IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧

特許7141372乗客コンベアのフェンス、乗客コンベア及びフェンスの設置方法
<>
  • 特許-乗客コンベアのフェンス、乗客コンベア及びフェンスの設置方法 図1
  • 特許-乗客コンベアのフェンス、乗客コンベア及びフェンスの設置方法 図2
  • 特許-乗客コンベアのフェンス、乗客コンベア及びフェンスの設置方法 図3
  • 特許-乗客コンベアのフェンス、乗客コンベア及びフェンスの設置方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-13
(45)【発行日】2022-09-22
(54)【発明の名称】乗客コンベアのフェンス、乗客コンベア及びフェンスの設置方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/04 20060101AFI20220914BHJP
   B66B 23/22 20060101ALI20220914BHJP
【FI】
B66B29/04 J
B66B23/22 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019153671
(22)【出願日】2019-08-26
(65)【公開番号】P2021031242
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 考生
(72)【発明者】
【氏名】宇津宮 博文
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-315743(JP,A)
【文献】特開平09-279803(JP,A)
【文献】特開平07-291569(JP,A)
【文献】実開昭56-124666(JP,U)
【文献】米国特許第06006889(US,A)
【文献】中国特許出願公開第101966961(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 23/00-31/02
E04F 11/00-11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の欄干部を有する乗客コンベアの前記一対の欄干部の外側に設置されるフェンスにおいて、
前記一対の欄干部の外側に配置されるパネル部材と、
前記欄干部における隣り合う2つの欄干パネルの間に配置される支持パネルと、
前記パネル部材を支持し、前記支持パネルに設けられた支柱と、
を備え、
前記支持パネルは、前記欄干パネルとは異なる材質により形成される
乗客コンベアのフェンス。
【請求項2】
前記支持パネルの板厚は、前記欄干パネルの板厚と同じに設定されている
請求項1に記載の乗客コンベアのフェンス。
【請求項3】
前記支持パネルは、前記欄干パネルを支持する部材と同一の部材に設置される
請求項1に記載の乗客コンベアのフェンス。
【請求項4】
前記支持パネルは、前記欄干パネルよりも強度及び剛性が高い材質により形成される
請求項に記載の乗客コンベアのフェンス。
【請求項5】
前記支柱は、
前記支持パネルから幅方向の外側に突出する梁部材と、
前記梁部材における前記支持パネルとは反対側の端部に設けられ、前記パネル部材を支持する支持部材と、
を有する請求項1に記載の乗客コンベアのフェンス。
【請求項6】
前記支持パネルには、前記梁部材を固定する固定部材が設けられている
請求項に記載の乗客コンベアのフェンス。
【請求項7】
一対の欄干部と、前記一対の欄干部の外側に設置されるフェンスと、を備え、
前記フェンスは、
前記欄干部よりも幅方向の外側に配置されるパネル部材と、
前記欄干部における隣り合う2つの欄干パネルの間に配置される支持パネルと、
前記パネル部材を支持し、前記支持パネルに設けられた支柱と、
を備え、
前記支持パネルは、前記欄干パネルとは異なる材質により形成される
乗客コンベア。
【請求項8】
乗客コンベアの欄干部に設置されるフェンスの設置方法において、
前記欄干部における隣り合う2つの欄干パネルの間に支持パネルを設置する工程と、
前記支持パネルに設けられた支柱にパネル部材を設置する工程と、
を含み、
前記支持パネルは、前記欄干パネルとは異なる材質により形成される
フェンスの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアに設けられるフェンス、乗客コンベア及びフェンスの設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアは、建築構造物に設置されるフレームと、このフレーム内に設けられて循環移動する無端状に連結された複数の踏段とを備えている。複数の踏段には、無端状のチェーンが連結されており、このチェーンが回転駆動することで、複数の踏段が循環移動する。さらに、フレームには、複数の踏段の移動方向に沿って一対の欄干部が立設されている。また、人や物が欄干部の外側に落下することを防ぐために、欄干部の外側には、フェンスが設けられている。
【0003】
このようなフェンスとしては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、路面から一定高さに直立して設けられた透明型欄干の外側にあって、この透明型欄干の欄干板より一段高い位置まで並設されるフェンス体を設けた技術が記載されている。そして、この特許文献1に記載された技術は、欄干板の継目を貫通して支持され、その外側に延設された支持具を設け、この支持具に、この欄干板より一段高い位置まで延設されたフェンス体を固設している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-279803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、支持具が欄干板に固定されているため、欄干板を加工する必要があり、フェンスの設置作業が大変煩雑なものとなっていた。
【0006】
上記の問題点を考慮し、設置作業を容易に行うことができる乗客コンベアのフェンス、乗客コンベア及びフェンスの設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、乗客コンベアのフェンスは、一対の欄干部を有する乗客コンベアの一対の欄干部の外側に設置されるフェンスである。
フェンスは、一対の欄干部よりも外側に配置されるパネル部材と、欄干部における隣り合う2つの欄干パネルの間に配置される支持パネルと、パネル部材を支持し、支持パネルに設けられた支柱と、を備えている。
【0008】
乗客コンベアは、一対の欄干部と、一対の欄干部の外側に設置されるフェンスと、を備えている。また、フェンスとしては、上述したフェンスが用いられる。
【0009】
また、フェンスの設置方法は、以下(1)及び(2)に示す工程を含む。
(1)欄干部における隣り合う2つの欄干パネルの間に支持パネルを設置する工程。
(2)支持パネルに設けられた支柱にパネル部材を設置する工程。
【発明の効果】
【0010】
上記構成の乗客コンベアのフェンス、乗客コンベア及びフェンスの設置方法によれば、設置作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態例にかかる乗客コンベアの構成例を示す概略構成図である。
図2】実施の形態例にかかるフェンスを示す斜視図である。
図3】実施の形態例にかかるフェンスを示す断面図である。
図4】実施の形態例にかかるフェンスにおける固定部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、フェンス、乗客コンベア及びフェンスの設置方法の実施の形態例について、図1図4を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0013】
1.実施の形態例
1-1.乗客コンベアの構成例
まず、実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかるフェンスが用いられる乗客コンベアの構成について、図1図4を参照して説明する。
図1は、乗客コンベアを示す概略構成図である。
【0014】
図1に示す乗客コンベア1は、建築構造物の上階床100Aと下階床100Bに設置される傾斜型の乗客コンベア、いわゆるエスカレーターである。図1に示すように、乗客コンベア1は、建築構造物に設置されたフレーム2と、上部乗降床3Aと、下部乗降床3Bと、デッキ部4と、複数の踏段5と、欄干部7と、フェンス15と、を備えている。また、乗客コンベア1は、不図示の駆動機構と、下部スプロケット10と、上部スプロケット11と、備えている。
【0015】
フレーム2は、上階床100Aと下階床100Bにまたがって設置されている。フレーム2は、傾斜区間と、上水平区間と、下水平区間から構成されている。以下、フレーム2における下階床100Bから上階床100Aに向かって延在する方向をフレーム2の長手方向とする。フレーム2の長手方向と直交し、かつ鉛直方向とも直交する方向をフレーム2の幅方向とする。
【0016】
フレーム2の長手方向の上階床100A側に形成された上水平区間は、上階床100Aと平行に形成されている。そして、フレーム2の上水平区間には、上部乗降床3Aが設置されている。上部乗降床3Aは、上階床100Aと平行をなし、上階床100Aに載置されている。
【0017】
フレーム2の長手方向の下階床100B側に形成された下水平区間は、下階床100Bと平行に形成されている。そして、フレーム2の下水平区間には、下部乗降床3Bが設置されている。下部乗降床3Bは、下階床100Bと平行をなし、下階床100Bに設置されている。
【0018】
フレーム2は、例えば、トラス構造により構成されている。フレーム2は、幅方向の両側に配置される一対の上枠2aを有している。上枠2aは、フレーム2の上面部を構成し、長手方向に沿って上階床100Aから下階床100Bにかけて配置される。
【0019】
また、フレーム2における上部乗降床3Aの下方には、不図示の駆動機構と、上部スプロケット11が配置され、フレーム2における下部乗降床3Bの下方には、下部スプロケット10が配置される。上部スプロケット11と駆動機構の駆動軸には、伝達チェーンが巻き掛けられている。駆動機構が駆動すると、上部スプロケット11は、伝達チェーンを介して回転駆動する。
【0020】
上部スプロケット11と下部スプロケット10には、踏段チェーンが巻き掛けられている。踏段チェーンは、その長手方向の両端部が連結された無端状に形成されている。上部スプロケット11が回転することで、下部スプロケット10及び踏段チェーンが回転する。そして、踏段チェーンは、上部スプロケット11と下部スプロケット10の間を循環移動する。
【0021】
踏段チェーンには、複数の踏段5が無端状に連結されている。複数の踏段5は、フレーム2に設けられた不図示のガイドレールに移動可能に支持されている。として、複数の踏段5は、ガイドレールに沿って上部スプロケット11と下部スプロケット10の間を循環移動する。
【0022】
複数の踏段5の幅方向の両端部には、デッキ部4が設置されている。デッキ部4は、フレーム2の長手方向に沿って配置される。デッキ部4は、フレーム2の幅方向の両端部の上方おける傾斜区間の全てと、上水平区間及び下水平区間の一部を覆う。そして、デッキ部4は、欄干部7を支持している。
【0023】
欄干部7は、上枠2aに設けたブラケット2cに支持される複数の欄干パネル7aと、移動手摺7bとを有している(図2参照)。欄干パネル7aは、デッキ部4の上面部4aから上方に突出している。移動手摺7bは、欄干パネル7aの周縁部に移動可能に支持されている。また、移動手摺7bは、複数の踏段5の循環移動の動作に同期して、循環移動する。
【0024】
また、欄干部7よりも幅方向の外側には、フェンス15が設置されている。
【0025】
1-2.フェンスの構成の構成
次に、本例のフェンス15の構成例について図2及び図3を参照して説明する。
図2は、フェンス15を示す斜視図、図3は、フェンス15を示す断面図である。
【0026】
図1に示すように、フェンス15は、複数の支柱16と、支柱16に支持される複数のパネル部材17と、天板18と、支持パネル19と、を有している。パネル部材17は、平板状の部材により形成されている。パネル部材17は、透明又は半透明な部材により形成されており、例えば、アクリルパネルにより形成される。これにより、乗客コンベア1の美観がフェンス15によって損なわれることを防ぐことができる。また、パネル部材17は、支柱16に支持されて、その上端部が欄干部7の移動手摺7bよりも高く延在している。
【0027】
パネル部材17としては、例えば、ステンレス板やカーボン材等の不透明な部材により形成してもよい。
【0028】
図2に示すように、支持パネル19は、フレーム2の長手方向に沿って隣り合う2つの欄干パネル7a、7aの間に配置される。図2及び図3に示すように、支持パネル19は、略平板状に部材により形成されている。支持パネル19の板厚は、欄干パネル7aの板厚と同じ板厚に設定されている。これにより、支持パネル19と欄干パネル7aを一様にすることができ、全体として統一感を持たせることができる。その結果、乗客コンベア1の美観を向上させることができる。
【0029】
なお、支持パネル19の板厚を欄干パネル7aの板厚と異なる板厚に設定してもよい。
【0030】
また、支持パネル19は、透明又は不透明で、かつ欄干パネル7aとは異なる材質により形成されており、欄干パネル7aよりも強度及び剛性が高い材質に形成されている。支持パネル19としては、例えば、ポリカーボネイト樹脂材料が適用される。これにより、フェンス15の強度及び剛性を高めることができる。
【0031】
なお、支持パネル19を欄干パネル7aと同じ材質で形成してもよい。支持パネル19と欄干パネル7aを同じ材質で形成することで、支持パネル19と欄干パネル7aの統一感を高めることができる。
【0032】
なお、支持パネル19を透明又は不透明な材質で形成した例を説明したが、これに限定されるものではなく、支持パネル19としては、例えば、ステンレス材や、カーボン材、樹脂材等の不透明な材質により形成してもよい。
【0033】
支持パネル19における上下方向の下端部は、欄干パネル7aを支持するブラケット2cに支持されている。これにより、支持パネル19と欄干パネル7aを同じブラケット2cで支持することで、支持パネル19の設置作業を欄干パネル7aと同様に行うことができ、設置作業の簡略化を図ることができる。さらに、支持パネル19を支持するための部材を新たに設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。
【0034】
また、支持パネル19には、後述する支柱16の梁部材22の一端部が挿入される保持孔19aが形成されている。保持孔19aは、支持パネル19の上下方向に間隔を空けて2つ設けられている。
【0035】
さらに、支持パネル19には、梁部材22を固定するための固定部材21が設けられている。固定部材21の構成については、後述する。
【0036】
支柱16は、上下方向に間隔を空けて配置された2つの梁部材22、22と、支持部材23と、内側支柱部26と、を有している。梁部材22は、略円柱状に形成されている。梁部材22における軸方向の一端部の外周面には、雄ねじ部22a(図4参照)が形成されている。そして、梁部材22の一端部は、支持パネル19の保持孔19aに挿入され、固定部材21によって支持パネル19に固定されている。なお、梁部材22の詳細な固定構造については、後述する。
【0037】
そして、2つの梁部材22、22は、支持パネル19から欄干部7の幅方向の外側に向けて突出している。梁部材22における支持パネル19とは反対側の他端部には、支持部材23が固定されている。
【0038】
支持パネル19と支持部材23を接続する梁部材22を上下方向に間隔を空けて2つ設けたことで、支持部材23が梁部材22を中心に回転することを防止することができる。なお、本例では、梁部材22を2つ設けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、梁部材22を3つ以上設けてもよい。あるいは梁部材として上下方向に延在する平板状の部材を用いてもよい。
【0039】
支持部材23は、支持部24と、外側支柱部25と、を有している。支持部24は、2つの梁部材22、22の他端部が挿入される2つの固定孔24a、24aが形成されている。支持部24における上下方向の上端部24bからは外側支柱部25が連続して形成されている。また、支持部24の上端部24bには、パネル部材17及び内側支柱部26が載置される。
【0040】
外側支柱部25は、平板状に形成されている。そして、外側支柱部25は、支持部24の上端部24bにおいて幅方向の外側の端部から上下方向の上方に向けて立設している。また、外側支柱部25における上下方向の上端部は、欄干部7の移動手摺7bよりも上下方向の上側に位置している。
【0041】
外側支柱部25は、パネル部材17における乗客コンベア1の幅方向の外側に設置され、パネル部材17を支持する。このとき、外側支柱部25の上端部は、パネル部材17の上下方向の上端部の近傍に位置している。また、外側支柱部25には、パネル部材17を固定するための固定ねじ28が螺合するねじ孔25aが形成されている。
【0042】
内側支柱部26は、平板状に形成されている。内側支柱部26は、その厚みが外側支柱部25よりも薄くなるように形成されている。内側支柱部26は、支持部24における上端部24bに設置される。支持部24に設置された際、内側支柱部26の上下方向の上端部は、欄干部7の移動手摺7bと略同一、または上下方向の下方に位置している。
【0043】
内側支柱部26は、支持部24の上端部24bにおいて外側支柱部25よりも幅方向の内側に配置される。そして、内側支柱部26は、外側支柱部25と間隔を空けて対向する。内側支柱部26と外側支柱部25の間にパネル部材17が挿入される。また、内側支柱部26には、固定ねじ28が螺合するねじ孔26aが形成されている。内側支柱部26は、固定ねじ28によりパネル部材17を介して外側支柱部25に固定される。
【0044】
また、支持部材23は、内側支柱部26が外側支柱部25に対して分割して形成されている。そのため、固定ねじ28を締め付けることで、内側支柱部26は外側支柱部25に向けて移動する。そして、内側支柱部26と外側支柱部25の間に挿入されたパネル部材17は、内側支柱部26により外側支柱部25側に押し付けられる。これにより、パネル部材17は、内側支柱部26と外側支柱部25によって挟持される。その結果、内側支柱部26とパネル部材17の間、及び外側支柱部25とパネル部材17の間に生じる隙間を無くすことができ、パネル部材17を内側支柱部26と外側支柱部25によりガタ付きなく支持することができる。
【0045】
本例のフェンス15によれば、外側支柱部25の上端部が欄干部7の移動手摺7bよりも高く、かつパネル部材17の上端部と同等の高さとなるように、外側支柱部25を延設している。これにより、パネル部材17に対して幅方向の外側に向けて加わる力を外側支柱部25で受けることができ、フェンス15に求められる剛性を確保することができる。
【0046】
また、パネル部材17の幅方向の内側に設置される内側支柱部26は、その高さが欄干部7の移動手摺7bと同等の高さ、又は移動手摺7bよりも上下方向の下方となるように形成している。これにより、パネル部材17における幅方向の内側の面に生じる突起を最小限に抑えることができる。その結果、欄干部7から乗り出した乗客の手が内側支柱部26に接触することを防ぐことができ、安全性の高いフェンス15を提供することができる。
【0047】
なお、外側支柱部25と内側支柱部26の上下方向の高さを同じ高さに設定してもよい。
【0048】
天板18は、平板状に形成されている。また、天板18は、透明又は半透明な部材により形成されており、例えば、アクリルパネルやガラスにより形成される。これにより、乗客コンベア1の美観が天板18によって損なわれることを防ぐことができる。
【0049】
なお、天板18としては、透明又は半透明な部材に限定されるものではなく、例えば、ステンレス板やカーボン材等の不透明な部材や、網状の部材等その他各種の部材により天板18を形成してもよい。
【0050】
天板18は、支持パネル19と支持部材23を連結する2つの梁部材22、22のうち上下方向の上側に設置された梁部材22に固定される。天板18は、支持パネル19と支持部材23の間において、フレーム2の長手方向に沿って配置される。そして、天板18は、欄干部7の移動手摺7bよりも上下方向の下側に配置される。また、天板18は、外側支柱部25と内側支柱部26によって支持されたパネル部材17の上下方向の下端部と略同一の位置、又は下端部よりも上下方向の上側に配置される。
【0051】
そのため、欄干部7の幅方向の外側には、支持パネル19、天板18及びパネル部材17で囲まれた空間S1が形成される。これにより、欄干部7の外側に落ちた落下物を天板18によって受け止めることができ、パネル部材17の下端部から幅方向の外側に物が落下することを防止することができる。
【0052】
また、天板18には、滑落防止部を設けてもよい。これにより、天板18への落下物が、天板18に沿って下方に滑り落ちることを防止することができる。
【0053】
次に、図4を参照して固定部材21の構成及び梁部材22の固定構造の一例について説明する。
図4は、固定部材21を示す断面図である。
【0054】
図4に示すように、固定部材21は、第1固定金具31と、第2固定金具32と、固定ナット33とを有している。第1固定金具31は、支持パネル19における梁部材22が突出する側とは反対側の一面に配置される。また、第2固定金具は、支持パネル19における梁部材22が突出する側の他面に配置される。
【0055】
第1固定金具31は、略平板状に形成されている。第1固定金具31における支持パネル19と対向する対向面には、固定筒部34が設けられている。固定筒部34は、一端が閉塞し、他端が開口した略筒状に形成されている。固定筒部34は、第1固定金具31の対向面から略垂直に突出している。そして、固定筒部34は、支持パネル19に設けた保持孔19aに挿入される。
【0056】
また、固定筒部34の筒孔には、梁部材22の一端部が挿入される。この固定筒部34の筒孔には、梁部材22に設けた雄ねじ部22aが螺合する雌ねじ部34aが形成されている。
【0057】
第2固定金具32は、略平板状に形成されている。第2固定金具32には、貫通孔32aが形成されている。貫通孔32aには、梁部材22の一端部が貫通する。また、第2固定金具32における支持パネル19と対向する一面とは反対側の他面には、固定ナット33が配置される。
【0058】
固定ナット33は、梁部材22に設けた雄ねじ部22aに螺合する。固定ナット33を締め込むことで、第2固定金具32は、支持パネル19及び第1固定金具31側に移動する。これにより、支持パネル19は、第1固定金具31と第2固定金具32によって挟持される。その結果、支持パネル19の保持孔19a及び固定筒部34の筒孔に挿入された梁部材22が支持パネル19に固定される。
【0059】
なお、支持パネル19に対する梁部材22の固定方法は、上述した例に限定されるものではない。例えば、固定ねじにより梁部材22を支持パネル19に締結固定してもよい。また、支持パネル19と梁部材22を一体に形成してもよい。
【0060】
2.フェンスの設置方法
次に、上述した構成を有するフェンス15の設置方法について説明する。
【0061】
まず、隣り合う2つの欄干パネル7a、7aの間に支持パネル19を設置する。支持パネル19は、欄干パネル7aを支持するブラケット2cに取り付けられる。上述したように、支持パネル19の板厚は、欄干パネル7aの板厚と同じ板厚であるため、支持パネル19をブラケット2cに設置する作業を欄干パネル7aと同様に行うことができる。
【0062】
次に、支持パネル19に固定部材21を介して梁部材22を固定する。なお、梁部材22の固定は、支持パネル19をブラケット2cに設置する前に行ってもよい。次に、梁部材22に支持部材23を固定する。なお、支持パネル19をブラケット2cに設置する前や、梁部材22を支持パネル19に固定する前に、梁部材22に支持部材23を固定してもよい。
【0063】
次に、支持部材23に固定ねじ28を介して内側支柱部26を仮固定する。そして、支持部材23の外側支柱部25と内側支柱部26の間にパネル部材17を挿入する。次に、固定ねじ28を締め付けて、内側支柱部26を支持部材23に固定する。これにより、パネル部材17が内側支柱部26と外側支柱部25によって挟持される。その結果、フェンス15の設置作業が完了する。
【0064】
本例のフェンス15によれば、欄干部7の欄干パネル7aを加工することなく、フェンス15を設置することができる。これにより、フェンス15の設置作業を容易に行うことができる。また、欄干パネル7aを加工することによる欄干パネル7aや固定箇所の強度の低下を防止することができる。さらに、欄干パネル7aよりも強度及び剛性が高い支持パネル19を用いることで、フェンス15の強度及び剛性を容易に向上させることができる。
【0065】
さらに、既設の乗客コンベア1に対しても、支持パネル19を欄干パネル7aの間に設置するだけで、フェンス15を設置することができるため、乗客コンベアのリニューアル作業も容易に行うことができる。
【0066】
さらに、支持パネル19は、欄干パネル7cを支持する部材と同一の部材に設置されるため、部品点数の削減及び設置作業の簡略化を図ることができる。
【0067】
なお、上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0068】
上述した実施の形態例では、傾斜型の乗客コンベアとして、踏段間に段差が生じるエスカレーターを例に挙げて説明したが、本発明の乗客コンベアとしては、踏段間に段差が生じない複数の踏段を有する電動道路、いわゆる動く歩道にも適用できるものである。
【0069】
また、傾斜区間の少なくとも一部に、上水平区間及び下水平区間に対して平行な箇所を設けたフレームを有する乗客コンベアにも適用できるものである。さらに、傾斜区間の延設方向が湾曲して変化することで、上水平区間と下水平区間の延設方向が異なるフレームを有する乗客コンベアに対しても同様に適用できるものである。
【0070】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…乗客コンベア、 2…フレーム、 2a…上枠、 2b…固定ブラケット、 3A…上部乗降床、 3B…下部乗降床、 4…デッキ部、 5…踏段、 7…欄干部、 7a…欄干パネル、 7b…移動手摺、 15…フェンス、 16…支柱、 17…パネル部材、 18…天板、 19…支持パネル、 19a…保持孔、 21…固定部材、 22…梁部材、 22…雄ねじ部、 23…支持部材、 24…支持部、 24a…固定孔、 24b…上端部、 25…外側支柱部、 25a…ねじ孔、 26…内側支柱部、 26a…ねじ孔、 28…固定ねじ、 31…第1固定金具、 32…第2固定金具、 32a…貫通孔、 33…固定ナット、 34…固定筒部、 34a…雌ねじ部
図1
図2
図3
図4