(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】定着装置、画像形成装置および圧接状態切換装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20220913BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20220913BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
G03G15/20 535
G03G21/14
G03G21/16 147
(21)【出願番号】P 2018084418
(22)【出願日】2018-04-25
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】中坊 将士
(72)【発明者】
【氏名】片岡 尚樹
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-177024(JP,A)
【文献】特開2016-109901(JP,A)
【文献】特開平10-293497(JP,A)
【文献】特開2018-010122(JP,A)
【文献】特開2009-216911(JP,A)
【文献】特開2012-027369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00-13/20
G03G 15/00-15/20
G03G 21/14-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱構造体に加圧構造体を圧接してニップを形成し、当該ニップに未定着のトナー像が転写された記録シートを通紙して、トナー像を記録シートに定着させる定着装置であって、
前記加熱構造体と前記加圧構造体の圧接状態を第1の圧接状態、第2の圧接状態、圧接解除状態のいずれかに選択的に切り換える圧接状態切換手段を備え、
前記圧接状態切換手段は、
前記第1の圧接状態と前記第2の圧接状態とを、前記圧接解除状態を経由することなく直接切り換える第1の切換部と、
前記第1の圧接状態と前記圧接解除状態とを切り換える第2の切換部と、
前記加熱構造体と前記加圧構造体のあるべき圧接状態に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された情報に基づき、前記第1の切換部もしくは前記第2の切換部を駆動させて、前記加熱構造体と前記加圧構造体の圧接状態を切り換えるよう制御する制御部と
を備えており、
前記圧接状態切換手段は、第1の弾性部材と、前記第1の弾性部材とバネ定数の異なる第2の弾性部材とを備えると共に、
前記加熱構造体を保持する第1の保持部材に、前記加圧構造体を保持する第2の保持部材が、第1の支軸を介して相対的に揺動自在に軸支されており、
前記第1の切換部は、
前記第1の保持部材に第2の支軸を介して揺動自在に保持された揺動アームと、
前記揺動アームを第1の揺動位置と第2の揺動位置に揺動させるアーム駆動部と、
を備え、
前記第1の弾性部材が、前記第2の保持部材が前記第1の保持部材に向けて揺動するように第1の保持部材と第2の保持部材間に配設されると共に、前記第2の弾性部材は、前記揺動アームと前記第2の保持部材間に配設されており、
前記揺動アームが、前記第1の揺動位置にあるときは、前記第2の弾性部材が自然長の状態であって、前記第1の弾性部材の弾性力のみにより、前記加圧構造体が付勢されて第1の圧接状態となり、
前記揺動アームが、第1の揺動位置より第2の弾性部材に弾性力が発生する方向に傾いた第2の揺動位置に揺動することにより、前記第1の弾性部材が自然長になって、第2の弾性部材の弾性力のみによって、前記第2の圧接状態となる
ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記第2の切換部は、
前記第1の保持部材に、カム軸を介して回転自在に保持された突出カムと、
前記突出カムを回動させる突出カム駆動部と
を備え、
前記突出カム駆動部により、前記突出カムを回動させることにより、当該突出カムを前記第2の保持部材に設けられた当接部に当接させて、前記第2の保持部材を前記第1の保持部材から相対的に遠ざけることにより前記第1の圧接状態から前記圧接解除状態に切り換える
ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記揺動アームの第2の支軸が、前記突出カムのカム軸を兼ねている
ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記アーム駆動部と、前記突出カム駆動部の駆動源が同一である
ことを特徴とする請求項2または3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記第1の切換部は、駆動源の回転駆動力を前記揺動アームの揺動動作に変換する駆動力変換機構を備え、
前記第2の切換部は、前記駆動源によって回転駆動される間欠歯車を介して、前記突出カムを間欠的に揺動駆動する間欠伝動機構を備え、
前記揺動アームの揺動動作により前記第1の圧接状態と前記第2の圧接状態に切り換えるときと、前記間欠伝動機構により前記突出カムが揺動されて前記圧接解除状態に切り換えるときの前記駆動源における駆動軸の回転位相の範囲が異なっている
ことを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記加熱構造体と前記加熱構造体間の圧接力は、前記第1の圧接状態の方が、前記第2の圧接状態の場合よりも小さい
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の定着装置。
【請求項7】
前記加熱構造体は、加熱ローラーである
ことを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の定着装置。
【請求項8】
前記加熱構造体は、加熱ローラーと加圧パッドとの間に定着ベルトを張架してなる
ことを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の定着装置。
【請求項9】
前記加圧構造体は、加圧ローラーである
ことを特徴とする請求項1から8までのいずれかに記載の定着装置。
【請求項10】
前記加熱構造体は移動せず、前記加圧構造体が前記加熱構造体に対して移動することにより前記各圧接状態に切り換えられる
ことを特徴とする請求項1から9までのいずれかに記載の定着装置。
【請求項11】
トナー画像を記録シート上に転写する転写手段と、転写されたトナー画像を記録シートに定着させる定着手段とを備えた画像形成装置であって、前記定着手段として前記請求項1から10までのいずれかに記載の定着装置が用いられている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
第1の弾性部材と、前記第1の弾性部材とバネ定数の異なる第2の弾性部材とを有し、第1構造体と第2構造体との圧接状態を第1の圧接状態、第2の圧接状態、圧接解除状態のいずれかに選択的に切り換える圧接状態切換装置であって、
前記第1の圧接状態と前記第2の圧接状態とを、前記圧接解除状態を経由することなく直接切り換える第1の切換部と、
前記第1の圧接状態と前記圧接解除状態とを切り換える第2の切換部と、
前記第1構造体と前記第2構造体のあるべき圧接状態に関する情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された情報に基づき、前記第1の切換部もしくは前記第2の切換部を駆動させて、前記
第1構造体と前記
第2構造体の圧接状態を切り換えるよう制御する制御部と
を備え、
前記
第1構造体を保持する第1の保持部材に、前記
第2構造体を保持する第2の保持部材が、第1の支軸を介して相対的に揺動自在に軸支されており、
前記第1の切換部は、
前記第1の保持部材に第2の支軸を介して揺動自在に保持された揺動アームと、
前記揺動アームを第1の揺動位置と第2の揺動位置に揺動させるアーム駆動部と、
を備え、
前記第1の弾性部材が、前記第2の保持部材が前記第1の保持部材に向けて揺動するように第1の保持部材と第2の保持部材間に配設されると共に、前記第2の弾性部材は、前記揺動アームと前記第2の保持部材間に配設されており、
前記揺動アームが、前記第1の揺動位置にあるときは、前記第2の弾性部材が自然長の状態であって、前記第1の弾性部材の弾性力のみにより、前記
第2構造体が付勢されて第1の圧接状態となり、
前記揺動アームが、第1の揺動位置より第2の弾性部材に弾性力が発生する方向に傾いた第2の揺動位置に揺動することにより、前記第1の弾性部材が自然長になって、第2の弾性部材の弾性力のみによって、前記第2の圧接状態となる
ことを特徴とする圧接状態切換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧接されている加熱構造体と加圧構造体との圧接状態を切換えることができる定着装置および、当該定着装置を備えた画像形成装置、並びに、そのような装置等に用いられる圧接状態切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、原稿の画像データに基づき感光体表面を露光走査して静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを供給してトナー像を生成し、当該トナー像を記録シート上に転写した後、定着装置にて熱定着するようになっている。
【0003】
一般的に、定着装置は、加熱された定着ローラー(定着回転体)と、これに圧接された加圧ローラー(加圧回転体)との間に形成されたニップ部に記録シートを通紙し、これを熱定着しながら前方へ搬送する構成となっており、ニップ部で記録シートのジャムが発生すると、ジャム処理のため加圧ローラーを加熱ローラーから離間させて圧接状態を解除する必要がある。
【0004】
また、封筒などの特殊紙を通紙する場合には、圧接力が強いとしわなどが発生するおそれがあるので、普通紙を通紙する場合の圧接力よりも小さくするのが望ましい(以下、通常の普通紙を定着するときの圧接状態を「全圧接状態」といい、封筒などの特殊紙を定着するときにおける、全圧接状態よりも小さな圧接力による圧接状態を「軽圧接状態」という。)。
【0005】
そこで、近年では、定着回転体と加圧回転体との圧接状態を全圧接状態、軽圧接状態、圧接解除状態の3段階に切換えることができる圧接状態切換機構を備えた定着装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
図12(a)、(b)及び
図13は、上記特許文献1に係る定着装置における圧接状態切換機構50の構成を示す概略側面図である。
【0007】
図12(a)に示すように、加熱ローラー96は、不図示のメインフレームに軸支されると共に、加圧ローラー97は、サブフレーム60に軸27を介して軸支され、サブフレーム60は、その下端部51において揺動軸28を介してメインフレームに揺動自在に軸支されている。そのため、サブフレーム60を時計回りに揺動させることにより、加熱ローラー96と加圧ローラー97が圧接される。
【0008】
一方、揺動アーム52と操作レバー62がそれぞれ、メインフレームに揺動軸56、65を介して揺動可能に軸支されている。操作レバー62の上端部には、紙面の奥手方向に向けてピン64が立設されており、揺動アーム52の長穴63と係合している。これにより、操作レバー62の回動に伴って、揺動アーム52が揺動軸56を中心に上下に揺動するクランク機構が形成される。
【0009】
揺動アーム52の右端に設けられたバネ掛止部61と、サブフレーム60の上端に設けられたバネ掛止部57との間には、全圧接用の引っ張りバネ53が張設されており、
図12(a)に示す全圧接状態では、サブフレーム60が時計回りに揺動するよう付勢する。
【0010】
また、サブフレーム60の裏手側には、サブフレーム60と重なるように軽圧接用アーム54が、揺動軸28を介してメインフレームに揺動可能に保持されている。
【0011】
軽圧接用アーム54の上部とサブフレーム60に設けられたバネ受け部58との間には、引っ張りバネ53よりもバネ定数の小さな軽圧接用の圧縮バネ59が介挿されている。
【0012】
図12(a)の状態では、全圧接用の引っ張りバネ53が伸ばされ、その復元力によりサブフレーム60を右方向に付勢するため、全圧接状態となる。このとき、操作レバー62の基端部55は、軽圧接用アーム54に接触していないので、軽圧接用の圧縮バネ59は自然長になっており、サブフレーム60に付勢力を与えない。
【0013】
図12(b)のように、操作レバー62を大きく時計回りに回動させると、操作レバー62のピン64と揺動アーム52の長穴63との係合によるクランク作用により、揺動アーム52が左方向に傾くため、サブフレーム60のバネ掛止部57と揺動アーム52のバネ掛止部61との距離が縮まり、引っ張りバネ53が自然長になって、サブフレーム60に付勢力を与えなくなる。
【0014】
また、軽圧接用アーム54とバネ受け部58との距離は変化していないので、圧縮バネ59は自然長のままであり、サブフレーム60に付勢力を与えないため、加熱ローラー96と加圧ローラー97は、圧接を解除された状態(離間状態)となる。
【0015】
図13に示すように、さらに操作レバー62を時計回りに回動させると、クランク作用により揺動アーム52の傾きが増す一方で、操作レバー62の突部66が、軽圧接用アーム54の上部に当接して、これを右方向に傾けるため、全圧接用の引っ張りバネ53は自然長のまま、軽圧接用アーム54の上部とサブフレーム60のバネ受け部58との距離が縮まり、圧縮バネ59に弾性力(復元力)が生じ、これによりサブフレーム60が右方向(時計回り)に揺動するように付勢されるので、加熱ローラー96と加圧ローラー97は軽圧接状態になる。
【0016】
軽圧接状態から、全圧接状態に切換える際には上記と逆の動作が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところで、上記特許文献1の構成では、圧接状態の切り換えのため、わざわざ画像形成装置のメンテナンス用の扉を開放して操作レバー62をユーザーが操作しなければならない。一般に、メンテナンス用の扉を開放すると、安全のため定着装置を含めた駆動部への電力の供給を一旦停止するようになっている。扉を閉じると装置が起動するが、画像形成の実行まで時間を要するため、次の画像形成ジョブを迅速に行うことができない。
【0019】
そこで、最近では、圧接状態の切り換えを、駆動モーターなどを用いて自動的に行えるようにする要請が強くなってきている。
【0020】
しかしながら、上記操作レバー62を駆動モーターなどにより自動的に揺動させるとしても、上述のように上記特許文献1に記載の定着装置によれば、全圧接状態から軽圧接状態、あるいは軽圧接状態から全圧接状態に切り換えるためには、必ず圧接解除状態を経由しなければならず、その分だけ時間を要し、次の画像形成ジョブの最初のページを出力するまでの待ち時間(Fcot:First copy time)が長くなる。
【0021】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、圧接力の異なる第1の圧接状態と第2の圧接状態とを駆動源により切り換えて次の画像形成ジョブを実行するに際し、ユーザーの待ち時間をさらに短縮することができる定着装置および当該定着装置を備えた画像形成装置、並びに、そのような装置等に用いられる圧接状態切換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様は、加熱構造体に加圧構造体を圧接してニップを形成し、当該ニップに未定着のトナー像が転写された記録シートを通紙して、トナー像を記録シートに定着させる定着装置であって、前記加熱構造体と前記加圧構造体の圧接状態を第1の圧接状態、第2の圧接状態、圧接解除状態のいずれかに選択的に切り換える圧接状態切換手段を備え、前記圧接状態切換手段は、前記第1の圧接状態と前記第2の圧接状態とを、前記圧接解除状態を経由することなく直接切り換える第1の切換部と、前記第1の圧接状態と前記圧接解除状態とを切り換える第2の切換部と、前記加熱構造体と前記加圧構造体のあるべき圧接状態に関する情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された情報に基づき、前記第1の切換部もしくは前記第2の切換部を駆動させて、前記加熱構造体と前記加圧構造体の圧接状態を切り換えるよう制御する制御部とを備えており、前記圧接状態切換手段は、第1の弾性部材と、前記第1の弾性部材とバネ定数の異なる第2の弾性部材とを備えると共に、前記加熱構造体を保持する第1の保持部材に、前記加圧構造体を保持する第2の保持部材が、第1の支軸を介して相対的に揺動自在に軸支されており、前記第1の切換部は、前記第1の保持部材に第2の支軸を介して揺動自在に保持された揺動アームと、前記揺動アームを第1の揺動位置と第2の揺動位置に揺動させるアーム駆動部と、を備え、前記第1の弾性部材が、前記第2の保持部材が前記第1の保持部材に向けて揺動するように第1の保持部材と第2の保持部材間に配設されると共に、前記第2の弾性部材は、前記揺動アームと前記第2の保持部材間に配設されており、前記揺動アームが、前記第1の揺動位置にあるときは、前記第2の弾性部材が自然長の状態であって、前記第1の弾性部材の弾性力のみにより、前記加圧構造体が付勢されて第1の圧接状態となり、前記揺動アームが、第1の揺動位置より第2の弾性部材に弾性力が発生する方向に傾いた第2の揺動位置に揺動することにより、前記第1の弾性部材が自然長になって、第2の弾性部材の弾性力のみによって、前記第2の圧接状態となることを特徴とする。
【0025】
さらに、前記第2の切換部は、前記第1の保持部材に、カム軸を介して回転自在に保持された突出カムと、前記突出カムを回動させる突出カム駆動部とを備え、前記突出カム駆動部により、前記突出カムを回動させることにより、当該突出カムを前記第2の保持部材に設けられた当接部に当接させて、前記第2の保持部材を前記第1の保持部材から相対的に遠ざけることにより前記第1の圧接状態から前記圧接解除状態に切り換えることが好ましい。
【0026】
ここで、前記揺動アームの第2の支軸が、前記突出カムのカム軸を兼ねているとしても構わない。
【0027】
また、前記アーム駆動部と、前記突出カム駆動部の駆動源が同一であることが好ましい。 また、前記第1の切換部は、駆動源の回転駆動力を前記揺動アームの揺動動作に変換する駆動力変換機構を備え、前記第2の切換部は、前記駆動源によって回転駆動される間欠歯車を介して、前記突出カムを間欠的に揺動駆動する間欠伝動機構を備え、前記揺動アームの揺動動作により前記第1の圧接状態と前記第2の圧接状態に切り換えるときと、前記間欠伝動機構により前記突出カムが揺動されて前記圧接解除状態に切り換えるときの前記駆動源における駆動軸の回転位相の範囲が異なっていることが好ましい。
【0028】
前記加熱構造体と前記加熱構造体間の圧接力は、前記第1の圧接状態の方が、前記第2の圧接状態の場合よりも小さいことが好ましい。
【0029】
前記加熱構造体は、加熱ローラーであるとしても構わない。
【0030】
前記加熱構造体は、加熱ローラーと加圧パッドとの間に定着ベルトを張架してなる構成としてもよい。
【0031】
前記加圧構造体は、加圧ローラーであるとしてもよい。
【0032】
前記加熱構造体は移動せず、前記加圧構造体が前記加熱構造体に対して移動することにより前記各圧接状態に切り換えられることが好ましい。
【0033】
また、本発明に係る第2の態様は、トナー画像を記録シート上に転写する転写手段と、転写されたトナー画像を記録シートに定着させる定着手段とを備えた画像形成装置であって、前記定着手段として上記の定着装置が用いられていることを特徴とする。
【0034】
また、本発明に係る第3の態様は、第1の弾性部材と、前記第1の弾性部材とバネ定数の異なる第2の弾性部材とを有し、第1構造体と第2構造体との圧接状態を第1の圧接状態、第2の圧接状態、圧接解除状態のいずれかに選択的に切り換える圧接状態切換装置であって、前記第1の圧接状態と前記第2の圧接状態とを、前記圧接解除状態を経由することなく直接切り換える第1の切換部と、前記第1の圧接状態と前記圧接解除状態とを切り換える第2の切換部と、前記第1構造体と前記第2構造体のあるべき圧接状態に関する情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された情報に基づき、前記第1の切換部もしくは前記第2の切換部を駆動させて、前記第1構造体と前記第2構造体の圧接状態を切り換えるよう制御する制御部とを備え、前記第1構造体を保持する第1の保持部材に、前記第2構造体を保持する第2の保持部材が、第1の支軸を介して相対的に揺動自在に軸支されており、前記第1の切換部は、前記第1の保持部材に第2の支軸を介して揺動自在に保持された揺動アームと、前記揺動アームを第1の揺動位置と第2の揺動位置に揺動させるアーム駆動部と、を備え、前記第1の弾性部材が、前記第2の保持部材が前記第1の保持部材に向けて揺動するように第1の保持部材と第2の保持部材間に配設されると共に、前記第2の弾性部材は、前記揺動アームと前記第2の保持部材間に配設されており、前記揺動アームが、前記第1の揺動位置にあるときは、前記第2の弾性部材が自然長の状態であって、前記第1の弾性部材の弾性力のみにより、前記第2構造体が付勢されて第1の圧接状態となり、前記揺動アームが、第1の揺動位置より第2の弾性部材に弾性力が発生する方向に傾いた第2の揺動位置に揺動することにより、前記第1の弾性部材が自然長になって、第2の弾性部材の弾性力のみによって、前記第2の圧接状態となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
上記の構成によれば、加圧構造体と加熱構造体の圧接状態を第1の圧接状態、第2の圧接状態、圧接解除状態のいずれかに選択的に切り換える圧接状態切換手段が、第1の圧接状態と第2の圧接状態とを、圧接解除状態を経由することなく直接切り換える第1の切換部と、第1の圧接状態と圧接解除状態とを切り換える第2の切換部とを有しているため、第1の切換部を動作させることにより、圧接解除状態を経由することなく第1と第2の圧接状態を直接切り換えることができ、シートの種類の異なる次の画像形成ジョブを開始するまでの待ち時間をより短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンターの構成を説明するための概略図である。
【
図2】上記プリンターにおける定着装置における基本的な構成を示す概略断面図である。
【
図3】(a)は、圧接状態切換機構を含めた定着装置の全体構成を示す側面図であり、(b)、(c)は、その第2切換部の構成を説明するための図である。
【
図4】上記定着装置の圧接状態切換機構の手前側の構成を示す斜視図である。
【
図5】圧接状態切換機構を含めた定着装置全体の概略斜視図である。
【
図6】圧接状態切換機構により軽圧接状態に切り換えられている様子を示す概略図である。
【
図7】圧接状態切換機構により全圧接状態に切り換えられている様子を示す概略図である。
【
図8】(a)、(b)は、圧接状態切換機構により離間状態に切り換えられている様子を示す概略図である。
【
図9】プリンターの制御部の構成を示すブロック図である。
【
図10】上記制御部によって実行される圧接状態切換処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】圧接状態切換機構の変形例を示す模式図である。
【
図12】従来の定着装置における圧接状態切換機構を示す図であり、(a)は全圧接状態を示し、(b)は、離間状態を示す。
【
図13】従来の定着装置における圧接状態切換機構により軽圧接状態に切り換えられた様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態に係る圧接状態切換機構を、タンデム型のカラープリンター(以下、単に「プリンター」という)の定着装置に適用した例について図面を参照して説明する。
【0038】
(1)プリンターの全体構成
図1は、プリンター1の全体構成を示す概略断面図である。
【0039】
同図に示すようにプリンター1は、画像形成部10と、給紙部20と、定着装置30を備える。
【0040】
画像形成部10は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に対応する作像ユニット11Y、11M、11C、11Kと、中間転写ベルト13を備える。
【0041】
作像ユニット11Kは、感光体ドラム12と、感光体ドラム12の周方向に沿って配置された帯電部16、露光部17、現像部18及びクリーナー19を備える。
【0042】
露光部17は、レーザーダイオードなどの発光素子及びレンズ等を備え、不図示の制御部からの駆動信号により、レーザー光を変調して感光体ドラム12上を露光走査する。
【0043】
感光体ドラム12は、不図示の駆動源により回転駆動され、上記露光を受ける前にクリーナー19で表面の残存トナーが除去された後、帯電部16により一様に帯電されており、このように一様に帯電した状態で、上記レーザー光による露光を受けると、感光体ドラム12の表面に静電潜像が形成される。
【0044】
感光体ドラム12に形成された静電潜像は、現像部18により現像され、これにより感光体ドラム12表面にK色のトナー像が作像される。このK色のトナーは、周回走行する中間転写ベルト13を介して感光体ドラム12とは反対側に配された一次転写ローラー14により感光体ドラム12から中間転写ベルト13上に一次転写される。
【0045】
作像ユニット11Y、11M、11Cについても、作像ユニット11Kと同様の構成であり、作像ユニットごとに、対応する色(Y、MまたはC色)のトナー像が感光体ドラム12に作像され、一次転写ローラー14により中間転写ベルト13上に一次転写される。
【0046】
各作像ユニット11Y~11Kにおける作動動作は、そのトナー像が中間転写ベルト13上の同じ位置に重ね合わせて一次転写されるようにタイミングをずらして実行される。これにより、中間転写ベルト13上にY~K色のカラートナー像が形成される。
【0047】
給紙部20は、記録シートSを収容する給紙カセット21、22と、繰り出しローラー21a、22aと、搬送ローラー23と、タイミングローラー24を備える。
【0048】
繰り出しローラー21a、22aのそれぞれは、制御部40の制御を受け、選択された方の給紙カセット21、22から、最上位の記録シートSに接触して、これを搬送路25に繰り出す。
【0049】
搬送ローラー23は、繰り出しローラー22により繰り出された記録シートSをタイミングローラー24に向けて搬送する。タイミングローラー24は、不図示の制御部から指示されたタイミングで記録シートSを下流側に送り出す。
【0050】
画像形成部10において中間転写ベルト13上に多重転写されたカラートナー像は、中間転写ベルト13の周回走行により、中間転写ベルト13と二次転写ローラー15との接触位置である二次転写位置15aに移動する。
【0051】
周回走行する中間転写ベルト13上のトナー像の移動タイミングに合わせて、給紙部20のタイミングローラー24から記録シートSが搬送路25上を給送されて来ており、記録シートSが二次転写位置15aを通過する際に二次転写ローラー15により、中間転写ベルト13上のカラートナー像が記録シートS上に二次転写される。二次転写位置15aを通過した記録シートSは、定着装置30に送られる。
【0052】
定着装置30は、二次転写ローラー15から矢印Dで示す方向(シート搬送方向)に搬送されて来る記録シートSを定着ニップ3に通して、記録シートS上のカラートナー像(未定着画像)を加熱、加圧により記録シートSに定着する。
【0053】
定着装置30を通過した記録シートSは、排出ローラー26により機外に排出され、排紙トレイ27に収容される。
【0054】
(2)定着装置の構成
図2は、定着装置30の要部の構成を示す概略断面図である。ここで、同図においてX軸方向、Y軸方向は、プリンター1を正面側から見たときの左右方向、上下方向を表し、Z軸方向は、X軸とY軸の双方に直交する方向であり、プリンター1の奥行方向に相当する。本図は、Z軸に直交するX-Y平面で定着装置30を切断した場合の横断面図である。
【0055】
図2に示すように定着装置30は、無端状の定着ベルト31と、定着ベルト31の内周面に接する加圧パッド32と、定着ベルト31の内周面に接して定着ベルト31を案内するガイド部材33と、加圧パッド32とガイド部材33とを固定支持する支持部材34と、定着ベルト31を加熱する加熱ローラー35と、加熱ローラー35に熱を付与するヒーター36と、定着ベルト31の外周面を押圧する加圧ローラー39を備える。
【0056】
定着ベルト31は、加圧パッド32と加熱ローラー35とガイド部材33とに巻き掛けられており、後述するように加熱ローラー35が圧縮バネなどの弾性部材により加圧パッド32から離れる方向に付勢されることにより、定着ベルト31に一定の張力が付与されるようになっている。
【0057】
定着ベルト31は、ポリイミドやSUS(ステンレス鋼)、Ni(ニッケル)電鋳等からなる基層の上に、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性の高い材料からなる弾性層と、フッ素チューブおよびフッ素コーティング等の離型性を付与した離型層とがこの順に積層されてなる。
【0058】
加圧ローラー39は、アルミ、鉄等からなる中実の芯金39aに、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性の高い材料からなる弾性層39bと、フッ素チューブやフッ素系コーティング等の離型性を付与した離型層39cとがこの順に積層されてなる。
【0059】
加圧ローラー39は、その回転軸の軸心399がZ軸に平行であり、後述する圧接状態切換機構により定着ベルト31に対し圧接・離間可能に保持されている。
図2では、加圧ローラー39が定着ベルト31に圧接された状態を示している。
【0060】
この加圧ローラー39は、定着搬送モーター220の回転駆動力により矢印Aで示す方向に所定の回転速度で回転駆動される。この加圧ローラー39の回転により、定着ベルト31が矢印Bで示す方向(ベルト周回方向)に従動回転(走行)する。なお、芯金39aは、中実に限られず、例えば金属製のパイプなどでも良い。
【0061】
加圧パッド32とガイド部材33とは、ベルト周回方向に沿って並ぶように配置されており、それぞれが周回する定着ベルト31とともに回転しない非回転体であり、Z軸方向長さが定着ベルト31のZ軸方向長さ(ベルト幅)と略同じ長さになっている。
【0062】
加圧パッド32は、定着ベルト31を挟んでベルトの外側に位置する加圧ローラー39と反対側の位置に配されており、加圧ローラー39からの押圧力を受け止める。これにより、加圧ローラー39の外周面と定着ベルト31の外周面とが圧接して、定着ベルト31と加圧ローラー39との間に定着ニップ3が形成される。
【0063】
ガイド部材33は、加圧パッド32よりもベルト周回方向下流側かつ加熱ローラー35よりもベルト周回方向上流側であり、加熱ローラー35よりも加圧パッド32に近い位置に配置されており、定着ベルト31における、定着ニップ3を通過直後のベルト部分をさらにベルト周回方向下流に案内する。
【0064】
このガイド部材33は、非回転体である加圧パッド32と回転体である加熱ローラー35とに巻き掛けられて張架される定着ベルト31の周回経路を滑らかな湾曲形状にするために設けられている。
【0065】
加圧パッド32とガイド部材33とは、ここでは同じ材料から形成されている。例えば、ポリフェニレンスルファイド、ポリイミド、液晶ポリマー等の樹脂が用いられ、耐熱性の優れたものが望ましい。また、アルミ、鉄等の金属、セラミック等で構成されても良いし、これらとシリコーンゴムやフッ素ゴム等とを複合したものを用いるとしても良い。また、加圧パッド32とガイド部材33とを別の材料のものを用いるとしても良い。
【0066】
支持部材34は、断面コの字状のアルミ、鉄、SUS等の金属製の部材であり、加圧パッド32とガイド部材33を固定支持する。
【0067】
なお、加圧パッド32やガイド部材33と、定着ベルト31内周面との摺擦による摩耗を低減するため、加圧パッド32やガイド部材33の定着ベルト31内周面と接触する部分の表面にフッ素樹脂などの低摩擦材料をコーティングするか、あるいは、ガイド部材33に定着ベルト31の内周面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布部材を設けるなどの摩耗抑制手段を講じるのが望ましい。潤滑剤塗布部材としては、潤滑剤の保持に適した素材、例えばアラミド繊維やフッ素繊維などの繊維状のものやシリコンスポンジ等の多孔質のものが用いられている。また、潤滑剤としては、シリコン系またはフッ素系の潤滑剤が用いられるが、他の材料のものであっても良い。
【0068】
(3)圧接状態切換機構
図3(a)は、加圧ローラー39の定着ベルト31に対する圧接状態を切り換える圧接状態切換機構100を含む定着装置30全体の側面図である。
【0069】
加熱ローラー35は、リング状の軸受部材351を介してメインフレーム(第1の保持部材)110に回転自在に軸受けされている。軸受部材351は、軸方向内方に伸びるボス部を有し、当該ボス部がメインフレーム110の長穴111(
図4参照)に挿嵌されている。
【0070】
長穴111は、その長手方向が加圧ローラー39に向けてやや傾くように形成されており、軸受部材351を不図示の弾性部材、例えば、圧縮バネにより下方に向けて付勢することにより、加熱ローラー35が加圧パッド32(
図2)より離れようとする力が作用し、これにより、当該加熱ローラー35と加圧パッド32に張架された定着ベルト31に一定の張力が付与される。
【0071】
また、メインフレーム110には、支軸(第1の支軸)121を介して、サブフレーム(第2の保持部材)120がメインフレーム110の主面と平行な平面内で揺動自在なように軸支されている。サブフレーム120には、保持板122を介して、加圧ローラー39が軸支されており、定着ベルト31と加圧ローラー39の圧接状態(以下、単に「圧接状態」という場合もある。)は、サブフレーム120のメインフレーム110に対してなす角度(以下、「揺動角」という。)を変化させることにより切り換えられる。もっとも保持板122は、サブフレーム120と一体に成形されていても構わない。
【0072】
圧接状態切換機構100は、圧接状態を、全圧接状態、軽圧接状態、圧接解除状態に3つの状態に選択的に切り換えるための機構であり、圧接解除状態を経由せずに直接全圧接状態と軽圧接状態を切り換える第1切換部130と、軽圧接状態と圧接解除状態に切り換える第2切換部140(
図3(b))とからなる。
【0073】
<第1切換部130の構成>
図3(a)に示すように、第1切換部130は、メインフレーム110に揺動軸132を介して揺動可能に軸支された揺動フレーム131と、全圧接用の引っ張りバネ(第2の弾性部材)133と、軽圧接用の引っ張りバネ(第1の弾性部材)134と、メインフレーム110の軸穴を貫通して手前側に突出した駆動ロッド(駆動軸)137の端部に連結された駆動円板138とを主たる構成要素とする。
【0074】
駆動円板138に立設された駆動ピン136が、揺動フレーム131の長穴135内に挿入されてクランク機構(駆動力変換機構)が形成されている。
【0075】
圧接状態切換モーター230のモーター軸に取着されたピニオン(不図示)が平歯車139と噛合しており、圧接状態切換モーター230の回転力が、連結ロッド(駆動軸)137を介して駆動円板138に伝わる。駆動円板138が回動すると、上記クランク作用により揺動フレーム131が揺動軸132を中心に上下方向に揺動する。
【0076】
なお、駆動力変換機構は上記のようなクランク機構に限定されず、他の公知のリンク機構などを用いてもよい。
【0077】
図4は、定着装置30の手前側側面の様子を示す概略斜視図である。同図では、長穴111の形状を明確に示すため、加熱ローラー35の軸受部材351は図示を省略している。
【0078】
また、
図5は、定着装置30の全体概略斜視図であって、メインフレーム110やサブフレーム120は、図示を省略している。
【0079】
図4に示すように引っ張りバネ133は、サブフレーム120上部に設けられたバネ掛止部123と、揺動フレーム131の、長穴135とは反対側に配されたバネ掛止ピン1311との間に架設されている。
【0080】
揺動フレーム131の揺動動作に伴って、バネ掛止部123とバネ掛止ピン1311の距離が変動するため、引っ張りバネ133の付勢力も変動し、圧接力が変化する。
【0081】
一方、引っ張りバネ134は、メインフレーム110上部のバネ掛止部112とサブフレーム120上部のバネ掛止部124との間に架設されている。
【0082】
<第1切換部130による圧接状態切換動作>
(軽圧接状態)
図6は、第1切換部130によって軽圧接状態にあるときの様子を示す模式図であり、説明の便宜上、メインフレーム110、サブフレーム120の図示は省略している(このときの駆動円板138の回転位相を「第1回転位相」とする)。
【0083】
同図に示すように軽圧接状態においては、駆動円板138は駆動ピン136が揺動フレーム131の長穴135部分を上に押し上げて全体的に時計回りに揺動させる。このとき揺動フレーム131のバネ掛止ピン1311がサブフレーム120方向に近づくため(第1の揺動位置)、全圧接用の引っ張りバネ133は自然長となり、付勢力を及ぼさない。
【0084】
しかし、軽圧接用の引っ張りバネ134の付勢力によりサブフレーム120がメインフレーム110方向に付勢されるので、圧接状態は軽圧接状態となる。
【0085】
(全圧接状態)
図6の状態から駆動円板138を時計回りに回動させて、
図7に示す回転位相(第2回転位相)のときに停止させる。
【0086】
このとき揺動フレーム131は、クランク作用により左方向(反時計回り)に回動するので(第2の揺動位置)、バネ掛止ピン1311がバネ掛止部123から遠ざかり、引っ張りバネ133が自然長から伸びるため、引っ張りバネ133の付勢力がサブフレーム120に及ぼされる。引っ張りバネ133のバネ定数は、引っ張りバネ134のバネ定数より大きいので、サブフレーム120の揺動角は、
図6に示す揺動角よりも小さくなる。
【0087】
そのため、引っ張りバネ134を架設していたメインフレーム110側のバネ掛止部112(
図4)とサブフレーム120のバネ掛止部124との距離が短くなり、引っ張りバネ134は自然長に戻り、サブフレーム120には付勢力を及ぼさない。
【0088】
つまり、
図7の状態では、全圧接用の引っ張りバネ133のみが作用し、軽圧接用の引っ張りバネ134は、圧接力に関与しなくなり、全圧接状態が維持される。
【0089】
全圧接状態から軽圧接状態に戻すためには、
図7の状態から駆動円板138を反時計回りに回動させて、
図6の位置にくるように駆動すればよい。
【0090】
このように、第1切換部130では、駆動円板138を所定方向に回動させて、その回転位相を
図6に示す第1回転位相と
図7に示す第2回転位相とに切り換えることにより、圧接解除状態を経由することなく軽圧接状態と全圧接状態とを直接切り換えることができるので両者間の迅速な切り換えが可能となる。
【0091】
したがって、プリントジョブの例えば、封筒に印刷するジョブの次に普通紙に印刷するジョブに切り換えるとき、軽圧接状態から、全圧接状態への切り換えが円滑に行えるので、次のジョブのFcotをより短くすることができる。
【0092】
しかも、軽圧接状態のときは軽圧接用の引っ張りバネ134のみが作用し、全圧接状態のときは全圧接用の引っ張りバネ133のみが作用するので、各バネのバネ定数を適切に選択することにより、それぞれの圧接状態における圧接力を目的の値に安定的に維持できるという利点もある。
【0093】
<第2切換部140の構成>
次に、圧接状態を軽圧接状態から圧接解除状態に切り換えるための第2切換部140の構成について説明する。
【0094】
図3(b)は、
図3(a)において、揺動フレーム131を透視した状態での様子を示す部分拡大図である。
【0095】
同図に示すように、第2切換部140は、主に、離間用のカム部材141、中間歯車144、上記駆動円板138に設けられた間欠歯車145(
図3(c)参照)からなる。
【0096】
カム部材141は、揺動フレーム131と同一の支軸132により軸支されており、サブフレーム120側に突出した突出カム部142と突出カム部142の反対側に設けられた部分歯車143とを有し、全体としてイチョウの葉のような形状をしている。
【0097】
図3(c)は、
図3(b)の裏手側から見たときの、部分歯車143、中間歯車144および間欠歯車145の噛合状態を示す模式図である。
【0098】
同図に示すように、間欠歯車145は、駆動円板138が特定の回転位相にある間だけ、中間歯車144に噛合して回転力を伝達し、中間歯車144に伝えられた回転力はさらに部分歯車143に伝えられ、カム部材141が揺動する構成になっている(間欠伝動機構)。
【0099】
<第2切換部140による圧接状態切換動作>
次に、上記第2切換部140によって、圧接状態が、
図6に示す軽圧接状態から、圧接解除状態(離間状態)に切り換えられるときの動作について説明する。
【0100】
図8(a)は、圧接解除状態にある定着装置30を、
図6、
図7と同じ手前方向から見たときの概略図であり、
図8(b)は、
図8(a)をその裏手方向から見たときの概略図である。
【0101】
駆動円板138を
図6に示す軽圧接状態から、
図8(a)に示すように反時計回りに回動させて第3回転位相にすると、駆動円板138の間欠歯車145(
図8(b)参照)が、中間歯車144に噛合し、当該中間歯車144とカム部材141の部分歯車143を介して、カム部材141の突出カム部142が上方に揺動するように回転力が与えられる。
【0102】
そうすると、突出カム部142の先端部がサブフレーム120の保持板122に設けられた当接部材125に当接し、引っ張りバネ134の付勢力に抗して、当接部材125を押し戻すため、サブフレーム120の揺動角が開いて、定着ベルト31と加圧ローラー39が離間し、圧接状態が解除される。
【0103】
なお、揺動フレーム131の長穴135の幅は、駆動ピン136の径よりかなり大きめにとって遊びがあるため、圧接解除の際に、サブフレーム120の揺動角が多少大きくなっても、揺動フレーム131が追随して時計回りにやや揺動するだけであり、引っ張りバネ133は自然長のままで付勢力は発生しない。
【0104】
また、
図5の定着装置30の全体概略斜視図に示すように、定着装置30の奥手側にも手前側と同様な、圧接状態切換機構が形成されている。但し、奥手側には駆動円板138の間欠歯車145はなく、カム部材141’の揺動駆動は、手前側の中間歯車144と奥手側の部分歯車144’を連結ロッド146で連結して、手前側のカム部材141と奥手側のカム部材141’が同期して揺動するように構成されている。
【0105】
(4)制御部の構成
図9は、上記プリンター1における制御部40の構成、および当該制御部40と他の画像形成部10、給紙部20、定着装置30などとの関係を示すブロック図である。
【0106】
同図に示すように、制御部40は、CPU(Central Processing Unit)41、通信I/F(インターフェース)42、RAM(Random Access Memory)43、ROM(Read Only Memory)44、画像処理部45、画像メモリ46およびEEPROMなどの書き込み可能な不揮発性メモリ47からなる。
【0107】
CPU41は、プリンター1への電源投入時などにおいて、ROM44から、制御プログラムを読み出し、RAM43を作業用記憶領域として当該制御プログラムを実行する。
【0108】
そして、LANなどの通信ネットワークに接続された他の端末から通信I/F42を介してプリントジョブを受け付けたときは、当該プリントジョブのデータから画像データを抽出して取得する。取得したR、G、Bの画像データは、画像処理部45で現像色であるC、M、Y、Kの濃度データに変換されると共に、エッジ強調やスムージング処理などの公知の画像処理を受けた後、画像メモリ46内に格納される。
【0109】
不揮発性メモリ47には、プリント枚数の累積値や、定着装置30における圧接状態を示す情報などが格納される。
【0110】
なお、操作パネル48は、プリンター1の上部前面の操作しやすい位置に配置されている。操作パネル48には、液晶パネルにタッチパネルを積層してなる表示部などが設けられており、ユーザーからの操作指示を受け付けたり、各種のメッセージを表示できるようになっている。
【0111】
CPU41は、画像形成部10、給紙部20、定着装置30の動作を制御して、上記画像メモリ46内の画像データに基づくプリント動作を円滑に実行させる。また、必要に応じて定着装置30における圧接状態を切り換える圧接状態切換処理を実行する。
【0112】
(5)圧接状態切換処理
以下、制御部40で実行される定着装置30の圧接状態切換処理の手順について、
図10のフローチャートに基づき説明する。
【0113】
まず、定着ジョブ(記録シートを定着するジョブ)を実行するか否かを判断する(ステップS101)。この判断は、外部端末から通信I/F42を介して、受け付けたプリントジョブの有無により実行できる。
【0114】
定着ジョブを実行する場合には(ステップS101でYES)、次に、普通紙に対する定着であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0115】
例えば、予め、ユーザーもしくはプリンター1の管理者により操作パネル48により給紙カセット21、22に収納されている記録シートの種類(普通紙・特殊紙)が、不揮発性メモリ47に登録されており、ユーザーがプリントジョブを発行する際に、端末のプリンタドライバーにより給紙カセットを指定して、指定した給紙カセットに関する情報をプリントジョブのヘッダに制御データとして添付するようになっている。
【0116】
制御部40は、受付けたプリントジョブの制御データから指定された給紙カセットを読み出して、これにより定着対象が普通紙か特殊紙かを判定することができる。
【0117】
あるいは、ユーザーが直接プリンター1の操作パネル48から給紙カセットを指定し、この指定内容を例えばRAM43等に保存し、CPU41がRAM43から、指定された給紙カセットに関する情報を読み出すようにしても構わない。
【0118】
なお、不揮発性メモリ47には、定着装置30の現在の圧接状態を示すフラッグF(例えば、軽圧接状態のときはF=1、全圧接状態のときはF=2、圧接解除状態のときはF=3)を一時記憶するようになっている。
【0119】
また、現在の圧接状態は、例えば、駆動円板138にその径方向に突出する遮光部材を付設すると共に、駆動円板138の回転位相が各第1、第2、第3の回転位相にあるときに上記遮光部材が検出光を遮光する位置にフォトインターラプター(透過型フォトセンサー)などの検出センサーを配置することにより検出することができる。もっとも、圧接状態を検出する方法はこれに限らず、揺動フレーム131や、カム部材141の揺動位置を検出するような方法や、圧接状態切換用の圧接状態切換モーター230として、ステッピングモータを利用する場合には、プリンター1の初期起動時において、基準位置を検出するホームポジションセンサを設けておいて当該基準位置からの駆動パルスをカウントすることによっても現在の駆動円板138の回転位相の検出が可能である。
【0120】
定着ジョブの対象が、普通紙であると判定されたとき(ステップS102でYES)、上記フラッグFの値を参照して現在の圧接状態が全圧接状態であるか否かを判定し(ステップS103)、全圧接状態でない場合には(ステップS103でNO)、前の定着ジョブが特殊紙を対象とするものであって、定着装置30が軽圧接状態にあると解されるので、駆動円板138を
図6に示す第1の回転位相から
図7に示す第2の回転位相まで時計回りに回動させて、全圧接状態に切り換える(ステップS104)。
【0121】
また、ステップS103で現在、全圧接状態であると判定された場合には(ステップS103でYES)、ステップS104をスキップする。
【0122】
一方、ステップS102において、定着ジョブの対象が、普通紙ではないと判定されたとき(ステップS102でNO)、上記フラッグFの値を参照して現在の圧接状態が軽圧接状態であるか否かを判定し(ステップS105)、軽圧接状態でない場合には(ステップS105でNO)、前の定着ジョブが普通紙を対象とするものであって、定着装置30が全圧接状態にあると解されるので、駆動円板138を、
図7に示す第2の回転位相から
図6に示す第1の回転位相まで反時計回りに回動させて、軽圧接状態に切り換える(ステップS106)。
【0123】
上記紙種に応じた圧接状態の設定後、定着ジョブが実行されているときに、もし、定着ジャム(定着装置30の特にニップで起きる紙詰まり)が発生した場合には(ステップS107でYES)、操作パネル48の表示部にその旨表示する(ステップS108)。このとき、画像形成動作、特に駆動系の動作も停止される。
【0124】
なお、定着ジャム発生の有無は、定着装置30のニップの記録シート搬送方向における直ぐ上流側に配された通紙センサー201により記録シートの通過状態を検出することによって判定できる。すなわち、通紙センサー201で記録シートの先端エッジを検出した後、所定時間経過しても、通紙センサー201(
図1、
図9参照)で当該記録シートの後端エッジを検出しない場合に制御部40は、定着ジャムが発生したと判定するようになっている。
【0125】
ユーザーがジャム処理のため、メンテナンス用の扉を開放すると(ステップS109でYES)、制御部40は圧接状態切換モーター230を駆動して駆動円板138を回転させ、圧接状態を離間状態に切り換える(ステップS110)。
【0126】
扉の開閉の有無は、公知の扉開閉センサー202(
図1、
図9参照)により検出できる。例えば、扉を閉めたときに扉の内側に設けられた突起部材が、装置本体側のリミットスイッチに当接してオンの状態になり、扉を開放するとオフになることにより検出動作を行うようにすればよい。
【0127】
ユーザーがジャム処理を完了して扉を閉めると(ステップS111でYES)、制御部50は、不揮発性メモリ47内のフラグを参照して、定着装置30の圧接状態を定着ジャム発生前の圧接状態にすべく圧接状態切換モーター230を駆動させる(ステップS112)。
【0128】
ステップS107において、定着ジャムが発生したと判定されない場合には(ステップS107でNO)、ステップS108~S112をスキップする。
【0129】
なお、本実施の形態では、制御部40が、上記ステップS102、またはステップS109、ステップS111の判定を実施するとき、本発明における「加熱構造体と加圧構造体のあるべき圧接状態に関する情報を取得する取得部」として機能するものである。
【0130】
そして、一連の定着ジョブが終了したか否かを判定し(ステップS113)、まだ、終了していなければ(ステップS113でNO)、ステップS107に戻り、定着ジャム発生の監視を続行する。
【0131】
ステップS113で、定着ジョブが終了したと判断されれば、圧接状態切換処理を終了する。
【0132】
なお、本実施の形態では、定着装置30の圧接状態を当該定着ジョブの実行時の圧接状態のままで圧接状態切換処理を終了しているが、加圧ローラー39の弾性部分の耐久性の観点から、最後は必ず軽圧接状態としてから終了するようにしても構わない。
【0133】
(6)効果のまとめ
本実施の形態によれば、定着装置30の圧接状態を切り換えるための圧接状態切換機構100が、圧接解除状態を経由せずに全圧接状態と軽圧接状態を相互に切り換える第1切換部130と、軽圧接状態と圧接解除状態(離間状態)を切り換える第2切換部140とを備えているため、紙種の異なるプリントジョブを続けて実行する場合には第1切換部130により速やかに全圧接状態と軽圧接状態を切り換えることができ、次のプリントジョブの第1頁が出力されるまでの待ち時間をより短くできる。
【0134】
また、ジャム処理などのため、定着装置30の圧接状態を解除する必要のある場合には、第2切換部140を駆動させればよい。
【0135】
第1切換部130と第2切換部140は、制御部40により、同一の駆動源(圧接状態切換モーター230)により回動される駆動円板138の回転位相および回転方向を制御することにより、それぞれ独立して駆動されるので、コスト面でのメリットも大きい。
【0136】
第1切換部130において全圧接状態に切り換えたときは、引っ張りバネ133のみが圧接に寄与し、軽圧接状態に切り換えたときには引っ張りバネ134のみが圧接に寄与するように構成しているので、それぞれのバネ定数を適切に選定することにより、安定した全圧接・軽圧接の状態を維持することができる。
【0137】
また、第2切換部140は、付勢力の弱い軽圧接状態から圧接解除状態に切り換えるように構成しているので、この際における圧接状態切換モーター230への負担が小さくて済む。
【0138】
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
【0139】
(1)上記実施の形態における圧接状態切換機構100では、第1切換部130と第2切換部140を同一の駆動モーターにより駆動する構成にしたが、これに限定されず、それぞれの切換部に専用の駆動源があっても構わない。
【0140】
図11は、このような変形例に係る圧接状態切換機構300の一例を示す模式図である。
【0141】
同図に示すように圧接状態切換機構300は、メインフレーム310に加熱ローラー350を回転自在に保持すると共に、サブフレーム320は、メインフレーム310に支軸321を介して揺動自在に軸支され、サブフレーム320には、加圧ローラー390が回転自在に軸支されている。
【0142】
圧接状態切換機構300は、第1切換部330と第2切換部340を備える。
【0143】
第1切換部330は、メインフレーム310に支軸332を介して揺動可能に軸支された「く」字状の揺動アーム331と、揺動アーム331を揺動させる駆動源としてのアクチュエーター335と、揺動アーム331のアクチュエーター335の駆動を受ける側と反対側の端部と、サブフレーム320間に架設された引っ張りバネ333と、メインフレーム310の上部とサブフレーム320の上部とに架設された引っ張りバネ334とからなる。
【0144】
また、第2切換部340は、メインフレーム310に支軸342を介して揺動可能に軸支された「く」字状の揺動アーム341と、揺動アーム341を揺動させる駆動源としてのアクチュエーター343と、サブフレーム320側に設けられ、揺動アーム341の先端部と当接する当接部材322とからなる。
【0145】
図11は、加熱ローラー350と加圧ローラー390が離間した状態を示しており、この状態からアクチュエーター343を駆動させて、揺動アーム341を反時計回りに揺動させることにより、加圧ローラー390が加熱ローラー350に圧接される。
【0146】
この段階では、引っ張りバネ333は自然長になっており、引っ張りバネ334の付勢力のみがサブフレーム320に付与され、軽圧接状態となる。
【0147】
この状態で、アクチュエーター335を駆動させて揺動アーム331を反時計回りに揺動させると、引っ張りバネ333が自然長から所定量延びて、その復元力によりサブフレーム320がさらにメインフレーム310に近くなるが、このときには引っ張りバネ334は自然長になり、引っ張りバネ333の付勢力のみで、加圧ローラー390が加熱ローラー350に圧接される。引っ張りバネ333のバネ定数は引っ張りバネ334のバネ定数より十分大きく、これにより全圧接状態に切換えられる。
【0148】
揺動アーム331、揺動アーム341を揺動させるためのアクチュエーター335、343の種類は特に限定されない。強力なソレノイドであってもよいし、工業用の大規模なプリンターであれば、油圧シリンダーや空気シリンダーを使用することもあり得る。
【0149】
また、他の類似するクランク機構やリンク機構、カム機構を利用して揺動させるようにしてもよい。
【0150】
(2)上記実施の形態では、揺動フレーム131の揺動軸とカム部材141の揺動軸を同一の揺動軸132で兼用したが、必ずしもその必要性はなく、異なる位置で軸支されていても、それぞれの切換部が上記の圧接状態切換動作を達成することができれば、問題はない。
【0151】
(3)上記実施の形態では、サブフレーム120を、引っ張りバネ133、引っ張りバネ134でメインフレーム110に近付く方向に付勢していたが、付勢するための弾性部材として引っ張りバネに限られず、適宜、圧縮バネ、弦巻バネ、板バネなどを用いてもよい。
【0152】
(4)上記実施の形態においては、加熱構造体として、加熱ローラーと加圧パッドとの間に定着ベルトを張架させる例について説明したが、定着ベルトを介さずに、上記変形例(1)のように定着ローラーと加圧ローラーとで直接定着ニップを形成する構成であっても勿論構わない。
【0153】
また、熱源もハロゲンヒーターに限らず、励磁コイルを用いて定着ベルトの発熱層を電磁誘導加熱する方式や、抵抗発熱体により定着ベルトを加熱する方式などであっても構わない。
【0154】
加圧構造体も、加圧ローラーなどの回転体に限られない。たとえば、加圧ローラーの代わりに長尺の加圧パッドを使用することも考えられる。
【0155】
要するに、加熱された加熱構造体と、これを加圧する加圧構造体とで定着ニップを形成し、当該定着ニップに記録シートを通紙して定着する構成の定着装置であればどのようなものでも適用可能である。
【0156】
(5)上記実施の形態では、加熱構造体側を固定にして加圧構造体側を移動させることにより、圧接状態を切り換えるようにしたが、これに限られず、場合によっては、加熱構造体の方を移動させるようにしてもよい。
【0157】
(6)上記実施の形態では、タンデム型カラープリンターについて説明したが、これに限るものではなく、FAX、複写機、MFP(Multiple Function Peripheral)等の画像形成装置であってもよい。また、モノクロの画像形成装置であってもよい。
【0158】
さらには、画像形成装置に限らず、およそ第1の部材(第1構造体)と第2の部材(第2構造体)の圧接状態を、圧接力の異なる第1と第2の圧接状態と、それらの圧接状態を解除した圧接解除状態に切換える必要のある装置における圧接状態切換装置として適用することも可能である。
【0159】
≪補足≫
以上、本発明に係る定着装置および画像形成装置について、実施の形態および変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態および変形例に限定されるものではない。上記実施の形態および変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態および変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本発明は、定着装置において、圧接状態にある加熱構造体と加圧構造体の圧接状態を切換える技術として有効である。
【符号の説明】
【0161】
1 プリンター
10 画像形成部
20 給紙部
30 定着装置
31 定着ベルト
32 加圧パッド
35 加熱ローラー
39 加圧ローラー
40 制御部
100 圧接状態切換機構
110 メインフレーム
120 サブフレーム
130 第1切換部
131 揺動フレーム
133、134 引っ張りバネ
135 長穴
136 駆動ピン
138 駆動円板
140 第2切換部
141 カム部材
142 突出カム部
143 部分歯車
144、144’ 中間歯車
145 間欠歯車