(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-14
(45)【発行日】2022-09-26
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20220915BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
B65H7/02
G03G15/00 480
(21)【出願番号】P 2018219545
(22)【出願日】2018-11-22
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】岡田 知幸
(72)【発明者】
【氏名】角田 文洋
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-008926(JP,A)
【文献】特開平06-056303(JP,A)
【文献】特開2012-250832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/02
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるシートの先端が突き当たり、その後、前記シートを搬送するレジスト搬送部材に向けて前記シートを搬送するシート搬送部材と、
前記シート搬送部材が搬送するシートを検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて前記シートの搬送方向の長さであるシート長さを算出する算出手段とを備えるシート搬送装置において、
前記算出手段は、前記検知手段が前記シートを検知してから、前記シートを検知しなくなるまでの時間に基づいて前記シート長さを算出するものであり、
前記レジスト搬送部材に前記シートが到達してから、前記レジスト搬送部材が搬送を開始するまでの突き当て期間に、前記検知手段が前記シートを検知しなくなった場合、
前記算出手段は、前記突き当て期間と、前記レジスト搬送部材の搬送開始後の所定の期間との間は、前記検知手段の検知結果を、前記シート長さの算出に用い
ず、
前記突き当て期間に、前記検知手段が前記シートを検知したままであった場合、
前記算出手段は、前記レジスト搬送部材の搬送を開始後は、前記検知手段の検知結果を、前記シート長さの算出に用いることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1のシート搬送装置において、
前記レジスト搬送部材の前記搬送方向の上流側に前記レジスト搬送部材に向かう前記シートを検知するレジスト前検知手段を備え、
前記算出手段は、前記レジスト前検知手段が前記シートを検知してから、前記レジスト搬送部材に前記シートが到達するまでの間の所定のタイミングから前記突き当て期間が終わるまでの間に、前記検知手段が前記シートを検知しなくなった場合、
前記算出手段は、前記所定のタイミングから前記所定の期間が終わるまでの間の前記検知手段の検知結果を、前記シート長さの算出に用いないことを特徴とするシート搬送装置
。
【請求項3】
請求項
1または2に記載のシート搬送装置において、
前記シートの搬送経路に複数の前記検知手段を備え、
前記算出手段は、複数の前記検知手段のうちの前記シートの前記搬送経路における搬送方向最上流側に位置する前記検知手段の前記検知結果に基づいて前記シート長さを算出することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
請求項1乃至
3の何れか一項に記載のシート搬送装置において、
前記シート搬送部材に搬送させる前に取得した前記シートの長さの情報の値と、前記算出手段が算出した前記シート長さの値とが一致しない場合に、その旨を報知する報知手段を備えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4の何れか一項に記載のシート搬送装置において、
前記シートの搬送経路に複数の前記検知手段を備え、
複数の前記検知手段のうちの或る検知手段の検知結果に基づいて算出した前記シート長さと、他の検知手段の検知結果に基づいて算出した前記シート長さとを比較する比較手段を備えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至
5の何れか一項に記載のシート搬送装置において、
前記シートの搬送不良の発生を検知した場合に、その旨を報知する搬送不良発生報知手段を備えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項7】
搬送されるシートに画像を形成する画像形成手段を備える画像形成装置において、
前記シートを搬送する構成として、請求項1乃至
6の何れか一項に記載のシート搬送装置の構成を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送されるシートの先端が突き当たり、その後、前記シートを搬送するレジスト搬送部材に向けて前記シートを搬送するシート搬送部材と、シート搬送部材が搬送するシートを検知する検知手段と、検知手段の検知結果に基づいてシートの搬送方向の長さであるシート長さを算出する算出手段とを備えるシート搬送装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、レジスト搬送部材のすぐ上流側に検知手段を備え、算出手段は、検知手段がシートの到達を検知してから通過を検知するまでの時間を用いてシート長さを算出するシート搬送装置の構成を備えた画像形成装置が記載されている。この画像形成装置では、入力されたシート長さの情報と算出手段が算出したシート長さとが異なるとき、シート搬送部材及びレジスト搬送部材による搬送を停止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置のように、レジスト搬送部材の近傍に配置された検知手段を用いてシート長さを算出する構成では、シートを収容する収容部からレジスト搬送部材までの搬送距離が長い場合に次のような問題が生じることがある。
すなわち、レジスト搬送部材の近傍に位置する検知手段がシートの通過を検知するまでシート長さが分からない。このため、入力されたシート長さと算出したシート長さが異なることが判明し、搬送を停止しても、収容部から検知手段までの搬送経路に既に複数枚のシートが存在することがある。搬送停止後に搬送路に存在するシートを廃棄することが多く、停止時に複数枚のシートが搬送経路に存在すると、シートの無駄になってしまう。
【0005】
このような問題に対して、レジスト搬送部材から離れた搬送方向上流側の位置に検知手段を配置し、この検知手段の検知結果に基づいてシート長さを算出する構成が考えられる。しかしながれ、レジスト搬送部材から離れた位置の検知手段を用いると、シート長さを適切に算出できないことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、搬送されるシートの先端が突き当たり、その後、前記シートを搬送するレジスト搬送部材に向けて前記シートを搬送するシート搬送部材と、前記シート搬送部材が搬送するシートを検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づいて前記シートの搬送方向の長さであるシート長さを算出する算出手段とを備えるシート搬送装置において、前記算出手段は、前記検知手段が前記シートを検知してから、前記シートを検知しなくなるまでの時間に基づいて前記シート長さを算出するものであり、前記レジスト搬送部材に前記シートが到達してから、前記レジスト搬送部材が搬送を開始するまでの突き当て期間に、前記検知手段が前記シートを検知しなくなった場合、前記算出手段は、前記突き当て期間と、前記レジスト搬送部材の搬送開始後の所定の期間との間は、前記検知手段の検知結果を、前記シート長さの算出に用いず、前記突き当て期間に、前記検知手段が前記シートを検知したままであった場合、前記算出手段は、前記レジスト搬送部材の搬送を開始後は、前記検知手段の検知結果を、前記シート長さの算出に用いることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レジスト搬送部材よりも上流側に位置する検知手段の検知結果に基づいてシート長さを算出する構成で、シート長さを適切に算出することができる、という優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るプリンタのタイミングチャート。
【
図3】プリンタの給紙部の制御系の要部構成のブロック図。
【
図4】第二増設給紙トレイから用紙を給送する場合の搬送経路を模式的に示した説明図。
【
図5】第二増設給紙トレイから給送した用紙がレジストローラ対で突き当たり、用紙の先端近傍に撓みが形成された状態の説明図。
【
図6】搬送経路における第二増設搬送センサからレジストローラ対までの距離に対して、用紙の搬送方向の長さが十分に短い場合のタイミングチャート。
【
図7】第二増設給紙トレイから給送された用紙の搬送を停止したときに、用紙の後端が第二増設搬送センサの検知位置に位置する状態を示す模式図。
【
図8】
図7に示す状態となり得る用紙を給送した場合のタイミングチャート。
【
図9】距離「L1」よりも少しだけ長い用紙を給送し、用紙をレジストローラに突き当て、撓みを形成させて搬送を停止した状態の説明図。
【
図10】
図9の状態から用紙の撓みが無くなった状態の説明図。
【
図11】
図10の状態から用紙の搬送を再開した状態の説明図。
【
図12】
図9~
図11に示す状態となり得る用紙を給送した場合であって、マスク期間を搬送停止期間とした場合のタイミングチャート。
【
図13】紙検知センサを用いて用紙の長さを測定する構成で、給紙開始からサイズ不一致の判定を行うまでの概略を示すフローチャート。
【
図14】搬送ローラ対の劣化および寿命の予兆を判断するフローチャート。
【
図15】用紙サイズの計測と、搬送不良の検出とを行う制御のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るシート搬送装置の構成を備えた画像形成装置の実施形態について説明する。
図2は、本実施形態の画像形成装置であるプリンタ100を備える複写機200の概略構成図である。
図2に示す複写機200は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、スキャナ等の機能を併有する複合機であり、読み取り画像データ等の入力データを基にフルカラー画像やモノクロ画像を記録紙に記録出力したり所定のデータ形式で出力したりできる。
【0010】
図2に示すように、複写機200は、プリンタ100を備え、プリンタ100の上方に、スキャナ90と自動原稿搬送装置であるADF80とを備えている。スキャナ90とADF80とは、全体として、画像読取装置300を構成している。
【0011】
プリンタ100は、画像形成部10を備える本体筐体部1と、本体筐体部1の下方に取り付けられた増設給紙部500と、を備える。
図2に示すように、本体筐体部1は、画像形成部10の下方に本体給紙トレイ31と、本体給紙ローラ11と、本体給紙分離ローラ34とを有する本体給紙部30を備える。
【0012】
増設給紙部500は、上から順に、第一増設給紙装置50a、第二増設給紙装置50b及び第三増設給紙装置50cの三つの増設給紙装置50を備えている。三つの増設給紙装置50(a、b、c)は、互いに同様の構成を備えているため、
図2中の各符号における第一~第三のそれぞれの増設給紙装置50の部材であることを示す「a」、「b」及び「c」の添え字は適宜省略して説明する。
三つの増設給紙装置50は、それぞれ増設給紙トレイ70と、増設給紙ローラ51と、増設給紙分離ローラ74とを備える。
【0013】
本体給紙トレイ31は、本体筐体部1に対して、装置正面手前側(
図2中の右側)に引出可能に配置されており、増設給紙トレイ70は、増設給紙装置50の筐体に対して、装置正面手前側(
図2中の右側)に引出可能に配置されている。
本体筐体部1は、プリンタ100の装置正面手前側(
図2中の右側)に手差し給紙トレイ3と手差し給紙ローラ17と備え、手差し給紙部を構成する。
【0014】
画像形成部10は、潜像担持体である感光体2と、感光体2の表面上にトナー像を作像する作像部7と、感光体2の表面上のトナー像を用紙Pに転写する転写ローラ14と、用紙P上に転写されたトナー像を用紙P上に定着する定着装置5と、を備える。
【0015】
プリンタ100で画像を形成する場合には、作像部7が具備する露光手段によって感光体2の表面上に潜像を形成し、作像部7が具備する現像装置で感光体2の表面上の潜像を現像し、感光体2の表面上にトナー像を形成する。
一方、本体給紙トレイ31、増設給紙トレイ70または手差し給紙トレイ3に積載された用紙束から、給紙ローラ(11、51、17)によって一枚ずつ搬送される用紙が、レジストローラ対13に突き当たる位置まで搬送される。
そして、感光体2の表面上のトナー像が転写ローラ14との対向部である転写ニップに到達するタイミングにあわせるようにレジストローラ対13が回転駆動し、転写ニップで感光体2の表面上のトナー像が用紙の表面上に転写される。トナー像が転写された用紙Pは定着装置5での加熱及び加圧によりトナー像が定着される。
【0016】
定着装置5を通過した用紙Pのうち、裏面に画像が形成されない用紙Pは、定着後搬送ローラ4と定着後反転搬送ローラ8との間の定着後搬送ニップを通過し、
図2中の実線で示す位置にある排出前分岐爪6によって案内される。そして、第一排紙ローラ16aと第二排紙ローラ16bとによって形成される排紙ニップから排紙トレイ19に排出される。
【0017】
定着装置5を通過後、裏面に画像が形成される用紙Pは、定着後搬送ローラ4と定着後反転搬送ローラ8との間の定着後搬送ニップを通過し、
図2中の破線で示す位置にある排出前分岐爪6によって案内される。そして、第二排紙ローラ16bと第三排紙ローラ16cとによって形成される排紙ニップから用紙Pの搬送方向の後端側の一部を除いて、突き出す。その後、用紙Pの後端側が排出前分岐爪6の位置を通過すると、排出前分岐爪6が実線で示す位置に移動し、第二排紙ローラ16bと第三排紙ローラ16cとの回転方向が逆となる。これにより、用紙Pが定着後反転搬送ローラ8と反転搬送ローラ9との間の反転搬送ニップを通過し、反転搬送路を通ってレジストローラ対13に突き当たる位置まで搬送される。その後、おもて面への画像形成と同様の工程によって裏面にも画像が形成され、第一排紙ローラ16aと第二排紙ローラ16bとによって形成される排紙ニップから排紙トレイ19に排出される。
【0018】
図2に示すように、本体筐体部1内のレジストローラ対13の搬送方向上流側近傍に、検知範囲内の用紙Pの有無を検知するレジストセンサ20を備える。また、本体筐体部1内の中継ローラ対12の搬送方向上流側近傍に、検知範囲内の用紙Pの有無を検知する本体中継前センサ35を備える。さらに、定着ローラ対15と定着後搬送ローラ4との間にも検知範囲内の用紙Pの有無を検知する定着後センサ21を備える。
増設給紙装置50は、シート搬送部材である増設搬送ローラ対52と、増設搬送ローラ対52の搬送方向上流側近傍に配置され、検知範囲内の用紙Pの有無を検知する増設搬送センサ53とを備える。
【0019】
レジストローラ対13は、シート搬送部材である中継ローラ対12や増設搬送ローラ対52によって搬送されてきた用紙Pの先端が突き当たり、用紙Pの先端を一旦停止する。その後、所定のタイミングで搬送方向下流側の画像形成部10に向けて用紙Pを搬送する。
【0020】
プリンタ100は、オプションバンクである増設給紙装置50を多段積みできる構成であり、増設給紙装置50の数や種類(増設給紙トレイ70にセット可能な枚数が異なるもの)を選択できる。
プリンタ100の本体筐体部1に配置されたレジストローラ対13に、給送された用紙Pが突き当たることで、トナー像が転写される前の用紙Pのスキューを補正する。詳しくは、回転していない状態のレジストローラ対13に用紙Pを突き当て、用紙Pを撓ませることで、スキュー補正を行う方法を取り入れている。
【0021】
レジストローラ対13での用紙Pの撓みは、レジストローラ対13を停止したままの状態で、レジストローラ対13よりも一つ上流側の搬送を行うローラ対である中継ローラ対12が用紙Pの搬送を続けることにより作成する。プリンタ100では、中継ローラ対12はレジストローラ対13の回転を開始する前に一旦停止させる。そして、中継ローラ対12が停止した後、中継ローラ対12とレジストローラ対13との回転を開始することで、用紙Pの搬送を再開し、用紙Pを画像形成部10に向けて送り出す。
【0022】
スキュー補正の際の用紙Pを撓ませる量(以下、「撓み量」という)を調整するために、レジストセンサ20の検知結果を用いる。レジストセンサ20の検知位置からレジストローラ対13までの距離と、所望の撓み量とに基づいて、用紙Pの先端がレジストセンサ20を通過してからの用紙Pの搬送量を算出する。算出した搬送量に基づいて、レジストセンサ20で用紙Pの先端が通過したことを検知してから中継ローラ対12の回転を止めるタイミングを算出する。
【0023】
増設給紙装置50は、増設給紙トレイ70から搬送された用紙Pを本体筐体部1に送るための搬送ローラ対である増設搬送ローラ対52を備える。さらに、増設給紙装置50から給送された用紙Pをレジストセンサ20の位置まで搬送するために、プリンタ100の本体筐体部1には、中継ローラ対12を備える。
【0024】
プリンタ100では、使用する用紙Pをパーソナルコンピューター等の外部装置や操作パネル102を用いて使用者が設定する。そして、増設給紙装置50は、増設給紙トレイ70内に積載された用紙Pと、使用者が設定した用紙Pが合っているかを確認するために用紙Pの長さを検出する増設搬送センサ53を備える。
【0025】
図3は、プリンタ100の給紙部の制御系の要部構成のブロック図である。
図3において、本体搬送モータ22は、各クラッチ(23、24及び25)が「ON」になることで、本体給紙ローラ11、中継ローラ対12及びレジストローラ対13を回転駆動させる駆動源である。また、三つの増設給紙装置50のそれぞれが備える増設給紙モータ122は、各クラッチ(123及び124)が「ON」になることで、増設給紙ローラ51及び増設搬送ローラ対52を回転駆動させる駆動源である。
【0026】
次に、本体給紙部30及び増設給紙装置50からの用紙の搬送について説明する。
【0027】
本体給紙部30から給紙する場合は、本体制御部101が、本体搬送モータ22の駆動を開始するとともに、本体中継クラッチ24を「ON」にする。本体中継クラッチ24を「ON」にすることで中継ローラ対12の二つのローラが用紙Pを搬送する方向に回転し始める。そして、所定のタイミングで本体給紙クラッチ23を「ON」にすることで、本体給紙ローラ11が
図2中の反時計回り方向に回転し始める。
【0028】
本体給紙トレイ31に積載された用紙Pの紙束に対向して設けられた本体給紙ローラ11の回転により、紙束から一枚の用紙Pを給送する。給送された用紙Pは中継ローラ対12により搬送され、中継ニップ後搬送路18を通り、レジストローラ対13に突き当たる。次に、レジストクラッチ25が「ON」となり、レジストローラ対13が駆動することで、レジストローラ対13によって用紙Pを搬送する。そして、転写ローラ14が配置された転写ニップで感光体2上のトナー像を用紙Pに転写し、定着ローラ対15を備える定着装置5でトナー像を用紙Pに定着する。その後、排紙ローラ(16a、16b)により排紙トレイ19に用紙Pを排出する。
【0029】
増設給紙装置50から給紙する場合は、本体制御部101が、給紙する用紙Pが積載された増設給紙装置50の増設給紙制御部501に給紙命令を送信する。また、本体制御部101は、本体搬送モータ22の駆動を開始する。
給紙命令を受けた増設給紙制御部501は、増設給紙モータ122の駆動を開始するとともに、増設搬送クラッチ124を「ON」にする。増設搬送クラッチ124を「ON」にすることで増設搬送ローラ対52の二つのローラが用紙Pを搬送する方向に回転し始める。そして、所定のタイミングで増設給紙クラッチ123を「ON」にすることで、増設給紙ローラ51が
図2中の反時計回り方向に回転し始める。
【0030】
増設給紙トレイ70に積載された用紙Pの紙束に対向して設けられた増設給紙ローラ51の回転により、紙束から一枚の用紙Pを給送する。給送された用紙Pは増設給紙装置50に設けられた増設搬送ローラ対52により搬送される。このとき、増設搬送ローラ対52に対して搬送方向上流側近傍に配置された増設搬送センサ53によって用紙Pの先端が通過したことを検知してから所定時間経過後に、本体制御部101は本体中継クラッチ24を「ON」にする。そして、用紙Pの先端が中継ローラ対12に到達する前に、中継ローラ対12の回転を開始する。増設搬送ローラ対52により搬送された用紙Pは、本体給紙トレイ31に備えられた本体給紙部通過搬送路33を通過し、中継ローラ対12により給紙方向下流側へ搬送される。
【0031】
増設給紙装置50は、本体給紙部通過搬送路33と同一直線上となるように、増設給紙装置通過搬送路73を備え、同一形状の増設給紙装置50を下方に追加できる構成となっている。
図2に示すプリンタ100では、同一形状の増設給紙装置50を複数(三つ)備える。下方に追加された増設給紙装置50から給送された用紙Pは、その用紙Pが収容されていた増設給紙装置50よりも上方の増設給紙装置50の増設給紙装置通過搬送路73を通過する。そして、増設給紙装置通過搬送路73から本体給紙部通過搬送路33に搬送され、本体給紙部通過搬送路33を通過し、中継ローラ対12により給紙方向下流側へ搬送され、レジストローラ対13に突き当たる。レジストローラ対13に突き当たった以降は、上述した本体給紙部30から給紙する場合と同様である。
【0032】
増設給紙装置50のうち、用紙Pの搬送方向の下流側に他の増設給紙装置50が配置された増設給紙装置50から給紙を行う場合は、下流側に位置する他の増設給紙装置50の増設搬送ローラ対52の回転駆動を行う。これにより、上流側に位置する増設給紙装置50から給送されてきた用紙Pを本体給紙部通過搬送路33に向けて搬送する。
【0033】
本実施形態では、複数の紙検知センサ(35、53a、53b及び53c)の何れかを用いて用紙Pの長さを算出する。具体的には、紙検知センサの検知位置に用紙Pの先端が到達してから、検知位置を用紙Pの後端が抜けるまでの時間に基づいて用紙Pの長さを算出する。紙検知センサのセンサ出力としては、用紙Pの先端が紙検知センサの検知位置を通過すると、検知位置に用紙Pが存在する状態となるため、センサ出力が「OFF」から「ON」に変化する。一方、用紙Pの後端が紙検知センサの検知位置を通過すると、検知位置に用紙Pが存在しない状態となるため、センサ出力が「ON」から「OFF」に変化する。このため、紙検知センサのセンサ出力が、「OFF」から「ON」に変化した後、「OFF」に変化するまでの時間と、用紙Pの搬送速度の積から用紙Pの搬送方向の長さを算出できる。
【0034】
本実施形態のプリンタ100では、各給紙トレイ(31、70a、70b及び70c)から給送する用紙Pの搬送方向の長さを、その搬送経路における最も上流側にある紙検知センサ(35、53a、53b及び53c)を用いて算出する。
具体的には、本体給紙トレイ31から給送する用紙Pは、本体中継前センサ35の検知範囲を、先端が通過してから後端が通過するまでの時間と、搬送速度とに基づいて、その搬送方向の長さを算出する。
同様に、第一増設給紙トレイ70aから給送する用紙Pは、第一増設搬送センサ53aの検知結果に基づいて搬送方向の長さを算出する。また、第二増設給紙トレイ70bから給送する用紙Pは、第二増設搬送センサ53bの検知結果に基づいて搬送方向の長さを算出する。さらに、第三増設給紙トレイ70cから給送する用紙Pは、第三増設搬送センサ53cの検知結果に基づいて搬送方向の長さを算出する。
【0035】
プリンタ100では、各給紙トレイ(31、70a、70b及び70c)にセットされた用紙Pの長さが本体制御部101の記憶部に予め入力されている。そして、使用者の設定によって、給紙に用いる給紙トレイが選択されることで、本体制御部101は、搬送される用紙Pの長さの情報を取得することができる。
本体制御部101は、紙検知センサ(35、53a、53b及び53c)を用いて算出した用紙Pの長さと、使用者が設定した用紙Pの長さとが一致しない場合は、給送動作及び画像形成動作を停止する。さらに、上述した外部装置や操作パネル102に、用紙Pのサイズが適切でないことを報知する警告表示を行う。
【0036】
プリンタ100では、印刷を行うために給送する用紙Pのサイズを入力する入力部として、上述した外部装置との通信部や操作パネル102を有する。そして、給送するとして入力された用紙Pのサイズと、紙検知センサの検知結果に基づいて算出した用紙Pのサイズとが異なるときには、給紙されるとして入力された用紙Pのサイズと、実際に給紙されている用紙Pのサイズとが異なる旨を報知する。
【0037】
三つの増設給紙装置50は、搬送する用紙Pを検出するセンサ(53)を有する給紙装置であり、使用者が給紙トレイ(70)にセットした用紙Pと、システム上で設定されている用紙Pとでサイズの不整合を検出できる給紙装置としての構成を備える。また、プリンタ100の本体筐体部1も、搬送する用紙Pを検出するセンサ(35)を有する給紙装置であり、使用者が給紙トレイ(31)にセットした用紙Pと、システム上で設定されている用紙Pとでサイズの不整合を検出できる給紙装置としての構成を備える。
【0038】
紙検知センサ(35、53a、53b及び53c)は、例えば、光センサを用いる。光センサとしては、用紙Pの搬送路に向けて光を照射する発光部と、発光部から照射され用紙Pで反射した光を受光する受光部とを備える反射型光センサを用いることができる。また、光センサとしては、発光部と受光部と搬送される用紙Pと接して動くアクチュエーターとを備えた透過型光センサを用いることもできる。
【0039】
このような透過型光センサとしても次のようなものを用いることができる。すなわち、検知位置に用紙Pが存在しない状態のときには、アクチュエーターが初期位置に位置し、発光部から受光部への光を遮る。一方、検知位置に用紙Pが存在する状態では、アクチュエーターの位置が変わり発光部から受光部に光が到達し、受光部から出力が変化する。この出力の変化によって検知位置での用紙Pの有無を検知できる。検知位置における用紙Pの有無を検知できるセンサであれば光センサに限らず、他のセンサを用いてもよい。
【0040】
搬送経路で検知結果を用紙Pの長さの算出に用いる紙検知センサとしては、搬送経路の最上流に位置するセンサに限るものではない。例えば、増設給紙トレイ70から給送する用紙Pと本体給紙トレイ31から給送する用紙Pとを共に本体中継前センサ35またはレジストセンサ20の検知結果に基づいて搬送方向の長さを算出する構成としてもよい。
【0041】
しかし、プリンタ100のように増設給紙装置50を多段積みする構成では、給送する用紙Pを収容する給紙トレイ(増設給紙トレイ70)から紙検知センサまでの距離が長い構成となる。このような構成では、搬送方向の長さが短い用紙Pを給送した際に、紙検知センサの検知結果に基づいて用紙Pの長さが適切でないことを検出し、給送動作及び画像形成動作を停止しても、給紙トレイから複数枚の用紙Pが給送されてしまうことがある。このとき、給紙トレイから給送されて、装置停止時に紙搬送路内に残った用紙Pはジャム紙として破棄されることがあり、用紙Pの浪費につながる。
【0042】
これに対して、本実施形態のプリンタ100では、搬送経路の最上流に位置するセンサの検知結果を用いて用紙Pの搬送方向の長さを算出する。これにより、長さが適切でないことを検出し、装置を停止したときに、紙搬送路内に残される用紙Pの枚数を最小限(1~2枚程度)に抑えることができる。そして、センサを用いて算出した用紙Pの長さと、設定された用紙Pの長さが一致しないことを使用者に報知することで、1~2枚程度の通紙によって使用者に、用紙Pのセットミスであることを知らせることが可能となり、用紙Pの浪費を防止できる。
【0043】
搬送経路の最上流に位置するセンサに限らず、センサの位置が搬送経路の上流側であるほど、装置を停止したときに、紙搬送路内に残される用紙Pの枚数を抑えることができる。例えば、第二増設給紙トレイ70bや第三増設給紙トレイ70cから給送された用紙Pの搬送方向の長さを第一増設給紙装置50aの第一増設搬送センサ53aを用いて算出してもよい。この場合、本体筐体部1内の本体中継前センサ35やレジストセンサ20の検知結果を用いるよりも、装置を停止したときに、紙搬送路内に残される用紙Pの枚数を抑えることができる。
【0044】
しかし、搬送経路におけるレジストローラ対13よりも搬送方向上流側のある程度離れた位置のセンサを用いて用紙Pの長さを算出する場合、次のような問題が生じることがあった。すなわち、紙検知センサの検知位置からレジストローラ対13までの距離と、給送する用紙Pの長さとが近い値であると、紙検知センサの検知位置またはその近傍で用紙Pの後端が停止し、後端の通過を適切に検知できないことがあった。
以下、この問題について図面を用いて説明するが、まず、
図4乃至
図6を用いて、用紙Pの搬送方向の長さが十分に短く、上述した問題が生じない場合について説明する。
【0045】
図4は、第二増設給紙トレイ70bから用紙Pを給送する場合の搬送経路を模式的に示した説明図である。
具体的には、
図4中の矢印「α」で示す搬送方向の上流側(
図4中の右側)から、第二増設給紙トレイ70b、第二増設給紙ローラ51b、第二増設搬送センサ53b、第二増設搬送ローラ対52b及び第一増設搬送ローラ対52aを示している。さらに、この下流側(
図4中の左側)には、中継ローラ対12、レジストセンサ20及びレジストローラ対13を示している。
図5は、第二増設給紙トレイ70bから給送した用紙Pがレジストローラ対13で突き当たり、用紙Pの先端近傍に撓みPdが形成された状態の説明図である。
図4及び
図5は、搬送経路における第二増設搬送センサ53bからレジストローラ対13までの距離(
図4及び
図5中の距離「L1」)に対して、用紙Pの搬送方向の長さが十分に短い場合の説明図である。
【0046】
図6は、搬送経路における第二増設搬送センサ53bからレジストローラ対13までの距離に対して、用紙Pの搬送方向の長さが十分に短い場合のプリンタ100のタイミングチャートである。
【0047】
第二増設給紙トレイ70bに収容された用紙Pが選択されて、印刷開始ボタンが押される(または、外部装置から印刷開始命令が入力される)と、本体制御部101は、第一増設給紙制御部501aを介して第二増設給紙制御部501bに給紙信号を発する。給紙信号を受信した第二増設給紙制御部501bは、第二増設給紙モータ122bの駆動を開始する。このとき、第一増設給紙制御部501aも、第一増設給紙モータ122aの駆動を開始する。
【0048】
次に、第二増設給紙制御部501bが、第二増設搬送クラッチ124bを「ON」にする(
図6中の「T1」)ことで、第二増設搬送ローラ対52bが回転し始める。このとき、第一増設給紙制御部501aも、第一増設搬送クラッチ124aを「ON」にすることで、第一増設搬送ローラ対52aも回転し始める。
【0049】
次に、第二増設給紙制御部501bが、第二増設給紙クラッチ123bを「ON」にすることで第二増設給紙トレイ70bからの用紙Pの給送が開始される。給送された用紙Pの先端が第二増設搬送センサ53bの検知位置に到達すると第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「ON」になる(
図6中の「Tp1」)。第二増設搬送センサ53bの検知位置を通過した用紙Pは、第二増設搬送ローラ対52bの第二増設搬送ニップを通過し、第一増設給紙装置50aの第一増設給紙装置通過搬送路73aを通って第一増設搬送ローラ対52aの第一増設搬送ニップを通過する。
【0050】
第一増設搬送ニップを通過した用紙Pは、本体給紙部通過搬送路33を通って、中継ローラ対12の中継ニップを通過する。ここで、上述した第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「ON」になった後、用紙Pの先端が中継ニップに到達するタイミングよりも前にとなるタイミングで本体中継クラッチ24を「ON」にする(
図6中の「T2」)。これにより、用紙Pの先端が中継ニップに到達したときには中継ローラ対12が回転しており、中継ニップに到達した用紙Pをレジストニップに向けて搬送できる。
【0051】
距離「L1」に対して用紙Pが十分に短い場合は、用紙Pの先端がレジストセンサ20の検知位置に到達する(
図6中の「T3」)前に、用紙Pの後端が第二増設搬送センサ53bの検知位置を通過する(
図6中の「Te1」)。このときの用紙Pの先端が検知位置を通過したタイミング(
図6中の「Tp1」)と、後端が検知位置を通過したタイミング(
図6中の「Te1」)との時間差(
図6中の「Ts1」)に基づいて用紙Pの搬送方向の長さを算出できる。具体的には、上述した時間差(
図6中の「Ts1」)と、用紙Pの搬送速度との積より用紙Pの長さを求めることができる。
【0052】
中継ニップからレジストニップに向けて搬送した用紙Pの先端がレジストセンサ20の検知位置に到達すると、レジストセンサ20のセンサ出力が「ON」になる(
図6中の「T3」)。レジストセンサ20のセンサ出力が「ON」になった後、所定の先端位置出し搬送期間(
図6中の「Ta」)の経過後、用紙Pの搬送を停止する(
図6中の「T4」)。先端位置出し搬送期間Taは、用紙Pを、レジストセンサ20からレジストニップまでの距離(
図4及び
図5中の「L2」)の分だけ搬送し、さらに一定量の撓みPdを形成する分だけ搬送するのに要する期間である。
先端位置出し搬送期間Taの間に、レジストニップに突き当たった用紙Pに対して一定の撓みPdを形成させることで、スキュー補正を行うことができる。
本実施形態では、距離「L2」は「12.1[mm]」であり、撓みPdを形成する搬送量(以下、「撓み量」ともいう)は「0[mm]~10[mm]」の間で設定可能となっているが、これらの値に限るものではない。
【0053】
本体制御部101は、レジストセンサ20のセンサ出力が「ON」になった後、先端位置出し搬送期間Ta経過後に搬送停止信号は発する。これにより、本体中継クラッチ24が「OFF」になる(
図6中の「T4」)とともに、第一増設搬送クラッチ124a及び第二増設搬送クラッチ124bも「OFF」になる。ここで、第一増設搬送クラッチ124a及び第二増設搬送クラッチ124bは、本体制御部101から第一増設給紙制御部501a及び第二増設給紙制御部501bを介して「OFF」になる。このため、
図6に示すように、本体中継クラッチ24が「OFF」になってから、所定の遅れ期間だけ遅れて第二増設搬送クラッチ124bが「OFF」となる。本実施形態のプリンタ100では、この遅れ期間は「46[ms]」であった。
【0054】
増設給紙装置50(a~c)に配置された増設搬送クラッチ124(a~c)は、本体制御部101からの通信の遅延が起きる。このため、本体筐体部1内の搬送部材(12、13)に対して増設給紙装置50(a~c)の搬送部材(52a~52c)は、搬送開始のタイミングが遅れる。これに対して、増設給紙装置50(a~c)の搬送部材(52a~52c)は、ワンウェイクラッチが設けられている。これにより、本体筐体部1内と増設給紙装置50内とに一枚の用紙Pが跨っている状態で、本体筐体部1内の搬送部材に対して増設給紙装置50の搬送部材の搬送開始が遅れても、増設給紙装置50の搬送部材は本体側で引っ張られる用紙Pに連れ回ることができる。
【0055】
搬送停止後、感光体2の表面上のトナー像が転写ニップに到達するタイミングにあわせるように、本体中継クラッチ24、レジストクラッチ25、第一増設搬送クラッチ124a及び第二増設搬送クラッチ124bを「ON」にする(
図6中の「T5」)。これにより、各ローラ対(52b、52a、12、13)による用紙Pの搬送が再開され、転写ニップで感光体2の表面上のトナー像が用紙の表面上に転写される。
なお、搬送停止時と同様に、第一増設搬送クラッチ124a及び第二増設搬送クラッチ124bへの搬送再開の信号の伝達は遅れる。このため、
図6に示すように、本体中継クラッチ24が「ON」になってから、所定の遅れ期間だけ遅れて第二増設搬送クラッチ124bが「ON」となる。
【0056】
距離「L1」に対して用紙Pが十分に短い場合は、
図5に示すように、先行する用紙Pがレジストニップで停止するタイミングでは、次の用紙Pの先端は第二増設搬送センサ53bの検知位置を通過した後である。このため、搬送を停止するタイミング(
図6中の「T4」)から搬送を再開するタイミング(
図6中の「T5」)までの搬送停止期間(
図6中の「Tb」)中は、第二増設搬送センサ53bのセンサ出力は「ON」のままである。このため、用紙Pの先端が検知位置を通過したタイミング(
図6中の「Tp2」)と、後端が検知位置を通過したタイミング(
図6中の「Te2」)との時間差(
図6中の「Ts2」)に基づいて用紙Pの搬送方向の長さを算出すると実際の長さよりも長くなる。よって、第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「ON」のままの間に搬送停止期間Tbがある場合は、上述した時間差(
図6中の「Ts2」)から搬送停止期間Tbを引いた値と、用紙Pの搬送速度との積より用紙Pの長さを求める。
【0057】
図5中の「W」は、紙間を示しており、
図6中の「Te1」と「Tp2」との時間差と、用紙Pの搬送速度との積より用紙Pの長さを求めることができる。本実施形態では、紙間Wが「25[mm]」となるように設定しているが、これに限るものではない。
【0058】
次に、
図7及び
図8を用いて、紙検知センサの検知位置からレジストローラ対13までの距離と、給送する用紙Pの長さとが近い場合に生じ得る、用紙Pの後端Peの通過を適切に検知できない問題について説明する。
図7は、第二増設給紙トレイ70bから給送された用紙Pの搬送を停止したときに、用紙Pの後端Peが第二増設搬送センサ53bの検知位置に位置する状態を示す模式図である。
図8は、
図7に示す状態となり得る用紙Pを給送した場合のタイミングチャートである。
【0059】
図7に示すように、レジストローラ対13に先端を突き当てて撓みPdを形成した状態で搬送が停止された用紙Pの後端Peが第二増設搬送センサ53bの検知位置に位置すると、第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が
図8に示すように不安定になることがある。詳しくは、
図8に示すタイミングチャートでは、用紙Pの搬送を停止した(
図6中の「T4」)後、搬送を再開する(
図6中の「T5」)までの間に、第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「ON」と「OFF」とを繰り返す状態となっている。これは、第二増設搬送センサ53bの検知位置に用紙Pの後端Peが位置することで、ちょっとした用紙Pの動きによって第二増設搬送センサ53bが用紙Pを検知する状態になったり、検知しない状態になったりするためである。
【0060】
図8に示すように、第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「ON」と「OFF」とを繰り返す状態のセンサ出力を制御に反映させるようとすると、制御部(101または501b)は、用紙Pの長さを算出できない。これにより、制御部(101または501b)は、用紙Pの搬送に不具合が生じた判断し、紙詰まりや搬送不良が生じておらず、センサ出力以外は問題が生じていないにも関わらず装置を止めてしまうおそれがある。
【0061】
このような問題を防止する構成として、搬送停止期間Tbの間は、第二増設搬送センサ53bのセンサ出力を無視し、制御に反映しないマスク期間を設定するマスク制御を行うことが考えられる。
搬送停止期間Tbをマスク期間MTとして、第二増設搬送センサ53bのセンサ出力を制御に反映しないマスク制御を行う。これにより、用紙Pの後端Peが第二増設搬送センサ53bの検知位置に位置し、センサ出力が「ON」と「OFF」とを繰り返す状態となっても不安定なセンサ出力は制御に反映されない。このため、制御部(101または501b)は、用紙Pの搬送に不具合が生じたか否かを判断しない。これにより、紙詰まりや搬送不良が生じていない状態で、制御部(101または501b)が装置を止めてしまうことを防止できる。
【0062】
図8に示す例では、タイミング「Tp1」からマスク期間MT終了直後の第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「OFF」になるタイミングまでの時間差(
図8中の「Ts1」)に基づいて用紙Pの搬送方向の長さを算出できる。具体的には、上述した時間差(
図8中の「Ts1」)から搬送停止期間Tb(=MT)を引いた値と、用紙Pの搬送速度との積より用紙Pの長さを求めることができる。
また、マスク期間MT終了時に既に第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「OFF」になっている場合は、タイミング「Tp1」からマスク期間MT終了時(
図8中の「T5」)までの時間差に基づいて用紙Pの搬送方向の長さを算出できる。具体的には、上述した時間差(
図8中の「Tp1」から「T5」までの時間)から搬送停止期間Tb(=MT)を引いた値と、用紙Pの搬送速度との積より用紙Pの長さを求めることができる。
【0063】
しかしながら、搬送停止期間Tbをマスク期間とするマスク制御を行っても、第二増設搬送センサ53bで後端Peの通過を用紙Pを、第二増設搬送センサ53bで再び検知してしまう不具合が生じることがあった。
以下、この不具合について説明する。
【0064】
図9は、搬送方向の長さが距離「L1」よりも少しだけ長い用紙Pを給送し、用紙Pをレジストローラ対13に突き当て、撓みPdを形成させて搬送を停止した状態の説明図である。
図10は、
図9の状態から用紙Pの腰(剛性)によって撓みPdが無くなった状態の説明図である。
図11は、
図10の状態から用紙Pの搬送を再開した状態の説明図である。
図12は、
図9~
図11に示す状態となり得る用紙Pを給送した場合であって、マスク期間MTを搬送停止期間Tbとした場合のタイミングチャートである。
【0065】
距離「L1」よりも用紙Pが長い場合であっても、用紙Pの先端がレジストニップに到達後さらに搬送して撓みPdを形成すると、
図9に示すように、レジストニップに突き当たった用紙Pの後端Peが第二増設搬送センサ53bの検知位置を通過することがある。これは、用紙Pの長さが距離「L」よりも長いにもかかわらず、先端位置出し中(先端位置出し搬送期間Taの間)に、用紙Pの後端Peが第二増設搬送センサ53bの検知位置を抜ける場合である。この場合、
図12に示すように、用紙Pの搬送を停止するタイミング(
図12中の「T4」)よりも前に第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「OFF」になる。
【0066】
その後、搬送を停止して(
図12中の「T4」)して搬送停止期間Tbとなる。用紙Pの撓みPdの部分は、弾性変形が生じている状態であるので、用紙Pには撓みPdを伸ばして変形前の状態に戻そうとする復元力が作用している。このため、剛性が高い(腰が強い)用紙P等、復元力が大きい用紙Pをレジストニップに突き当てると、搬送停止期間Tb中に復元力によって撓みPdが無くなることがある。
【0067】
撓みPdが無くなるように用紙Pが伸びると、搬送経路における用紙Pの先端から後端までの距離が、撓みPdの分だけ短くなっていた分が元に戻り、用紙Pの先端から後端までの距離が距離「L1」よりも長くなることがある。このとき、用紙Pの先端はレジストニップに突き当たり、搬送方向下流側に移動することができないので、用紙Pの後端Peが搬送方向上流側に移動し、第二増設搬送センサ53bよりも搬送方向上流側に到達し、
図10に示す状態となる。
このとき、
図12に示すように、搬送停止期間Tb中に第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「OFF」から「ON」に変化する。
すなわち、先端位置出し完了後、ローラ対(52b、52a及び12)が用紙Pの撓みPdを保持できない場合、用紙Pの後端Peが撓み量分、搬送方向上流側に戻り、第二増設搬送センサ53bによって再度検知されてしまう。
【0068】
用紙Pの後端Peが搬送方向上流側に戻ることを防止する構成としては、レジストローラ対13よりも上流側のローラ対(52b、52a及び12)のニップ圧を強くすることが考えられる。しかし、レジストニップでは、スキュー補正という用紙Pの傾きを戻す補正を行っている。このため、レジストニップに到達した用紙Pをニップで挟んでいるローラ対(52b、52a及び12)のニップ圧が高すぎると、傾きを戻すように用紙Pを回転させることができず、スキュー補正ができなくなる。レジストニップでは、用紙Pの先端の位置合わせだけでなく、スキュー補正も行いたいため、ジストニップに到達した用紙Pを挟んでいるローラ対のニップ圧は用紙Pが回転できる程度に緩くしたいという要望がある。そして、ニップ圧を緩くした結果、撓みPdを戻そうとする力によって、用紙Pの後端Peが搬送方向上流側に戻ってしまうことがある。
【0069】
次に、搬送を再開すると、
図11に示すように、第二増設搬送センサ53bの検知位置を用紙Pの後端Peが再度通過する。このため、
図12に示すように、搬送停止期間Tbが経過した直後に、第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「ON」から「OFF」に変化する。
このようなセンサ出力の変化が生じた場合、マスク期間MTを設けない制御では、搬送停止前にセンサ出力が「OFF」になることで用紙Pの後端Peが第二増設搬送センサ53bの検知位置を通過したと判断する。次に、搬送停止後にセンサ出力が「OFF」から「ON」に変化することで、制御部(101または501b)は、新たな用紙Pの先端が検知位置を通過したと認識し、用紙Pの長さを計測する用紙長計測を開始する。その後、搬送停止期間Tbが経過した直後に、センサ出力が「OFF」になることで、上述した新たな用紙Pの後端が検知位置を通過したと認識する。このとき、検知位置を先端が通過してから後端が通過するまでの時間が非常に短いため、制御部(101または501b)は、用紙長計測ができず、搬送エラーと判断し、装置を停止する。
【0070】
一方、
図12に示すように、マスク期間MTを搬送停止期間Tbとした場合、マスク期間MTの開始前にセンサ出力が「OFF」になることで、制御部(101または501b)は、用紙Pの後端Peが検知位置を通過したと判断する。次に、マスク期間MT中にセンサ出力が「ON」に変化し、検知位置を一度通過した用紙Pを再度検知する状態となるが、この変化は無視する。次に、搬送停止期間Tbの終了とともにマスク期間MTが終了して、センサ出力を取得するが、センサ出力が既に「ON」となっている。このため、制御部(101または501b)は、マスク期間MTが終了したタイミングで、新たな用紙Pの先端が検知位置を通過したと認識し、用紙Pの長さを計測する用紙長計測を開始する。しかし、その直後に、センサ出力が「OFF」になることで、上述した新たな用紙Pの後端が検知位置を通過したと認識する。このとき、検知位置を先端が通過してから後端が通過するまでの時間が非常に短いため、制御部(101または501b)は、用紙長計測ができず、搬送エラーと判断し、装置を停止する。
【0071】
次に、
図9~
図11に示す用紙Pの挙動が生じ得る状態の具体例について説明する。
例えば、距離「L1」を295[mm]とし、距離「L2」を12.1[mm]とし、さらに、第二増設搬送センサ53bから第二増設搬送ニップまでの距離(
図9~
図10中の「L3」)を2.0[mm]とする。また、レジストセンサ20が用紙Pの先端を検知して(
図12中の「T3」)から搬送停止(
図12中の「T4」)までの先端位置出し搬送期間Taの間に、22.1[mm]分搬送する。そして、用紙PとしてA4用紙を縦方向(長さ297[mm])に給送した場合に
図9~
図11を用いて説明した用紙Pの挙動が生じ得る。
【0072】
先端位置出し搬送期間Taの間に、22.1[mm]分搬送する場合、まず、レジストセンサ20が用紙Pの先端を検知してから12.1[mm]分搬送することで、用紙Pの先端がレジストニップに到達する。さらに、10[mm]分搬送することで、撓みPdを形成するとともに、用紙Pの後端Peは、第二増設搬送センサ53bの検知位置から搬送方向下流側に8[mm]の位置に到達して
図9に示す状態となって搬送を停止する(T4)。用紙Pの後端Peが検知位置を通過することで、第二増設搬送センサ53bのセンサ出力は「OFF」になる。
図12に示す制御では、搬送停止と同時にマスク期間MTを開始する。
【0073】
このマスク期間MTの間に用紙Pの撓みPdが平坦状に戻ることよって用紙Pの後端Peが撓み量分の10[mm]後進する。このとき、用紙Pの長さは297[mm]であり、距離「L1」は295[mm]であるため、その差の2.0[mm]の分だけ、用紙Pの後端Peは第二増設搬送センサ53bの検知位置よりも搬送方向上流側の位置に移動し、
図10に示す状態となる。
この後、レジスト制御によって、搬送が再開されると同時に、マスク制御が解除されると、第二増設搬送センサ53bの検知位置には既に用紙Pが存在するため、センサ出力が「ON」となり、新たな用紙が搬送されてきたと認識する。しかし、2[mm]搬送したところで検知位置を用紙Pの後端が通過する(
図11に示す状態となる)ため、第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「OFF」になる。このとき、マスク制御の後に検知位置を通過した用紙Pの長さが2[mm]と算出され、用紙Pの長さとしては不適切であるため、制御部(101または501b)は、用紙Pの搬送に不具合が生じた判断する。このとき、紙詰まりや搬送不良が生じておらず、センサ出力以外は問題が生じていないにも関わらず装置を止めてしまう。
【0074】
増設搬送センサ53からレジストニップまでの距離は、増設給紙装置50の段数や、給送する用紙Pを収容する増設給紙装置50よりも搬送方向下流側に位置する他の増設給紙装置50の上下方向の寸法によって、変化する。このため、上述した段数や下流側の他の増設給紙装置50の上下方向の寸法によって、
図9~
図11に示す状態は、生じたり、生じなかったりする
本実施形態のプリンタ100では、増設給紙装置50の段数が一段のみの場合は、増設給紙装置50の増設搬送センサ53からレジストニップまでの距離が、A4の用紙長よりも十分に短く、
図9~
図11に示す状態にはならなかった。
【0075】
また、増設給紙装置50の段数を複数段にして二段目の増設給紙装置50(第二増設給紙装置50b)から給送する場合は、一段目の増設給紙装置50(第一増設給紙装置50a)の高さ方向の寸法によって、
図9~
図11に示す状態になることがあった。
具体的には、増設給紙装置50として用紙Pを250枚収容できるものと500枚収容できるものとで選択でき、一段目の増設給紙装置50に250枚収容のものを用いた場合に、二段目の増設給紙装置50から給送しても
図9~
図11に示す状態にならなかった。この場合、同じ用紙Pの後端Peの複数回検知の不具合は生じない。
【0076】
一方、一段目の増設給紙装置50に500枚収容のもの(250枚収容のものよりも高さ方向の寸法が大きく、搬送経路が長くなるもの)を用いた場合に、二段目の増設給紙装置50から給送すると
図9~
図11に示す状態となることがあった。この場合、同じ用紙Pの後端Peの複数回検知の不具合は生じ得る。
【0077】
次に、本発明に係るプリンタ100の用紙Pの長さを計測する制御について説明する。
図1は、本発明に係るプリンタ100のタイミングチャートであり、
図9~
図11に示す状態となり得る用紙Pを給送した場合であって、マスク期間MTを搬送停止期間Tbよりも長い期間とした場合のタイミングチャートである。
【0078】
図1に示すタイミングチャートは、マスク期間MTのみが
図12に示すタイミングチャートと異なるため、共通する点については説明を省略する。
図1に示すタイミングチャートでは、先端位置出し搬送期間Taの間の所定のタイミング(レジストセンサ20が用紙Pの先端を検知したとき(T3)から
図1中の「dT1」経過後)にマスク期間MTを開始する。さらに、搬送停止期間Tbが経過した後、次の用紙Pの先端が検知位置に到達する前の所定のタイミング(搬送再開(T5)から
図1中の「dT2」経過後)にマスク期間MTを終了する。
【0079】
図1に示すタイミングチャートでは、マスク期間MTの期間中に第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「ON」から「OFF」に変化している。このため、制御部(101または501b)は、マスク期間MTの開始前には用紙Pの後端Peが第二増設搬送センサ53bの検知位置を通過したことを認識しない。そして、マスク期間MTの終了時に既に第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「OFF」となっているので、このときに、用紙Pの後端Peが第二増設搬送センサ53bの検知位置を通過したと認識し、用紙長計測を行う。
【0080】
図1に示すタイミングチャートの構成では、用紙Pの先端が検知位置を通過したタイミング(
図1中の「Tp1」)と、マスク期間MTが終了したタイミングとの時間差(
図1中の「Ts1」)に基づいて用紙Pの搬送方向の長さを算出できる。具体的には、上述した時間差(
図1中の「Ts1」)から搬送停止期間Tbを引いた値と、用紙Pの搬送速度との積より用紙Pの長さを求めることができる。
この制御では、マスク期間MTの間に用紙Pの後端Peが検知位置を通過した場合は、マスク期間MTが終了したタイミングで後端Peが検知位置を通過したものとして用紙長の算出を行う。具体的には、マスク期間MTの開始直後に後端Peが検知位置を通過した場合と、マスク期間MTの終了直前に後端Peが検知位置を通過した場合とで、算出される用紙Pの長さは同じ長さとなる。マスク期間MTの間の搬送時間は、
図1中の「dT1」と「dT2」とを足し合わせた時間であり、この間に搬送される距離は、用紙Pの全長に比べて十分に短いため、適切なサイズの用紙Pが搬送されているか否かを判断する用紙長計測では問題とならない。
【0081】
マスク期間MTの開始タイミングを決める「dT1」としては、レジストセンサ20による検知位置を通過し用紙Pの先端が、レジストニップに到達する時間よりも短い時間であることが望ましい。すなわち、レジストセンサ20のセンサ出力が「ON」になってから、距離「L2」分の用紙Pの搬送が行われる時間よりも「dT1」が短い時間であることが好ましい。これにより、レジスト搬送部材であるレジストローラ対13に用紙Pが到達し、用紙Pの先端に撓みPdが形成され始める前に、マスク期間MTを開始することができる。このため、マスク期間MTを開始する前に検知位置を通過した用紙Pの後端Peが、マスク期間MTの間に検知位置を上流側に向けて通過することを防止できる。
【0082】
レジストセンサ20からレジストニップまでの距離は機種によって異なるため、「dT1」の値は機種によって異なる。本実施形態におけるプリンタ100では、時間「dT1」の間の用紙Pの搬送距離が7[mm]となるように「dT1」の値を設定している。
レジストセンサ20の検知位置からレジストニップの距離は12.1[mm]なので、用紙Pの先端がレジストニップに到達する前、すなわち、撓みPdを形成し始める前に、マスク期間MTを開始する構成を実現できる。
【0083】
搬送再開からマスク期間MT終了までの時間「dT2」は、次のような値に設定する。すなわち、マスク期間MT中に後端Peが第二増設搬送センサ53bの検知位置を通過した用紙Pにおいて、撓み(Pd)が伸びて後端Peが検知位置よりも上流側に位置しても再検知しない値である。具体的には、本実施形態では、撓みPdを形成する搬送量は「0[mm]~10[mm]」の間で設定可能となっているため、撓みPdが伸びたときに、用紙Pの後端が上流側に戻る距離の最大値は「10[mm]」である。このため、本実施形態におけるプリンタ100では、時間「dT2」の間の用紙Pの搬送距離が「10[mm]」となるように「dT2」の値を設定している。「dT2」の値はこの値に限るものではなく、撓みPdを形成する搬送量の値に応じて設定する。
【0084】
また、マスク期間MTの間に、センサの検知位置を、先行する用紙Pの後端Peが通過し、さらに、後続の用紙Pの先端が通過してしまうと、先行する用紙Pの後端Peを検知することができなくなってしまう。このため、本実施形態では、マスク期間MTの間の搬送時間である「dT1」と「dT2」との間での用紙Pの搬送距離が「紙間W」未満となるように設定する。
本実施形態では、「dT1」の間の搬送距離は、「7[mm]」で、「dT2」の間の搬送距離は、「10[mm]」であるため、「dT1」と「dT2」との間の搬送距離は「17[mm]」となり、紙間W(=25[mm])未満となっている。
【0085】
レジストセンサ20での用紙先端検出後、搬送停止するまでの搬送距離(
図1中の「Ta」の間の搬送距離)をLaとする。距離「La」は、距離「L2」と撓み量とを足したものであり、撓み量は「0[mm]~10[mm]」の間で設定可能であるため、距離「La」の最大値は、「22.1[mm]」である。また、用紙Pの長さを「Lp」とする。
撓みPdが伸びたときに後端Peが上流側に移動する長さは、撓みPdによって縮んだ長さであり、これは、「La-L2」である。
そして、一度、第二増設搬送センサ53bの検知位置を通過した用紙Pの後端Peが、撓みPdが伸びることによって、検知位置の上流側に戻り得る条件は、「Lp-L1>0」、且つ、「Lp-L1<La-L2」となる。
【0086】
本実施形態のプリンタ100で、A4用紙を縦方向(297[mm])で撓み量「10[mm]」となるように搬送する場合、「Lp」=297[mm]、「L1」=295[mm]、「La」=22.1[mm]、「L2」=12.1[mm]となる。この場合、「Lp-L1」=2.0[mm]となり、上記「Lp-L1>0」の条件を満たす。また、「La-L2」=10[mm](撓み量)であるため、上記「Lp-L1<La-L2」の条件を満たす。
【0087】
本発明者らが、実機にて確認したところ、「L1」の設計上の値が299[mm]でA4用紙を縦方向(297[mm])で撓み量「10[mm]」となるように搬送した場合も、用紙Pの後端Peの再検知が生じることがあった。この場合、「Lp-L1」=-2.0[mm]となり、上記「Lp-L1>0」の条件を満たさない。しかし、プリンタ100の各部材の組付け誤差によって「L1」の値が「299[mm]」に対して変動したり、A4用紙のサイズも誤差によって変動したりすることによって、上記「Lp-L1>0」の条件を満たす状態となったと考えられる。
【0088】
プリンタ100では、第二増設搬送センサ53bが「ON」になって(
図1中の「Tp1」)から本体中継クラッチ24が「ON」になる(
図1中の「T2」)までの時間を、その時間での搬送距離が「10「mm」」となるように設定している。
図1中の「Tp1」から「T2」までの間の搬送距離は、「10「mm」」に限らず、第二増設搬送センサ53bを「ON」とした用紙Pの先端が中継ローラ対12に到達するまでに中継ローラ対12が回転した状態となるように設定する。
【0089】
図1に示すタイミングチャートでは、搬送再開後、第二増設搬送クラッチ124bを一時的に「OFF」にしてすぐに「ON」にする部分(
図1中の「β」)がある。この部分では、先行する用紙Pと後続する用紙Pとの紙間Wが詰まっている場合に、紙間Wを一定(本実施形態では「25[mm]」)にするため、第二増設搬送ローラ対52bを短時間だけ停止させて、後続する用紙Pの搬送を一時的に止めている。
【0090】
装置内にシートである用紙Pを搬送する構成を備え、シート搬送装置としての機能を有するプリンタ100は、画像形成部10と、用紙Pを供給する給紙部として、本体給紙部30と、増設給紙部500とを備える。プリンタ100の本体制御部101は、本体給紙部30の本体給紙トレイ31と、増設給紙部500における個々の増設給紙装置50の増設給紙トレイ70にセットされた用紙Pのサイズ情報を有しており、用紙Pの搬送方向の長さ(用紙長)の情報も有している。また、個々の増設給紙装置50の増設給紙制御部501は、それぞれの増設給紙トレイ70にセットされた用紙Pのサイズ情報を有しており、用紙Pの搬送方向の長さ(用紙長)の情報も有している。
【0091】
また、プリンタ100は、本体給紙部30や増設給紙装置50から供給された用紙Pを画像形成部10に向けて搬送する搬送手段として中継ローラ対12及び増設搬送ローラ対52を備える。また、用紙Pの搬送経路における検知位置で、用紙Pの有無を検知する検知手段として、紙検知センサである本体中継前センサ35及び増設搬送センサ53を備える。そして、本体制御部101は、本体中継前センサ35または増設搬送センサ53の検知結果に基づいて、搬送された用紙Pの用紙長を算出できる。
【0092】
また、画像形成部10の上流側に設けられたレジストローラ対13に突き当たった用紙Pの先端位置を所望の位置に合わせる先端位置出し中に、上述した紙検知センサのセンサ出力が「OFF」になった場合は、マスク制御を開始する。このマスク制御は、所定のマスク期間MT中における増設搬送センサ53のセンサ出力を用紙長計測に用いない制御である。そして、先端位置出し動作が完了(
図1中の「T4」)してから、一定時間(
図1中の「Tb」+「dT2」)経過後であるマスク期間MTの終了後の紙検知センサのセンサ出力に基づいて用紙長計測を行う。
【0093】
レジストローラ対13での先端位置出し中に、用紙Pの後端Peを検知して検知結果を用紙長の算出に用いる紙検知センサの近傍に後端Peが位置してると、センサの検知位置を一度通過した後端Peが検知位置に戻ってくる後端ノイズが生じることがある。このような後端ノイズに対して、先端位置出し中に紙検知センサの検知位置を用紙Pの後端Peが抜けた場合、すなわち、センサ出力が「OFF」になった場合は、上述したマスク期間MTが終了するまでは、紙検知センサのセンサ出力を用紙長の算出に用いない。これにより、後端ノイズの影響を抑制することができ、先端位置出し中の用紙Pの後端Peの状態によらず、適切に用紙長の計測を行うことができる。
【0094】
図1に示すタイミングチャートの制御を行う構成では、レジストセンサ20が「ON」になってから一定期間経過後であって搬送停止の前の所定のタイミングでマスク期間MTを開始し、搬送再開後の一定期間経過後にマスク期間MTを終了している。このような構成であれば、用紙Pが
図9~
図11に示した動作を行っても問題なく用紙Pの搬送方向の長さを算出できる。このため、増設給紙装置50の段数や、給送する用紙Pを収容する増設給紙装置50よりも搬送方向下流側に位置する他の増設給紙装置50の上下方向の寸法に寄らず、用紙Pの搬送方向の長さが適切か否かの判断を行うことが可能となる。
【0095】
プリンタ100としては、給紙再開のタイミング(
図1中の「T5」)までの間に、センサ出力が変化するか否かによって、給紙再開からマスク期間MT終了までの間に増設搬送センサ53のセンサ出力を使用するか否かの判断を行う構成としてもよい。具体的には、レジストローラ対13の上流側に設置された検出手段であるレジストセンサ20で検出された用紙Pの後端Peが紙検知センサ(53、35)の検知位置を通過しない間は、紙検知センサのセンサ出力の変化を確認し続ける。そして、給紙再開のタイミング(
図1中の「T5」)までの間に、センサ出力が変化した場合は、上述したマスク期間MTが終わるまでは増設搬送センサ53のセンサ出力を用紙長計測に用いない制御を行う。一方、給紙再開のタイミング(
図1中の「T5」)までの間に、センサ出力が変化しなかった場合は、給紙再開からマスク期間MT終了までの間の増設搬送センサ53のセンサ出力を用紙長計測に用いる制御を行う。
【0096】
この制御では、マスク期間MTの開始タイミングから給紙再開のタイミング(
図1中の「T5」)までの間に、センサ出力が変化せず、マスク制御が必要なかった場合に、給紙再開後すぐに、増設搬送センサ53のセンサ出力を用紙長計測に用いることができる。これにより、マスク制御を行う場合には、後端Peの通過を検知できない期間(
図1中の「dT2」)に後端Peの通過を検知できるため、より正確な用紙Pの長さを算出することが可能となる。
【0097】
用紙Pの長さを算出する方法としては、給紙トレイの搬送方向に複数の紙検知センサを配置し、用紙Pを検知した紙検知センサと、用紙Pを検知しなかった紙検知センサとの境目の位置によって用紙Pの長さを算出する方法が考えられる。しかし、あらゆる長さの用紙Pを検出できるようにしようとすると、紙検知センサの数が多くなり、コスト高、大型化につながる。そして、紙検知センサの数を少なくしよとすると、使用頻度の高い定型サイズの用紙Pに対応した位置のみに紙検知センサを配置しなければならず、不定形サイズの用紙Pの長さを検出することができない。これに対して、本実施形態のプリンタ100では、ある一つの紙検知センサで用紙Pの先端の通過を検知してから後端Peの通過を検知するまでの時間と、搬送速度とに基づいて用紙Pの長さを算出している。このため、用紙Pのサイズに寄らず用紙Pの長さを算出することができるため、各給紙トレイ(31、70a、70b及び70c)にセットされた用紙Pのサイズが、不定形サイズであっても対応することが可能となる。
【0098】
また、用紙Pの後端Peが紙検知センサを通過したタイミングを適切に検知することができ、正確な用紙Pの長さを算出することが可能である。このため、用紙Pが不定形サイズであっても設定された用紙Pのサイズと、搬送されている用紙Pのサイズが一致するか否かを的確に判断することが可能であり、不定形サイズの用紙Pにも対応できる。
【0099】
また、増設搬送センサ53は、増設給紙トレイ70から給送された用紙Pに紙詰まり等の搬送不良が発生していない否かを検出する搬送不良検出センサとしての機能を備える。具体的には、増設給紙クラッチ123を「ON」にすることで増設給紙ローラ51の回転を開始してから、所定の時間経過までに増設搬送センサ53で用紙Pの先端の通過を検知したか否かを確認する。所定の時間経過までに用紙Pの先端の通過を検知しなかった場合は、増設給紙トレイ70から増設搬送センサ53までの間の用紙Pの搬送経路で紙詰まり等の搬送不良が発生したことを検出できる。この検出結果に基づいて、上述した外部装置や操作パネル102に、搬送不良が発生したことを報知することで、上述した用紙Pの長さが適切ではない不具合とは異なる、搬送不良が生じたことを使用者に知らせることができる。
搬送不良検出センサである増設搬送センサ53の検知結果に基づいて用紙Pの長さを算出する構成で、マスク制御によって後端ノイズ対策を行う構成とすることで、機械的構成を変えることなく、後端ノイズの対策を行うことができる。
【0100】
図13は、紙検知センサ(35、53a、53b及び53cの何れか)を用いて用紙Pの長さを測定するフローチャートであり、給紙開始からサイズ不一致の判定を行うまでの概略を示すフローチャートである。
紙検知センサの何れかを用紙長測定センサとして、その検知結果に基づいて用紙Pの長さを測定(制御部にて算出)する。
【0101】
給紙開始後、対応する紙検知センサ(35または53)で用紙Pの先端の通過を検知する(S11で「Yes」)と、制御部(101または501)が、用紙長計測を開始する(S12)。その後、紙検知センサで用紙Pの後端Peの通過を検知すると、用紙長計測完了として(S13で「Yes」)、計測した(算出した)用紙Pの長さと、設定された用紙Pの長さとの差が規定値以内か否かの判断を行う(S14)。規定値以内であれば(S14で「Yes」)、通紙を続行し(S15)、規定値を超えた場合は(S14で「No」)、サイズ不一致と判定し、通紙を停止する(S16)。
【0102】
図14は、本実施形態のプリンタ100に適用可能な搬送ローラ対の劣化および寿命の予兆を判断するフローチャートである。
紙検知センサ(35、53a、53b及び53cの何れか)を用紙長測定センサAとする。また、用紙長測定センサAよりも搬送方向下流側に位置する紙検知センサ(35、53a、53b)、レジストセンサ20または定着後センサ21の何れかを用紙長測定センサBとする。そして、用紙長測定センサAで計測した用紙サイズと、用紙長測定センサBで計測した用紙サイズとを比べることで、搬送ローラ対の劣化及び寿命の予兆を判断することができる。
【0103】
給紙開始後、用紙長測定センサAで用紙Pの先端の通過を検知する(S21で「Yes」)と、制御部(101または501)が、用紙長Aの計測を開始する(S22)。次に、用紙長測定センサBで用紙Pの先端の通過を検知する(S23で「Yes」)と、制御部(101または501)が、用紙長Bの計測を開始する(S24)。その後、用紙長測定センサAで用紙Pの後端Peの通過を検知すると、用紙長A計測完了となる(S25で「Yes」)。また、用紙長測定センサBで用紙Pの後端Peの通過を検知すると、用紙長B計測完了となる(S26で「Yes」)。そして、用紙長Aと用紙長Bとの差が所定量未満の場合(S27で「No」)は、計測を終了し(S28)、用紙長Aと用紙長Bとの差が所定量以上の場合(S27で「Yes」)は、ローラ対の寿命を警告する表示を行う(S29)。この警告表示は、報知手段である外部装置や操作パネル102に表示する。
【0104】
図15は、用紙サイズの計測と、搬送不良の検出とを行う制御のフローチャートである。
給紙開始後、対応する紙検知センサ(35または53)で用紙Pの先端の通過を検知する(S31で「Yes」、
図1中の「Tp1」)と、制御部(101または501)が、用紙長計測を開始する(S32)。次にレジストセンサ20で用紙Pの先端の通過を検知する(S33で「Yes」、
図1中の「T3」)と、先端位置出しを開始する(S34、
図1中の「Ta」)。先端位置出しを完了したら(S35で「Yes」、
図1中の「T4」)、レジスト再開(搬送再開)する(S36、
図1中の「T5」以降)。
【0105】
レジスト再開後、紙検知センサで用紙Pの後端Peの通過を検知する(
図1中の「MT」終了時)と、用紙長計測完了とする(S37で「Yes」)。そして、計測した(算出した)用紙Pの長さと、設定された用紙Pの長さとの差が所定量以上か否かの判断を行う(S38)。所定量以上の場合(S38で「Yes」)は、サイズ不一致と判定し、通紙を停止する(S39)。所定量未満であれば(S38で「No」)、通紙を続行し(S40)、給紙不良が発生しないか否かの判断を行う。給紙不良が発生していない場合(S41で「No」)は、通紙を続行し(S42)、給紙不良が発生している場合(S41で「Yes」)は、搬送不良発生(JAM発生)と判断し、通紙を停止し(S43)、その旨を外部装置や操作パネル102に報知する。
給紙不良としては、紙検知センサまで用紙Pが搬送されてこない不給紙や、複数枚の用紙Pの一部が互いに重なった状態で連続して搬送される連れ送りなどを挙げることができる。
【0106】
マスク制御を行わない構成や搬送停止期間Tbの間のみをマスク期間MTとするマスク制御を行う構成では、後端Peの再検知によって、センサ出力以外は問題が生じていないにも関わらず装置を止めてしまうおそれがある。これに対して、
図1に示すマスク制御を行う本実施形態のプリンタ100では、後端Peの再検知を防止し、搬送不良が生じていないにも関わらず、搬送不良が生じたと誤検知することを防止できる。これにより、より正確な搬送不良検知(JAM検知)を行うことが可能となり、使用者に知らせることができる。
【0107】
上述したプリンタ100では、多段の給紙トレイを備え、給送する用紙Pを収容する給紙部(本体給紙部30または増設給紙装置50)が備える紙検知センサ(本体中継前センサ35または増設搬送センサ53)の検知結果に基づいて用紙Pの長さを算出する。そして、画像形成部10の上流側に設けられたレジストローラ対13での用紙Pの先端位置出し中に発生し得る後端ノイズによる用紙長さの算出不良をマスク制御によって対策するものである。
【0108】
このようなマスク制御を行うことによって、用紙長さの算出不良を防止する構成を備えたシート搬送装置としては、記録媒体である用紙Pを搬送する給紙部に限るものではない。シートが突き当たり、突き当たり後、所定のタイミングで下流側に搬送するレジスト搬送部材(レジストローラ)を備える構成であれば、他のシート搬送装置にも適用可能である。
【0109】
〔変形例〕
以下、変形例として、本発明に係るシート搬送装置の構成をADF80に適用した構成について説明する。
図16は、変形例に係る画像読取装置300の概略構成図である。
画像読取装置300は、フラットベッドスキャナモード(載置原稿読み取りモード)と、DFスキャナモード(搬送原稿読み取りモード)とに切替え可能に構成されている。
【0110】
フラットベッドスキャナモードは、スキャナ90の上部のフラットベッドコンタクトガラス113上に原稿が載置された状態で、コピー開始ボタン押下等の読み取り開始要求操作がなされときに実行され、載置原稿の画像を読み取る動作モードである。フラットベッドコンタクトガラス113の直下の移動読取領域111で画像読取部116を移動させながら、原稿の画像面に対して、光を照射する。そして、その原稿の画像面からの反射光を画像信号に変換することにより、原稿の画像を読み取るようになっている。
DFスキャナモードは、画像読取部116を、DFコンタクトガラス114の直下の停止読取領域112で停止させ、搬送原稿画像を読み取る動作モードである。
【0111】
ADF80は、画像読取装置300がDFスキャナモードのときに、原稿載置トレイ121(原稿載置台)上に積載された原稿シート束から原稿シートを一枚ずつ分離して原稿搬送路182内に搬入し、原稿搬送路182に沿って搬送する。そして、その搬送中、原稿シートが、搬送方向の上流側部分から順次部分的にDFコンタクトガラス114の上面に対面するようになっている。
【0112】
ADF80は、スキャナ90の上面側の後部(背面側の部分)にヒンジ等の開閉機構を介して取り付けられている。また、ADF80は、スキャナ90に対してフラットベッドコンタクトガラス113上を開放する開位置と、フラットベッドコンタクトガラス113上の原稿を押付け可能な閉位置とを採り得るようになっている。
【0113】
画像読取部116は、CCDモジュールもしくはCISモジュール等、所定の画像読取位置で、原稿の表面側の画像を繰り返しライン走査して、読み取ることができるものであればよい。また、停止読取領域112に固定した固定画像読取部と、移動読取領域111でフラットベッドコンタクトガラス113に沿って移動する移動読取部とをそれぞれ設けてもよい。
【0114】
原稿載置トレイ121には、ADF80にセットされた原稿シートをその給紙方向と直交するシート幅方向で位置決めする左右の可動のサイドガイド板183が装着されている。これらサイドガイド板183は、原稿載置トレイ121と原稿シートの幅方向の中心を一致させるように相対的に接近および離隔可能である。ただし、サイドガイド板183は、原稿載置トレイ121の一方の縁部側に原稿シートの一方の縁部を当接させて他方の縁部側のみを移動可能に配置したものでもよい。
【0115】
ADF80は、少なくともその上方を開閉可能としたカバー138により覆われている。さらに、ADF80の原稿搬送路182を形成する主要なガイド部分は、カバー138に形成されたリブ等によって形成されている。ADF80は、原稿載置トレイ121上にセットされた原稿シートを給送方向に呼び出す呼出ローラ184と、呼出ローラ184で給送方向に呼び出された原稿を原稿搬送路182に向けて送るためのフィードローラ125および分離パッド143を備えている。
【0116】
ADF80は、フィードローラ125によって原稿搬送路182内に給紙された原稿をDFコンタクトガラス114上に画像読み取り可能な姿勢で搬送し、画像読み取り後の原稿を排出口136まで搬送する搬送部127を備えている。
【0117】
この搬送部127は、フィードローラ125等により分離・搬入された原稿シートを原稿搬送路182に沿って折り返すように反転させるとともに、DFコンタクトガラス114の上面の所定の読取位置を通過するように、原稿シートを搬送する。そのような原稿搬送のために、原稿搬送路182のうちDFコンタクトガラス114より上流側には、第一搬送ローラ対128、第二搬送ローラ対129と、原稿シートの搬送方向の先端を検知する原稿レジストセンサ131とが設けられている。また、フィードローラ125と第一搬送ローラ対128との間には原稿給送検知センサ154を備え、原稿レジストセンサ131とDFコンタクトガラス114との間には原稿レジストローラ対150を備える。
【0118】
フィードローラ125等により分離された原稿シートは、第一搬送ローラ対128、第二搬送ローラ対129によって原稿レジストローラ対150に突き当たる位置まで搬送される。そして、原稿レジストセンサ131による原稿シートの先端検知タイミングから所定のタイミング経過後に原稿レジストローラ対150を回転駆動させる。これにより、原稿シートが原稿レジストローラ対150によってDFコンタクトガラス114上を通るように搬送される。そして、DFコンタクトガラス114上を通るときに画像読取部116により適時に原稿シートの下面(おもて面)の画像が読み取られる。
【0119】
原稿シートの裏面(DFコンタクトガラス114を通過時に上面となる側)画像の読み取りが要求される場合、裏面画像は、裏面読取用の密着型イメージセンサからなる裏面画像読取モジュール135(第二画像読取部)によって読み取られる。
読み取り後の原稿は、原稿排紙トレイ139に排紙されるようになっている。
【0120】
原稿搬送路182のうちDFコンタクトガラス114より下流側には、表面側の画像読取済み原稿を裏面画像読取モジュール135側に搬送する読取出口ローラ対132が設けられている。そして、読取出口ローラ対132の下流側には、裏面画像読取モジュール135に対面する白色ガイド部材133と、裏面画像読取モジュール135および白色ガイド部材133より下流側に位置する原稿排紙ローラ対137とが、それぞれ設けられている。
【0121】
白色ガイド部材133は、搬送原稿を裏面画像読取モジュール135に沿って移動させるガイド機能を有するとともに、裏面画像読取モジュール135に主走査方向全域で対向するように配置されたシェーディング補正用の白基準面を有している。
【0122】
図16に示すADF80において、原稿給送検知センサ154で原稿シートの先端を検知してから原稿シートの後端を検知するまでの時間と、原稿シートの搬送速度とに基づいて原稿シートの搬送方向の長さを算出することができる。変形例のADF80は、原稿給送検知センサ154の検知結果に基づいて原稿シートの長さを算出する構成で、原稿レジストローラ対150に原稿シートを突き当て、原稿シートの先端に撓みを形成させた後に搬送を再開する構成である。このような構成において、上述したプリンタ100の
図1を用いて説明した制御と同様の制御を行う。これにより、原稿レジストローラ対150に突き当たった原稿シートの後端が原稿給送検知センサ154の近傍に位置していても、原稿給送検知センサ154での後端の再検知を防止でき、原稿シートの長さを適切に算出することができる。
【0123】
上述した実施形態では、シート搬送部材が、二つのローラ部材によって形成されるものについて説明したが、シート搬送部材は、二つのローラ部材に限るものではない。例えば、ベルト部材とローラ部材とによって搬送ニップを形成する構成でもよい。
【0124】
本発明に係るシート搬送装置が搬送する「シート」は、紙、コート紙、OHPシート、ラベル紙、フィルム、布帛等を含む。さらに、「シート」は、樹脂製シート、表裏面の保護紙、金属製シート、銅箔等の金属箔やメッキ処理等を施した電子回路基板材、特殊フィルム、プラスチックフィルム、プリプレグ、電子回路基板用シート等を含む。プリプレグは、炭素繊維等に予め樹脂が含浸してあるシート状の材料である。プリプレグの例としては、炭素繊維やガラスクロスのような繊維状補強材に、硬化剤、着色剤などの添加物を混合した熱硬化性樹脂等を含浸させ、加熱または乾燥して半硬化状態にしたシート状の強化プラスチック成形材料が含まれる。
【0125】
また、シート搬送装置の構成を備えた「画像形成装置」は、紙、OHPシート、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に現像剤やインクを付着させて画像形成を行なう装置を含む。また、「画像形成」は、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することをも含む。
【0126】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0127】
(態様1)
搬送される用紙P等のシートの先端が突き当たり、その後、シートを搬送するレジストローラ対13等のレジスト搬送部材に向けてシートを搬送する第二増設搬送ローラ対52b等のシート搬送部材と、シート搬送部材が搬送する用紙P等のシートを検知する第二増設搬送センサ53b等の検知手段と、検知手段の検知結果に基づいてシートの搬送方向の長さであるシート長さを算出する第二増設給紙制御部501b等の算出手段とを備える第二増設給紙装置50bまたはプリンタ100等のシート搬送装置において、算出手段は、検知手段が前記シートを検知してから、シートを検知しなくなるまでの時間(Ts1等)に基づいてシート長さを算出するものであり、レジスト搬送部材にシートが到達してから、レジスト搬送部材が搬送を開始するまでの突き当て期間(タイミング「T3」から距離「L2」の用紙Pの搬送が行われる時間が経過したタイミングからタイミング「T5」までの期間)の間に、検知手段がシートを検知しなくなった場合(第二増設搬送センサ53bのセンサ出力が「ON」から「OFF」に変化した場合等)、算出手段は、突き当て期間と、レジスト搬送部材の搬送開始後の所定の期間(
図1中の「dT2」)との間(マスク期間MTに含まれる期間)は、検知手段の検知結果を、シート長さの算出に用いないことを特徴とするものである。
【0128】
本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、検知結果をシート長さの算出に用いる検知手段からレジスト搬送部材までの距離と、シート長さとが近い値であるときに、シート長さを適切に算出できないことがあることを見出した。これは、以下の理由によるものと考えられる。
すなわち、シートがレジスト搬送部材に突き当たってからレジスト搬送部材によって搬送されるまでの間にシート搬送部材によって搬送され続けると、シートの先端近傍に撓み(撓みPd等)が形成される。そして、シートの撓みの部分は、弾性変形が生じている状態であるので、シートには撓みを伸ばして、撓みが形成される前の状態の戻そうとする復元力が作用する。腰が強いシートでは、この復元力が大きく、レジスト搬送部材に突き当たっている状態のシートの撓みが伸びてしまうことがある。このとき、レジスト搬送部材に突き当たっているシートの先端は搬送方向下流側に移動できず、シートの後端が搬送方向上流側に移動する。
このような撓みが形成され始めてから、シートの後端が検知手段の検知位置を通過し、撓みが伸びてしまうと、検知位置を通過したシートの後端が、再度、検知位置よりも搬送方向上流側に移動してしまう。この移動によって、検知手段がシートを検知した状態となり、レジスト搬送部材によるシートの搬送が開始されると、すぐにシートの後端が検知位置を通過して検知手段がシートを検知しなくなる。このような場合、検知手段がシートを検知してから検知しなくなるまでの時間が非常に短くなり、シート長さが非常に短いシートが検知手段の検知位置を通過したような検知結果となり、シート長さを適切に算出できなくなる。
【0129】
態様1では、突き当て期間に、検知手段がシートを検知しなくなった場合、突き当て期間中の検知手段の検知結果をシート長さの算出には用いない制御を行う。
突き当て期間の前、すなわち、レジスト搬送部材に先端が突き当たる前に、検知手段の検知位置を通過したシートは、その後、撓みを形成し、撓みが伸びたとしてもその後端が検知手段の検知位置の上流側に移動することはない。この場合、シートの撓みが伸びる現象が生じたとしても、後端が検知位置を通過したシートが再び検知手段に検知されることによる不具合は生じない。
一方、突き当て期間に検知手段の検知位置を後端が通過したシートは、その後、撓みを形成して撓みが伸びると、後端が検知位置よりも上流側に到達し、検知手段で再び検知される。その後、レジスト搬送部材が搬送を開始すると、後端が検知位置を再通過し、検知手段がシートを検知しなくなる。態様1では、突き当て期間と所定の期間との間は、検知手段の検知結果はシート長さの算出に用いないため、所定の期間を後端が検知位置を再通過するタイミングも含む期間とすると、所定の期間が経過するまでは検知手段がシートを検知し続けていると認識する。その後、所定の期間が経過したときの検知手段は、シート長さの算出に用いられるが、検知手段がシートを検知しない状態となっているため、所定の期間が経過したときに、シートの後端が検知手段の検知位置を通過したものとしてシート長さを算出する。
これにより、レジスト搬送部材に突き当たって撓みを形成したシートの撓みが伸びる現象が生じても、検知手段で後端の通過を検知したシートを検知手段で再び検知することに起因する、シート長さを適切に算出できなくなる不具合の発生を防止できる。
また、突き当て期間に検知手段の検知位置を後端が通過したシートが、撓みを形成した後、撓みを維持した場合、検知手段は、再びシートを検知することはない。この場合、態様1では、突き当て期間の開始前の検知手段のシート検知状態と、所定の期間が経過後の検知手段のシート非検知状態とに基づいて、所定の期間が経過したときに、シートの後端が検知手段の検知位置を通過したものとしてシート長さを算出する。
このような制御では、シート長さの誤差として、最大で、突き当て期間と所定の期間とを合わせた期間のシートの搬送量分の誤差が生じる。しかし、この誤差は、シート長さに対して十分に短いため、適切な長さのシートが搬送されているか否かを判断するためにシート長さを算出する制御においては問題とならず、シート長さを適切に算出することができる。
【0130】
本発明のシート搬送装置が上述した実施形態における第二増設給紙装置50b等の増設給紙装置である場合は、シート搬送装置はレジスト搬送部材を備えず、レジスト搬送部材に向けてシートを搬送する装置となる。また、本発明のシート搬送装置が上述した実施形態におけるプリンタ100等の画像形成装置である場合は、シート搬送装置は、レジスト搬送部材を備え、搬送方向上流側に配置されたシート搬送部材によってレジスト搬送部材に向けてシートを搬送する装置となる。また、本発明のシート搬送装置が上述した変形例のADF80のように原稿搬送装置の場合も、シート搬送装置は、レジスト搬送部材を備え、搬送方向上流側に配置されたシート搬送部材によってレジスト搬送部材に向けてシートを搬送する装置となる。
【0131】
(態様2)
態様1において、レジスト搬送部材の搬送方向の上流側にレジスト搬送部材に向かうシートを検知するレジストセンサ20等のレジスト前検知手段を備え、算出手段は、レジスト前検知手段がシートを検知してから(タイミング「T3」等)、レジスト搬送部材に前記シートが到達するまでの間の所定のタイミング(「T3」から「dT1」経過後のタイミングでありマスク期間MTの開始タイミング等)から突き当て期間が終わるまでの間(マスク期間MTの間等)に、検知手段がシートを検知しなくなった場合、算出手段は、所定のタイミングから所定の期間が終わるまでの間の検知手段の検知結果を、シート長さの算出に用いないことを特徴とするものである。
これによれば、レジスト搬送部材にシートが到達するまでの間の所定のタイミングから検知手段の検知結果をシート長さの算出に用いない制御を行う。このため、レジスト搬送部材にシートが到達するタイミングが、多少早くなっても、撓みが形成され始めてから後端が検知位置を通過したシートについての検知結果をシート長さの算出に用いない制御を実現できる。
【0132】
(態様3)
態様1または2において、突き当て期間に、検知手段が前記シートを検知したままであった場合、算出手段は、レジスト搬送部材の搬送を開始後は、検知手段の検知結果を、シート長さの算出に用いることを特徴とするものである。
これによれば、突き当て期間中に後端が検知位置を通過しなかったシートは、撓みが伸びることによる検知手段での再検知は発生しない。このため、レジスト搬送部材の搬送を開始後には、検知手段の検知結果をシート長さの算出に用いることで、所定の期間(「dT2」等)の経過を検知手段の検知結果をシート長さの算出に用いることができ、より正確なシート長さの算出を行うことが可能となる。
【0133】
(態様4)
態様1乃至3の何れかの態様において、シートの搬送経路に複数の検知手段(53a~53c、35、20及び21等)を備え、算出手段は、複数の検知手段のうちのシートの搬送経路における搬送方向最上流側に位置する検知手段(53a~53c及び35等)の検知結果に基づいてシート長さを算出することを特徴とするものである。
これによれば、シート長さを算出しているシートに後続するシートの搬送枚数が少ないうちに、シート長さを算出することが可能となる。
【0134】
(態様5)
態様1乃至4の何れかの態様において、シート搬送部材に搬送させる前に取得したシートの長さの情報の値(外部装置や操作パネル102から入力された用紙Pのサイズの情報等)と、算出手段が算出したシート長さの値とが一致しない場合に、その旨を報知する外部装置との通信部や操作パネル102等の報知手段を備えることを特徴とするものである。
これによれば、搬送しているシートのシート長さが適切でないことを使用者に知らせることができる。さらに、態様4の構成を備える場合、最低限の枚数のシート搬送で、搬送されているシートの長さが適切ではない状態(セットミスの状態等)を使用者に知らせることができる。
【0135】
(態様6)
態様1乃至5の何れかの態様において、シートの搬送経路に複数の検知手段(53a~53c、35、20及び21等)を備え、複数の前記検知手段のうちの或る検知手段(53a~53cまたは35)の検知結果に基づいて算出した前記シート長さと、他の検知手段(53a、53b、35、20または21)の検知結果に基づいて算出したシート長さとを比較する制御部(101または501)等の比較手段を備えることを特徴とするものである。
これによれば、比較手段で比べたシートの長さの差が大きい場合には、各検知手段の下流側に位置するシートを搬送する部材(52a~52c、12、13または4と8とのローラ対)のいずれかが劣化によってスリップが発生しやすくなっていると判断できる。このため、シートを搬送する部材の経時使用の劣化に起因する寿命が近づいていることを予測でき、劣化に起因して紙詰まりが多発する状態となる前に、メンテナンスを行うことが可能となる。
【0136】
(態様7)
態様1乃至6の何れかの態様において、シートの搬送不良の発生を検知した場合に、その旨を報知する外部装置との通信部や操作パネル102等の搬送不良発生報知手段を備えることを特徴とするものである。
これによれば、検知手段の検知結果に基づいて搬送不良が発生したか否かを検出する場合に、撓みが伸びることに起因してシートの後端が検知位置を複数通過した際に、搬送不良が生じていない状態で搬送不良と判断することを防止できる。このため、より正確に搬送不良の発生を検出することが可能となる。
【0137】
(態様8)
搬送される用紙P等のシートに画像を形成する画像形成部10等の画像形成手段を備えるプリンタ100等の画像形成装置において、シートを搬送する構成として、態様1乃至7の何れかの態様に係るシート搬送装置(増設給紙装置50または本体給紙部30等)の構成を備えることを特徴とするものである。
これによれば、画像を形成する対象であるシートの長さを適切に算出することができ、長さが適切ではないシートに画像が形成されることを抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0138】
1 本体筐体部
2 感光体
3 手差し給紙トレイ
4 定着後搬送ローラ
5 定着装置
6 排出前分岐爪
7 作像部
8 定着後反転搬送ローラ
9 反転搬送ローラ
10 画像形成部
11 本体給紙ローラ
12 中継ローラ対
13 レジストローラ対
14 転写ローラ
15 定着ローラ対
16a 第一排紙ローラ
16b 第二排紙ローラ
16c 第三排紙ローラ
17 手差し給紙ローラ
18 中継ニップ後搬送路
19 排紙トレイ
20 レジストセンサ
21 定着後センサ
22 本体搬送モータ
23 本体給紙クラッチ
24 本体中継クラッチ
25 レジストクラッチ
30 本体給紙部
31 本体給紙トレイ
33 本体給紙部通過搬送路
34 本体給紙分離ローラ
35 本体中継前センサ
50 増設給紙装置
50a 第一増設給紙装置
50b 第二増設給紙装置
50c 第三増設給紙装置
51 増設給紙ローラ
51b 第二増設給紙ローラ
52 増設搬送ローラ対
52a 第一増設搬送ローラ対
52b 第二増設搬送ローラ対
53 増設搬送センサ
53a 第一増設搬送センサ
53b 第二増設搬送センサ
53c 第三増設搬送センサ
70 増設給紙トレイ
70a 第一増設給紙トレイ
70b 第二増設給紙トレイ
70c 第三増設給紙トレイ
73 増設給紙装置通過搬送路
73a 第一増設給紙装置通過搬送路
74 増設給紙分離ローラ
90 スキャナ
100 プリンタ
101 本体制御部
102 操作パネル
111 移動読取領域
112 停止読取領域
113 フラットベッドコンタクトガラス
114 コンタクトガラス
116 画像読取部
121 原稿載置トレイ
122 増設給紙モータ
122a 第一増設給紙モータ
122b 第二増設給紙モータ
123 増設給紙クラッチ
123b 第二増設給紙クラッチ
124 増設搬送クラッチ
124a 第一増設搬送クラッチ
124b 第二増設搬送クラッチ
125 フィードローラ
127 搬送部
128 第一搬送ローラ対
129 第二搬送ローラ対
131 原稿レジストセンサ
132 読取出口ローラ対
133 白色ガイド部材
135 裏面画像読取モジュール
136 排出口
137 原稿排紙ローラ対
138 カバー
139 原稿排紙トレイ
143 分離パッド
150 原稿レジストローラ対
154 原稿給送検知センサ
182 原稿搬送路
183 サイドガイド板
184 呼出ローラ
200 複写機
300 画像読取装置
500 増設給紙部
501 増設給紙制御部
501a 第一増設給紙制御部
501b 第二増設給紙制御部
MT マスク期間
P 用紙
Pe 後端
Ta 先端位置出し搬送期間
Tb 搬送停止期間
W 紙間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0139】