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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20220906BHJP
   H02K 11/33 20160101ALI20220906BHJP
【FI】
F04B39/00 106Z
F04B39/00 106A
H02K11/33
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019061272
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020159320
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大河内 健史
(72)【発明者】
【氏名】木下 雄介
(72)【発明者】
【氏名】矢野 順也
(72)【発明者】
【氏名】山蔭 駿平
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170817(WO,A1)
【文献】特開2014-161209(JP,A)
【文献】特開2010-133366(JP,A)
【文献】特開2013-198333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
H02K 11/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部を駆動する電動モータと、
前記電動モータを駆動するための回路基板を有するモータ制御装置と、
前記モータ制御装置を収容するインバータ収容室を有するハウジングと、
接続端子と前記回路基板に電気的に接続されるコネクタリード線とを有するコネクタと、
前記接続端子に対して挿抜されるとともに前記コネクタと前記電動モータとを電気的に接続するための前記ハウジングに固定された端子ピンと、
前記回路基板に電気的に接続される部品リード線を有する複数の電子部品と、
前記複数の電子部品を保持するとともに前記インバータ収容室内に配置された状態で前記ハウジングに取り付けられるホルダと、を備えた電動圧縮機であって、
前記ホルダ及び前記回路基板は、互いの相対位置の位置決めを行う位置決め部をそれぞれ備え、
前記コネクタは、前記コネクタリード線が前記回路基板に向けて突出した状態で前記ホルダに一体化されており、
前記ホルダには、前記コネクタリード線における前記ホルダからの突出方向と同一方向に延びるとともに前記部品リード線を前記回路基板に向けて案内する案内孔と、前記コネクタを囲繞しつつ前記回路基板の外縁よりも外側にある筒状のホルダ周壁と、が形成され
前記ホルダは、前記回路基板が載置される基板載置面を有し、
前記ホルダ周壁は、前記接続端子に対して前記端子ピンを挿入する方向に、前記基板載置面の外周部から立設されていることを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記位置決め部は、
前記ホルダに設けられる複数の位置決め用突起と、
前記回路基板に複数形成されるとともに前記複数の位置決め用突起がそれぞれ挿入される位置決め用孔と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
記位置決め部は、
前記ホルダ周壁の内周面に沿って延びる前記回路基板の外周縁と、
前記回路基板の外周縁が接触可能な前記ホルダ周壁の内周面と、を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記ホルダは、前記ホルダを前記ハウジングに取り付けるためのネジ部材が挿通される筒状のボス部を複数有し、
前記位置決め部は、
前記各ボス部の外周面それぞれに沿って延びる前記回路基板の延在縁と、
前記各延在縁が接触可能な前記各ボス部の外周面と、を含むことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記複数の電子部品は、フィルタ素子及びスイッチング素子を含むことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、圧縮部を駆動する電動モータと、電動モータを駆動するための回路基板を有するモータ制御装置と、モータ制御装置を収容するインバータ収容室を有するハウジングと、を備えている。また、例えば特許文献1に開示されているように、電動圧縮機は、回路基板に電気的に接続されるコネクタリード線を有するコネクタを備えている。コネクタは、インバータ収容室内に配置された状態で、例えば、ネジ部材等によってベース部材に取り付けられている。コネクタには、ハウジングに固定された端子ピンが挿抜される。端子ピンは、コネクタと電動モータとを電気的に接続している。そして、回路基板からコネクタ及び端子ピンを介して電動モータに電力が供給されることにより、電動モータが駆動する。
【0003】
また、電動圧縮機は、回路基板に電気的に接続される部品リード線を有する複数の電子部品と、複数の電子部品を保持するホルダと、を備えている。複数の電子部品としては、例えば、コイルやコンデンサ等のフィルタ素子や、スイッチング素子などが挙げられる。ホルダは、インバータ収容室内に配置された状態で、例えば、ネジ部材等によってベース部材に取り付けられている。そして、ホルダによって、複数の電子部品の耐震性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-40538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、ベース部材にコネクタとホルダに収容された複数の電子部品を固定した状態で、回路基板にコネクタリード線及び部品リード線を同時に挿通させねばならず組み付け性が悪い。その一方で、組み付け性を改善するために、予め回路基板にコネクタやホルダに収容された複数の電子部品を実装した状態で、コネクタに端子ピンを挿入しようとすると、端子ピンからコネクタに加わる荷重がコネクタリード線に作用して、コネクタリード線が折れ曲がってしまう虞がある。
【0006】
さらに、各電子部品の部品リード線が回路基板にそれぞれ挿入された状態で、回路基板がホルダに対して移動してしまうと、各電子部品の部品リード線が折れ曲がってしまう虞がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、コネクタリード線の折れ曲がり、及び各電子部品の部品リード線の折れ曲がりを抑制しつつも、組み付け性を向上させることができる電動圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記電動モータを駆動するための回路基板を有するモータ制御装置と、前記モータ制御装置を収容するインバータ収容室を有するハウジングと、前記回路基板に電気的に接続されるコネクタリード線を有するコネクタと、前記コネクタに対して挿抜されるとともに前記コネクタと前記電動モータとを電気的に接続するための前記ハウジングに固定された端子ピンと、前記回路基板に電気的に接続される部品リード線を有する複数の電子部品と、前記複数の電子部品を保持するとともに前記インバータ収容室内に配置された状態で前記ハウジングに取り付けられるホルダと、を備えた電動圧縮機であって、前記ホルダ及び前記回路基板は、互いの相対位置の位置決めを行う位置決め部をそれぞれ備え、前記コネクタは、前記コネクタリード線が前記回路基板に向けて突出した状態で前記ホルダに一体化されており、前記ホルダには、前記コネクタリード線における前記ホルダからの突出方向と同一方向に延びるとともに前記部品リード線を前記回路基板に向けて案内する案内孔が形成されている。
【0009】
これによれば、コネクタが、コネクタリード線が突出した状態でホルダに一体化されているため、コネクタリード線が回路基板に電気的に接続された状態で、コネクタに対して端子ピンが挿し込まれたときに、端子ピンからコネクタに加わる荷重をホルダによって受け止めることができる。したがって、端子ピンからコネクタに加わる荷重がコネクタリード線に作用し難くなり、コネクタリード線の折れ曲がりを抑制することができる。
【0010】
また、位置決め部によって、ホルダと回路基板との相対位置の位置決めが行われているため、各電子部品の部品リード線が回路基板にそれぞれ挿入された状態で、回路基板がホルダに対して移動してしまうことを抑制することができる。したがって、各電子部品の部品リード線の折れ曲がりを抑制することができる。
【0011】
さらに、位置決め部によって、ホルダと回路基板との相対位置の位置決めが行われている状態で、各電子部品の部品リード線を案内孔によって回路基板に向けて案内することができるため、各電子部品の部品リード線を回路基板にそれぞれ挿入し易くなり、組み付け性が向上する。以上のことから、コネクタリード線の折れ曲がり、及び各電子部品の部品リード線の折れ曲がりを抑制しつつも、組み付け性を向上させることができる。
【0012】
上記電動圧縮機において、前記位置決め部は、前記ホルダに設けられる複数の位置決め用突起と、前記回路基板に複数形成されるとともに前記複数の位置決め用突起がそれぞれ挿入される位置決め用孔と、を含むとよい。
【0013】
これによれば、各位置決め用突起が各位置決め用孔にそれぞれ挿入されることにより、ホルダと回路基板との相対位置の位置決めを行うことができる。よって、ホルダに設けられる複数の位置決め用突起、及び回路基板に複数形成される位置決め用孔は、ホルダと回路基板との相対位置の位置決めを行う位置決め部として好適である。
【0014】
上記電動圧縮機において、前記ホルダは、前記回路基板が載置される基板載置面と、前記基板載置面の外周部から立設される筒状のホルダ周壁と、を有し、前記位置決め部は、前記ホルダ周壁の内周面に沿って延びる前記回路基板の外周縁と、前記回路基板の外周縁が接触可能な前記ホルダ周壁の内周面と、を含むとよい。
【0015】
これによれば、回路基板の外周縁がホルダ周壁の内周面に接触することにより、ホルダと回路基板との相対位置の位置決めを行うことができる。よって、ホルダ周壁の内周面に沿って延びる回路基板の外周縁、及び回路基板の外周縁が接触可能なホルダ周壁の内周面は、ホルダと回路基板との相対位置の位置決めを行う位置決め部として好適である。
【0016】
上記電動圧縮機において、前記ホルダは、前記ホルダを前記ハウジングに取り付けるためのネジ部材が挿通される筒状のボス部を複数有し、前記位置決め部は、前記各ボス部の外周面それぞれに沿って延びる前記回路基板の延在縁と、前記各延在縁が接触可能な前記各ボス部の外周面と、を含むとよい。
【0017】
これによれば、回路基板の各延在縁が各ボス部の外周面にそれぞれ接触することにより、ホルダと回路基板との相対位置の位置決めを行うことができる。よって、各ボス部の外周面それぞれに沿って延びる回路基板の延在縁、及び各延在縁が接触可能な各ボス部の外周面は、ホルダと回路基板との相対位置の位置決めを行う位置決め部として好適である。
【0018】
上記電動圧縮機において、前記複数の電子部品は、フィルタ素子及びスイッチング素子を含む。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、コネクタリード線の折れ曲がり、及び各電子部品の部品リード線の折れ曲がりを抑制しつつも、組み付け性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態における電動圧縮機を一部破断して示す側断面図。
図2】電動圧縮機の一部の分解斜視図。
図3】電動圧縮機の電気的構成を示す回路図。
図4】ホルダの斜視図。
図5】ホルダを基板載置面とは反対側から見た平面図。
図6】ホルダを基板載置面側から見た平面図。
図7】回路基板がホルダに対して位置決めされた状態を示す斜視図。
図8】回路基板がホルダに対して位置決めされた状態を示す平面図。
図9】ホルダの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、電動圧縮機を具体化した一実施形態を図1図9にしたがって説明する。本実施形態の電動圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。
図1に示すように、電動圧縮機10のハウジング11は、有底筒状の吐出ハウジング12と、吐出ハウジング12に連結される有底筒状のモータハウジング13と、モータハウジング13に連結されるインバータケース14と、を備えている。吐出ハウジング12、モータハウジング13、及びインバータケース14は金属材料製であり、例えば、アルミニウム製である。モータハウジング13は、底壁13aと、底壁13aの外周縁から筒状に延在する周壁13bと、を有している。
【0022】
モータハウジング13内には、回転軸15が収容されている。また、モータハウジング13内には、回転軸15の回転によって駆動して流体としての冷媒を圧縮する圧縮部16と、回転軸15を回転させて圧縮部16を駆動する電動モータ17と、が収容されている。圧縮部16及び電動モータ17は、回転軸15の回転軸線が延びる方向である軸線方向に並んで配置されている。電動モータ17は、圧縮部16よりもモータハウジング13の底壁13a側に配置されている。そして、モータハウジング13内における圧縮部16と底壁13aとの間には、電動モータ17を収容するモータ室18が形成されている。
【0023】
圧縮部16は、例えば、モータハウジング13内に固定された図示しない固定スクロールと、固定スクロールに対向配置される図示しない可動スクロールとから構成されるスクロール式である。
【0024】
電動モータ17は、筒状のステータ19と、ステータ19の内側に配置されるロータ20とから構成されている。ロータ20は、回転軸15と一体的に回転する。ステータ19は、ロータ20を取り囲んでいる。ロータ20は、回転軸15に止着されたロータコア20aと、ロータコア20aに設けられた図示しない複数の永久磁石と、を有している。ステータ19は、筒状のステータコア19aと、ステータコア19aに巻回されたモータコイル21とを有している。
【0025】
周壁13bには、吸入口13hが形成されている。吸入口13hには、外部冷媒回路22の一端が接続されている。吐出ハウジング12には、吐出口12hが形成されている。吐出口12hには、外部冷媒回路22の他端が接続されている。吸入口13hは、周壁13bにおける底壁13a側に位置する部分に形成されている。吸入口13hは、モータ室18に連通している。
【0026】
外部冷媒回路22から吸入口13hを介してモータ室18内に吸入された冷媒は、圧縮部16の駆動により圧縮部16で圧縮されて、吐出口12hを介して外部冷媒回路22へ流出する。そして、外部冷媒回路22へ流出した冷媒は、外部冷媒回路22の熱交換器や膨張弁を経て、吸入口13hを介してモータ室18内に還流する。したがって、モータハウジング13は、外部からモータ室18内に冷媒を吸入するための吸入口13hを有している。電動圧縮機10及び外部冷媒回路22は、車両空調装置23を構成している。
【0027】
インバータケース14は、モータハウジング13の底壁13aに取り付けられている。インバータケース14内には、モータ制御装置30を収容するインバータ収容室14aが形成されている。したがって、ハウジング11は、インバータ収容室14aを有している。圧縮部16、電動モータ17、及びモータ制御装置30は、この順序で、回転軸15の軸線方向に並んで配置されている。
【0028】
図1及び図2に示すように、インバータケース14は、有底筒状のケース本体24と、ケース本体24の開口を閉塞する有底筒状の蓋部材25と、を有している。ケース本体24は、円板状のケース底壁24aと、ケース底壁24aの外周縁から円筒状に延在するケース周壁24bと、を有している。蓋部材25は、円板状の蓋底壁25aと、蓋底壁25aの外周縁から円筒状に延在する蓋周壁25bと、を有している。
【0029】
ケース周壁24bの内径と蓋周壁25bの内径とは同じである。ケース周壁24bの外径と蓋周壁25bの外径とは同じである。ケース本体24及び蓋部材25は、ケース周壁24bの開口端面と蓋周壁25bの開口端面とが突き合わさった状態で互いに配置されている。インバータ収容室14aは、ケース本体24及び蓋部材25によって区画されている。インバータケース14は、ケース本体24のケース底壁24aの外面がモータハウジング13の底壁13aの外面に接した状態でモータハウジング13の底壁13aに取り付けられている。
【0030】
ケース本体24の四隅には、ネジ挿通孔24hがそれぞれ形成されている。また、図1に示すように、モータハウジング13の底壁13aには、各ネジ挿通孔24hに連通する雌ねじ孔13cが形成されている。
【0031】
また、蓋底壁25aの内面の四隅には、筒部25fがそれぞれ突出している。4つの筒部25fは、ケース周壁24bの周方向に等間隔置きに配置されている。したがって、4つの筒部25fは、ケース周壁24bの周方向に90度間隔置きに配置されている。さらに、図2に示すように、蓋底壁25aの四隅には、各筒部25fの内側に連通するネジ挿通孔25hがそれぞれ形成されている。各ネジ挿通孔25hは、蓋底壁25aを厚み方向に貫通している。
【0032】
図1に示すように、モータハウジング13の底壁13aには、底壁13aを貫通する孔13dが形成されている。また、ケース本体24のケース底壁24aには、ケース底壁24aを貫通する孔24cが形成されている。両孔13d,24cは互いに連通している。
【0033】
図1及び図2に示すように、ケース本体24のケース底壁24aには、端子ピン26が取り付けられている。したがって、端子ピン26は、ケース本体24のケース底壁24aに固定されている。端子ピン26は、3つの導電部材27と、支持板28と、を有している。各導電部材27は、円柱状である。支持板28は、孔24cを閉塞した状態でケース底壁24aの内面に取り付けられている。
【0034】
図1に示すように、3つの導電部材27は、両孔13d,24cを貫通した状態で、支持板28を介してケース底壁24aに支持されている。したがって、各導電部材27の一端部は、モータ室18内に突出するとともに、各導電部材27の他端部は、インバータ収容室14a内に突出している。モータ室18内には、クラスタブロック29が配置されている。また、モータコイル21からは3つのモータ配線21aが引き出されている。3つの導電部材27と3つのモータ配線21aとは、クラスタブロック29を介してそれぞれ電気的に接続されている。
【0035】
図1及び図2に示すように、モータ制御装置30は、電動モータ17を駆動するための回路基板31を有している。回路基板31は、インバータ収容室14a内に収容されている。また、インバータ収容室14a内には、ホルダ40が収容されている。ホルダ40は、3つのコネクタ51を保持している。
【0036】
図1に示すように、各コネクタ51は、回路基板31に電気的に接続されるコネクタリード線51aと、各導電部材27の他端部が挿抜される四角筒状の接続端子51bと、をそれぞれ有している。各コネクタリード線51aの基端部と各接続端子51bとは、例えば、溶接によって接合されることにより互いに一体化されている。そして、各接続端子51bに各導電部材27が挿し込まれることにより、各導電部材27と各コネクタ51とがそれぞれ電気的に接続されている。これにより、各コネクタ51は、各導電部材27、クラスタブロック29、及び各モータ配線21aを介して電動モータ17と電気的に接続されている。したがって、端子ピン26は、各コネクタ51に対して挿抜されるとともに各コネクタ51と電動モータ17とを電気的に接続するために用いられる。
【0037】
図1及び図2に示すように、インバータケース14は、蓋部材25の蓋底壁25aの外面から突出する高電圧用コネクタ25c及び低電圧用コネクタ25dを有している。高電圧用コネクタ25cには、高電圧電源32のコネクタが接続される。低電圧用コネクタ25dには、低電圧電源33のコネクタが接続される。高電圧電源32は、車両に搭載されているリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池などの高電圧バッテリである。低電圧電源33は、車両に搭載されるとともに高電圧バッテリの電圧(例えば400V)よりも低い電圧(例えば12V)である鉛蓄電池などの低電圧バッテリである。
【0038】
図3に示すように、モータコイル21は、u相コイル21u、v相コイル21v、及びw相コイル21wを有する三相構造になっている。本実施形態において、u相コイル21u、v相コイル21v、及びw相コイル21wは、Y結線されている。
【0039】
モータ制御装置30は、複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2を有している。複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、電動モータ17を駆動するためにスイッチング動作を行う。複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、IGBT(パワースイッチング素子)である。複数のスイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2には、ダイオードDu1,Du2,Dv1,Dv2,Dw1,Dw2がそれぞれ接続されている。ダイオードDu1,Du2,Dv1,Dv2,Dw1,Dw2は、スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2に対して並列に接続されている。
【0040】
各スイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1は、各相の上アームを構成している。各スイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2は、各相の下アームを構成している。各スイッチング素子Qu1,Qu2、各スイッチング素子Qv1,Qv2、及び各スイッチング素子Qw1,Qw2はそれぞれ直列に接続されている。各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2のゲートは、制御コンピュータ34に電気的に接続されている。制御コンピュータ34は、低電圧電源33からの電圧が印加されることにより動作する。
【0041】
各スイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1のコレクタは、第1接続ラインEL1を介して高電圧電源32の正極に電気的に接続されている。各スイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のエミッタは、第2接続ラインEL2を介して高電圧電源32の負極に電気的に接続されている。各スイッチング素子Qu1,Qv1,Qw1のエミッタ及び各スイッチング素子Qu2,Qv2,Qw2のコレクタは、それぞれ直列に接続された中間点からu相コイル21u、v相コイル21v、及びw相コイル21wにそれぞれ電気的に接続されている。
【0042】
制御コンピュータ34は、電動モータ17の駆動電圧をパルス幅変調により制御する。具体的には、制御コンピュータ34は、搬送波信号と呼ばれる高周波の三角波信号と、電圧を指示するための電圧指令信号とによってPWM信号を生成する。そして、制御コンピュータ34は、生成したPWM信号を用いて各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2のスイッチング動作の制御(オンオフ制御)を行う。これにより、高電圧電源32からの直流電圧が交流電圧に変換される。そして、変換された交流電圧が駆動電圧として電動モータ17に印加されることにより、電動モータ17の駆動が制御される。
【0043】
また、制御コンピュータ34は、PWM信号を制御することにより、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2のスイッチング動作のデューティ比を可変制御する。これにより、電動モータ17の回転数が制御される。制御コンピュータ34は、空調ECU35と電気的に接続されており、空調ECU35から電動モータ17の目標回転数に関する情報を受信すると、その目標回転数で電動モータ17を回転させる。
【0044】
電動圧縮機10は、コンデンサ36及びコイル37を備えている。コンデンサ36は、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2の入力側に設けられるとともに高電圧電源32に対して並列接続されている。コンデンサ36は、第1バイパスコンデンサ36a、第2バイパスコンデンサ36b、及び平滑コンデンサ36cを含む。第1バイパスコンデンサ36aの一端は、第1接続ラインEL1に電気的に接続されている。第1バイパスコンデンサ36aの他端は、第2バイパスコンデンサ36bの一端に電気的に接続されている。よって、第1バイパスコンデンサ36aと第2バイパスコンデンサ36bとは直列接続されている。第2バイパスコンデンサ36bの他端は、第2接続ラインEL2に電気的に接続されている。第1バイパスコンデンサ36aの他端と第2バイパスコンデンサ36bの一端との中間点は、例えば、車両のボデーに接地されている。
【0045】
平滑コンデンサ36cの一端は、第1接続ラインEL1に電気的に接続されている。平滑コンデンサ36cの他端は、第2接続ラインEL2に電気的に接続されている。第1バイパスコンデンサ36a及び第2バイパスコンデンサ36bと平滑コンデンサ36cとは並列接続されている。平滑コンデンサ36cは、第1バイパスコンデンサ36a及び第2バイパスコンデンサ36bよりも各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2寄りに設けられている。
【0046】
コイル37は、コモンモードチョークコイルである。コイル37は、第1接続ラインEL1上に設けられる第1巻線371と、第2接続ラインEL2上に設けられる第2巻線372と、を有している。また、コイル37は、第1巻線371及び第2巻線372とは別に、仮想ノーマルモードコイルL1,L2を有している。すなわち、本実施形態のコイル37は、等価回路的には、第1巻線371、第2巻線372、及び仮想ノーマルモードコイルL1,L2を有している。第1巻線371は、仮想ノーマルモードコイルL1に直列接続されるとともに、第2巻線372は、仮想ノーマルモードコイルL2に直列接続されている。
【0047】
コイル37、第1バイパスコンデンサ36a、第2バイパスコンデンサ36b、及び平滑コンデンサ36cは、コモンモードノイズを低減する。コモンモードノイズとは、第1接続ラインEL1及び第2接続ラインEL2に同一方向の電流が流れるノイズである。コモンモードノイズは、電動圧縮機10と高電圧電源32とが、例えば、車両のボデーなど、第1接続ラインEL1及び第2接続ラインEL2以外の経路を介して電気的に接続された場合に生じ得る。したがって、コイル37、第1バイパスコンデンサ36a、第2バイパスコンデンサ36b、及び平滑コンデンサ36cは、LCフィルタ38を構成する。よって、コイル37は、コンデンサ36と共にLCフィルタ38を構成する。したがって、コンデンサ36及びコイル37は、LCフィルタ38を構成するフィルタ素子である。
【0048】
図4及び図5に示すように、ホルダ40は、コンデンサ36、コイル37を保持している。さらに、ホルダ40は、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2をモジュール化したインテリジェントパワーモジュール39を保持している。したがって、コンデンサ36、コイル37、及び各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、ホルダ40に保持される複数の電子部品である。よって、複数の電子部品は、フィルタ素子及び各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2を含む。
【0049】
ホルダ40は、コイル37を保持するコイル保持部41と、コンデンサ36を保持するコンデンサ保持部42と、インテリジェントパワーモジュール39を保持する素子保持部43と、を有している。ホルダ40は、樹脂製である。
【0050】
図4図5及び図6に示すように、コイル保持部41は、円板状のコイル保持部底壁41aと、コイル保持部底壁41aの外周部から立設される円筒状のコイル保持部周壁41bと、を有する有底筒状である。コイル37は、全体的に円柱状であり、コイル保持部41内に収容された状態で、コイル保持部41に保持されている。コイル37とコイル保持部底壁41aとの間には接着剤が塗布されており、コイル37がコイル保持部41から落下しないようになっている。
【0051】
コイル保持部41のコイル保持部底壁41aには、複数のコイルリード線挿通孔41cが形成されている。各コイルリード線挿通孔41cには、コイル37から引き出されるコイルリード線37aがそれぞれ挿通されている。そして、コイル37から引き出された複数のコイルリード線37aは、コイル保持部41内から各コイルリード線挿通孔41cを通過してコイル保持部底壁41aの外面41eからコイル保持部41外へ突出している。
【0052】
コンデンサ保持部42は、平面視長四角板状の載置壁42aと、載置壁42aの外周縁から立設される一対の支持壁42b及び連結壁42cと、を有している。載置壁42aには、コンデンサ36が載置されている。コンデンサ36は、全体的に四角ブロック状である。
【0053】
一対の支持壁42b及び連結壁42cは、薄板四角平板状である。一対の支持壁42b及び連結壁42cは、載置壁42aに対して直交する方向に延びている。一対の支持壁42bは、載置壁42aにおける互いに対向する一対の長側縁それぞれから立設されており、互いに対向している。一対の支持壁42bは互いに平行に延びている。連結壁42cは、載置壁42aにおける一対の支持壁42bが立設されている一対の長側縁を繋ぐ短側縁から立設されており、一対の支持壁42b同士を連結している。
【0054】
一対の支持壁42b及び連結壁42cにおける載置壁42aからの立設方向は、コイル保持部周壁41bにおけるコイル保持部底壁41aからの立設方向と同一方向である。一対の支持壁42b及び連結壁42cにおける載置壁42aとは反対側の端縁は、コイル保持部周壁41bにおけるコイル保持部底壁41aとは反対側の端縁と同一平面上に位置している。
【0055】
コンデンサ36は、一対の支持壁42b及び連結壁42cによって囲まれた状態で、コンデンサ保持部42に保持されている。コンデンサ36と載置壁42aとの間には接着剤が塗布されており、コンデンサ36がコンデンサ保持部42から落下しないようになっている。一対の支持壁42b及び連結壁42cは、コンデンサ36の外面に沿って延びている。
【0056】
コンデンサ保持部42の載置壁42aには、複数のコンデンサリード線挿通孔42hが形成されている。各コンデンサリード線挿通孔42hには、コンデンサ36から突出するコンデンサリード線36dがそれぞれ挿通されている。そして、コンデンサ36から突出する各コンデンサリード線36dは、各コンデンサリード線挿通孔42hを通過して載置壁42aの外面42eから突出している。
【0057】
素子保持部43は、平面視長四角板状である。素子保持部43は、インテリジェントパワーモジュール39が搭載される搭載面43aを有している。また、素子保持部43は、一対の長側縁43bと、一対の短側縁43cと、を有している。インテリジェントパワーモジュール39と搭載面43aとの間には接着剤が塗布されている。また、インテリジェントパワーモジュール39は、例えば、図示しないネジ部材によって素子保持部43の搭載面43aに取り付けられ、素子保持部43に保持されている。
【0058】
素子保持部43には、複数の素子リード線挿通孔43hが形成されている。各素子リード線挿通孔43hには、インテリジェントパワーモジュール39から突出する素子リード線39aがそれぞれ挿通されている。そして、インテリジェントパワーモジュール39から突出する素子リード線39aは、各素子リード線挿通孔43hを通過して素子保持部43における搭載面43aとは反対側の外面43eから突出している。
【0059】
ホルダ40は、各コネクタ51を保持するコネクタ保持部44を有している。コネクタ保持部44は、扁平四角ブロック状である。コネクタ保持部44は、厚み方向に位置する第1面44a及び第2面44bを有している。また、コネクタ保持部44は、第1面44aと第2面44bとを繋ぐ周壁44cを有している。コネクタ保持部44には、平面視長四角孔状のコネクタ孔44hが3つ形成されている。各コネクタ孔44hは、コネクタ保持部44を厚み方向に貫通している。
【0060】
各コネクタ51の接続端子51bは、各コネクタ孔44h内に配置されている。各接続端子51bの軸線方向は、各コネクタ孔44hの軸心方向に一致している。各コネクタ51のコネクタリード線51aは、各接続端子51b側の部位である基端側の部位がコネクタ保持部44に埋設されるとともに、コネクタ保持部44の内部で第1面44aに対して離間する方向へ屈曲し、コネクタリード線51aの先端部が第2面44bからそれぞれ突出している。よって、3つのコネクタ51は、各コネクタリード線51aの先端部が回路基板31に向けてホルダ40から突出した状態でホルダ40にそれぞれ一体化されている。
【0061】
図6に示すように、複数のコイルリード線挿通孔41c、複数のコンデンサリード線挿通孔42h、及び複数の素子リード線挿通孔43hは、各コネクタリード線51aにおけるホルダ40からの突出方向と同一方向に延びている。
【0062】
素子保持部43の一対の長側縁43bの一方の一部分は、コネクタ保持部44の周壁44cの一部分に連続している。素子保持部43の一対の長側縁43bの他方の一部分は、コンデンサ保持部42の一対の支持壁42bの一方の一部分に連続している。コイル保持部41は、第1梁部45aを介してコンデンサ保持部42の一対の支持壁42bの一方に連結されている。また、コイル保持部41は、第2梁部45bを介して素子保持部43の一対の短側縁43cの一方に連結されている。さらに、コイル保持部41は、第3梁部45cを介してコネクタ保持部44の周壁44cに連結されている。
【0063】
ホルダ40は、回路基板31が載置される基板載置面46aを有する基板載置部46と、基板載置面46aの外周部から立設され円筒状のホルダ周壁47と、を有している。基板載置部46は、ホルダ周壁47の軸線方向から見たときに、コイル保持部41、コンデンサ保持部42、素子保持部43、及びコネクタ保持部44を取り囲む円環状である。基板載置面46aは、平坦面状である。
【0064】
基板載置部46の内周面は、基板載置面46aの内周縁に連続している。ホルダ周壁47の内周面は、基板載置面46aの外周縁に連続している。基板載置部46の軸心方向とホルダ周壁47の軸心方向とは一致している。ホルダ周壁47における基板載置面46aの外周部からの立設方向は、コイル保持部周壁41bにおけるコイル保持部底壁41aからの立設方向や、一対の支持壁42b及び連結壁42cにおける載置壁42aからの立設方向とは反対方向である。
【0065】
ホルダ40は、円筒状のボス部48を複数有している。本実施形態において、ホルダ40は、ボス部48を4つ有している。各ボス部48は、基板載置部46の内周面から膨出している。4つのボス部48は、基板載置部46の周方向に等間隔置きに配置されている。したがって、4つのボス部48は、基板載置部46の周方向に90度間隔置きに配置されている。各ボス部48の端面48eは、ホルダ周壁47の端縁47eよりも突出している。
【0066】
基板載置部46は、基板載置部46の周方向で隣り合うボス部48同士を連結する第1載置部461、第2載置部462、第3載置部463、及び第4載置部464を有している。第1載置部461は、コイル保持部41、コンデンサ保持部42、素子保持部43、及びコネクタ保持部44のうち、コイル保持部41に対して最も近い位置に配置されている。第2載置部462は、コイル保持部41、コンデンサ保持部42、素子保持部43、及びコネクタ保持部44のうち、コンデンサ保持部42に対して最も近い位置に配置されている。第3載置部463は、コイル保持部41、コンデンサ保持部42、素子保持部43、及びコネクタ保持部44のうち、素子保持部43に対して最も近い位置に配置されている。第4載置部464は、コイル保持部41、コンデンサ保持部42、素子保持部43、及びコネクタ保持部44のうち、コネクタ保持部44に対して最も近い位置に配置されている。
【0067】
コイル保持部41は、第1載置部461の内面に対して二つの第4梁部45dを介して連結されている。また、コイル保持部41は、第1載置部461の両側に位置するボス部48の一方に対して、第5梁部45eを介して連結されている。さらに、二つの第4梁部45dのうち、第1載置部461の両側に位置するボス部48の他方に近い第4梁部45dは、第6梁部45fを介して第1載置部461の両側に位置するボス部48の他方に連結されている。したがって、コイル保持部41は、第1載置部461の両側に位置するボス部48の他方に対して、二つの第4梁部45dのうち、第1載置部461の両側に位置するボス部48の他方に近い第4梁部45d、及び第6梁部45fを介して連結されている。
【0068】
コンデンサ保持部42は、第2載置部462の内面に対して二つの第7梁部45gを介して連結されている。また、コンデンサ保持部42は、第2載置部462の両側に位置するボス部48の一方に対して、第8梁部45hを介して連結されている。第6梁部45f及び第8梁部45hは、同一のボス部48に連結されている。さらに、コンデンサ保持部42は、第2載置部462の両側に位置するボス部48の他方に対して、第9梁部45kを介して連結されている。
【0069】
素子保持部43は、第3載置部463の内面に対して二つの第10梁部45mを介して連結されている。また、素子保持部43は、第3載置部463の両側に位置するボス部48の一方に対して、第11梁部45nを介して連結されている。第9梁部45k及び第11梁部45nは、同一のボス部48に連結されている。さらに、コンデンサ保持部42は、第3載置部463の両側に位置するボス部48の他方に対して、第12梁部45pを介して連結されている。
【0070】
コネクタ保持部44は、第4載置部464の内面に対して二つの第13梁部45qを介して連結されている。また、コネクタ保持部44は、第4載置部464の両側に位置するボス部48の一方に対して、第14梁部45rを介して連結されている。第12梁部45p及び第14梁部45rは、同一のボス部48に連結されている。さらに、コネクタ保持部44は、第4載置部464の両側に位置するボス部48の他方に対して、第15梁部45sを介して連結されている。第5梁部45e及び第15梁部45sは、同一のボス部48に連結されている。
【0071】
基板載置面46aにおける第1載置部461の他方側に位置する部位には、円柱状の第1突起49aが突出している。また、基板載置面46aにおける第4載置部464の一方側に位置する部位には、円柱状の第2突起49bが突出している。第1突起49a及び第2突起49bは、基板載置部46の周方向に約180度離間した位置に配置されている。ホルダ周壁47の内周面には、膨出部49fが突出している。膨出部49fの外周面は、半円弧状である。膨出部49fは、基板載置面46aにおける第1載置部461の中央部と重なる位置に配置されている。
【0072】
図7及び図8に示すように、回路基板31は、円板状である。回路基板31の外径は、ホルダ周壁47の内径よりも僅かに小さい。回路基板31には、コイルリード線37a、コンデンサリード線36d、及び素子リード線39aがそれぞれ挿入されるコイルリード接続孔31a、コンデンサリード接続孔31b、及び素子リード接続孔31cがそれぞれ複数形成されている。また、回路基板31には、コネクタリード線51aが挿入されるコネクタリード接続孔31dが形成されている。各コイルリード接続孔31a、各コンデンサリード接続孔31b、各素子リード接続孔31c、及び各コネクタリード接続孔31dは、回路基板31を厚み方向に貫通している。
【0073】
各コイルリード線37aは、各コイルリード接続孔31aに挿入された状態で、例えば半田付け等によって、回路基板31に電気的に接続されている。これにより、コイル37が各コイルリード線37aを介して回路基板31に実装されている。また、各コンデンサリード線36dは、各コンデンサリード接続孔31bに挿入された状態で、例えば半田付け等によって、回路基板31に電気的に接続されている。これにより、コンデンサ36が各コンデンサリード線36dを介して回路基板31に実装されている。さらに、各素子リード線39aは、各素子リード接続孔31cに挿入された状態で、例えば半田付け等によって、回路基板31に電気的に接続されている。これにより、インテリジェントパワーモジュール39が各素子リード線39aを介して回路基板31に実装されている。また、各コネクタリード線51aは、各コネクタリード接続孔31dに挿入された状態で、例えば半田付け等によって、回路基板31に電気的に接続されている。これにより、各コネクタ51が回路基板31に電気的に接続されている。
【0074】
したがって、コンデンサ36は、各コンデンサリード接続孔31bに挿入された状態で回路基板31に電気的に接続される各コンデンサリード線36dを有する電子部品である。また、コイル37は、各コイルリード接続孔31aに挿入された状態で回路基板31に電気的に接続される各コイルリード線37aを有する電子部品である。さらに、各スイッチング素子Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2は、各素子リード接続孔31cに挿入された状態で回路基板31に電気的に接続される各素子リード線39aを有する電子部品である。よって、各コンデンサリード線36d、各コイルリード線37a、及び各素子リード線39aは、各コンデンサリード接続孔31b、各コイルリード接続孔31a、及び各素子リード接続孔31cにそれぞれ挿入された状態で回路基板31に電気的に接続される電子部品の部品リード線である。
【0075】
回路基板31の外周縁31eは、ホルダ周壁47の内周面に沿って延びている。また、回路基板31の外周縁31eには、各ボス部48の外周面それぞれに沿って延びる延在縁31fが形成されている。よって、回路基板31の外周縁31eには、延在縁31fが4つ形成されている。各延在縁31fは、回路基板31の外周縁31eに凹設されている。各延在縁31fは円弧状である。4つの延在縁31fは、回路基板31の周方向に等間隔置きに配置されている。したがって、4つの延在縁31fは、回路基板31の周方向に90度間隔置きに配置されている。
【0076】
回路基板31には、第1突起49aが挿入される円孔状の第1挿入孔31gが形成されている。第1挿入孔31gは、回路基板31を厚み方向に貫通している。第1挿入孔31gの孔径は、第1突起49aの外径よりも僅かに大きい。回路基板31には、第2突起49bが挿入される円孔状の第2挿入孔31hが形成されている。第2挿入孔31hは、回路基板31を厚み方向に貫通している。第2挿入孔31hの孔径は、第2突起49bの外径よりも僅かに大きい。回路基板31の外周縁31eには、膨出部49fと係止可能な凹部31kが形成されている。凹部31kは、膨出部49fの外面に沿って延びている。
【0077】
図9に示すように、回路基板31は、基板載置面46aに載置されている。ホルダ周壁47は、回路基板31の外周縁31e全周を覆っている。各コンデンサリード線挿通孔42hは、載置壁42aにおける各コンデンサリード線36dが各コンデンサリード線挿通孔42hに対して挿入される側に位置する面から載置壁42aの外面42eに向かうにつれて内周面が縮径していくテーパ形状になっている。
【0078】
図1に示すように、コイル保持部周壁41bにおけるコイル保持部底壁41aとは反対側の端縁、及び一対の支持壁42b及び連結壁42cにおける載置壁42aとは反対側の端縁がケース底壁24aの内面に接触している。また、各筒部25fは、各ボス部48の端面48eに当接しており、各筒部25fの内側と各ボス部48の内側とは連通している。そして、各ネジ挿通孔25h、各筒部25fの内側、各ボス部48の内側、各ネジ挿通孔24hの順に挿通されたネジ部材52が各雌ねじ孔13cにねじ込まれることにより、ケース本体24の開口が蓋部材25に閉塞された状態で、インバータケース14がモータハウジング13の底壁13aに取り付けられている。
【0079】
コイル保持部周壁41bにおけるコイル保持部底壁41aとは反対側の端縁、及び一対の支持壁42b及び連結壁42cにおける載置壁42aとは反対側の端縁がケース底壁24aの内面に接触している。また、各筒部25fが各ボス部48の端面48eに当接するとともにケース本体24の開口端面における各ネジ挿通孔24hの周囲に当接している。したがって、ホルダ40は、各ネジ部材52の軸力によって、ケース本体24と蓋部材25との間に挟み込まれた状態で、インバータケース14に取り付けられている。したがって、ホルダ40は、インバータ収容室14a内に配置された状態でインバータケース14に取り付けられている。よって、各ネジ部材52は、ホルダ40をインバータケース14に取り付けるために各ボス部48に挿通されているとも言える。
【0080】
次に、本実施形態の作用について説明する。
回路基板31は、凹部31kと膨出部49fとが互いに係止されるとともに、各ボス部48の外周面と各延在縁31fとがそれぞれ互いに沿った状態であり、さらには、第1突起49aが第1挿入孔31gに挿入されるとともに第2突起49bが第2挿入孔31hに挿入されるように、ホルダ周壁47の内側に配置される。回路基板31は、基板載置面46aに載置される。
【0081】
第1突起49aが第1挿入孔31gに挿入されるとともに、第2突起49bが第2挿入孔31hに挿入されることにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われる。よって、第1突起49a及び第2突起49bは、ホルダ40に設けられる複数の位置決め用突起であり、第1挿入孔31g及び第2挿入孔31hは、回路基板31に複数形成されるとともに複数の位置決め用突起がそれぞれ挿入される位置決め用孔である。したがって、ホルダ40及び回路基板31は、互いの相対位置の位置決めを行う位置決め部をそれぞれ備えている。位置決め部は、第1突起49a及び第2突起49bと、第1挿入孔31g及び第2挿入孔31hと、を含む。
【0082】
第1突起49aが第1挿入孔31gに挿入されるとともに、第2突起49bが第2挿入孔31hに挿入されることにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われた状態では、各コイルリード線挿通孔41cと各コイルリード接続孔31aとが回路基板31の厚み方向で重なっている。また、各コンデンサリード線挿通孔42hと各コンデンサリード接続孔31bとが回路基板31の厚み方向で重なっている。さらに、各素子リード線挿通孔43hと各素子リード接続孔31cとが回路基板31の厚み方向で重なっている。また、各コネクタリード線51aが各コネクタリード接続孔31dに挿入されている。
【0083】
そして、回路基板31とは反対側から各コイルリード線37aを各コイルリード線挿通孔41cに挿通する。各コイルリード線挿通孔41cは、各コイルリード線37aを各コイルリード接続孔31aに向けて案内する。したがって、各コイルリード線挿通孔41cは、各コネクタリード線51aにおけるホルダ40からの突出方向と同一方向に延びるとともに各コイルリード線37aを回路基板31の各コイルリード接続孔31aに向けて案内する案内孔である。
【0084】
このとき、第1突起49aが第1挿入孔31gに挿入されるとともに、第2突起49bが第2挿入孔31hに挿入されることにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われている状態で、各コイルリード線37aが各コイルリード線挿通孔41cによって各コイルリード接続孔31aに向けて案内される。よって、各コイルリード線37aが回路基板31の各コイルリード接続孔31aにそれぞれ挿入し易くなっている。そして、コイル保持部41によってコイル37が保持される。
【0085】
また、回路基板31とは反対側から各コンデンサリード線36dを各コンデンサリード線挿通孔42hに挿通する。各コンデンサリード線挿通孔42hは、各コンデンサリード線36dを各コンデンサリード接続孔31bに向けて案内する。したがって、各コンデンサリード線挿通孔42hは、各コネクタリード線51aにおけるホルダ40からの突出方向と同一方向に延びるとともに各コンデンサリード線36dを回路基板31の各コンデンサリード接続孔31bに向けて案内する案内孔である。
【0086】
特に、各コンデンサリード線挿通孔42hは、載置壁42aにおける各コンデンサリード線36dが各コンデンサリード線挿通孔42hに対して挿入される側に位置する面から載置壁42aの外面42eに向かうにつれて内周面が縮径していくテーパ形状になっている。よって、各コンデンサリード線36dが各コンデンサリード線挿通孔42hを介して各コンデンサリード接続孔31bに向けて案内され易くなっている。
【0087】
このとき、第1突起49aが第1挿入孔31gに挿入されるとともに、第2突起49bが第2挿入孔31hに挿入されることにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われている状態で、各コンデンサリード線36dが各コンデンサリード線挿通孔42hによって各コンデンサリード接続孔31bに向けて案内される。よって、各コンデンサリード線36dが回路基板31の各コンデンサリード接続孔31bにそれぞれ挿入し易くなっている。そして、コンデンサ保持部42によってコンデンサ36が保持される。
【0088】
さらに、回路基板31とは反対側から各素子リード線39aを各素子リード線挿通孔43hに挿通する。各素子リード線挿通孔43hは、各素子リード線39aを各素子リード接続孔31cに向けて案内する。したがって、各素子リード線挿通孔43hは、各コネクタリード線51aにおけるホルダ40からの突出方向と同一方向に延びるとともに各素子リード線39aを回路基板31の各素子リード接続孔31cに向けて案内する案内孔である。
【0089】
このとき、第1突起49aが第1挿入孔31gに挿入されるとともに、第2突起49bが第2挿入孔31hに挿入されることにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われている状態で、各素子リード線39aが各素子リード線挿通孔43hによって各素子リード接続孔31cに向けて案内される。よって、各素子リード線39aが回路基板31の各素子リード接続孔31cにそれぞれ挿入し易くなっている。そして、素子保持部43によってインテリジェントパワーモジュール39が保持される。
【0090】
コイル37は、各コイルリード線37aが、各コイルリード接続孔31aに挿入された状態で、例えば半田付け等によって、回路基板31に電気的に接続されることにより、各コイルリード線37aを介して回路基板31に実装される。また、コンデンサ36は、各コンデンサリード線36dが、各コンデンサリード接続孔31bに挿入された状態で、例えば半田付け等によって、回路基板31に電気的に接続されることにより、各コンデンサリード線36dを介して回路基板31に実装される。さらに、インテリジェントパワーモジュール39は、各素子リード線39aが、各素子リード接続孔31cに挿入された状態で、例えば半田付け等によって、回路基板31に電気的に接続されることにより、各素子リード線39aを介して回路基板31に実装される。
【0091】
また、各コネクタ51は、各コネクタリード線51aが、各コネクタリード接続孔31dに挿入された状態で、例えば半田付け等によって、回路基板31に電気的に接続されることにより、回路基板31に電気的に接続される。これにより、ホルダ40、回路基板31、コンデンサ36、コイル37、インテリジェントパワーモジュール39、及び各コネクタ51が一体化されてユニット化される。
【0092】
ホルダ40は、コイル保持部周壁41bにおけるコイル保持部底壁41aとは反対側の端縁、及び一対の支持壁42b及び連結壁42cにおける載置壁42aとは反対側の端縁がケース底壁24aの内面に接触するように、ケース本体24の内側に配置される。そして、各導電部材27が、各コネクタ51の接続端子51bに挿し込まれることにより、各導電部材27と各コネクタ51とがそれぞれ電気的に接続される。
【0093】
このとき、各コネクタ51が、コネクタリード線51aが突出した状態でホルダ40に一体化されている。このため、各コネクタ51のコネクタリード線51aが回路基板31にそれぞれ電気的に接続された状態で、各コネクタ51の接続端子51bに対して端子ピン26の各導電部材27が挿し込まれたときに、端子ピン26から各コネクタ51に加わる荷重がホルダ40によって受け止められる。したがって、端子ピン26から各コネクタ51に加わる荷重がコネクタリード線51aに作用し難くなり、コネクタリード線51aの折れ曲がりが抑制される。
【0094】
図1に示すように、蓋部材25が、ケース周壁24bの開口端面と蓋周壁25bの開口端面とが突き合わされるように、ケース本体24に対して配置される。このとき、各筒部25fが各ボス部48の端面48eに当接するとともに、各筒部25fの内側と各ボス部48の内側とが連通する。そして、各ネジ挿通孔25h、各筒部25fの内側、各ボス部48の内側、各ネジ挿通孔24hの順に挿通されたネジ部材52が各雌ねじ孔13cにねじ込まれることにより、ケース本体24の開口が蓋部材25に閉塞された状態で、インバータケース14がモータハウジング13の底壁13aに取り付けられる。
【0095】
そして、高電圧電源32のコネクタが高電圧用コネクタ25cに接続されると、高電圧電源32からの電力が、回路基板31、各コネクタ51、各導電部材27、クラスタブロック29、及び各モータ配線21aを介してモータコイル21に供給される。これにより、ロータ20が回転し、回転軸15がロータ20と一体的に回転する。
【0096】
第1突起49aが第1挿入孔31gに挿入されるとともに、第2突起49bが第2挿入孔31hに挿入されることにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われている。このため、各コンデンサリード線36d、各コイルリード線37a、及び各素子リード線39aが、各コンデンサリード接続孔31b、各コイルリード接続孔31a、及び各素子リード接続孔31cにそれぞれ挿入された状態で、回路基板31がホルダ40に対して移動してしまうことが抑制されている。したがって、各コンデンサリード線36d、各コイルリード線37a、及び各素子リード線39aの折れ曲がりが抑制されている。
【0097】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)各コネクタ51は、コネクタリード線51aが突出した状態でホルダ40に一体化されている。第1突起49aが第1挿入孔31gに挿入されるとともに、第2突起49bが第2挿入孔31hに挿入されることにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われている。ホルダ40には、コネクタリード線51aにおけるホルダ40からの突出方向と同一方向に延びる各コイルリード線挿通孔41c、各コンデンサリード線挿通孔42h、及び各素子リード線挿通孔43hが形成されている。各コイルリード線挿通孔41c、各コンデンサリード線挿通孔42h、及び各素子リード線挿通孔43hは、各コイルリード線37a、各コンデンサリード線36d、及び各素子リード線39aを、各コイルリード接続孔31a、各コンデンサリード接続孔31b、及び各素子リード接続孔31cに向けてそれぞれ案内する。
【0098】
これによれば、各コネクタ51は、コネクタリード線51aが突出した状態でホルダ40に一体化されているため、端子ピン26から各コネクタ51に加わる荷重がホルダ40によって受け止めることができる。したがって、端子ピン26から各コネクタ51に加わる荷重がコネクタリード線51aに作用し難くなり、コネクタリード線51aの折れ曲がりを抑制することができる。
【0099】
また、第1突起49aが第1挿入孔31gに挿入されるとともに、第2突起49bが第2挿入孔31hに挿入されることにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われている。このため、各コンデンサリード線36d、各コイルリード線37a、及び各素子リード線39aが、各コンデンサリード接続孔31b、各コイルリード接続孔31a、及び各素子リード接続孔31cにそれぞれ挿入された状態で、回路基板31がホルダ40に対して移動してしまうことを抑制することができる。したがって、各コンデンサリード線36d、各コイルリード線37a、及び各素子リード線39aの折れ曲がりを抑制することができる。
【0100】
さらに、各コイルリード線挿通孔41c、各コンデンサリード線挿通孔42h、及び各素子リード線挿通孔43hは、各コイルリード線37a、各コンデンサリード線36d、及び各素子リード線39aを、各コイルリード接続孔31a、各コンデンサリード接続孔31b、及び各素子リード接続孔31cに向けてそれぞれ案内する。したがって、各コイルリード線37a、各コンデンサリード線36d、及び各素子リード線39aが、回路基板31の各コイルリード接続孔31a、各コンデンサリード接続孔31b、及び各素子リード接続孔31cにそれぞれ挿入し易くなり、組み付け性が向上する。以上のことから、コネクタリード線51aの折れ曲がり、及び各コイルリード線37a、各コンデンサリード線36d、各素子リード線39aの折れ曲がりを抑制しつつも、組み付け性を向上させることができる。
【0101】
(2)第1突起49a及び第2突起49bは、ホルダ40に設けられる複数の位置決め用突起であり、第1挿入孔31g及び第2挿入孔31hは、回路基板31に複数形成されるとともに複数の位置決め用突起がそれぞれ挿入される位置決め用孔である。よって、ホルダ40及び回路基板31は、互いの相対位置の位置決めを行う位置決め部をそれぞれ備えている。これによれば、第1突起49a及び第2突起49bが第1挿入孔31g及び第2挿入孔31hにそれぞれ挿入されることにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めを行うことができる。よって、ホルダ40に設けられる第1突起49a及び第2突起49b、及び回路基板31に形成される第1挿入孔31g及び第2挿入孔31hは、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めを行う位置決め部として好適である。
【0102】
(3)ホルダ周壁47は、回路基板31の外周縁31e全周を覆っている。したがって、ホルダ周壁47によって回路基板31の外周縁31eとインバータケース14の内周面との間の絶縁を確保することができる。よって、回路基板31の外周縁31eとインバータケース14の内周面との間の絶縁を確保するために、回路基板31の外周縁31eとインバータケース14の内周面との間の距離を十分に確保する必要が無く、インバータケース14内の省スペース化を図ることができる。したがって、電動圧縮機10を小型化することができる。
【0103】
(4)本実施形態では、回路基板31が、凹部31kと膨出部49fとが互いに係止された状態で、ホルダ周壁47の内側に配置されたときのみ、各コネクタリード線51aが各コネクタリード接続孔31dに挿入される。そして、各コイルリード線挿通孔41cと各コイルリード接続孔31aとが回路基板31の厚み方向で重なり、各コンデンサリード線挿通孔42hと各コンデンサリード接続孔31bとが回路基板31の厚み方向で重なり、各素子リード線挿通孔43hと各素子リード接続孔31cとが回路基板31の厚み方向で重なる。したがって、回路基板31とホルダ40とが誤った位置関係で組み付いてしまうことを回避することができるため、組み付け性を向上させることができる。
【0104】
(5)各コンデンサリード線挿通孔42hは、載置壁42aにおける各コンデンサリード線36dが各コンデンサリード線挿通孔42hに対して挿入される側に位置する面から載置壁42aの外面42eに向かうにつれて内周面が縮径していくテーパ形状になっている。これによれば、各コンデンサリード線36dを各コンデンサリード線挿通孔42hを介して各コンデンサリード接続孔31bに向けて案内させ易くなるため、組み付け性をさらに向上させることができる。
【0105】
(6)コネクタ保持部44は、第4載置部464の内面に対して二つの第13梁部45qを介して連結されるとともに、第4載置部464の両側に位置するボス部48の一方に対して、第14梁部45rを介して連結され、第4載置部464の両側に位置するボス部48の他方に対して、第15梁部45sを介して連結されている。したがって、ホルダ40を、ホルダ40におけるコネクタ保持部44の周辺の部分が肉抜きされた設計とすることができる。よって、端子ピン26から各コネクタ51に加わる荷重をホルダ40によって受け止めるための剛性を確保しつつも、ホルダ40全体を軽量化することができる。
【0106】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0107】
○ 実施形態において、例えば、ホルダ40に第1突起49a及び第2突起49bが設けられておらず、回路基板31に第1挿入孔31g及び第2挿入孔31hが形成されていなくてもよい。そして、例えば、回路基板31の外周縁31eがホルダ周壁47の内周面に接触することにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われているようにしてもよい。この場合、回路基板31の外周縁31eと、回路基板31の外周縁31eが接触可能なホルダ周壁47の内周面とは、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めを行う位置決め部をそれぞれ構成している。したがって、位置決め部は、回路基板31の外周縁31eと、ホルダ周壁47の内周面と、を含む。これによれば、回路基板31の外周縁31eがホルダ周壁47の内周面に接触することにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めを行うことができる。よって、ホルダ周壁47の内周面に沿って延びる回路基板31の外周縁31e、及び回路基板31の外周縁31eが接触可能なホルダ周壁47の内周面は、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めを行う位置決め部として好適である。
【0108】
○ 実施形態において、例えば、ホルダ40に第1突起49a及び第2突起49bが設けられておらず、回路基板31に第1挿入孔31g及び第2挿入孔31hが形成されていなくてもよい。そして、例えば、回路基板31の各延在縁31fが各ボス部48の外周面に接触することにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われるようにしてもよい。この場合、回路基板31の各延在縁31fと、各ボス部48の外周面とは、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めを行う位置決め部をそれぞれ構成している。したがって、位置決め部は、回路基板31の各延在縁31fと、各ボス部48の外周面と、を含む。これによれば、回路基板31の各延在縁31fが各ボス部48の外周面にそれぞれ接触することにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めを行うことができる。よって、各ボス部48の外周面それぞれに沿って延びる回路基板31の延在縁31f、及び各延在縁31fが接触可能な各ボス部48の外周面は、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めを行う位置決め部として好適である。
【0109】
○ 実施形態において、例えば、第1突起49aが第1挿入孔31gに挿入されるとともに、第2突起49bが第2挿入孔31hに挿入されることに加えて、回路基板31の外周縁31eがホルダ周壁47の内周面に接触することにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われているようにしてもよい。この場合、位置決め部は、第1突起49a及び第2突起49b、第1挿入孔31g及び第2挿入孔31h、回路基板31の外周縁31e、ホルダ周壁47の内周面を含む。
【0110】
○ 実施形態において、例えば、第1突起49aが第1挿入孔31gに挿入されるとともに、第2突起49bが第2挿入孔31hに挿入されることに加えて、回路基板31の各延在縁31fが各ボス部48の外周面に接触することにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われるようにしてもよい。この場合、位置決め部は、第1突起49a及び第2突起49b、第1挿入孔31g及び第2挿入孔31h、回路基板31の各延在縁31f、各ボス部48の外周面を含む。
【0111】
○ 実施形態において、例えば、第1突起49aが第1挿入孔31gに挿入されるとともに、第2突起49bが第2挿入孔31hに挿入されることに加えて、回路基板31の外周縁31eがホルダ周壁47の内周面に接触することにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われているようにしてもよい。さらに、回路基板31の各延在縁31fが各ボス部48の外周面に接触することにより、ホルダ40と回路基板31との相対位置の位置決めが行われるようにしてもよい。この場合、位置決め部は、第1突起49a及び第2突起49b、第1挿入孔31g及び第2挿入孔31h、回路基板31の外周縁31e、ホルダ周壁47の内周面、回路基板31の各延在縁31f、各ボス部48の外周面を含む。
【0112】
○ 実施形態において、回路基板31は、各ボス部48がそれぞれ貫通する貫通孔が形成されている構成であってもよい。この場合、各貫通孔の内周面は、各ボス部48の外周面それぞれに沿って延びる延在縁である。
【0113】
○ 実施形態において、ボス部48の数を適宜変更してもよい。ボス部48の数を変更する場合、ボス部48の数に合わせて、回路基板31に形成される延在縁31fの数を変更する必要がある。
【0114】
○ 実施形態において、ボス部48は、円筒状でなくてもよく、例えば、四角筒状であってもよい。したがって、ボス部48の形状は特に限定されるものではない。この場合、ボス部48の形状に合わせて、回路基板31に形成される延在縁31fの形状を変更する必要がある。
【0115】
○ 実施形態において、コイル保持部41、コンデンサ保持部42、素子保持部43、及びコネクタ保持部44それぞれの配置位置を適宜変更してもよい。要は、コイル保持部41、コンデンサ保持部42、素子保持部43、及びコネクタ保持部44それぞれの配置位置は特に限定されるものではない。
【0116】
○ 実施形態において、ホルダ40は、コイル保持部41を有していない構成であってもよい。要は、ホルダ40が、コイル37を保持していなくてもよい。
○ 実施形態において、ホルダ40は、コンデンサ保持部42を有していない構成であってもよい。要は、ホルダ40が、コンデンサ36を保持していなくてもよい。
【0117】
○ 実施形態において、ホルダ40は、素子保持部43を有していない構成であってもよい。要は、ホルダ40が、インテリジェントパワーモジュール39を保持していなくてもよい。
【0118】
○ 実施形態において、コイル37とコイル保持部底壁41aとの間に接着剤が塗布されていなくてもよい。
○ 実施形態において、コンデンサ36と載置壁42aとの間に接着剤が塗布されていなくてもよい。
【0119】
○ 実施形態において、インテリジェントパワーモジュール39と搭載面43aとの間に接着剤が塗布されていなくてもよい。
○ 実施形態において、回路基板31は、円板状でなくてもよく、例えば、四角板状であってもよい。したがって、回路基板31の形状は特に限定されるものではない。そして、回路基板31の形状に合わせて、ホルダ周壁47の形状を変更してもよい。よって、例えば、回路基板31が四角板状である場合、ホルダ周壁47は、四角筒状であってもよい。
【0120】
○ 実施形態において、ホルダ40は、膨出部49fが設けられていない構成であってもよい。この場合、回路基板31の外周縁31eに凹部31kが形成されていなくてもよい。
【0121】
○ 実施形態において、各コイルリード線挿通孔41cが、コイル保持部底壁41aにおける各コイルリード線37aが各コイルリード線挿通孔41cに対して挿入される側に位置する面からコイル保持部底壁41aの外面41eに向かうにつれて内周面が縮径していくテーパ形状になっていてもよい。これによれば、各コイルリード線37aを各コイルリード線挿通孔41cを介して各コイルリード接続孔31aに向けて案内させ易くなるため、組み付け性をさらに向上させることができる。
【0122】
○ 実施形態において、各素子リード線挿通孔43hが、搭載面43aから素子保持部43の外面43eに向かうにつれて内周面が縮径していくテーパ形状になっていてもよい。これによれば、各素子リード線39aを各素子リード線挿通孔43hを介して各素子リード接続孔31cに向けて案内させ易くなるため、組み付け性をさらに向上させることができる。
【0123】
○ 実施形態において、各コンデンサリード線挿通孔42hの内周面がテーパ形状になっていなくてもよい。
○ 実施形態において、コイル37は、例えば、ノーマルモードコイルであってもよい。
【0124】
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、コンデンサ36に電気的に接続される抵抗を電子部品として備えていてもよい。抵抗は、例えば、コンデンサ36に対して並列接続され、例えば、第1接続ラインEL1や第2接続ラインEL2などの電源ラインが断線した場合に、コンデンサ36に蓄積された電荷を放電する放電抵抗である。また、抵抗は、放電抵抗ではなく、例えば、ダンピング抵抗であってもよい。要は、電動圧縮機10は、コンデンサ36に電気的に接続される抵抗を電子部品として備えている構成であってもよく、抵抗の用途は特に限定されるものではない。
【0125】
○ 実施形態において、例えば、モータハウジング13の底壁13aに、有底筒状のカバー部材が取り付けられることにより、モータハウジング13の底壁13a及びカバー部材によって、インバータ収容室14aが区画されている構成であってもよい。この場合、ホルダ40は、例えば、モータハウジング13の底壁13aとカバー部材との間に挟み込まれた状態で、インバータケース14に取り付けられている。
【0126】
○ 実施形態において、コネクタ51は、コネクタリード線51aの基端部と接続端子51bとが、例えば、溶接によって接合されることにより互いに一体化されている構成ではなく、コネクタリード線51aと接続端子51bとが予め一体形成されている構成であってもよい。
【0127】
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、例えば、モータ制御装置30が、ハウジング11に対して回転軸15の径方向外側に配置されている構成であってもよい。要は、圧縮部16、電動モータ17、及びモータ制御装置30が、この順で、回転軸15の軸線方向に並設されていなくてもよい。
【0128】
○ 実施形態において、圧縮部16は、スクロール式に限らず、例えば、ピストン式やベーン式等であってもよい。
○ 実施形態において、電動圧縮機10は、車両空調装置23を構成していたが、これに限らず、例えば、電動圧縮機10は、燃料電池車に搭載されており、燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部16により圧縮するものであってもよい。
【符号の説明】
【0129】
Qu1,Qu2,Qv1,Qv2,Qw1,Qw2…電子部品であるスイッチング素子、10…電動圧縮機、11…ハウジング、14a…インバータ収容室、16…圧縮部、17…電動モータ、26…端子ピン、30…モータ制御装置、31…回路基板、31e…外周縁、31f…延在縁、31g…位置決め用孔である第1挿入孔、31h…位置決め用孔である第2挿入孔、36…電子部品であるとともにフィルタ素子であるコンデンサ、36d…部品リード線であるコンデンサリード線、37…電子部品であるとともにフィルタ素子であるコイル、37a…部品リード線であるコイルリード線、39a…部品リード線である素子リード線、40…ホルダ、41c…案内孔であるコイルリード線挿通孔、42h…案内孔であるコンデンサリード線挿通孔、43h…案内孔である素子リード線挿通孔、46a…基板載置面、47…ホルダ周壁、48…ボス部、49a…位置決め用突起である第1突起、49b…位置決め用突起である第2突起、51…コネクタ、51a…コネクタリード線、52…ネジ部材。
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9