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特許7140946統合マイクログリッド環境においてビッグデータに基づく統合データサービスを行うプラットホーム装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】統合マイクログリッド環境においてビッグデータに基づく統合データサービスを行うプラットホーム装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20220914BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20220914BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J3/00 170
H02J3/46
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021514621
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 KR2020005944
(87)【国際公開番号】W WO2021210716
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0044446
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521103716
【氏名又は名称】エイ2エム カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100146639
【弁理士】
【氏名又は名称】船本 康伸
(72)【発明者】
【氏名】キム,チャン ウー
(72)【発明者】
【氏名】ハン,キ ベオム
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ソン キ
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-63591(JP,A)
【文献】特開2006-288162(JP,A)
【文献】国際公開第2008/047400(WO,A1)
【文献】特開2004-88898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-10/10
G06Q 30/00-30/08
G06Q 50/00-50/20
G06Q 50/26-99/00
G16Z 99/00
H02J 1/00-5/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマイクログリッドのそれぞれから出力制御が不可能な分散型電源のリアルタイム発電量情報及び複数のマイクログリッドのそれぞれから負荷量に対する情報を収集及び保存する61850運用DBと、
前記61850運用DBが提供するデータ及び既保存・管理される情報を用いて1次データ加工を行う統合DWと、
前記統合DWが生成及び管理するビッグデータ情報を2次加工して、データユーザにデータサービスを提供するデータマートと、を含み、
前記複数のマイクログリッドは、連係網を介してクラスタリングされてもよく、前記クラスタリングされた複数のマイクログリッドは、ユーティリティーグリッドから電気的に分離され、
前記複数のマイクログリッドのそれぞれは、内部に備えられたxEMSを介して相互間に電力取引を行い、
前記データマートは、下記の数学式1により、前記クラスタリングされた複数のマイクログリッドのエネルギー自立度を評価し、
[数学式1]
エネルギー自立度=(ピーク負荷時間帯に投入可能な複数のマイクログリッドの総電力/ピーク負荷時間帯の複数のマイクログリッドの総負荷量)×100
ここで、
*ピーク負荷時間帯の複数のマイクログリッドの総負荷量:ピーク負荷時間帯に複数のマイクログリッドで発生した負荷の総量
*ピーク負荷時間帯に投入可能な複数のマイクログリッドの総電力:ピーク負荷時間帯において、複数のマイクログリッドで発電された出力制御が不可能な分散型電源の発電総量に、複数のマイクログリッドに属する出力制御が可能な分散型電源の容量の総量を足したもの
前記データマートは、マイクログリッド別のエネルギー自立寄与度を、下記の数学式2により算出し、
[数学式2]
マイクログリッド別のエネルギー自立寄与度=(ピーク負荷時間帯におけるマイクログリッドの電力供給量/ピーク負荷時間帯における総電力取引量)×エネルギー自立度
ここで、ピーク負荷時間帯におけるマイクログリッドの電力供給量=ピーク負荷時間帯におけるマイクログリッドの販売電力量-ピーク負荷時間帯におけるマイクログリッドの購買電力量
前記61850運用DBは、マイクログリッド別のリアルタイム負荷量、分散型電源別のリアルタイム発電量、分散型電源が設置された空間において出力制御が不可能な分散型電源の発電量に影響を及ぼすリアルタイム環境情報を収集し、
前記統合DWは、マイクログリッドのそれぞれの時間帯別の負荷量、リアルタイム環境条件において、理想的な分散型電源の発電量、及びリアルタイム実際分散型電源の発電量に関する情報を生成、保存及び管理し、
前記データマートは、複数のマイクログリッドのエネルギー自立度が、既設定された基準エネルギー自立度未満である場合、基準エネルギー自立度未満である要因を分析し、
前記データマートは、過去データのうち、エネルギー自立度が最も高く算出された時間帯におけるマイクログリッド別の負荷量及び現在基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド別の負荷量を用いて、下記の数学式4により、マイクログリッドのそれぞれの負荷増加量を算出し、
[数学式4]
マイクログリッド別の負荷増加量=基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッドの負荷量-過去データのうち、エネルギー自立度が最も高く算出された時間帯におけるマイクログリッドの負荷量
前記データマートは、エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド別の出力制御が不可能な分散型電源の発電損失量を、下記の数学式5により算出し、
[数学式5]
エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド別の出力制御が不可能な分散型電源の発電損失量=基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド内のリアルタイム環境条件において、理想的な出力制御が不可能な分散型電源の発電量-基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド内のリアルタイムの出力制御が不可能な分散型電源の実際発電量
前記データマートは、下記の数学式6により、第1のエネルギー自立度の下降寄与指数をマイクログリッドのそれぞれについて算出し、
[数学式6]
第1のエネルギー自立度の下降寄与指数=マイクログリッド別の負荷増加量/複数のマイクログリッドの総負荷増加量
前記データマートは、下記の数学式7により、第2のエネルギー自立度の下降寄与指数を、マイクログリッドのそれぞれについて算出し、
[数学式7]
第2のエネルギー自立度の下降寄与指数=エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド別の出力制御が不可能な分散型電源の発電損失量/エネルギー自立度未満の時間帯における複数のマイクログリッド全体の出力制御が不可能な分散型電源の発電損失量
前記データマートは、第1及び第2のエネルギー自立度の下降寄与指数のうち、最上位順位から下位順位へエネルギー自立度の下降に寄与した要因を順次除去しながら、除去した状態を基準として、複数のマイクログリッドクラスタのエネルギー自立度が基準エネルギー自立度以上になるまで、複数のマイクログリッドクラスタのエネルギー自立度を演算し、
前記データマートは、エネルギー自立度の下降に寄与した要因が、第1のマイクログリッドの負荷増加である場合、現在基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるエネルギー自立度の算出式により、第1のマイクログリッドの負荷量を、過去データのうち、エネルギー自立度が最も高く算出された時間帯における第1のマイクログリッドの負荷量に変更したときのエネルギー自立度を算出することにより、エネルギー自立度の下降に寄与した要因が除去された状態を基準として、複数のマイクログリッドクラスタのエネルギー自立度を演算し、
前記データマートは、エネルギー自立度の下降に寄与した要因が、第2のマイクログリッドの出力制御が不可能な分散型電源の発電損失である場合、現在基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるエネルギー自立度の算出式により、第2のマイクログリッドの出力制御が不可能な分散型電源の発電量を、基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド内のリアルタイム環境条件において、理想的な出力制御が不可能な分散型電源の発電量に変更したときのエネルギー自立度を算出することにより、エネルギー自立度の下降に寄与した要因が除去された状態を基準として、複数のマイクログリッドクラスタのエネルギー自立度を演算し、
前記データマートは、複数のマイクログリッドクラスタのエネルギー自立度が、基準エネルギー自立度以上になるまでに除去された第1及び第2のエネルギー自立度の下降寄与指数のうち、最上位順位から下位順位までのエネルギー自立度の下降寄与指数、及びその下降寄与指数の算出のために用いられた変数についての情報を提供することを特徴とする統合マイクログリッド環境においてビッグデータに基づく統合データサービスを行うプラットホーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統合マイクログリッド環境においてビッグデータに基づく統合データサービスを行うプラットホーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクログリッドは、独立型と系統連系型が存在する。独立型は、独立運転モードにおいてのみ動作し、連係型は、必要に応じて独立運転モードと系統連係運転モードにおいて動作する。
【0003】
複数の独立型マイクログリッドは、クラスタリングされてもよい。また、そのマイクログリッドクラスタに属するマイクログリッドは、分散型電源、負荷、容量の側面において様々な形態を有してもよい。
【0004】
このような多様性を受容し、さらに効果的な運用のために、複数のマイクログリッドを統合して運用することが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
様々な複数のマイクログリッドを統合して運用するために、データ互換技術、統合EMS(Energy Management System)技術、カスタマーサービス技術等の様々な技術開発が要求される。
【0006】
本発明は、統合マイクログリッド環境においてビッグデータに基づく統合データサービスを行うプラットホーム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好適な一実施例による統合マイクログリッド環境においてビッグデータに基づく統合データサービスを行うプラットホーム装置は、複数のマイクログリッドのそれぞれから出力制御が不可能な分散型電源のリアルタイム発電量情報及び複数のマイクログリッドのそれぞれから負荷量に対する情報を収集及び保存する61850運用DBと、前記61850運用DBが提供するデータ及び既保存・管理される別途の情報を用いて1次データ加工を行う統合DWと、前記統合DWが生成及び管理するビッグデータ情報を2次加工して、様々なデータユーザに様々なデータサービスを提供するデータマートと、を含む。
【0008】
ここで、前記データマートは、下記の数学式により、クラスタリングされた複数のマイクログリッドのエネルギー自立度を評価することができる。
【0009】
[数学式]
エネルギー自立度=(ピーク負荷時間帯に投入可能な複数のマイクログリッドの総電力/ピーク負荷時間帯の複数のマイクログリッドの総負荷量)×100
【0010】
ここで、
*ピーク負荷時間帯の複数のマイクログリッドの総負荷量:ピーク負荷時間帯に複数のマイクログリッドで発生した負荷の総量
*ピーク負荷時間帯に投入可能な複数のマイクログリッドの総電力:ピーク負荷時間帯において、複数のマイクログリッドで発電された出力制御が不可能な分散型電源の発電総量に、複数のマイクログリッドに属する出力制御が可能な分散型電源の容量の総量を足したもの
【0011】
また、前記データマートは、マイクログリッド別のエネルギー自立寄与度を、下記の数学式により算出することができる。
【0012】
[数学式]
マイクログリッド別のエネルギー自立寄与度=(ピーク負荷時間帯におけるマイクログリッドの電力供給量/ピーク負荷時間帯における総電力取引量)×エネルギー自立度
【0013】
また、前記データマートは、ピーク時間帯におけるエネルギー自立度が評価され、前記評価されたエネルギー自立度が、既設定された基準エネルギー自立度未満であれば、基準エネルギー自立度未満が発生した要因を分析することができる。
【0014】
また、前記データマートは、マイクログリッド別の負荷増加量及びエネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド別の出力制御が不可能な分散型電源の発電損失量を用いて、基準エネルギー自立度未満が発生した要因を分析することができる。
【0015】
また、前記データマートは、下記の二つの数学式のそれぞれを用いて、エネルギー自立度の下降寄与指数を算出し、前記エネルギー自立度の下降寄与指数を用いて、エネルギー自立度の回復のために除去されるべき要因を分析することができる。
【0016】
[数学式]
第1のエネルギー自立度の下降寄与指数=マイクログリッド別の負荷増加量/複数のマイクログリッドの総負荷増加量
【0017】
[数学式]
第2のエネルギー自立度の下降寄与指数=エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド別の出力制御が不可能な分散型電源の発電損失量/エネルギー自立度未満の時間帯における複数のマイクログリッド全体の出力制御が不可能な分散型電源の発電損失量
【発明の効果】
【0018】
本発明は、系統から独立した複数のマイクログリッドクラスタが運用される環境において、開発MG(マイクログリッド)運用者及び統合MG運用者が安定的にマイクログリッドを運用するために必要な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ビッグデータに基づく統合データサービスを行うプラットホーム装置が用いられる統合マイクログリッド環境の概略図である。
図2図1に示したデータサービスプラットホーム装置がデータサービスを提供する状況を示す概略図である。
図3図1に示したデータサービスプラットホーム装置の機能ブロック図である。
図4図1に示したデータサービスプラットホーム装置のデータ生成過程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、様々な変更を加え、様々な実施例を有することができるので、特定の実施例について図面に例示して詳細な説明において詳述する。しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。
【0021】
各図面を説明しながら、類似した参照符号を類似した構成要素に対して使用した。本発明を説明するにあたって、関連した公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすることがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0022】
第1、第2等の用語は、様々な構成要素を説明するために用いられるが、前記構成要素は、前記用語に限定されてはならない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素と区別する目的にだけ用いられる。
【0023】
例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながら、第1の構成要素は、第2の構成要素と命名されてもよく、同様に、第2の構成要素も第1の構成要素と命名されてもよい。
【0024】
及び/またはという用語は、複数の関連した記載項目の組み合わせまたは複数の関連した記載項目のうちいずれかの項目を含む。
【0025】
本出願において用いられた用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。
【0026】
単数の表現は、文脈からみて、明らかに異なる意味を有さない限り、複数の表現を含む。この出願において、「含む」または「備える」のような表現は、明細書に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、または、これらの組合せを指すためのものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、これらの組合せの存在又は付加可能性を予め排除するものと理解されてはならない。
【0027】
異なる定義が無い限り、技術的であるか科学的な用語を含んでここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されることと同じ意味を有している。
【0028】
一般に使われる辞書に定義されたものと同じ用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本出願において明らかに定義しない限り、理想的であり、または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0029】
以下、ビッグデータに基づく統合データサービスを行うプラットホーム装置が用いられる統合マイクログリッド環境について説明する。
【0030】
図1を参照すれば、統合マイクログリッドの運用環境は、複数のマイクログリッド(100-1、100-2、…、100-N、以下、「100」と通称する。)と、MG統合EMS200と、を含んでもよい。
【0031】
複数のマイクログリッド100は、連係網1を介して相互間に電力伝送及び受電が可能である。複数のマイクログリッド100のそれぞれは、様々な形態を有してもよい。いずれか一つのマイクログリッド100は、内部に分散型電源、ESS(Energy Storage System)、負荷を含んでもよく、内部に備えられたxEMS(HEMS(Home Energy Management System)、BEMS(Building and Energy Management System等)を介して分散型電源、ESS、負荷の制御、電力取引を行うことができる。いずれか一つのマイクログリッドは、内部に負荷のみを含んでもよく、内部に備えられたxEMS(HEMS、BEMS等)を介して負荷の制御、電力取引を行うことができる。いずれか一つのマイクログリッドは、内部に分散型電源及びESSのみを含んでもよく、内部に備えられたxEMS(HEMS、BEMS等)を介して分散型電源、ESS、電力取引を行うことができる。ここで、xEMSは、マイクログリッドのそれぞれの構成を制御及びモニタリングして、MG統合EMSと連動して電力取引、負荷追従運転、ピーク減縮等のような様々な運用アルゴリズムを行うことができる。連係網1は、電力変換損失を減らすために、DC(Direct Current)網で構築されてもよい。複数のマイクログリッド100は、連係網1を介してクラスタリングされてもよく、クラスタリングされた複数のマイクログリッド100は、ユーティリティーグリッド(言い換えれば、配電網)から独立してもよい。すなわち、連係網1でクラスタリングされた複数のマイクログリッド100は、ユーティリティーグリッド(言い換えれば、配電網)から電力の観点で自立されてもよい。言い換えれば、連係網1でクラスタリングされた複数のマイクログリッド100は、ユーティリティーグリッド(言い換えれば、配電網)と電気的に分離されてもよい。このような構造は、各国の電力政策及び法規に干渉されることなく、マイクログリッドを拡散させることができる強みを有するようになる。但し、ユーティリティーグリッド(言い換えれば、配電網)と電気的に分離されることによるリスク(特に、需給安定性)が存在し、本発明は、これに対する解決策を提示することができる。ここで、xEMSは、それぞれのマイクログリッド内の運用システムを通称するものであってもよい。
【0032】
MG統合EMS200は、データ収集変換装置210、MG統合制御装置220、データサービスプラットホーム装置230を含んでもよい。MG統合EMS200は、サーバーの形態で実現されてもよい。
【0033】
データ収集変換装置210は、複数のマイクログリッド100からデータを収集して、既設定された標準(IEC 61850標準)に符合して収集されるデータの形式を変換することができる。様々なマイクログリッド100は、マイクログリッド100の内部で情報を収集するために使う通信プロトコル(DNP 3.0、MODBUS、IEC61850)及び運用標準(HEMS、BEMS等)により異なり得る。したがって、統合運用のために、それぞれのマイクログリッド100で収集される情報は、単一標準または単一形式で管理されなければならない。データ収集変換装置210は、複数のマイクログリッド100から収集されるデータを、IEC 61850に基づく標準形式に変換してデータサービスプラットホーム装置230に提供することができる。
【0034】
MG統合制御装置220は、複数のマイクログリッドのそれぞれの運用(分散型電源の監視・制御、マイクログリッドの最適化運用、マイクログリッドクラスタエネルギーの計画等)及び複数のMG間の相補的運用(電力取引、ピークシェービング、負荷制御等)を担当することができる。MG統合制御装置220は、拡張性を持って設計され、連係網1でクラスタリングされた複数のマイクログリッド100に、様々な運用サービスを提供することができ、それぞれのマイクログリッド100において用いられる共通した要素を統合して、複数のマイクログリッド100内のxEMSのボリュームを減らすことができる。
【0035】
データサービスプラットホーム装置230は、データ収集変換装置210が提供するビッグデータ及び既収集された情報(設備仕様、電力料金体系、マイクログリッドの契約電力タイプ等)に基づく様々なデータユーザ(個別マイクログリッドの運用者、統合マイクログリッドの運用者等)に、様々なデータサービスを提供することができる。ここで、個別マイクログリッドの運用者は、それぞれのマイクログリッドを構築して運用する主体(工場所有者、住宅所有者等)であってもよい。統合マイクログリッドの運用者は、MG統合EMS及び連係網1を構築し、これを運用する主体であってもよい。
【0036】
統合マイクログリッド環境において、様々な運用主体及び様々なサービスモデルが存在してもよい。様々なサービスモデルに応じて、様々なサービス提供の主体が追加されてもよい。このような様々なサービスモデル及びサービス提供の主体を受容するために、データサービスプラットホーム装置230は、拡張性を持って設計されてもよい。
【0037】
図2を参照すれば、データサービスプラットホーム装置230は、複数のマイクログリッドがクラスタリングされて運用される環境において、個別マイクログリッドの運用者及び統合マイクログリッドの運用者に様々なデータサービスを提供することができる。
【0038】
図3を参照すれば、データサービスプラットホーム装置230は、61850運用DB(DataBase)231、統合DW(Data Warehouse)232、及びデータマート233を含んでもよい。
【0039】
61850運用DB231は、データ収集変換装置210が提供するデータを保存及び管理することができる。
【0040】
統合DW232は、61850運用DB231が提供するデータ及び既保存・管理される別途の情報を用いて、1次データの加工を行うことができる。
【0041】
統合DW232は、61850運用DB231が提供するデータ及び既保存・管理される別途の情報(設備仕様、電力料金体系、マイクログリッドのそれぞれの契約電力タイプ等)を用いて、様々な統計的情報及び1次加工された情報を生成して保存及び管理することができる。ここで、「設備仕様」は、例えば、出力制御が不可能な分散型電源の設置容量、出力制御が可能な分散型電源の容量であり、「電力料金体系」は、クラスタリングされたマイクログリッドが構築される国での電力料金体系(例えば、季節別の電力料金体系、時間帯別(平常時間帯、ピーク時間帯等)の電力料金体系)であり、「マイクログリッドのそれぞれの契約電力タイプ」は、クラスタリングされたマイクログリッドが構築される国において、マイクログリッドのそれぞれの契約電力導入時の電力料金(家庭用、産業用等)に関する情報であり得る。
【0042】
データマート233は、統合DW232が生成及び管理するビッグデータ情報を2次加工して、様々なデータユーザに様々なデータサービスを提供することができる。
【0043】
統合DW232が生成及び管理する情報を用いてデータサービスユーザに適した情報を生成して、データサービスユーザに提供することができる。データマート233は、データサービスユーザの経営的な判断を提供する様々なデータサービスを提供することができる。データマート233は、統合DW232が提供する情報に基づいて多様性を有してもよい。
【0044】
図4を参照すれば、データマート233は、統合DW232が提供する情報を用いて、ビッグデータに基づく様々なデータサービスを提供することができる。以下、複数のデータサービスのそれぞれについて説明する。
【0045】
*エネルギー自立度の評価サービス
61850運用DB231は、複数のマイクログリッドのそれぞれから出力制御が不可能な分散型電源(例えば、風力発電、太陽光発電等)のリアルタイム発電量情報及び複数のマイクログリッドのそれぞれから負荷量に対する情報を収集及び保存することができる。
【0046】
統合DW232は、61850運用DB231が保有した前記リアルタイム発電量情報を用いて、時間帯別の複数のマイクログリッド全体の出力制御が不可能な電源の総発電量を算出することができる。また、統合DW232は、複数のマイクログリッドのそれぞれの出力制御が可能な分散型電源(例えば、CHP、燃料電池等)の総容量情報を保有することができる。また、統合DW232は、前記61850運用DB231が保有した負荷量情報を用いて、時間帯別の複数のマイクログリッドの総負荷量を算出することができる。
【0047】
また、データマート233は、前記統合DB232が算出し、または既に保有している情報を用いて、下記の数学式により、クラスタリングされた複数のマイクログリッドのエネルギー自立度を評価することができる。
【0048】
[数学式1]
エネルギー自立度=(ピーク負荷時間帯に投入可能な複数のマイクログリッドの総電力/ピーク負荷時間帯の複数のマイクログリッドの総負荷量)×100
【0049】
ここで、
*ピーク負荷時間帯の複数のマイクログリッドの総負荷量:ピーク負荷時間帯に複数のマイクログリッドで発生した負荷の総量
*ピーク負荷時間帯に投入可能な複数のマイクログリッドの総電力:ピーク負荷時間帯において、複数のマイクログリッドで発電された出力制御が不可能な分散型電源の発電総量に、複数のマイクログリッドに属する出力制御が可能な分散型電源の容量の総量を足したもの
【0050】
エネルギー自立度は、既設定された周期毎に算出され、例えば、1日単位で算出されてもよい。ピーク負荷時間帯は、エネルギー自立度が算出される単位周期において、ピーク負荷が存在する時間帯であってもよい。
【0051】
エネルギー自立度の評価サービスは、統合MG運用者に提供されるサービスメニューであってもよい。
【0052】
このように、クラスタリングされて配電網から独立した複数のマイクログリッドのエネルギー自立度が評価されることにより、統合MG運用者が、エネルギー自立度の観点において、複数のマイクログリッドクラスタが正常運用状態であることが分かる。マイクログリッドは、構築後、負荷量及び発電量において変動が発生し得る。したがって、周期的にその負荷量及び発電量の変動により、能動的にマイクログリッド運用戦略が立てられなければならない。マイクログリッドのそれぞれは、自律性が保障され、その自律性を前提として、統合運用環境が構築されなければならない。したがって、自律性の側面において発生し得る予測しなかった負荷増加というリスク、及び分散型電源の増加という予期しなかった肯定的要因を、周期的にエネルギー自立度の評価によって確認することができ、これにより、統合運用環境において安定した運用戦略が立てられ得る。
【0053】
*エネルギー自立寄与度の評価サービス
61850運用DB231は、MG統合制御装置220が提供するマイクログリッド間の電力取引関連情報(電力取引時間、電力取引による電力を販売するマイクログリッドの電力販売量、電力取引による電力を購入するマイクログリッドの電力購買量)を保有することができる。電力取引は、時間帯を単位として(言い換えれば、1時間単位で)行われてもよい。
【0054】
統合DW232は、61850運用DB231が保有した電力取引関連情報を用いて、マイクログリッドのそれぞれの時間帯別の電力購買量及びマイクログリッドのそれぞれの時間帯別の電力販売量を算出することができる。
【0055】
データマート233は、統合DW232が算出したマイクログリッドのそれぞれの時間帯別の電力購買量、マイクログリッドのそれぞれの時間帯別の電力販売量、及び上述したエネルギー自立度を用いて、マイクログリッド別のエネルギー自立寄与度を下記の数学式により算出することができる。
【0056】
[数学式2]
マイクログリッド別のエネルギー自立寄与度=(ピーク負荷時間帯におけるマイクログリッドの電力供給量/ピーク負荷時間帯における全体電力取引量)×エネルギー自立度
【0057】
ここで、ピーク負荷時間帯におけるマイクログリッドの電力供給量は、下記の数学式により算出されることができる。
【0058】
[数学式3]
ピーク負荷時間帯におけるマイクログリッドの電力供給量=ピーク負荷時間帯におけるマイクログリッドの販売電力量-ピーク負荷時間帯におけるマイクログリッドの購買電力量
【0059】
ピーク負荷時間帯に電力の購買だけを行った場合であれば、該当マイクログリッドのエネルギー自立寄与度は、負数であり得る。ピーク負荷時間帯に電力の販売だけを行った場合であれば、該当マイクログリッドの自立寄与度は、正数であり得る。
【0060】
このようなエネルギー自立寄与度の評価結果は、個別のMG運用者及び統合MG運用者の両方に提供されてもよい。個別のMG運用者は、エネルギー自立寄与度が高い場合、電力取引時よりも高い価格を提示して、電力取引契約の優位を占める戦略を選択することができる。統合MG運用者は、エネルギー自立寄与度を考慮して、クラスタリングされた複数のマイクログリッドにおいて、エネルギー自立寄与度が低い特定のマイクログリッドによる電力需給安定上のリスクを乗り越えるための戦略樹立を行うことができる。また、統合MG運用者は、エネルギー自立寄与度に寄与した程度を考慮して、補償政策を立てることもできる。マイクログリッドは、構築後、負荷量に変動が発生し得る。したがって、周期的に、その負荷量の変動に応じて、能動的にマイクログリッドの運用戦略が立てられなければならない。マイクログリッドのそれぞれは、自律性が保障され、その自律性を前提として、統合運用環境が構築されなければならない。したがって、自律性の側面で発生し得る予測しなかった負荷増加というリスクを、周期的なエネルギー自立寄与度の評価によって、特定のマイクログリッドを対象として確認することができる。
【0061】
*エネルギー自立度の変化要因の分析サービス
先ず、エネルギー自立度の変化要因の分析サービスにおいて用いられるエネルギー自立度として、上述したエネルギー自立度の評価サービスにおいて算出されるエネルギー自立度が用いられてもよい。
【0062】
61850運用DB231は、マイクログリッド別のリアルタイム負荷量、分散型電源別のリアルタイム発電量、分散型電源が設置された空間のリアルタイム環境情報(出力制御が不可能な分散型電源の発電量に影響を及ぼす風量、日射量、温度等)を収集することができる。
【0063】
統合DW232は、マイクログリッドのそれぞれの時間帯別の負荷量、リアルタイム環境条件において、理想的な分散型電源の発電量、及びリアルタイム実際分散型電源の発電量等に関する情報を生成、保存及び管理することができる。リアルタイム環境条件において、理想的な分散型電源の発電量は、例えば、日射量及び温度情報を用いて理想的な太陽光発電量を算出することにより算出されてもよく、風力発電の場合、該当時間帯における風量を用いて理想的な風力発電量を算出することにより算出されてもよい。
【0064】
データマート233は、上述した方式により、ピーク時間帯におけるエネルギー自立度が評価され、そのエネルギー自立度が、既設定された基準エネルギー自立度(例えば、120%)未満である場合、その要因を分析することができる。このため、データマート233は、過去データのうち、エネルギー自立度が最も高く算出された時間帯におけるマイクログリッド別の負荷量及び現在基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド別の負荷量を用いて、下記の数学式により、マイクログリッドのそれぞれの負荷増加量を算出することができる。
【0065】
[数学式4]
マイクログリッド別の負荷増加量=基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッドの負荷量-過去データのうち、エネルギー自立度が最も高く算出された時間帯におけるマイクログリッドの負荷量
【0066】
また、データマート233は、現在基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド別の出力制御が不可能な分散型電源の発電損失量を、下記の数学式を用いて算出することができる。
【0067】
[数学式5]
エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド別の出力制御が不可能な分散型電源の発電損失量=基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド内のリアルタイム環境条件において、理想的な出力制御が不可能な分散型電源の発電量- 基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド内のリアルタイムの出力制御が不可能な分散型電源の実際発電量
【0068】
データマート233は、下記の数学式により、第1のエネルギー自立度の下降寄与指数をマイクログリッドのそれぞれについて算出することができる。
【0069】
[数学式6]
第1のエネルギー自立度の下降寄与指数=マイクログリッド別の負荷増加量/複数のマイクログリッドの総負荷増加量
【0070】
データマート233は、下記の数学式により、第2のエネルギー自立度の下降寄与指数を、マイクログリッドのそれぞれについて算出することができる。
【0071】
[数学式7]
第2のエネルギー自立度の下降寄与指数=エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド別の出力制御が不可能な分散型電源の発電損失量/エネルギー自立度未満の時間帯における複数のマイクログリッド全体の出力制御が不可能な分散型電源の発電損失量
【0072】
データマート233は、第1及び第2のエネルギー自立度の下降寄与指数のうち、1順位(最上位順位)から下位順位へエネルギー自立度の下降に寄与した要因を順次除去して、エネルギー自立度の回復状態を判断することができる。例えば、エネルギー自立度の下降寄与指数が1順位であることが、第1のマイクログリッドの負荷増加がエネルギー自立度の下降に寄与した要因である場合、第1のマイクログリッドの負荷増加量がない状態におけるエネルギー自立度を判断することができる。このとき、現在基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるエネルギー自立度の算出式により、第1のマイクログリッドの負荷量を、過去データのうち、エネルギー自立度が最も高く算出された時間帯におけるマイクログリッドの負荷量に変更したときのエネルギー自立度が算出されてもよい。また、その算出されたエネルギー自立度が、基準自立度以上であるか否かが判断され得る。このとき、エネルギー自立度の下降寄与指数のうち、1順位によるエネルギー自立度の下降に寄与した要因の除去にもかかわらず、エネルギー自立度が基準エネルギー自立度以上にならなければ、2順位によるエネルギー自立度の下降に寄与した要因を除去した後、エネルギー自立度が基準エネルギー自立度以上であるか否かを判断することができる。ここで、例えば、2順位によるエネルギー自立度の下降に寄与した要因は、第2のマイクログリッドの出力制御が不可能な分散型電源の発電損失であり得る。このとき、現在基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるエネルギー自立度の算出式により、第1のマイクログリッドの負荷量を、過去データのうち、エネルギー自立度が最も高く算出された時間帯におけるマイクログリッドの負荷量に変更し、現在基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるエネルギー自立度の算出式により、第2のマイクログリッドの出力制御が不可能な分散型電源の発電量を、基準エネルギー自立度未満の時間帯におけるマイクログリッド内のリアルタイム環境条件において、理想的な出力制御が不可能な分散型電源の発電量に変更したときのエネルギー自立度が算出され得る。また、その算出されたエネルギー自立度が、基準自立度以上であるか否かが判断され得る。このような方式により、第1及び第2のエネルギー自立度の下降寄与指数のうち、1順位(最上位順位)から下位順位へエネルギー自立度の下降に寄与した要因を順次除去しながら、除去した状態を基準として、複数のマイクログリッドクラスタのエネルギー自立度が基準エネルギー自立度以上になるまで、データマート233は、演算を行うことができる。
【0073】
また、データマート233は、エネルギー自立度の回復のために除去されなければならない要因についての情報を提供することができる。エネルギー自立度の回復のために除去されなければならない要因についての情報としては、複数のマイクログリッドクラスタのエネルギー自立度が基準エネルギー自立度以上になるまでに除去された第1及び第2のエネルギー自立度の下降寄与指数のうち、1順位(最上位順位)から下位順位までのエネルギー自立度の下降寄与指数、及びその下降寄与指数の算出のために用いられた変数(リアルタイム環境条件において、理想的な出力制御が不可能な分散型電源の発電量、リアルタイムの出力制御が不可能な分散型電源の実際発電量、基準エネルギー自立度未満の時間帯における単一マイクログリッドの負荷量、基準エネルギー自立度未満の時間帯における複数のマイクログリッドの全体負荷量等)であってもよい。
【0074】
上述したエネルギー自立度の変化要因の分析サービスを統合MG運用者に提供することにより、統合MG運用者がエネルギー自立度の変化を引き起こした因子を正確に把握することができる。また、上述したエネルギー自立度の変化要因の分析サービスを個別MG運用者に提供することにより、個別MG運用者がエネルギー自立寄与度に悪影響を及ぼす要因を分析して、分散型電源の増設、ESSの増設、負荷の減縮、出力制御が可能な分散型電源の増設等の措置を取らせることができる。これとともに、出力制御が不可能な分散型電源を基準として、エネルギー自立度の下降寄与指数を算出し、それに対する対策を立てるように、個別及び統合MG運用者に情報を提供することにより、出力制御が不可能な分散型電源により発生するエネルギー自立度の不確定的な要素を最小化することができる。
図1
図2
図3
図4