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特許7140852補助バッテリーを備えたハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-12
(45)【発行日】2022-09-21
(54)【発明の名称】補助バッテリーを備えたハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220913BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20220913BHJP
   B60L 58/22 20190101ALI20220913BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220913BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220913BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/02 J
B60L58/22
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
H01M10/48 301
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020568454
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 KR2019001978
(87)【国際公開番号】W WO2020004768
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】10-2018-0073832
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517251247
【氏名又は名称】株式会社ゼイエスヨンテク
【氏名又は名称原語表記】JSYOUNGTECH CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】ウン,クンス
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-178384(JP,A)
【文献】特開2014-200123(JP,A)
【文献】特開2016-174475(JP,A)
【文献】特開2016-067142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0202984(US,A1)
【文献】特開2013-201891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
B60L 58/22
H01M 10/44
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷の駆動に必要な電力を供給するエネルギー貯蔵モジュールシステムであって、
第2電池モジュールと、前記第2電池モジュールに比べて放電率が高い第1電池モジュールと、前記第2電池モジュールに対して前記第1電池モジュールを並列に接続または分離するように構成されたスイッチングネットワークとを含み、前記負荷に接続されて電力を供給するように構成されたエネルギー貯蔵装置;
前記第1電池モジュールの状態を示すデータを測定するように構成された第1検知ユニット;
前記第2電池モジュールの状態を示すデータを測定するように構成された第2検知ユニット;及び
前記第1検知ユニットと前記第2検知ユニットからのデータを受信し、前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、前記制御信号を前記スイッチングネットワークに送信する制御器;を含み、
前記制御器は、前記第1電池モジュールが前記第2電池モジュールに接続される前に前記第2電池モジュールが先に負荷に接続されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、
前記制御器は、前記第1検知ユニットと前記第2検知ユニットから受信したデータに基づいて、前記第2電池モジュールに対して前記第1電池モジュールが選択的に接続または分離されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、
前記スイッチングネットワークは、前記第2電池モジュールと前記第1電池モジュールとを互いに並列に接続するネットワークに設置された少なくとも一つのスイッチを含み、
前記制御器は、前記第1電池モジュールが前記第2電池モジュールから分離された後に前記第2電池モジュールが負荷から分離されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成する、ハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム。
【請求項2】
負荷の駆動に必要な電力を供給するエネルギー貯蔵モジュールシステムであって、
第2電池モジュールと、前記第2電池モジュールに比べて放電率が高い第1電池モジュールと、前記第2電池モジュールに対して前記第1電池モジュールを並列に接続または分離するように構成されたスイッチングネットワークとを含み、前記負荷に接続されて電力を供給するように構成されたエネルギー貯蔵装置;
前記第1電池モジュールの状態を示すデータを測定するように構成された第1検知ユニット;
前記第2電池モジュールの状態を示すデータを測定するように構成された第2検知ユニット;及び
前記第1検知ユニットと前記第2検知ユニットからのデータを受信し、前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、前記制御信号を前記スイッチングネットワークに送信する制御器;を含み、
前記制御器は、前記第1電池モジュールが前記第2電池モジュールに接続される前に前記第2電池モジュールが先に負荷に接続されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、
前記制御器は、前記第1検知ユニットと前記第2検知ユニットから受信したデータに基づいて、前記第2電池モジュールに対して前記第1電池モジュールが選択的に接続または分離されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、
前記スイッチングネットワークは、前記第2電池モジュールと前記第1電池モジュールとを互いに並列に接続するネットワークに設置された少なくとも一つのスイッチを含み、
前記エネルギー貯蔵装置は、電流制限回路をさらに含み、
前記スイッチングネットワークは、前記電流制限回路を前記第1電池モジュール又は前記第2電池モジュールに対して選択的に接続または分離するように構成され、
前記制御器は、前記第1検知ユニットと前記第2検知ユニットから受信したデータに基づいて、前記第1電池モジュールに前記第2電池モジュールを接続する前に前記第1電池モジュール又は前記第2電池モジュールと前記電流制限回路を接続するように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成することを特徴とする、ハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム。
【請求項3】
前記制御器は、回生制動による充電の際に、前記第1電池モジュールが前記第2電池モジュールから分離された後に前記第1電池モジュールが充電されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成する、請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム。
【請求項4】
負荷の駆動に必要な電力を供給するエネルギー貯蔵モジュールシステムであって、
第2電池モジュールと、前記第2電池モジュールに比べて放電率が高い第1電池モジュールと、前記第2電池モジュールに対して前記第1電池モジュールを並列に接続または分離するように構成されたスイッチングネットワークとを含み、前記負荷に接続されて電力を供給するように構成されたエネルギー貯蔵装置;
前記第1電池モジュールの状態を示すデータを測定するように構成された第1検知ユニット;
前記第2電池モジュールの状態を示すデータを測定するように構成された第2検知ユニット;及び
前記第1検知ユニットと前記第2検知ユニットからのデータを受信し、前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、前記制御信号を前記スイッチングネットワークに送信する制御器;を含み、
前記制御器は、前記第1電池モジュールが前記第2電池モジュールに接続される前に前記第2電池モジュールが先に負荷に接続されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、
前記制御器は、前記第1検知ユニットと前記第2検知ユニットから受信したデータに基づいて、前記第2電池モジュールに対して前記第1電池モジュールが選択的に接続または分離されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、
前記スイッチングネットワークは、前記第2電池モジュールと前記第1電池モジュールとを互いに並列に接続するネットワークに設置された少なくとも一つのスイッチを含み、
前記制御器は、前記第2検知ユニットから受信した前記第2電池モジュールの出力端に流れる電流値の大きさと電流値の傾きが所定の値以上であれば、前記第2電池モジュールに前記第1電池モジュールが接続されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成する、ハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム。
【請求項5】
負荷の駆動に必要な電力を供給するエネルギー貯蔵モジュールシステムであって、
第2電池モジュールと、前記第2電池モジュールに比べて放電率が高い第1電池モジュールと、前記第2電池モジュールに対して前記第1電池モジュールを並列に接続または分離するように構成されたスイッチングネットワークとを含み、前記負荷に接続されて電力を供給するように構成されたエネルギー貯蔵装置;
前記第1電池モジュールの状態を示すデータを測定するように構成された第1検知ユニット;
前記第2電池モジュールの状態を示すデータを測定するように構成された第2検知ユニット;及び
前記第1検知ユニットと前記第2検知ユニットからのデータを受信し、前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、前記制御信号を前記スイッチングネットワークに送信する制御器;を含み、
前記制御器は、前記第1電池モジュールが前記第2電池モジュールに接続される前に前記第2電池モジュールが先に負荷に接続されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、
前記制御器は、前記第1検知ユニットと前記第2検知ユニットから受信したデータに基づいて、前記第2電池モジュールに対して前記第1電池モジュールが選択的に接続または分離されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、
前記スイッチングネットワークは、前記第2電池モジュールと前記第1電池モジュールとを互いに並列に接続するネットワークに設置された少なくとも一つのスイッチを含み、
前記スイッチングネットワークには、前記第1電池モジュールから前記第2電池モジュールに電流が流れることを防止する第1ダイオード、及び前記第2電池モジュールから前記第1電池モジュールに電流が流れることを防止する第2ダイオードが設置された、ハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム。
【請求項6】
前記スイッチングネットワークは、前記第2電池モジュールと前記第1電池モジュールと前記電流制限回路とを互いに並列に接続するネットワークに設置されたスイッチを含む、請求項2に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム。
【請求項7】
前記第1電池モジュールはリチウム電池モジュールである、請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム。
【請求項8】
前記リチウム電池モジュールは、リチウムポリマー電池、リチウムマンガン電池、リチウム鉄電池、リチウムイオン電池及びリチウム空気電池の中から選択される、請求項に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム。
【請求項9】
前記第2電池モジュールは鉛蓄電池モジュールである、請求項1に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム。
【請求項10】
前記電流制限回路は可変抵抗である、請求項2に記載のハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵モジュールシステムに関し、さらに詳細には、主バッテリーとは特性が異なるリチウム電池などの補助バッテリーで鉛蓄電池などの主バッテリーを補完して、負荷に要求される電力量の変化に応じて適切に対応することができるハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー貯蔵システムは、残った電力を別に貯蔵し、必要な時期に供給するシステムである。エネルギー貯蔵システムは、貯蔵方式によって物理的エネルギー貯蔵システムと化学的エネルギー貯蔵システムに大別される。代表的な物理的エネルギー貯蔵システムとしては、揚水発電システムや圧縮空気貯蔵システム、フライホイールなどを挙げることができ、化学的エネルギー貯蔵システムとしては、リチウム電池、鉛蓄電池、NaS電池などを挙げることができる。
【0003】
夜間に捨てられる電気などをエネルギー貯蔵システムに貯蔵してピーク時間帯に使用すると電力需給問題を解決することができるという点で、エネルギー貯蔵システムに関する研究が盛んに行われている。
【0004】
小規模なエネルギー貯蔵システムの一例として、電気自動車のバッテリーがある。電気自動車は、モータを用いて駆動される自動車であって、大容量のバッテリーが装着される。このようなバッテリーとして、過去は鉛蓄電池が使用されたが、現在はニッケル水素電池やリチウム電池などが主に使用されており、向後はリチウム電池が主に使用されるものと予想される。
【0005】
過去に使用された鉛蓄電池は、価格が相対的に非常に安く、高い信頼性を有するという利点があるが、単位重量当たりの出力が低く、体積が大きく、長時間使用すると出力電圧が低下し、放電率が低いため、高出力が要求される負荷によく露出される場合には過熱により寿命が短くなるという問題があって、電気自動車には優先的に選択されず、使用が忌避されている。また、回生制動によって回収された電気エネルギーの充電に適さないという問題もあった。
【0006】
リチウム電池は、他の電池に比べて高出力、高密度電池として脚光を浴びている。しかし、リチウム電池は、価格が非常に高く、温度によってパフォーマンスが大きく左右され、特に高温では、電解質分解が起こり、これにより寿命が著しく短縮する。さらに、発火及び爆発の危険もある。かかる問題点を改善するために、韓国公開特許第2010-0001877号公報、同第2003-0100891号公報、同第2003-0100893号公報などには、バッテリーを冷却するための方法が開示されている。
【0007】
現在使用される鉛蓄電池は、10kg当たり1kWh程度の電気エネルギーを貯蔵することができ、1kWh程度の電気エネルギーで電気自動車の場合は5~10kmを走行することができる。したがって、現在の自動車の走行距離である700km程度を走行するためには、高密度の鉛蓄電池を使用しても、1トン程度の鉛蓄電池が必要である。よって、鉛蓄電池などの低密度の二次電池をバッテリーとして使用することができない。
【0008】
しかし、1回の充電で100km程度の走行が可能な電気自動車は、走行距離が短いので、必ず高密度電池を使用する必要がない。むしろ低コストの鉛蓄電池を使用することができれば、コストが削減され、発火及び爆発の危険がないため、冷却のための複雑な構造が必要ないという利点がある。また、電池を配置するときに発火や爆発の危険性を考慮する必要がないので、より自由に電池を配置することができるという利点もある。
【0009】
しかし、上述したように、鉛蓄電池は、長時間使用すると、出力電圧が低くなって走行が難しく、リチウム電池に比べて出力が低いため停止後に出発するか或いは坂道を走行する場合のように高出力が要求される場合に対応し難く、高い放電率が要求される負荷によく露出される場合に寿命が短くなるという問題がある。また、鉛蓄電池は、回生制動による電気エネルギーの充電に活用され難いという問題がある。
【0010】
また、互いに異なる種類の電池を交互に使用する従来のハイブリッド電池システムは、使用される電池の種類の変化に応じてエネルギー量が急激に変化するため、乗客やユーザーがその変化に応じた衝撃を感じることができるという問題点があった。また、エネルギー効率も落ちるという問題点があった。
【0011】
また、ハイブリッド電池システムを搭載したプラグインハイブリッド車で走行と同時に充電が必要な場合、レンジエクステンダ(range extender)を駆動させてリチウム電池に充電をし、電気自動車の運行には鉛蓄電池を使用することにより、必要以上の大容量のリチウム電池を備えて充電しなければならないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】韓国公開特許第2010-0001877号公報
【文献】韓国公開特許第2003-0100891号公報
【文献】韓国公開特許第2003-0100891号公報
【文献】韓国登録特許第10-1281066号公報
【文献】日本特開2010-093993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、高出力の要求に対応可能である、信頼性の高いハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステムを提供することにある。例えば、一回の充電で100kmほどの走行が可能なエネルギー貯蔵モジュールシステムとして信頼性が高く、価格が非常に低い電気自動車用ハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、負荷の駆動に必要な電力を供給するエネルギー貯蔵モジュールシステムであって、
第2電池モジュールと、前記第2電池モジュールに比べて放電率が高い第1電池モジュールと、前記第2電池モジュールに前記第1電池モジュールを並列に接続または分離するように構成されたスイッチングネットワークとを含み、前記負荷に接続されて電力を供給するように構成されたエネルギー貯蔵装置;
前記第1電池モジュールの状態を示すデータを測定するように構成された第1検知ユニット;
前記第2電池モジュールの状態を示すデータを測定するように構成された第2検知ユニット;及び
前記第1検知ユニットと前記第2検知ユニットからのデータを受信し、前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、前記制御信号を前記スイッチングネットワークに送信する制御器;を含み、
前記制御器は、前記第1電池モジュールが前記第2電池モジュールに接続される前に前記第2電池モジュールが先に負荷に接続されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成し、
前記制御器は、前記第1検知ユニットと前記第2検知ユニットから受信したデータに基づいて、前記第2電池モジュールに対して前記第1電池モジュールが選択的に接続または分離されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成する、ハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステムを提供する。
【0015】
また、前記エネルギー貯蔵装置は、電流制限回路をさらに含み、前記スイッチングネットワークは、前記電流制限回路を前記第1電池モジュール又は前記第2電池モジュールに対して選択的に接続または分離するように構成され、前記制御器は、前記第1検知ユニットと前記第2検知ユニットから受信したデータに基づいて、前記第1電池モジュールに前記第2電池モジュールを接続する前に前記第1電池モジュール又は前記第2電池モジュールと前記電流制限回路とを接続するように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成することを特徴とする。
【0016】
また、前記制御器は、前記第1電池モジュールが前記第2電池モジュールから分離された後に前記第2電池モジュールが負荷から分離されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成することを特徴とする。
【0017】
また、前記制御器は、回生制動による充電の際に、前記第1電池モジュールが前記第2電池モジュールから分離された後に前記第1電池モジュールが充電されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成することを特徴とする。
【0018】
また、前記制御器は、前記第2検知ユニットから受信した前記第2電池モジュールの出力端に流れる電流値の大きさと電流値の傾きが所定の値以上であれば、前記第2電池モジュールに前記第1電池モジュールが接続されるように前記スイッチングネットワークを制御する制御信号を生成することを特徴とする。
【0019】
また、前記スイッチングネットワークには、前記第1電池モジュールから前記第2電池モジュールに電流が流れることを防止する第1ダイオード、及び前記第2電池モジュールから前記第1電池モジュールに電流が流れることを防止する第2ダイオードが設置されたことを特徴とする。
【0020】
また、前記スイッチングネットワークは、前記第2電池モジュールと前記第1電池モジュールと前記電流制限回路とを互いに並列に接続するネットワークに設置されたスイッチを含むことを特徴とする。
【0021】
また、前記第1電池モジュールは、リチウム電池モジュールであることを特徴とする。
【0022】
また、前記リチウム電池モジュールは、リチウムポリマー電池、リチウムマンガン電池、リチウム鉄電池、リチウムイオン電池及びリチウム空気電池の中から選択されることを特徴とする。
【0023】
また、前記第2電池モジュールは、鉛蓄電池モジュールであることを特徴とする。
【0024】
また、前記電流制限回路は、可変抵抗であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステムは、リチウム電池モジュールなどの補助バッテリーを介して高出力の要求に対応可能であるうえ、信頼性が高いという利点がある。
【0026】
また、価格が低い鉛蓄電池モジュールを主バッテリーとして使用するので、製造コストが節減される。
【0027】
また、従来のハイブリッドバッテリーシステムに比べて小さい容量の補助バッテリーの使用が可能なので、これによるコスト削減効果が大きい。
【0028】
また、リチウム電池の継続的な使用によってリチウム電池の温度が上昇することを防止するための別途の冷却システムの必要性が低いので、システムの構造が簡単である。また、鉛蓄電池は、かなり安定的なので、リチウム電池のみ搭乗者の安全を考慮して安全な位置に設置すればよいので、電気自動車に配置することが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】電気自動車システムの構成図である。
図2】本発明の一実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステムのブロック図である。
図3図2に示されたエネルギー貯蔵装置の部品の接続状態によるブロック図である。
図4図2に示されたエネルギー貯蔵装置の部品の接続状態によるブロック図である。
図5図2に示されたエネルギー貯蔵装置の部品の接続状態によるブロック図である。
図6図2に示されたエネルギー貯蔵装置の部品の接続状態によるブロック図である。
図7図2に示されたエネルギー貯蔵装置の部品の接続状態によるブロック図である。
図8図2に示された制御器のブロック図である。
図9図2に示されたエネルギー貯蔵装置の回生制動のための部品の接続状態を示すブロック図である。
図10】本発明の一実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステムの作用を示すフローチャートである。
図11】本発明の他の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0031】
次に紹介される実施形態は、当業者に本発明の思想が十分に伝達できるようにするために例として提供されるものである。したがって、本発明は、以下に説明される実施形態に限定されず、他の形態に具体化されてもよい。そして、図面において、構成要素の幅、長さ、厚さなどは、便宜のために誇張して表現されることもある。明細書全体にわたって、同じ参照番号は同じ構成要素を示す。
【0032】
本発明のハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステムは、様々な用途に使用できるが、以下では、電気自動車に使用される場合を例として説明する。電気自動車には、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、純粋な電気自動車(EV)などが含まれる。そして、電気自動車には、乗用車、バン、バスだけでなく、スクーターやバイクなどの二輪自動車、車椅子、電動フォークリフト、清掃車、電動自転車などもすべて含まれる。以下では、純粋な電気自動車を例に挙げて説明する。
【0033】
図1は電気自動車システムの構成図である。図1を参照すると、電気自動車は、モータ1、モータコントローラ2、ハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム10、減速ギア3及び回生制動システム7を含む。
【0034】
電気自動車のモータ1は、モータジェネレータとも呼ばれる。運行中にブレーキを踏んだとき、モータ1を発電機にしてハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム10のリチウム電池モジュールや鉛蓄電池モジュールなどのエネルギー貯蔵装置を充電するからである。これを回生制動という。モータ1は、減速ギア3を介して車輪4に連結される。
【0035】
モータコントローラ2は、モータ制御器と、モータ制御器の命令に応じてモータ1を駆動するためにバッテリーの直流を三相交流に変換するインバータと、を含む。インバータは、パワートランジスタをオン/オフ(On-Off)にする方式で直流を交流に変換する。
【0036】
ハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム10のエネルギー貯蔵装置20は、一般な自動車用ガソリンスタンドと同様の急速充電ステーションで充電するときに使用される急速充電具5と、家庭で使用される一般電源を介して充電することができる一般充電器6を介して充電できる。また、エネルギー貯蔵装置20は回生制動システム7によって充電されることも可能である。
【0037】
図2は本発明の一実施形態に係るハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステムのブロック図である。図2を参照すると、ハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステム10は、エネルギー貯蔵装置20、第1検知ユニット21、第2検知ユニット22、及び制御器30を含む。
【0038】
図3図2に示されたエネルギー貯蔵装置のブロック図である。図3を参照すると、エネルギー貯蔵装置20は、第1電池モジュール、第2電池モジュール、電流制限回路、及びスイッチングネットワーク15を含む。
【0039】
第1電池モジュールは、高出力が要求されるときに第2電池モジュールを補助するためのものであって、第2電池モジュールに比べて放電率がさらに高い。例えば、第1電池モジュールはリチウム電池モジュール11であり、第2電池モジュールは鉛蓄電池モジュール12であり得る。電流制限回路としては可変抵抗16を使用することができる。
【0040】
エネルギー貯蔵装置20は、負荷の両端に接続され、負荷であるモータ1に必要な電力を供給する役割を果たす。スイッチングネットワーク15は、リチウム電池モジュール11、鉛蓄電池モジュール12及び可変抵抗16を互いに並列に接続する導線13と、導線13に設置され、選択的に導線13を接続または遮断する複数のスイッチ14-1~14-4と、を含む。
【0041】
リチウム電池モジュール11は、直・並列に接続された多数のリチウム電池セル(図示せず)を含む。電池の性能は、集められる電気エネルギー(単位はkWh)の大きさと、1時間でバッテリー容量の幾倍を放電することができるかを示す放電率(C-rate)などで表すことができる。リチウム電池は、鉛蓄電池に比べて単位重量あたり多くの電気エネルギーを貯蔵することができ、充放電速度も速い。しかし、リチウム電池は、温度が上昇すると特性が劣化し、爆発の危険性があり、価格が非常に高いという問題がある。本発明において、リチウム電池は、負極に金属リチウムを使用する二次電池であって、リチウムポリマー電池、リチウムマンガン電池、リチウム鉄電池、リチウムイオン電池及びリチウム空気電池などをすべて含む。また、現在開発されている、或いは今後開発されるリチウム二次電池も使用できる。
【0042】
鉛蓄電池モジュール12は、直・並列に接続された多数の鉛蓄電池セル(図示せず)を含む。鉛蓄電池は、集められる電気エネルギーの大きさが小さく、単位時間当たり放電することが可能な電力の大きさも小さいが、価格が低く、爆発の危険性などがない安全なバッテリーであるという利点がある。鉛蓄電池は、長期間使用すると、出力電圧が低下し、一定時間が経過してこそさらに出力電圧が回復するという特性があり、放電速度も遅くて電気自動車用バッテリーとして使用するのに制約がある。また、充電速度も遅くて回生制動による電気エネルギーの充電用に使用するのが難しいという問題がある。
【0043】
上述したように、リチウム電池モジュール11は、温度の上昇に伴う劣化問題があって、冷却装置なしで長時間使用することができず、鉛蓄電池モジュール12は、出力電圧の低下により長時間使用することができず、充放電速度が遅いという問題がある。本実施形態では、必要な場合にのみ、リチウム電池モジュール11を鉛蓄電池モジュール12にスイッチングネットワーク15を用いて並列に接続して使用することにより、かかる問題を改善した。
【0044】
例えば、急加速や坂道登坂などのように高出力が必要な場合には、リチウム電池モジュール11を鉛蓄電池モジュール12に並列に接続し、定速走行のように高出力を必要としない場合には、鉛蓄電池モジュール12だけを負荷に接続することができる。
【0045】
高出力が必要な場合、鉛蓄電池モジュール12が負荷に接続された状態でリチウム電池モジュール11を鉛蓄電池モジュール12及び負荷に並列に直接接続すると、負荷に電流が流れる。鉛蓄電池モジュール12とリチウム電池モジュール11との間の電位差が大きくなく、システムに流れる電流量が大きくない場合には、リチウム電池モジュール11を直接鉛蓄電池モジュール12に並列に接続することができる。
【0046】
しかし、電位の低いモジュールに突入電流(in rush current)が流れて鉛蓄電池モジュール12またはリチウム電池モジュール11が損傷する可能性がある場合には、接続の前に鉛蓄電池モジュール12とリチウム電池モジュール11との間でバランスを取ることが好ましい。例えば、リチウム電池モジュール11の電位が高い場合には、まず、図4に示すように、第2スイッチ14-2をオフにし、第1スイッチ14-1、第3スイッチ14-3、第4スイッチ14-4をオンにして、リチウム電池モジュール11を可変抵抗16と並列に接続する。このような状態で鉛蓄電池モジュール12とリチウム電池モジュール11との間でバランスが取れるまでしばらく放置する。このとき、可変抵抗16の抵抗値は、リチウム電池モジュール11の状態に応じて適宜選択することができる。また、最初には抵抗値を大きくし、次第に抵抗値を低くすることもできる。そして、図5に示すように、第2スイッチ14-2をオンにして、鉛蓄電池モジュール12とリチウム電池モジュール11とを並列に接続する。そして、しばらくして、図6に示すように、第3スイッチ14-3をオフにする。
【0047】
逆に、鉛蓄電池モジュール12の電位が高い場合には、まず、図7に示すように、第1スイッチ14-1をオフにし、第2スイッチ14-2、第3スイッチ14-3及び第4スイッチ14-4をオンにして、リチウム電池モジュール12を可変抵抗16に並列に接続する。このような状態でしばらく放置して鉛蓄電池モジュール12とリチウム電池モジュール11との間でバランスが取れれば、図5に示すように、第1スイッチ14-1をオンにして、鉛蓄電池モジュール12とリチウム電池モジュール13とを並列に接続する。そして、しばらくして、図6に示すように第3スイッチ14-3をオフにする。
【0048】
鉛蓄電池モジュール12とリチウム電池モジュール11との間でバランスが取れるかは、第1検知ユニット21及び第2検知ユニット22で測定された値に応じて決定でき、リチウム電池モジュール11の接続が必要であるかは、モータ1に要求される出力に応じて決定できる。
【0049】
第1検知ユニット21は、リチウム電池モジュール11のリチウム電池セルに接続されて、セルそれぞれの温度及び電圧、リチウム電池モジュール11の出力端に流れる電流などを測定する。第1検知ユニット21は、一つの通信線を用いて直列に接続され、各セルの温度及び電圧などの情報をシリアル通信方式によって制御器30に伝達することができる。
【0050】
第2検知ユニット22は、鉛蓄電池モジュール12の鉛蓄電池セルに接続され、セルそれぞれの温度及び電圧、鉛蓄電池モジュール12の出力端に流れる電流などを測定した後、各セルの温度及び電圧などの情報を制御器30に伝達する。
【0051】
制御器30は、エネルギー貯蔵装置20のリチウム電池モジュール11と鉛蓄電池モジュール12の状態をモニタリングして最適な条件で維持及び使用することができるようにエネルギー貯蔵装置20を管理する。
【0052】
図8に示すように、制御器30は、受信部31、測定部32、比較部33、信号生成部34及び送信部35を含む。制御器30は、第1検知ユニット21と第2検知ユニット22から伝達された情報を介して、リチウム電池モジュール11及び鉛蓄電池モジュール12のセルの温度、電圧、モジュールの出力端の電流などの状態を監視する。さらに、制御器は、セルの状態とモータコントローラ2を介して入力された情報に基づいて生成された制御信号をスイッチングネットワーク15に送信してリチウム電池モジュール11、鉛蓄電池モジュール12及び可変抵抗16の接続状態を変更させることにより、エネルギー貯蔵装置20を総合的に管理する役割を果たす。
【0053】
受信部31は、第1検知ユニット21と第2検知ユニット22で測定された温度、電圧、電流などのデータの伝達を受ける。さらに、受信部は、モータコントローラ2を介してモータ1の駆動のために必要な電力データの伝達を受ける。
【0054】
測定部32は、受信部31で受信したデータを用いて、クーロンカウント方式などでリチウム電池モジュール11及び鉛蓄電池モジュール12の充電率(SOC、state of charge)を測定し、健全度(SOH、state of health)を決定する。さらに、測定部は、負荷に出力することが可能な電力を推定し、電流の変化率も計算する。
【0055】
比較部33は、受信部31で受信したデータを用いて、リチウム電池セルの温度を所定の基準温度と比較してリチウム電池セルが安全な状態であるか否かを検査する。また、鉛蓄電池セルの電圧を所定の基準電圧と比較して鉛蓄電池セルが使用できる状態か否かを検査する。また、所定の鉛蓄電池モジュール12の電流値及び電流の変化率と比較して、鉛蓄電池モジュール12にリチウム電池モジュール11を結合しなければならない時点であるか否かも判断する。つまり、鉛蓄電池モジュール12の電流値及び電流の変化率が所定の値以上であって、鉛蓄電池モジュール12の放電率を超える放電が要求されるか否かを判断する。
【0056】
信号生成部34は、リチウム電池モジュール11及び鉛蓄電池モジュール12の充電率とリチウム電池モジュール11の温度及び鉛蓄電池モジュール12の電圧、モータコントローラ2を介して伝達された走行状態、鉛蓄電池モジュール12の電流値及び電流の変化率などを考慮して、リチウム電池モジュール11、鉛蓄電池モジュール12及び可変抵抗16の接続状態を決定する制御信号を発生させてエネルギー貯蔵装置20に伝達する。
【0057】
例えば、リチウム電池モジュール11及び鉛蓄電池モジュール12が十分に充電されており、定速走行中であって特に高出力が要求されない場合には、鉛蓄電池モジュール12のみを使用するようにすることができる。
【0058】
また、続いてリチウム電池モジュール11を一緒に使用してリチウム電池モジュール11の温度が基準温度以上に上昇すれば、鉛蓄電池モジュール12のみを使用するように変更するための制御信号を発生させてエネルギー貯蔵装置20に伝達する。
【0059】
制御器30は、モータコントローラ2のモータ制御器に接続されており、停止してから再度出発するか或いは坂道を走行するなどの走行状態を確認することができる。以下では、走行状態に応じた接続状態の変化について説明する。制御器は、走行状態による要求に応じて接続状態を変換するが、リチウム電池モジュール11と鉛蓄電池モジュール12の状態を考慮すると、走行状態に対応して接続状態を変換することが難しい場合には、走行状態による接続状態の変換に優先して、リチウム電池モジュール11と鉛蓄電池モジュール12を保護する方向に接続状態を切り替えることができる。
【0060】
もし、走行状態に応じて大きい出力が必要である場合には、リチウム電池モジュール11が接続された状態に転換するための制御信号を発生させてエネルギー貯蔵装置20に伝達する。鉛蓄電池モジュール12は、十分に充電されている場合にも取り出して使える電力が低いからである。
【0061】
走行状態は、鉛蓄電池モジュール12の電流値及び電流の変化率によっても判断することができる。つまり、鉛蓄電池モジュール12の電流値及び電流の変化率が所定の値以上であって、鉛蓄電池モジュール12の放電率を超える放電が要求されると判断される場合には、リチウム電池モジュール11が負荷に接続されるように制御信号を発生させる。
【0062】
このとき、リチウム電池モジュール11を鉛蓄電池モジュール12に直接接続することもできるが、直接接続すると、エネルギー貯蔵装置20の出力が急激に変化するため、衝撃が生じることがある。したがって、まず、リチウム電池モジュール11を可変抵抗16に接続した後、リチウム電池モジュール11と鉛蓄電池モジュール12とのバランスが取れた状態でリチウム電池モジュール11を鉛蓄電池モジュール12に接続することが好ましい。しばらくの後、可変抵抗16を分離する。
【0063】
回生制動による充電が必要な場合には、図9に示すように、第1スイッチ14-1と第2スイッチ14-2をオンにし、第3スイッチ14-3と第4スイッチ14-4をオフにして、リチウム電池モジュール11が回生制動システム7に接続されるようにする。鉛蓄電池モジュール12は、回生制動による充電がほぼ行われないので、回生制動の際にはリチウム電池モジュール11を鉛蓄電池モジュール12と分離して回生制動システム7と接続することが、回生制動による充電効率を向上させることができるという利点がある。
【0064】
また、リチウム電池モジュール11の充電が完了すると、充電されたリチウム電池モジュール11を介して鉛蓄電池モジュール12を充電する方法によって鉛蓄電池モジュール12を充電することができる。上述したように、鉛蓄電池モジュール12は、回生制動による充電がほぼ行われない。この場合には、制御器30が、充電されたリチウム電池モジュール11と鉛蓄電池モジュール12とが互いに接続されるようにスイッチングネットワーク15の接続状態を切り替えることができる制御信号をスイッチングネットワーク15に送信する。
【0065】
以下、上述したハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステムの作用を図10に基づいて説明する。
【0066】
車両の走行が開始すると、第1検知ユニット21と第2検知ユニット22は、リチウム電池モジュール11及び鉛蓄電池モジュール12のセルの温度、電圧、モジュールの出力端の電流などを測定する(S1、S2)。
【0067】
その後、制御器30の測定部32は、第1検知ユニット21と第2検知ユニット22で測定されたデータを用いて、リチウム電池モジュール11及び鉛蓄電池モジュール12の充電率、健全度などを測定する(S3)。充電率の測定結果によって、走行が可能な状態であるか否かを判断する(S4)。測定の結果、走行することが可能な状態であれば、測定された充電率が、電気自動車の運転席に設置されたディスプレイを介して運転者に伝達される。もしリチウム電池モジュール11と鉛蓄電池モジュール12の両方の充電率が低いため充電が必要な場合には、電気自動車の運転席に設置されたディスプレイを介して、運転者に充電が必要であることを知らせる(S12)。
【0068】
その後、制御器30の比較部33は、第1検知ユニット21で測定されたリチウム電池モジュール11の各セルの温度値と基準温度を比較する(S5)。また、第1検知ユニット22で測定された鉛蓄電池モジュール12の各セルの電圧値と基準電圧とを比較する(S6)。比較の結果、リチウム電池モジュール11の各セルの温度値が基準温度以上であり、鉛蓄電池モジュール12の各セルの電圧値が基準電圧以下であって走行が困難である場合には、電気自動車の運転席に設置されたディスプレイを介して運転者に警告をして運転者が対処することができるようにする(S13)。また、必要な場合には、制御器30が電気自動車の運行を停止させる。
【0069】
その後、制御器30は、モータコントローラ2のモータ制御器または鉛蓄電池モジュール12の電流値及び電流の変化率を介して車両の走行状態情報を受信する(S8)。例えば、鉛蓄電池モジュール12の電流値及び電流の変化率が所定の値以上である場合には、車両が停止してからさらに出発するか或いは坂道を走行していると判断することができ、そうでない場合には、車両が定速で走行していることを判断することができる。
【0070】
S4乃至S8のステップはいずれも制御器30で行われ、同時に或いは上述の順序とは異なる順序で行われ得る。
【0071】
その後、制御器30の信号生成部34は、S4乃至S8のステップで得られた結果を介して接続状態を決定して制御信号を生成することにより、エネルギー貯蔵装置20に送信する(S9)。
【0072】
その後、エネルギー貯蔵装置20は、制御信号に応じてリチウム電池モジュール11、鉛蓄電池モジュール12及び可変抵抗16を配列した後、放電する(S10)。
【0073】
一定時間が経過する(S11)と、S1乃至S10のステップを繰り返し行う。
【0074】
図11は本発明の他の実施形態によるハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステムのブロック図である。図11に示すように、ハイブリッドエネルギー貯蔵モジュールシステムは、第1ダイオード17と第2ダイオード18をさらに含んでもよい。
【0075】
第1ダイオード17と第2ダイオード18は、鉛蓄電池モジュール12からリチウム電池モジュール11へ、或いはその逆に突入電流が流れることを防止するための安全装置である。上述したように、鉛蓄電池モジュール12とリチウム電池モジュール11とのバランスを取った状態でリチウム電池モジュール11を接続すると、突入電流が流れる可能性が小さいが、万が一の場合に備えて、第1ダイオード17と第2ダイオード18を設置することができる。第2ダイオード18は、鉛蓄電池モジュール12で負荷ではなく、リチウム電池モジュール11側へ電流が流れることを遮断し、第1ダイオード17は、リチウム電池モジュール11から鉛蓄電池モジュール12へ電流が流れることを遮断し、負荷へのみ電流が流れるようにする。
【0076】
本実施形態の場合には、回生制動のために、第1ダイオード17と第2ダイオード18の方向を変更することができる別のスイッチング装置が必要とされることがある。
【0077】
以上では、本発明の好適な実施形態について図示及び説明したが、本発明は、上述した特定の実施形態に限定されず、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変形実施が可能なのはもとより、それらの変形実施は本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならないだろう。
【0078】
例えば、電流制限回路として可変抵抗16を使用すると説明したが、一般抵抗を使用することもできる。また、複数の抵抗を選択的に直列または並列に接続する方法で抵抗が変化する電流制限回路を構成することもできる。また、抵抗値が異なる複数の抵抗の中からいずれかを選択する方式で電流制限回路を構成することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11