(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】画像形成装置、印刷方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20220913BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20220913BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220913BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220913BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B41J29/38 303
B41J5/30 Z
B41J29/38 202
B41J29/42 F
G06F3/12 303
G06F3/12 310
G06F3/12 334
H04N1/00 838
(21)【出願番号】P 2018154136
(22)【出願日】2018-08-20
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086933
【氏名又は名称】久保 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125117
【氏名又は名称】坂田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】村川 彰
(72)【発明者】
【氏名】武貞 義和
(72)【発明者】
【氏名】川村 勇司
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-121655(JP,A)
【文献】特開2008-046826(JP,A)
【文献】特開2004-259060(JP,A)
【文献】特開2018-011105(JP,A)
【文献】特開2014-032551(JP,A)
【文献】特開2014-045399(JP,A)
【文献】特開2007-288330(JP,A)
【文献】特開2008-097288(JP,A)
【文献】特開2008-118423(JP,A)
【文献】特開2005-178070(JP,A)
【文献】特開2010-074816(JP,A)
【文献】特開2006-303812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
H04N 1/00
B41J 29/42
B41J 5/30
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の画像および第二の画像を有するドキュメントを印刷するジョブの
データとして、当該第一の画像をビットマップで表わす第一の画像データおよび当該第二の画像をベクタで表わす第二の画像データを含むジョブデータを受信する受信手段と、
前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別する、判別手段と、
前記ジョブデータが前記被感染データであると前記判別手段によって判別された場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値を示す第二の特定事項データに置き換えることによってかつ前記第二の画像データが除外されるように第二のジョブデータを生成する、生成手段と、
前記ジョブデータが前記被感染データでないと前記判別手段によって判別された場合は、前記ジョブデータの中の
前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷するが、前記被感染データであると判別された場合は、
前記第二のジョブデータに基づいて当該ドキュメントの全部分または一部分を印刷する、印刷手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
ドキュメントを印刷するジョブのジョブデータを受信する受信手段と、
前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別する、判別手段と、
前記ジョブデータが前記被感染データであると前記判別手段によって判別された場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値として前記ドキュメントを印刷する部数を示す第二の特定事項データに置き換えることによって、第二のジョブデータを生成する、生成手段と、
前記ジョブデータが前記被感染データでないと前記判別手段によって判別された場合は、前記ジョブデータの中の
前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷するが、前記被感染データであると判別された場合は、
前記第二のジョブデータに基づいて当該ドキュメントの全部分または一部分を印刷する、印刷手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
複数のページを有するドキュメントを印刷するジョブのジョブデータを受信する受信手段と、
前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別する、判別手段と、
前記ジョブデータが前記被感染データであると前記判別手段によって判別された場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値として用紙の1つの面当たりに印刷するページの数を示す第二の特定事項データに置き換えることによって、第二のジョブデータを生成する、生成手段と、
前記ジョブデータが前記被感染データでないと前記判別手段によって判別された場合は、前記ジョブデータの中の
前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷するが、前記被感染データであると判別された場合は、
前記第二のジョブデータに基づいて当該ドキュメントの全部分または一部分を印刷する、印刷手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
ドキュメントを印刷するジョブのジョブデータを受信する受信手段と、
前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別する、判別手段と、
前記ジョブデータが前記被感染データであると前記判別手段によって判別された場合に、当該ジョブデータを、前記被感染データである他のジョブデータとともに提示するジョブデータ提示手段と、
前記ジョブデータが前記被感染データであると前記判別手段によって判別された場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値を示す第二の特定事項データに置き換えることによって、第二のジョブデータを生成する、生成手段と、
前記ジョブデータが前記被感染データでないと前記判別手段によって判別された場合は、前記ジョブデータの中の
前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷するが、前記被感染データであると判別された場合は、
前記ジョブデータが前記ユーザによって選択された際に前記第二のジョブデータに基づいて当該ドキュメントの全部分または一部分を印刷する、印刷手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記
ジョブデータ提示手段は、前記ジョブデータおよび前記他のジョブデータを、それぞれの選択肢を配置したリストをウェブページとして端末装置へ送信することによって提示する、
請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ディスプレイを有し、
前記
ジョブデータ提示手段は、前記ジョブデータおよび前記他のジョブデータを、それぞれの選択肢を配置したリストを前記ディスプレイに表示することによって提示する、
請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記条件値は固定されている、
請求項
1ないし請求項
6いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ユーザによって指定された値を前記条件値として受け付ける受付手段、を有し、
前記生成手段は、前記ユーザによって指定された前記条件値を示すデータを前記第二の特定事項データとして用いることによって前記第二のジョブデータを生成する、
請求項
1ないし請求項
6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ジョブデータが前記被感染データであると前記判別手段によって判別された場合にメッセージを前記ユーザへ提示する
メッセージ提示手段、
を有し、
前記受付手段は、前記
メッセージ提示手段によって前記メッセージが前記ユーザへ提示された後、前記条件値を受け付ける、
請求項
8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ジョブデータは、PDF(Portable Document Format)によって記述されており、
前記生成手段は、前記ジョブデータを構成する複数のオブジェクトをルートオブジェクトから辿ることによって前記第二のジョブデータを生成する、
請求項
1ないし請求項
9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第二のジョブデータによって印刷される画像を、前記ドキュメントを前記印刷手段が印刷する前に表示する、プレビュー手段、を有する、
請求項
1ないし請求項
10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記ドキュメントを前記印刷手段が印刷する前に、当該ドキュメントを、セキュリティの高さに応じて一部分を秘匿して表示する、
請求項
1ないし請求項
10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
第一の画像および第二の画像を有するドキュメントを印刷するジョブの
データとして、当該第一の画像をビットマップで表わす第一の画像データおよび当該第二の画像をベクタで表わす第二の画像データを含むジョブデータを受信し、
前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別し、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値を示す第二の特定事項データに置き換えることによってかつ前記第二の画像データが除外されるように第二のジョブデータを生成し、
前記ジョブデータが前記被感染データでないと判別した場合は、前記ジョブデータの中の
前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷するが、前記被感染データであると判別した場合は、
前記第二のジョブデータに基づいて当該ドキュメントの全部分または一部分を印刷する、
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項14】
ドキュメントを印刷するジョブのジョブデータを受信し、
前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別し、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値として前記ドキュメントを印刷する部数を示す第二の特定事項データに置き換えることによって、第二のジョブデータを生成し、
前記ジョブデータが前記被感染データでないと判別した場合は、前記ジョブデータの中の
前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷するが、前記被感染データであると判別した場合は、
前記第二のジョブデータに基づいて当該ドキュメントの全部分または一部分を印刷する、
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項15】
複数のページを有するドキュメントを印刷するジョブのジョブデータを受信し、
前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別し、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値として用紙の1つの面当たりに印刷するページの数を示す第二の特定事項データに置き換えることによって、第二のジョブデータを生成し、
前記ジョブデータが前記被感染データでないと判別した場合は、前記ジョブデータの中の
前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷するが、前記被感染データであると判別した場合は、
前記第二のジョブデータに基づいて当該ドキュメントの全部分または一部分を印刷する、
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項16】
ドキュメントを印刷するジョブのジョブデータを受信し、
前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別し、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、当該ジョブデータを、前記被感染データである他のジョブデータとともに提示し、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値を示す第二の特定事項データに置き換えることによって、第二のジョブデータを生成し、
前記ジョブデータが前記被感染データでないと判別した場合は、前記ジョブデータの中の
前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷するが、前記被感染データであると判別した場合は、
前記ジョブデータが前記ユーザによって選択された際に前記第二のジョブデータに基づいて当該ドキュメントの全部分または一部分を印刷する、
ことを特徴とする印刷方法。
【請求項17】
第一の画像および第二の画像を有するドキュメントを印刷するジョブの
データとして、当該第一の画像をビットマップで表わす第一の画像データおよび当該第二の画像をベクタで表わす第二の画像データを含むジョブデータを受信する受信処理を
、画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別する判別処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値を示す第二の特定事項データに置き換えることによってかつ前記第二の画像データが除外されるように第二のジョブデータを生成する生成処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが前記被感染データでないと判別した場合に、前記ジョブデータの中の
前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷する第一の印刷処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、
前記第二のジョブデータに基づいて前記ドキュメントの全部分または一部分を印刷する第二の印刷処理を前記画像形成装置に実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項18】
ドキュメントを印刷するジョブのジョブデータを受信する受信処理を画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別する判別処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値として前記ドキュメントを印刷する部数を示す第二の特定事項データに置き換えることによって、第二のジョブデータを生成する生成処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが前記被感染データでないと判別した場合に、前記ジョブデータの中の
前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷する第一の印刷処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、
前記第二のジョブデータに基づいて前記ドキュメントの全部分または一部分を印刷する第二の印刷処理を前記画像形成装置に実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項19】
複数のページを有するドキュメントを印刷するジョブのジョブデータを受信する受信処理を画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別する判別処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値として用紙の1つの面当たりに印刷するページの数を示す第二の特定事項データに置き換えることによって、第二のジョブデータを生成する生成処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが前記被感染データでないと判別した場合に、前記ジョブデータの中の
前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷する第一の印刷処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、
前記第二のジョブデータに基づいて前記ドキュメントの全部分または一部分を印刷する第二の印刷処理を前記画像形成装置に実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項20】
ドキュメントを印刷するジョブのジョブデータを受信する受信処理を画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別する判別処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、当該ジョブデータを、前記被感染データである他のジョブデータとともに提示する提示処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値を示す第二の特定事項データに置き換えることによって、第二のジョブデータを生成する生成処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが前記被感染データでないと判別した場合に、前記ジョブデータの中の
前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷する第一の印刷処理を、前記画像形成装置に実行させ、
前記ジョブデータが前記被感染データであると判別した場合に、
前記ジョブデータが前記ユーザによって選択された際に前記第二のジョブデータに基づいて前記ドキュメントの全部分または一部分を印刷する第二の印刷処理を前記画像形成装置に実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータのような端末装置で用意された画像を印刷する画像形成装置におけるコンピュータウイルスの対策の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、パーソナルコンピュータまたはスマートフォンなどの端末装置から印刷用のデータを受信し、画像を用紙に印刷する。
【0003】
セキュリティの保護のために、画像形成装置は、端末装置から印刷用のデータを受信すると、印刷用のデータがコンピュータウイルスに感染していないかどうかをチェックする。そして、感染していなければ画像を印刷する。しかし、感染していれば、画像を印刷することなく、印刷用のデータを削除する。
【0004】
画像形成装置のための、コンピュータウイルスのチェックに関する技術として、次のような技術が提案されている。
【0005】
特許文献1に記載される複合機は、複数の機能に対応して設けられた複数の制御モジュール(スキャン制御部~ファイルシステム部)と、その複数の制御モジュールに対するウイルスチェックを行うウイルスチェック部と、ウイルスチェック部にその複数の中の一部の制御 モジュール毎にウイルスチェックを行わせるウイルス管理部と、ウイルスチェックによってウイルス感染のないことが確認されている制御モジュールのみを使用するジョブの実行を許可するジョブ管理部とを備える。
【0006】
特許文献2に記載される画像形成装置は、ウイルスに汚染されたデータを受信した際、送信元の属性に関する情報などに基づく履歴情報を作成し、以後はデータを受信した際に履歴情報を参照しながら、送信元でウイルス感染履歴がある場合は警告を出力し強制終了する。
【0007】
特許文献3に記載されるコントローラは、ネットワークを介して端末装置101からデータを受信し、受信したデータにコンピュータウイルスが含まれているか否かを検出し、コンピュータウイルスが検出された場合、データを送信した送信元を示す情報を取得し、取得した送信元を示す情報を格納する。そしてコンピュータウイルスの検出をコントローラの管理者に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-65483号公報
【文献】特開2006-252407号公報
【文献】特開2004-259060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、従来は、印刷用のデータがコンピュータウイルスに感染していれば、ユーザは、印刷物を得ることができない。
【0010】
しかし、印刷用のデータの感染源がその送信元である端末装置であれば、ユーザは、その端末装置を操作して何度、印刷を試みても、印刷物を得ることができない。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑み、画像形成装置の安全性を確保しつつ、コンピュータウイルスに感染していると疑わしいデータを用いてドキュメントを印刷することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、第一の画像および第二の画像を有するドキュメントを印刷するジョブのデータとして、当該第一の画像をビットマップで表わす第一の画像データおよび当該第二の画像をベクタで表わす第二の画像データを含むジョブデータを受信する受信手段と、前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別する、判別手段と、前記ジョブデータが前記被感染データであると前記判別手段によって判別された場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値を示す第二の特定事項データに置き換えることによってかつ前記第二の画像データが除外されるように第二のジョブデータを生成する、生成手段と、前記ジョブデータが前記被感染データでないと前記判別手段によって判別された場合は、前記ジョブデータの中の前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷するが、前記被感染データであると判別された場合は、前記第二のジョブデータに基づいて当該ドキュメントの全部分または一部分を印刷する、印刷手段と、を有する。
【0013】
本発明の他の形態に係る画像形成装置は、ドキュメントを印刷するジョブのジョブデータを受信する受信手段と、前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別する、判別手段と、前記ジョブデータが前記被感染データであると前記判別手段によって判別された場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値として前記ドキュメントを印刷する部数を示す第二の特定事項データに置き換えることによって、第二のジョブデータを生成する、生成手段と、前記ジョブデータが前記被感染データでないと前記判別手段によって判別された場合は、前記ジョブデータの中の前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷するが、前記被感染データであると判別された場合は、前記第二のジョブデータに基づいて当該ドキュメントの全部分または一部分を印刷する、印刷手段と、を有する。
本発明の他の形態に係る画像形成装置は、複数のページを有するドキュメントを印刷するジョブのジョブデータを受信する受信手段と、前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別する、判別手段と、前記ジョブデータが前記被感染データであると前記判別手段によって判別された場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値として用紙の1つの面当たりに印刷するページの数を示す第二の特定事項データに置き換えることによって、第二のジョブデータを生成する、生成手段と、前記ジョブデータが前記被感染データでないと前記判別手段によって判別された場合は、前記ジョブデータの中の前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷するが、前記被感染データであると判別された場合は、前記第二のジョブデータに基づいて当該ドキュメントの全部分または一部分を印刷する、印刷手段と、を有する。
本発明の他の形態に係る画像形成装置は、ドキュメントを印刷するジョブのジョブデータを受信する受信手段と、前記ジョブデータが、コンピュータウイルスに感染している被感染データであるか否かを判別する、判別手段と、前記ジョブデータが前記被感染データであると前記判別手段によって判別された場合に、当該ジョブデータを、前記被感染データである他のジョブデータとともに提示するジョブデータ提示手段と、前記ジョブデータが前記被感染データであると前記判別手段によって判別された場合に、当該ジョブデータの中の、特定の事項に関する特定事項データを、ユーザが通常時に指定し得る第一の範囲よりも狭い第二の範囲内の条件値を示す第二の特定事項データに置き換えることによって、第二のジョブデータを生成する、生成手段と、前記ジョブデータが前記被感染データでないと前記判別手段によって判別された場合は、前記ジョブデータの中の前記特定事項データに基づいて前記ドキュメントを印刷するが、前記被感染データであると判別された場合は、前記ジョブデータが前記ユーザによって選択された際に前記第二のジョブデータに基づいて当該ドキュメントの全部分または一部分を印刷する、印刷手段と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、画像形成装置の安全性を確保しつつ、コンピュータウイルスに感染していると疑わしいデータを用いてドキュメントを印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】画像処理システムの全体的な構成の例を示す図である。
【
図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図3】プリントサーバのハードウェア構成の例を示す図である。
【
図4】端末装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図5】画像形成装置、プリントサーバ、および端末装置それぞれの機能的構成の例を示す図である。
【
図10】代替ジョブファイルを生成する方法の例を説明するための図である。
【
図11】PDF(Portable Document Format)のデータの構成の例を示す図である。
【
図13】代替ジョブファイルによって得られる印刷物の例を示す図である。
【
図14】プリントプログラムによる全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、画像処理システム4の全体的な構成の例を示す図である。
図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。
図3は、プリントサーバ2のハードウェア構成の例を示す図である。
図4は、端末装置3のハードウェア構成の例を示す図である。
【0017】
画像処理システム4は、
図1に示すように、複数台の画像形成装置1、プリントサーバ2、複数台の端末装置3、および通信回線41などによって構成される。画像処理システム4は、画像に関する処理を行うシステムであって、画像を用紙に印刷したり、用紙に記されている画像を電子化して保存したりする。
【0018】
画像処理システム4の各装置は、通信回線41を介して通信を行うことができる。通信回線41として、いわゆるLAN(Local Area Network)回線、専用線、または公衆回線などが用いられる。
【0019】
画像形成装置1は、一般に「MFP(Multi Function Peripheral)」または「複合機」などと呼ばれる装置であって、コピー、ダイレクトプリント、プルプリント、ファクシミリ、スキャン、およびドキュメントサーバなどの機能を集約した装置である。以下、各画像形成装置1を「画像形成装置1A」、「画像形成装置1B」、「画像形成装置1C」、…と区別して記載することがある。各画像形成装置1は、共通のPDL(Page Description Language)およびPJL(Printer Job Language)に対応している。
【0020】
ダイレクトプリント機能は、プリントサーバ2を介さずに端末装置3から画像のデータを受信し画像を用紙に印刷する機能である。
【0021】
プルプリント機能は、端末装置3からプリントサーバ2へアップロードされたデータを、ユーザからの指令に応じてプリントサーバ2からダウンロードし画像を用紙に印刷する機能である。
【0022】
画像形成装置1は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、補助記憶装置10d、タッチパネルディスプレイ10e、操作キーパネル10f、ネットワークインタフェース10g、モデム10h、スキャンユニット10i、プリントユニット10j、およびフィニッシャ10kなどによって構成される。
【0023】
タッチパネルディスプレイ10eは、ユーザに対するメッセージを示す画面、ユーザがコマンドまたは情報を入力するための画面、およびCPU10aが実行した処理の結果を示す画面などを表示する。また、タッチパネルディスプレイ10eは、タッチされた位置を示す信号をCPU10aへ送る。
【0024】
操作キーパネル10fは、いわゆるハードウェアキーボードであって、テンキー、スタートキー、ストップキー、およびファンクションキーなどによって構成される。
【0025】
ネットワークインタフェース10gは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルでプリントサーバ2および端末装置3などと通信する。ネットワークインタフェース10gとして、NIC(Network Interface Card)または無線LANボードなどが用いられる。
【0026】
モデム10hは、ファックス端末との間でG3などのプロトコルで画像データをやり取りする。
【0027】
スキャンユニット10iは、プラテンガラスまたはADF(Auto Document Feeder)にセットされた用紙に記されている画像を読み取って画像データを生成する。
【0028】
プリントユニット10jは、スキャンユニット10iによって読み取られた画像のほか、ネットワークインタフェース10gまたはモデム10hによって他の装置から受信した画像データに示される画像を用紙に印刷する。
【0029】
フィニッシャ10kは、プリントユニット10jによって得られた印刷物に対して、必要に応じて後処理を施す。後処理は、ステープルで綴じる処理、パンチ穴を開ける処理、または折り曲げる処理などである。
【0030】
ROM10cまたは補助記憶装置10dには、ダイレクトプリントのジョブおよびプルプリントのジョブを実行するためのプリントプログラム10P(
図5参照)が記憶されている。プリントプログラム10Pは、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。補助記憶装置10dとして、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)が用いられる。
【0031】
プリントサーバ2は、端末装置3と画像形成装置1との間で印刷用のデータを仲介するサーバである。プリントサーバ2として、サーバ機またはパーソナルコンピュータなどが用いられる。プリントサーバ2は、
図3に示すように、CPU20a、RAM20b、ROM20c、補助記憶装置20d、およびネットワークインタフェース20eなどによって構成される。
【0032】
ネットワークインタフェース20eは、TCP/IPなどのプロトコルで画像形成装置1および端末装置3などと通信する。ネットワークインタフェース20eとして、NICまたは無線LANボードなどが用いられる。
【0033】
ROM20cまたは補助記憶装置20dには、画像形成装置1と連携してネットワークプリントを提供するための仲介プログラム20P(
図5参照)が記憶されている。仲介プログラム20Pは、必要に応じてRAM20bにロードされ、CPU20aによって実行される。補助記憶装置20dとして、HDDまたはSSDが用いられる。
【0034】
端末装置3は、画像形成装置1が提供するサービスを利用するための端末装置である。以下、各端末装置3を「端末装置3A」、「端末装置3B」、「端末装置3C」、…と区別して記載することがある。
【0035】
端末装置3として、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、またはタブレットコンピュータなどが用いられる。以下、端末装置3としてノート型のパーソナルコンピュータが用いられる場合を例に説明する。
【0036】
端末装置3は、
図4に示すように、CPU30a、RAM30b、ROM30c、補助記憶装置30d、液晶ディスプレイ30e、ネットワークインタフェース30f、キーボード30g、およびポインティングデバイス30hなどによって構成される。
【0037】
液晶ディスプレイ30eは、コマンドまたはデータを入力するための画面、メッセージをユーザに知らせるための画面、およびCPU30aによる処理の結果を示す画面などを表示する。
【0038】
ネットワークインタフェース30fは、TCP/IPなどのプロトコルで画像形成装置1およびプリントサーバ2などと通信する。ネットワークインタフェース30fとして、NICまたは無線LANボードなどが用いられる。
【0039】
キーボード30gおよびポインティングデバイス30hは、コマンドまたはデータなどをオペレータが入力するための入力装置である。
【0040】
ROM30cまたは補助記憶装置30dには、ダイレクトプリントまたはプルプリントを使用するためのクライアントプログラム30P(
図5参照)が記憶されている。クライアントプログラム30Pは、RAM30bにロードされ、CPU30aによって実行される。補助記憶装置30dとして、HDDまたはSSDが用いられる。
【0041】
図5は、画像形成装置1、プリントサーバ2、および端末装置3それぞれの機能的構成の例を示す図である。
図6は、条件指定画面51の例を示す図である。
図7は、ジョブリスト画面52の例を示す図である。
図8は、感染報知画面53Xの例を示す図である。
図9は、条件再指定画面54Xの例を示す図である。
図10は、代替ジョブファイル61Sを生成する方法の例を説明するための図である。
図11は、PDF(Portable Document Format)のデータの構成の例を示す図である。
図12は、対象ドキュメント7の例を示す図である。
図13は、代替ジョブファイル61Sによって得られる印刷物の例を示す図である。
【0042】
プリントプログラム10P、仲介プログラム20P、およびクライアントプログラム30Pによると、ダイレクトプリントまたはプルプリントのジョブのファイルにコンピュータウイルスが感染している場合であっても、ユーザは、従来よりも安全に画像の印刷物を得ることができる。以下、この仕組みについて説明する。
【0043】
プリントプログラム10Pによると、
図5に示すジョブ受付部101、ウイルスチェック部102、通常ジョブ実行部103、ファイル一時記憶部121、感染通知部122、条件受付部123、代替ファイル生成部124、代替ジョブ実行部125、およびファイル削除部126などが画像形成装置1に実現される。
【0044】
仲介プログラム20Pによると、
図5に示すジョブファイル記憶部201、ジョブリスト送信部202、およびジョブファイル送信部203などがプリントサーバ2に実現される。
【0045】
クライアントプログラム30Pによると、
図5に示すジョブ指令部301、感染報知部302、中止回答部303、および条件回答部304などが端末装置3に実現される。
【0046】
ユーザは、ダイレクトプリントによって印刷するドキュメント(以下、「対象ドキュメント7」と記載する。)のデータを端末装置3に用意する。例えば、端末装置3にインストールされているワープロソフトまたは描画ソフトなどのアプリケーションでドキュメントを作成することによって用意する。または、インターネット上のサーバからウェブブラウザでウェブページのファイルをダウンロードすることによって用意してもよい。または、既に補助記憶装置30dに記憶されているファイルをアプリケーションで開くことによって用意してもよい。そして、ユーザは、所定のコマンドを端末装置3に入力する。
【0047】
すると、ジョブ指令部301は、ダイレクトプリントまたはプルプリントのジョブの実行を指令する処理を、例えば次のように実行する。
【0048】
ジョブ指令部301は、
図6のような条件指定画面51を液晶ディスプレイ30eに表示させる。
【0049】
ここで、ユーザは、対象ドキュメント7を印刷する条件(部数、カラー、用紙のサイズ、印刷面など)を、条件指定画面51を操作することによって指定する。ダイレクトプリントの場合は、さらに、対象ドキュメント7を印刷させるデバイス(以下、「印刷デバイス」と記載する。)を画像形成装置1A、1B、1C、…の中から選択する。例えば、画像形成装置1Bに印刷させる場合は、画像形成装置1Bを選択する。プルプリントの場合は、印刷デバイスを選択する代わりに、プルプリントのチェックボックスを「オン」にする。
【0050】
さらに、ジョブ指令部301は、このジョブを識別する識別子をジョブ識別子として発行し、液晶ディスプレイ30eに表示させる。そして、用意されたデータおよび指定された条件に基づいて、このジョブを実行するためのジョブファイル61を生成する。
【0051】
ジョブファイル61は、画像形成装置1に対応するPDLまたはPJLで記述される画像データである。または、用意されたデータが、選択された印刷デバイスに対応している場合は、このデータおよび指定された条件を示すデータを含むファイルをジョブファイル61として生成してもよい。
【0052】
そのほか、ジョブファイル61には、発行されたジョブ識別子が対応付けられ、さらに、端末装置3自身の識別子(例えば、IPアドレス)が指令元識別子として対応付けられる。
【0053】
そして、ジョブ指令部301は、印刷デバイスが選択された場合は、選択された印刷デバイスへジョブファイル61を送信する。チェックボックスがオンにされた場合は、ジョブファイル61をプリントサーバ2へ送信する。
【0054】
プリントサーバ2において、ジョブファイル記憶部201は、端末装置3から送信されてきたジョブファイル61を記憶する。
【0055】
画像形成装置1において、ジョブ受付部101は、ジョブを受け付ける処理を次のように実行する。
【0056】
ダイレクトプリントの場合は、プリントサーバ2を介さずに端末装置3からジョブファイル61が送信されてくる。すると、ジョブ受付部101は、ジョブファイル61を受け付け、ファイル一時記憶部121に記憶させる。
【0057】
プルプリントの場合は、ユーザは、端末装置3でジョブを指令した後、画像形成装置1のところへ訪れる。そして、その端末装置3の識別子を指令元識別子として画像形成装置1へ入力する。例えば、端末装置3Aからジョブを指令した場合は、端末装置3AのIPアドレスを指令元識別子として入力する。
【0058】
すると、ジョブ受付部101は、その端末装置3からのプルプリントのジョブに係るジョブファイル61をプリントサーバ2へ問い合わせる。この際に、ジョブ受付部101は、入力された指令元識別子を示す問合データ62をプリントサーバ2へ送信する。
【0059】
プリントサーバ2のジョブリスト送信部202は、問合データ62を受信すると、問合データ62に示される指令元識別子が対応付けられているジョブファイル61をジョブファイル記憶部201から検索する。そして、見つかったジョブファイル61それぞれのジョブ識別子を示すリストデータ63を、問合データ62の送信元である画像形成装置1へ送信する。
【0060】
ジョブ受付部101は、リストデータ63を受信すると、
図7のような、リストデータ63に示されるジョブ識別子が並べられたジョブリスト画面52をタッチパネルディスプレイ10eに表示させる。ここで、ユーザは、実行させたいジョブのジョブ識別子を選択する。
【0061】
すると、ジョブ受付部101は、入力された指令元識別子および選択されたジョブ識別子を示す要求データ64をプリントサーバ2へ送信する。
【0062】
プリントサーバ2のジョブファイル送信部203は、要求データ64を受信すると、要求データ64に示される指令元識別子およびジョブ識別子が対応付けられているジョブファイル61をジョブファイル記憶部201から読み出し、要求データ64の送信元である画像形成装置1へ送信する。
【0063】
そして、ジョブ受付部101は、そのジョブファイル61を受け付け、ファイル一時記憶部121に記憶させる。
【0064】
このように、ダイレクトプリントの場合もプルプリントの場合も、ジョブファイル61がジョブ受付部101によって受け付けられ、ファイル一時記憶部121に記憶される。以下、受け付けられたジョブファイル61を「受付ジョブファイル61R」と記載する。
【0065】
ウイルスチェック部102は、受付ジョブファイル61Rがコンピュータウイルスに感染しているか否かを公知の方法によって判別する。感染している場合は、コンピュータウイルスの名称および種類を公知の方法によって検出する。
【0066】
通常ジョブ実行部103、受付ジョブファイル61Rがコンピュータウイルスに感染していないとウイルスチェック部102によって判別された場合に、受付ジョブファイル61Rに基づいてプリントユニット10jなどを制御することによって、対象ドキュメント7を用紙に印刷する。
【0067】
ファイル削除部126は、印刷が完了したら、その受付ジョブファイル61Rをファイル一時記憶部121から削除する。
【0068】
感染通知部122は、受付ジョブファイル61Rがコンピュータウイルスに感染しているとウイルスチェック部102によって判別された場合に、その旨をユーザへ通知するための処理を次のように行う。
【0069】
受付ジョブファイル61Rがダイレクトプリントのジョブに係るものである場合、つまり、プリントサーバ2を介さずに送信されてきたものである場合は、感染通知部122は、受付ジョブファイル61Rに対応付けられている指令元識別子を有する端末装置3へ感染通知データ65を送信する。感染通知データ65には、受付ジョブファイル61Rに対応付けられているジョブ識別子のほか、検出された名称および種類が示される。
【0070】
端末装置3において、感染報知部302は、感染通知データ65を受信すると、
図8のような、受付ジョブファイル61Rがコンピュータウイルスに感染していることを知らせる感染報知画面53Xを感染通知データ65に基づいて液晶ディスプレイ30eに表示させる。
【0071】
ここで、ユーザは、ジョブを中止する場合は、中止ボタン53X1をクリックすることによって「中止」を選択する。一方、継続する場合は、継続ボタン53X2をクリックすることによって「継続」を選択する。
【0072】
「中止」が選択された場合に、中止回答部303は、中止回答データ66を画像形成装置1へ送信する。中止回答データ66には、感染通知データ65に示されるジョブ識別子が示される。
【0073】
「継続」が選択された場合に、条件回答部304は、ジョブの条件を回答するための処理を次のように行う。
【0074】
条件回答部304は、感染報知画面53Xを閉じ、
図9のような条件再指定画面54Xを液晶ディスプレイ30eに表示させる。
【0075】
ここで、ユーザは、対象ドキュメント7を印刷する条件を入力する。ただし、条件指定画面51と比較して分かるように、条件再指定画面54Xにおいては、入力することができる条件が、条件指定画面51よりも限定されている。
【0076】
条件回答部304は、条件再指定画面54Xに入力された条件および感染通知データ65に示されるジョブ識別子を示す条件データ67を画像形成装置1へ送信する。
【0077】
画像形成装置1において、ファイル削除部126は、端末装置3から中止回答データ66が送信されてきたら、その端末装置3の識別子が指令元識別子として対応付けられかつその中止回答データ66に示されるジョブ識別子が対応付けられている受付ジョブファイル61Rをファイル一時記憶部121から削除する。そして、その受付ジョブファイル61Rに係るジョブが中止される。
【0078】
一方、受付ジョブファイル61Rがプルプリントのジョブに係るものである場合、つまり、プリントサーバ2から送信されてきたものである場合は、感染通知部122は、感染報知画面53Yをタッチパネルディスプレイ10eに表示させる。感染報知画面53Yは、感染報知画面53X(
図8参照)と同様に、コンピュータウイルスへの感染を知らせる画面である。
【0079】
ここで、ユーザは、ジョブを中止する場合は、感染報知画面53Yの中の中止ボタンをタッチすることによって「中止」を選択する。一方、継続する場合は、感染報知画面53Yの中の継続ボタンをタッチすることによって「継続」を選択する。
【0080】
「中止」が選択された場合は、ファイル削除部126は、その受付ジョブファイル61Rをファイル一時記憶部121から削除する。そして、その受付ジョブファイル61Rに係るジョブが中止される。
【0081】
「継続」が選択された場合は、条件受付部123は、ジョブの条件を回答するための処理を次のように行う。
【0082】
条件受付部123は、感染報知画面53Yを閉じ、条件再指定画面54Yをタッチパネルディスプレイ10eに表示させる。条件再指定画面54Yは、条件再指定画面54X(
図9参照)と同様、ジョブの条件をユーザが入力するための画面である。また、条件再指定画面54Xと同様、入力することができる条件が、条件指定画面51よりも限定されている。そして、条件受付部123は、条件再指定画面54Yにユーザによって入力された条件を受け付ける。
【0083】
また、条件受付部123は、端末装置3から条件データ67を受信することによって、条件を受け付ける。
【0084】
代替ファイル生成部124は、受付ジョブファイル61Rおよび条件受付部123によって受け付けられた条件(条件データ67に示される条件または条件再指定画面54Yに入力された条件)に基づいて、代替ジョブファイル61Sを生成する。
【0085】
以下、1つまたは複数のページからなるドキュメントが対象ドキュメント7として用意され、受付ジョブファイル61Rにドキュメントデータ61Aおよびジョブ制御データ61Bが含まれ、ドキュメントデータ61AのフォーマットがPDFである場合を例に、
図10などを参照しながら説明する。
【0086】
一般に、PDFのデータは、
図11(A)のように、ヘッダ、ボディ、クロスリファレンステーブル、およびトレイラによって構成される。
【0087】
ドキュメントデータ61Aは、対象ドキュメント7を表わすデータである。つまり、対象ドキュメント7の画像データである。ジョブ制御データ61Bは、対象ドキュメント7を印刷する条件(部数、集約、用紙のサイズ、印刷面など)などを示すデータである。つまり、条件の通り印刷されるようにプリントユニット10jなどを制御するためのデータである。
【0088】
ボディには、様々な種類のオブジェクトが定義されている。これらのオブジェクトは、
図11(B)に示すように、ドキュメントカタログをルートオブジェクトとして階層化されている。これらのオブジェクト(特にコンテンツストリーム)によって、ドキュメント(本実施形態では、対象ドキュメント7)の各ページのレイアウトおよびコンテンツが示されている。コンテンツの種類として、ベクタ、ラスタ(ビットマップ)、およびテキストが挙げられる。さらに、コンテンツのサムネイルまたは注釈が示されることもある。
【0089】
代替ファイル生成部124は、ルートオブジェクトから各オブジェクトを辿ることによってドキュメントデータ61Aの中からラスタのコンテンツのデータを抽出する。例えば、「stream」および「endstream」によって挟まれている部分のデータを抽出する。そして、抽出したデータをマージすることによって、コンテンツデータ61Cを生成する。ベクタのコンテンツおよびテキストのコンテンツは、抽出しない。また、レイアウトのデータおよびジョブ制御データ61Bも抽出しない。なお、ラスタのコンテンツのデータは、PNG(Portable Network Graphics)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)またはGIF(Graphics Interchange Format)などのフォーマットに圧縮されていることもあれば、BMPのように圧縮されていないこともある。
【0090】
例えば、
図12のような、ラスタのコンテンツとしてイラスト711、722、732、および733を含み、ベクタのコンテンツとして図形712および734を含み、かつテキストのコンテンツとして文字列713および721を含むドキュメントが、対象ドキュメント7である場合は、イラスト711、722、732、および733のデータを抽出し、コンテンツデータ61Cを生成する。
【0091】
さらに、代替ファイル生成部124は、条件受付部123によって受け付けられた条件を示すジョブ制御データ61Dを生成する。
【0092】
そして、コンテンツデータ61Cおよびジョブ制御データ61Dをマージすることによって、代替ジョブファイル61Sを生成する。なお、テキストのコンテンツについては、透明化してもよい。つまり、コンテンツデータ61CのフォーマットとしてサーチャブルPDFを採用してもよい。
【0093】
代替ジョブ実行部125は、受付ジョブファイル61Rなどに基づいて代替ファイル生成部124によって代替ジョブファイル61Sが生成されると、この受付ジョブファイル61Rの代わりにこの代替ジョブファイル61Sに基づいてプリントユニット10jなどを制御することによって、画像を用紙に印刷する。具体的には、代替ジョブファイル61Sに含まれるジョブ制御データ61Dに示される条件に基づいて、コンテンツデータ61Cに示される各コンテンツを用紙に印刷する。
【0094】
その結果、例えば、
図12に示すドキュメントが対象ドキュメント7である場合は、
図13のような画像が用紙に印刷される。
【0095】
ファイル削除部126は、印刷が完了したら、その受付ジョブファイル61Rをファイル一時記憶部121から削除する。
【0096】
図14は、プリントプログラム10Pによる全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0097】
次に、画像形成装置1による全体的な処理の流れの流れを、フローチャートを参照しながら説明する。
【0098】
画像形成装置1は、プリントプログラム10Pに基づいて、
図14に示す手順で処理を実行する。
【0099】
画像形成装置1は、プリントサーバ2または端末装置3からジョブファイル61を受信すると(
図14の#11)、受付ジョブファイル61Rとしてファイル一時記憶部121によって一時的に記憶する(#12)。さらに、受付ジョブファイル61Rがコンピュータウイルスに感染しているか否かを検査する(#13)。
【0100】
検査の結果、受付ジョブファイル61Rがコンピュータウイルスに感染していることが分かれば(#14でYes)、画像形成装置1は、その旨をユーザへ通知する(#15)。具体的には、受付ジョブファイル61Rがダイレクトプリントのジョブのものであれば、受付ジョブファイル61Rの送信元である端末装置3へ感染通知データ65を送信する。プルプリントのジョブのものであれば、感染報知画面53Yを表示する。
【0101】
さらに、画像形成装置1は、ジョブの条件を受け付けるための処理を行う(#16)。具体的には、受付ジョブファイル61Rがダイレクトプリントのジョブのものであれば、端末装置3から条件データ67を受信する。プルプリントのジョブのものであれば、条件再指定画面54Yを表示し、ユーザが入力した条件をジョブの条件として受け付ける。
【0102】
そして、受付ジョブファイル61Rおよび受け付けた条件に基づいて代替ジョブファイル61Sを生成し(#17)、代替ジョブファイル61Sに基づいて画像を印刷する(#18)。印刷後、受付ジョブファイル61Rをファイル一時記憶部121から削除する(#19)。
【0103】
一方、検査の結果、受付ジョブファイル61Rがコンピュータウイルスに感染していないことが分かれば(#14でNo)、画像形成装置1は、従来通り、受付ジョブファイル61Rに基づいて対象ドキュメント7を印刷する(#20)。印刷後、受付ジョブファイル61Rをファイル一時記憶部121から削除してもよい。
【0104】
本実施形態によると、画像形成装置1の安全性を確保しつつ、コンピュータウイルスに感染していると疑わしいデータを用いて対象ドキュメント7を印刷することができる。
【0105】
図15は、感染報知画面53Zの例を示す図である。
図16は、ジョブリスト画面52Zの例を示す図である。
図17は、感染報知画面53Xの例を示す図である。
【0106】
本実施形態では、コンテンツの種類として、ベクタ、ラスタ、およびテキストを例に挙げた。そして、代替ファイル生成部124は、ラスタのコンテンツのデータのみを抽出した。しかし、テキストのコンテンツのデータは、抽出してもよい。
【0107】
また、スクリプトに基づいて再現されるコンテンツ(例えば、フラッシュのコンテンツ)も、ベクタのコンテンツと同様に抽出しない。また、ドキュメントデータ61AがサーチャブルPDFのデータである場合は、いわゆる透明テキストも、ベクタのコンテンツと同様に抽出しない。
【0108】
本実施形態では、受付ジョブファイル61Rがコンピュータウイルスに感染していることがウイルスチェック部102によって検知された場合に、代替ファイル生成部124は、ユーザが条件再指定画面54Xまたは54Yで指定し直した条件に基づいて代替ジョブファイル61Sを生成した。
【0109】
しかし、代替ファイル生成部124は、予め管理者が決めた条件に基づいて生成してもよい。例えば、印刷の部数が「1」であること、「2in1」または「4in1」に集約すること、および両面に印刷することを条件として代替ジョブファイル61Sを生成してもよい。この場合は、ジョブ制御データ61Dとして「@PJL SET COPIES=1」のコードと「@PJL SET NUP=2」または「@PJL SET NUP=4」のコードと「@PJL DUPLEX=ON」のコードとが示されるデータが代替ファイル生成部124によって生成される。または、すべての事項の条件値としてデフォルトの値を用いてもよい。フィニッシャ10kの各事項の条件値も同様に、用いればよい。例えば、パンチ穴およびオフセットなどの条件値を「オフ」にすればよい。また、PCLは、ページ記述のコマンドのみを残し、マクロおよび用紙制御(Paper Source Command)は削除しまたは無効化してもよい。
【0110】
さらに、この際に、感染通知部122は、受付ジョブファイル61Rがコンピュータウイルスに感染している旨とともに、条件を上記のように変更して印刷する旨をユーザに通知してもよい。
【0111】
通知は、感染通知データ65を端末装置3へ送信しまたはタッチパネルディスプレイ10eに感染報知画面53Yを表示することによって行ってもよいし、電子メールをジョブの依頼者の端末装置3へ送信することによって行ってもよいし、ログとして端末装置3またはタッチパネルディスプレイ10eに出力することによって行ってもよい。
【0112】
または、所定の範囲内でユーザ自身が条件を設定し直すことも、デフォルトを適用することもできることを、ユーザへ通知し、どちらにするのかをユーザに選択させるようにしてもよい。
【0113】
本実施形態では、
図9に示したように、コンピュータウイルスが検知された際にユーザは集約のオプションとして「なし」を指定することができたが、「なし」を指定することができないようにしてもよい。つまり、必ず集約を適用しなければならないようにしてもよい。
【0114】
本実施形態では、受付ジョブファイル61Rがダイレクトプリントのジョブのファイルであり、かつ、コンピュータウイルスがウイルスチェック部102によって検知された場合に、感染通知部122は、受付ジョブファイル61Rの送信元である端末装置3へ感染通知データ65を送信した。そして、その後、条件受付部123は、その端末装置3から条件データ67を受信することによって新たな条件を受け付けた。
【0115】
しかし、この場合に、条件受付部123は、条件データ67をその端末装置3から受信する代わりに、プルプリントのときのように、次のように条件を受け付けてもよい。
【0116】
ファイル一時記憶部121は、受付ジョブファイル61Rそれぞれにウイルス検知フラグを対応付ける。そウイルス検知フラグのデフォルトの値は、「0」である。そして、ある受付ジョブファイル61Rからコンピュータウイルスが検知された場合に、その受付ジョブファイル61Rのウイルス検知フラグの値を「1」に更新する。
【0117】
端末装置3において、感染報知部302は、感染通知データ65を受信すると、感染報知画面53X(
図8参照)の代わりに、
図15のような感染報知画面53Zを液晶ディスプレイ30eに表示する。ユーザは、ジョブを実行させようとした画像形成装置1のところへ行き、その画像形成装置1に所定のコマンドを入力する。
【0118】
画像形成装置1において、条件受付部123は、所定のコマンドが入力されると、ウイルス検知フラグの値が「1」である受付ジョブファイル61Rをファイル一時記憶部121の中から検索する。そして、
図16のような、見つかった受付ジョブファイル61Rに対応付けられているジョブ識別子を示すジョブリスト画面52Zをタッチパネルディスプレイ10eに表示させる。ここで、ユーザは、実行させたいジョブのジョブ識別子を選択する。
【0119】
さらに、条件受付部123は、ジョブリスト画面52Zに代えて条件再指定画面54Zをタッチパネルディスプレイ10eに表示させる。条件再指定画面54Zは、
図9に示した条件再指定画面54Xと同様に、ジョブの条件をユーザが入力するための画面である。ここで、ユーザは、条件を入力する。すると、条件受付部123は、入力された条件を受け付ける。
【0120】
その後、代替ファイル生成部124は、ジョブリスト画面52Zで選択されたジョブ識別子に対応付けられている受付ジョブファイル61Rおよび条件再指定画面54Zで入力された条件に基づいて代替ジョブファイル61Sを生成する。代替ジョブファイル61Sの生成の仕方は、上述の通りである。そして、代替ジョブ実行部125は、その受付ジョブファイル61Rの代わりに代替ジョブファイル61Sを用いてジョブを実行し、ファイル削除部126は、その受付ジョブファイル61Rをファイル一時記憶部121から削除する。
【0121】
または、ユーザは、ジョブを実行させようとした画像形成装置1を操作する代わりに、他の端末装置3を操作することによって、コンピュータウイルスが検知された受付ジョブファイル61Rに基づくジョブを実行させてもよい。以下、この場合の処理を、ジョブを実行させようとした画像形成装置1が画像形成装置1Aであり、他の端末装置3が端末装置3Bである場合を例に説明する。
【0122】
ユーザは、端末装置3Bに所定のコマンドを入力するとともに、画像形成装置1Aを指定する。すると、端末装置3Bは、リストを画像形成装置1Aへ要求する。
【0123】
画像形成装置1Aの条件受付部123は、端末装置3Bから要求を受け付けると、ウイルス検知フラグの値が「1」である受付ジョブファイル61Rをファイル一時記憶部121の中から検索し、端末装置3Bへ通知する。
【0124】
端末装置3Bは、通知されたジョブ識別子を示すジョブリスト画面を表示する。このジョブリスト画面は、ジョブリスト画面52Z(
図16参照)と同様の画面である。ここで、ユーザは、実行させたいジョブのジョブ識別子を選択する。
【0125】
さらに、端末装置3Bは、このジョブリスト画面に代えて条件再指定画面を表示する。この条件再指定画面は、
図9に示した条件再指定画面54Xと同様に、ジョブの条件をユーザが入力するための画面である。ここで、ユーザは、条件を入力する。
【0126】
すると、端末装置3Bは、選択されたジョブ識別子および入力された条件を画像形成装置1Aへ返信する。
【0127】
代替ファイル生成部124は、端末装置3Bから返信されたジョブ識別子に対応付けられている受付ジョブファイル61Rおよび端末装置3Bから返信された条件に基づいて代替ジョブファイル61Sを生成する。代替ジョブファイル61Sの生成の仕方は、上述の通りである。そして、代替ジョブ実行部125は、その受付ジョブファイル61Rの代わりに代替ジョブファイル61Sを用いてジョブを実行し、ファイル削除部126は、その受付ジョブファイル61Rをファイル一時記憶部121から削除する。
【0128】
画像形成装置1Aから端末装置3Bへジョブ識別子を通知する処理、端末装置3Bにおいてジョブリスト画面および条件再指定画面を表示する処理、選択されたジョブ識別子および指定された条件を端末装置3Bから画像形成装置1Aへ返信する処理は、専用のアプリケーションによって実現してもよいし、ウェブの既存の技術(ウェブサーバおよびウェブブラウザの技術)によって実現してもよい。後者の場合は、ジョブリスト画面および条件再指定画面それぞれをウェブページとして画像形成装置1A(ウェブサーバ)が端末装置3B(ウェブブラウザ)へ送信すればよい。ウェブページは、HTML(Hypertext Markup Language)またはCSS(Cascading Style Sheets)によって記述すればよい。
【0129】
なお、ジョブファイル61の送信元である端末装置3がコンピュータウイルスの感染源である可能性がある。そこで、画像形成装置1またはサーバが、各端末装置3におけるウイルス対策ツールの適用状況(例えば、適用しているバージョン、最新にウイルススキャンした日時およびその結果など)の情報を収集し、各端末装置3の安全性を評価してもよい。そして、一定の安全性を有する端末装置3のみ、上記の他の端末装置3としてユーザが使用することができるようにしてもよい。
【0130】
本実施形態では、受付ジョブファイル61Rからコンピュータウイルスが検知された場合に、
図8に示したように、画像形成装置1および端末装置3は、コンピュータウイルスに関する情報をユーザに提示したが、さらに、その受付ジョブファイル61Rによって印刷される一部のコンテンツを提示してもよい。例えば、
図12に示したドキュメントが対象ドキュメント7である場合は、
図17に示すように、イラスト711、722、732、および733それぞれのサムネイル711s、722s、732s、および733sを提示してもよい。または、
図13に示したような、代替ジョブファイル61Sによって印刷される画像をプレビュー画像として表示してもよい。
【0131】
また、この際に、画像形成装置1のセキュリティのレベルに応じて、表示する対象を変えてもよい。例えば、セキュリティのレベルが高いほど、サムネイルを、サイズを小さくしまたは解像度を下げて、表示すればよい。または、対象がテキストである場合は、セキュリティのレベルが高いほど、表示する部分を少なくしてもよい。例えば、セキュリティのレベルが低いときは先頭の3行分、表示するが、高いときは先頭の1行分のみ表示してもよい。また、セキュリティのレベルが所定の値よりも高い場合は、印刷を中止してもよい。
【0132】
また、画像形成装置1は、プレビュー画像またはサムネイルを、JPEG、GIF、またはPNGのフォーマットの画像データとしてボックスに保存してもよい。この際に、ファイル名の識別子以外の部分を統一するのが望ましい。例えば、受付ジョブファイル61Rのファイル名「ABC.pdf」であれば、「ABC.jpg」、「ABC.gif」、または「ABC.png」のようなファイルを付けて保存する。
【0133】
本実施形態では、ジョブファイル61が端末装置3から発信された場合を例に説明したが、画像形成装置1は、画像形成装置1自身のボックスまたは他の画像形成装置1に保存されているファイルもジョブファイル61と同様に取り扱ってもよい。この場合は、ジョブファイル61からコンピュータウイルスが検出された場合は、そのジョブファイル61をボックスから削除し、またはそのジョブファイル61に対してコンピュータウイルスを除去する処理を施すのが望ましい。
【0134】
その他、画像処理システム4、画像形成装置1、プリントサーバ2、端末装置3の全体または各部の構成、処理の内容、処理の順序、データの構成、画面野構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0135】
1 画像形成装置
10e タッチパネルディスプレイ(ディスプレイ)
101 ジョブ受付部(受信手段)
102 ウイルスチェック部(判別手段)
103 通常ジョブ実行部(印刷手段)
123 条件受付部(受付手段、第二の提示手段)
124 代替ファイル生成部(生成手段)
125 代替ジョブ実行部(印刷手段)
7 対象ドキュメント
61 ジョブファイル(ジョブデータ)
61B ジョブ条件データ(特定事項データ)
61D ジョブ制御データ(第二の特定事項データ)
61R 受付ジョブファイル(ジョブデータ)
61S 代替ジョブファイル(第二のジョブデータ)
3 端末装置