(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-07
(45)【発行日】2022-09-15
(54)【発明の名称】タバコの先端で誘導加熱する発煙装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20220908BHJP
【FI】
A24F40/465
(21)【出願番号】P 2021560251
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2020118486
(87)【国際公開番号】W WO2021189799
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-12-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517283640
【氏名又は名称】雲南中煙工業有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】呉俊
(72)【発明者】
【氏名】朱東来
(72)【発明者】
【氏名】李廷華
(72)【発明者】
【氏名】李寿波
(72)【発明者】
【氏名】韓▲い▼
(72)【発明者】
【氏名】張霞
(72)【発明者】
【氏名】鞏効偉
(72)【発明者】
【氏名】趙偉
(72)【発明者】
【氏名】洪▲りゅう▼
(72)【発明者】
【氏名】楊強
(72)【発明者】
【氏名】尤俊衡
(72)【発明者】
【氏名】廖暁祥
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207754539(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第111264910(CN,A)
【文献】国際公開第2020/044385(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/162933(WO,A1)
【文献】特表2017-518041(JP,A)
【文献】特表2020-519301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タバコの先端で誘導加熱する発煙装置であって、
中空加熱カップ(2)、強磁性発熱体(5)、誘導コイル(4)を備え、
前記中空加熱カップ(2)は、上部中空構造、下部中空構造、及び両者間の仕切板を含み、前記上部中空構造がタバコ収容室(13)を含み、前記下部中空構造が発熱体収容室を含み、前記仕切板に、前記タバコ収容室(13)と発熱体収容室とを連通する集熱孔(21)を有し、
前記発熱体(5)は、空気が通過可能な構造を有し、前記中空加熱カップ(2)の発熱体収容室内に配置され、
前記誘導コイル(4)は、前記中空加熱カップ(2)の発熱体収容室の外壁を取り囲み、電源に接続され、前記発熱体収容室が外気と連通
し、
前記中空加熱カップ(2)の上部中空構造の内部には、複数の均熱孔(31)が設けられる頂板を有する中空均熱部材(3)が配置され、前記中空均熱部材(3)の内部の中空構造が均熱室(32)であり、前記中空均熱部材(3)が前記タバコ収容室(13)の下部に配置され、前記均熱室(32)は、前記均熱孔(31)を介して前記タバコ収容室(13)と連通し、前記集熱孔(21)を介して前記発熱体収容室と連通する、ことを特徴とする、発煙装置。
【請求項2】
前記均熱孔(31)が前記均熱部材(3)の頂板に周方向に等間隔で配置される、ことを特徴とする、請求項
1に記載の発煙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な喫煙具の分野に属し、特にタバコの先端で誘導加熱する発煙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の健康意識の向上に伴い、非燃焼加熱式タバコは、従来の燃焼式タバコよりも害が少ないので、喫煙者にますます好まれている。現在、非燃焼加熱式タバコの加熱方法には、接触式電気加熱、非接触式電気加熱、炭素加熱などが含まれる。
【0003】
接触式電気加熱とは、タバコと直接接触して加熱することにより煙を発生させることを指し、通電により加熱する管、ピンまたは板などの様々な加熱部材をタバコスティック又はタバコ葉と直接接触させ、タバコの燃焼点よりも低い温度でタバコスティック又はタバコ葉を直接加熱することで、タバコの香気成分及び発煙成分が揮発し、喫煙者の喫煙ニーズを満たす。
【0004】
上記のタバコスティックまたはタバコ葉の加熱方法には以下の問題点がある。
一、タバコスティックまたはタバコ葉の直接接触する部分は十分に加熱されるが、発熱体から離れた部分は十分に加熱されず、タバコの円周断面で加熱効果が不均一になる。
二、加熱部材自体の体積が小さく、熱容量が高くないので、喫煙者の吸引前に所定の加熱待機時間が必要である。発熱体がタバコと直接接触するので、発熱体から離れた部分の加熱効果を確保するために、通常、発熱体の表面温度を最適加熱温度よりも10~20度高くすることで、十分な加熱を確保する。しかしながら、発熱体と接触する部分が数回加熱された後、発熱体に付着することがあるため、次の喫煙時に、臭いの発生や加熱の困難という問題をもたらす。
【0005】
従来の炭素加熱式タバコは、タバコの先端に付加された炭素棒に点火することで、炭素棒を流れる空気を急速加熱する。加熱空気が喫煙者の吸引による負圧作用でタバコ内のタバコ葉を流れる際に、タバコ葉を加熱することで、タバコ葉の非燃焼加熱を実現する。この加熱方法は、タバコの香りを得ることができ、燃焼により大量に発生するタールやニコチンなどの有害物質を抑制できる。この炭素加熱式タバコは、従来の紙巻きタバコよりも害が少ないという特徴があるが、タバコの先端に炭素棒が付加されているため、タバコの製造が困難になり、生産効率に影響を与えるだけでなく、炭素棒の点火に時間がかかり、点火しにくく、炭素棒の燃焼時に臭いが発生するなどの欠点がある。同様に、炭素棒に点火した後は制御が難しくなり、非吸引時にもタバコ葉の加熱は行われている。そして、炭素棒の基端がタバコ葉と直接接触するか又は相対的に近いので、燃焼した炭素棒の基端でも少量残存したタバコ葉が直接加熱されひいては臨界で燃えてしまう問題がある。
【0006】
従来の非接触式電気加熱方法は、導入された空気を電気加熱する喫煙具を用い、環状金属発熱体、平坦状金属発熱体、又は組み合わせ式平坦状金属発熱体による直接通電加熱方式で、その表面を流れる空気を加熱した後にタバコに導入して「オーブン式」全方位加熱を行う。
【0007】
しかしながら、上記の非接触式電気加熱方法には以下の問題点がある。
一、発熱体の隣接する表面は、通電のため、短絡を防止するように互いに絶縁するための十分なスペースが必要となるので、発熱体の表面を流れる空気のみが十分に加熱される。
二、発熱体の温度の測定や制御が難しい。温度センサーは、発熱体に直接取り付けることができず、空気流路に取り付けられるので、取り付けや配線が難しいだけでなく、吸引時と非吸引時の空気の流れと停滞による相対温度差が大きすぎ、制御が難しくなる。
【0008】
上記問題点を解消するために、本発明を提出する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、
中空加熱カップ2、強磁性発熱体5、誘導コイル4を備え、
中空加熱カップ2は、上部中空構造、下部中空構造、及び両者間の仕切板を含み、上部中空構造がタバコ収容室13を含み、下部中空構造が発熱体収容室を含み、仕切板に、タバコ収容室13と発熱体収容室とを連通する集熱孔21を有し、
発熱体5は、空気が通過可能な構造を有し、中空加熱カップ2の発熱体収容室内に配置され、
誘導コイル4は、中空加熱カップ2の発熱体収容室の外壁を取り囲み、電源に接続される、タバコの先端で誘導加熱する発煙装置を提供する。
【0010】
発熱体5の材質は、鉄、コバルト、ニッケルから選ばれる強磁性金属である。
【0011】
発熱体5が空気が通過可能な構造を有するとは、発熱体5の内部及び/又は表面に複数の空気流路を有する/が形成されることを意味する。
【0012】
好ましくは、中空加熱カップ2は、一体構造または別体構造であり、すなわち、上部中空構造、下部中空構造、及び両者間の仕切板が一体構造または別体構造である。上部中空構造、下部中空構造、仕切板の3者を2つの別体連結構造にすることができる。
【0013】
好ましくは、中空加熱カップ2は、上部が中空管状構造であり、下部が頂板を有する中空管状構造14であり、頂板が上記の仕切板とされ、中空加熱カップ2の上部と下部が着脱可能に連結され、好ましくは係合される。
【0014】
より好ましくは、上部の中空管状構造は、熱伝導や加工を容易にするための金属材質からなり、下部の頂板を有する中空管状構造14は、磁気伝導を容易にするための非金属材質からなる。
【0015】
好ましくは、発熱体5は、強磁性金属繊維束または多孔質発泡強磁性金属体を含む。
【0016】
強磁性金属繊維束とは、強磁性材料からなる複数の繊維(単繊維の直径が0.5~0.001mm)を任意の規則に従って束ねた金属繊維束を指す。金属繊維束において、隣接する金属繊維糸の間に微細な空気流路があるので、金属繊維糸間における空気の十分な流れが確保される。束ねられた複数の繊維からなる発熱体5は、比表面積が大きいため、高効率の誘導コイル4によって加熱されると、外部から吸い込まれて表面を流れる空気が、発熱体5における各繊維糸と迅速かつ十分に熱交換することができる。
【0017】
多孔質発泡強磁性金属体とは、金属骨格が発泡によって多孔質ハニカム状構造になる金属体を指し、例えば、発泡金属体等である。多孔質発泡強磁性金属体は比表面積が大きく、空気流路が多いため、空気加熱効果が金属繊維束と似ている。
【0018】
好ましくは、発熱体収容室が外気と連通する。
【0019】
好ましくは、中空加熱カップ2の上部中空構造、下部中空構造、及び両者間の仕切板が一体構造である場合、中空加熱カップ2は非金属材質からなり、より好ましくは、中空加熱カップ2は、結晶化ガラス、セラミック等の耐高温で非毒性の非金属材料を用いて精密加工またはプレス成形加工により製造される。
【0020】
好ましくは、発熱体5が発熱体収容室内に配置され、断熱リング10が発熱体5の下端部に当接して位置規制する。
【0021】
好ましくは、タバコ収容室13及び発熱体収容室が円筒状である。
【0022】
好ましくは、金属繊維束は、金属繊維糸が発熱体収容室の軸と平行になるように束ねられる。
【0023】
好ましくは、発煙装置は、誘導コイル4の外側に配置される遮蔽リング6をさらに備える。
【0024】
遮蔽リング6は、中高周波領域で動作する誘導コイル4に対して電磁遮蔽として作用し、アルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金など非強磁性で加工が容易な材料により製造される。遮蔽リング6は、円環状で誘導コイル4の外側に嵌合されるか、又は薄い金属シートを誘導コイル4の外側に巻回してなることで、通電後の誘導コイル4により発生する誘導磁場が、本発明に係る発煙装置の外側の強磁性材料又は他の機器に電磁干渉や誘導加熱を発生させないことを確保するため、誘導コイル4により発生する変動磁場が強磁性発熱体5に最大限に集中して印加され、渦電流を発生させて発熱させることができる。遮蔽リング6の内壁から誘導コイル4の最外周までの距離が少なくとも0.5mm、遮蔽リング6の長さが誘導コイル4の軸方向全長よりも大きく、遮蔽リング6の両端が誘導コイル4の長さより少なくとも5mm以上長いことが必要である。
【0025】
好ましくは、発煙装置は、誘導コイル4により取り囲まれた中空加熱カップ2の発熱体収容室の外壁に被覆される断熱絶縁層7と、誘導コイル4の外部に被覆される断熱絶縁層7とをさらに備え、2つの断熱絶縁層7の間に誘導コイル4が介在される。誘導コイル4の動作時の電磁性能が確保されるだけでなく、誘導コイル4の中空加熱カップ2の発熱体収容室の外壁への位置決めが確保される。
【0026】
断熱絶縁層7は、耐高温性、絶縁性、断熱性に優れた耐熱テープ、ガラス繊維または熱収縮性高分子材料被覆層である。耐高温性とは、1気圧下で250℃で変形が発生しないことを指す。
【0027】
好ましくは、中空加熱カップ2の上部中空構造の内部には、複数の均熱孔31が設けられる頂板を有する中空均熱部材3が配置され、中空均熱部材3の内部の中空構造が均熱室32であり、中空均熱部材3がタバコ収容室13の下部に配置され、均熱室32は、均熱孔31を介してタバコ収容室13と連通し、集熱孔21を介して発熱体収容室と連通する。
【0028】
均熱部材3は、下端が開放され、上端に頂板を有する中空円筒状である。均熱部材3は、中空加熱カップ2の上部中空構造内に締まり嵌めされ、薄肉のアルミニウムまたは銅等の非強磁性材料から製造され、外側円筒面と発熱室の上部のタバコ収容室13の内壁とが中間嵌めされるのが好ましい。加熱カップ2が非金属材料からなり、加熱後の膨張量が金属製均熱部材3の膨張量よりも小さいので、常温で均熱部材3が加熱カップ2の上部中空構造内を自然に摺動しなければいい。(常識によれば、2つの非可動部品が締まり嵌めされる場合、内部の均熱部材3の膨張量が加熱カップ2よりも大きく、加熱カップ2が非金属からなる薄肉部品であるため、加熱カップ2と均熱部材3との嵌合箇所に応力が集中して破損してしまうことがある。)
【0029】
好ましくは、発煙装置は、発熱体5の端部に配置される温度センサー8をさらに備え、温度センサー8は、発熱体5の端部に孔を開けることにより発熱体5内に内蔵され、発熱体5の温度を検出する。
【0030】
好ましくは、発煙装置は、断熱リング10、中空ベース11をさらに備え、
断熱リング10は、発熱体5の下端に配置され、上端が発熱体5に当接し、下端が中空ベース11に当接し、断熱リング10及び中空ベース11の内部の中空構造が、外気と発熱体収容室とを連通する。断熱リング10と中空加熱カップ2の下部が、螺合、係合、ピンまたはセルフロックテーパーなどにより連結される。
【0031】
好ましくは、発煙装置は、非金属製の中空加熱カップ2の外側に配置されるとともに、遮蔽リング6を取り囲む真空保温管9をさらに備える。
【0032】
好ましくは、非金属製の中空加熱カップ2は、縦断面が略H字状であり、材質が結晶化ガラスまたはセラミックである。
【0033】
好ましくは、遮蔽リング6の材質が、アルミニウム、銅、アルミニウムまたは銅を含有する合金を含む非強磁性材質である。
【0034】
好ましくは、均熱部材3の材質が、アルミニウム、銅、アルミニウムまたは銅を含有する合金を含む非強磁性材質である。
【0035】
好ましくは、均熱孔31が均熱部材3の頂板に周方向に等間隔で配置され、発熱体5の内部に軸方向の空気流路を有する。
【0036】
本発煙装置の加熱過程は以下の通りである。
図1に示すように、タバコ収容室13内にタバコ(図示せず)を挿入する。発煙装置を作動させ、誘導コイルに通電すると、発熱体5が発熱し始める。吸引が始まると、外気が加熱カップ2の下部から吸い込まれ、発熱体5によって急速かつ十分に加熱され、高温空気が得られる。高温空気が、小径の集熱孔21から、均熱部材3の円筒状内壁により形成された大径の均熱室32の内部に吸い込まれる際に、集熱孔21の前端では空気の流速が速く、圧力が低く、温度が高いが、集熱孔21から相対的に離れ、この孔の径方向又は軸方向に相対的に遠い領域では、空気の温度が相対的に低く、流速が遅く、圧力が高い。高温空気が均熱室32に入った後、圧力差の作用で、均熱室32の内部に複数領域の小さな流れが形成され、熱及び圧力が均一化され、均熱孔31に到達した空気の圧力及び温度が均一化され、温度が少し下がり、高温空気が喫煙者の吸引による負圧を受けた後、タバコ収容室13内に挿入されたタバコに吸い込まれ、均一化された高温空気がタバコ内の煙草部を加熱する。また、均熱孔31が均熱部材3の頂板に周方向に等間隔で配置されるため、本発煙装置は直接接触式加熱装置と比べて、タバコの加熱がより均一かつ十分であることが確保された。
【0037】
均熱室32の内部における熱交換、圧力の均一化において、導入された高温空気の熱及び均一化された空気の熱が均熱部材3に伝導され、最終的に加熱カップ2の上部に伝導される。加熱カップ2の熱は、発熱体5が発熱体収容室内で誘導加熱された後、放射や空気伝導によって熱が加熱カップ2の下部に伝達され、加熱カップ2の下部から加熱カップ2の上部に伝導されることにより得ることもできる。加熱カップ2の上部に伝導されるこの部分の熱もタバコ収容室13に挿入されたタバコを加熱する。したがって、本発明における加熱カップ2の設計は、熱を十分に利用するという目的を達成した。
【0038】
したがって、タバコ収容室13に挿入されたタバコは、複数の均熱孔31からの均一な高温空気によって加熱されるだけでなく、タバコ収容室13の外周面における加熱カップ2の上部からの熱によって均一に加熱されることで、タバコの煙草部が均一かつ十分に加熱され、直接接触加熱における周方向加熱、ブレードまたはピンによる中心加熱と比べて利点を示した。さらに、喫煙の終了時、中心加熱による煙草物質の付着や喫煙具における煙草部の滞留などの問題がないので、喫煙具からのタバコの取り出しが簡素化され、タバコの取り出しのための専用構造の設計が不要になる。
【0039】
上記の技術的手段は、矛盾しないことを前提として自由に組み合わせてもよい。
【0040】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
1、本発明は、吸い込まれて通過する空気を瞬時に誘導加熱する電気加熱式発煙装置を初めて設計し、加熱原理は誘導加熱であり、発熱体の内部及び/又は表面に複数の空気流路を有するため、表面及び内部を流れる空気を急速かつ十分に加熱することができ、従来の電気加熱式タバコは、加熱ムラが発生し、炭素加熱式タバコは、燃えやすく、制御が困難であり、香気成分が不足であり、喫煙感が悪いという問題を効果的に解決することができる。
2、好ましい技術的手段において、発熱体は、大きな比表面積を有する強磁性金属繊維束または多孔質発泡強磁性金属体である。環状、平坦状又は組み合わせ式平坦状金属発熱体と比べて、本発明における発熱体の内部には多くの微細な空気流路を有するため、空気の分散性が高くなり、表面及び内部を流れる空気を急速かつ十分に加熱することができる。
3、好ましい技術的手段において、本発明は、発熱体5とタバコ収容室13との間に均熱部材3を初めて設けており、圧力差の作用で、内部の均熱室32内に複数領域の小さな流れが形成され、熱及び圧力が均一化され、均熱孔31に入り、吸引による負圧を受けた後、相対的に均一化されかつある程度降温された空気が、タバコ収容室13内に挿入されたタバコに吸い込まれ、均一化された高温空気でタバコ内の煙草部が加熱される。
4、より好ましい技術的手段において、均熱孔31が均熱部材3の頂板に周方向に等間隔で配置されるので、高温空気の分散性が高い。従来の接触式電気加熱、非接触式電気加熱、炭素加熱方法と比べて、本発明に係る発煙装置は、煙草の加熱がより均一かつ十分であり、接触式電気加熱による加熱後の煙草物質の付着や喫煙具における煙草部の滞留などの問題がない。
5、さらに、本発明における加熱カップ2は、上部がタバコを収容し、下部が発熱体を収容する。主に発熱体により空気が加熱されるが、残りの熱は、放射や空気伝導によって加熱カップ2の下部に伝達された後、加熱カップ2の下部から加熱カップ2の上部に熱伝導されるので、タバコを加熱することもできる。したがって、本発明における加熱カップ2の設計は、熱を十分に利用するという目的を達成した。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】実施例1におけるタバコの先端で誘導加熱する発煙装置の縦断面図であり、右側は部分拡大図である。
【
図2】実施例1における発煙装置の中空均熱部材3の斜視模式図である。
【
図3】実施例2におけるタバコの先端で誘導加熱する発煙装置の縦断面図であり、右側は部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、具体的な実施形態により本発明の内容を詳細に説明する。
【0043】
実施例1
図1~2に示すように、実施例1に係るタバコの先端で誘導加熱する発煙装置は、挿入口部1、非金属製の中空加熱カップ2、中空均熱部材3、誘導コイル4、発熱体5、遮蔽リング6、断熱絶縁層7、温度センサー8、真空保温管9、断熱リング10、中空ベース11を備え、
加熱カップ2は、縦断面が略H字状であり、材質が結晶化ガラス、セラミック等の加工精度が高い耐高温で非毒性の非金属材料である。加熱カップ2は、上部中空構造、下部中空構造、及び両者間の仕切板を含む一体構造であり、上部中空構造がタバコ収容室13を含み、下部中空構造が発熱体収容室を含み、仕切板に、タバコ収容室13と発熱体収容室とを連通する集熱孔21を有し、
発熱体5は、強磁性金属繊維束または多孔質発泡強磁性金属体を含み、加熱カップ2の発熱体収容室内に配置され、発熱体収容室が外気と連通し、発熱体5の内部に軸方向の空気流路を有し、
誘導コイル4は、加熱カップ2の発熱体収容室の外壁を取り囲み、コイル導線12を介して電源に接続され、誘導コイル4の最初の起動時は手動で制御され、吸引の全過程において、発煙装置は、温度センサー8によって検出された温度に応じて、誘導コイル4の電気的パラメーターを適時に自動的に調整することで、タバコの吸引に必要な熱を確保する。
【0044】
実施例1における強磁性金属繊維束とは、強磁性材料からなる複数の繊維(単繊維の直径が0.5~0.001mm)を金属繊維糸が発熱体収容室の軸と平行になるように束ねた金属繊維束を指す。多孔質発泡強磁性金属体は比表面積が大きく、空気流路が多いため、空気加熱効果が金属繊維束と似ている。
【0045】
発熱体5は、発熱体収容室内に配置されるとともに、下端の断熱リング10によって位置規制されて固定される。
【0046】
タバコ収容室13及び発熱体収容室が円筒状である。
【0047】
遮蔽リング6は、アルミニウム、銅、アルミニウムまたは銅を含有する合金を含む非強磁性材質からなり、誘導コイル4の外側に配置される。遮蔽リング6は、中高周波領域で動作する誘導コイル4に対して電磁遮蔽として作用し、アルミニウム、銅、アルミニウム合金または銅合金など非強磁性で加工が容易な材料により製造される。遮蔽リング6は、円環状で誘導コイル4の外側に嵌合されるか、又は薄い金属シートを誘導コイル4の外側に巻回してなることで、通電後の誘導コイル4により発生する誘導磁場が、本発明に係る発煙装置の外側の強磁性材料又は他の機器に電磁干渉や誘導加熱を発生させないことを確保するため、誘導コイル4により発生する変動磁場が強磁性発熱体5に最大限に集中して印加され、渦電流を発生させて発熱させることができる。遮蔽リング6の内壁から誘導コイル4の最外周までの距離が少なくとも0.5mm、遮蔽リング6の長さが誘導コイル4の軸方向全長よりも大きく、遮蔽リング6の両端が誘導コイル4の長さより少なくとも5mm以上長いことが必要である。
【0048】
発煙装置は、誘導コイル4により取り囲まれた中空加熱カップ2の発熱体収容室の外壁に被覆される断熱絶縁層7と、誘導コイル4の外部に被覆される断熱絶縁層7とを備え、2つの断熱絶縁層7の間に誘導コイル4が介在され、即ち、誘導コイル4を加熱カップ2の外壁に巻回する前後に断熱絶縁層7を被覆する必要がある。これにより、誘導コイル4の動作時の電磁性能が確保されるだけでなく、誘導コイル4の中空加熱カップ2の発熱体収容室の外壁への位置決めが確保される。断熱絶縁層7は、耐高温性、絶縁性、断熱性に優れた耐熱テープ、ガラス繊維または熱収縮性高分子材料被覆層である。
【0049】
中空加熱カップ2の上部中空構造の内部には、複数の均熱孔31が周方向に等間隔で配置される頂板を有する中空均熱部材3が配置され、中空均熱部材3の内部の中空構造が均熱室32であり、中空均熱部材3がタバコ収容室13の下部に配置され、均熱室32は、均熱孔31を介してタバコ収容室13と連通し、集熱孔21を介して発熱体収容室と連通する。均熱孔31の直径が0.3~1mmである。
【0050】
均熱部材3は、下端が開放され、上端に頂板を有する中空円筒状である。均熱部材3は、中空加熱カップ2の上部中空構造内に締まり嵌めされ、薄肉のアルミニウムまたは銅等の非強磁性材料から製造され、外側円筒面と発熱室の上部のタバコ収容室13の内壁とが中間嵌めされるのが好ましい。加熱カップ2が非金属材料からなり、加熱後の膨張量が金属製均熱部材3の膨張量よりも小さいため、常温で均熱部材3が加熱カップ2の上部中空構造内を自然に摺動しなければいい。
【0051】
温度センサー8は、発熱体5の下端部に配置され、発熱体5の下端部に孔を開けることにより発熱体5内に内蔵され、発熱体5の温度を検出する。
【0052】
断熱リング10は、発熱体5の下端に配置され、上端が発熱体5に当接し、下端が中空ベース11に当接し、断熱リング10及び中空ベース11の内部の中空構造が、外気と発熱体収容室とを連通する。断熱リング10と中空加熱カップ2の下部中空構造の内部とが螺合により連結される。
【0053】
断熱リング10の材質が耐高温性セラミックまたは石英ガラスである。
【0054】
真空保温管9は、中空加熱カップ2の外側に配置され、遮蔽リング6を取り囲む。内部で発生した熱の外部への拡散を可能な限り抑制し、熱効率を向上させるとともに、発熱体の周辺の部品、回路などへの損傷や、喫煙者の不快感の増加を防止するために、外観や使用に影響を与えない限り、真空保温管9の外側に保温断熱材を被覆するか、又は他の保温断熱材で真空保温管9を代替してもよい。もちろん、真空保温管9の使用は、最適な方法に過ぎず、本発明を限定する唯一の方法ではない。
【0055】
挿入口部1は、非金属製の中空加熱カップ2の上端に配置され、加熱カップ2及び保温管9の位置を固定し、タバコを挿入するための中心貫通孔を有する。
【0056】
実施例2
図3に示すように、実施例2に係るタバコの先端で誘導加熱する発煙装置と、実施例1との相違点は、中空加熱カップ2が別体構造であることにある。中空加熱カップ2は、上部が中空管状構造であり、下部が一体的に頂板を有する中空管状構造14であり、頂板が上記の仕切板とされ、頂板には、実施例1における集熱孔21として頂板貫通孔141を有する。中空加熱カップ2の上部と下部が係合される。
【0057】
上部の中空管状構造は、熱伝導や加工を容易にするための金属材質からなり、下部の頂板を有する中空管状構造14は、磁気伝導を容易にするための非金属材質からなる。
【0058】
以上は本発明の具体的な実施形態のみであるが、本発明の保範囲はこれらに限定されるものではなく、当業者が本発明に開示された技術的範囲内で容易に想到できる任意の変更又は置換は、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものである。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0059】
1:挿入口部
2:加熱カップ
21:集熱孔
3:均熱部材
31:均熱孔
32:均熱室
4:誘導コイル
5:発熱体
6:遮蔽リング
7:断熱絶縁層
8:温度センサー
9:真空保温管
10:断熱リング
11:中空ベース
12:コイル導線
13:タバコ収容室
14:一体的に頂板を有する中空管状構造
141:頂板貫通孔