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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】スイッチングデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/38 20060101AFI20220906BHJP
   H01H 50/54 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H01H50/38 A
H01H50/54 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020556270
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2019059545
(87)【国際公開番号】W WO2019201806
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-10-13
(31)【優先権主張番号】102018109403.5
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ウェルネル,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ロベルト
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-199132(JP,A)
【文献】特表2016-520248(JP,A)
【文献】特開2016-046007(JP,A)
【文献】特開2015-109180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/38
H01H 50/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチングチャンバ内の少なくとも2つの固定接点と
前記スイッチングチャンバ内の1つの可動接点と、を有し、
前記スイッチングチャンバはスイッチングチャンバ壁を有し、
前記固定接点のそれぞれは、前記スイッチングチャンバ壁のそれぞれの開口部を通って前記スイッチングチャンバに突き出ており、
前記可動接点に面する前記スイッチングチャンバの側に、前記固定接点によってシェーディングされる連続的な表面領域が配置され、
前記表面領域は、トレンチの一部によって少なくとも形成され、前記トレンチは、波伏の断面を有する、スイッチングデバイス。
【請求項2】
前記トレンチは、前記固定接点から見てアンダーカットを形成する、請求項1に記載のスイッチングデバイス。
【請求項3】
前記トレンチが幅B及び深さTを有し、B<Tである、請求項1又は2に記載のスイッチングデバイス。
【請求項4】
2・B<Tである、請求項3に記載のスイッチングデバイス。
【請求項5】
Bが0.5mm以上且つ2mm以下である、請求項3又は4に記載のスイッチングデバイ
【請求項6】
Tが1mm以上且つ4mm以下である、請求項3から5のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス。
【請求項7】
前記表面領域が、前記スイッチングチャンバの前記内側上に延在する少なくとも2つのダム形状の隆起の間に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス。
【請求項8】
前記表面領域が前記固定接点に対して対称に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス。
【請求項9】
前記スイッチングチャンバ壁が、金属酸化物セラミック又はプラスチックを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス。
【請求項10】
前記スイッチングチャンバに、Hを含むガスが含まれる、請求項1から9のいずれか一項に記載のスイッチングデバイス。
【請求項11】
前記ガスが少なくとも50%のHの割合を有する、請求項10に記載のスイッチングデバイス。
【請求項12】
スイッチングチャンバ内の少なくとも2つの固定接点と
前記スイッチングチャンバ内の1つの可動接点と、を有し、
前記スイッチングチャンバはスイッチングチャンバ壁を有し、
前記固定接点のそれぞれは、前記スイッチングチャンバ壁のそれぞれの開口部を通って前記スイッチングチャンバに突き出ており、
前記可動接点に面する前記スイッチングチャンバの側に、前記固定接点によってシェーディングされる連続的な表面領域が配置され、
前記表面領域は、トレンチの一部によって少なくとも形成され、前記トレンチは、幅B及び深さTを有し、B<Tである、スイッチングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スイッチングデバイスが述べられている。
【背景技術】
【0002】
当該スイッチングデバイスは、特に、導電性電流によって操作できる電磁操作のリモート操作スイッチとして設計されている。当該スイッチングデバイスは、制御回路を介してアクティブ化でき、且つ負荷回路を切り替えることができる。特に、当該スイッチングデバイスは、リレー又はコンタクタ(Schuetz)として、特にパワーコンタクタ(Leistungsschuetz)として設計することができる。当該スイッチングデバイスは、特に好ましくは、ガス充填パワーコンタクタとして設計することができる。
【0003】
このようなスイッチングデバイス、特にパワーコンタクタの考えられる用途の1つは、例えば電気的又は部分的に電気的に作動する自動車などの自動車におけるバッテリー回路の開閉である。これらは、例えば、純粋なバッテリー駆動の車両(BEV:「バッテリー電気車両」)、ソケット又は充電ステーションを介して充電できるハイブリッド電気車両(PHEV:「プラグインハイブリッド電気車両」)、及びハイブリッド電気車両(HEV:「ハイブリッド電気車両」)であり得る。その際、原則として、バッテリーのプラスとマイナスの両方の接点は、パワーコンタクタを使用して切断される。この分離は、通常の操作で、例えば、車両がアイドル状態のときや、事故などの不具合が発生したときなど、で行われる。その際、コンタクタの主なタスクは、車両を電源から切り離し、電流の流れを遮断することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなスイッチの寿命は、通常、スイッチが開いたときに十分な絶縁抵抗がなくなったときに到達する。スイッチが開いているときに抵抗が50MΩを下回ると、通常、スイッチは故障したと見なされる。例えば、システム電圧が900Vの場合、これは、ミリワット範囲の電力がすでに絶縁抵抗で発生している可能性があることを意味する。
【0005】
絶縁抵抗の低下の一般的な原因は、スイッチ内部の接触材料の侵食である可能性がある。スイッチング操作中にアークをスイッチングすることにより、接点の材料を除去できるためである。次に、これらは内壁に堆積し、導電性コーティングを形成します。これにより、スイッチング接点がブリッジされる。
【0006】
特定の実施形態の少なくとも1つの目的は、スイッチングデバイス、特に好ましくは記載された不利な点を防止又は少なくとも軽減することができるスイッチングデバイスを提供することである。
【0007】
この目的は、独立特許請求に記載の主題によって達成される。主題の有利な実施形態及び開発は、従属請求項において特徴付けられ、さらに、以下の説明及び図面から明らかである。
【0008】
一実施形態によれば、スイッチングデバイスは、少なくとも2つの固定接点及び少なくとも1つの可動接点を有する。前記少なくとも2つの固定接点と前記少なくとも1つの可動接点は、前記スイッチングデバイスに、及び特に前記少なくとも2つの固定接点に接続できる負荷回路のオンとオフを切り替えるように提供及び設定されている。したがって、前記可動接点は、前記スイッチングデバイス内で、前記スイッチングデバイスの非スイッチング状態とスイッチングデバイス状態との間で、前記スイッチングデバイスの非スイッチング状態の前記可動接点が少なくとも2つの固定接点から離間され、及びしたがって電気的に分離され、及びスイッチング状態の可動接点が少なくとも2つの固定接点と機械的接触を有し、及びしたがってそれらに電気的に接続されるような方法で、移動可能である。したがって、前記少なくとも2つの固定接点は、前記スイッチングデバイス内で互いに別々に配置され、且つ前記可動接点の状態に応じて、導電性の方法で互いに接続するか、又は互いに電気的に分離することができる。前記固定接点及び/又は前記可動接点は、例えば、Cu、Cu合金、Wo、Ni及び/又はCrなどの1つ又は複数の耐火性金属、例えばWo、Ni及び/又はCrなど、又は指定された材料、例えば銅と少なくとも1つの追加の金属、例えばWo、Ni、及び/又はCrの混合物でできているか、又はからできることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
さらなる一実施形態によれば、当該スイッチングデバイスは、前記可動接点及び前記少なくとも2つの固定接点が配置された1つのスイッチングチャンバを有する。前記可動接点は、特に前記スイッチングチャンバ内に完全に配置することができる。前記スイッチングチャンバ内に1つの固定接点が配置されていることは、スルースイッチング状態で前記可動接点と機械的に接触している前記固定接点の少なくとも1つの接触領域が前記スイッチングチャンバ内に配置されていることを意味することができる。前記スイッチングチャンバ内に配置された1つの固定接点は、前記スイッチングデバイスによってスイッチングされる回路の供給ラインの接続のために、外部から、すなわち前記スイッチングチャンバの外側から電気的に接触可能であり得る。この目的のために、前記スイッチングチャンバ内に配置された1つの固定接点は、前記スイッチングチャンバからの一部と突き出る可能性があり、且つ前記スイッチングチャンバの外側に供給ラインへの接続オプションを持つことができる。
【0010】
さらなる一実施形態によれば、当該スイッチングデバイスは、その中に前記可動接点と前記少なくとも2つの固定接点が配置された1つのハウジングを備えている。前記可動接点は、特に完全に前記ハウジング内に配置することができる。前記固定接点が前記ハウジング内に配置されていることは、特に、スルースイッチング状態で前記可動接点と機械的に接触している前記固定接点の少なくとも1つの接触領域が前記ハウジング内に配置されていることを意味する可能性がある。当該スイッチングデバイスによってスイッチングされる回路の給電線を接続するために、前記ハウジング内に配置された1つ固定接点は、外部から、すなわち、前記ハウジングの外部から電気的に接触可能であり得る。この目的のために、前記ハウジング内に配置された1つの固定接点は、ハウジングからの一部と突出する可能性があり、且つ前記ハウジングの外側に供給ラインへの接続オプションを持つことができる。
【0011】
さらなる一実施形態によれば、前記接点は、前記ハウジング内のガス雰囲気中に配置される。これは、特に、前記可動接点が完全に前記ハウジング内の前記ガス雰囲気中に配置されること、及び前記固定接点の少なくとも一部、例えば、前記固定接点の接触領域もまた、前記ハウジング内の前記ガス雰囲気中に配置されることを意味し得る。したがって、当該スイッチングデバイスは、特に好ましくは、ガス充填コンタクタなどのガス充填スイッチングデバイスであり得る。前記ガス雰囲気は、特に、スイッチングプロセス中に発生する可能性のあるアークの消滅を促進する可能性がある。前記ガス雰囲気中のガスは、好ましくは、少なくとも50%のHの割合を有することができる。水素に加えて、ガスは、不活性ガス、特に好ましくはN及び/又は1つ又は複数の貴ガスを含むことができる。
【0012】
さらなる一実施形態によれば、前記スイッチングチャンバは、前記ハウジング内に配置されている。さらに、特に前記ガス、すなわち前記ガス雰囲気の少なくとも一部は、前記スイッチングチャンバ内に配置することができる。
【0013】
さらなる一実施形態によれば、前記可動接点は、マグネット電機子(Magentanker)によって移動することができる。この目的のために、前記マグネット電機子(Magnetanker)は、特に軸を持つことができる。前記軸は、前記可動接点が前記軸によって移動可能であるように、すなわち、前記軸が移動するときにこれによっても移動されるように、一端が可動接点に接続されている。前記軸は、特に、前記スイッチングチャンバの開口部を通って前記スイッチングチャンバ内に突き出ることができる。特に、前記スイッチングチャンバは、前記軸が突き出る開口部を有するスイッチングチャンバ底部を有することができる。前記マグネット電機子は、上記のスイッチング操作を実行するために、磁気回路によって移動することができる。この目的のために、前記磁気回路は、前記マグネット電機子の軸が突き出る開口部を有するヨークを有することができる。
【0014】
前記軸は、好ましくは、ステンレス鋼を含むか、又はステンレス鋼から作ることができる。前記ヨークは、好ましくは、純鉄又は低ドープド鉄合金を有するか、又はそれらから構成され得る。前記スイッチングチャンバ、すなわち特に、前記スイッチングチャンバ壁及び/又は前記スイッチングチャンバ底部は、少なくとも部分的に好ましくは、Alなどの金属酸化物セラミック又はプラスチックを含むことができるか、又はそれらから作製され得る。特に適したプラスチックは、十分な耐熱性を備えたものである。例えば、前記スイッチングチャンバは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(PE)、及び/又はガラス充填ポリブチレンテレフタレート(PBT)をプラスチックとして持つことができる。さらに、前記スイッチングチャンバは、特に構造(CHO)を有するポリオキシメチレン(POM)を少なくとも部分的に有することもできる。このようなプラスチックは、炭素含有量が比較的低く、且つグラファイトを形成する傾向が非常に低いことを特徴とすることができる。特に(CHO)の場合、炭素と酸素の比率が同じであるため、熱による分解、特にアークによる分解の場合、主にガス状のCOとHが発生する可能性がある。前記追加の水素は、アーク消光を増加させる可能性がある。
【0015】
さらなる一実施形態によれば、前記スイッチングチャンバは、前記可動接点に面する内側を有する。特に、前記スイッチングチャンバ壁には、前記可動接点に面する対応する内側がある。前記スイッチングチャンバ底部には、前記可動接点に面する対応する内側もある。前記スイッチングチャンバ壁の内側と前記スイッチングチャンバ底部の内側は一緒になって、前記スイッチングチャンバの内側の少なくとも一部、好ましくは全体を形成することができる。
【0016】
それを介して前記固定接点が前記スイッチングチャンバに突き出ている前記開口部の領域では、前記スイッチングチャンバ壁の内側が前記固定接点に隣接している。例えば、接触材料を取り除くことによって、導電性の堆積物が内部に形成される場合、導電性の接続が原則として固定接点間に形成され得る。これを回避するために、スイッチングチャンバは、可動接点に面するスイッチングチャンバの内側の開口部の間のスイッチングチャンバ壁に、固定接点によってシェーディングされる連続的な表面領域(Oberflaechenbereich)を有する。これは特に、スイッチングチャンバの内部を通じて固定接点の表面上の任意の点に直接接続することによって接続可能なシェーディングされる表面領域の点がないことを意味する。電気アーク中に接点から除去できる材料はシェーディングされる表面領域に直接到達できないため、その上に堆積することはできない。シェーディングされる表面領域が連続しているという事実は、スイッチングチャンバ壁の内側を介した固定接点間の、対応する導電性材料のコーティングで漏れ電流経路を形成する、すべての可能な経路は、表面領域によって中断され、そのため、スイッチングチャンバ壁の内側に物質が沈殿していても、固定接点間の内側に連続的な漏れ電流経路が発生することはないことを特に意味することができる。
【0017】
特に、シェーディングされる表面領域は、固定接点から見てアンダーカットを形成するトレンチの一部によって少なくとも形成することができる。シェーディングされる表面領域は、固定接点から見てアンダーカットを形成するトレンチの少なくとも一部によって形成することができる。したがって、シェーディング効果はアンダーカットによって実現される。シェーディングされる表面領域は、トレンチの床領域の少なくとも一部、もしくは床領域全体を持つことができるか、それによって形成することができる。さらに、トレンチは、シェーディングされる表面領域の少なくとも一部を形成できるトレンチ壁を持つことができる。

【0018】
トレンチは、例えば、角のある断面を有することができる。例えば、断面を長方形にすることができる。さらに、トレンチは波伏の断面を持つこともできる。断面が波状のトレンチは、エッジがないため、製造を簡素化できる。
【0019】
さらなる一実施形態によれば、トレンチは、幅B及び深さTを有する。特に、B<T、及び特に好ましくは2・B<Tが適用できる。言い換えれば、トレンチは、幅よりも深く、特に幅の2倍以上の深さが好ましい。例えば、Bは0.5mm以上且つ2mm以下にすることができる。さらに、Tは1mm以上且つ4mm以下にすることができる。
【0020】
表面領域は、スイッチングチャンバ壁の内側の周囲の領域に関連して皿穴をあける(versenkt)ことが、つまり、チャネル形状の凹んだ(versenkten)トレンチの領域として、できる。さらに、表面領域は、スイッチングチャンバの内側に広がる少なくとも2つのダム形状の隆起の間に配置することもできる。
【0021】
表面領域は、特に好ましくは、固定接点に対して対称に配置することができる。これは、特に、表面領域が中央に配置されているため、固定接点間で等距離に配置されていることを意味する場合があります。
【0022】
さらなる一実施形態によれば、スイッチングチャンバ底部は、スイッチングチャンバ壁の表面領域について上記の機能の1つ又は複数を持つことができる連続したシェーディングされる表面領域を有する。特に、スイッチングチャンバ壁のシェーディングされる表面領域とスイッチングチャンバ底部のシェーディングされる表面領域は、コヒーレントなシェーディングされる表面領域を形成することができる。そのため、固定接点間のスイッチングチャンバの内側に連続的な漏れ電流経路が形成されることはあり得ない。

【0023】
連続的なシェーディングされる表面領域によって、導電性コーティングの形成の問題を解決することができる。なぜなら、表面領域は、気化できないスイッチングチャンバのアンダーカットによって形成されているからである。この表面領域は、特に好ましくは、チャンバ内で円周方向に配置され、スイッチングチャンバの内部が気化された場合でさえ、2つの固定接点を効果的に分離する。
【0024】
さらなる利点、有利な実施形態及び開発は、図に関連して以下に記載される実施形態から生じる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A図1A及び1Bは、スイッチングデバイスの一例の概略図である。
図1B図1A及び1Bは、スイッチングデバイスの一例の概略図である。
図2A図2Aから2Cは、さらなる一実施形態によるスイッチングチャンバ壁及びスイッチングデバイスの概略図である。
図2B図2Aから2Cは、さらなる一実施形態によるスイッチングチャンバ壁及びスイッチングデバイスの概略図である。
図2C図2Aから2Cは、さらなる一実施形態によるスイッチングチャンバ壁及びスイッチングデバイスの概略図である。
図3A図3A及び3Bは、さらなる一実施形態によるスイッチングデバイスのスイッチングチャンバ壁の概略図である。
図3B図3A及び3Bは、さらなる一実施形態によるスイッチングデバイスのスイッチングチャンバ壁の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
前記実施形態及び図において、同じ、同じタイプ、又は同じ効果を持つ要素には、それぞれ同じ参照記号を付けることができる。図示されている要素とそれらの相互の比率は、正確な縮尺であると見なされるべきではない。むしろ、より良い説明及び/又はより良い理解のために、個々の要素、例えばレイヤー、部材、構成要素、及び領域など、を誇張して示すことができる。
【0027】
図1A及び1Bに、1つのスイッチングデバイス100が示されている。スイッチングデバイス100は、例えば、強い電流及び/又は高い電圧を切り替えるために使用することができ、リレー又はコンタクタ(Schuetz)、特にパワーコンタクタ(Leistungsschuetz)であり得る。図1Aに三次元断面図を示す一方、図1Bに2次元断面図を示す。以下の説明は、図1A及び1Bに等しく適用される。示されている形状は、例示的なものとして理解されるべきであり、限定的なものではなく、代替として設計することもできる。
【0028】
スイッチングデバイス100は、1つのハウジング1内に2つの固定接点2、3及び1つの可動接点4を有する。可動接点4は、接点プレートとして設計されている。固定接点2、3は可動接点4とともにスイッチング接点を形成する。ハウジング1は、主に、内部に配置された構成要素の接触に対する保護として機能し、プラスチック、例えば、PBT又はガラス充填PBTを含むか、又はプラスチックでできている。接点2、3、4は、例えば、Cu、Cu合金、又は銅と少なくとも1つのさらなる金属、例えば、Wo、Ni及び/又はCrとの混合物であるか、又はそれらで作ることができる。
【0029】
図1A及び1Bに、スイッチングデバイス100はアイドル状態で示される。ここで、可動接点4は固定接点2、3から離間されており、その結果、接点2、3、4は互いに電気的に分離されている。スイッチング接点の図解された設計、及び特にそれらの形状は、純粋に例示的なものであり、且つ制限として理解されるべきではない。あるいは、スイッチング接点を別の方法で設計することもできる。例えば、スイッチング接点の1つだけが固定されている可能性がある。
【0030】
スイッチングデバイス100は、本質的にスイッチング動作を実行する可動マグネット電機子5を有する。マグネット電機子5は、例えば強磁性材料を備えた、又は強磁性材料で作られた磁気コア6を有する。さらに、マグネット電機子5は、磁気コア6を通って案内され、且つ軸の一端で磁気コア6にしっかりと接続されている、軸7を有する。磁気コア6の反対側の軸のもう一方の端で、マグネット電機子5は可動接点4、これも軸7に接続されている、を有する。軸7は、好ましくは、ステンレス鋼で、又はステンレス鋼から作製することができる。
【0031】
磁気コア6はコイル8に囲まれている。外部からスイッチを入れることができるコイル8内の電流の流れは、可動接点4が固定接点2、3と接触するまで、磁気コア6、及びしたがってマグネット電機子5全体の軸方向の動きを生成する。したがって、マグネット電機子5は、アイドル状態に対応する第1の位置から、同時に切断、すなわち非スイッチング状態に、アクティブ、すなわちスイッチング状態に対応する第2の位置に移動する。アクティブ状態では、接点2、3、4は互いに電気的に接続されている。別の一実施形態では、マグネット電機子5は、代わりに、回転運動を実行することもできる。マグネット電機子5は、特に、引っ張り電機子(Zuganker)又はピボット電機子(Klappanker)として設計することができる。コイル8内の電流の流れが遮断されると、マグネット電機子5は、1つ又は複数のばね10によって第1の位置に戻される。次に、スイッチングデバイス100は、再び、接点2、3、4が開いているアイドル状態にある。
【0032】
接点2、3、4を開くと、接触面を損傷する可能性のあるアークが発生する可能性がある。これはリスクにつながる可能性がある。それによって、アークによる溶接により、接点2、3、4が互いに「くっつき」、もはや互いに分離しなくなるリスクがある。そのようなアークの発生を防止するために、又は少なくとも発生するアークの消火をサポートするために、接点2、3、4はガス雰囲気に配置される。そのため、スイッチングデバイス100は、ガス充填リレー又はガス充填コンタクタとして設計されている。この目的のために、接点2、3、4は、ハウジング1の密閉された部分において、スイッチングチャンバ壁12及びスイッチングチャンバ底部13によって形成されるスイッチングチャンバ11内に配置される。ハウジング1、及び特にハウジング1の密閉された部分は、マグネット電機子5及び接点2、3、4を完全に取り囲んでいる。ハウジング1の密閉された部分、及びしたがってスイッチングチャンバ11もまた、ガス14で満たされている。スイッチングデバイス100の製造中にガスフィラーネック15を介して充填することができるガス14は、特に好ましくは水素を含むことができる。例えば、不活性ガスに50%以上のHが含まれている場合や、100%Hが含まれている場合もある。水素を含むガスはアークの消火を促進する可能性があるためである。さらに、いわゆる吹消磁石(Blasmagnete)(図示せず)、すなわち、アーク経路の延長を引き起こし、したがってアークの消火を改善することができる永久磁石、がスイッチングチャンバ11の内側又は外側に存在することができる。スイッチングチャンバ壁12及びスイッチングチャンバ底部13は、例えば、Alなどの金属酸化物を用いて、又はそれから製造することができる。さらに、十分に高い耐熱性を備えたプラスチック、例えば、PEEK、PE及び/又はガラス充填PBTもまた適切である。代替として又は追加として、スイッチングチャンバ11は、特に構造(CHO)を用いて、少なくとも部分的にPOMを有することもできる。
【0033】
従来のスイッチングチャンバ11が図1A及び1Bに示されている。スイッチング動作中に発生するアークにより、スイッチングチャンバ11の内壁に沈降し、そこで導電性コーティングを形成することができる接触材料の侵食が発生する可能性がある。その結果、固定接点2、3間の絶縁抵抗が減少し、最終的にスイッチングデバイスの故障につながる可能性がある。
【0034】
図2A~2Cに関連して、スイッチングデバイス100のスイッチングチャンバ壁12の実施形態が示され、これにより、記載された問題を回避することができる。図2A及び2Bには、スイッチングチャンバ壁12が3次元図及びその断面図で示されている。スイッチングデバイス100のセクションが図3に示されている。以下の説明は、図2Aから2Cに等しく適用される。図2Aから2Cに関連して示されていない及び/又は説明されていないスイッチングデバイス100の構成要素及び特徴は、図1A及び1Bに関連して説明されているように設計することができる。
【0035】
スイッチングチャンバ壁12は、スイッチングチャンバの内側の一部を形成する内側121を有する。図2Aから2Cに示されていないスイッチングチャンバ底部は、対応する内側を有する。スイッチングチャンバ壁12には、固定接点2、3がスイッチングチャンバ内に突出する開口部122が存在する。固定接点2、3によってシェーディングされる連続表面領域123が、開口部122の間、及びしたがって固定接点2、3の間に形成される。
【0036】
図2Cでは、純粋に例として、材料除去領域20が接点2と4との間に示され、そこでは接点材料がアークによって侵食される。矢印21は、例として、接触材料が内側121に沈降することができる材料の対応する除去を示している。接触材料が開口部122間の連続経路に沿って堆積することを回避するために、シェーディングされる表面領域123は、内側121を介した開口部123間の可能な接続が遮断されるように設計される。したがって、シェーディングされた表面領域123は、スイッチングチャンバ壁12の内側121の一方のエッジから別のエッジまで連続的に延在し、且つ、固定接点2、3から見た場合、シェーディング効果が達成されるアンダーカットを形成するトレンチ124の一部によって少なくとも形成される。シェーディングされる表面領域123は、トレンチ124の底面の少なくとも一部、又は底面全体を有するか、又はそれによって形成することができる。さらに、トレンチ124は、シェーディングされる表面領域123の少なくとも一部を形成することができるトレンチ壁を有することができる。図2Aに見られるように、表面領域123は、好ましくは、開口部122に対して対称に配置され、及びしたがって、固定接点2、3に対して対称に配置される。これは、特に、表面領域123が中央に配置され、及びしたがって固定接点間で等距離に配置されることを意味し得る。
【0037】
図2Bに見られるように、示されている例示的な実施形態のトレンチ124は、角断面、特に長方形断面を有する。表面領域123は、スイッチングチャンバ壁12の内側121上に延びる少なくとも2つのダム形状の隆起125の間に配置されている。ダム形状の隆起の間の空間がトレンチ124を形成する。あるいは、又は追加として、表面領域123は、スイッチングチャンバ壁12の内側121の周囲領域に対して皿穴を形成することもできる。つまり、チャネル形状のくぼんだトレンチの領域として、である。トレンチ124は、幅B及び深さTを有する。特に、B<T、及び特に好ましくは2・B<Tであり、これにより、効果的なシャドウイングを実現できる。例えば、Bは0.5mm以上且つ2mm以下にすることができる。さらに、Tは1mm以上且つ4mm以下にすることができる。
【0038】
示されているスイッチングチャンバ壁12に加えて、スイッチングチャンバのスイッチングチャンバ底部はまた、上記の特徴を有することができる連続的なシェーディングされる表面領域を有することができる。
【0039】
図3A及び3Bでは、スイッチングチャンバ壁12の別の例示的な実施形態が、3次元図及び断面図で示されている。前の例示的な実施形態と比較して、波状の断面を有するトレンチ124が形成されている。断面が角張ったトレンチと比較して、特に成形プロセスを使用してスイッチングチャンバ壁12を製造する場合、波状断面を有するトレンチをより容易に製造することができる。
【0040】
示される例示的な実施形態では、スイッチングチャンバ壁12は、約54mmの長さ、約24mmの幅、及び約25mmの高さを有する外形寸法を有することができる。図3Bに拡大して示されるシェーディングされる領域を形成する構造は、好ましくは、前述の幅B及び深さTを有することができ、例えば、Bは、約1mmであり、Tは、約1.4mm以上であり得る。構造物の全幅Gは、例えば、約6mm、トレンチ124の底部の曲率半径R1は約0.5mm、ダム形状の高さ125の曲率半径R2は約1mmであり得る。示された角度α及びβは、例えば、10°及び30°であり得る。
【0041】
図に関連して説明された特徴及び例示的な実施形態は、すべての組み合わせが明示的に記載されていない場合でも、さらなる例示的な実施形態に従って互いに組み合わせることができる。さらに、図に関連して説明された例示的な実施形態は、代替的又は追加的に、一般的な部分の説明によるさらなる特徴を有することができる。
【0042】
例示的な実施形態に基づく説明は、本発明に限定されない。むしろ、本発明は、この特徴又はこの組み合わせ自体が特許請求の範囲又は例示的な実施形態において明示的に指定されていない場合でも、特に特許請求の範囲における特徴の任意の組み合わせを含む、任意の新しい特徴及び任意の特徴の組み合わせを包含する。
【符号の説明】
【0043】
参照記号のリスト
1 ハウジング
2、3 固定接点
4 可動接点
5 マグネット電機子
6 磁気コア
7 軸
8 コイル
9 ヨーク
10 ばね
11 スイッチングチャンバ
12 スイッチングチャンバ壁
13 スイッチングチャンバ底部
14 ガス
15 ガスフィラーネック
20 材料除去領域
21 材料の除去
100 スイッチングデバイス
121 内側
122 開口部
123 表面領域
124 トレンチ
125 ダム形状の隆起
α、β 角度
B 幅
G 全幅
R1、R2 半径
T 深さ


図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B