(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-09
(45)【発行日】2022-09-20
(54)【発明の名称】戸体
(51)【国際特許分類】
H05B 47/11 20200101AFI20220912BHJP
E06B 7/28 20060101ALI20220912BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20220912BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220912BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220912BHJP
【FI】
H05B47/11
E06B7/28 C
F21V33/00 200
F21V23/00 140
F21V23/00 110
F21V23/00 115
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2018245909
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】倉林 慶太
(72)【発明者】
【氏名】朴 景敏
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-111896(JP,U)
【文献】特開平7-293138(JP,A)
【文献】特開平2-236993(JP,A)
【文献】特開平11-026171(JP,A)
【文献】特開2002-313587(JP,A)
【文献】特開平8-124409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
E06B 7/28
F21V 33/00
F21V 23/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側と他側とを仕切る戸体であって、
前記戸体の戸先側に設けられた照明部と、
前記照明部の点灯及び消灯の制御を行う制御部と、
前記戸体の開閉状態を検知するマグネットセンサと、
一側と他側とのそれぞれの側において人の存在を検知する人感センサと、
一側と他側とのそれぞれの側における照度を検知する照度センサと、を備え、
前記制御部は、前記戸体が閉まっていることを検知し、且つ、前記照度センサによって一側と他側との少なくとも一方の側の照度が所定の照度よりも低いことが検知され、且つ、前記人感センサによって前記一方の側において前記戸体に人が接近してきたことが検知されたときに、前記照明部を点灯させる制御を前記照明部に対して行う戸体。
【請求項2】
前記制御部は、前記照明部が点灯した後、前記戸体が開いたことを検知しても前記人感センサが検知されている間は、前記照明部を点灯し続ける制御を前記照明部に対して行う請求項1に記載の戸体。
【請求項3】
前記制御部は、前記照明部を点灯させる制御を前記照明部に対して行った後に、前記人感センサによって前記一方の側において人の存在が検知されなくなってから所定時間経過後に前記照明部を消灯させる制御を照明部に対して行う請求項1又は請求項2に記載の戸体。
【請求項4】
把手を備え、
前記照明部は、把手の上側及び下側において前記戸体の戸先に沿って延びて設けられ、
前記制御部は、前記照明部による光が前記把手から離れてゆくように前記照明部を点灯させるか、又は、前記照明部による光が前記把手に接近してゆくように前記照明部を点灯させる制御を前記照明部に対して行う請求項1~請求項3のいずれかに記載の戸体。
【請求項5】
前記制御部は、徐々に明るくする点灯の制御と、徐々に暗くする消灯の制御とを前記照明部に対して行う請求項1~請求項4のいずれかに記載の戸体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明部を備える戸体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、LED(発光ダイオード)等の発光素子を有する照明部を備える開閉窓等の戸体が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されている戸体としての開閉窓は、有機ELパネルを備える透明ブロック装置を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報記載の戸体は、周囲環境の明暗のみに対応して照明が点灯したり消灯したりするため、点灯が不必要な状況でもムダに点灯するという問題がある。
【0005】
本発明は、点灯が不必要な状況において照明を消灯することが可能な戸体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一側と他側とを仕切る戸体(例えば、後述の戸体1)であって、前記戸体の戸先側に設けられた照明部(例えば、後述の照明部50)と、前記照明部の点灯及び消灯の制御を行う制御部(例えば、後述の制御部1051)と、前記戸体の開閉状態を検知するマグネットセンサ(例えば、後述のリードスイッチ101)と、一側と他側とのそれぞれの側において人の存在を検知する人感センサ(例えば、後述の人感センサ102)と、一側と他側とのそれぞれの側における照度を検知する照度センサ(例えば、後述の照度センサ103)と、を備え、前記制御部は、前記戸体が閉まっていることを検知し、且つ、前記照度センサによって一側と他側との少なくとも一方の側の照度が所定の照度よりも低いことが検知され、且つ、前記人感センサによって前記一方の側において前記戸体に人が接近してきたことが検知されたときに、前記照明部を点灯させる制御を前記照明部に対して行う戸体に関する。
【0007】
また、前記制御部は、前記照明部が点灯した後、前記戸体が開いたことを検知しても前記人感センサが検知されている間は、前記照明部を点灯し続ける制御を前記照明部に対して行うことが好ましい。
【0008】
また、前記制御部は、前記照明部を点灯させる制御を前記照明部に対して行った後に、前記人感センサによって前記一方の側において人の存在が検知されなくなってから所定時間経過後に前記照明部を消灯させる制御を照明部に対して行うことが好ましい。
【0009】
また、把手(例えば、後述のハンドル441)を備え、前記照明部は、把手の上側及び下側において前記戸体の戸先に沿って延びて設けられ、前記制御部は、前記照明部による光が前記把手から離れてゆくように前記照明部を点灯させるか、又は、前記照明部による光が前記把手に接近してゆくように前記照明部を点灯させる制御を前記照明部に対して行うことが好ましい。また、前記制御部は、徐々に明るくする点灯の制御と、徐々に暗くする消灯の制御とを前記照明部に対して行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、点灯が不必要な状況において照明を消灯することが可能な戸体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】一実施形態による戸体を示す拡大分解斜視図である。
【
図4】一実施形態による戸体の戸先芯材に芯材側フレームが固定された様子を示す拡大断面図である。
【
図5】一実施形態による戸体の芯材側フレームにアクリル板が取り付けられた様子を示す拡大断面図である。
【
図6】一実施形態による戸体の芯材側フレームにアクリル板及び戸先側フレームが取り付けられた様子を示す拡大断面図である。
【
図7】一実施形態による戸体において照明部が光っている様子を示す正面図である。
【
図8】一実施形態による戸体の照明部により照明を行う制御のための構成を示すブロック図である。
【
図9】一実施形態による戸体におけるセンサ等の位置を説明するための説明図である。
【
図10】一実施形態による戸体において人感センサによる人の検知を説明するための説明図である。
【
図11】一実施形態による戸体の照明部により照明を行う制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、建物に形成された躯体開口部の内部に設けられ、開閉可能な戸体1を本発明の一実施形態として説明する。
【0013】
図1は、戸体1を示す正面図である。
図2は、戸体1を示す側面図である。
図3は、戸体1を示す拡大分解斜視図である。
図4は、戸体1の戸先芯材44に芯材側フレーム61が固定された様子を示す拡大断面図である。
図5は、戸体1の芯材側フレーム61にアクリル板53が取り付けられた様子を示す拡大断面図である。
図6は、戸体1の芯材側フレーム61にアクリル板53及び戸先側フレーム62が取り付けられた様子を示す拡大断面図である。
【0014】
戸体1は、吊元側の縦枠に固定される蝶番を介して枠体の内側に吊り込まれる開き戸である。戸体1は、室外側表面材20と、室内側表面材30と、芯材40と、を有している。芯材40は、室外側表面材20と室内側表面材30の間に配置されて設けられており、上芯材41と、下芯材42と、吊元芯材43と、戸先芯材44と、により矩形に枠組みされて構成されている。上芯材41、下芯材42、吊元芯材43及び戸先芯材44は、室内側表面材30に固定されるとともに室外側表面材20に固定される。
【0015】
戸先芯材44は、戸体1において戸先側に配置されており、戸先芯材44には、LED51が設けられた把手としてのハンドル441が回動可能に設けられている。また、戸先芯材44には、照明部50が設けられている。具体的には、戸先芯材44の戸先側には芯材側フレーム61が設けられている。
芯材側フレーム61は、
図3に示すように、戸体1の戸先側の端部において室外側表面材20と、室内側表面材30と、戸先芯材44とにより形成されたコの字形状の空間に嵌め込まれた状態で収容されて設けられている。
【0016】
芯材側フレーム61は、アルミニウムを押し出し成型することによって形成されており、
図4等に示す横断面において、芯材側壁部611と、室外側壁部612と、室内側壁部613と、戸先側壁部614とにより構成される略C字形状に形成されている。芯材側壁部611が戸先芯材44にネジ443によって固定されることにより、芯材側フレーム61は、戸先芯材44に固定されている。また、芯材側壁部611には、発光素子としてのLED51(発光ダイオード)を有するLED照明基板52が固定されている。LED51は、LED照明基板52上、即ち、LED照明基板52の戸先側の面上に固定されており、芯材側フレーム61の内部に設けられている。LED照明基板52は、芯材側フレーム61の芯材側壁部611の上端部から下端部に至るまで一直線状に複数設けられており、後述の制御部1051による制御により、予め設定された点灯方法により、複数のLED51を一直線状に点灯させることが可能である。
【0017】
室外側表面材20と室内側表面材30とを結ぶ方向における戸先側壁部614の中央位置には、戸体1の上下方向に延びる開口616が形成されている。開口616は、戸先側壁部614の上端部から下端部に至るまで、室外側表面材20と室内側表面材30とを結ぶ方向において所定の幅で形成されている。
【0018】
略C字形状に形成されている芯材側フレーム61の内面、即ち、芯材側壁部611の内面、室外側壁部612の内面、室内側壁部613の内面、及び、戸先側壁部614の内面は、LED照明基板52上のLED51に対向する対向面を構成しており、アルミ二ウム合金の金属光沢を有している。また、戸先側壁部614の戸先側の面についてもアルミ二ウム合金の金属光沢を有している。
【0019】
戸先側壁部614の戸先側には、
図6に示すように、戸先側壁部614の開口616を塞ぐように、光透過部材としての長方形状のアクリル板53が設けられている。室外側表面材20と室内側表面材30とを結ぶ方向におけるアクリル板53の幅は、同方向における戸体1における室外側表面材20の厚さと、室内側表面材30の厚さと、芯材40の厚さとの和と略同一である。アクリル板53は、乳白色を有しており、戸先側壁部614の上端部から下端部に至るまで戸先側壁部614に対向して配置されている。
【0020】
アクリル板53の戸先側には、長手方向に直交する断面が中空の戸先側フレーム62が設けられている。戸先側フレーム62は、アルミニウムを押し出し成型することによって形成されており、芯材側フレーム61との間でアクリル板53を挟むようにして配置されており、ネジ623によってアクリル板53を貫通して芯材側フレーム61に固定されている。ネジ623を緩めて戸先側フレーム62を取り外すことにより、アクリル板53を芯材側フレーム61に対して着脱可能である。これにより、異なる色のアクリル板53に交換する等が可能である。アクリル板53に対向する戸先側フレーム62の面は、アルミ二ウム合金の金属光沢を有している。
【0021】
アクリル板53、及び、LED51を有するLED照明基板52は、照明部50を構成する。LED51の発光による光は、金属光沢を有する芯材側フレーム61の対向面により反射されて、開口616から開口616の戸先側に配置されたアクリル板53に入射する。アクリル板53に入射した光は、アクリル板53に対向する戸先側フレーム62の面の、アルミ二ウム合金の金属光沢と、戸先側壁部614の戸先側の面の、アルミ二ウム合金の金属光沢とにより反射されて、室外側表面材20と室内側表面材30とを結ぶ方向におけるアクリル板53の一端部と他端部とから、戸体1の一側としての室外側と、戸体1の他側としての室内側と、において光を放出可能に構成されている。
【0022】
また、戸体1は、
図8等に示すように、リードスイッチ101と、人感センサ102と、照度センサ103と、電源104と、制御基板105と、を備えている。
図7は、戸体1において照明部50が光っている様子を示す正面図である。
図8は、戸体1の照明部50により照明を行う制御のための構成を示すブロック図である。
図9は、戸体1におけるセンサ等の位置を説明するための説明図である。
図10は、戸体1において人感センサ102による人の検知を説明するための説明図である。
図11は、戸体1の照明部50により照明を行う制御を示すフローチャートである。
【0023】
図9に示すように、リードスイッチ101は、上芯材41における戸先側の部分に設けられており、戸体1が開かれているか否かを検知する。なお、
図9においては、説明の便宜上、室内側表面材30の図示を省略する。
人感センサ102は、室外側及び室内側の、戸先芯材44の上下方向における中央部においてハンドル441(
図1参照)よりも下側にそれぞれ設けられており、戸体1の室外側と室内側とのそれぞれにおける戸体1の近傍に人がいるか否かを検知する。
照度センサ103は、室外側及び室内側の、戸先芯材44の上下方向における人感センサ102と上端部との間の部分にそれぞれ設けられており、戸体1の室外側と室内側とのそれぞれにおける照度が所定の値以下か否かを検知する。
【0024】
電源104は、乾電池等を有し、戸先芯材44の下部に設けられており、制御基板105上の制御部1051(CPU)等に直流の電気を供給する。
制御基板105は、戸先芯材44の下部に設けられており、制御基板105には制御部1051としてのCPUと、LED51を駆動するためのLEDドライバーが記憶されている記憶装置1052と、電源104からの電圧を降圧するDC/DCコンバータ1053とが設けられている。制御部1051には、リードスイッチ101と、人感センサ102と、照度センサ103と、LED51とが電気的に接続されている。制御部1051は、リードスイッチ101、人感センサ102、及び、照度センサ103からの検知信号に基づいて、LED51の点灯及び消灯の制御を行う。
電源104および制御基板105は、戸先芯材44の下部に形成された開口部の内部に配置されており、当該開口部は、蓋625(
図2参照)により閉じられている。蓋625を取り外すことにより、電源104等の交換が可能である。
【0025】
次に、制御部1051によるLED51の点灯及び消灯の制御について説明する。
図11は、戸体1の照明部50により照明を行う制御を示すフローチャートである。
先ず、ステップS101において、制御部1051は、戸体1が閉まっているか否かの判断をする。具体的には、リードスイッチ101による検知信号に基づき、戸体1が開いているか否かを判断する。戸体1が開いていると制御部1051が判断した場合には(YES)、制御部1051による処理は、ステップS102へ進む。戸体1が開いておらず閉じた状態であると制御部1051が判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS101へ戻る。
【0026】
ステップS102において、制御部1051は、戸体1の室外側、室内側のそれぞれにおいて、照度が所定の値以下か否かを検知する。室外側において照度が所定の値以下であると制御部1051が判断した場合には、制御部1051による処理は、ステップS103へ進む。室内側において照度が所定の値以下であると制御部1051が判断した場合には(YES)、制御部1051による処理は、ステップS104へ進む。室外側、室内側のいずれにおいても照度が所定の値以下ではないと制御部1051が判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS101へ戻る。
【0027】
ステップS103において、制御部1051は、室外側において戸体1の近傍に人がいるか否かを判断する。室外側において戸体1の近傍に人がいると制御部1051が判断した場合には(YES)、制御部1051による処理は、ステップS105へ進む。室外側において戸体1の近傍に人がいないと制御部1051が判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS101へ戻る。
【0028】
ここで、人感センサ102の検知に基づく制御部1051による判断は、
図10において破線で示す範囲内において、戸体1に対して接近してきたか否かを判断することにより行う。即ち、1m程度以上の身長を有する人P(子供以上の人間)が、
図10に示す破線の範囲において戸体1に対して2m離れた位置から更に接近してきて1.5m以内の位置に至るまで接近してきた場合に、制御部1051は、戸体1の近傍に人Pがいると判断する。従って、子犬等の小動物が戸体1に接近した場合には、人感センサ102には検知されない。また、戸体1に沿って戸体1の近傍を戸体1の戸尻側から戸先側へ移動してきた人Pについては、所定時間(例えば1秒程度)人Pの検出が持続した場合にのみ、制御部1051は戸体1の近傍に人Pがいると判断する。これにより、戸体1に沿って歩行して戸体1の近傍を通過する人Pを誤って検知することが抑えられる。これらの判断については、屋外側、屋内側における人感センサ102の検知に基づく制御部1051による判断について同様である。
【0029】
ステップS104において、制御部1051は、室内側において戸体1の近傍に人がいるか否かを判断する。室内側において戸体1の近傍に人がいると制御部1051が判断した場合には(YES)、制御部1051による処理は、ステップS105へ進む。室内側において戸体1の近傍に人がいないと制御部1051が判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS101へ戻る。
【0030】
ステップS105において、制御部1051は、LED51を予め設定した点灯方法により、点灯させる。予め設定した点灯方法とは、芯材側フレーム61の芯材側壁部611の上端部から下端部に至るまで一直線状に複数設けられた複数のLED51を、最初は、
図7に示すようにハンドル441の近傍のみが明るく光り、徐々にハンドル441近傍の位置から戸先側フレーム62の上端部と下端部とに向かってそれぞれ光が移動して光っていく部分が広がってゆき、最終的に、アクリル板53の上端部から下端部まで全体が光るように、直線状に順番に光らせる点灯方法である。
【0031】
この点灯方法に代えて他の点灯方法、例えば、逆の点灯方法、即ち、複数のLED51を、戸先側フレーム62の上端部と下端部とからハンドル441近傍の位置に向かってそれぞれ光が移動して光っている部分が広がってゆくように、直線上に順番に光らせる点灯方法でもよい。そして、制御部1051による処理は、ステップS106へ進む。
【0032】
ステップS106において、制御部1051は、LED51の点灯を維持して、LED51を点灯させ続ける。そして、制御部1051による処理は、ステップS107へ進む。
【0033】
ステップS107において、制御部1051は、戸体1の室外側および室内側に人がいない状態になったか否かを判断する。室外側および室内側に人がいない状態になったと制御部1051が判断した場合には(YES)、制御部1051による処理は、ステップS108へ進む。室外側および室内側に人がいない状態、即ち、室外側と室内側との少なくとも一方に人がいる状態であると制御部1051が判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS101へ戻る。
【0034】
ステップS108において、タイマーによる所定時間のカウントを開始する。そして、タイマーによる所定時間のカウントが終了、即ち、所定時間が経過した後に、制御部1051による処理は、ステップS109へ進む。
【0035】
ステップS109において、制御部1051は、LED51を予め設定した点灯方法により、消灯させる。予め設定した消灯方法とは、ステップS105において点灯させた状態の全てのLED51の明るさ(輝度)を、所定の低下率で徐々に低下させてゆき、最終的に消灯させる消灯方法である。そして、制御部1051による処理は、ステップS101へ戻る。
【0036】
次に、戸体1に照射部を取り付ける工程について説明する。
先ず、
図4に示すように、略C字形状に形成された芯材側フレーム61の内部にLED51が実装されたLED照明基板52を挿入し、LED照明基板52を芯材側壁部611に固定する。次に、開口616からネジ443を挿入し、ネジ443により芯材側壁部611を芯材40に固定する。
【0037】
次に、
図5に示すように、アクリル板53を芯材側フレーム61の戸先側に配置させる。そして、
図6に示すように、戸先側フレーム62に形成された貫通孔にネジ623を挿入し、ネジ623によってアクリル板53を貫通させて、戸先側フレーム62を芯材側フレーム61の戸先側壁部614に固定させる。以上の工程により、戸体1に照射部が取り付けられる。従って、ネジ623を緩めて取り外し、戸先側フレーム62を取り外すことにより、アクリル板53を取り外すことができる。このため、異なる色のアクリル板53に交換することが可能であり、また、アクリル板53と同一形状のガラス板に交換することも可能である。
【0038】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態においては、戸体1は、戸先側に配置される戸先芯材44と、戸先芯材44の戸先側に設けられた芯材側フレーム61と、芯材側フレーム61の戸先側に設けられた照明部50と、芯材側フレーム61との間で照明部50を挟むようにして、照明部50の戸先側に設けられた戸先側フレーム62と、を備えている。
照明部50を構成するアクリル板53の一端部は、戸体1の一側としての室外側において光を放出可能であり、照明部50を構成するアクリル板53の一端部は、戸体1の他側としての室内側において光を放出可能である。
【0039】
これにより、長方形状のアクリル板53の方向における端部は、一直線状に形成されているため、アクリル板53に入射したLED51の光が、長方形状のアクリル板53の幅方向における端部において一直線状に光り、LED51による一直線状のライン光による照明を、戸体1の一側及び他側の両方において実現することが可能である。
【0040】
また、照明部50は、発光素子としてのLED51と光透過部材としてのアクリル板53とを備え、LED51は芯材側フレーム61の内部に設けられ、アクリル板53は、芯材側フレーム61と戸先側フレーム62との間に配置されている。これにより、照明部50の一端部及び他端部を一直線状にする構成を用意に実現することができる。
【0041】
また、光透過部材としてのアクリル板53は、芯材側フレーム61に対して着脱可能である。これにより、異なる色のアクリル板53に交換したり、厚みの異なるアクリル板53に交換したり、アクリル板53以外のもの、例えば、ガラス板に交換したりすることが可能となる。このためメンテナンス性を高めることが可能となる。
【0042】
また、光透過部材は、アクリル板53又はガラス板により構成される。これにより、照明部50の一端部及び他端部から、LED51の光を放出する構成を容易に実現することが可能である。
【0043】
光透過部材としてのアクリル板53に対向する戸先側フレーム62の対向面は、金属光沢を有する。これによりLED51からの光を、効果的に長方形状のアクリル板53の幅方向における一端部及び他端部から室外側及び室内側へ放出することが可能となる。
【0044】
また、戸体1は、照明部50の点灯及び消灯の制御を行う制御部1051を有する制御基板105を備え、制御基板105は、戸先芯材44の下部に収納されている。これにより、制御基板105の点検や交換の際に、戸体1の低い位置において、これらの点検や交換の作業を行うことが可能となる。
【0045】
また、本実施形態においては、戸体1は、戸体1の戸先側に設けられた照明部50と、照明部50の点灯及び消灯の制御を行う制御部1051と、戸体1の開閉状態を検知するマグネットセンサ(りーどスイッチ101)と、一側としての室外側と他側としての室内側とのそれぞれの側において人の存在を検知する人感センサ102と、一側としての室外側と他側としての室内側とのそれぞれの側における照度を検知する照度センサ103と、を備え、制御部1051は、戸体1が閉まっていることを検知し、且つ、照度センサ103によって室外側と室内側との少なくとも一方の側の照度が所定の照度よりも低いことが検知され、且つ、人感センサ102によって一方の側において戸体1に人が接近してきたことが検知されたときに、照明部50を点灯させる制御を照明部50に対して行う。
【0046】
これにより、照度が所定の値よりも低いことを前提として、人感センサ102によって一方の側において戸体1に人が接近してきたことが検知されたときに、照明部50を点灯させる制御を照明部50に対して行うので、点灯が不必要な状況では、照明部50を消灯した状態として、無駄に点灯することを防止することが可能となる。従って、例えば、室外側の廊下において明るい照明が点灯しているときに、廊下側におい人が戸体1に接近してきた場合には、照明部50が無駄に点灯することを防止するとことが可能となる。
また、夜間、水分の摂取のため、キッチンへの移動やトイレへ行く際に、部屋の照明を点灯すると眩しいため眠気が覚醒する。部屋を消灯したまま移動する場合には、戸体1の位置が分かり難く、戸体に衝突するなどの危険性がある。このようなことを回避するために、夜間用照明を取り付けることが多いが、夜間用照明は、暗い中点灯し続けるためムダが多く、また完全に暗くして寝たい人には好まれない。
しかし、本実施形態における戸体1の照明部50は、人が戸体1の近傍にいることを条件として点灯するめためムダが無い。また、照明部50は、戸体1の戸先側において点灯するため、扉の開き方向及びハンドル441の位置がわかりやすく、より安全性を高めることが可能となる。
【0047】
制御部1051は、照明部50が点灯した後、戸体1が開いたことを検知しても人感センサ102が検知されている間は、照明部50を点灯し続ける制御を照明部50に対して行う。これにより、人が戸体1の近傍にいるにもかかわらず、照明部50が消灯してしまうことを防止することが可能となる。
【0048】
制御部1051は、照明部50を点灯させる制御を照明部50に対して行った後に、人感センサ102によって一方の側において人の存在が検知されなくなってから所定時間経過後に照明部50を消灯させる制御を照明部50に対して行う。これにより、戸体1の近傍に人がいない状態で、照明部50が無駄に点灯を続けることを防止するとことが可能となる。
【0049】
また、照明部50を構成するアクリル板53は、把手としてのハンドル441の上側及び下側において戸体1の戸先に沿って延びて設けられ、制御部1051は、照明部50による光が把手から離れてゆくように照明部50を点灯させるか、又は、照明部50による光が把手に接近してゆくように照明部50を点灯させる制御を照明部50に対して行う。
【0050】
これにより、戸体1の照明部50を戸先側のライン照明とすることを実現し、且つ、ハンドル441の近傍を起点として上下へ向かって移動してゆくように点灯するか、または、ハンドル441に向かって戸先の上端部及び下端部から移動してゆくように点灯するため、戸体1の開き方向及びハンドル441位置を、より分かりやすくすることが可能となる。
【0051】
制御部1051は、徐々に明るくする点灯の制御と、徐々に暗くする消灯の制御とを照明部50に対して行う。これにより、照明部50が突然点灯したり突然消灯したりすることが回避可能となる。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、戸体1は、屋内に配置される開き戸により構成されたか、開き戸に限定されない。例えば、戸体は、引き戸により構成されてもよく、また、屋外と屋内とを仕切る扉(例えば、玄関ドア等)により構成されてもよい。
また、アクリル板53は乳白色を有していたが、これに限定されず、他の色を有していてもよい。また、アクリル板53に代えてアクリル板53と同一形状のガラス板(透明体)を用いてもよいし、他の半透明な樹脂(半透明体)板を用いてもよいし、和紙等を用いてもよい。
【0053】
また、室外側と室内側とにLEDの光を放出する構成については、本実施形態における構成に限定されない。
【符号の説明】
【0054】
1…戸体
44…戸先芯材
50…照明部
51…LED
52…LED照明基板
61…芯材側フレーム
62…戸先側フレーム
102…人感センサ
103…照度センサ
104…電源
105…制御基板
441…ハンドル
616…開口