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特許7138173土壌の液状化可能特性を評価するための静的ペネトロメータ及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】土壌の液状化可能特性を評価するための静的ペネトロメータ及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/02 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
E02D1/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020530733
(86)(22)【出願日】2018-08-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 FR2018052062
(87)【国際公開番号】W WO2019034822
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】1757732
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520057896
【氏名又は名称】エクアテク.アール アンド ディー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】リゲル,ピエール
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02584186(FR,A1)
【文献】特開2004-347490(JP,A)
【文献】特開2018-168604(JP,A)
【文献】特表2005-504904(JP,A)
【文献】国際公開第00/017622(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00-1/08
G01N 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌の液状化可能特性を評価するためのペネトロメータ(100)であって、
測定チップ(11)によって第1の端部で終端されている、少なくとも1つの中央ロッド(1)と、
少なくとも1つの中空管(2)であって、前記中央ロッド(1)を取り囲み、前記中央ロッド(1)は前記中空管(2)の内側をスライドできる、少なくとも1つの中空管(2)と、
を含み、
前記ペネトロメータ(100)は、前記中空管(2)に固く取り付けられた外部体(61)と可動体(62)とを含む電動シリンダ(6)を含むことを特徴とし、
前記可動体(62)は、
前記中央ロッド(1)の第2の端部(12)に運動を伝達して、前記測定チップ(11)の前記土壌への制御された押圧をもたらし、且つ前記運動を生じさせるために加えられた力を測定するように構成され、
前記中央ロッド(1)の前記第2の端部(12)に所定の周波数で振動を加えるように構成されている
ペネトロメータ(100)。
【請求項2】
前記所定の周波数は、1~5ヘルツの範囲である、請求項に記載のペネトロメータ(100)。
【請求項3】
前記電動シリンダ(6)は、運動を生じさせる前記可動体(62)の作動及び速度、加えられた前記力、並びに前記振動を加えること又は前記振動の停止が、プログラムされた順序に従って実行され得る、又は相互に制御され得るように、電子的に制御されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のペネトロメータ(100)。
【請求項4】
支持手段によって加えられる支持力を伝達する目的で、前記中空管(2)と前記中央ロッド(1)とを所定の深さまで前記土壌に押し込むようにするための、前記中空管(2)に固く取り付けられたセルを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のペネトロメータ(100)。
【請求項5】
求項1~4のいずれか1項に記載のペネトロメータ(100)を使用することができ、
以下のステップ:
a)前記中空管(2)と前記中央ロッド(1)とによって形成された対を前記土壌中に押圧して、前記測定チップ(11)を所定の深さにし、前記測定チップ(11)を前記中空管(2)に接触させる;
c)第1の運動を生じさせるために前記可動体(62)を作動させ、前記測定チップ(11)の前記土壌への第1の制御された押圧を生じさせ、前記第1の運動を生じさせるために加えられた前記力を測定する;
d)前記可動体(62)を介して前記中央ロッド(1)の前記第2の端部(12)に所定の周波数で振動を加え、同時に前記可動体(62)を作動させて第2の運動を生じさせ、前記測定チップ(11)の前記土壌への第2の制御された押圧を生じさせ、前記第2の運動を生じさせるために加えられた前記力を測定する;
e)前記振動を停止させる;
f)第3の運動を生じさせるために前記可動体(62)を作動させ、前記測定チップの前記土壌への第3の制御された押圧を生じさせ、前記第3の運動を生じさせるために加えられた前記力を測定する;
を含む、土壌の液状化可能特性を評価するための方法。
【請求項6】
ステップc)の前に、以下のステップb)を含む、請求項に記載の土壌の液状化可能特性を評価するための方法:
b)前記可動体(62)を作動させて、それを前記中央ロッド(1)の前記第2の端部(12)と接触させる。
【請求項7】
ステップc)は、前記第1の制御された押圧の後に、静止状態で前記第2の端部(12)によって前記可動体(62)に伝達される反力を測定することも含む、請求項5又は6に記載の土壌の液状化可能特性を評価するための方法。
【請求項8】
ステップf)は、前記第3の制御された押圧の後に、静止状態で前記第2の端部(12)によって前記可動体(62)に伝達される反力を測定することも含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の土壌の液状化可能特性を評価するための方法。
【請求項9】
ステップd)において、前記測定された加えられた力を実質的に一定に保つように、前記第2の運動の速度は調整される、請求項5~8のいずれか1項に記載の土壌の液状化可能特性を評価するための方法。
【請求項10】
ステップd)において、前記測定された加えられた力がステップc)で測定された前記加えられた力と実質的に等しく保たれるか、又はできるだけ近づくように、前記第2の運動の速度は調整される、請求項5~9のいずれか1項に記載の土壌の液状化可能特性を評価するための方法。
【請求項11】
前記可動体(62)の運動速度は16cm/sに達し得る、請求項5~10のいずれか1項に記載の土壌の液状化可能特性を評価するための方法。
【請求項12】
前記可動体(62)の収縮位置と伸長位置との間の最大運動は75mmである、請求項5~11のいずれか1項に記載の土壌の液状化可能特性を評価するための方法。
【請求項13】
前記可動体(62)の、前記第1の運動は10mmであり、前記第2の運動は30mmであり、且つ前記第3の運動は10mmである、請求項5~12のいずれか1項に記載の土壌の液状化可能特性を評価するための方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、地質工学及び地質学の分野に関する。それは、一般にペネトロメータと呼ばれる、土壌の貫入に対する抵抗を測定するための装置、及び関連する測定方法に関する。それは特に、土壌の液状化可能特性を評価するための試験を行うための静的ペネトロメータに関する。
【0002】
〔発明の技術的背景〕
新しい準地震基準は、地震帯における地質工学的研究の間の液状化の危険性に関して、土壌の系統的な特徴付けにつながる。地震運動中の土壌の液状化は、間隙水圧の増大による土壌の剛性の低下及び/又はそのせん断強度の低下を意味する。土壌特性のこれらの変化は、重大な永久歪み(沈下、地すべり)、又は有効応力の実質的な相殺(大きな歪み、拡散の現象)さえも引き起こす可能性がある。
【0003】
したがって、この液状化の危険性を同定することにより、地震時の構造物の安定性を確保するための基礎の構築のための解決策を予想できるようになる。
【0004】
土壌の緊密さは、通常、静的モード又は動的モードのいずれかで、ペネトロメータと呼ばれる測定装置によって、測定されることに留意されたい。従来、ペネトロメータは、端部同士が接続されてロッド列を形成するロッドを含み、ロッド列の端部には、数十メートルに達し得る深さまで土壌中に押圧されるように意図された測定チップが固定されている。
【0005】
静的モードでは、ロッド列がジャッキによって押されることで、測定チップを次第に押圧し、後者はチップ抵抗と、場合によってはチップの上方に配置された円筒形スリーブ上の横方向摩擦と、を測定する。これらの測定値は、規則的な間隔で連続的又は不連続的に記録される。土壌の貫入に対する抵抗の静的測定は、発破孔の底部の測定チップ上で直接行われるので、疑いなく最も正確である。
【0006】
現在、土壌の潜在的な液状化可能特性は、原位置測定と(過去の地震で液状化を引き起こしたことが知られている)臨界周期せん断応力との間の実験的相関によって評価されている。原位置測定は、通常、標準貫入試験(SPT)、又はピエゾコーン貫入試験(CPTU)を含むコーン貫入試験(CPT)を用いて行われる。次いで、これらの試験からの生の測定値を使用して、標準化された土壌強度の評価のための標準化された変数を決定し、次いで、この標準化された強度を、標準化された位置応力と比較する。土壌試料はまた、粒径曲線の実験室内決定のために採取されることもできる。
【0007】
課題は、液状化可能な土壌を同定するための方法を提案することであり、これは、一方では比較的直接的であり、経験的相関を回避し、他方では、比較的単純であり、特に、実験室においてピエゾコーン試験又は周期的負荷を実施する複雑さを回避する。
【0008】
〔発明の目的〕
本発明の目的は、最新技術の解決策に対する代替的な解決策、特に静的ペネトロメータを提案することであり、これは実施が簡単で、土壌の液状化可能特性のより直接的な評価を可能にする。
【0009】
〔発明の簡単な説明〕
本発明は、土壌の液状化可能特性を評価するためのペネトロメータに関するものであって、
-測定チップによって第1の端部で終端されている、少なくとも1つの中央ロッドと、
-少なくとも1つの中空管であって、前記中央ロッドを取り囲み、後者は前記中空管の内側をスライドできる、少なくとも1つの中空管と、
を含み、
前記ペネトロメータは、前記中空管に固く取り付けられた外部体と可動体とを含む電動シリンダをさらに含み、前記可動体は、
-前記中央ロッドの第2の端部に運動を伝達して、前記測定チップの前記土壌への制御された押圧をもたらし、且つ前記運動を生じさせるために加えられた力を測定するように構成され、
-前記中央ロッドの前記第2の端部に所定の周波数で振動を加えることに適している。
【0010】
本発明の他の有利且つ非限定的な特徴によれば、以下が、別々に、又は任意の技術的に実現可能な組合せにおいて採用される:
・前記所定の周波数は1~5ヘルツの範囲である;
・前記電動シリンダは、運動を生じさせる前記可動体の作動及び速度、加えられた前記力、並びに前記振動を加えること又は前記振動の停止が、プログラムされた順序で実行され得る、又は相互に制御され得るように、電子的に制御される;
・前記ペネトロメータは、支持手段によって加えられた支持力を伝達する目的で、前記中空管と前記中央ロッドとを所定の深さまで前記土壌に押し込ませるための、前記中空管に固く取り付けられたセルを含む。
【0011】
本発明はまた、前記のようなペネトロメータを使用することができる、土壌の液状化可能特性を評価するための方法に関する。前記方法は、以下のステップを含む:
(a)前記中空管と前記中央ロッドとによって形成された対を前記土壌中に押圧して、前記測定チップを所定の深さにし、前記測定チップを前記中空管に接触させる;
c)第1の運動を生じさせるために前記可動体を作動させ、前記測定チップの前記土壌への第1の制御された押圧を生じさせ、前記第1の運動を生じさせるために加えられた前記力を測定する;
d)前記可動体を介して前記中央ロッドの前記第2の端部に所定の周波数で振動を加え、同時に前記可動体を作動させて第2の運動を生じさせ、前記測定チップの前記土壌への第2の制御された押圧を生じさせ、前記第2の運動を生じさせるために加えられた前記力を測定する;
e)前記振動を停止させる;
f)第3の運動を生じさせるために前記可動体を作動させ、前記測定チップの前記土壌への第3の制御された押圧を生じさせ、前記第3の運動を生じさせるために加えられた前記力を測定する。
【0012】
本発明の他の有利且つ非限定的な特徴によれば、以下が、別々に、又は任意の技術的に実現可能な組合せにおいて採用される:
・前記方法は、ステップc)の前に、以下のステップb)を含む:
b)前記可動体を作動させて、それを前記中央ロッドの前記第2の端部と接触させる;
・ステップc)は、前記第1の押圧の後に、静止状態で前記第2の端部から前記可動体に伝達される反力を測定することも含む;
・ステップf)は、前記第3の押圧の後に、静止状態で前記第2の端部から前記可動体に伝達される反力の測定も含む;
・ステップd)において、前記測定された加えられた力を実質的に一定に保つように、前記第2の運動の速度は調整される;
・ステップd)において、前記測定された加えられた力がステップc)で測定された前記加えられた力と実質的に等しく保たれるか、又は可能な限り近づくように、前記第2の運動の速度は調整されるべきである;
・前記可動体の運動速度は16cm/sに達し得る;
・前記可動体の収縮位置と伸長位置との間の最大運動は75mmである;
・前記可動体の、前記第1の運動は10mmであり、前記第2の運動は30mmであり、且つ前記第3の運動は10mmである。
【0013】
〔図面の簡単な説明〕
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照してなされる以下の詳細な説明から明らかになるであろう:
図1は、土壌の貫入への抵抗を二重測定した試験曲線を示す。
【0014】
図2は、本発明によるペネトロメータを示す。
【0015】
図3は、本発明による方法を示す。
【0016】
図4は、制御された押圧を実行するために加えられた力の変化を時間の関数として示す。
【0017】
〔発明の詳細な説明〕
出願人は、静的ペネトロメータを用いる液状化可能な土壌の事前同定法(H. Hosseini-Sadrabadi et al, "Identification of liquefiable soils by static penetrometer: principle and numerical modelling", Journees Nationales de Geotechnique et de Geologie de l'Ingenieur, Nancy 2016を参照)を開発している。この方法は2つの測定、すなわち、2cm/sの一定の押圧速度でのチップ抵抗の測定(Q 2cm/s- 静的モードと記す)と、静止状態のチップ抵抗の測定(
【0018】
【数1】
と記す)と、を伴う静的貫入試験に基づく。
【0019】
所定の深さにおける静的モード及び静止モードでのこれらの二重測定は、静的モードでの土壌抵抗と静止状態での土壌抵抗との間の差(ΔQと記す)が土壌中の間隙水圧の変化の特性を示しているように思われるという点で、潜在的な液状化可能な土壌を同定することを可能にし得る:
【0020】
【数2】
差ΔQが大きければ大きいほど、地震の場合の土壌液状化の危険性が大きくなる。特に、出願人は、この差が静的モードで測定された土壌抵抗の40%を超える場合、液状化の非常に高い確率に影響を及ぼす。
【0021】
したがって、図1に示すように、土壌の貫入に対する抵抗の二重測定(静的モード及び静止状態)による試験中に、差ΔQが臨界値、特に40%よりも大きい所定の深さで、土壌層(区域A)を検出することが可能である。このタイプの試験は、土壌の液状化可能特性の興味深い事前分析であり得る。
【0022】
本発明は、直接測定によって土壌の液状化可能特性を評価するためのペネトロメータ100に関する。上述の事前分析に基づいて、本発明によるペネトロメータ100は、懸念のある土壌層の液状化可能特性をより直接的に評価し、関連する危険性を評価するために、(図1に示す例に挙げる)区域Aの所定の深さで直接的に試験を行うことができる。
【0023】
ペネトロメータ100(図2)は、測定チップ11によって第1の端部で終端された少なくとも1つの中央ロッド1を含む。それはまた、中央ロッド1を取り囲む少なくとも1つの中空管2も含む。中空管2と中央ロッド1のそれぞれの直径は、後者が中空管2の内側を自由にスライドできるように調整されている。
【0024】
中央ロッド1と中空管2とによって形成された対は、チップ11を前方にして土壌中に押圧されるようになっている。公知のように、所定の深さに到達するために、追加のロッド1及び管2を端部同士で接続して、数十メートルにわたって土壌中に押圧されることができるロッド/管の対の列を形成することができる。
【0025】
ペネトロメータ100はまた、中空管2に固く取り付けられた外部体61と、中央ロッド1と接触することができる可動体62とを備える電動シリンダ6も含む。
【0026】
有利には、可動体62が収縮位置(可動体62が収縮している)と伸長位置(可動体62が最大に伸長している)との間で75mmの最大運動を達成することができる。
【0027】
可動体62は、中央ロッド1の第2の端部12に運動を伝達するように構成され、運動は測定チップ11の土壌への制御された押圧をもたらす。本発明による方法においてより詳細に説明されるように、制御された押圧は、疑わしい区域A(図1)の所定の深さPから連続的に行われる。この目的のために、電動シリンダモータの出力は、可動体62が10~40バールの圧力を加えることができるように好ましく選択され、この圧力の範囲は、液状化の危険性がある土壌層中で、チップで測定された特徴的な応力(10~30バール)に対応することを可能にする。また、電動シリンダ6のモータは、可動体62の移動の速度が数mm/s~約16cm/sの間で変化することができるようにも選択され、その結果、土壌(液状化可能な土壌の場合)の支持能力の実効的な喪失の検出は、装置の技術的限界によって影響されない(方法において後述する)。
【0028】
可動体62はまた、前記運動を生じさせるために加えられた力を測定するようにも構成される。加えられた力は、測定チップ11における土壌の貫入に対する抵抗を表す。したがって、電動シリンダ6は、この力を測定するための力センサ又は歪みセンサ(図示せず)を含む。
【0029】
最後に、可動体62は、所定の周波数で、中央ロッド1の第2の端部12に振動を加えることができる。
【0030】
所定の周波数は、有利には1~5ヘルツである。この周波数範囲は、現在の地震学的知識によれば、地震の特性を示しており、この周波数範囲の振動が、土壌の特性を変更し、地震の場合のその支持能力の変化を評価することを可能にすることが本発明による方法の説明において後に分かるであろう。
【0031】
有利には、電動シリンダ6が電子的に制御され、したがって、運動を生じさせる移動体62の作動及び速度、押圧中に加えられる力、ロッド1の反力の測定、並びに可動体62の振動は、プログラムされた順序で実行され得るか、又は相互に制御され得る。
【0032】
本発明によるペネトロメータ100は、有利には中空管2と接触している(又は中空管2に固く取り付けられている)セルを含む。セル(図示せず)は、例えば、クランプジョー3の手段によって中空管2に接続することができる。セルは、中空管2と中央ロッド1とによって形成された対の土壌の調査される所定の深さへの静的押圧を生じさせるために、支持手段によって加えられる支持力を伝達するように意図されている。
【0033】
特に、支持手段は、液圧シリンダからなっていてもよい。セルに取り付けられた液圧シリンダの可動部分は、管/ロッド対の継続的な押圧に必要な支持力をそれに加える。液圧シリンダの固定部分は、反応ブロックに直接又は間接的に取り付けられなければならない。支持手段は、液圧シリンダを作動させるための自己推進式液圧動力ユニットを含むことができる。
【0034】
有利には、支持手段は枠によって保持される。枠は、反応ブロックに接続されるように意図された少なくとも1つの機械的接続要素を備える。この機械的接続要素は、例えば、液圧若しくは機械的クランプ、又は同じタイプの万力からなることができる。そのような機械的接続要素を備えた枠は、それを任意の種類の反応ブロックに接続可能にする。
【0035】
また、本発明は、土壌の液状化可能特性を評価するための方法にも関する。上述したペネトロメータ100を用いた場合について説明する。しかしながら、本発明によるペネトロメータ100の特徴的な機能を実行し得るが異なる設計のペネトロメータを使用して、以下の方法のステップを行うことができることに留意されたい。
【0036】
土壌の液状化可能特性を評価するための方法は、種々のステップからなる(図3)。
【0037】
ステップa)は、中空管2と中央ロッド1とによって形成された対を土壌中に押圧して、測定チップ11を所定の調査の深さ(例えば、図1を参照のP)にすることからなる。このステップの間、測定チップ11は好ましくは中空管2に接触し、電動シリンダの可動体62は収縮位置にある(図3-a)。有利には、この位置では可動体62は、中央ロッド1の第2の端部12と接触していない。支持手段は、セルを介して、この押圧を所定の深さで行えるようにする。
【0038】
測定チップ11が所定の深さPに到達した後、ステップb)が行われ、それは、可動体62を作動させて、それを中央ロッド1の第2の端部12に接触させることからなる。このステップb)は任意であり、特に、収縮位置にある可動体62が既に第2の端部12と接触している場合には有用ではない。
【0039】
次いで、ステップc)は、可動体62を作動させて第1の運動D1を生じさせ、測定チップ11の土壌への第1の制御された押圧を生じさせることからなる。第1の運動D1は、好ましくは一定の速度で生じる。第1の有利な実施形態によれば、第1の運動D1(第1の押圧の振幅に対応する)は10mmであり、例えば2cm/sの速度で駆動される。
【0040】
ステップc)はまた、前記第1の運動D1を生じさせるために加えられた力の測定も提供する。土壌抵抗を表す加えられた力のこの測定は、所定の深さPで測定されたチップ抵抗Q 2cm/sが同じ深さでの事前分析中に測定されたものと実質的に同一であることを検証できるようにする。好ましくは、第1の押圧の後、静止状態で第2の端部12から可動体62に伝達される反力(静止状態のチップ抵抗
【0041】
【数3】
を表す)の測定もまた、ステップc)において提供される。
【0042】
ステップc)において測定値から抽出された値Q 2cm/s及び
【0043】
【数4】
は、事前分析において測定された値と実質的に同一であることが予想され、それらは調査された土壌層(区域A)の液状化可能特性を評価するための試験の起点である。
【0044】
次のステップd)は、所定の周波数の振動を、可動体62を介して中央ロッド1の第2の端部12に加え、同時に、可動体62を作動させて第2の運動D2を生じさせ、測定チップ11の土壌中への第2の制御された押圧を生じさせることからなる(図3-d)。
【0045】
上述したように、所定の周波数は、地震の特徴的な周波数である1~5ヘルツである。ここでの目的は、地震を行うことができるように、土壌層の特性を変更することができる応力を局所的に加えることである。この応力に平行して、可動体62は、振動応力下で土壌層内への測定チップ11の第2の押圧を引き起こす第2の運動D2を生じさせる。
【0046】
有利な実施形態によれば、第2の運動D(第2の押圧の大きさに対応する)は30mmである。
【0047】
ステップ(d)はまた、第2の運動D2を生じさせるために加えられた力の測定を含み、加えられた力の測定値は、この第2の制御された押圧の間のチップQ抵抗の変化を反映する。
【0048】
有利な実施形態によれば、第2の運動Dの速度は、加えられる力が実質的に一定に保たれるように調整される。したがって、第2の運動D2は、有利には一定の負荷(加えられた力)の下で生じる。特に、ステップc)で測定されたチップ抵抗Q 2cm/sを表す加えられた力の値に実質的に等しい加えられた力が目標とされるべきである。したがって、第2の運動Dの速度は、力を実質的に一定に保つ観点から、ステップd)で測定された力に従って自動的に増減される。
【0049】
第2の運動Dが行われる速度は、一定の力で第2の押圧を生じさせるために必要な時間を反映し、振動応力下での土壌層の抵抗の喪失の急激さの重大な指標を与える。
【0050】
分析される土壌層の特性に応じて、いくつかのシナリオが生じ得る。土壌層の抵抗特性は振動応力下で非常にゆっくりと変化することができ、次いで、第2の運動D2は低速で生じ、この速度は前記第2の運動D2を生じさせるために加えられる力を実質的に一定に保つように調整される。このような場合、土壌層は、振動応力によって急激に変化しないように見える。
【0051】
別の場合によれば、土壌層は振動応力下で非常に迅速にその抵抗を失うことができ、次いで、第2の運動D2は高速で行われ、この速度は前記第2の運動D2を行うために加えられる力を可能な限り一定に保つように調整される。前述したように、電動シリンダ6のモータは、可動体62の運動速度が約16cm/sに達し調査中の土壌層の抵抗の突然の喪失に追従することができるように、選択される。
【0052】
上述したそれぞれの場合で地震が起きた場合の危険性は明らかに異なっており、建築構造物の基礎に関する予防措置及び規格は、それぞれの場合に適合させることができる。
【0053】
第2の制御された押圧が完了する(第2の運動D2が生成される)とき、次のステップe)は振動を停止することからなる。
【0054】
次いで、工程f)は、可動体62を作動させて第3の運動D3を生じさせ、土壌への測定チップ11の第3の制御された押圧を生じさせることを含む(図3-f)。ステップf)はまた、この第3の運動D3を生じさせるために加えられた力を測定することも含む。第3の運動D3は、好ましくは一定の速度で行われる。
【0055】
有利な実施形態によれば、第3の運動D3(第3の押圧の振幅に対応する)は10mmであり、例えば2cm/sのスピードで駆動される。
【0056】
ステップf)において、振動応力がない場合、土壌層は、前記土壌層の特性に応じて、異なる方法でその抵抗を変化させることができる。
【0057】
第1の挙動によれば、その抵抗を振動応力下で急速に失った層は、後者がない場合、その最初の抵抗Q 2cm/sを回復することができる:これは液状化可能な土壌の挙動である(例えば図4の曲線(a))。
【0058】
第2の挙動によれば、その抵抗を振動応力下で急速に失った層は、後者がない場合、第3の制御された押圧の間、その最初の抵抗Q 2cm/sよりも低い抵抗Qに戻ることができ、これは大きな歪みタイプの現象(例えば、図4の曲線(b))を反映することができ、土壌層の抵抗特性は振動によって不可逆的に変更されている。
【0059】
最後に、第3の挙動によれば、その抵抗を振動応力下で急速に失った層は、後者がない場合、第3の制御された押圧の間、その最初の抵抗Q 2cm/sよりも高い抵抗Qに戻ることができ、これは緻密化現象(例えば、図4の曲線(c))を反映することができ、土壌層の抵抗は振動によって強化されている。
【0060】
有利には、第3の押圧の後に、静止状態で第2の端部12から可動体62に伝達される反力の測定が、ステップf)においても提供される。
【0061】
ステップa)~f)は、より厚い又はより薄い疑わしい区域Aに含まれる土壌の連続層を分析するために、他の所定の調査の深さに対して、繰り返されてもよい。
【0062】
このように、本発明に係る方法及びペネトロメータ100は、第2の運動Dが生じる速度に基づいて、分析される土壌層の液状化可能特性を評価できるようにする。振動応力下での土壌抵抗の幾分厳しい減少は、液状化可能特性の重要な基準である。
【0063】
さらに、本発明はまた、振動応力に続いて、分析される土壌層の支持特性に関する重要な情報を提供し、土壌抵抗の潜在的な不可逆的変化を予想できるようにする。
【0064】
以上のことから、振動後の土壌の実際の挙動を知ることにより、建築業者を建築物の設計に導くことができ、企業を建築方法論に導くことができる。例えば、土壌緻密化は、構造物の建築前に土壌改良の代替方法を考慮できるようにする。
【0065】
逆に、支持能力の喪失は、危険性の客観的な知識を有する安全な基礎の創出につながり得る。
【0066】
当然、本発明は、記載された実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を逸脱することなく、代替の実施形態を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1図1は、土壌の貫入への抵抗を二重測定した試験曲線を示す。
図2図2は、本発明によるペネトロメータを示す。
図3図3は、本発明による方法を示す。
図4図4は、制御された押圧を実行するために加えられた力の変化を時間の関数として示す。
図1
図2
図3
図4