ信号を含む光信号をユニット列ULにおける一方、例えば右隣のセンサユニット10に送信するように構成されている。これにより、例えば同期信号等の他の用途に使用される光信号を、トリガ信号の送信に利用することができる。
【0062】
作動部64は、ユニット列ULにおいて親機である場合と子機である場合とによって異なるように構成されている。具体的には、作動部64は、ユニット列ULにおける子機であるときに、光通信部50を用いてユニット列ULにおける他方、例えば左隣のセンサユニット10から光信号を受信し、受信した光信号に含まれるトリガ信号に基づいて、所定の機能を作動させる。これにより、同期信号等の他の用途に使用される光信号を利用することができ、ユニット列ULにおいて子機である場合に、所定の機能を容易に作動させることができる。
【0063】
一方、作動部64は、ユニット列ULにおける親機であるときに、後述の外部入力部72が受信した外部入力信号に基づいて、所定の機能を作動させる。これにより、子機である場合と異なる外部入力信号を利用することで、ユニット列ULにおいて親機である場合に、所定の機能を容易に作動させることができる。
【0064】
記憶部71は、プログラムやデータ等を記憶するように構成されている。具体的には、記憶部71は、制御部60が実行するプログラム、設定された値等のデータを記憶している。記憶部71、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、バッファメモリ等のメモリを含んで構成される。
【0065】
外部入力部72は、センサユニット10の外部から外部入力信号を受信するように構成されている。外部入力信号は、例えば電気信号である。外部入力部72が受信可能な外部入力信号の種類は、1つに限定されず、複数であってもよい。外部入力部72は、受信した外部入力信号を制御部60に出力する。
【0066】
出力部73は、センサユニット10の外部に信号を出力するためのものである。出力部73が出力する信号は、例えば電気信号であり、その種類は1つに限定されず、複数であってもよい。出力部73は、制御部60から入力される制御信号に基づいて、信号を出力する。
【0067】
操作部13は、センサユニット10に情報を入力するためのものである。例えば、利用者が操作部13のボタン、スイッチ等を操作すると、制御部60がその操作に対応するデータを生成する。このようにして、センサユニット10に情報が入力される。
【0068】
表示部12は、センサユニット10の情報を出力するためのものである。表示部12は、例えば、対象物の有無の判定結果を、数字、文字、記号等を用いて表示する。また、表示部12は、センサユニット10に設定されている、あるいは、設定しようとする内容、例えば数値、オン/オフの状態、項目名等を、数字、文字、記号等を用いて表示する。このようにして、センサユニット10の情報が入力される。
【0069】
次に、
図4から
図6を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るセンサユニットがチャネル番号を認識する動作について説明する。
図4は、センサユニット10がチャネル番号を認識する概略動作を例示するフローチャートである。
図5は、親機のセンサユニット10が送信するバイナリデータを例示する図である。
図6は、子機のセンサユニット10が送信するバイナリデータを例示する図である。
【0070】
図4に示すように、最初に、制御部60は、光通信部50の入力ポート及び出力ポートの両方とも汎用入出力割付に設定した上で、出力を所定期間オンにして光を出力する(S201)。これにより、例えば発光素子56からの赤外線が所定期間発光される。
【0071】
次に、判定部63は、光を出力してから所定期間経過した後において、例えば受光素子53を用いて、赤外線を受光しているか否かを判定する(S202)。
【0072】
ステップS202の判定の結果、赤外線を受光していない場合、ユニット列ULにおいて、上流側、例えば左隣にセンサユニット10が存在しないと考えられる。よって、判定部63は、自身がユニット列ULにおける親機であると認識する(S203)。すなわち、判定部63は、チャネル番号が「1」であると認識する。
【0073】
ステップS202の判定の結果、赤外線を受光している場合、ユニット列ULにおいて、上流側、例えば左隣にセンサユニット10が存在すると考えられる。よって、判定部63は、自身がユニット列ULにおける子機であると認識する(S204)。すなわち、判定部63は、チャネル番号が「1」以外であると認識する。
【0074】
さらに所定時間が経過した後、制御部60は、光通信部50の入力ポート及び出力ポートの両方ともUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)割付に切替えた上で、親機である場合に、光通信部50を用い、隣接する、例えば右隣のセンサユニット10に対し、
図5に例示するバイナリデータを送信する(S205)。なお、センサユニット10が子機である場合、制御部60はステップS205を行わない。このバイナリデータは、電源投入タイミングが異なることを考慮して、所定回数以上繰り返し出力される。
【0075】
図5に示すように、データ「0x01」が「自CH番号」として入力されていることにより、親機のチャネル番号がチャネル1であることが表される。データ「0x01」が「センサ種別A台数」として入力されていることにより、種別Aのセンサユニット10が1台認識されていることが表される。すなわち、
図5のバイナリデータを送った親機の種別は「A」である。例えば、親機の種別が「B」である場合、データ「0x00」が「センサ種別A台数」として入力される一方で、データ「0x01」が「センサ種別B台数」として入力される。センサユニット10の種別を表す種別情報は、各センサユニット10が保持している。
【0076】
センサユニット10の種別毎の台数は、センサユニット10の種別毎の順番m(mは正の整数)も表している。たとえば、データ「0x01」が「センサ種別A台数」として入力されていることにより、種別Aのセンサユニット10群の中での順番mが「1」であることが表される。
【0077】
なお前述した「汎用入出力割付に設定する」こととは、「UART割付に設定しない」ことを意味する。
【0078】
図4に戻ると、バイナリデータを受け取ったセンサユニット10、つまり、子機であるセンサユニット10において、制御部60は、光通信部50を用い、隣接する、例えば右隣のセンサユニット10に対し、
図6に例示するバイナリデータを送信する(S206)。なお、センサユニット10が親機である場合、制御部60はステップS206を行わない。
【0079】
受け取ったバイナリデータの「自CH番号」にデータ「0x01」が入力されていたため、このバイナリデータを受け取ったセンサユニット10の制御部60は、自身のチャネル番号が「2」であることを認識する。すなわち、受け取ったバイナリデータデータの「自CH番号」により表されるチャネル番号よりも1つだけ大きい番号が自身のチャネル番号として認識される。
図6に示すバイナリデータデータでは、チャネル番号を1つインクリメントしてチャネル番号が「2」であることを表すべく、データ「0x02」が「自CH番号」として入力されている。よって、受け取ったバイナリデータの「自CH番号」においてデータ「0x05」が入力されていた場合には、送信するバイナリデータの「自CH番号」においてデータ「0x06」が入力される。
【0080】
また、
図6に示す例では、親機からバイナリデータを受け取ったセンサユニット10の種別が「A」であったため、「センサ種別A台数」が1つインクリメントされてデータ「0x02」が入力されている。すなわち、種別Aのセンサユニット10群の中での順番が「2」であることが認識される。
【0081】
図4に戻ると、ステップS206の後、制御部60はチャネル番号認識処理S200を終了する。
【0082】
このようにして、バイナリデータがセンサユニット10によって次々に送られる。各センサユニット10は、受け取ったバイナリデータデータの「自CH番号」により表されるチャネル番号よりも1つだけ大きい番号を、チャネル番号として認識する。
【0083】
次に、
図7及び
図8を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るセンサユニットの光通信の一例について説明する。
図7は、
図3に示した光通信部50が送信及び受信をする光信号OSを例示する波形図である。
図8は、
図3に示した光通信部50の光信号OSに含まれるパルス波とその用途との関係を例示する表である。
【0084】
図7の上段に示すように、所定の機能を作動させない通常の場合、光信号OSは、例えば、第1パルス波PW1、第2パルス波PW2、及び第3パルス波PW3の3種類のパルス波を含んでいる。第1パルス波PW1は、パルス幅Wd1を有し、周期Pe1の波である。第2パルス波PW2は、第1パルス波PW1のパルス幅Wd1より大きいパルス幅Wd2を有し(パルス幅Wd1<パルス幅Wd2)、第1パルス波PW1の周期Pe1より大きい周期Pe2の波である(周期Pe1<周期Pe2)。第3パルス波PW3は、第2パルス波PW2のパルス幅Wd2より大きいパルス幅Wd3を有し(パルス幅Wd2<パルス幅Wd3)、第2パルス波PW2の周期Pe2より大きい周期Pe3の波である(周期Pe2<周期Pe3)。
【0085】
図7の下段に示すように、所定の機能を作動させる場合、光信号OSは、例えば、前述した第1パルス波PW1及び第2パルス波PW2に加え、第4パルス波PW4を含んでいる。第4パルス波PW4は、第3パルス波PW3のパルス幅Wd3より大きいパルス幅Wd4を有し(パルス幅Wd3<パルス幅Wd4)、第3パルス波PW3の周期Pe3と同じ周期の波である。
【0086】
本実施形態では、
図4の下段において、光信号OSが第3パルス波PW3に代えて第4パルス波PW4を含む例を示したがこれに限定されるものではない。所定の機能を作動させるときに、光信号OSは、第3パルス波PW3とともに、第4パルス波PW4を含んでいてもよい。
【0087】
制御部60は、受信した光信号OSに含まれるパルス波のパルス幅に応じて、当該パルス波を異なる用途で使用する。
図5に示すように、パルス幅Wd1以上のパルス波、例えば第1パルス波PW1を受信すると、制御部60は、投光部30及び受光部40による計測タイミングの同期のために使用する。また、パルス幅Wd2以上のパルス波、例えば第2パルス波PW2を受信すると、制御部60は、さらに、投光部30及び受光部40による計測値を出力するタイミング、並びに、センサユニット10の種別「A」及び「B」の相互干渉を防止するタイミングとして使用する。さらに、パルス幅Wd3以上のパルス波、例えば第3パルス波PW3を受信すると、制御部60は、さらに、センサユニット10の種別「C」及び「D」の相互干渉を防止するタイミングとして使用する。
【0088】
これに加えて、作動部64は、光信号OSに含まれるパルス波を、所定の機能を作動させるトリガ信号として使用する。すなわち、作動部64は、ユニット列ULにおける子機であるときに、光通信部50を用いてユニット列ULにおける他方、例えば左隣のセンサユニット10から光信号OSを受信し、当該光信号OSに含まれるパルス波のパルス幅に基づいて、所定の処理を作動させる。具体的には、作動部64は、パルス幅Wd4のパルス波、つまり、第4パルス波PW4を受信すると、対象物検出のための感度を調整する感度調整機能を作動させる。感度調整機能では、制御部60は、例えば対象物の有無を判定する際に用いられるしきい値を変更する。このように、光信号OSに含まれるパルス波のパルス幅に基づいて、所定の機能を作動させることにより、トリガ信号と、光信号OSに含まれるトリガ信号以外の信号とを識別することができ、光信号OSにおいて、トリガ信号と同期信号等の他の信号とを容易に兼用することができる。
【0089】
さらに、作動部64は、ユニット列ULにおける子機であるときに、光通信部50を用いてユニット列ULにおける他方、例えば左隣のセンサユニット10から光信号OSを受信し、当該光信号OSに含まれるパルス波のパルス幅と、パルス波の数とに基づいて、所定の処理を作動させることが好ましい。具体的には、作動部64は、第4パルス波PW4の周期Pe3の3倍の期間に、パルス幅Wd4の第4パルス波PW4を3回受信すると、感度調整機能を作動させる。このように、光信号OSに含まれるパルス波のパルス幅と所定期間にわたる当該光信号OSに含まれるパルス波の数とに基づいて、所定の機能を作動させることにより、トリガ信号と、光信号OSに含まれるトリガ信号以外の信号とを容易に識別することができ、光信号OSにおいて、トリガ信号と同期信号等の他の信号とをさらに容易に兼用することができる。
【0090】
なお、
図7では、作動部64がパルス幅Wd4の第4パルス波PW4を3回受信すると感度調整機能を作動させる例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、作動部64は、パルス幅Wd4の第4パルス波PW4を2回又は4回受信した場合にも、感度調整機能を作動させてもよい。この場合、作動部64は、パルス幅Wd4の第4パルス波PW4を2回から4回受信した後、第4パルス波PW4の周期Pe3の3倍の期間に、パルス幅Wd4の第4パルス波PW4を受信しなかったときに、感度調整機能を作動させる。
【0091】
また、作動部64が作動させる所定の機能は、1つである場合に限定されず、複数であってもよい。この場合、例えば、作動部64は、第5パルス波PW5を受信すると、各種の設定を第1設定値に切り替える第1設定機能を作動させる。第5パルス波PW5は、第4パルス波PW4のパルス幅Wd4より大きいパルス幅Wd5を有し(パルス幅Wd4<パルス幅Wd5)、第3パルス波PW3の周期Pe3と同じ周期の波である。あるいは、作動部64は、第6パルス波PW6を受信すると、各種の設定を第2設定値に切り替える第1設定機能を作動させる。第6パルス波PW6は、第5パルス波PW5のパルス幅Wd5より大きいパルス幅Wd6を有し(パルス幅Wd5<パルス幅Wd6)、第3パルス波PW3の周期Pe3と同じ周期の波である。このように、所定の機能が複数の機能を含み、光信号OSに含まれるパルス波のパルス幅に基づいて、複数の機能のうちの一つを作動させることにより、所定の機能に含まれる複数の機能を、容易に選択して起動させることができる。
【0092】
次に、
図9を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るセンサユニットが所定の機能を作動させる場合の適用例について説明する。
図9は、センサユニット10のセンサヘッド21,22が設置される搬送機構CMの概略構成を例示する斜視図である。
【0093】
図9に示すように、搬送機構CMは、ローラーが回転することで基板SUBを、例えば
図9の左から右方向に搬送するように構成されている。
図1に示したユニット列ULを構成する各センサユニット10は、センサヘッド21が
図9における手前側のレールの上に設置されており、センサヘッド22が
図9における奥側のレールの上に設置されている。センサヘッド21から出射された光が、基板SUBによって遮られてセンサヘッド22に入射しないことで、センサユニット10は対象物である基板SUBが通過していることを検出する。
【0094】
搬送機構CMは、複数種類の基板SUBを搬送可能なように構成されている。より詳細には、搬送機構CMは、寸法の異なる基板SUBが送られてきたときに、手前側のレールが
図9に示す矢印方向に移動し、手前側のレールと奥側のレールとの間の距離が変更可能になっている。
【0095】
レール間の距離が変更されると、センサヘッド21とセンサヘッド22との距離も変わるため、各センサユニット10を搬送機構CMのレール間の距離の応じた感度に調整する必要が生じる。
【0096】
このような場合に、本実施形態のセンサユニット10は、外部からの信号に基づいて所定の機能、例えば感度調整機能を作動させ、当該外部からの信号に基づいて、所定の機能を作動させるためのトリガ信号を外部に出力する。これにより、ユニット列ULにおける隣のセンサユニット10、例えば右隣のセンサユニット10にトリガ信号を伝達することが可能となる。従って、各センサユニット10が次々にトリガ信号を伝達することで、複数のセンサユニット10に対して所定の機能、例えば感度調整機能を一括して作動させることができ、各センサユニット10に当該所定の機能、例えば感度調整機能を作動させるためにかかる作業量を削減することができる。
【0097】
次に、
図10及び
図11を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るセンサユニットが所定の機能を作動させるときの動作について説明する。
図10は、親機であるセンサユニット10が所定の機能を作動させる概略動作を例示するフローチャートである。
図11は、子機であるセンサユニット10が所定の機能を作動させる概略動作を例示するフローチャートでる。
【0098】
センサユニット10は、例えば判定部63によって、自身がユニット列ULにおける親機であると判定されると、制御部60は、
図10に示す親機機能作動処理S220を実行する。
【0099】
最初に、作動部64は、外部入力部72からの信号に基づいて、外部入力信号が受信したか否かを判定し(S221)、外部入力信号を受信するまでステップS221を繰り返す。
【0100】
ステップS221の判定の結果、外部入力信号を受信した場合、作動部64は、当該外部入力信号が第1外部入力信号であるか否かを判定する(S222)。第1外部入力信号であるか否かは、例えば、外部入力信号の周期、外部入力信号の振幅(大きさ)、外部入力信号がパルス波である場合にはそのパルス幅、又はこれらの組合せ等を基準として判定される。
【0101】
ステップS222の判定の結果、受信した外部入力信号が第1外部入力信号である場合、作動部64は、第1外部入力信号に対応する第1機能を作動させる(S223)。
【0102】
一方、ステップS222の判定の結果、受信した外部入力信号が第1外部入力信号でない場合、作動部64は、当該外部入力信号が第2外部入力信号であるか否かを判定する(S224)。第2外部入力信号であるか否かは、例えば、外部入力信号の周期、外部入力信号の振幅(大きさ)、外部入力信号がパルス波である場合にはそのパルス幅、又はこれらの組合せ等を基準として判定される。なお、当該基準は、前述した第1外部入力信号であるか否かの基準とは異なることが好ましい。
【0103】
ステップS224の判定の結果、受信した外部入力信号が第2外部入力信号である場合、作動部64は、第2外部入力信号に対応する第2機能を作動させる(S225)。
【0104】
一方、ステップS224の判定の結果、受信した外部入力信号が第2外部入力信号でない場合、作動部64は、当該外部入力信号が第3外部入力信号であるか否かを判定する(S226)。第3外部入力信号であるか否かは、例えば、外部入力信号の周期、外部入力信号の振幅(大きさ)、外部入力信号がパルス波である場合にはそのパルス幅、又はこれらの組合せ等を基準として判定される。なお、当該基準は、前述した第1外部入力信号であるか否かの基準及び第2外部入力信号であるか否かの基準とは異なることが好ましい。
【0105】
ステップS226の判定の結果、受信した外部入力信号が第3外部入力信号である場合、作動部64は、第3外部入力信号に対応する第3機能を作動させる(S227)。
【0106】
一方、ステップS226の判定の結果、受信した外部入力信号が第3外部入力信号でない場合、受信した外部入力信号は、所定の機能を作動させるための第1外部入力信号、第2外部入力信号、及び第3外部入力信号のいずれかではないと考えられる。よって、制御部60は、何もせずに親機機能作動処理S220を終了する。
【0107】
ステップS223、ステップS225、ステップS227の後、信号出力部65は、ユニット列における一方のセンサユニット10、例えば右側のセンサユニット10に、光通信部50を用いてトリガ信号を含む光信号を送信する(S228)。送信されるトリガ信号は、ステップS223の後である場合はパルス幅Wd4のパルス波であり、ステップS225の後である場合はパルス幅Wd5のパルス波であり、ステップS227の後である場合はパルス幅Wd6のパルス波である。
【0108】
ステップS228の後、制御部60は、親機機能作動処理S220を終了する。
【0109】
また、センサユニット10は、例えば判定部63によって、自身がユニット列ULにおける子機であると判定されると、制御部60は、
図11に示す子機機能作動処理S240を実行する。
【0110】
最初に、作動部64は、光通信部50を用い、光信号OSが受信したか否かを判定し(S241)、光信号OSを受信するまでステップS241を繰り返す。
【0111】
ステップS241の判定の結果、光信号OSを受信した場合、作動部64は、当該光信号OSが第1条件を満たすか否かを判定する(S242)。第1条件は、例えば、パルス幅Wd4を有する第4パルス波PW4を含むことである。
【0112】
ステップS242の判定の結果、受信した光信号が第1条件を満たす場合、作動部64は、第1条件に対応する第1機能を作動させる(S243)。
【0113】
一方、ステップS242の判定の結果、受信した光信号OSが第1条件を満たさない場合、作動部64は、当該光信号OSが第2条件を満たすか否かを判定する(S244)。第2条件は、例えば、パルス幅Wd5を有する第5パルス波PW5を含むことである。
【0114】
ステップS244の判定の結果、受信した光信号OSが第2条件を満たす場合、作動部64は、第2条件に対応する第2機能を作動させる(S245)。
【0115】
一方、ステップS244の判定の結果、受信した光信号OSが第2条件を満たさない場合、作動部64は、当該光信号OSが第3条件を満たすか否かを判定する(S246)。第3条件は、例えば、パルス幅Wd6を有する第6パルス波PW6を含むことである。
【0116】
ステップS246の判定の結果、受信した光信号OSが第3条件を満たす場合、作動部64は、第3条件に対応する第3機能を作動させる(S247)。
【0117】
一方、ステップS246の判定の結果、受信した光信号OSが第3条件を満たさない場合、受信した光信号OSは、所定の機能を作動させるためのトリガ信号を含まないと考えられる。よって、制御部60は、何もせずに子機機能作動処理S240を終了する。
【0118】
ステップS243、ステップS245、ステップS247の後、信号出力部65は、ユニット列ULにおける一方、例えば右隣のセンサユニット10に、光通信部50を用いてトリガ信号を含む光信号OSを送信する(S248)。送信されるトリガ信号は、例えば、ステップS243の後である場合はパルス幅Wd4の第4パルス波PW4であり、ステップS245の後である場合はパルス幅Wd5の第5パルス波PW5であり、ステップS247の後である場合はパルス幅Wd6の第6パルス波PW6である。
【0119】
ステップS248の後、制御部60は、子機機能作動処理S240を終了する。
【0120】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。本発明の一実施形態に係るセンサユニット10及び機能作動方法は、外部からの信号に基づいて所定の機能、例えば感度調整機能を作動させ、当該外部からの信号に基づいて、所定の機能を作動させるためのトリガ信号を外部に出力する。これにより、ユニット列における隣のセンサユニット10、例えば右隣のセンサユニット10にトリガ信号を伝達することが可能となる。従って、各センサユニット10が次々にトリガ信号を伝達することで、複数のセンサユニット10に対して所定の機能、例えば感度調整機能を一括して作動させることができ、各センサユニット10に当該所定の機能、例えば感度調整機能を作動させるためにかかる作業量を削減することができる。
【0121】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0122】
(附記)
1.複数台が接続されてユニット列を形成可能なセンサユニット10であって、
外部からの信号に基づいて所定の機能を作動させる作動部64と、
外部からの信号に基づいて、所定の機能を作動させるためのトリガ信号を外部に出力する信号出力部65と、を備える、
センサユニット10。
10.複数台が接続されてユニット列を形成可能なセンサユニット10の機能作動方法であって、
外部からの信号に基づいて所定の機能を作動させる作動ステップと、
外部からの信号に基づいて、所定の機能を作動させるためのトリガ信号を外部に出力する信号出力ステップと、を含む、
機能作動方法。
【符号の説明】
【0123】
10…投光部、10…センサユニット、11…ハウジング、12…表示部、13…操作部、14…溝、15…電気コード、16…往路光ファイバケーブル、17…復路光ファイバケーブル、18,19…光通信用窓、21,22…センサヘッド、30…投光部、31…投光素子、32…投光駆動回路、40…受光部、41…受光素子、42…信号増幅回路、50…光通信部、51…発光回路、52…発光素子、53…受光素子、54…受光回路、55…発光回路、56…発光素子、57…受光素子、58…受光回路、60…制御部、61…タイミング制御部、62…A/D変換器、63…判定部、64…作動部、65…信号出力部、71…記憶部、72…外部入力部、73…出力部、99…DINレール、100…センサシステム、OS…光信号、Pe1,Pe2,Pe3…周期、PW1…第1パルス波、PW2…第2パルス波、PW3…第3パルス波、PW4…第4パルス波、PW5…第5パルス波、PW6…第6パルス波、S200…チャネル番号認識処理、S220…親機機能作動処理、S240…子機機能作動処理、SUB…基板、UL…ユニット列、Wd1、Wd2,Wd3,Wd4,Wd5,Wd6…パルス幅。