(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-08
(45)【発行日】2022-09-16
(54)【発明の名称】乗客コンベアのフェンス、乗客コンベア、乗客コンベアのフェンスの設置方法
(51)【国際特許分類】
B66B 23/22 20060101AFI20220909BHJP
B66B 29/04 20060101ALI20220909BHJP
E04H 17/16 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
B66B23/22 Z
B66B29/04 J
E04H17/16 104
(21)【出願番号】P 2019115107
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 考生
(72)【発明者】
【氏名】宇津宮 博文
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-317261(JP,A)
【文献】特公昭55-020983(JP,B2)
【文献】特開平09-279803(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101966961(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00-31/02
E04H 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の欄干部を有する乗客コンベアの前記一対の欄干部の外側に設置されるフェンスにおいて、
上下方向の上端部が前記欄干部よりも上下方向の上側に位置するパネル部材と、
前記パネル部材を支持する支柱と、を備え、
前記支柱は、
前記パネル部材よりも前記欄干部から離れた位置に配置される外側支柱部と、
前記パネル部材よりも前記欄干部に接近した位置に配置されて、前記外側支柱部と共に前記パネル部材を支持する内側支柱部と、
前記外側支柱部と前記内側支柱部を支持する支持部と、を有し、
前記外側支柱部の上下方向の上端部は、前記内側支柱部の上下方向の上端部よりも上方に位置
し、
前記支持部と前記欄干部の間おいて、前記欄干部の長手方向に沿って配置される天板をさらに備え、
前記天板は、前記欄干部の上端部よりも上下方向の下側に配置される
乗客コンベアのフェンス。
【請求項2】
前記外側支柱部は、その上端部が前記欄干部の上下方向の上端部よりも高く、かつ前記パネル部材の上下方向の上端部まで延在し、
前記内側支柱部は、その上端部が欄干部の上下方向の上端部と同一又は下方に位置して配置される
請求項1に記載の乗客コンベアのフェンス。
【請求項3】
前記天板は、前記支柱に支持された前記パネル部材の上下方向の下端部よりも上下方向の上側に配置される
請求項
1に記載の乗客コンベアのフェンス。
【請求項4】
前記外側支柱部は、前記支持部の上端部から連続して形成され、
前記内側支柱部は、前記支持部の上端部に載置される
請求項
1に記載の乗客コンベアのフェンス。
【請求項5】
前記支柱は、
前記欄干部に固定される固定部材と、
前記固定部材と前記支持部とを連結する梁部材と、を有し、
前記天板は、前記梁部材に固定される
請求項
1に記載の乗客コンベアのフェンス。
【請求項6】
前記支柱は、建築構造物に設置されるフレームに固定され、前記フレームから立設される
請求項1または2に記載の乗客コンベアのフェンス。
【請求項7】
前記パネル部材及び前記天板は、透明又は半透明の部材により形成される
請求項
1に記載の乗客コンベアのフェンス。
【請求項8】
一対の欄干部と、前記一対の欄干部の外側に設置されるフェンスと、を備え、
前記フェンスは、
上下方向の上端部が前記欄干部よりも上下方向の上側に位置するパネル部材と、
前記パネル部材を支持する支柱と、を備え、
前記支柱は、
前記パネル部材よりも前記欄干部から離れた位置に配置される外側支柱部と、
前記パネル部材よりも前記欄干部に接近した位置に配置されて、前記外側支柱部と共に前記パネル部材を支持する内側支柱部と、
前記外側支柱部と前記内側支柱部を支持する支持部と、を有し、
前記外側支柱部の上下方向の上端部は、前記内側支柱部の上下方向の上端部よりも上方に位置
し、
前記支持部と前記欄干部の間おいて、前記欄干部の長手方向に沿って配置される天板をさらに備え、
前記天板は、前記欄干部の上端部よりも上下方向の下側に配置される
乗客コンベア。
【請求項9】
一対の欄干部を備える乗客コンベアにおける前記一対の欄干部の外側にフェンスを設置する方法において、
前記一対の欄干部の外側に支柱を設置する工程と、
上下方向の上端部が前記欄干部よりも上下方向の上側に位置するパネル部材を前記支柱に設置する工程と、を含み、
前記支柱は、
前記パネル部材よりも前記欄干部から離れた位置に配置される外側支柱部と、
前記パネル部材よりも前記欄干部に接近した位置に配置されて、前記外側支柱部と共に前記パネル部材を支持する内側支柱部と、
前記外側支柱部と前記内側支柱部を支持する支持部と、を有し、
前記外側支柱部の上下方向の上端部は、前記内側支柱部の上下方向の上端部よりも上方に位置
し、
前記支持部と前記欄干部の間おいて、前記欄干部の長手方向に沿って配置される天板をさらに備え、
前記天板は、前記欄干部の上端部よりも上下方向の下側に配置される
乗客コンベアのフェンスの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアに設けられたフェンス、乗客コンベア及び乗客コンベアのフェンスの設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアは、建築構造物に設置されるフレームと、このフレーム内に設けられて循環移動する無端状に連結された複数の踏段とを備えている。複数の踏段には、無端状のチェーンが連結されており、このチェーンが回転駆動することで、複数の踏段が循環移動する。さらに、フレームには、複数の踏段の移動方向に沿って一対の欄干部が立設されている。また、人や物が欄干部の外側に落下することを防ぐために、欄干部の外側には、フェンスが設けられている。
【0003】
このようなフェンスとしては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、路面から一定高さに直立して設けられた透明型欄干の外側にあって、この透明型欄干の欄干板より一段高い位置まで並設されるフェンス体を設けた技術が記載されている。そして、この特許文献1に記載された技術は、欄干板の継目を貫通して支持され、その外側に延設された支持具を設け、この支持具に、この欄干板より一段高い位置まで延設されたフェンス体を固設している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、フェンス体は支持具により下部のみが支持されていたため、乗客コンベアの幅方向の外側に向けられる力に対して十分な剛性を確保することが難しい、という問題を有していた。また、支持具の高さをフェンス体の上部まで伸ばした場合、踏段を移動する乗客の手が支持具に接触するおそれがあった。
【0006】
上記の問題点を考慮し、剛性を確保し、安全性の高い乗客コンベアのフェンス、乗客コンベア及び乗客コンベアのフェンスの設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、乗客コンベアのフェンスは、一対の欄干部を有する乗客コンベアの一対の欄干部の外側に設置されるフェンスである。フェンスは、上下方向の上端部が欄干部よりも上下方向の上側に位置するパネル部材と、パネル部材を支持する支柱と、を備えている。支柱は、パネル部材よりも欄干部から離れた位置に配置される外側支柱部と、パネル部材よりも欄干部に接近した位置に配置されて、外側支柱部と共にパネル部材を支持する内側支柱部と、を有している。そして、外側支柱部の上下方向の上端部は、内側支柱部の上下方向の上端部よりも上方に位置する。
【0008】
また、乗客コンベアは、一対の欄干部と、一対の欄干部の外側に設置されるフェンスと、を備えている。また、フェンスとしては、上述したフェンスが用いられる。
【0009】
また、乗客コンベアのフェンスの設置方法は、以下(1)から(2)に示す工程を含む。
(1)一対の欄干部の外側に支柱を設置する工程。
(2)上下方向の上端部が欄干部よりも上下方向の上側に位置するパネル部材を支柱に設置する工程。
また、支柱は、パネル部材よりも欄干部から離れた位置に配置される外側支柱部と、パネル部材よりも欄干部に接近した位置に配置されて、外側支柱部と共にパネル部材を支持する内側支柱部と、を有している。そして、外側支柱部の上下方向の上端部は、内側支柱部の上下方向の上端部よりも上方に位置する。
【発明の効果】
【0010】
上記構成の乗客コンベアのフェンス、乗客コンベア及び乗客コンベアのフェンスの設置方法によれば、剛性を確保し、安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態例にかかる乗客コンベアの構成例を示す概略構成図である。
【
図2】第1の実施の形態例にかかるフェンスを示す斜視図である。
【
図3】第1の実施の形態例にかかるフェンスを示す断面図である。
【
図4】第2の実施の形態例にかかるフェンスを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、フェンス、乗客コンベア及びフェンスの設置方法の実施の形態例について、
図1~
図4を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0013】
1.第1の実施の形態例
1-1.乗客コンベアの構成例
まず、第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかるフェンスが用いられる乗客コンベアの構成について、
図1から
図3を参照して説明する。
図1は、乗客コンベアを示す概略構成図である。
【0014】
図1に示す乗客コンベア1は、建築構造物の上階床100Aと下階床100Bに設置される傾斜型の乗客コンベア、いわゆるエスカレーターである。
図1に示すように、乗客コンベア1は、建築構造物に設置されたフレーム2と、上部乗降床3Aと、下部乗降床3Bと、デッキ部4と、複数の踏段5と、欄干部7と、フェンス15と、を備えている。また、乗客コンベア1は、不図示の駆動機構と、下部スプロケット10と、上部スプロケット11と、備えている。
【0015】
フレーム2は、上階床100Aと下階床100Bにまたがって設置されている。フレーム2は、傾斜区間と、上水平区間と、下水平区間から構成されている。以下、フレーム2における下階床100Bから上階床100Aに向かって延在する方向をフレーム2の長手方向とする。フレーム2の長手方向と直交し、かつ鉛直方向とも直交する方向をフレーム2の幅方向とする。
【0016】
フレーム2の長手方向の上階床100A側に形成された上水平区間は、上階床100Aと平行に形成されている。そして、フレーム2の上水平区間には、上部乗降床3Aが設置されている。上部乗降床3Aは、上階床100Aと平行をなし、上階床100Aに載置されている。
【0017】
フレーム2の長手方向の下階床100B側に形成された下水平区間は、下階床100Bと平行に形成されている。そして、フレーム2の下水平区間には、下部乗降床3Bが設置されている。下部乗降床3Bは、下階床100Bと平行をなし、下階床100Bに設置されている。
【0018】
フレーム2は、例えば、トラス構造により構成されている。フレーム2は、幅方向の両側に配置される一対の上枠2aを有している。上枠2aは、フレーム2の上面部を構成し、長手方向に沿って上階床100Aから下階床100Bにかけて配置される。
【0019】
また、フレーム2における上部乗降床3Aの下方には、不図示の駆動機構と、上部スプロケット11が配置され、フレーム2における下部乗降床3Bの下方には、下部スプロケット10が配置される。上部スプロケット11と駆動機構の駆動軸には、伝達チェーンが巻き掛けられている。駆動機構が駆動すると、上部スプロケット11は、伝達チェーンを介して回転駆動する。
【0020】
上部スプロケット11と下部スプロケット10には、踏段チェーンが巻き掛けられている。踏段チェーンは、その長手方向の両端部が連結された無端状に形成されている。上部スプロケット11が回転することで、下部スプロケット10及び踏段チェーンが回転する。そして、踏段チェーンは、上部スプロケット11と下部スプロケット10の間を循環移動する。
【0021】
踏段チェーンには、複数の踏段5が無端状に連結されている。複数の踏段5は、フレーム2に設けられた不図示のガイドレールに移動可能に支持されている。として、複数の踏段5は、ガイドレールに沿って上部スプロケット11と下部スプロケット10の間を循環移動する。
【0022】
複数の踏段5の幅方向の両端部には、デッキ部4が設置されている。デッキ部4は、フレーム2の長手方向に沿って配置される。デッキ部4は、フレーム2の幅方向の両端部の上方おける傾斜区間の全てと、上水平区間及び下水平区間の一部を覆う。そして、デッキ部4は、欄干部7を支持している。
【0023】
欄干部7は、デッキ部4に支持される複数の欄干パネル7aと、移動手摺7bとを有している(
図2参照)。移動手摺7bは、欄干パネル7aの周縁部に移動可能に支持されている。また、移動手摺7bは、複数の踏段5の循環移動の動作に同期して、循環移動する。
【0024】
また、欄干部7よりも幅方向の外側には、フェンス15が設置されている。
【0025】
1-2.フェンスの構成の構成
次に、本例のフェンス15の構成例について
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、フェンス15を示す斜視図、
図3は、フェンス15を示す断面図である。
【0026】
図1に示すように、フェンス15は、複数の支柱16と、支柱16に支持される複数のパネル部材17と、天板18とを有している。パネル部材17及び天板18は、透明又は半透明な部材により形成されており、例えば、アクリルパネルにより形成される。これにより、乗客コンベア1の美観がフェンス15によって損なわれることを防ぐことができる。また、パネル部材17は、支柱16に支持されて、その上端部が欄干部7の移動手摺7bよりも高く延在している。
【0027】
図2及び
図3に示すように、支柱16は、固定部材21と、2つの梁部材22、22と、支持部材23と、内側支柱部26と、を有している。固定部材21は、複数の欄干パネル7aのうち隣り合う2つの欄干パネル7a、7aの継ぎ目に設置される。そして、固定部材21は、隣り合う2つの欄干パネル7a、7aを挟み込むことにより、欄干部7に固定される。
【0028】
固定部材21は、2つの梁部材22、22の一端部を支持している。2つの梁部材22、22は、上下方向に間隔を空けて配置されている。そして、2つの梁部材22、22は、固定部材21から欄干部7の幅方向の外側に向けて突出している。固定部材21から幅方向の外側に向けて突出している。また、2つの梁部材22、22における固定部材21とは反対側の他端部には、支持部材23が固定されている。
【0029】
支持部材23は、支持部24と、外側支柱部25と、を有している。支持部24は、2つの梁部材22、22の他端部が挿入される2つの固定孔24a、24aが形成されている。支持部24における上下方向の上端部24bからは外側支柱部25が連続して形成されている。また、支持部24の上端部24bには、パネル部材17及び内側支柱部26が載置される。
【0030】
外側支柱部25は、平板状に形成されている。そして、外側支柱部25は、支持部24の上端部24bにおいて幅方向の外側の端部から上下方向の上方に向けて立設している。また、外側支柱部25における上下方向の上端部は、欄干部7の移動手摺7bよりも上下方向の上側に位置している。
【0031】
外側支柱部25は、パネル部材17における乗客コンベア1の幅方向の外側に設置され、パネル部材17を支持する。また、外側支柱部25は、パネル部材17よりも欄干部7から離れた位置に配置される。このとき、外側支柱部25の上端部は、パネル部材17の上下方向の上端部の近傍に位置している。また、外側支柱部25には、パネル部材17を固定するための固定ねじ28が螺合するねじ孔25aが形成されている。
【0032】
内側支柱部26は、平板状に形成されている。内側支柱部26は、その厚みが外側支柱部25よりも薄くなるように形成されている。内側支柱部26は、支持部24における上端部24bに設置される。支持部24に設置された際、内側支柱部26の上下方向の上端部は、欄干部7の移動手摺7bと略同一、または上下方向の下方に位置している。
【0033】
内側支柱部26は、支持部24の上端部24bにおいて外側支柱部25よりも幅方向の内側に配置される。また、内側支柱部26は、パネル部材17よりも欄干部7に接近した位置に配置される。そして、内側支柱部26は、外側支柱部25と間隔を空けて対向する。内側支柱部26と外側支柱部25の間にパネル部材17が挿入される。また、内側支柱部26には、固定ねじ28が螺合するねじ孔26aが形成されている。内側支柱部26は、固定ねじ28によりパネル部材17を介して外側支柱部25に固定される。
【0034】
また、支持部材23は、内側支柱部26が外側支柱部25に対して分割して形成されている。そのため、固定ねじ28を締め付けることで、内側支柱部26は外側支柱部25に向けて移動する。そして、内側支柱部26と外側支柱部25の間に挿入されたパネル部材17は、内側支柱部26により外側支柱部25側に押し付けられる。これにより、パネル部材17は、内側支柱部26と外側支柱部25によって挟持される。その結果、内側支柱部26とパネル部材17の間、及び外側支柱部25とパネル部材17の間に生じる隙間を無くすことができ、パネル部材17を内側支柱部26と外側支柱部25によりガタ付きなく支持することができる。
【0035】
天板18は、固定部材21と支持部材23を接続する2つの梁部材22、22のうち上下方向の上側に設置された梁部材22に固定される。天板18は、欄干部7と支持部材23の間において、フレーム2の長手方向に沿って配置される。そして、天板18は、欄干部7の移動手摺7bよりも上下方向の下側に配置される。また、天板18は、外側支柱部25と内側支柱部26によって支持されたパネル部材17の上下方向の下端部と略同一の位置、又は下端部よりも上下方向の上側に配置される。
【0036】
そのため、欄干部7の幅方向の外側には、欄干パネル7a、天板18及びパネル部材17で囲まれた空間S1が形成される。これにより、欄干部7の外側に落ちた落下物を天板18によって受け止めることができ、パネル部材17の下端部から幅方向の外側に物が落下することを防止することができる。
【0037】
また、天板18には、滑落防止部を設けてもよい。これにより、天板18への落下物が、天板18に沿って下方に滑り落ちることを防止することができる。
【0038】
なお、本例では、天板18の材質として、アクリルパネルを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、プラスチックの板や網状の部材等その他各種の材質により天板18を形成してもよい。さらに、パネル部材17及び天板18として、透明又は半透明なアクリルパネルを適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。パネル部材17及び天板18としては、ステンレス板やカーボン板等の不透明な部材により形成してもよい。
【0039】
本例のフェンス15によれば、外側支柱部25の上端部が欄干部7の移動手摺7bよりも高く、かつパネル部材17の上端部と同等の高さとなるように、外側支柱部25を延設している。これにより、パネル部材17に対して幅方向の外側に向けて加わる力を外側支柱部25で受けることができ、フェンス15に求められる剛性を確保することができる。
【0040】
また、パネル部材17の幅方向の内側に設置される内側支柱部26は、その高さが欄干部7の移動手摺7bと同等の高さ、又は移動手摺7bよりも上下方向の下方となるように形成している。これにより、パネル部材17における幅方向の内側の面に生じる突起を最小限に抑えることができる。その結果、欄干部7から乗り出した乗客の手が内側支柱部26に接触することを防ぐことができ、安全性の高いフェンス15を提供することができる。
【0041】
さらに、固定部材21と支持部材23を接続する梁部材22を上下方向に間隔を空けて2つ設けたことで、支持部材23が梁部材22を中心に回転することを防止することができる。なお、本例では、梁部材22を2つ設けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、梁部材22を3つ以上設けてもよい。あるいは梁部材として上下方向に延在する平板状の部材を用いてもよい。
【0042】
1-3.フェンスの設置方法
次に、上述した構成を有するフェンス15の設置方法について説明する。
【0043】
まず、
図2及び
図3に示すように、支柱16を構成する固定部材21を欄干パネル7aに固定する。次に、固定部材21に梁部材22を固定する。そして、梁部材22における固定部材21側とは反対側の端部に支持部材23を固定する。なお、固定部材21を欄干パネル7aに固定する前に、固定部材21、梁部材22及び支持部材23を一体に固定させてもよい。
【0044】
次に、支持部材23に固定ねじ28を介して内側支柱部26を仮固定する。そして、支持部材23の外側支柱部25と内側支柱部26の間にパネル部材17を挿入する。次に、固定ねじ28を締め付けて、内側支柱部26を支持部材23に固定する。これにより、パネル部材17が内側支柱部26と外側支柱部25によって挟持される。その結果、フェンス15の設置作業が完了する。
【0045】
上述した工程からなるフェンス15の設置方法によれば、既設の乗客コンベア1に対して、新たにフェンス15を設置する際に、欄干部7の欄干パネル7aに固定部材21を固定するだけで、フェンス15を設置することができる。これにより、フレーム2やデッキ部4を加工することなく、フェンス15を設置できるためフェンス15を設置する際の設置作業にかかる時間の短縮を図ることができ、フェンス15を容易に設置することができる。
【0046】
2.第2の実施の形態例
次に、第2の実施の形態例にかかるフェンスについて
図4を参照して説明する。
図4は、第2の実施の形態例にかかるフェンスを示す斜視図である。
【0047】
この第2の実施の形態例にかかるフェンス45が、第1の実施の形態例にかかるフェンス15と異なる点は、支持部材を固定する箇所である。そのため、第1の実施の形態例にかかるフェンス15と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明は省略する。
【0048】
図4に示すように、フェンス45は、支柱46と、パネル部材17と、天板18とを有している。支柱46は、支持部材53と、内側支柱部56と、を有している。支持部材53は、支持部材53は、支持部54と、外側支柱部55と、を有している。
【0049】
支持部54は、上下方向に延在する長尺状の部材により形成されている。支持部54の上下方向の下端部は、フレーム2の上枠2aに溶接又は固定ボルトによ締結固定等の固定方法により固定されている。そして、支持部54は、上枠2aから上下方向の上方に向けて立設している。また、支持部54は、デッキ部4の上面部4aに設けた貫通孔4cを貫通し、欄干部7の上下方向の中途部まで延在している。
【0050】
外側支柱部55は、支持部54の上下方向の上端部から連続して設けられている。外側支柱部55は、欄干部7の移動手摺7bよりも高くパネル部材17の上下方向の上端部まで延在している。また、外側支柱部55には、パネル部材17を固定するための固定ねじ28が螺合するねじ孔55aが形成されている。
【0051】
また、支持部材53には、フレーム2の幅方向の内側に向けて突出する不図示のアーム部が設けられている。アーム部は、支持部材53における支持部54の上端部に形成されている。このアーム部には、天板18が固定される。
【0052】
内側支柱部56は、支持部54の上下方向の上端部に載置され、パネル部材17における乗客コンベア1の幅方向の内側に設置される。そして、内側支柱部56と外側支柱部55の間には、パネル部材17が挿入される。そして、パネル部材17は、固定ねじ28を螺合することで、内側支柱部56と外側支柱部55に挟持される。また、内側支柱部56の上端部は、欄干部7の移動手摺7bと略同一、または上下方向の下方に位置している。
【0053】
この第2の実施の形態例にかかるフェンス45によれば、支持部材53をフレーム2に固定することで、フェンス45の剛性をより高めることができる。
【0054】
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかるフェンス15と同様であるため、それらの説明は省略する。この第2の実施の形態例にかかるフェンス45によっても、上述した第1の実施の形態例にかかるフェンス15と同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
なお、上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0056】
上述した実施の形態例では、傾斜型の乗客コンベアとして、踏段間に段差が生じるエスカレーターを例に挙げて説明したが、本発明の乗客コンベアとしては、踏段間に段差が生じない複数の踏段を有する電動道路、いわゆる動く歩道にも適用できるものである。
【0057】
また、傾斜区間の少なくとも一部に、上水平区間及び下水平区間に対して平行な箇所を設けたフレームを有する乗客コンベアにも適用できるものである。さらに、傾斜区間の延設方向が湾曲して変化することで、上水平区間と下水平区間の延設方向が異なるフレームを有する乗客コンベアに対しても同様に適用できるものである。
【0058】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…乗客コンベア、 2…フレーム、 2a…上枠、 2b…固定ブラケット、 3A…上部乗降床、 3B…下部乗降床、 4…デッキ部、 5…踏段、 7…欄干部、 7a…欄干パネル、 7b…移動手摺、 15、45…フェンス、 16、46…支柱、 17…パネル部材、 18…天板、 21…固定部材、 22…梁部材、 23、53…支持部材、 24、54…支持部、 24a…固定孔、 24b…上端部、 25、55…外側支柱部、 25a…ねじ孔、 26、56…内側支柱部、 26a…ねじ孔、 28…固定ねじ、 100A…上階床、 100B…下階床、 S1…空間