(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/00 20060101AFI20220913BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220913BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220913BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220913BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220913BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
B41J29/00 Z
B41J29/38 201
B41J29/38 401
B41J29/42 F
G03G21/00 396
G06F3/12 303
G06F3/12 359
H04N1/00 127B
H04N1/00 912
(21)【出願番号】P 2018159430
(22)【出願日】2018-08-28
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】三縞 信広
(72)【発明者】
【氏名】岡本 悠史
(72)【発明者】
【氏名】岩井 英剛
(72)【発明者】
【氏名】山口 武久
(72)【発明者】
【氏名】田村 敦史
(72)【発明者】
【氏名】杉田 克行
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-232981(JP,A)
【文献】特開2015-128828(JP,A)
【文献】特開2017-182640(JP,A)
【文献】特開2009-096094(JP,A)
【文献】特開平11-194913(JP,A)
【文献】特開2004-195772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00
B41J 29/38
B41J 29/42
H04N 1/00
G06F 3/12
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のネットワークに接続される機器と、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに接続される機器のそれぞれと通信を行うことが可能な通信手段と、
前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブに基づいて印刷出力を行う印刷手段と、
前記印刷手段によって出力された印刷物が未回収状態であることを検知する検知手段と、
前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行を規制する制御手段と、
を備え
、
前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始されることに伴い、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの送信を待機させる待機命令を送信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記通信手段は、
前記第1のネットワークに接続される機器と通信を行う第1の通信手段と、
前記第2のネットワークに接続される機器と通信を行う第2の通信手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブを受け付けないことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検知手段によって印刷物が回収されたことが検知された後、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブを受け付けることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
第1のネットワークに接続される機器と、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに接続される機器のそれぞれと通信を行うことが可能な通信手段と、
前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブに基づいて印刷出力を行う印刷手段と、
前記印刷手段によって出力された印刷物が未回収状態であることを検知する検知手段と、
前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行を規制
して前記第1及び第2のネットワークのうちの一方を介してジョブの送信元の機器に印刷物回収の第1の催促を行い、前記第1の催促を行った後、前記検知手段によって印刷物が回収されたことが所定時間以内に検知されないとき、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行の規制を解除する制御手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行の規制を解除することに伴い、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づく印刷物が未回収であることを通知することを特徴とする請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方からジョブを受信した場合、当該受信ジョブを予約ジョブとして受け付けることを特徴とする請求項
5又は
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記検知手段によって印刷物が回収されたことが検知された場合に、前記予約ジョブに基づく印刷出力を許可することを特徴とする請求項
7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記予約ジョブに基づく印刷出力が開始された後、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方を介して前記予約ジョブの送信元の機器に対してジョブ実行通知を送信することを特徴とする請求項
8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されているとき、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方に接続される複数の機器に対して印刷物回収の第1の催促を行うことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記第1の催促を行った後、前記検知手段によって印刷物が回収されたことが所定時間以内に検知されないとき、前記第1の催促とは表示態様が異なる第2の催促を再度行うことを特徴とする請求項
5乃至10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記第1の催促を行った後、前記検知手段によって印刷物が回収されたことが所定時間以内に検知されないとき、予め指定された通知先に通信を行うことを特徴とする請求項
5乃至11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれを介して、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれに接続される機器に、ジョブに関するステータス通知を表示させることを特徴とする請求項1乃至
12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
原稿を読み取って画像データを生成する原稿読取手段、
を更に備え、
前記印刷手段は、前記原稿読取手段によって生成される画像データに基づいて印刷出力を行うことが可能であり、
前記制御手段は、前記原稿読取手段によって生成される画像データに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブの実行を規制することを特徴とする請求項1乃至
13のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記検知手段によって画像データに基づく印刷物が回収されたことが検知された場合に、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブの実行の規制を解除することを特徴とする請求項
14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記検知手段によって画像データに基づく印刷物が未回収状態であることが検知されているとき、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれを介して印刷物回収の催促を行うことを特徴とする請求項
14又は
15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブの実行を規制しているとき、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブを予約ジョブとして受け付け、前記検知手段によって画像データに基づく印刷物が回収されたことが検知された後に、当該予約ジョブに基づく印刷出力を開始することを特徴とする請求項
14乃至
16のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項18】
各種情報を表示する表示手段、
を更に備え、
前記制御手段は、前記表示手段に、ジョブに関するステータス通知を表示させることを特徴とする請求項1乃至
17のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項19】
第1のネットワークに接続される機器と、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに接続される機器のそれぞれと通信を行うことが可能な通信手段と、
前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブに基づいて印刷出力を行う印刷手段と、
前記印刷手段によって出力された印刷物が未回収状態であることを検知する検知手段と、を備える画像形成装置において行われるプログラムであって、
前記画像形成装置に、
前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されていないときに、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方からジョブを受信した場合、当該ジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力を開始させる第1ステップと、
前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行を規制する第2ステップと、
を実行させ
、
前記第2ステップは、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始されることに伴い、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの送信を待機させる待機命令を送信することを特徴とするプログラム。
【請求項20】
第1のネットワークに接続される機器と、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに接続される機器のそれぞれと通信を行うことが可能な通信手段と、
前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブに基づいて印刷出力を行う印刷手段と、
前記印刷手段によって出力された印刷物が未回収状態であることを検知する検知手段と、を備える画像形成装置において行われるプログラムであって、
前記画像形成装置に、
前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されていないときに、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方からジョブを受信した場合、当該ジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力を開始させる第1ステップと、
前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行を規制
して前記第1及び第2のネットワークのうちの一方を介してジョブの送信元の機器に印刷物回収の第1の催促を行い、前記第1の催促を行った後、前記検知手段によって印刷物が回収されたことが所定時間以内に検知されないとき、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行の規制を解除する第2ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関し、特に複数のネットワークのそれぞれからジョブを受信して印刷出力を行うことが可能な画像形成装置を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部ネットワークと内部ネットワークとを切り分けるためのネットワーク転換端末として、1つの端末に2つのLANカードを設置し、一方のLANカードを外部ネットワークに接続し、他方のLANカードを内部ネットワークに接続したものが知られている(例えば特許文献1)。この従来のネットワーク転換装置は、ボタン操作に応じて、一方のLANカードを活性化させると共に、他方のLANカードを不活性化させるスイッチング処理部を備えており、一方のLANカードを活性化させているときには、他方のLANカードを介したデータの送受信を行わないようにしている。このようなネットワーク転換端末によれば、内部ネットワークを外部ネットワークから遮断することができるため、秘密情報の漏洩などを未然に防ぐことができる。
【0003】
ところで、近年、プリント機能を備えるMFP(Multifunction Peripherals)などの画像形成装置は、複数の企業や団体などによって共有して利用されることがある。例えばSOHOと呼ばれるような小規模事業者が多数入居するオフィスビルでは、1台の画像形成装置が複数の組織(企業や団体など)によって共有して利用されることが多い。
【0004】
このように複数の組織によって1台の画像形成装置が共有される場合、画像形成装置は、上述したネットワーク転換端末と同様に、複数のLANカードを備え、組織毎にネットワークを切り分けた状態で使用されるのが一般的である。予めネットワークを切り分けておくことにより、画像形成装置を共有する複数の組織の間で情報が流出してしまうことを防止できるからである。したがって、画像形成装置は、それら複数のネットワークのそれぞれから個別に受信するジョブに基づいて印刷出力を行うことが可能なように構成される。
【0005】
画像形成装置は、複数のネットワークのいずれかからジョブを受信して印刷出力を行うと、装置本体に設けられる排紙トレイ上へ印刷物を排出する。そのため、ジョブを送信したユーザーは、画像形成装置の設置場所まで移動することにより印刷物を回収することができる。
【0006】
しかしながら、画像形成装置が排紙トレイ上へ排出した印刷物はユーザーによって回収されることなく、放置されることがある。その場合、別のネットワークのユーザーによってジョブが送信され、画像形成装置において印刷出力が行われると、排紙トレイ上に放置されている印刷物が別のネットワークのユーザーに見られてしまう可能性がある。例えば、印刷物に秘密情報が含まれる場合、印刷物が別のネットワークのユーザーに見られてしまうことによって秘密情報が流出してしまう可能性があり、問題となる。特に、このような問題は、上述した従来技術のように、ボタン操作に応じて一方のLANカードを活性化させ、他方のLANカードを不活性化させるだけでは解決することができないため、より良い解決手法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、互いに異なる複数の組織による共有を可能としつつ、異なる組織のユーザーに印刷物が見られてしまうことを抑制できるようにした画像処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、画像形成装置であって、第1のネットワークに接続される機器と、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに接続される機器のそれぞれと通信を行うことが可能な通信手段と、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブに基づいて印刷出力を行う印刷手段と、前記印刷手段によって出力された印刷物が未回収状態であることを検知する検知手段と、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行を規制する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始されることに伴い、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの送信を待機させる待機命令を送信することを特徴とする構成である。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記通信手段は、前記第1のネットワークに接続される機器と通信を行う第1の通信手段と、前記第2のネットワークに接続される機器と通信を行う第2の通信手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブを受け付けないことを特徴とする構成である。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記検知手段によって印刷物が回収されたことが検知された後、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブを受け付けることを特徴とする構成である。
請求項5に係る発明は、画像形成装置であって、第1のネットワークに接続される機器と、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに接続される機器のそれぞれと通信を行うことが可能な通信手段と、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブに基づいて印刷出力を行う印刷手段と、前記印刷手段によって出力された印刷物が未回収状態であることを検知する検知手段と、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行を規制して前記第1及び第2のネットワークのうちの一方を介してジョブの送信元の機器に印刷物回収の第1の催促を行い、前記第1の催促を行った後、前記検知手段によって印刷物が回収されたことが所定時間以内に検知されないとき、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行の規制を解除する制御手段と、を備えることを特徴とする構成である。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行の規制を解除することに伴い、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づく印刷物が未回収であることを通知することを特徴とする構成である。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項5又は6に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方からジョブを受信した場合、当該受信ジョブを予約ジョブとして受け付けることを特徴とする構成である。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記検知手段によって印刷物が回収されたことが検知された場合に、前記予約ジョブに基づく印刷出力を許可することを特徴とする構成である。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記予約ジョブに基づく印刷出力が開始された後、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方を介して前記予約ジョブの送信元の機器に対してジョブ実行通知を送信することを特徴とする構成である。
【0018】
請求項10に係る発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されているとき、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方に接続される複数の機器に対して印刷物回収の第1の催促を行うことを特徴とする構成である。
【0019】
請求項11に係る発明は、請求項5乃至10のいずれかに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記第1の催促を行った後、前記検知手段によって印刷物が回収されたことが所定時間以内に検知されないとき、前記第1の催促とは表示態様が異なる第2の催促を再度行うことを特徴とする構成である。
【0020】
請求項12に係る発明は、請求項5乃至11のいずれかに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記第1の催促を行った後、前記検知手段によって印刷物が回収されたことが所定時間以内に検知されないとき、予め指定された通知先に通信を行うことを特徴とする構成である。
【0023】
請求項13に係る発明は、請求項1乃至12のいずれかに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれを介して、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれに接続される機器に、ジョブに関するステータス通知を表示させることを特徴とする構成である。
【0024】
請求項14に係る発明は、請求項1乃至13のいずれかに記載の画像形成装置において、原稿を読み取って画像データを生成する原稿読取手段、を更に備え、前記印刷手段は、前記原稿読取手段によって生成される画像データに基づいて印刷出力を行うことが可能であり、前記制御手段は、前記原稿読取手段によって生成される画像データに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブの実行を規制することを特徴とする構成である。
【0025】
請求項15に係る発明は、請求項14に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記検知手段によって画像データに基づく印刷物が回収されたことが検知された場合に、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブの実行の規制を解除することを特徴とする構成である。
【0026】
請求項16に係る発明は、請求項14又は15に記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記検知手段によって画像データに基づく印刷物が未回収状態であることが検知されているとき、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれを介して印刷物回収の催促を行うことを特徴とする構成である。
【0027】
請求項17に係る発明は、請求項14乃至16のいずれかに記載の画像形成装置において、前記制御手段は、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブの実行を規制しているとき、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブを予約ジョブとして受け付け、前記検知手段によって画像データに基づく印刷物が回収されたことが検知された後に、当該予約ジョブに基づく印刷出力を開始することを特徴とする構成である。
【0028】
請求項18に係る発明は、請求項1乃至17のいずれかに記載の画像形成装置において、各種情報を表示する表示手段、を更に備え、前記制御手段は、前記表示手段に、ジョブに関するステータス通知を表示させることを特徴とする構成である。
【0029】
請求項19に係る発明は、第1のネットワークに接続される機器と、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに接続される機器のそれぞれと通信を行うことが可能な通信手段と、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブに基づいて印刷出力を行う印刷手段と、前記印刷手段によって出力された印刷物が未回収状態であることを検知する検知手段と、を備える画像形成装置において行われるプログラムであって、前記画像形成装置に、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されていないときに、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方からジョブを受信した場合、当該ジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力を開始させる第1ステップと、前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行を規制する第2ステップと、を実行させ、前記第2ステップは、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方から受信したジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力が開始されることに伴い、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの送信を待機させる待機命令を送信することを特徴とする構成である。
【0030】
請求項20に係る発明は、第1のネットワークに接続される機器と、前記第1のネットワークとは異なる第2のネットワークに接続される機器のそれぞれと通信を行うことが可能な通信手段と、前記第1及び第2のネットワークのそれぞれから受信するジョブに基づいて印刷出力を行う印刷手段と、前記印刷手段によって出力された印刷物が未回収状態であることを検知する検知手段と、を備える画像形成装置において行われるプログラムであって、前記画像形成装置に、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されていないときに、前記第1及び第2のネットワークのうちの一方からジョブを受信した場合、当該ジョブに基づいて前記印刷手段による印刷出力を開始させる第1ステップと、前記印刷手段による印刷出力が開始された後、前記検知手段によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行を規制して前記第1及び第2のネットワークのうちの一方を介してジョブの送信元の機器に印刷物回収の第1の催促を行い、前記第1の催促を行った後、前記検知手段によって印刷物が回収されたことが所定時間以内に検知されないとき、前記第1及び第2のネットワークのうちの他方から受信するジョブの実行の規制を解除する第2ステップと、を実行させることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、互いに異なる複数の組織による共有を可能としつつ、異なる組織のユーザーに印刷物が見られてしまうことを抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第1実施形態における画像形成システムのシステム全体の構成例を示す図である。
【
図2】画像形成装置のハードウェア構成及び機能構成の一例を示す図である。
【
図5】画像形成システムの動作プロセスの例を示す図である。
【
図6】画像形成システムの動作プロセスの例を示す図である。
【
図7】画像形成装置の詳細な処理手順の一例を示す図である。
【
図8】画像形成装置の詳細な処理手順の一例を示す図である。
【
図9】画像形成装置の詳細な処理手順の一例を示す図である。
【
図10】画像形成装置の詳細な処理手順の一例を示す図である。
【
図11】機器の表示部に表示される待機予約通知の一例を示す図である。
【
図12】画像形成装置の詳細な処理手順の一例を示す図である。
【
図13】画像形成装置の詳細な処理手順の一例を示す図である。
【
図14】画像形成装置の詳細な処理手順の一例を示す図である。
【
図15】画像形成装置の詳細な処理手順の一例を示す図である。
【
図16】機器の表示部に表示される印刷物回収の催促の一例を示す図である。
【
図17】機器の表示部に表示される注意通知の一例を示す図である。
【
図18】画像形成装置の詳細な処理手順の一例を示す図である。
【
図19】画像形成装置の詳細な処理手順の一例を示す図である。
【
図20】機器の表示部及び画像形成装置の操作パネルに表示されるステータス通知の一例を示す図である。
【
図21】第2実施形態における画像形成装置のハードウェア構成及び機能構成の一例を示す図である。
【
図23】第3実施形態における画像形成システムのシステム全体の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0037】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における画像形成システム1の全体構成の一例を示す図である。この画像形成システム1は、例えば企業や団体などの複数の組織が入居するオフィスビルなどに設置されるシステムであり、複数の組織が1つの画像形成装置2を共有して利用できるように構成されたシステムである。例えば、画像形成装置2は、スキャン機能、プリント機能、コピー機能及びFAX機能などの複数の機能を備えるMFPなどで構成される。
図1に示す画像形成装置2は、2つの組織によって共有される場合を例示している。第1の組織には、第1のネットワーク3に接続される複数の機器5aが設けられる。また第2の組織には、第2のネットワーク4に接続される複数の機器5bが設けられる。尚、機器5a,5bは、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末などによって構成される。また、第1及び第2のネットワーク3,4は、LAN(Local Area Network)などのローカルネットワークであり、互いに異なるネットワークである。
【0038】
画像形成装置2は、第1の組織において使用される機器5a及び第2の組織において使用される機器5bのいずれからジョブが送信される場合であっても、それらのジョブを受信することが可能である。すなわち、画像形成装置2は、第1のネットワーク3及び第2のネットワーク4に接続されており、第1のネットワーク3に接続される機器5aと、第2のネットワーク4に接続される機器5bのそれぞれと通信を行うことが可能である。尚、以下においては、第1のネットワーク3に設けられる機器5aと第2のネットワーク4に設けられる機器5bとを区別しないときには、それらを総称して単に機器5ということがある。また、本実施形態では、第1のネットワーク3及び第2のネットワーク4のそれぞれにおいて、機器5a,5bが2台ずつ配置される場合を例示しているが、各ネットワーク3,4に配置される機器5は2台に限られるものではなく、1台以上であれば良い。
【0039】
画像形成装置2は、第1のネットワーク3に接続される機器5a又は第2のネットワーク4に接続される機器5bから送信されるジョブを受信した場合、プリント機能を作動させてジョブを実行し、印刷出力を行う。画像形成装置2は、装置本体の中央部に排紙トレイ6を備えており、ジョブの実行に伴って生成される印刷物を排紙トレイ6の上に順次排出する。
【0040】
また、画像形成装置2は、ユーザーが操作する際のユーザーインタフェースとなる操作パネル13を備えている。この操作パネル13には、各種情報を表示する表示部と、ユーザーによる各種操作入力を検知する操作部とが設けられている。画像形成装置2は、ユーザーによる操作パネル13に対する各種操作入力に基づいてコピージョブなどを実行することも可能である。コピージョブは、スキャン機能とプリント機能とを作動させてユーザーによってセットされる原稿の複写物(印刷物)を生成するジョブである。
【0041】
第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに設けられる機器5は、各種情報を表示することが可能な表示部8を備えている。また、機器5は、画像形成装置2に対してプリントジョブなどのジョブを送信する機能を有している。例えば、機器5には画像形成装置2に対応するドライバプログラムがインストールされており、機器5においてドライバプログラムが実行されることにより、機器5は画像形成装置2に対してプリントジョブなどのジョブを送信することができるようになる。また、機器5は、ドライバプログラムが実行されることにより、画像形成装置2からの通知などを受信することができるようになる。この際、機器5は、画像形成装置2からの通知を表示部8に表示することができる。
【0042】
尚、本実施形態では、第1のネットワーク3に接続される機器5aと、第2のネットワーク4に接続される機器5bとは、互いに通信を行うことができない構成である。
【0043】
このような画像形成システム1において、画像形成装置2は、第1及び第2のネットワーク3,4のうちのいずれか一方のネットワークを介してジョブを受信し、そのジョブに基づく印刷出力を開始すると、他方のネットワークを介して受信するジョブの実行を規制する。これにより、他方のネットワークのユーザーは、一時的に画像形成装置2を使用して印刷出力を行うことができない状態となる。つまり、画像形成装置2は、一方のネットワークから送信されたジョブに基づく印刷物を出力するとき、他方のネットワークから送信されるジョブの実行を規制することにより、互いに異なる組織のユーザーによって出力される複数の印刷物が排紙トレイ6上において混在した状態となることを抑制し、一方の組織のユーザーのために出力した印刷物が他方の組織のユーザーに見られてしまうことを防止するのである。ここで、他方のネットワークを介して受信するジョブの実行を規制するタイミングは、一方のネットワークを介してジョブを受信したタイミングであっても良いし、一方のネットワークを介して受信したジョブに基づく印刷出力を開始するタイミングであっても良い。また、一方のネットワークを介して受信したジョブに基づいて1枚目の印刷出力が完了するタイミングであっても良い。
【0044】
また、画像形成装置2は、一方のネットワークから受信したジョブに基づく印刷物がユーザーによって回収されるまで、他方のネットワークからのジョブの実行を規制した状態(以下、「規制状態」と称することがある)を継続する。そして排紙トレイ6上から印刷物が回収されたことを検知すると、画像形成装置2は、規制状態を解除する。つまり、画像形成装置2は、一方のネットワークのユーザーの印刷物が回収された後に、他方のネットワークのユーザーによって送信されるジョブの実行を行うことができる状態とするのである。
【0045】
さらに、このような画像形成装置2は、排紙トレイ6上に印刷物が放置された状態のときに、操作パネル13を介して指示されるコピージョブの実行を規制することも可能である。
【0046】
このように画像形成装置2は、一方のネットワークから受信したジョブに基づく印刷物が排紙トレイ6上に放置されている状態のときには、他方のネットワークから受信するジョブ及びコピージョブの実行を規制する。ただし、画像形成装置2は、一方のネットワークから受信したジョブに基づく印刷物が排紙トレイ6上に放置されている状態であっても、その一方のネットワークから受信するジョブの実行は規制しない。したがって、一方のネットワークから受信したジョブに基づく印刷物が排紙トレイ6上に放置されている状態のときには、その一方のネットワークを利用するユーザーは、画像形成装置2に対して更に別のジョブを実行させることができる。
【0047】
尚、以下においては、以下、第1のネットワーク3から受信するジョブ(プリントジョブ)を、「第1のジョブ」と称することがある。また、第2のネットワーク4から受信するジョブ(プリントジョブ)を、「第2のジョブ」と称することがある。さらに、ユーザーが操作パネル13を操作することによって投入するジョブ(例えばコピージョブなど)を「第3のジョブ」と称することがある。以下、このような画像形成装置2についてさらに詳しく説明する。
【0048】
図2は、画像形成装置2のハードウェア構成及び機能構成の一例を示す図である。画像形成装置2は、そのハードウェア構成として、上述した操作パネル13の他に、通信部10と、用紙検知センサ14と、スキャナ部16と、プリンタ部17と、FAX部18と、記憶部19と、制御部20とを備えている。
【0049】
通信部10は、画像形成装置2を第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続するためのインタフェースである。画像形成装置2は、この通信部10を介して、第1のネットワーク3に接続される機器5aと通信を行うことが可能であり、また第2のネットワーク4に接続される機器5bと通信を行うことが可能である。本実施形態における通信部10は、
図2に示すように、第1の通信部11と第2の通信部12との複数の通信部を備えている。第1の通信部11は、例えば1つのLANカードによって構成され、第1のネットワーク3に接続して第1のネットワーク3に接続されている機器5aと通信を行う。また、第2の通信部12は、例えば第1の通信部11とは異なるLANカードによって構成され、第2のネットワーク4に接続して第2のネットワーク4に接続されている機器5bと通信を行う。
【0050】
用紙検知センサ14は、例えば排紙トレイ6上に設けられ、排紙トレイ6に排出される印刷物を検知するセンサである。用紙検知センサ14が排紙トレイ6上において印刷物を検知している状態であれば、画像形成装置2が出力した印刷物が未回収であることが判る。そのため、用紙検知センサ14は、画像形成装置2が出力した印刷物が未回収状態であることを検知するセンサとして利用される。例えば、画像形成装置2においてジョブの実行が開始され、用紙検知センサ14は、1枚目の印刷用紙などのシート材が排紙トレイ6上へ排出されることに伴い、そのシート材を検知してオン状態となる。これに対し、排紙トレイ6上に印刷用紙などのシート材が存在していない場合、用紙検知センサ14は、シート材を検出しないのでオフ状態となる。このような用紙検知センサ14は、例えば、排紙トレイ6に排出される印刷物の重さによってオンオフする接触式のセンサや、光や超音波などで印刷物の有無を検知する非接触式のセンサなどで構成される。
【0051】
スキャナ部16は、ユーザーによってセットされる原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成する原稿読取手段である。スキャナ部16は、ユーザーによってスキャンジョブやコピージョブ、FAX送信ジョブの実行が指示された場合に動作し、ユーザーによってセットされた原稿に対応する画像データを制御部20へ出力する。
【0052】
プリンタ部17は、制御部20から出力される画像データに基づく画像を印刷用紙などのシート材に印刷して出力する印刷手段である。画像形成装置2は、プリンタ部17を動作させることにより、第1のネットワーク3及び第2のネットワーク4のそれぞれから受信するプリントジョブに基づいて印刷出力を行うことができる。尚、プリンタ部17は、FAX部18がFAXデータを受信した場合にもそのFAXデータに基づく印刷出力を行うことができる。
【0053】
FAX部18は、図示を省略する公衆電話回線を介してFAXデータの送受信を行うためのものである。例えば、FAX部18は、制御部20からの指示に基づいて外部宛先を発呼し、その外部宛先へFAXデータを送信することが可能であり、また公衆電話回線を介して受信するFAXデータを制御部20へ出力することもできる。
【0054】
記憶部19は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などによって構成される不揮発性の記憶装置である。この記憶部19は、様々なプログラムやデータなどを記憶しておくものである。例えば記憶部19には、
図2に示すように、プログラム30と、規制設定情報33と、対処設定情報34などが記憶されている。
【0055】
プログラム30は、画像形成装置2において実行されるプログラムであり、予め画像形成装置2にインストールされているプログラムである。例えば画像形成装置2は、電源投入時にプログラム30を読み出して実行することにより、後述する各種処理部を機能させる。
【0056】
規制設定情報33は、画像形成装置2においてジョブの実行を規制するための設定値を登録した情報である。例えば、第1のネットワーク3から受信したジョブが実行されたことによって排紙トレイ6に印刷物が出力され、その印刷物が排紙トレイ6上において放置されている場合、第2のネットワーク4から受信するジョブの実行が規制される。ここで、画像形成装置2においてジョブの実行を規制する方法には、主として次に2つの方法がある。第1の規制方法は、第2のネットワーク4から受信したジョブを直ぐには実行せずに、実行可能な状態となってから実行するために予約ジョブとして画像形成装置2に登録しておく方法である。第1の規制方法の場合、画像形成装置2は、受信したジョブを予約ジョブとして受け付けて保持しているため、排紙トレイ6上の印刷物が回収されたことを検知すると、直ぐに予約ジョブを実行することができる。これに対し、第2の規制方法は、第2のネットワーク4の機器5bに対してジョブの送信を待機するように命令し、第2のネットワーク4からジョブが送信されないようにする方法である。第1の規制方法及び第2の規制方法のうちのいずれを適用するかは、画像形成装置2の管理者、又は、第1の組織及び第2の組織のユーザーがそれぞれ個別に設定することが可能である。規制設定情報33は、第1の規制方法と第2の規制方法とのいずれの方法によるジョブの実行規制を行うかを予め登録した情報である。
【0057】
図3は、規制設定情報33の一例を示す図である。例えば、規制設定情報33は、
図3に示すように、規制条件33aと、規制対象ジョブ33bと、規制方法33cとが相互に対応付けられた情報である。規制条件33aの欄には、ジョブの実行を規制する条件が登録される。
図3の例では、第1のネットワーク3から受信したジョブに基づく印刷物が未回収であることが第1の条件として登録され、第2のネットワーク4から受信したジョブに基づく印刷物が未回収であることが第2の条件として登録され、コピージョブに基づく複写物(印刷物)が未回収であることが第3の条件として登録されている。そして規制設定情報33には、これら3つの条件のそれぞれに対して規制対象ジョブ33bと、規制方法33cとが設定されている。例えば、第1のネットワーク3から受信したジョブに基づく印刷物が未回収である場合(第1の条件が成立している場合)に規制対象となるジョブは、第2のネットワーク4から受信するジョブと、コピージョブとの2種類のジョブであることが登録されている。また、規制対象となるジョブの実行を規制する方法として、規制方法33cの欄に「予約」と「待機」のいずれかが登録される。「予約」は、上述した第1の規制方法による規制である。また、「待機」は、上述した第2の規制方法による規制である。
【0058】
対処設定情報34は、排紙トレイ6上に印刷物が放置され、ジョブの実行が規制されている状態(規制状態)において、待機又は予約ジョブがある場合に参照される情報であり、早期に規制状態を解除するために画像形成装置2が行うべき処理が予め登録された情報である。
【0059】
図4は、対処設定情報34の一例を示す図である。例えば、対処設定情報34は、
図4に示すように、印刷物が放置された状態となっているジョブ34aと、画像形成装置2が行うべき処理の処理内容34bと、処理内容34bに規定される処理を画像形成装置2が行ってから所定時間経過しても印刷物が放置されている場合に、画像形成装置2が行うべき処理の処理内容34cとが相互に対応付けられた情報である。印刷物が放置された状態となっているジョブ34aの欄には、第1のネットワーク3から受信したジョブと、第2のネットワーク4から受信したジョブと、コピージョブとが個別に登録されている。対処設定情報34は、それらのジョブに対して、処理内容34b,34cが個別に登録された情報となっている。
【0060】
例えば、処理内容34bには、排紙トレイ6上に印刷物を放置しているユーザー等に対して印刷物回収の催促を行う第1の催促処理がある。印刷物が放置された状態となっているジョブ34aが第1又は第2のネットワークから受信したジョブである場合、画像形成装置2は、ジョブを投入したユーザーが所持する機器5、又は、そのユーザーが利用するネットワークに接続される全ての機器5に対して第1の催促を行う。第1の催促を受信した機器5は、表示部8に第1の催促を表示することで、機器5を所持するユーザーに対して印刷物回収を催促する。ジョブを投入したユーザーが所持する機器5に対して第1の催促を行うか、そのユーザーが利用するネットワークに接続される全ての機器5に対して第1の催促を行うかは、画像形成装置2の管理者、又は、第1の組織及び第2の組織の代表者などがそれぞれ個別に設定することが可能である。また、印刷物が放置された状態となっているジョブ34aがコピージョブである場合、画像形成装置2は、操作パネル13を介して第1の催促を行うか、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5に対して第1の催促を行う。操作パネル13を介して第1の催促を行うか、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5に対して第1の催促を行うかは、画像形成装置2の管理者、又は、第1の組織及び第2の組織の代表者などがそれぞれ個別に設定することが可能である。このような第1の催促処理が行われ、ユーザーが印刷物を回収することで、規制状態は早期に解除される。
【0061】
処理内容34cは、処理内容34bに規定される処理、すなわち第1の催促処理が行われた後、所定時間経過しても印刷物が放置されている場合に、画像形成装置2に参照される。例えば、処理内容34cには、第2の催促処理と、通知処理と、例外処理との3つの処理がある。
【0062】
第2の催促処理は、第1の催促処理が行われた後、所定時間経過後も印刷物が回収されていない場合に、画像形成装置2が再度印刷物の回収を催促する処理である。この第2の催促処理も、第1の催促処理と同様に、印刷物が放置された状態となっているジョブ34aが第1又は第2のネットワークから受信したジョブである場合、画像形成装置2は、ジョブを投入したユーザーが所持する機器5、又は、そのユーザーが利用するネットワークに接続される全ての機器5に対して第2の催促を行う。また、印刷物が放置された状態となっているジョブ34aがコピージョブである場合、画像形成装置2は、操作パネル13を介して第1の催促を行うか、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5に対して第2の催促を行う。このような第2の催促処理の対象は、第1の催促処理と同様に、画像形成装置2の管理者、又は、第1の組織及び第2の組織の代表者などがそれぞれ個別に設定することが可能である。尚、第2の催促処理の対象は、第1の催促処理の対象と異なっていても構わない。例えば、第1の催促が印刷物を放置しているユーザーが所持する機器5に対して行われていても、第2の催促は、そのユーザーが利用するネットワークに接続される全ての機器5に対して行われるものであっても構わない。
【0063】
ここで、第2の催促は、第1の催促と表示態様が異なる。第2の催促は、第1の催促には含まれない警告画像を含んだり、第1の催促とは文字の大きさ、位置、色や文字を表示する領域の色が異なったり、機器5にアラーム音を出力させたりする。例えば、第2の催促は、第1の催促より文字が大きかったり、文字や文字を表示する領域の色が赤色や黄色であったりする。また、第2の催促は、規制状態が解除されない限り、機器5の表示部8又は操作パネル13に表示されたままにするようにしてもよい。第2の催促の表示態様を第1の催促と異ならせることで、第1の催促と比べて、より早急に印刷物を回収する必要があることをユーザーに通知する。
【0064】
通知処理は、第1の催促処理が行われた後、所定時間経過しても印刷物が放置されている場合に、予め指定された通知先に印刷物が未回収であることを通知する処理である。この場合の通知先としては、例えば画像形成装置2の管理者であっても良いし、第1の組織又は第2の組織の代表者であっても良い。例外処理は、第1の催促処理が行われた後、所定時間経過しても印刷物が放置されている場合に、例外的にジョブの実行の規制状態を解除する処理である。このような対処設定情報34を参照することにより、画像形成装置2は、規制状態が所定時間以上継続している場合に行うべき処理を自動決定することができる。これらの処理内容34cは、画像形成装置2の管理者、又は、第1の組織及び第2の組織の代表者などがそれぞれ個別に設定することが可能である。
【0065】
次に制御部20の詳細について説明する。制御部20は、図示を省略するCPUやメモリなどを備えて構成される。CPUは、プログラム30を実行するためのものであり、メモリは、CPUがプログラム30を実行する際に発生する一時的なデータなどを記憶するためのものである。制御部20のCPUは、画像形成装置2に電源が投入されることにより、記憶部19からプログラム30を読み出して実行する。これにより、制御部20は、ジョブ受付部21、ユーザー特定部22、規制部23、通知生成部24、通知送信部25及びジョブ制御部26として機能する。以下、これら各部の詳細について説明する。
【0066】
ジョブ受付部21は、画像形成装置2を使用するユーザーによって発行されるジョブを受け付ける処理部である。例えば、ジョブ受付部21は、第1の通信部11が第1のネットワーク3から受信するプリントジョブ、第2の通信部12が第2のネットワーク4から受信するプリントジョブ、及び、操作パネル13を介してユーザーによって指定されるコピージョブのそれぞれを受け付ける。
【0067】
規制部23は、画像形成装置2におけるジョブの実行を規制したり、規制状態を解除したりする処理部である。規制部23は、ジョブ受付部21によってジョブが受け付けられ、画像形成装置2においてそのジョブに基づく印刷出力が開始されることに伴って、ジョブの実行を規制する。このとき、規制部23は、規制設定情報33を参照し、規制設定情報33に基づいてジョブの実行を規制する。
【0068】
例えば、
図3に示した規制設定情報33を参照すると、規制部23は、第1のネットワーク3から受信したジョブに基づく印刷出力が開始された場合に上述した第1の条件が成立したと判断し、第2のネットワーク4から受信するジョブの実行と、コピージョブの実行を規制する。また、
図3に示した規制設定情報33を参照すると、規制部23は、この場合の規制方法として、ジョブ受付部21によって受け付けられるジョブを予約ジョブとして登録することによって規制する方法を決定する。
【0069】
また、第2のネットワーク3から受信したジョブに基づく印刷出力が開始された場合、規制部23は、
図3に示した規制設定情報33に基づき、上述した第2の条件が成立したと判断し、第1のネットワーク3から受信するジョブの実行と、コピージョブの実行を規制する。また規制部23は、この場合の規制方法として、第1のネットワーク3の機器5aに対してジョブの送信を待機するように命令し、第1のネットワーク3からジョブが送信されないようにすることでジョブの実行を規制する方法を決定する。
【0070】
さらに、コピージョブに基づく印刷出力が開始された場合、規制部23は、
図3に示した規制設定情報33に基づき、上述した第3の条件が成立したと判断し、第1のネットワーク3から受信するジョブの実行と、第2のネットワーク4から受信するジョブの実行とを規制する。また規制部23は、この場合の規制方法として、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続されている機器5に対してジョブの送信を待機するように命令し、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれからジョブが送信されないようにすることでジョブの実行を規制する方法を決定する。
【0071】
また規制部23は、ジョブに基づく印刷出力が開始されると、用紙検知センサ14の出力を監視し、ユーザーによって印刷物が回収されたか否かを判断する。そして規制部23は、印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、ジョブの実行の規制状態を維持する。ただし、規制部23は、ジョブの実行の規制状態が所定時間以上継続した場合、対処設定情報34を参照し、対処設定情報34において設定されている処理を実行する。これにより、ジョブの実行の状態が早期に解消されるようになる。
【0072】
ジョブ制御部26は、画像形成装置2におけるジョブの実行を制御する処理部である。例えば、第1のネットワーク3又は第2のネットワーク4からプリントジョブを受信し、そのプリントジョブを実行する場合、ジョブ制御部26は、プリンタ部17を駆動し、ジョブに基づく印刷出力を行わせる。また、ジョブ制御部26は、操作パネル13を介してコピージョブの実行が指示された場合には、スキャナ部16及びプリンタ部17を同期させて駆動し、コピージョブに基づく印刷出力を行わせる。ジョブ制御部26によってプリンタ部17が駆動されると、排紙トレイ6上にジョブに応じた印刷物が排出される。
【0073】
また、ジョブ制御部26は、ジョブ受付部21によって受け付けられたジョブが予約ジョブとして登録された場合、その予約ジョブの実行を保留し、規制部23によってジョブの実行の規制状態が解除された後に予約ジョブを読み出して実行する。
【0074】
ユーザー特定部22は、ジョブを投入したユーザーを特定する処理部である。ユーザー特定部22がジョブを投入したユーザーを特定することにより、そのジョブに基づく印刷物が排紙トレイ6上に放置されていれば、そのユーザーに対し、或いは、そのユーザーと同じ組織に属する複数のユーザーに対して印刷物回収の催促を行うことが可能となる。また、ジョブを投入したユーザーとは異なる組織に属するユーザーに対し、ジョブの実行が規制されていることを通知することもできるようになる。
【0075】
例えば、ジョブ受付部21が第1及び第2のネットワーク3,4のいずれか一方からジョブを受信した場合、ユーザー特定部22は、そのジョブのヘッダーなどに含まれる情報を解析することにより、ジョブを投入したユーザーを特定する。さらに、ユーザー特定部22は、受信されたジョブが第1及び第2の通信部11,12のいずれを介して受信されたジョブかを確認することにより、ジョブを投入したユーザーが第1及び第2のネットワーク3,4のいずれのユーザーであるかを特定する。
【0076】
通知生成部24は、第1のネットワーク3又は第2のネットワーク4の機器5に対して送信すべき各種の通知や命令を生成する処理部である。例えば、排紙トレイ6上に印刷物が放置されている状態のとき、通知生成部24は、ジョブを投入したユーザーが所属する組織の機器5に対して送信すべき通知であって、印刷物回収を催促するための通知を生成する。また、通知生成部24は、ジョブを投入したユーザーが所属する組織とは異なる組織の機器5に対して送信すべき通知であって、ジョブの送信を待機させる待機命令や、受信したジョブを予約ジョブとして登録したことを示す予約通知なども生成する。また通知生成部24は、ジョブに関するステータス通知を生成する。このステータス通知は、第1乃至第3のジョブのいずれかに基づく印刷物が未回収状態であること、又は、印刷物が存在しない状態であることを通知することが可能である。また、ステータス通知は、ジョブ実行の規制対象となるジョブの情報や、規制対象となるジョブの規制方法の情報などを通知することも可能である。これらの通知を受信した機器5は、これらの通知を表示部8に表示する。尚、機器5はこれらの通知を常に表示部8に表示するようにしてもよい。また、機器5は、ユーザーによって所定の操作がなされたときに、これらの通知を表示部8に表示するようにしてもよい。
【0077】
また、通知生成部24は、操作パネル13に表示する各種の通知や命令を生成する。例えば、排紙トレイ6上にコピージョブ(第3のジョブ)に基づく印刷物が放置されている状態のとき、操作パネル13に表示させる通知であって、印刷物回収を催促するための通知を生成する。また、通知生成部24は、第3のジョブが規制されている場合に、ジョブの投入を待機させる待機命令や、コピージョブを予約ジョブとして受け付けることを示す予約通知なども生成する。また、通知生成部24は、操作パネル13に表示するステータス通知を生成する。このステータス通知は上述したステータス通知と同様の内容である。
【0078】
通知送信部25は、通知生成部24によって生成される通知や命令などを、ユーザーが所持する機器5へ送信する処理部である。例えば、排紙トレイ6上に印刷物が放置されている状態のとき、通知送信部25は、ユーザー特定部22によって特定されるユーザーが使用する機器5、又は、そのユーザーが利用するネットワークに接続される複数の機器5に対して印刷物回収を催促するための通知を送信する。また、コピージョブに基づく印刷物が放置されている状態のとき、通知送信部25は、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5に対して印刷物回収を催促するための通知を送信するようにしてもよい。また、排紙トレイ6上に印刷物が放置されている状態のとき、通知送信部25は、ユーザー特定部22によって特定されるユーザーとは異なる組織に属するユーザーが使用する機器5に対し、待機命令や、受信したジョブを予約ジョブとして登録したことを示す予約通知などを送信する。また、通知送信部25は、印刷物が未回収状態のとき、印刷物が未回収状態であることを通知するステータス通知を第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5に送信してもよい。また、ジョブ実行の規制対象となるジョブの情報や、規制対象となるジョブの制御方法の情報などを通知するステータス通知を、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5に送信してもよい。また、通知送信部25は、印刷物が存在しない状態のとき、印刷物が存在しない状態であることを通知するステータス通知を、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5に送信してもよい。
【0079】
このように画像形成装置2は、排紙トレイ6上に印刷物が放置されている状態のとき、ジョブを投入したユーザーや、ジョブを投入したユーザーと同じ組織に属するユーザーに対し、印刷物回収の催促を行うことで早期に印刷物を回収させることができる。また、画像形成装置2は、排紙トレイ6上に印刷物が放置されている状態のとき、ジョブを投入したユーザーとは異なる組織のユーザーに対しては、ジョブの実行が規制されていることを待機命令や予約通知などによって通知することができる。また、ステータス通知を行うことで、ユーザーは、排紙トレイ6上に印刷物が存在するか否か、ジョブ実行の規制対象となるジョブの情報、規制対象となるジョブの規制方法などの各種ステータスを常に確認することができる。
【0080】
尚、画像形成装置2は、第1及び第2のネットワーク3,4のいずれか一方のネットワークの機器5に対して待機命令を送信した後、その一方のネットワークの機器5からジョブを受信することもある。そのような場合、画像形成装置2は、待機命令を送信した後に受信したジョブを破棄するようにしても良いし、予約ジョブとして登録するようにしても良い。
【0081】
次に、上記のような画像形成装置2と、第1及び第2のネットワーク3,4の各機器5a,5bとで行われる第1の動作例について説明する。
図5は、画像形成装置2と各機器5a,5bで行われる第1の動作プロセスを示す図である。第1の動作プロセスでは、画像形成装置2が行う規制方法が上述した第2の規制方法(「待機」)である場合の動作を例示している。まず、第1のネットワーク3に接続される機器5aがプリントジョブを画像形成装置2に送信する(プロセスP10)。プリントジョブを受信すると、画像形成装置2は、当該ジョブを受け付けて実行する(プロセスP11)。そして画像形成装置2は、用紙検知センサ14によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間、すなわち第1のネットワーク3のユーザーによって印刷物が回収されるまでの期間、第2のジョブの実行を規制する(プロセスP12)。尚、この期間において、機器5aから画像形成装置2に送信されたジョブは、画像形成装置2によって受け付けられ、実行される。
【0082】
一方、第2のネットワーク4の機器5bからプリントジョブが送信されると(プロセスP13)、画像形成装置2は、第2のネットワーク4の機器5bに対してジョブの送信を待機させるための待機命令を送信する(プロセスP14)。このとき、画像形成装置2は、ジョブを待機させることをユーザーに通知するための待機通知を送信する。待機通知を受信した機器5bは、表示部8に待機通知を表示することにより、ユーザーに対し、画像形成装置2におけるジョブの実行が規制された状態であり、ジョブの送信を待機させることを通知する(プロセスP15)。このような通知により、機器5bのユーザーは、画像形成装置2が直ぐに使用することができない状態であることを把握することができる。尚、画像形成装置2は、機器5bからのジョブを待つことなく、第2のジョブの実行を規制した直後に、第2のネットワーク4の機器5bに待機命令を送信するものとしてもよい。この場合、画像形成装置2は、第2のネットワーク4に接続される複数の機器5bに対して待機命令をユニキャスト送信するものであっても良い。ただし、ブロードキャスト又はマルチキャストで待機命令を送信すれば、第2のネットワーク4の負荷上昇を抑えることができるのでより好ましい。
【0083】
また画像形成装置2は、第2のネットワーク4に待機命令を送信することに伴い、第1のネットワーク3のユーザーに対して印刷物回収の第1の催促を行う(プロセスP16)。第1の催促は、ジョブを投入したユーザーの機器5aに対してユニキャスト送信するようにしても良い。ただし、これに限られるものではなく、第1のネットワーク3に接続されている複数の機器5aに対して第1の催促をブロードキャスト又はマルチキャストで送信するようにしても良い。ブロードキャストで第1の催促が送信される場合、第1の催促は、第1のネットワーク3に接続されている全ての機器5aに送信される。このような第1の催促により、第1のネットワーク3のユーザーに対して印刷物が未回収であることが通知され、早期に印刷物が回収されるようになる。
【0084】
また画像形成装置2は、第1のネットワーク3の機器5aに対して第1の催促を送信した後、所定時間が経過しても印刷物が回収されない場合、上述した対処設定情報34を参照し、対処設定情報34において定められた処理を行う。
図4に示した対処設定情報34では、第1のネットワーク3から受信したジョブに基づく印刷物が放置されている場合の処理内容34cとして、第1のネットワーク3に接続される全ての機器5aに第2の催促を送信する第2の催促処理が定められている。そのため、画像形成装置2は、プロセスP16から所定時間が経過しても印刷物が回収されない場合、第1のネットワーク3に接続される全ての機器5aに対して再び第2の催促を送信することになる。
【0085】
その後、第1のネットワーク3のユーザーによって印刷物が回収されると、画像形成装置2は、印刷物が回収されたことを検知する(プロセスP17)。これに伴い、画像形成装置2は、ジョブの実行の規制状態を解除する(プロセスP18)。画像形成装置2は、ジョブの実行の規制状態を解除することに伴い、第2のネットワーク4に接続されている機器5bに対して解除通知を送信する(プロセスP19)。第2のネットワーク4の機器5bは、画像形成装置2から解除通知を受信すると、解除通知を表示部8に表示する。機器5bは、解除通知を表示部8に表示することで、ユーザーに対し、ジョブを送信してもよいことを通知する。このような通知により、機器5bのユーザーは、画像形成装置2が利用可能な状態であることを把握することができる。そして、ユーザーによってジョブの送信を行う操作が行われると、機器5bは、ジョブを画像形成装置2へ送信する(プロセスP20)。そして画像形成装置2は、機器5bから受信したジョブを受け付け、実行する(プロセスP21)。
【0086】
次に、画像形成装置2と、第1及び第2のネットワーク3,4の各機器5a,5bとで行われる第2の動作例について説明する。
図6は、画像形成装置2と各機器5a,5bで行われる第2の動作プロセスを示す図である。第2の動作プロセスでは、画像形成装置2が行う規制方法が上述した第1の規制方法(「予約」)である場合の動作を例示している。まず、第1のネットワーク3に接続される機器5aがプリントジョブを画像形成装置2に送信する(プロセスP30)。画像形成装置2は、プリントジョブを受信すると、当該ジョブを受け付けて実行する(プロセスP31)。そして画像形成装置2は、用紙検知センサ14によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間、すなわち印刷物が回収されるまでの期間、第2のジョブの実行を規制する(プロセスP32)。尚、この期間において、機器5aから画像形成装置2に送信されたジョブは、画像形成装置2によって受け付けられ、実行される。
【0087】
一方、第2のネットワーク4に接続される機器5bのユーザーが機器5bに対してジョブの送信を指示すると、機器5bから画像形成装置2に対してジョブが送信される(プロセスP33)。画像形成装置2は、第2のネットワーク4から受信するジョブの実行を規制している状態において第2のネットワーク4からジョブを受信すると、そのジョブを予約ジョブとして登録する(プロセスP34)。そして画像形成装置2は、受信したジョブを予約ジョブとして受け付けたことを機器5bに通知する(プロセスP35)。この通知により、機器5bのユーザーは、自身のジョブが直ぐには実行されないことを把握することができる。これに伴い、画像形成装置2は、第1のネットワーク3のユーザーに対して印刷物回収の第1の催促を行う(プロセスP36)。尚、プロセスP36から所定時間が経過しても印刷物が回収されない場合に画像形成装置2が対処設定情報34に基づく処理を行う点は上記と同様である。
【0088】
その後、画像形成装置2は、排紙トレイ6上の印刷物が回収されたことを検知すると(プロセスP37)、第2のネットワーク4から受信するジョブの実行の規制状態を解除する(プロセスP38)。次に、画像形成装置2は、機器5bから受信して登録している予約ジョブを読み出して実行する(プロセスP39)。画像形成装置2は、予約ジョブの実行を開始した後、予約ジョブの実行を開始したことを示す実行通知を機器5bに送信する(プロセスP40)。この実行通知により、機器5bのユーザーは、自身のジョブが画像形成装置2において実行されたことを把握することができ、画像形成装置2の設置場所まで移動して印刷物を早期に回収することができる。尚、画像形成装置2から機器5bに対して送信する実行通知は、ジョブの実行開始時に送信しても良いし、ジョブの実行完了時に送信しても良い。またジョブの実行中に送信するようにしても良い。
【0089】
次に、画像形成装置2における具体的な動作の一例について説明する。
図7は、画像形成装置2において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、画像形成装置2がプログラム30を読み出して実行することにより、定期的に行われる処理である。まず、画像形成装置2は、受信したジョブを受け付けるジョブ受付処理を行う(ステップS10)。ジョブ受付処理では受信したジョブ受け付けるか否かに関する処理を行う。ジョブ受付処理の詳細については後述する。次に画像形成装置2は、回収検知処理を行う(ステップS20)。回収検知処理は、印刷物が回収されたか否かを確認する処理である。回収検知処理の詳細については後述する。次に、画像形成装置2は、催促処理を行う(ステップS30)。催促処理は、未回収状態の印刷物が存在する場合に印刷物を早期に回収させるための処理を行う。催促処理の詳細については後述する。次に、画像形成装置2は、待機予約処理を行う(ステップS40)。待機予約処理は、予約ジョブ及び待機ジョブの実行に関する処理を行う。待機予約処理の詳細については後述する。次に画像形成装置2は、ステータス処理を行う(ステップS50)。ステータス処理は、未回収印刷物や規制状態に関する情報を、第1及び第2のネットワーク3,4に接続される機器5の表示部8や、操作パネル13に表示させる処理を行う。ステータス処理の詳細については後述する。画像形成装置2は、これらの処理を定期的に繰り返す。
【0090】
次に、ジョブ受付処理(ステップS10)の詳細な処理手順について説明する。
図8乃至10は、ジョブ受付処理(ステップS10)の詳細は処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置2は、ジョブ受付処理を開始すると、プリントジョブを受信したか否かを確認する(ステップS101)。プリントジョブを受信していなければ(ステップS101でNO)、処理は、
図10中のステップS161に進む。プリントジョブを受信していれば(ステップS101でYES)、画像形成装置2は、当該ジョブが第1のジョブであるか否かを確認する(ステップS102)。第1のジョブは、第1のネットワーク3から受信するジョブである。第1のジョブでなければ(ステップS102でNO)、処理は
図9中のステップS130に進む。一方、第1のジョブであれば(ステップS102でYES)、画像形成装置2は、第1のジョブに関する状態Aを示す情報が「許可」を示す情報であるか否かを確認する(ステップS103)。
【0091】
ここで、状態Aとは、第1のジョブが規制対象であるか否かの状態を示すものである。尚、状態Bは第2のジョブが規制対象であるか否かの状態を示すものであり、状態Cは第3のジョブが規制対象であるか否かの状態を示すものである。本実施形態において、状態A,B,Cは、「許可」、「待機」、「予約」、「例外」、「初期」の5つに分類される。例えば状態Aが「許可」である場合は、第1のジョブの実行が許可される状態である。これは、第1のジョブに基づく印刷出力が開始された後、第1のジョブに基づく印刷物が回収されるまでの状態である。また、状態Aが「待機」である場合は、第1のジョブが待機させられる状態である。これは状態B又は状態Cが「許可」である状態である。また、状態Aが「予約」である場合は、第1のジョブが予約ジョブとして登録される状態である。これは、状態B又は状態Cが「許可」である状態である。「待機」と「許可」のどちらの状態が選択されるかは、規制設定情報33に基づいて決定される。次に、状態Aが「例外」である場合は、状態Aが「許可」となった後に所定時間以上経過しても第1のジョブに基づく印刷物が回収されないときに移行することがある状態である。状態Aが「例外」である場合には、第2のジョブ及び第3のジョブの実行が許可される。尚、第2のジョブは、第2のネットワーク4から受信するジョブであり、第3のジョブは、操作パネル13から投入されるジョブである。そして、状態Aが「初期」である場合は、他の状態「許可」、「待機」、「予約」、「例外」のいずれでもない状態であり、排紙トレイ6上に第1のジョブに基づく印刷物が存在しない状態である。尚、他の状態B,Cもこれと同様である。
【0092】
図8に戻り、状態Aが「許可」であれば(ステップS103でYES)、画像形成装置2は、第1のジョブを受け付けて(ステップS107)、当該ジョブを実行する(ステップS108)。その後、処理は
図10のステップS161に進む。一方、状態Aが「許可」でない場合(ステップS103でNO)、画像形成装置2は、状態Aが「初期」であるか否かを確認する(ステップS104)。状態Aが「初期」でなければ(ステップS104でNO)、処理は、
図10のステップS161に進む。一方、状態Aが「初期」であれば(ステップS104でYES)、画像形成装置2は、状態B又はCが「許可」であるか否かを確認する(ステップS105)。状態B又はCが「許可」でなければ(ステップS105でNO)、基本的には、排紙トレイ6上に第2のジョブ又は第3のジョブに基づく印刷物が存在しない。そのため、状態B又はCが「許可」でない場合(ステップS105でNO)、画像形成装置2は状態Aを「許可」にする(ステップS106)。その後、画像形成装置2は、第1のジョブを受け付けて(ステップS107)、当該ジョブを実行する(ステップS108)。その後、処理は、
図10のステップS161に進む。
【0093】
一方、ステップS105において、状態B又はCが「許可」であった場合(ステップS105でYES)、上述した第2又は第3の条件が成立するため、画像形成装置2は、規制設定情報33を参照して第1のジョブに対する規制方法を確認する(ステップS111)。規制方法が「待機」である場合(ステップS111で待機)、画像形成装置2は、第1のジョブを送信した機器5aに待機命令を送信する(ステップS112)。待機命令を送信する際に、ユーザーにジョブの送信を待機させるための待機通知を送信する。待機通知を受信した機器5aは表示部8に待機通知を表示する。
図11(a)は待機通知の一例を示す図である。待機通知G1は、ユーザーにジョブの送信を待機させるためのメッセージM1と、ユーザーが待機通知G1を非表示にする際に操作するボタンB1とを含んでいる。このような待機通知G1が機器5aの表示部8に表示されることで、第1の組織に属するユーザーはジョブの投入を待機するようになるのである。
【0094】
図8に戻り、待機命令を送信した後、画像形成装置2は、状態Aを「待機」にする(ステップS113)。次に画像形成装置2は、規制状態を解除した場合などに、第1のジョブを投入したユーザーが所持する機器5aに規制解除通知を行うために、ジョブのヘッダーなどに含まれる情報を解析してジョブを投入したユーザーを特定する(ステップS114)。そして処理は
図10のステップS161に進む。
【0095】
ステップS111において、第1のジョブに対する規制方法が「予約」である場合(ステップS111で予約)、画像形成装置2は状態Aを「予約」にする(ステップS121)。その後、画像形成装置2は、第1のジョブを予約ジョブとして受け付け(ステップS122)、予約通知を機器5aに送信する(ステップS123)。予約通知を受信した機器5aは、予約通知を表示部8に表示する。
図11(b)は、予約通知の一例を示す図である。予約通知G2は、予約ジョブとしてジョブを受け付けたことをユーザーに通知するメッセージM2と、ユーザーが操作するボタンB1及びB3とを備えている。ユーザーがボタンB3を操作して予約をキャンセルする操作を行った場合、機器5aは、予約がキャンセルされたことを画像形成装置2に通知する。
【0096】
図8に戻り、予約通知を送信した後、画像形成装置2は、予約がキャンセルされているかを確認する(ステップS124)。予約がキャンセルされていれば(ステップS124でYES)、この予約ジョブをメモリから削除し、第1のネットワーク3から受け付けた未実行の予約ジョブが他にあるか否かを確認する(ステップS125)。第1のネットワーク3から受け付けた未実行の予約ジョブが他になければ(ステップS125でNO)、画像形成装置2は、状態Aを「初期」にする(ステップS126)。そして処理は
図10のステップS161に進む。一方、第1のネットワーク3から受け付けた未実行の予約ジョブが他にあれば(ステップS125でYES)、画像形成装置2は、状態Aを「予約」のままにする。そして、処理は
図10のステップS161に進む。
【0097】
上述したステップS103~S126の処理は、受信したジョブが第1のジョブである場合の受付処理である。このような処理を行うことで、第1のジョブを受信したときに、第2又は第3のジョブに基づく印刷物が回収されていなければ第1のジョブの実行を規制し、互いに異なる組織のユーザーによって出力される複数の印刷物が排紙トレイ6上において混在した状態となることを抑制する。
【0098】
次に、受信したジョブが第2のジョブである場合の受付処理について説明する。
図9は、
図8に示すフローチャートの続きである。まず、画像形成装置2は、第2のジョブに関する状態Bを示す情報が「許可」を示す情報であるか否かを確認する(ステップS130)。状態Bが「許可」であれば(ステップS130でYES)、画像形成装置2は、第2のジョブを受け付けて(ステップS134)、当該ジョブを実行する(ステップS135)。その後、処理は
図10のステップS161に進む。一方、状態Bが「許可」でない場合(ステップS130でNO)、画像形成装置2は、状態Bが「初期」であるか否かを確認する(ステップS131)。状態Bが「初期」でなければ(ステップS131でNO)、処理は、
図10のステップS161に進む。一方、状態Bが「初期」であれば(ステップS131でYES)、画像形成装置2は、状態A又はCが「許可」であるか否かを確認する(ステップS132)。状態A又はCが「許可」でなければ(ステップS132でNO)、基本的には、排紙トレイ6上に第1のジョブ又は第3のジョブに基づく印刷物が存在しない。そのため、状態A又はCが「許可」でない場合(ステップS132でNO)、画像形成装置2は状態Bを「許可」にする(ステップS133)。その後、画像形成装置2は、第2のジョブを受け付けて(ステップS134)、当該ジョブを実行する(ステップS135)。その後、処理は、
図10のステップS161に進む。
【0099】
一方、ステップS132において、状態A又はCが「許可」であった場合(ステップS132でYES)、上述した第1又は第3の条件が成立するため、画像形成装置2は、規制設定情報33を参照して第2のジョブに対する規制方法を確認する(ステップS141)。規制方法が「待機」である場合(ステップS141で待機)、画像形成装置2は、第2のジョブを送信した機器5bに待機命令を送信する(ステップS142)。待機命令を送信する際に、ユーザーにジョブの送信を待機させるための待機通知を送信する。待機通知を受信した機器5bは表示部8に待機通知を表示する。待機通知G1が機器5bの表示部8に表示されることで、第2の組織に属するユーザーはジョブの投入を待機するようになるのである。待機命令を送信した後、画像形成装置2は、状態Bを「待機」にする(ステップS143)。次に画像形成装置2は、次に画像形成装置2は、規制状態を解除した場合などに、第2のジョブを投入したユーザーが所持する機器5bに規制解除通知を行うために、ジョブのヘッダーなどに含まれる情報を解析してジョブを投入したユーザーを特定する(ステップS144)。そして処理は
図10のステップS161に進む。
【0100】
ステップS141において、第2のジョブに対する規制方法が「予約」である場合(ステップS141で予約)、画像形成装置2は状態Bを「予約」にする(ステップS151)。その後、画像形成装置2は、第2のジョブを予約ジョブとして受け付け(ステップS152)、予約通知G2を機器5bに送信する(ステップS153)。予約通知G2を受信した機器5bは、予約通知G2を表示部8に表示する。予約通知G2を送信した後、画像形成装置2は、予約がキャンセルされているかを確認する(ステップS154)。予約がキャンセルされていれば(ステップS154でYES)、この予約ジョブをメモリから削除し、第2のネットワーク4から受け付けた未実行の予約ジョブが他にあるか否かを確認する(ステップS155)。第2のネットワーク4から受け付けた未実行の予約ジョブが他になければ(ステップS155でNO)、画像形成装置2は、状態Bを「初期」にする(ステップS156)。そして処理は
図10のステップS161に進む。一方、第2のネットワーク4から受け付けた未実行の予約ジョブが他にあれば(ステップS155でYES)、画像形成装置2は、状態Bを「予約」のままにする。そして、処理は
図10のステップS161に進む。
【0101】
以上のステップS130~S156の処理を行うことで、第2のジョブを受信したときに、第1又は第3のジョブに基づく印刷物が回収されていなければ第2のジョブの実行を規制し、互いに異なる組織のユーザーによって出力される複数の印刷物が排紙トレイ6上において混在した状態となることを抑制する。
【0102】
次に、受信したジョブが第3のジョブである場合の受付処理について説明する。
図10は、
図8及び
図9に示すフローチャートの続きである。まず、画像形成装置2は、第3のジョブが投入されたか否かを確認する(ステップS161)。第3のジョブが投入されていなければ(ステップS161でNO)、ジョブ受付処理(ステップS10)を終了する。一方、第3のジョブが投入されていれば(ステップS161でYES)、画像形成装置2は、第3のジョブに関する状態Cを示す情報が「初期」を示す情報であるか否かを確認する(ステップS162)。状態Cが「初期」でなければ(ステップS162でNO)、ジョブ受付処理(ステップS10)を終了する。一方、状態Cが「初期」であれば(ステップS162でYES)、画像形成装置2は、状態A又はBが「許可」であるか否かを確認する(ステップS163)。状態A又はBが「許可」でなければ(ステップS163でNO)、基本的には、排紙トレイ6上に第1のジョブ又は第2のジョブに基づく印刷物が存在しない。そのため、状態A又はBが「許可」でない場合(ステップS163でNO)、画像形成装置2は状態Cを「許可」にする(ステップS164)。その後画像形成装置2は、第3のジョブを受け付けて(ステップS165)、当該ジョブを実行する(ステップS166)。そして、ジョブ受付処理(ステップS10)を終了する。
【0103】
ステップS163において、状態A又はBが「許可」であった場合(ステップS163でYES)、上述した第1又は第2の条件が成立するため、画像形成装置2は、規制設定情報33を参照して第3のジョブに対する規制方法を確認する(ステップS171)。規制方法が「待機」である場合(ステップS171で待機)、画像形成装置2は、状態Cを「待機」にする(ステップS172)。そして、画像形成装置2は、操作パネル13に、待機通知G1を表示する(ステップS173)。そして、ジョブ受付処理(ステップS10)を終了する。
【0104】
ステップS171において、第3のジョブに対する規制方法が「予約」である場合(ステップS171で予約)、画像形成装置2は状態Cを「予約」にする(ステップS181)。その後、画像形成装置2は、第3のジョブを予約ジョブとして受け付け(ステップS182)、予約通知G2を操作パネル13に表示する(ステップS183)。第3のジョブを予約ジョブとして受け付ける場合、例えばコピージョブであれば、画像形成装置2は、原稿の読み取りを実行しておき、その後の印刷出力を予約ジョブとして受け付けるようにする。そうすることで、第3のジョブに対する規制状態が解除されると、予約ジョブに基づく印刷出力が早期に開始されるのである。
【0105】
そして画像形成装置2は、ユーザーによって予約がキャンセルされているかを確認する(ステップS184)。予約がキャンセルされていれば(ステップS184でYES)、この予約ジョブをメモリから削除し、操作パネル13を介して受け付けた未実行の予約ジョブが他にあるか否かを確認する(ステップS185)。操作パネル13を介して受け付けた未実行の予約ジョブが他になければ(ステップS185でNO)、画像形成装置2は、状態Cを「初期」にする(ステップS186)。そして処理はジョブ受付処理(ステップS10)を終了する。一方、操作パネル13を介して受け付けた未実行の予約ジョブが他にあれば(ステップS185でYES)、画像形成装置2は、状態Cを「予約」のままにする。そして、ジョブ受付処理(ステップS10)を終了する。
【0106】
以上のステップS161~S186の処理を行うことで、第3のジョブを受信したときに、第1又は第2のジョブに基づく印刷物が回収されていなければ第3のジョブの実行を規制し、互いに異なる組織のユーザーによって出力される複数の印刷物が排紙トレイ6上において混在した状態となることを抑制する。以上で、ジョブ受付処理(ステップS10)の説明を終了する。
【0107】
次に、回収検知処理(ステップS20)の詳細な処理手順について説明する。
図12は、回収検知処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置2は、回収検知処理を開始すると、状態Aが「許可」又は「例外」であるか否かを確認する(ステップS201)。状態Aが「許可」又は「例外」でない場合(ステップS201でNO)、処理はステップS211に進む。一方、状態Aが「許可」又は「例外」である場合(ステップS201でYES)、画像形成装置2は、印刷物が回収されたか否かを確認する(ステップS202)。すなわち、画像形成装置2は、用紙検知センサ14が印刷物の未回収状態を検知しているか否かを確認する。印刷物が回収されていない場合(ステップS202でNO)、処理はステップS211に進む。一方、印刷物が回収されている場合(ステップS202でYES)、画像形成装置2は状態Aを「初期」にする(ステップS203)。そして処理はステップS211に進む。
【0108】
次に、画像形成装置2は、状態Bが「許可」又は「例外」であるか否かを確認する(ステップS211)。状態Bが「許可」又は「例外」でない場合(ステップS211でNO)、処理はステップS221に進む。一方、状態Bが「許可」又は「例外」である場合(ステップS211でYES)、画像形成装置2は、印刷物が回収されたか否かを確認する(ステップS212)。すなわち、画像形成装置2は、用紙検知センサ14が印刷物の未回収状態を検知しているか否かを確認する。印刷物が回収されていない場合(ステップS212でNO)、処理はステップS221に進む。一方、印刷物が回収されている場合(ステップS212でYES)、画像形成装置2は状態Bを「初期」にする(ステップS213)。そして処理はステップS221に進む。
【0109】
次に、画像形成装置2は、状態Cが「許可」又は「例外」であるか否かを確認する(ステップS221)。状態Cが「許可」又は「例外」でない場合(ステップS221でNO)、回収検知処理(ステップS20)を終了する。一方、状態Cが「許可」又は「例外」である場合(ステップS221でYES)、画像形成装置2は、印刷物が回収されたか否かを確認する(ステップS222)。すなわち、画像形成装置2は、用紙検知センサ14が印刷物の未回収状態を検知しているか否かを確認する。印刷物が回収されていない場合(ステップS222でNO)、回収検知処理(ステップS20)を終了する。一方、印刷物が回収されている場合(ステップS222でYES)、画像形成装置2は状態Cを「初期」にする(ステップS223)。そして、回収検知処理(ステップS20)を終了する。以上で、回収検知処理(ステップS20)の説明を終了する。
【0110】
次に、催促処理(ステップS30)の詳細な処理手順について説明する。
図13は、催促処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置2は、催促処理を開始すると、状態Aが「許可」であるか否かを確認する(ステップS301)。状態Aが「許可」でない場合(ステップS301でNO)、処理は
図14のステップS331に進む。一方、状態Aが「許可」である場合(ステップS301でYES)、画像形成装置2は、状態B又はCが「待機」又は「予約」であるか否かを確認する(ステップS302)。状態B又はCが「待機」又は「予約」でない場合(ステップS302でNO)、処理は
図14のステップS331に進む。一方、状態B又はCが「待機」又は「予約」である場合(ステップS302でYES)、画像形成装置2は、対処設定情報34を参照して第1の催促の送信先を決定する(ステップS303)、第1の催促の送信先が第1のジョブを投入したユーザーである場合(ステップS303でユーザー)、画像形成装置2は、第1の催促を、第1のジョブを投入したユーザーが所持する機器5aに送信する(ステップS304)。一方、第1の催促の送信先が第1のネットワーク3に接続される全ての機器5aである場合(ステップS303で全員)、画像形成装置2は、第1の催促を第1のネットワーク3に接続される全ての機器5aに送信する(ステップS305)。第1の催促を受信した機器5aは、第1の催促を表示部8に表示する。
図16(a)は、機器5aの表示部8に表示される第1の催促G3の一例を示す図である。
図16(a)に示すように、第1の催促G3は、印刷物回収を催促するメッセージM3と、ユーザーが第1の催促G3を確認した際に操作され、操作に応じて第1の催促G3を非表示にするボタンB1とを含み、第1の催促G3を確認したユーザーに対して印刷物の回収を促す内容となっている。尚、このステップS303~S305の処理は、第1のジョブに基づく印刷物が出力された後、所定時間経過するまでは行わないようにしてもよい。
【0111】
図13に戻り、第1の催促G3を行った後、画像形成装置2は、第1の催促G3を行った後から所定時間経過するまでに印刷物が回収されたか否かを確認する(ステップS306)。所定時間内に印刷物が回収されている場合(ステップS306でNO)、処理は
図14のステップS331に進む。一方、所定時間経過後も印刷物が回収されていない場合(ステップS306でYES)、画像形成装置2は、対処設定情報34を参照して対処方法を決定する(ステップS307)。第1のジョブに対する対処方法が「第2の催促処理(ユーザー)」である場合(ステップS307でユーザーに催促)、画像形成装置2は、第1のジョブを投入したユーザーが所持する機器5aに第2の催促を送信する(ステップS308)。一方、第1のジョブに対する対処方法が「第2の催促処理(ネットワーク全員)」である場合(ステップS307で全員に催促)、画像形成装置2は、第1のネットワーク3に接続される全ての機器5aに第2の催促を送信する(ステップS309)。第2の催促を受信した機器5aは、第2の催促を表示部8に表示する。
【0112】
図16(b)は、機器5aの表示部8に表示される第2の催促G4の一例を示す図である。
図16(b)に示すように、第2の催促G4は、第1の催促G3に含まれるメッセージM3より、大きい文字で印刷物回収を強く催促するメッセージM4と、第1の催促G3には含まれない警告画像KGなどで構成される。また、
図16(b)に示すように、第1の催促G3とは異なり、第2の催促G4を非表示にするボタンB1を含まないようにしてもよい。ボタンB1を含まないことで、第2の催促G4を受けたユーザーが印刷物を回収するまで第2の催促G4を非表示にすることができなくなり、印刷物回収の強制力を強めることが可能となる。第2の催促G4は第1の催促G3と比べて、緊急性が高いことがユーザーに伝わるような形で行われ、第2の催促G4を確認したユーザーに対して印刷物の回収を至急に行わせる内容となっている。このような第2の催促G4を行うことで、ユーザーに早期に印刷物を回収させることで、早期に規制状態を解除することが可能になる。
【0113】
図13に戻り、画像形成装置2が第2の催促G4を行うと(ステップS308,S309)、処理は
図14のステップS331に進む。また、ステップS307において、第1のジョブに対する対処方法が「管理者」である場合(ステップS307で管理者)、画像形成装置2は、予め指定された通知先に、第1のジョブに基づく印刷物が回収されていないことを通知する(ステップS310)。そして処理は
図14のステップS331に進む。また、ステップS307において、第1のジョブに対する対処方法が「例外」である場合(ステップS307で例外)、画像形成装置2は、状態Aを「例外」にする(ステップS311)。状態Aを「例外」とすることで、「待機」又は「予約」状態にある第2又は第3のジョブの実行が可能となるのである。その後、処理はステップS321に進む。
【0114】
ステップS321において、画像形成装置2は、状態Bが「待機」又は「予約」であるか否かを確認する(ステップS321)。状態Bが「待機」又は「予約」である場合(ステップS321でYES)、画像形成装置2は、第1のジョブに基づく印刷物が残っていることを伝える注意通知を第2のジョブを投入したユーザーが所持する機器5bに送信する(ステップS322)。注意通知を受信した機器5bは、注意通知を表示部8に表示する。
図17は、機器5bの表示部8に表示される注意通知G5の一例を示す図である。
図17に示すように、注意通知G5には、待機ジョブ又は予約ジョブを実行することを通知すると共に、第1のネットワーク3から受信したジョブに基づく印刷物に注意して印刷物を回収する注意喚起を促すメッセージM5と、ユーザーが注意通知G5を確認した際に操作され、操作に応じて注意通知G5を非表示にするボタンB1とが含まれている。画像形成装置2は、このような注意通知G5を第2のジョブを投入したユーザーが所持する機器5bに送信することで、当該ユーザーに、第1のジョブに基づく印刷物に注意するように促すのである。尚、
図17では、状態Bが「予約」である場合の注意通知G5を例示した。これに対して状態Bが「待機」である場合の注意通知G5は、ジョブを受け付けることが可能なことをユーザーに通知すると共に、第1のネットワーク3から受信したジョブに基づく印刷物に注意して印刷物を回収する注意喚起を促すメッセージM5と、上述のボタンB1とを含むものになる。
【0115】
図13に戻り、画像形成装置2が注意通知G5を行うと(ステップS322)、処理は
図14のステップS331に進む。一方、ステップS321において、状態Bが「待機」又は「予約」でない場合(ステップS321でNO)、画像形成装置2は、状態Cが「待機」であるか否かを確認する(ステップS323)。状態Cが「待機」である場合(ステップS323でYES)、画像形成装置2は、待機状態を解除することと、第1のジョブに基づく印刷物に注意することをユーザーに通知する注意通知G5を操作パネル13に表示させる(ステップS324)。そして、処理は
図14のステップS331に進む。一方、状態Cが「待機」でない場合(ステップS323でNO)、画像形成装置2は、状態Cが「予約」であるか否かを確認する(ステップS325)。状態Cが「予約」でない場合(ステップS325でNO)、処理は
図14のステップS331に進む。一方、状態Cが「予約」である場合(ステップS325でYES)、画像形成装置2は、予約ジョブを実行することと、第1のジョブに基づく印刷物に注意することをユーザーに通知する注意通知G5を操作パネル13に表示させる(ステップS326)。このとき、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5に、注意通知G5を送信するようにしてもよい。注意通知G5を受信した機器5は、注意通知G5を表示部8に表示する。そして処理は
図14のステップS331に進む。
【0116】
上述したステップS301~S326は、第1のジョブに基づく印刷物が未回収である場合に行われる処理である。このような催促処理を行うことにより、第2又は第3のジョブを投入したユーザーが、画像形成装置2を利用できないといった事態を防止するのである。
【0117】
次に、第2のジョブに基づく印刷物が未回収である場合に行われる催促処理について説明する。
図14は、
図13に示すフローチャートの続きである。まず、画像形成装置2は、状態Bが「許可」であるか否かを確認する(ステップS331)。状態Bが「許可」でない場合(ステップS331でNO)、処理は
図15のステップS361に進む。一方、状態Bが「許可」である場合(ステップS331でYES)、画像形成装置2は、状態A又はCが「待機」又は「予約」であるか否かを確認する(ステップS332)。状態A又はCが「待機」又は「予約」でない場合(ステップS332でNO)、処理は
図15のステップS361に進む。一方、状態A又はCが「待機」又は「予約」である場合(ステップS332でYES)、画像形成装置2は、対処設定情報34を参照して第1の催促G3の送信先を決定する(ステップS333)、第1の催促G3の送信先が第2のジョブを投入したユーザーである場合(ステップS333でユーザー)、画像形成装置2は、第1の催促G3を、第2のジョブを投入したユーザーが所持する機器5bに送信する(ステップS334)。一方、第1の催促G3の送信先が第2のネットワーク4に接続される全ての機器5bである場合(ステップS333で全員)、画像形成装置2は、第1の催促G3を第2のネットワーク4に接続される全ての機器5bに送信する(ステップS335)。第1の催促G3を受信した機器5bは、第1の催促G3を表示部8に表示する。尚、このステップS333~S335の処理は、第2のジョブに基づく印刷物が出力された後、所定時間経過するまでは行わないようにしてもよい。
【0118】
第1の催促G3を行った後、画像形成装置2は、第1の催促G3を行った後から所定時間経過するまでに印刷物が回収されたか否かを確認する(ステップS336)。所定時間内に印刷物が回収されている場合(ステップS336でNO)、処理は
図15のステップS361に進む。一方、所定時間経過後も印刷物が回収されていない場合(ステップS336でYES)、画像形成装置2は、対処設定情報34を参照して対処方法を決定する(ステップS337)。第2のジョブに対する対処方法が「第2の催促処理(ユーザー)」である場合(ステップS337でユーザーに催促)、画像形成装置2は、第2のジョブを投入したユーザーが所持する機器5bに第2の催促G4を送信する(ステップS338)。一方、第2のジョブに対する対処方法が「第2の催促処理(ネットワーク全員)」である場合(ステップS337で全員に催促)、画像形成装置2は、第2のネットワーク4に接続される全ての機器5bに第2の催促G4を送信する(ステップS339)。第2の催促G4を受信した機器5bは、第2の催促G4を表示部8に表示する。画像形成装置2が第2の催促G4を行うと(ステップS338,S339)、処理は
図15のステップS361に進む。
【0119】
一方、ステップS337において、第2のジョブに対する対処方法が「管理者」である場合(ステップS337で管理者)、画像形成装置2は、予め指定された通知先に、第2のジョブに基づく印刷物が回収されていないことを通知する(ステップS340)。そして処理は
図15のステップS361に進む。また、ステップS337において、第2のジョブに対する対処方法が「例外」である場合(ステップS337で例外)、画像形成装置2は、状態Bを「例外」にする(ステップS341)。状態Bを「例外」とすることで、「待機」又は「予約」状態にある第1又は第3のジョブの実行が可能となるのである。その後、処理はステップS351に進む。
【0120】
ステップS351において、画像形成装置2は、状態Aが「待機」又は「予約」であるか否かを確認する(ステップS351)。状態Aが「待機」又は「予約」である場合(ステップS351でYES)、画像形成装置2は、第2のジョブに基づく印刷物が残っていることを伝える注意通知G5を第1のジョブを投入したユーザーが所持する機器5aに送信する(ステップS352)。注意通知G5を受信した機器5aは、注意通知G5を表示部8に表示する。そして、処理は
図15のステップS361に進む。
【0121】
一方、ステップS351において、状態Aが「待機」又は「予約」でない場合(ステップS351でNO)、画像形成装置2は、状態Cが「待機」であるか否かを確認する(ステップS353)。状態Cが「待機」である場合(ステップS353でYES)、画像形成装置2は、待機状態を解除することと、第2のジョブに基づく印刷物に注意することをユーザーに通知する注意通知G5を操作パネル13に表示させる(ステップS354)。そして、処理は
図15のステップS361に進む。一方、状態Cが「待機」でない場合(ステップS353でNO)、画像形成装置2は、状態Cが「予約」であるか否かを確認する(ステップS355)。状態Cが「予約」でない場合(ステップS355でNO)、処理は
図15のステップS361に進む。一方、状態Cが「予約」である場合(ステップS355でYES)、画像形成装置2は、予約ジョブを実行することと、第2のジョブに基づく印刷物に注意することをユーザーに通知する注意通知G5を操作パネル13に表示させる(ステップS356)。このとき、このとき、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5に、注意通知G5を送信するようにしてもよい。注意通知G5を受信した機器5は、注意通知G5を表示部8に表示する。そして処理は
図15のステップS361に進む。
【0122】
上述したステップS331~S356は、第2のジョブに基づく印刷物が未回収である場合に行われる処理である。このような催促処理を行うことにより、第1又は第3のジョブを投入したユーザーが、画像形成装置2を利用できないといった事態を防止するのである。
【0123】
次に、第3のジョブに基づく印刷物が未回収である場合に行われる催促処理について説明する。
図15は、
図14に示すフローチャートの続きである。まず、画像形成装置2は、状態Cが「許可」であるか否かを確認する(ステップS361)。状態Cが「許可」でない場合(ステップS361でNO)、催促処理(ステップS30)を終了する。一方、状態Cが「許可」である場合(ステップS361でYES)、画像形成装置2は、状態A又はBが「待機」又は「予約」であるか否かを確認する(ステップS362)。状態A又はBが「待機」又は「予約」でない場合(ステップS362でNO)、催促処理(ステップS30)を終了する。一方、状態A又はBが「待機」又は「予約」である場合(ステップS362でYES)、画像形成装置2は、対処設定情報34を参照して第1の催促G3を行う対象を決定する(ステップS363)。第1の催促G3を操作パネル13に表示する場合(ステップS363でパネル)、画像形成装置2は、第1の催促G3を操作パネル13に表示する(ステップS364)。一方、第1の催促G3が、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5に送信される場合(ステップS363で全員)、画像形成装置2は、第1の催促G3を、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5に送信する(ステップS365)。第1の催促G3を受信した機器5は、第1の催促G3を表示部8に表示する。尚、このステップS363~S365の処理は、第3のジョブに基づく印刷物が出力された後、所定時間経過するまでは行わないようにしてもよい。
【0124】
第1の催促G3を行った後、画像形成装置2は、第1の催促G3を行った後から所定時間経過するまでに印刷物が回収されたか否かを確認する(ステップS366)。所定時間内に印刷物が回収されている場合(ステップS366でNO)、催促処理(ステップS30)を終了する。一方、所定時間経過後も印刷物が回収されていない場合(ステップS366でYES)、画像形成装置2は、対処設定情報34を参照して対処方法を決定する(ステップS367)。第3のジョブに対する対処方法が「第2の催促(パネル)」である場合(ステップS367でパネルで催促)、画像形成装置2は、第2の催促G4を操作パネル13に表示する(ステップS368)。一方、第3のジョブに対する対処方法が「第2の催促(ネットワーク全員)」である場合(ステップS367で全員に催促)、画像形成装置2は、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5に、第2の催促G4を送信する(ステップS369)。第2の催促G4を受信した機器5は、第2の催促G4を表示部8に表示する。画像形成装置2は第2の催促G4を行うと(ステップS368,S369)、催促処理(ステップS30)を終了する。
【0125】
一方、ステップS367において、第3のジョブに対する対処方法が「管理者」である場合(ステップS367で管理者)、画像形成装置2は、予め指定された通知先に、第3のジョブに基づく印刷物が回収されていないことを通知する(ステップS370)。そして催促処理(ステップS30)を終了する。また、ステップS367において、第3のジョブに対する対処方法が「例外」である場合(ステップS367で例外)、画像形成装置2は、状態Cを「例外」にする(ステップS371)。状態Cを「例外」とすることで、「待機」又は「予約」状態にある第1又は第2のジョブの実行が可能となるのである。その後、処理はステップS381に進む。
【0126】
ステップS381において、画像形成装置2は、状態Aが「待機」又は「予約」であるか否かを確認する(ステップS381)。状態Aが「待機」又は「予約」である場合(ステップS381でYES)、画像形成装置2は、第3のジョブに基づく印刷物が残っていることを伝える注意通知G5を第1のジョブを投入したユーザーが所持する機器5aに送信する(ステップS382)。注意通知G5を受信した機器5aは、注意通知G5を表示部8に表示する。そして、催促処理(ステップS30)を終了する。
【0127】
一方、ステップS381において、状態Aが「待機」又は「予約」でない場合(ステップS381でNO)、画像形成装置2は、状態Bが「待機」又は「予約」であるか否かを確認する(ステップS383)。状態Bが「待機」又は「予約」でない場合(ステップS383でNO)、催促処理(ステップS30)を終了する。一方、状態Bが「待機」又は「予約」である場合(ステップS383でYES)、画像形成装置2は、第3のジョブに基づく印刷物が残っていることを伝える注意通知G5を第2のジョブを投入したユーザーが所持する機器5bに送信する(ステップS384)。注意通知G5を受信した機器5bは、注意通知G5を表示部8に表示する。そして、催促処理(ステップS30)を終了する。
【0128】
上述したステップS361~S384は、第3のジョブに基づく印刷物が未回収である場合に行われる処理である。このような催促処理を行うことにより、第1又は第2のジョブを投入したユーザーが、画像形成装置2を利用できないといった事態を防止するのである。
【0129】
次に、待機予約処理(ステップS40)の詳細な処理手順について説明する。
図18は、待機予約処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置2は、待機予約処理を開始すると、まず状態Aが「待機」であるか否かを確認する(ステップS401)。状態Aが「待機」である場合(ステップS401でYES)、画像形成装置2は、状態B又はCが「初期」又は「例外」であるか否かを確認する(ステップS402)。状態B又はCが「初期」又は「例外」でない場合(ステップS402でNO)、処理はステップS421に進む。一方、状態B又はCが「初期」又は「例外」である場合(ステップS402でYES)、画像形成装置2は状態Aを「初期」にする(ステップS403)。すなわち、画像形成装置2は、待機させていた第1のジョブを受け付けることができる状態にする。そして画像形成装置2は、第1のネットワーク3に接続される機器5aに規制解除通知を送信する(ステップS404)。そして処理はステップS421に進む。
【0130】
一方、ステップS401において、状態Aが「待機」でない場合(ステップS401でNO)、画像形成装置2は状態Aが「予約」であるか否かを確認する(ステップS411)。状態Aが「予約」でなければ(ステップS411でNO)、処理はステップS421に進む。一方、状態Aが「予約」である場合、(ステップS411でYES)、画像形成装置2は、状態B又はCが「初期」又は「例外」であるか否かを確認する(ステップS412)。状態B又はCが「初期」又は「例外」でない場合(ステップS412でNO)、処理はステップS421に進む。一方、状態B又はCが「初期」又は「例外」である場合(ステップS412でYES)、画像形成装置2は、画像形成装置2は状態Aを「許可」にする(ステップS413)。そして画像形成装置2は、予約ジョブの実行及び実行通知を機器5aに送信する(ステップS414)。その後、処理はステップS221に進む。
【0131】
上述したステップS401~S414は、第1のジョブが規制対象である場合に行われる処理である。ステップS401~S414の処理により、第1のジョブの実行が規制されている場合には、待機又は予約されている第1のジョブの実行は行われない。そのため、互いに異なる組織のユーザーによって出力される複数の印刷物が排紙トレイ6上において混在した状態となることが抑制される。また、第1のジョブに対する規制状態が解除されると、待機又は予約されている第1のジョブの実行が速やかに行われるため、第1のジョブを投入したユーザーの利便性も損なわない。
【0132】
次に、第2のジョブが規制対象である場合に行われる処理について説明する。画像形成装置2は、状態Bが「待機」であるか否かを確認する(ステップS421)。状態Bが「待機」である場合(ステップS421でYES)、画像形成装置2は、状態A又はCが「初期」又は「例外」であるか否かを確認する(ステップS422)。状態A又はCが「初期」又は「例外」でない場合(ステップS422でNO)、処理はステップS441に進む。一方、状態A又はCが「初期」又は「例外」である場合(ステップS422でYES)、画像形成装置2は状態Bを「初期」にする(ステップS423)。すなわち、画像形成装置2は、待機させていた第2のジョブを受け付けることができる状態にする。そして画像形成装置2は、第2のネットワーク4に接続される機器5bに規制解除通知を送信する(ステップS424)。そして処理はステップS441に進む。
【0133】
一方、ステップS421において、状態Bが「待機」でない場合(ステップS421でNO)、画像形成装置2は状態Bが「予約」であるか否かを確認する(ステップS431)。状態Bが「予約」でなければ(ステップS431でNO)、処理はステップS441に進む。一方、状態Bが「予約」である場合、(ステップS431でYES)、画像形成装置2は、状態A又はCが「初期」又は「例外」であるか否かを確認する(ステップS432)。状態A又はCが「初期」又は「例外」でない場合(ステップS432でNO)、処理はステップS441に進む。一方、状態A又はCが「初期」又は「例外」である場合(ステップS432でYES)、画像形成装置2は、画像形成装置2は状態Bを「許可」にする(ステップS433)。そして画像形成装置2は、予約ジョブの実行及び実行通知を機器5bに送信する(ステップS434)。その後、処理はステップS241に進む。
【0134】
上述したステップS421~S434は、第2のジョブが規制対象である場合に行われる処理である。ステップS421~S434の処理により、第2のジョブの実行が規制されている場合には、待機又は予約されている第2のジョブの実行は行われない。そのため、互いに異なる組織のユーザーによって出力される複数の印刷物が排紙トレイ6上において混在した状態となることが抑制される。また、第2のジョブに対する規制状態が解除されると、待機又は予約されている第2のジョブの実行が速やかに行われるため、第2のジョブを投入したユーザーの利便性も損なわない。
【0135】
次に、第3のジョブが規制対象である場合に行われる処理について説明する。画像形成装置2は、状態Cが「待機」であるか否かを確認する(ステップS441)。状態Cが「待機」である場合(ステップS441でYES)、画像形成装置2は、状態A又はBが「初期」又は「例外」であるか否かを確認する(ステップS442)。状態A又はBが「初期」又は「例外」でない場合(ステップS442でNO)、待機予約処理(ステップS40)を終了する。一方、状態A又はBが「初期」又は「例外」である場合(ステップS442でYES)、画像形成装置2は状態Cを「初期」にする(ステップS443)。すなわち、画像形成装置2は、待機させていた第3のジョブを受け付けることができる状態にする。そして画像形成装置2は、操作パネル13に規制解除通知を表示する(ステップS444)。そして待機予約処理(ステップS40)を終了する。
【0136】
一方、ステップS441において、状態Cが「待機」でない場合(ステップS441でNO)、画像形成装置2は状態Cが「予約」であるか否かを確認する(ステップS451)。状態Cが「予約」でなければ(ステップS451でNO)、待機予約処理(ステップS40)を終了する。一方、状態Cが「予約」である場合、(ステップS451でYES)、画像形成装置2は、状態A又はBが「初期」又は「例外」であるか否かを確認する(ステップS452)。状態A又はBが「初期」又は「例外」でない場合(ステップS452でNO)、待機予約処理(ステップS40)を終了する。一方、状態A又はBが「初期」又は「例外」である場合(ステップS452でYES)、画像形成装置2は、画像形成装置2は状態Cを「許可」にする(ステップS453)。そして画像形成装置2は、予約ジョブを実行し(ステップS454)、待機予約処理(ステップS40)を終了する。
【0137】
上述したステップS441~S454は、第3のジョブが規制対象である場合に行われる処理である。ステップS441~S454の処理により、第3のジョブの実行が規制されている場合には、待機又は予約されている第3のジョブの実行は行われない。そのため、互いに異なる組織のユーザーによって出力される複数の印刷物が排紙トレイ6上において混在した状態となることが抑制される。また、第3のジョブに対する規制状態が解除されると、待機又は予約されている第3のジョブの実行が速やかに行われるため、第3のジョブを投入したユーザーの利便性も損なわない。以上で、待機予約処理(ステップS40)の説明を終了する。
【0138】
次に、ステータス処理(ステップS50)の詳細な処理手順について説明する。
図19は、ステータス処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置2は、ステータス処理を開始すると、排紙トレイ6上に印刷物が存在するか否かを確認する(ステップS501)。排紙トレイ6上に印刷物が存在しない場合(ステップS501でNO)、機器5の表示部8又は操作パネル13に表示されるステータス通知の内容を更新する(ステップS510)。この更新によって、ステータス通知は、ユーザーに対して印刷物が存在しない状態であることを示すものになる。そして画像形成装置2は、印刷物が存在しない状態であることを示すステータス通知を、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5a,5bに送信する(ステップS511)。機器5a,5bは、受信したステータス通知を表示部8に表示する。印刷物が存在しない状態であることを示すステータス通知をユーザーが確認することで、ユーザーは排紙トレイ6上に印刷物が存在しない状態であることを知ることができる。そして画像形成装置2は、印刷物が存在しない状態であることを示すステータス通知を操作パネル13に表示する(ステップS512)。そしてステータス処理(ステップS50)を終了する。尚、ステップS511及びS512における印刷物が存在しない状態であることを示すステータス通知は、行われないものとしても構わない。
【0139】
一方、ステップS501において、排紙トレイ6上に印刷物が存在する場合(ステップS501でYES)、画像形成装置2は、状態Aが「許可」又は「例外」であるか否かを確認する(ステップS502)。状態Aが「許可」又は「例外」でない場合(ステップS502でNO)、処理はステップS504に進む。一方、状態Aが「許可」又は「例外」である場合(ステップS502でYES)、機器5の表示部8又は操作パネル13に表示されるステータス通知の内容を更新する(ステップS503)。この更新によって、ステータス通知は、第1のジョブに基づく印刷物が排紙トレイ6上に存在する状態であることを示すものになる。このとき、第1のジョブは実行可能であることや、第2及び第3のジョブの実行が規制されることや、第2及び第3のジョブに対する規制方法などを併せて示すステータス通知に更新されてもよい。
【0140】
次に、画像形成装置2は、状態Bが「許可」又は「例外」であるか否かを確認する(ステップS504)。状態Bが「許可」又は「例外」でない場合(ステップS504でNO)、処理はステップS506に進む。一方、状態Bが「許可」又は「例外」である場合(ステップS504でYES)、機器5の表示部8又は操作パネル13に表示されるステータス通知の内容を更新する(ステップS505)。この更新によって、ステータス通知は、第2のジョブに基づく印刷物が排紙トレイ6上に存在する状態であることを示すものになる。このとき、第2のジョブは実行可能であることや、第1及び第3のジョブの実行が規制されることや、第1及び第3のジョブに対する規制方法などを併せて示すステータス通知に更新されてもよい。尚、例えばステップS503において、ステータス通知が第1のジョブに基づく印刷物が排紙トレイ6上に存在する状態であることを示すものに更新されている場合、ステータス通知は、第1のジョブに基づく印刷物及び第2のジョブに基づく印刷物が排紙トレイ6に存在することを示すものに更新される。
【0141】
次に、画像形成装置2は、状態Cが「許可」又は「例外」であるか否かを確認する(ステップS506)。状態Cが「許可」又は「例外」でない場合(ステップS506でNO)、処理はステップS508に進む。一方、状態Cが「許可」又は「例外」である場合(ステップS506でYES)、機器5の表示部8又は操作パネル13に表示されるステータス通知の内容を更新する(ステップS507)。この更新によって、ステータス通知は、第3のジョブに基づく印刷物が排紙トレイ6上に存在する状態であることを示すものになる。このとき、第3のジョブは実行可能であることや、第1及び第2のジョブの実行が規制されることや、第1及び第2のジョブに対する規制方法などを併せて示すステータス通知に更新されてもよい。尚、例えばステップS503において、ステータス通知が第1のジョブに基づく印刷物が排紙トレイ6上に存在する状態であることを示すものに更新されている場合、ステータス通知は、第1のジョブに基づく印刷物及び第3のジョブに基づく印刷物が排紙トレイ6に存在することを示すものに更新される。
【0142】
そして画像形成装置2は、第1乃至第3のうちのいずれかのジョブに基づく印刷物が存在する状態であることを示すステータス通知を、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5a,5bに送信する(ステップS508)。機器5a,5bは、受信したステータス通知を表示部8に表示する。
図20(a)は、機器5の表示部8に表示されるステータス通知の一例を示す図である。
図20(a)に示すようなステータス通知G6は、ステータス通知G6を受信した機器5の表示部8に表示される。例えば、ステータス通知G6は、第1のジョブに基づく印刷物が未回収であることを通知するメッセージM6を含む。さらに、ステータス通知G6は、第1のジョブは実行可能であることと、第2及び第3のジョブに対する規制方法とを通知するメッセージM7を含む。このようなステータス通知G6が第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5a,5bに送信されることで、ユーザーは、第1のジョブに基づく印刷物が未回収であることや、ジョブの実行規制の詳細について知ることができるのである。
【0143】
次に、画像形成装置2は、第1乃至第3のうちのいずれかのジョブに基づく印刷物が存在する状態であることを示すステータス通知G6を操作パネル13に表示する(ステップS509)。
図20(b)は、画像形成装置2の操作パネル13に表示されるステータス通知G6の一例を示す図である。例えば、ステータス通知G6は、第1のジョブに基づく印刷物が未回収であることを通知するメッセージM6を含む。さらに、ステータス通知G6は、第1のジョブは実行可能であることと、第2及び第3のジョブに対する規制方法とを通知するメッセージM7を含む。このようなステータス通知G6が操作パネル13に表示されることで、ユーザーは、第1のジョブに基づく印刷物が未回収であることや、ジョブの実行規制の詳細について知ることができるのである。画像形成装置2は、操作パネル13にステータス通知G6を表示した後、ステータス処理(ステップS50)を終了する。以上で、ステータス処理(ステップS50)の説明を終了する。
【0144】
上述のように、画像形成装置2は、第1のネットワーク3及び第2のネットワーク4のうちの一方から受信したジョブに基づく印刷出力が開始された後、用紙検知センサ14によって印刷物が未回収状態であることが検知されている期間において、第1のネットワーク3及び第2のネットワーク4のうちの他方から受信するジョブの実行を規制する構成である。このような画像形成装置2は、互いに異なる複数の組織による共有を可能としつつ、異なる組織のユーザーに印刷物が見られてしまうことを抑制することで、秘密情報が他のお組織のユーザーに流出してしまうことを防止することが可能である。
【0145】
尚、本実施形態では、第3のジョブに基づく印刷物が未回収状態である場合に、第1及び第2のネットワーク3,4のそれぞれに接続される全ての機器5に印刷物回収の催促を行う場合を例示した。しかし、これに限られるものではない。例えば、コピージョブを投入しようとするユーザーに対して、第1のネットワーク3のユーザーであるのか、第2のネットワーク4のユーザーであるのかを選択させる操作ボタンを操作パネル13に表示させてもよい。すなわち、コピージョブを投入するユーザーに対して、第1及び第2の組織のいずれのユーザーであるのかを選択させる。このような操作ボタンが操作されて、コピージョブを投入したユーザーがどちらのネットワークのユーザーであるのかが判断できれば、第3のジョブに基づく印刷物が未回収状態である場合に、そのユーザーが利用するネットワークに接続される全ての機器5に対して印刷物回収の催促を行うようにできる。このようにコピージョブを投入したユーザーが属する組織が特定できれば、他の組織のユーザーに印刷物回収の催促を行わずに済み、他の組織のユーザーに印刷物が見られてしまう危険性を低減することが可能になる。
【0146】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、ユーザーが操作パネル13を操作することによりコピージョブなどを投入する際に、ユーザー認証を行い、ユーザー及びユーザーが利用するネットワークを特定する画像形成装置2について説明する。
【0147】
図21は、本実施形態の画像形成装置2のハードウェア構成及び機能構成の一例を示す図である。画像形成装置2は、そのハードウェア構成として、第1実施形態において説明した構成の他にカードリーダー15を備えている。
【0148】
カードリーダー15は、ユーザーの所持するICカードからユーザーIDなどの認証情報を読み取る装置である。画像形成装置2は、カードリーダー15によって読み取られる認証情報に基づいてユーザーを特定するための認証処理を行い、その認証処理によってユーザーを特定することができた場合に、操作パネル13に対するユーザーの操作を受け付ける。このような認証処理を行うことにより、画像形成装置2は、コピージョブを実行するときに、第1のネットワーク3を利用する第1の組織と第2のネットワーク4を利用する第2の組織のうちのいずれの組織のユーザーによる操作であるかを把握することができる。カードリーダー15は、そのような認証処理のための認証情報を取得するための装置であり、例えば操作パネル13の近傍位置に配置される。
【0149】
記憶部19は、第1実施形態において説明したプログラム及びデータに加えて、第1のユーザー情報31と、第2のユーザー情報32とが記憶されている。
【0150】
第1のユーザー情報31は、例えば第1の組織のユーザーに関する情報を登録した情報である。例えば、第1のユーザー情報31には、第1のネットワーク3を介して画像形成装置2を利用するユーザーのユーザーIDなどが予め登録される。
図22(a)は、第1のユーザー情報31の一例を示す図である。第1のユーザー情報31には、第1の組織に所属しているユーザーに関する情報であって、ユーザーID31a、IPアドレス31b、メールアドレス31c、出力枚数31dなどの情報が予め登録された情報である。ユーザーID31aの欄には、ユーザーごとに付与されるユニークな識別情報が登録される。IPアドレス31bの欄には、各ユーザーが使用する機器5aのIPアドレスが登録される。メールアドレス31cの欄には、各ユーザーの電子メールアドレスが登録される。さらに、出力枚数31dは、各ユーザーが画像形成装置2を使用して印刷出力した出力枚数が登録される。この出力枚数31dは、例えばユーザーごとに、或いは、組織毎に課金を行うために利用される情報である。
【0151】
第2のユーザー情報32は、例えば第2の組織のユーザーに関する情報を登録した情報である。例えば、第2のユーザー情報32には、第2のネットワーク4を介して画像形成装置2を利用するユーザーのユーザーIDなどが予め登録される。
図22(b)は、第2のユーザー情報32の一例を示す図である。第2のユーザー情報32には、第2の組織に所属しているユーザーに関する情報であって、ユーザーID32a、IPアドレス32b、メールアドレス32c、出力枚数32dなどの情報が予め登録された情報である。ユーザーID32aの欄には、ユーザーごとに付与されるユニークな識別情報が登録される。IPアドレス32bの欄には、各ユーザーが使用する機器5aのIPアドレスが登録される。メールアドレス32cの欄には、各ユーザーの電子メールアドレスが登録される。さらに、出力枚数32dは、各ユーザーが画像形成装置2を使用して印刷出力した出力枚数が登録される。この出力枚数31dは、例えばユーザーごとに、或いは、組織毎に課金を行うために利用される情報である。
【0152】
対処設定情報34は、第1実施形態で説明したように、排紙トレイ6上に印刷物が放置され、ジョブの実行が規制されている状態(規制状態)において、待機又は予約ジョブがある場合に参照される情報であり、早期に規制状態を解除するために画像形成装置2が行うべき処理が予め登録された情報である。本実施形態の対処設定情報34は、印刷物が放置された状態となっているジョブ34aがコピージョブである場合の、第1の催促及び第2の催促が行われる対象として、コピージョブを投入したユーザーが所持する機器5又はコピージョブを投入したユーザーが利用するネットワークに接続される全ての機器5を設定可能である。本実施形態の画像形成装置2は、ユーザーが操作パネル13を操作することによりコピージョブなどを投入する際に、ユーザー認証を行い、ユーザー及びユーザーが利用するネットワークを特定することが可能であるからである。
【0153】
次に、本実施形態の制御部20の詳細について説明する。制御部20が、ジョブ受付部21、ユーザー特定部22、規制部23、通知生成部24、通知送信部25及びジョブ制御部26として機能する点は、第1実施形態で説明した通りである。以下、本実施形態における、ジョブ受付部21、ユーザー特定部22、通知送信部25及びジョブ制御部26の詳細について説明する。
【0154】
ジョブ受付部21は、第1実施形態で説明したように、画像形成装置2を使用するユーザーによって発行されるジョブを受け付ける処理部である。例えば、ユーザーが操作パネル13を操作してコピージョブの実行を指示する場合、ユーザーは、自身が所持しているICカードをカードリーダー15にセットし、操作パネル13に対して認証指示を行う。ジョブ受付部21は、その認証指示に基づいてカードリーダー15から認証情報を取得してユーザー認証を行う。このとき、ジョブ受付部21は、第1のユーザー情報31又は第2のユーザー情報32を参照し、カードリーダー15から取得した認証情報に一致するユーザーIDが第1のユーザー情報31又は第2のユーザー情報32に登録されているか否かを判断する。その結果、カードリーダー15から取得した認証情報に一致するユーザーIDが第1のユーザー情報31又は第2のユーザー情報32に登録されていれば、認証成功と判断し、ジョブ受付部21は、操作パネル13に対するユーザーの操作に基づいてコピージョブを受け付ける。
【0155】
ジョブ制御部26は、第1実施形態で説明したように、画像形成装置2におけるジョブの実行を制御する処理部である。本実施形態のジョブ制御部26は、第1実施形態において説明した処理に加えて、プリンタ部17によって1枚の印刷物が出力される度に、第1のユーザー情報31又は第2のユーザー情報32におけるジョブ投入ユーザーの出力枚数31d,32dの値に1をインクリメントし、第1のユーザー情報31又は第2のユーザー情報32を更新する。これにより、画像形成装置2は、各組織の出力枚数を定期的に集計して各組織への課金処理を行うことができるようになる。
【0156】
ユーザー特定部22は、第1実施形態で説明したように、ジョブ受付部21によってジョブが受け付けられた場合に、そのジョブを投入したユーザーを特定する処理部である。また、ジョブ受付部21が操作パネル13に対する操作に基づいてコピージョブを受け付けた場合、本実施形態のユーザー特定部22は、ジョブ受付部21がカードリーダー15から取得した情報に基づいてジョブを投入したユーザーを特定する。ユーザー特定部22は、第1のユーザー情報31又は第2のユーザー情報32を参照することにより、ジョブを投入したユーザーが第1及び第2のネットワーク3,4のいずれのユーザーであるかを特定する。
【0157】
通知送信部25は、第1実施形態で説明したように、通知生成部24によって生成される通知や命令などを、ユーザーが所持する機器5へ送信する処理部である。本実施形態の通知送信部25は、第1実施形態で説明した各通知を、コピージョブを投入したユーザーが所持する機器5や、コピージョブを投入したユーザーが利用するネットワークに接続される全ての機器5に送信することが可能である。
【0158】
このように本実施形態の画像形成装置2は、排紙トレイ6上にコピージョブに基づく印刷物が放置されている状態のとき、コピージョブを投入したユーザーや、コピージョブを投入したユーザーと同じ組織に属するユーザーに対し、印刷物回収の催促を行うことで早期に印刷物を回収させることができる。また、排紙トレイ6上にコピージョブに基づく印刷物が放置されている状態のとき、コピージョブを投入したユーザーが属する組織と異なる組織のユーザーに印刷物回収の催促を行わないため、印刷物を他の組織のユーザーに見られる危険性が低下する。また、コピージョブが予約ジョブとして受け付けられた場合に、コピージョブを投入したユーザーが所持する機器5に対して、第1実施形態で説明した注意通知G5や予約ジョブの実行通知を送信することが可能である。この場合、コピージョブを投入したユーザーが所持する機器5の表示部8に注意通知G5や実行通知が表示されるため、コピージョブを投入したユーザーは、予約ジョブとして受け付けられたコピージョブの実行完了を画像形成装置2の近傍で待つ必要がないという利点がある。
【0159】
また、本実施形態の画像形成装置2は、コピージョブを投入するユーザー及びコピージョブを投入するユーザーが利用するネットワークを特定する。すなわち、コピージョブを投入するユーザーが、第1及び第2の組織のいずれに所属するユーザーであるのかを特定することが可能である。そのため、例えば、第1のネットワーク3から受信するジョブに基づく印刷物が放置されている場合であっても、第1のネットワークを利用するユーザー、すなわち第1の組織に属するユーザーによって投入されるコピージョブの実行を規制しないようにすることができる。第1実施形態で説明した画像形成装置2は、第1のネットワーク3から受信するジョブ(第1のジョブ)に基づく印刷物が放置されている場合は、第2のネットワーク4から受信するジョブ(第2のジョブ)及びコピージョブ(第3のジョブ)の実行を規制する。すなわち、第1実施形態で説明した画像形成装置2は、第1乃至第3のジョブのうちのいずれかに基づく印刷物が放置されている場合に、他のジョブの実行を規制している。しかし、本実施形態の画像形成装置2は、各組織のユーザーが投入するジョブ毎にジョブの実行規制を行うことが可能である。例えば、第1の組織のユーザーによって投入されるプリントジョブ又はコピージョブに基づく印刷物が放置されている場合、画像形成装置2は、第2の組織のユーザーによって投入されるプリントジョブ及びコピージョブの実行を規制する。その一方で、第2の組織のユーザーによって投入されるジョブの実行が規制されている期間において、画像形成装置2は、第1の組織のユーザーによって投入されるプリントジョブ及びコピージョブを受け付けて実行することが可能である。
【0160】
このように、本実施形態の画像形成装置2は、一方の組織のユーザーによって出力された印刷物が排紙トレイ6上に放置されている状態のときには他方の組織のユーザーによって投入されるジョブの実行を規制する。ただし、画像形成装置2は、一方の組織のユーザーによって出力された印刷物が排紙トレイ6上に放置されている状態であっても、その一方の組織のユーザーによって投入されるジョブの実行は規制しない。したがって、一方の組織のユーザーによって出力された印刷物が排紙トレイ6上に放置されている状態のときには、その一方の組織のユーザーは、画像形成装置2に対して更に別のジョブを実行させることができる。このため、本実施形態の画像形成装置2は、互いに異なる複数の組織による共有を可能としつつ、異なる組織のユーザーに印刷物が見られてしまうことをより効率的に抑制できるのである。
【0161】
尚、本実施形態において、コピージョブを投入するユーザーの認証情報を取得する認証情報取得装置としてカードリーダー15を備える画像形成装置2を例示した。しかし、これに限られるものではなく、認証情報取得装置は、指紋認証や静脈認証などの生体認証を行う装置であってもよい。また、ユーザーに操作パネル13を操作させて認証情報を手動入力させるものであっても構わない。
【0162】
尚、本実施形態において上述した点以外については、第1実施形態で説明したものと同様である。そのため、本実施形態の画像形成装置2は、第1実施形態と同様の作用効果を奏するものである。
【0163】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について説明する。
図23は、本実施形態における画像形成システム1のシステム全体の構成例を示す図である。この画像形成システム1は、オフィスなどにおけるネットワークシステムとして構成されるものである。画像形成システム1は、LANなどの第1のネットワーク3と、LANなどの第2のネットワーク4とが、ルーターなどのネットワーク接続装置7を介して接続された構成である。第1のネットワーク3は、MFPなどで構成される画像形成装置2と、パーソナルコンピュータ(PC)などで構成される複数の機器5aとを備えている。また、第2のネットワーク4は、複数の機器5bを備えている。
【0164】
本実施形態の画像形成装置2は、単一の通信部10に対して第1のネットワーク3が接続される。つまり、画像形成装置2は、第2のネットワーク4に接続される機器5bと、第1のネットワーク3及びネットワーク接続装置7を介して通信可能である。本実施形態の画像形成装置2は、プリントジョブを送信する機器5のIPアドレスに基づき、第1のネットワーク3及び第2のネットワーク4のうちのいずれのネットワークから送信されたプリントジョブであるかを判断する。そして第1のネットワーク3から受信するジョブに基づいて印刷出力を行う場合、画像形成装置2は、第2のネットワーク4から受信するジョブの実行を規制状態とする。これに対し、第2のネットワーク4から受信するジョブに基づいて印刷出力を行う場合、画像形成装置2は、第1のネットワーク3から受信するジョブの実行を規制状態とする。このように画像形成装置2は、ネットワーク接続装置7を介して複数のネットワーク3,4のそれぞれに接続されている機器5と通信を行うことが可能な構成であっても、一方のネットワークからジョブを受信した際には、他方のネットワークから受信するジョブの実行を規制することが可能であり、互いに異なる組織のユーザーに印刷物に印刷された秘密情報などが見られてしまうことを防止することができる。
【0165】
尚、本実施形態において上述した点以外については、第1実施形態又は第2実施形態で説明したものと同様である。そのため、本実施形態の画像形成装置2は、第1実施形態又は第2実施形態と同様の作用効果を奏するものである。
【0166】
(変形例)
以上、本発明に関する幾つかの実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記各実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0167】
例えば、上記実施形態では、画像形成装置2は、MFPなどのように複数の機能を備える装置である場合を例示した。しかし、画像形成装置2は、少なくともプリント機能のみを備えるものであれば良い。
【0168】
また、上記実施形態では、画像形成システム1において、画像形成装置2が、第1のネットワーク3及び第2のネットワーク4に接続される場合を例示した。しかし、これに限られるものではなく、画像形成システム1は、画像形成装置2が更に他のネットワークと接続されるものであっても構わない。例えば、画像形成装置2が、3以上の複数のネットワークのうちのいずれかのネットワークから受信するジョブを受け付けて実行する場合、複数のネットワークのうちのいずれかのネットワークは、本発明の第1及び第2のネットワーク3,4のうちの一方に該当する。また、複数のネットワークのうちのその他のネットワークは、本発明の第1及び第2のネットワーク3,4のうちの他方に該当する。すなわち、本発明の画像形成装置2は、3以上の複数のネットワークのうちのいずれかのネットワークを介してジョブを受信し、そのジョブに基づく印刷出力を開始すると、その他のネットワークを介して受信するジョブの実行を規制することが可能である。したがって、本発明の画像形成装置2は、異なる3以上の組織のユーザーによって出力される複数の印刷物が排紙トレイ6上において混在した状態となることを抑制し、いずれかの組織のユーザーのために出力した印刷物がその他の組織のユーザーに見られてしまうことを防止するのである。
【0169】
また、上記実施形態では、プログラム30が画像形成装置2に予めインストールされている場合を例示した。しかし、プログラム30は、画像形成装置2に予めインストールされているものに限られず、それ単独で取引の対象となるものであっても構わない。この場合、プログラム30は、インターネットなどを介してユーザー自身がダウンロードする形態で画像形成装置2に提供されるものであってもよいし、CD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な印刷媒体に記録された状態で画像形成装置2に提供されるものであっても構わない。
【符号の説明】
【0170】
1 画像形成システム
2 画像形成装置
3 第1のネットワーク
4 第2のネットワーク
5,5a,5b 機器
10 通信部(通信手段)
11 第1の通信部(第1の通信手段)
12 第2の通信部(第2の通信手段)
13 操作パネル(表示手段)
14 用紙検知センサ
16 スキャナ部(原稿読取手段)
17 プリンタ部(印刷手段)
20 制御部(制御手段)
23 規制部(制御手段)
30 プログラム(プログラム)