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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】可変表示体及び可変表示体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20220914BHJP
   G09F 13/12 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
G09F13/04 J
G09F13/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018109213
(22)【出願日】2018-06-07
(65)【公開番号】P2019211681
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】500570254
【氏名又は名称】フジマーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】竹村 敏彦
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-170461(JP,A)
【文献】特開2008-262008(JP,A)
【文献】特開2008-276004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/04
G09F 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する基体と、
互いに離間する複数のセグメントで構成されるとともに、別々の色の光源の光に対する光透過性をそれぞれ有し、各セグメントが重ならないように同じ領域に配置される複数種類の表示パターン層と、
該表示パターン層以外の領域を遮光する遮光層と
全表示パターン層に対して透過光量を下げるための第一の光量制御層と、
表示パターン層ごとに形成され、表示パターン層ごとに透過光量をさらに下げるとともに、各表示パターン層の透過光量を均一化するために表示パターン層ごとに透過光量の下げ量を調整するための第二の光量制御層と
を備え、
前記光源を切り替えて発光制御することにより、異なる表示パターン層による表示を行う
可変表示体。
【請求項2】
前記第二の光量制御層は、層の濃度又は層の厚さが異なることにより、表示パターン層ごとに透過光量の下げ量を調整する
求項1に記載の可変表示体。
【請求項3】
前記第一の光量制御層は、前記全セグメントを包含するように設けられ、
前記第二の光量制御層は、前記セグメントごとに設けられる
請求項1又は請求項2に記載の可変表示体。
【請求項4】
光透過性を有する基体に対し、
互いに離間する複数のセグメントで構成されるとともに、別々の色の光源の光に対する光透過性をそれぞれ有し、各セグメントが重ならないように同じ領域に配置される複数種類の表示パターン層を形成する工程と、
該表示パターン層以外の領域を遮光する遮光層を形成する工程と
全表示パターン層に対して透過光量を下げるための第一の光量制御層を形成する工程と、
表示パターン層ごとに透過光量をさらに下げるとともに、各表示パターン層の透過光量を均一化するために表示パターン層ごとに透過光量の下げ量を調整するための第二の光量制御層を表示パターン層ごとに形成する工程と
を備える可変表示体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ領域に異なる表示パターンを表示することができる可変表示体及び可変表示体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の可変表示体としては、光透過性を有するシートに青色光源、緑色光源及び赤色光源の光を切り換えて投光させ、第一の表示パターン、第二の表示パターン、第三の表示パターンを発光表示する可変表示体であって、一つの光源の光を透過させる単光透過印刷部分と、複数の光源の光を透過させる複数光透過印刷部分と、いずれの光源の光も透過させない背景印刷部分とをシートにそれぞれの印刷領域として備えたものが公知となっている(特許文献1)。
【0003】
かかる可変表示体は、同じ領域に三つの表示パターンを配置し、表示パターンが重ならない部位を単光透過印刷部分とし、表示パターンが重なる部位を複数光透過印刷部分とするもので、一つの光源の光が単光透過印刷部分と複数光透過印刷部分を透過することにより、表示パターンを発光表示させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-276004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の可変表示体においては、単光透過印刷部分を透過する光の光量と複数光透過印刷部分を透過する光の光量を均一にすることが難しく、また、単光透過印刷部分を透過する光と複数光透過印刷部分を透過する光との間に僅かにでも色差が生じるため、表示パターンが継ぎ接ぎ的な様相を呈し、表示パターンを綺麗に表示できないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、新規な形態の表示パターンを採用することにより、各表示パターンを綺麗に表示することができる可変表示体及び可変表示体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る可変表示体は、
光透過性を有する基体と、
互いに離間する複数のセグメントで構成されるとともに、別々の色の光源の光に対する光透過性をそれぞれ有し、各セグメントが重ならないように同じ領域に配置される複数種類の表示パターン層と、
表示パターン層以外の領域を遮光する遮光層と
全表示パターン層に対して透過光量を下げるための第一の光量制御層と、
表示パターン層ごとに形成され、表示パターン層ごとに透過光量をさらに下げるとともに、各表示パターン層の透過光量を均一化するために表示パターン層ごとに透過光量の下げ量を調整するための第二の光量制御層と
を備え、
光源を切り替えて発光制御することにより、異なる表示パターン層による表示を行うものである。
【0008】
ここで、本発明に係る可変表示体の一態様として、
第二の光量制御層は、層の濃度又は層の厚さが異なることにより、表示パターン層ごとに透過光量の下げ量を調整する
との構成を採用することができる。
【0009】
この場合、
第一の光量制御層は、全セグメントを包含するように設けられ、
第二の光量制御層は、セグメントごとに設けられる
との構成を採用することができる。
【0010】
また、本発明に係る可変表示体の製造方法は、
光透過性を有する基体に対し、
互いに離間する複数のセグメントで構成されるとともに、別々の色の光源の光に対する光透過性をそれぞれ有し、各セグメントが重ならないように同じ領域に配置される複数種類の表示パターン層を形成する工程と、
表示パターン層以外の領域を遮光する遮光層を形成する工程と
全表示パターン層に対して透過光量を下げるための第一の光量制御層を形成する工程と、
表示パターン層ごとに透過光量をさらに下げるとともに、各表示パターン層の透過光量を均一化するために表示パターン層ごとに透過光量の下げ量を調整するための第二の光量制御層を表示パターン層ごとに形成する工程と
を備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
以上の如く、本発明に係る可変表示体及び可変表示体の製造方法によれば、各表示パターンは、互いに離間する複数のセグメントで構成されるため、新規な形態の表示パターンとすることができるとともに、各表示パターンは、各セグメントを等しく透過した光源の光によって構成されるため、光量及び色差にバラつきがなく、各表示パターンを綺麗に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)は、本発明の一実施形態に係る可変表示体を用いた可変表示装置の斜視図、図1(b)は、同可変表示装置の断面図である。
図2図2は、同可変表示体の表示パターンであって、図2(a)は、青色のLED光源を点灯した場合の表示パターン(第一の表示パターン)、図2(b)は、緑色のLED光源を点灯した場合の表示パターン(第二の表示パターン)、図2(c)は、赤色のLED光源を点灯した場合の表示パターン(第三の表示パターン)である。
図3図3は、同可変表示体の断面図である。
図4図4は、同可変表示体の製造方法のフロー図である。
図5図5は、第一の光量制御層形成工程の説明図であって、図5(a)は、同工程後の基体の裏面図、図5(b)は、同断面図である。
図6図6は、遮光層形成工程の説明図であって、図6(a)は、同工程後の基体の裏面図、図6(b)は、同断面図である。
図7図7は、第一の表示パターンに係る第二の光量制御層形成工程の説明図であって、図7(a)は、同工程後の基体の裏面図、図7(b)は、同断面図である。
図8図8は、第二の表示パターンに係る第二の光量制御層形成工程の説明図であって、図8(a)は、同工程後の基体の裏面図、図8(b)は、同断面図である。
図9図9は、第三の表示パターンに係る第二の光量制御層形成工程の説明図であって、図9(a)は、同工程後の基体の裏面図、図9(b)は、同断面図である。
図10図10は、第一の表示パターンに係る表示パターン層形成工程の説明図であって、図10(a)は、同工程後の基体の裏面図、図10(b)は、同断面図である。
図11図11は、第二の表示パターンに係る表示パターン層形成工程の説明図であって、図11(a)は、同工程後の基体の裏面図、図11(b)は、同断面図である。
図12図12は、第三の表示パターンに係る表示パターン層形成工程の説明図であって、図12(a)は、同工程後の基体の裏面図、図12(b)は、同断面図、すなわち、完成した可変表示体の断面図である。
図13図13(a)、(b)は、それぞれ他実施形態に係る可変表示体の断面図である。
図14図14は、別の実施形態に係る可変表示体の表示パターンであって、図14(a)ないし(c)は、異なる色の光源を点灯した場合の表示パターン(第一ないし第三の表示パターン)である。
図15図15は、さらに別の実施形態に係る可変表示体の表示パターンであって、図15(a)ないし(c)は、異なる色の光源を点灯した場合の表示パターン(第一ないし第三の表示パターン)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る可変表示体及びこの製造方法の一実施形態について説明するが、まず、可変表示体の構成について、図1ないし図3を参酌して説明する。
【0015】
図1に示す如く、本実施形態に係る可変表示体5は、平面状のプレートからなり、例えば光源3を内装した筐体2の開口部2aに取り付けられ、あるいは、筐体2の一部として構成され、可変表示装置1となる。
【0016】
光源3は、例えば、プリント配線基板である基板4に実装されたLED光源からなり(回路及び電源については図示しない。)、青色光を発光する青色LEDからなる青色光源3aと、緑色光を発光する緑色LEDからなる緑色光源3bと、赤色光を発光する赤色LEDからなる赤色光源3cの三色光源である。一例として、青色光は、中心波長が450nmの光であり、緑色光は、中心波長が520nmの光であり、赤色光は、中心波長が650nmの光である。
【0017】
図2に示す如く、可変表示体5は、三色光源3の各色に対応して、青色に発光する表示パターン(第一の表示パターン)5Aと、緑色に発光する表示パターン(第二の表示パターン)5Bと、赤色に発光する表示パターン(第三の表示パターン)5Cの三つの表示パターンを可変表示できるようになっている。
【0018】
すなわち、第一の表示パターン5Aは、青色光源3aの青色光を透過し、他の光源の光(緑色光源3bの緑色光及び赤色光源3cの赤色光)を透過しない特性を有し、第二の表示パターン5Bは、緑色光源3bの緑色光を透過し、他の光源の光(青色光源3aの青色光及び赤色光源3cの赤色光)を透過しない特性を有し、第三の表示パターン5Cは、赤色光源3cの赤色光を透過し、他の光源の光(青色光源3aの青色光及び緑色光源3bの緑色光)を透過しない特性を有する。
【0019】
各表示パターン5A,5B,5Cは、互いに離間する複数のセグメント5a,5b,5cで構成される。本実施形態においては、各セグメント5a,5b,5cは、円形であり、この円形の直径の2倍以上の距離を有する縦横等間隔の格子点の上に配置される。
【0020】
また、各表示パターン5A,5B,5Cは、互いに縦横等間隔の格子点のピッチがずれているため、各セグメント5a,5b,5cは、重なっていない。すなわち、各表示パターン5A,5B,5Cは、各セグメント5a,5b,5cが重ならないようにしつつ同じ領域に重なって配置される。したがって、表示を見る者は、視線を移すことなく、各表示パターン5A,5B,5Cを見ることができる。
【0021】
ピッチをずらす方法としては、各表示パターン5A,5B,5Cを互いに半ピッチだけずらす方法が挙げられる。本実施形態においては、第二の表示パターン5Bは、第一の表示パターン5Aに対し、縦方向に半ピッチずれており、第三の表示パターン5Cは、第一の表示パターン5Aに対し、横方向に半ピッチずれている。
【0022】
図3に示す如く、可変表示体5は、基体50と、基体50の裏面に積層される第一の光量制御層51と、第一の光量制御層51の上の、各表示パターン5A,5B,5Cの各セグメント5a,5b,5c以外の領域に積層される遮光層52と、遮光層52の遮光層非形成部52a及びその周辺の遮光層52の上に積層される第二の光量制御層53と、第二の光量制御層53の上に積層される、各表示パターン5A,5B,5Cからなる表示パターン層54の多層構造体である。
【0023】
基体50は、合成樹脂や紙等からなり、各光源3a,3b,3cの光透過性を有するシートである。本実施形態においては、基体50は、厚さが0.1~0.4mmのポリカーボネートのシートである。他方、本実施形態においては、各層51~54は、印刷によって形成された印刷層である。
【0024】
第一の光量制御層51は、表示パターン層54を透過する各光源3a,3b,3cの光量を下げるためのものである。光量を下げないと、光量が強すぎるために、いずれかの光源が点灯した時に、対応する表示パターンが発光表示されるのみならず、他の表示パターンにも僅かに光が透過してその表示パターンがうっすらと見えてしまい、見栄えの悪いものとなるが、第一の光量制御層51を設けることにより、いずれかの光源が点灯した時は、対応する表示パターンのみが発光表示され、綺麗な表示が可能となる。また、第一の光量制御層51を設けることにより、各光源3a,3b,3cが点灯していない時は、各表示パターン5A,5B,5Cを目立たなくすることができる。なお、第一の光量制御層51は、可変表示体5の背景色を定めるものでもある。
【0025】
遮光層52は、表示パターン層54以外の領域から光が透過するのを規制するためのものである。言い換えれば、遮光層52は、各光源3a,3b,3cの光が透過するのを許容する領域を画するものである。したがって、遮光層52は、各表示パターン5A,5B,5Cの各セグメント5a,5b,5cの配置に対応した遮光層非形成部52aを有している。
【0026】
なお、遮光層52は、第一の光量制御層51を白色で形成した場合、濃い灰色で形成される。遮光層52を黒色で形成すると、第一の光量制御層51との色差が大きくなり、表示パターンがうっすらと見えてしまうおそれがあるが、遮光層52を濃い灰色で形成することにより、遮光機能を担保しつつ、第一の光量制御層51との色差が少なくなるために、各表示パターン5A,5B,5Cを目立たなくすることができる。
【0027】
第二の光量制御層53は、第一の光量制御層51で下げる光量よりもさらに光量を下げるためのものであるとともに、その下げ量を表示パターン5A,5B,5Cごとに異ならせるためのものである。上述したとおり、第一の光量制御層51を設けることにより、いずれかの光源が点灯した時は、対応する表示パターンのみを発光表示させることができ、各光源3a,3b,3cが点灯していない時は、各表示パターン5A,5B,5Cを目立たなくすることができるが、それでも、表示パターン5A,5B,5Cごとにその効果の程度が僅かに違ってくる。第二の光量制御層53は、これを調整ないし微調整するもので、第二の光量制御層53を設けることにより、その効果を各表示パターン5A,5B,5Cで均一化することができる。
【0028】
表示パターン5A,5B,5Cごとに透過光量を調整ないし微調整する方法としては、第一の表示パターン5Aに係る第二の光量制御層53a、第二の表示パターン5Bに係る第二の光量制御層53b、第三の表示パターン5Cに係る第二の光量制御層53cのそれぞれの濃度(光透過度)や層の厚さを異ならせる方法が挙げられる。本実施形態においては、各第二の光量制御層53a,53b,53cにおいて、黒色インク及び白色インクに対するメジウム(透明インキ)の配合比率を異ならせることにより、第二の光量制御層53a,53b,53cごとに濃度(光透過度)を異ならせるようにしている。
【0029】
ここで、各第二の光量制御層53a,53b,53cは、対応する遮光層非形成部52aの大きさの1.2倍以上、より好ましくは、1.3倍以上であって、1.8倍以下、より好ましくは、1.7倍以下の大きさ(本実施形態においては、各第二の光量制御層53a,53b,53c及び遮光層非形成部52aは、円形に形成されるので、径)に形成される。これは、遮光層非形成部52aに対して第二の光量制御層53が僅かにずれて形成されたとしても、遮光層非形成部52a全域に第二の光量制御層53が形成されるようにするためである。
【0030】
また、各第二の光量制御層53a,53b,53cは、第一の光量制御層51と同じ厚さに形成される。あるいは、各第二の光量制御層53a,53b,53cは、第一の光量制御層51よりも薄くあるいは厚く形成されるものであってもよい。
【0031】
表示パターン層54は、上述したとおり、第一の表示パターン5Aに係る表示パターン層54aと、第二の表示パターン5Bに係る表示パターン層54bと、第三の表示パターン5Cに係る表示パターン層54cからなる。
【0032】
本実施形態においては、第一の表示パターン5Aに係る表示パターン層54aは、青色系のインキを用いて形成され、可変表示体5の裏面側に配置された青色光源3aの青色光を透過する。そして、表示パターン層54aを透過した青色光は、第一の表示パターン5Aに係る第二の光量制御層53a及び第一の光量制御層51を透過して第一の表示パターン5Aに固有の条件で透過光量が制御された状態で基体50を透過し、基体50の表面側に出射されて、第一の表示パターン5Aが青色に発光表示される。
【0033】
また、本実施形態においては、第二の表示パターン5Bに係る表示パターン層54bは、緑色系のインキを用いて形成され、可変表示体5の裏面側に配置された緑色光源3bの緑色光を透過する。そして、表示パターン層54bを透過した緑色光は、第二の表示パターン5Bに係る第二の光量制御層53b及び第一の光量制御層51を透過して第二の表示パターン5Bに固有の条件で透過光量が制御された状態で基体50を透過し、基体50の表面側に出射されて、第二の表示パターン5Bが緑色に発光表示される。
【0034】
また、本実施形態においては、第三の表示パターン5Cに係る表示パターン層54cは、赤色系のインキを用いて形成され、可変表示体5の裏面側に配置された赤色光源3cの赤色光を透過する。そして、表示パターン層54cを透過した赤色光は、第三の表示パターン5Cに係る第二の光量制御層53b及び第一の光量制御層51を透過して第三の表示パターン5Cに固有の条件で透過光量が制御された状態で基体50を透過し、基体50の表面側に出射されて、第三の表示パターン5Cが赤色に発光表示される。
【0035】
本実施形態に係る可変表示体5は、以上の構成からなり、次に、この可変表示体5の製造方法について、図4ないし図12を参酌して説明する。
【0036】
本実施形態においては、第一の光量制御層51、遮光層52、第一の表示パターン5Aに係る第二の光量制御層53a、第二の表示パターン5Bに係る第二の光量制御層53b、第三の表示パターン5Cに係る第二の光量制御層53c、第一の表示パターン5Aに係る表示パターン層54a、第二の表示パターン5Bに係る表示パターン層54b、第三の表示パターン5Cに係る表示パターン層54cの順で形成する。したがって、図4に示す如く、本実施形態に係る可変表示体5の製造方法は、第一の光量制御層形成工程S1、遮光層形成工程S2、第一の表示パターンに係る第二の光量制御層形成工程S3、第二の表示パターンに係る第二の光量制御層形成工程S4、第三の表示パターンに係る第二の光量制御層形成工程S5、第一の表示パターンに係る表示パターン層形成工程S6、第二の表示パターンに係る表示パターン層形成工程S7、第三の表示パターンに係る表示パターン層形成工程S8からなる。
【0037】
図5に示す如く、第一の光量制御層形成工程S1では、基体50の裏面に第一の光量制御層51が印刷により塗工される。本実施形態においては、矩形の基体50の裏面全面に第一の光量制御層51が形成されるが、第一の光量制御層51は、各表示パターン5A,5B,5Cの各セグメント5a,5b,5cを全て包含した上で、必要な領域に形成されるものであればよい。
【0038】
図6に示す如く、遮光層形成工程S2では、第一の光量制御層51の上の、各表示パターン5A,5B,5Cの各セグメント5a,5b,5cが配置される領域を除く領域に、遮光層52が印刷により塗工される。上述したとおり、各セグメント5a,5b,5cは、ピッチをずらしているため、各セグメント5a,5b,5cに対応する各遮光層非形成部52aは、重なっていない。
【0039】
図7に示す如く、第一の表示パターンに係る第二の光量制御層形成工程S3では、第一の表示パターン5Aに対応した遮光層非形成部52a及びその周辺の遮光層52の上に、第一の表示パターン5Aに係る第二の光量制御層53aが印刷により塗工される。また、図8に示す如く、第二の表示パターンに係る第二の光量制御層形成工程S4では、第二の表示パターン5Bに対応した遮光層非形成部52a及びその周辺の遮光層52の上に、第二の表示パターン5Bに係る第二の光量制御層53bが印刷により塗工される。さらに、図9に示す如く、第三の表示パターンに係る第二の光量制御層形成工程S5では、第三の表示パターン5Cに対応した遮光層非形成部52a及びその周辺の遮光層52の上に、第三の表示パターン5Cに係る第二の光量制御層53cが印刷により塗工される。なお、これらの工程は、どの順で行ってもよい。
【0040】
図10に示す如く、第一の表示パターンに係る表示パターン層形成工程S6では、第一の表示パターン5Aに係る第二の光量制御層53aの上に、第一の表示パターン5Aに係る表示パターン層54aが印刷により塗工される。また、図11に示す如く、第二の表示パターンに係る表示パターン層形成工程S7では、第二の表示パターン5Bに係る第二の光量制御層53bの上に、第二の表示パターン5Bに係る表示パターン層54bが印刷により塗工される。さらに、図12に示す如く、第三の表示パターンに係る表示パターン層形成工程S8では、第三の表示パターン5Cに係る第二の光量制御層53cの上に、第三の表示パターン5Cに係る表示パターン層54cが印刷により塗工される。これにより、可変表示体5は完成する。なお、これらの工程は、どの順で行ってもよい。また、同じ表示パターンに係る第二の光量制御層形成工程と表示パターン層形成工程を続けて行い、これを他の表示パターンについても同様に行うようにしてもよい。
【0041】
以上説明した本実施形態に係る可変表示体及びこの製造方法によれば、各表示パターン5A,5B,5Cは、互いに離間する複数のセグメント5a,5b,5cで構成されるため、新規な形態の表示パターン5A,5B,5Cとすることができる。また、各表示パターン5A,5B,5Cは、従来のように、単光透過印刷部分と複数光透過印刷部分の二種類の要素で構成されるのではなく、セグメント5a,5b,5cという単一の要素の集合体で構成され、これにより、各表示パターン5A,5B,5Cは、各セグメント5a,5b,5cを等しく透過した光源の光によって構成されるため、光量及び色差にバラつきがなく、各表示パターン5A,5B,5Cを綺麗に表示することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る可変表示体及びこの製造方法によれば、第一の光量制御層51による全体の光量制御と、第二の光量制御層53による表示パターン5A,5B,5Cごとの個別の光量制御とを組み合わせて行うことにより、いずれかの光源が点灯した時は、対応する表示パターンのみを発光表示させることができるという効果、及び、各光源3a,3b,3cが点灯していない時は、各表示パターン5A,5B,5Cを目立たなくすることができるという効果を極めて高いレベルで達成することができる。
【0043】
なお、本発明に係る可変表示体及びこの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0044】
例えば、上記実施形態においては、表示パターンの例示として、四角形と三角形と円形の組み合わせが挙げられている。しかし、本発明の表示パターンがこれに限定されないのはもちろんである。表示パターンとしては、文字、記号、図形、図柄等、種々のものを採用することができる。
【0045】
また、上記実施形態においては、光源色として、青色、緑色、赤色の三原色が用いられる。しかし、光源の色はこれらに限定されるものではない。光源自体の色あるいは光源にカラーフィルターを組み合わせたもの等で投光することができる色すべてを含むものである。また、上記実施形態においては、光源として、LEDを用いた。しかし、LED以外の光源であってもよいことはもちろんである。
【0046】
また、本発明に係る可変表示体の構造は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、各層51~54が全て基体50の裏面側に設けられるが、一部は基体50の表面側に設けられるようにしてもよい。一例として、図13(a)に示す如く、第一の光量制御層51は、基体50の表面に積層されるようにしてもよい。この場合、第一の光量制御層形成工程は、上記実施形態と同様、最初に行ってもよいし、遮光層形成工程、第一の表示パターンに係る第二の光量制御層形成工程、第二の表示パターンに係る第二の光量制御層形成工程、第三の表示パターンに係る第二の光量制御層形成工程、第一の表示パターンに係る表示パターン層形成工程、第二の表示パターンに係る表示パターン層形成工程、又は第三の表示パターンに係る表示パターン層形成工程のいずれかの後に行ってもよい。
【0047】
また、図13(b)に示す如く、第一の光量制御層作成工程に先立ち、基体50の裏面に対し、遮光層形成工程を行い、遮光層52の遮光層非形成部52a及び遮光層52の上に第一の光量制御層51を積層するようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、各光源3a,3b,3cの光は、表示パターン層54、第二の光量制御層53、第一の光量制御層51の順で透過するようになっている。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、第一の光量制御層、第二の光量制御層、表示パターン層の順で光が透過する層構造であってもよく、第一の光量制御層、第二の光量制御層、表示パターン層の光が透過する順序は特に限定されない。
【0049】
また、上記実施形態においては、各第二の光量制御層53a,53b,53cは、それぞれメジウムの配合量を変えることにより、光量調整度を異ならせている。しかし、各第二の光量制御層がすべて光量調整度が異なっている必要はない。例えば、緑色と赤色は補色関係にあることから、第二の表示パターン5Bに係る第二の光量制御層53bと第三の表示パターン5Cに係る第二の光量制御層53cの光量調整度を同じにすることは可能である。
【0050】
また、上記実施形態においては、各セグメント5a,5b,5cは円形である。しかし、セグメントの形状はこれに限定されるものではない。例えば、図14に示す如く、セグメントは線状であってもよい。この場合、各表示パターン5A,5B,5Cが1/3ピッチずつずれて配置されることで、各セグメント5a,5b,5cは重なっていない。
【0051】
また、上記実施形態においては、基体50は、シートの形態である。しかし、基体は、所定の厚みを有し、側面に対向配置した光源の光を裏面内面で反射して表面に出射する導光体の形態であってもよい。
【0052】
また、上記実施形態においては、可変表示できる表示パターンは三種類である。しかし、可変表示できる表示パターンは二種類あるいは四種類以上であってもよい。この場合、可変表示する表示パターンの種類の数に応じて、色が異なる光源を設けることになる。
【0053】
また、上記実施形態においては、可変表示する全表示パターンが重なるものである。しかし、例えば、第一の表示パターンと第二の表示パターンとが重なり、第三の表示パターンは第一の表示パターンには重ならず、第二の表示パターンと重なるというように、全表示パターンの一部だけが重なるようにしてもよい。
【0054】
ところで、上記実施形態(前段落までの記載を含む、以下同様。)の技術は、一つの表示領域に異なる表示パターンを表示する技術であることから、かかる技術は、図15に示す可変表示体5にも適用することができる。
【0055】
かかる可変表示体5は、経時的な状態変化及び/又は位置変化を伴う表示パターンを表示するものである。一例としての図15では、第一の表示パターン5Aは、ヤシの木に登り始めるサルを表し、例えば青色に発光表示される。第二の表示パターン5Bは、ヤシの木の途中まで登ったサルを表し、例えば緑色に発光表示される。第三の表示パターン5Cは、ヤシの木に登り切り、ヤシの実を取ろうとするサルを表し、例えば赤色に発光表示される。この場合、各表示パターン5A,5B,5Cは、上記実施形態と同様、互いに離間する複数のセグメントで構成してもよいし、そうではなく、連続した一体の表示パターンであってもよい。
【0056】
かかる可変表示体5も、上記実施形態の技術を用いて製造され得る。したがって、一例として、第一の光量制御層51は、全表示パターン5A,5B,5Cを包含するように形成され、第二の光量制御層53は、表示パターン5A,5B,5Cごとに形成される。ただし、図15の例では、各表示パターン5A,5B,5Cは、位置変化を伴うことから、互いに離間した配置態様となっている。そのため、第一の光量制御層51は、表示パターン5A,5B,5Cごとに形成されるようにしてもよい。
【0057】
なお、かかる可変表示体5は、追加の要素として、背景画像6を有している。図15の例では、背景画像6は、線画で表され、基体50の表面に例えば印刷により形成されるか(表刷り)、基体50の裏面であって、第一の光量制御層51との間に例えば印刷により形成される(裏刷り)。この背景画像6を形成する技術は、上記実施形態にも適用できる。
【0058】
かかる可変表示体5によれば、各表示パターン5A,5B,5Cが経時的な状態変化及び/又は位置変化を伴って表示されることから、単純ではあるが、液晶画面にはない興趣性に富んだ表示となり、見る者を飽きさせないという効果がある。
【符号の説明】
【0059】
1…可変表示装置、2…筐体、2a…開口部、3…光源、3a…青色光源、3b…緑色光源、3c…赤色光源、4…基板、5…可変表示体、5A…第一の表示パターン、5B…第二の表示パターン、5C…第三の表示パターン、5a…第一の表示パターンを構成するセグメント、5b…第二の表示パターンを構成するセグメント、5c…第三の表示パターンを構成するセグメント、50…基体、51…第一の光量制御層、52…遮光層、52a…遮光層非形成部、53…第二の光量制御層、53a…第一の表示パターンに係る第二の光量制御層、53b…第二の表示パターンに係る第二の光量制御層、53c…第三の表示パターンに係る第二の光量制御層、54…表示パターン層、54a…第一の表示パターンに係る表示パターン層、54b…第二の表示パターンに係る表示パターン層、54c…第三の表示パターンに係る表示パターン層、6…背景画像
図1
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