(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】表示具
(51)【国際特許分類】
A63H 33/00 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
A63H33/00 Z
(21)【出願番号】P 2017244377
(22)【出願日】2017-12-20
【審査請求日】2020-09-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591108411
【氏名又は名称】株式会社プレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188868
【氏名又は名称】小川 智丈
(72)【発明者】
【氏名】下田 竜彦
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/035462(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3130223(JP,U)
【文献】特開平07-013224(JP,A)
【文献】米国特許第5538166(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
A45C 13/30
A47G 29/10
G03B 15/00
G09F 19/00,23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に構成され、グリップとして機能し得る
持ち手部材である棒状の第一部材と、
キャラクタを視覚的に表す板状の第二部材と、
を備える表示具であって、
前記第一部材は、
前記キャラクタを構成せず、
その長手方向の長さが、前記第二部材よりも長く、その短手方向の長さが、前記第二部材よりも短く、
一方端部において接続機構を介して前記第二部材に回動可能に取り付けられており、
他方端部において前記表示具を他の物品に取り付けるために用いられる部材を取り付けることができるように構成されており、
前記一方端部での回動により、前記一方端部を除く部位が前記第二部材に対して重ならない第一状態と、前記他方端部を除く部位が前記第二部材に対して重な
り、前記他方端部が前記キャラクタの像の上方に位置する第二状態と、
をとることができる
表示具。
【請求項2】
前記第二状態において前記第一部材は前記キャラクタの背面側に位置するよう前記第二部材と重なる
請求項1に記載の表示具。
【請求項3】
前記接続機構は、前記第二部材の前記キャラクタの像の下方において前記第一部材と前記第二部材とを接続している
請求項1
または2に記載の表示具。
【請求項4】
直線状に構成され、グリップとして機能し得る
持ち手部材である棒状の第一部材と、キャラクタを視覚的に表す板状の第二部材と、を
備える表示具の使用方法であって、
前記第一部材は、
前記キャラクタを構成せず、
その長手方向の長さが、前記第二部材よりも長く、その短手方向の長さが、前記第二部材よりも短く、
一方端部において接続機構を介して前記第二部材に回動可能に取り付けられており、
他方端部において前記表示具を他の物品に取り付けるために用いられる部材を取り付けることができるように構成されており、
前記一方端部での回動により、前記一方端部を除く部位が前記第二部材に対して重ならない第一状態と、前記他方端部を除く部位が前記第二部材に対して重な
り、前記他方端部が前記キャラクタの像の上方に位置する第二状態と、
をとることができ、
前記使用方法は、
前記第一状態において端末により前記第二部材を撮像することと、
前記第二状態において前記表示具を他の物品に取り付けることと、を含む
表示具の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャラクタの表示具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SNS(Social Networking Service)の広がりと共に、旅先や外出先でぬいぐるみやフィギュアなどと写真を撮り、SNSにアップする人が増えている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「インスタで大流行! 「ぬい撮り」のコツを『ちょっこりさん』担当者に聞いた」、https://time-space.kddi.com/digicul-column/suguyaru/20170919/2099、(平成29年12月14日検索)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載される「ぬい撮り」では、ぬいぐるみをいったん撮影スポットに置いてから撮影することとなる。したがって、ぬいぐるみの配置には制限がある。また、ぬいぐるみやフィギュアを手に持って画角に入れる場合、ぬいぐるみやフィギュアの全体を画角に入れようとするとそれを持つ手が画角に入ることを避けることができない。
【0005】
本発明の目的は、キャラクタを画角に入れて撮像する際の利便性を高めることができる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、表示具に関する。この表示具は、直線状に構成され、グリップとして機能し得る持ち手部材である棒状の第一部材と、キャラクタを視覚的に表す板状の第二部材と、を備える表示具であって、前記第一部材は、前記キャラクタを構成せず、その長手方向の長さが、前記第二部材よりも長く、その短手方向の長さが、前記第二部材よりも短く、一方端部において接続機構を介して前記第二部材に回動可能に取り付けられており、他方端部において前記表示具を他の物品に取り付けるために用いられる部材を取り付けることができるように構成されており、前記一方端部での回動により、前記一方端部を除く部位が前記第二部材に対して重ならない第一状態と、前記他方端部を除く部位が前記第二部材に対して重なり、前記他方端部が前記キャラクタの像の上方に位置する第二状態と、をとることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キャラクタを画角に入れて撮像する際の利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係るキーチェーンの使用例を示す説明図である。
【
図2】実施の形態に係るキーチェーンを用いて撮像した結果得られる画像の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3(a)~(e)は、キーチェーンの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理、信号には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面において説明上重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0010】
図1は、実施の形態に係るキーチェーン10の使用例を示す説明図である。キーチェーン10には、現実または非現実のキャラクタが視認可能な態様で表されている。非現実のキャラクタは例えばアニメーションや漫画や小説のキャラクタであってもよい。現実のキャラクタは例えば芸能人や俳優や歴史上の人物であってもよい。
【0011】
ユーザ12は非使用状態のキーチェーン10を、スマートフォンや携帯電話やタブレットなどの携帯端末14、またはカバンやベルトに取り付けている。ユーザ12がキーチェーン10に表されるキャラクタと共にあるスポットを撮像する場合、まずキーチェーン10を外して使用状態に変形させる。次に
図1に示されるようにユーザ12は片方の手で携帯端末14のカメラをスポットに向けて構え、もう片方の手で使用状態のキーチェーン10の持ち手部材を持ってキーチェーン10のキャラクタ部材がカメラの画角に入るようにする。その状態でユーザ12はカメラによる撮像を実行する。
【0012】
図2は、実施の形態に係るキーチェーン10を用いて撮像した結果得られる画像16の一例を示す模式図である。画像16にはスポットの風景18と共に、キーチェーン10のキャラクタ部材102が映り込んでいる。
図2にはユーザ12が手でキーチェーン10の持ち手部材104を持っている様子が示される。このように、本実施の形態に係るキーチェーン10を用いると、あたかもキャラクタ20がそのスポットにいるかのような画像16を得ることができる。
【0013】
図3(a)~(e)は、キーチェーン10の構造図である。
図3(a)は、使用状態のキーチェーン10の正面図である。キーチェーン10は、板状のキャラクタ部材102と、棒状の持ち手部材104と、を備える。キャラクタ部材102はキャラクタ20を視覚的に表す部材である。キャラクタ部材102の表面には反射を抑制するための処理が施されてもよい。この場合、フラッシュ撮影の際の反射を抑制することができる。
【0014】
持ち手部材104はキャラクタ部材102に回動可能に取り付けられる。持ち手部材104はキャラクタ部材102に対して360度回動可能であり、なんら回動トルクが加えられない状態ではキャラクタ部材102と持ち手部材104との相対位置は維持される。
【0015】
キャラクタ部材102から遠位となる持ち手部材104の遠位端部104aは、チェーン106やストラップを取り付けることができるよう構成される。具体的には、遠位端部104aはL字形状に形成され、遠位端部104aにはチェーン106やストラップを通すための孔108が設けられている。ここで、チェーン106やストラップは、キーチェーン10を携帯端末14やカバンに取り付けるために用いられる部材である。撮像時、使用状態における持ち手部材104はグリップとして機能する。
【0016】
図3(b)は、使用状態のキーチェーン10の側面図である。
図3(c)は、使用状態のキーチェーン10の背面図である。キャラクタ部材102は、第一透明板110と、キャラクタ20の像が印刷されたシール112と、第二透明板114と、を含む。キャラクタ部材102は、第二透明板114の上面にシール112を貼り、さらにその上に第一透明板110を重ねて接着材により固定することで作成される。第一透明板110、第二透明板114はそれぞれ実質的に透明であればよく、例えばアクリル板や透明プラスチック板から作成されてもよい。このようにシール112を透明板110、114で挟み込む構造とすることにより、シール112が露出する場合と比較して、シール112の摩耗や損傷を低減し、キーチェーン10の製品寿命を延ばすことができる。
【0017】
なお、本実施の形態ではキャラクタ20はキャラクタ20の像が印刷されたシールとして表されるが、これに限られず、例えば透明な板の面にキャラクタ20の像が直接描かれてもよい。
【0018】
キャラクタ部材102と持ち手部材104との接続機構は、ねじ116と、スペーサ118と、を含む。接続機構はキャラクタ部材102の背面102a側に設けられ、特にキャラクタ部材102を正面から見たときにキャラクタ20によって隠される(または、キャラクタ20の像と重なる)位置に設けられる。あるいはまた、接続機構はキャラクタ20の像の下方に設けられてもよい。
【0019】
スペーサ118はテフロン(登録商標)やゴムや金属等から形成されるドーナツ状の部材であり、キャラクタ部材102の背面102aと持ち手部材104の前面104bとの間に挟まれる。ねじ116は持ち手部材104とスペーサ118とキャラクタ部材102とを一体に締結する。ねじ116は、キャラクタ部材102により近い側の持ち手部材104の近位端部104cに設けられた孔と、スペーサ118の中心孔と、を通り、キャラクタ部材102に設けられた対応するねじ穴に螺合される。ねじ116の締め付けトルクと、スペーサ118のサイズや材質と、はキャラクタ部材102と持ち手部材104との相対運動が可能なように、かつ、直接的な外力が加えられていない場合にキャラクタ部材102と持ち手部材104との相対位置が維持されるように、選択される。
【0020】
図3(d)は、別の使用状態のキーチェーン10の正面図である。
図3(a)に示されるキーチェーン10の使用状態から、持ち手部材104をキャラクタ部材102に対して90度回動させることで、
図3(d)の状態が得られる。この状態は、画像の右上にキャラクタ20を表示させる際に便利である。
図3(a)の状態のキーチェーン10を用いて画像の右上にキャラクタ20を表示させようとすると、どうしても持ち手部材104とそれを持つ手とが画像に写り込んでしまう。これに対して
図3(d)の状態のキーチェーン10を用いる場合、画像の横からキャラクタ部材102を画角に入れることで、持ち手部材104やそれを持つ手が画像に写り込まないようにすることができる。
【0021】
図3(e)は、非使用状態のキーチェーン10の正面図である。
図3(a)に示されるキーチェーン10の使用状態から、持ち手部材104をキャラクタ部材102に対して180度回動させることで、
図3(e)の状態が得られる。キャラクタ部材102と持ち手部材104との相対位置がとりうる状態は、
図3(a)や
図3(d)に示される使用状態と、使用状態よりも持ち手部材104を把持しにくい非使用状態と、を含む。非使用状態では、
図3(e)に示されるように、持ち手部材104の一部はキャラクタ20の背面側に位置するようキャラクタ部材102と重なっている。持ち手部材104はキャラクタ部材102の背面に隠れているので、ユーザ12は持ち手部材104を持ちにくい。一方、非使用状態のキーチェーン10の全体の見た目は、通常のキーチェーンやキーホルダと似ており、キーチェーン10を携帯端末14やカバンに取り付けた際の違和感は低減または除去される。
【0022】
キーチェーン10は、非使用状態において、持ち手部材104の遠位端部104aはキャラクタ部材102と重ならないよう構成される。これにより、非使用状態において、遠位端部104aに取り付けられたチェーン106とキャラクタ部材102との干渉を避ける得ることができる。
【0023】
本実施の形態に係るキーチェーン10によると、使用状態のキーチェーン10のキャラクタ部材102全体を画角に入れても、持ち手部材104を持つ手は画角に入らない。したがって、キャラクタ20の全体を画像に入れつつ、持つ手は画像に入らないようにすることができる。
【0024】
本実施の形態に係るキーチェーン10によると、例えば以下のような価値をユーザ12に提供することができる。ユーザ12は、非使用状態のキーチェーン10を携帯端末14やカバンに取り付けて外出する。ユーザ12は、外出先で写真を撮りたいスポットに遭遇した場合、キーチェーン10の持ち手部材104を180度回動させることで使用状態とする。ユーザ12は持ち手部材104を持ってキャラクタ20と一緒にスポットの写真を撮る。このように、ユーザ12は手軽にキャラクタ20とお出かけ先で写真を撮ることができる。また、キーチェーン10はグリップとして持ち手部材104を有しているので、撮影がより容易となる。さらに、非使用状態のキーチェーン10はコレクションしやすく、またカバンや携帯端末14に取り付けることができる。
【0025】
以上、実施の形態に係るキーチェーン10について説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解される。
【0026】
実施の形態では、キャラクタ20の像が印刷されたシール112を用いるか、またはキャラクタ20の像を透明板に直接描く場合について説明したが、これに限られない。例えばキャラクタ20の立体像(例えば、フィギュアやぬいぐるみ)が用いられてもよい。
【0027】
実施の形態では、キャラクタ部材102はキャラクタ20が見える正面とキャラクタ20が見えない背面102aとを有する場合について説明したが、これに限られない。例えばキャラクタ部材の両面にそれぞれキャラクタを描くことで、キャラクタ部材のどちら側から見てもキャラクタが見えるようにしてもよい。
【0028】
実施の形態では、持ち手部材104はキャラクタ部材102に回動可能に取り付けられる場合について説明したが、これに限られない。例えば、キャラクタ部材の内部に持ち手部材が収まるスペースを設け、非使用状態において持ち手部材を該スペースに収容し、使用状態において持ち手部材をスペースから出すよう構成してもよい。あるいはまた、キャラクタ部材と持ち手部材とを折り畳み用のヒンジで接続し、非使用状態において折り畳むよう構成してもよい。
【0029】
実施の形態では、携帯端末14のカメラでキャラクタ部材102のキャラクタ20を撮像する場合を説明したが、これに限られない。例えば、携帯端末14にインストールされたアプリケーションプログラムが携帯端末14の撮像機能を制御してもよい。この場合、該アプリケーションプログラムは、携帯端末14によって実行された場合、携帯端末14に、カメラに写っているキャラクタ20を特定する機能と、特定されたキャラクタ20の情報をインターネットなどのネットワークを介してサーバに送信する機能と、特定されたキャラクタ20に対応する画像をネットワークを介してサーバから受信する機能と、受信した画像をカメラに写る実空間の画像に合成する機能と、合成された画像を携帯端末14のディスプレイに表示させると共にメモリに格納する機能と、を実現させる。
【0030】
実施の形態に係る技術的思想は以下の項目により表されてもよい。
(項目1)
第一部材とキャラクタを視覚的に表す第二部材とを備え、前記第一部材と前記第二部材との相対位置がとりうる状態が、第一状態と、第一状態よりも前記第一部材を把持しにくい第二状態と、を含む表示具。
(項目2)
前記第一部材は前記第二部材に回動可能に取り付けられる項目1に記載の表示具。
(項目3)
前記第二状態において前記第一部材は前記キャラクタの背面側に位置するよう前記第二部材と重なる項目1または2に記載の表示具。
(項目4)
前記第一状態において前記第二部材から遠位となる第一部材の端部は、前記表示具を他の物品に取り付けるために用いられる部材を取り付けることができるよう構成される項目1から3のいずれか一項に記載の表示具。
(項目5)
前記第一状態において前記第二部材から遠位となる第一部材の端部は、第二状態において前記第二部材と重ならない項目1から4のいずれか一項に記載の表示具。
(項目6)
前記第一部材と前記第二部材との接続機構は、前記第一部材と前記第二部材との相対運動が可能なように、かつ、直接的な外力が加えられていない場合に前記第一部材と前記第二部材との相対位置が維持されるように、構成される項目1から5のいずれか一項に記載の表示具。
(項目7)
前記第一状態において前記第二部材は携帯端末により撮像され、
前記第二状態において前記表示具は他の物品に取り付けられる項目1から6のいずれか一項に記載の表示具。
(項目8)
前記第二部材は前記キャラクタの像が貼られたかまたは描かれた実質的に透明な板を含む項目1から7のいずれか一項に記載の表示具。
(項目9)
前記端部はL字形状に形成される項目4または5に記載の表示具。
(項目10)
項目7に記載される携帯端末であって、
前記キャラクタが撮像されると、撮像された前記キャラクタに対応する画像を実空間の画像に合成する手段を備える携帯端末。
【符号の説明】
【0031】
10 キーチェーン、 102 キャラクタ部材、 104 持ち手部材。